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2022.10.11
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テーマ: 読書(8288)

本のタイトル・作者



自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫) [ ホリー・ジャクソン ]

"A GOOD GIRL'S GUIDE TO MURDER"
by Holly Jackson

本の目次・あらすじ


イギリスの小さな町・キルトン。
ある晩、学校一美しいブロンドの少女、アンドレア(アンディ)・ベルが失踪した。
ボーイフレンドだったインド系のサリル(サル)・シンは、犯行を自供するメールを残し、森で服薬自殺を遂げる。
状況証拠から警察は、サルを犯人として事件の捜査を終えた。

あの優しかったサルが犯人だと信じられないビッパ(ビップ)・フィッツ=アモービは、高校3年生の自由研究の課題に、5年前の失踪事件を選ぶ。

そしてビップのもとに脅迫状が届き―――。

引用


ビップは世間の差別意識に対してけっして鈍感になるまいと心に決めて成長した。白人である自分が闘う必要に迫られることもなく見えない階段を昇ってきたという事実に対しても。


感想


2022年262冊目
★★★★

面白かった!
2022年本屋大賞 翻訳小説部門第2位。
冒頭に地図と人物紹介が出てきただけでときめくのは、ミステリファンと異世界ファンタジーファンだけだろうか。
この本は学校の課題という形式を取っていて、冒頭がその計画書の提出様式だったり、途中に手書きの日記が挿入されたり(本書版はネットの画面のキャプチャもあったり、もっと凝った形式らしい)、仕掛けがたくさんあって楽しい。

536p/571pでアメリカじゃなくてイギリスが舞台だったことに気づいた(笑)
どーりでハリーポッターの話してると思った…!
インド系とかケンブリッジ大学とかアフタヌーンティーとか、やたらイギリスに憧れてんのな?と思ってたよ…。
え?だって冒頭で「この小説の舞台はイギリスです」的な地の文なかったよね…?
まあ普通は途中で気付くわな。

主人公がどの子も魅力的。キャラクターも立っている。


二転三転する捜査状況に続きが気になって、分厚いんだけどどんどん読めちゃう。
なんというか、作りがいかにも洋ドラで、「え、どうなるの?!」「あの人が?!」「結局○○はどうだったの?!」という感じ。
伏線がすべて回収されておらず、あとでいかようにも使えるようにあちこちに放り出されているのも、連続シリーズのドラマ的。

あとがきによると、2020年に第二作 "Good Girl, Bad Blood" が出ていて、2021年に第三作 "As Good As Dead" でシリーズ完結する模様。
英語版で読むしかないのかな、しかし私の英語力で理解できるだろうか…と思っていたら、第二作は既に『優等生は探偵に向かない』として翻訳版が2022年7月に刊行されていました。

(ああこんなときに私にじゅうぶんな英語の読解能力があれば!と思う)

ビッパが友人としている会話に、「わたしにはソーセージ」という言い回しがあって、これがドイツ人が「わたしにはどうでもいい」ということらしい。面白い。
ヴィクターが



と言っているのも、「??」となったんだけど、イギリスでは11/15にガイ・フォークス・ナイト(ボン・ファイアー・ナイト)があり、1605年火薬による国王暗殺未遂事件を記念するもので花火が打ちあがるのだそうだ。
これも()内の訳注読まないとさっぱりだもんなあ。

結局、「英語を読める」と「その文脈を理解する」というのは異なるんだよな、と思う。
だから英語が読めるようになったって、その先はかなり難しい。
それこそいっときの留学経験があったって難しいだろう。
現地に在住していて、ならまだそこまで訳せるのが分るんだけど。
あとは膨大な書物やネットの知識量で補っているのだろうか。
翻訳家の方はみんなすごいなあ。

それで、だ。
英語を日本語に翻訳するAIがいくら発展したところで、その背後にあるもの、言語化されないテキストを拾うことは出来ないんだよね。
英語を「ん??」と思いながら読み進めているとき、たぶんそういうことがたくさんある。
コミュニケーションとしての言語、最低限の意思疎通としての言語というのとは次元が異なる言語がもう一段階上にあって、私はそれまで分かるようになりたいんだけど、なかなか難しいねえ。

そして思うのだ。
外国で日本語を勉強している人たちにとっても、その「明言化されていない日本語テキストとの情報量と認知のズレ」が生じているんだろうなと。
万葉集でも、○○という土地と言えばこれだから、○○と詠むだけで連想されるもの、想起されるものは「におわせ」るだけでわざわざ言葉にはしない。
それと同じことがある。

言葉は言葉のみにて存在するに非ず…。
では同じ「英語」を話す人々にとっては、その認知のズレはどう働くのかしら。
なんてことをつらつらと考えながら。

これほんまにドラマ化せえへんかなー!




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最終更新日  2022.12.03 23:31:58
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