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2022.04.10
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テーマ: 読書(8290)

本のタイトル・作者



わたしの体に呪いをかけるな [ リンディ・ウェスト ]

"Shrill"
by Lindy West,2016

本の目次・あらすじ


レディ・クラック
骨になってゆく女たち
わたしの体はわたしのものだ
心を殺さないでよくなるための十八の簡単なステップ
人生からレモンを与えられたとき

真っ赤なテント
「ハロー、わたしは太ってます」
トロールが現れた!
精霊たちと戦う人々
座席がわたしに小さすぎた日
アメリカの笑いの街:主な住民はジョーク
『狼よさらば』
「これはミソジニーなんかじゃないんだ」
倒れた大木
人生の終わり
新しい始まり

だからわたしはノーと言う(し、あんたの機嫌は取らない)

引用



そういうことが、世界を築くものなのだ。


感想


2022年087冊目
★★★

2016年の選挙(ドナルド・トランプが当選した選挙)が始まる前に書かれた本。
原題 "Shrill" は「甲高い声」の意味で、ヒラリー・クリントンが「彼女の甲高い声が嫌いだ」と性差に基づく侮辱を受けたことを敷いている。
(「女たちは黙っておけ」というわけだ。)

幼い頃から太っていたリンディは、ジェンダーとルッキズムの差別に絶えずさらされて成長する。

太っている自分には価値がない―――誰が決めたの?
もしかして私は、その決断を自分でするだけなんじゃない?誰か知らない陰険な奴らではなく。
私が、私には価値があるのだと決めるだけ。
けれどそれは、途方もないインターネット・トロール(アンチたち)との戦いだった。

アメリカらしいというか、スタンダップ・コメディの「定番ネタ」に「レイプ・ジョーク」というのがあるということに驚いた。
はあああああ?おもしろいとでも思ってんの??????
表現の自由との闘いにすり替えられる問題に、彼女は噛みつく。
叩かれて叩かれて、コメディを心から愛していた彼女が、コメディを見られなくなるまで。

私はBL(ボーイズラブ)を愛するのだけれど、それはBLの世界が「女性性」から自由だからだ、と前に何かで読んだ。
男性に置き換えることで、自らのアイデンティティは被害を受けない。
(けれどBLは代替少女漫画でもあるんだよな、というところに根深い「女性像」を見るのだが)

この本は短いエッセイをまとめた感じ。
自分を肯定し、声を上げ続ける著者はすごい。
なんて勇敢なんだろう。

後半には、パートナーとの同棲と破局の物語もあり、お姉さんの「大好きな小鳥に傍で歌っていてほしいなら、掴むんじゃなくて手を開いていなくてはだめ」という助言が素敵だった。

亡くなったお父さんをネタにしたインターネット・トロール(彼は悔い改め名乗り出た、珍しいことに)との対話は、なんだか悲しくなった。
彼女が「自分は自分でいいのだ」、と言ったから。
だから、彼女を許せなくなったのだ、と彼は言う。
女のくせに。太っているくせに。
自分より劣っているくせに、自分を肯定して、幸せそうであることが許せない。
なぜなら己は、彼女のように自分に自信がないから。
結局のところ、リンディを抑えつけていたものは、このひとを抑えつけていたものでもある。
彼女はその重荷を取り払い、課せられることを拒否した。
甲高い声を上げた。
だから社会は許せなくなるのだろう。
彼女は戒律を破った。
―――己は、黙っていたのに。

「あとがき」によると、本書はアメリカでベストセラーになった後、Huluでドラマ化。シーズン3まで制作されているそう。
彼女はその後 "The Witches Are Coming" に続き、 "Shit, Actually: The Definitive, 100% Objective Guide to Modern Cinema"の2作を刊行。
これもどんな本なのか読んでみたい。
(最近、「邦訳ないなら英語で読んでもいいな」と思えるようになってきた!)




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最終更新日  2022.12.04 00:24:41
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