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2022.09.27
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テーマ: 読書(8290)
本のタイトル・作者


独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか 徹底解説:ウクライナ戦争の深層 [ 池上 彰 ]

本の目次・あらすじ

はじめに

1 世界を驚かせたプーチンの暴挙 2022
・ウクライナはどんな国?
・解決のカギは「ミンスク合意」 
・ウクライナをめぐる情報戦 
・ロシアが承認する「国家」とは
・ロシアを金融封鎖する制裁 

・ウクライナ軍、「善戦」の理由 
・プーチンを宗教から分析する 
・ロシア軍の別動隊「民間軍事組織」
・ウクライナで過去にもあった悲劇
・ウクライナ危機が世界食糧危機に

2 すべてはクリミア併合から始まった 2014~2021
・ウクライナはどんな国? 
・戦争の火種クリミア半島
・クリミア半島はいま(前編) 
・クリミア半島はいま(後編) 
・「おそロシア」になってしまった 

・対「イスラム国」にロシアも参戦? 
・「ロシアのエージェント」トランプ大統領? 
・ロシアとの秘密交渉は誰の意思? 
・ロシア軍の軍事演習が怪しい 
・スウェーデン、戦争に備え徴兵制 

・トランプ、ロシアに猶予与え攻撃 
・北方領土は二島返還?
・再び核開発競争へ 
・究極の恐怖のミサイル爆発事故 
・プーチン大統領、「院政」狙いか 
・ロシア、またも毒物で襲撃事件 
・「毒物はパンツに仕込んだ」 
・「猫に鈴をつける」民間調査組織
・ベラルーシ、難民を武器にした 
・ロシア軍、ウクライナ侵攻? 

3 独裁者・習近平にどう対峙すべきか 2016~2021
・香港で中国当局が「拉致」か 
・香港の富豪が大陸へ拉致?
・共産党のトップはなぜ「総書記」
・中国、再び個人崇拝へ
・いま「独裁者誕生」を目撃する
・そもそも香港とは
・火事場泥棒的に香港の自主性剥奪
・中国共産党の一〇〇年
・二つの「辛亥年」-中国の反撃

あとがきにかえてーーもっと詳しく知りたい人のためのブックガイド

感想

2022年249冊目
★★★

「週間文春」連載の「池上彰のそこからですか!?」を再編集したもの。
新しいもの(2022年)のものもあれば、もっと前のものもあるし、ウクライナだけじゃなくて中国の記事もある。
なので、「今のウクライナの状況を知りたい」「なぜ今こうなっているのかを知りたい」という人には包括的に見られる内容ではないので、概略が分かっている人が当時の受け止め方を知りたいときに読む本という感じ。

今翻ってみると、という視点でものごとを見られて、「ああそうだ、あのときはこう言っていたんだ」と思う。
誰もウクライナの大統領なんて知らなかった頃。
ロシアが本当にウクライナに攻め入るなんて思っていなかった頃。
予言者は存在せず、けれど私たちは過去を振り返ることが出来る。
そのただなかにいて、少しずつ足跡をたどる。
この道はどこから来たのか。
あの時、他の道はどこへ繋がっていたのか。
なぜ、この道だったのか。
それが何をもたらしたか。

それを何度も繰り返して来たのにね。
すぐに忘れて、同じ轍を踏む。
少しずつ賢くなっているようで、同じ愚かさから逃れられない。

今回この本を読んで知ったのは、ウクライナの閣僚で最年少のミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換相(31歳)。
イーロン・マスクに対し、スペースXが所有するスターリンク衛星通信網の接続機器提供を求めたのは彼だったんだ。
池上さんが台湾のオードリー・タンと並べているように、デジタルが状況を変える。

今後、こういう人がたくさん出てくるんじゃないかな。
引っ張っていくリーダーシップというよりは、何だろう。
共同体のプラットフォームを整備するリーダーシップ。
その人にすべてを任せるのではなく、ともに考える。
完璧な答えではなく、臨機応変な答えを出しながら進む。
ともに変わっていく。

この本で触れられていた2020年8月にロシアの反体制指導者が毒物で暗殺されそうになった事件。
ロシアのエージェントが犯行に関わっていることを暴露したのは、イギリスの民間調査報道機関「ベリングキャット」。
この組織も初めて知った。
組織運営者は元ジャーナリスト志望のゲーマーで、2011年のアラブの春を機にパソコンを駆使して現地取材を開始。
2014年マレーシア航空機撃墜事件(ロシア製地対空ミサイルにより、ウクライナ東部上空を飛行していた航空機が追撃された)で、ミサイルがロシアのものであることをSNSに投稿された画像から特定。
すごいのは、この組織が「安楽椅子探偵」のように、部屋から一歩も出ないまま、オープンにされたSNSなどの膨大な量のインターネット情報から真実を突き止める、という捜査方法。
これは、「オープンソース・インテリジェンス」(OSINT)というのですって。
機密情報はゼロ。ただ溢れる情報を結びあわせ、繋ぎ合わせてたった一つの事実に辿り着く。
うっひゃああ、かっこいい…!!!!
組織名は「猫に鈴をつける」ネズミの逸話から。
ちいさなネズミでも、その目があれば―――真実はあぶり出されるのか。
じゅうぶんな数の目があれば。

この本だけでは詳しいことは分からないのだけど、そこは池上さんもご承知のうえで、「あとがきにかえてーーもっと詳しく知りたい人のためのブックガイド」におすすめの本が紹介されている。
私は、元ウクライナ大使の書いた黒川祐次『物語 ウクライナの歴史』を読みたいなと思った。

この本で出てきた知らない言葉。
○切歯扼腕(せっしやくわん)
…歯ぎしりをして自分の腕をにぎりしめること。憤慨したりくやしがったりするときの様子。
コトバンク

これまでの関連レビュー

世界史と時事ニュースが同時にわかる 新地政学 [ 祝田秀全 ]
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最終更新日  2022.12.03 23:35:13
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