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2023.08.21
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テーマ: 読書(8283)
カテゴリ: 本日読了





著者 小川洋子
2023年3月10日  第一刷発行 

文藝春秋2020年9月〜21年12月号


カバー作品 中谷ミチコ
 「すくう すくう すくう」


〈私的読書メーター〉 〈からだの美というタイトルには「用の美」という民藝運動の思想が思い起こされる。「用いられるからだの美」ともいえる、肩、声、中指、爪先、視線、首、ふくらはぎ、腕、太もも、足の裏、指先といった人間細部。また、ゴリラの背中のシルバーバック、ハダカデバネズミの皮膚、シロナガスクジラの骨、カタツムリの殻という作為のない、自然進化の美への視点も著者らしい。挿入写真が美しい一方で不思議なカバーの、両の掌のようなオブジェが、作品最後の赤ん坊の握りこぶしと響き、連なる生命への賛歌に、力強い肯定になるのが妙、作本の美となり。〉


小川洋子さん、名前の字画が既にうつくしい。

小さな水源地の側のささやくような水の流れが、はるか海を目指してゆったりと広がる様が見てとれるような。

そしてそれを裏切らない作品群。

ときどき不思議な窪地の底に潜む水を巻き返し、流れを渦巻かせるような不穏な時も味わいがあるけれど。

この作品はすーと、まさに掬う、救う、すくう。


福井晶一の声

 本当の意味で生身の人間の声に圧倒された、との小川さんの感動を私も同じくした。

コロナ禍の前だったろうか、彼の存在が他のすべての役者を引き上げてさえいたように感じた。

その前年か、ロンドンのウエストエンドで観た本場舞台、 尤もロンドンのステージはみな小ぶりだから、その比較は公平ではないかもしれないけれど、 より遥か上を行くパフォーマスに、日本のミュージカルの厚さを認識したのだった。

観客席の椅子の奥深くに身体が沈み込むような、そんな感動を覚えている。




羽生善治の中指の震え


前人未踏の先の一手、その真空のような静けさの中に入るときの畏れに肉体は震える。

まるでシスティーナ礼拝堂のアダムの指先





重力に抗う筋力では無い、ほかの要素。

爪先の鋭い痛みは、 アンデルセンの人魚姫 が娘の脚を得て、地上を歩くとき、その一歩ずつにナイフで切られる痛み、とあったのをぼんやり思い出す。

その痛みが無くて自分が縛られている世界から飛躍することはできないのだ。

痛みが、それを見つめる万人をしてサクリファイスと胎底に落ちるとき、芸術が立ち昇るのかもしれない。なんということ。


私も ゴリラのシルバーバック にすりすりして遊んでみたい。


そして叶うものならば、ボートのエイトの一人として、水も空も溶け合った輝きの中を滑るように流れてみたい。










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最終更新日  2023.08.21 13:13:17
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