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2020.08.14
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テーマ: 徒然日記(22880)
カテゴリ: 雑記
混雑した新幹線、長く伸びた渋滞の列。
「おじいちゃんとあそぶの」と笑う子供。
手に手に持ったたくさんのお土産。
今日から夏休みです、と通知表を貰う小学生。
海外旅行に出かける人々。
うだるように暑く、陽炎の出来る墓参り。
見ている方が心配になるような甲子園。
各地の祭り、夜空にあがる花火。

今年は「いつもの夏」がない。


「初盆だから帰りたい」
「孫の顔を見せたい」
「おかあさんのごはんが食べたい」
「具合の悪い祖父に会いたい」

ニュースで「だから、帰ります」という人の声を聞いたとき、正直「今のこの状況では、帰らん方がええんちゃうんか」と思った。
でも、ふと思った。

東京に就職して、帰省するのがお正月とお盆だけだとしたら、年に2回。
祖父母が、両親が死ぬまで、あと何回会えるんだろう。
あと何回、おかあさんのご飯を食べられるんだろう。

だとしたら、私は言えるんだろうか。
実家が近く、毎週のように遊びに行き、母の作る料理を食べさせてもらっていて。


帰省することで移してしまったら、持ち込んでしまったら、それで家族の命を奪ってしまったら、元も子もない。
もちろん、そうなのだけれど。

自分が生まれ育った場所を離れ、家族から離れて、生きて行くこと。
進学、就職、転勤。
そしてそれきり、別の場所で暮らしていくこと。



どこへでも行けるんだね。
おれは、この街から出たことがないんだ。
生まれてからずっとね。
そりゃあね、ほんのちょっとの間、どこかへ行ったことはあるよ。
違う街に行って、何日か泊って。
でもまた戻ってきた。
特別、この街が好きなわけでもないのに。
いや、愛着はあるよ。
でもね。
縛り付けられている感じだ。
母親の腕の中みたいだね。
温かくて抜け出せない。
ここで働いて、死ぬのかな。
それも悪くない。
悪くないんだ。
なぜだろうね。
どこの街に行っても、きっとおれのようなのがいるんだろうね。
そうしてみんな、母親の腕から逃れられずにいるんだ。
優しすぎて、狂いそうな。

「the gifted child」Date: 2009/02/28(SAT)


東京の会社に、就職内定を貰ったとき。
地元の会社にも受かっていたので、どちらにするか悩んだ。
その時、「これから先、家族の面倒を誰が見るのだろう」と地元を選んだ。
その裏に、臆病な自分を隠した。
これは、ちょうどその頃に書いたもの。

子供の頃は、あんなに家を出たかったのに。
親の支配から抜け出したかったのに。
どこかへ行こうと思っていたのに。

生まれた場所で生きること。そこで生きて行くこと。
自分はどこへも行けないんだ、死ぬまでここにいるのだ、という、安堵と絶望。

何かを選ぶということは、何かを選ばなかったということだ。

お盆の時期、帰省のニュースを見て、思う。
私はきっと、正しい選択をしたのだろう。
十年後、二十年後に、自分の選択に感謝するだろう。
そして私はきっと、「あの時もし東京へ行っていたら」と思い続ける。

逆の選択をしていたとしても、同じことを考えただろうな。

今いる場所にいたいなら、行きたい場所へは行けないの。
行きたい場所へ行くのなら、今いる場所にはいられない。

マザーグースか何かの一節。
私が行きたかった場所は、行きたい場所はどこなんだろう。
「ここではないどこか」をあてどなく探していたのなら、きっとどこでも同じだ。

私がいたい場所は、どこだろう。
もしかしたら、ここなのかもしれない。

長い時間をかけて、ふと今、そんなことを思う。

ここであって欲しいだけなのかもしれないけれど。


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「何でもいいから書いていこう」という心意気で最近書いているのだけど、いつにもまして訳が分からない。
生まれた町が好きか?と言われたら、いつも村上春樹の「彼女の町と、彼女の緬羊」を思い出す。





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最終更新日  2020.08.14 00:00:14
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