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2022.09.18
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テーマ: 読書(8290)

本のタイトル・作者



世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」 [ 倉井 高志 ]

本の目次・あらすじ


第1章 ウクライナとはどういう国かー国家としてのアイデンティティとロシアとの関係
第2章 ロシアの軍事侵攻
第3章 ウクライナの抵抗
第4章 ウクライナが見せた「覚悟」-国家の安全はいかにして確保すべきか
第5章 ロシアによるウクライナ侵攻と中国
第6章 ウクライナとロシア、そして日本

引用



それは第一に、結局のところ「力には力で対処するしかない」ということ。第二は「軍事大国に対抗するためには自ら軍事大国になるか、あるいは軍事大国を含む集団防衛体制の中に組み込まれるしかない」ということ。そして第三は「国連安保理常任理事国が何らかの形で関与する紛争に対して、安保理の紛争解決システムは機能しない」ということである。


感想


2022年240冊目
★★★★

この本、よかったです。

書店の一角を占める本の中から何を選ぶか迷ったら、

池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々 [ 池上彰 ]

で概略を把握したのち、細部理解にはこれをオススメしたい。

著者は、直近の2019年1月~2021年10月までウクライナ大使を務めていた外交官。
ソ連時代を含め計約10年間在ロシア日本大使館に勤務。
その後、在パキスタン大使を経て、在ウクライナ大使として3年弱首都キーウに勤務。

なので、これは珍しく「内側から(部外者が見た)ウクライナ」という構造になっている。
ほかの本がおしなべて「外側から見たウクライナ」であることに対して、違う目線で見ているから「へえ、そうなんだ!」という気付きがたくさんあった。

たとえば、2021年8月24日に行われたウクライナ独立30周年記念式典。
その行進部隊の足の上げ方が、ロシア式の高く上げるやり方ではなく、西側流に高さ15cm程度になっていたこと(脱ロシアとNATOへの志向性が現れている)。

2015年にドイツがG7議長国であったとき、「7大使ウクライナ・サポートグループ」が設立され、G7大使が本国と連携しウクライナ改革を支援していく取り組みが行われていたのも初めて知った。


ゼレンスキー大統領と直に言葉を交わした間だからこそ、大統領の人となりについて語る言葉にも信憑性がある。
大統領の「国民の僕(しもべ)」党の立候補条件は、「政治家としての経験のないこと」だったそうだ。すごい。
あれは、ポーズではないんだ。

ゼレンスキー大統領は両親ともユダヤ人で、本人もユダヤ人なんですね。
彼が大統領に就任した2019年5月は首相もユダヤ人で、著者はその政権をロシアが「ナチ政権」と呼ぶのはあまりにもユニークな主張である、と言う。


へえええ。今は水、どうしてるんだろう。

著者が英国スコットランドのエジンバラ大学在籍中にソ連軍事問題の大家ジョーン・エリクソン教授から教えられた
「ソ連を理解するためには世界からソ連がどう見えるかではなく、ソ連から見て世界がどう見えるかを考えなければならない」
という言葉。
これ、今のロシア(プーチン)も同じだ。

2022年は日ウクライナ外交関係樹立30周年だったのだそうだ。
2017年の25周年のとき、ウクライナ各地に桜2500本を植える取り組みが1800本で終わり、2022年には残りの700本を植える予定だったという。
ウクライナの人に好評で、ぜひうちの町にも植えてくれと言われていた桜。
植えられなかった桜。
そして、植えられた桜は、どうなったんだろう。

遠い国の戦争。
ではない。

ロシアと中国に海を挟んで隣接する日本。
今テレビ越しに見ている惨状が、この国に起らないと言える?

なされないと思っていたことが、なされてしまった。
私たちが生きているのは、その後の世界だ。

これまでの関連レビュー


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佐藤優の地政学入門 [ 佐藤優 ]

バチカン大使日記 [ 中村芳夫 ]




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最終更新日  2022.12.03 23:39:11
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