ニーハオ中国

ニーハオ中国

2007/12/10
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カテゴリ: 考えごと・所感
日本から持ってきた本は、
ほとんど読んでしまって北京に置いてある。

済南には、まだ読んでいない本を
持ってきたのだが、それがこれ。

「血と肉(上)(下)」(梁石日)
「冬の旅」(立原正秋)

買ったはいいけど、
タイトルのおどろおどろしさに
ずっと手をつけていなかった2冊。

なんにもない週末に、ふと手にとって
読み始めたら、これが面白い。
いけないと思いつつ、授業準備も終わっていないのに
つい本を開けてしまう面白さ。

とはいえ、暗い内容。
「血と骨」は、戦前に韓国の済州島から
大阪に出稼ぎに渡ってきた在日韓国人の話。
ヤクザも怖がる蒲鉾職人、金俊平が主人公だ。
この金俊平のキャラがとにかくすごいのだ。
日本社会の最底辺で生きる悲しさなんて、
吹き飛ばしてしまう強烈さなのだ。

金俊平は蒲鉾職人を辞めてから、
無理やり妻にした英姫からお金をむしりとっては、
女遊びや生活費にしていたのだが、
後に、自分で蒲鉾会社を創立し、大成功を収める。
お金は腐るほどできたのに、
苦労させた女房子供にはビタ一文やりたくないという
無数のケチぶりを発揮。
そんな金俊平も、年を取り、
身体の自由がきかなくなってからは、
元浮浪者の妾に足蹴にされ、財産を持って行かれ、
子供にも見捨てられ、不遇の死を遂げる。

人間の郷の悲しさ、というのを
これほど痛切に描き切った作品も
なかなかないと思う。

家族すら信じることができず、
守銭奴となった金俊平、
結局、お金も、家族の愛も得られず、
生まれたままの状態で、
ひとり孤独にあの世に旅立っていった彼に、
結局人間は何のために生きるのか、
そんな根本的な問題を考えさせられた。

「冬の旅」は、無実の罪で少年院に入った
行助という少年の話。
この少年のまっすぐさ、そして、
少年院の中で生まれる友情などが描かれていて、
凛とした生き方の気高さと悲しさが香ってくる作品。
こんな高潔な生き方をする意味とは?
突き詰めていくと、
これもやはり人間の根本の問題に行き着く。

「血と肉」も「冬の旅」も、
過酷な環境の中で必死に今を生きる人間の姿が描かれていて、
最近単調な生活にぼーっとなっていたつばめには、
胸に迫るものがあった。

やっぱりいい本っていうのは、
人の心に波風を立てる。

皆さんは最近、どんな本を読みましたか?





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Last updated  2007/12/15 11:59:32 PM
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