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2022.10.14
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テーマ: 読書(8290)

本のタイトル・作者



6カ国転校生 ナージャの発見(集英社インターナショナル)【電子書籍】[ キリーロバ・ナージャ ]

本の目次・あらすじ


はじめに
6つの国、4つの言語で教育を受けて育つとどうなる?ナージャの6カ国転校ヒストリー
この本を楽しむためのヒント
プロローグ 5つの質問

第1章 ナージャの6カ国転校ツアー
筆記用具は? 「よく書く」ためのえんぴつ。「よく考える」ためのペン
座席は? 小学校の座席システム。実は、全部違った

学年は? ロシアでは「1年生」という学年が2学年ある
ランチは? 小学校のランチシステム。実は、さまざまだった
数字は? 日本の学校では、数字の書き方も個性よりカタチだった
テストは? 世界では、90年代からこんなものがテストに持ち込み可だった
満点とは? フランスの学校では、16/20が100点!?
水泳は? 日本の水泳教室は、タイムよりカタチだった
音楽は? アメリカの学校では、本を読むようにバイオリンを習う
ノートは? 小学校のノート模様。実は、こんなにたくさんあった
お金は? イギリスの学校では、リンゴでお金を学ぶ
校長先生は? カナダの学校では、夏休みが3か月ある
科目は? カナダの学校で体験したちょっと変わった科目5選


ナージャの発見① 「ふつう」が最大の個性だった!?
ナージャの発見② 苦手なことは、克服しなくてもいい!
ナージャの発見③ 人見知りでも大丈夫!しゃべらなくても大丈夫!
ナージャの発見④ どんな場所にも、必ずいいところがある!
ナージャの発見⑤ 6カ国の先生からもらったステキなヒントたち


おわりに

引用



そう、みんな「ふつう」でいいし、「ふつう」に対するコンプレックスをもっともっと捨てられるといいなと。
「ふつう」を磨いていくことが、「個性」を磨くことよりずっと早いという発見をしてから、ずっとそう思っている。


感想


2022年265冊目
★★★

てっきりナージャという男の子が親の仕事の都合で世界各地を転々とし、現地でさまざまな体験をするハートウォーミングな成長ストーリー児童書だと思っていたので、著者の実体験によるテーマごとのノンフィクションエッセイだと知り驚いた。
相変わらず思い込みが激しい。
ウソ・大袈裟・紛らわしい!!
そんでナージャって女性名だったよ。アニメ「明日のナージャ」ってあったね。

著者、キリーロバ・ナージャさんは、クリーエティブ・ディレクター、コピーライター(2015年世界コピーライターランキング1位)、絵本作家。
ソ連(レニングラード)生まれで、数学者の父と物理学者の母と各国へ移り住み、それぞれの地元学校で教育を受ける。

各国で地元の学校に行っているのがすごいのだけど、

小1(6歳) ロシア、サンクトペテルブルク
年長(7歳) 日本、京都
~小2はスキップして弟と一緒に保育園に通う~
小3(8歳) イギリス、ケンブリッジ
小3(9歳) フランス、パリ
小4(10歳) アメリカ、ウィスコンシン州マディソン
小6(12歳) 日本、東京
中1・中2(13~14歳) カナダ、モントリオール
中3(15歳) 日本、札幌

という経歴で、人見知りで口数も少ない子どもを、言葉も文化もまったく分からないところから地元学校に入れる親御さんがまずすごいな…。サバイバル…。
ロシア語、日本語、英語、フランス語ですよ。子供だからいける!と思われたのか。

ナージャさん、たぶん30代くらい?
なので、当時通われた学校生活はおおよそ30年前のもの。
しかし各国によって「ふつう」の「あたりまえ」が違って面白い。

文房具好きとしては、鉛筆とペンの話が興味深かった。
ロシアからイギリスに転校した時、ペン(色は青のボールペン。親の時代は万年筆)から鉛筆になってびっくりしたのだそうだ。
ロシアでは、鉛筆=美術で絵を描く時に使うもの、という認識だったのですって。へええ。
そこにあるのは、考え方の違い。
ペンは消せないために自分の意見を定めて考えを究める。=ロジカルシンキング。
鉛筆は書きながら考えることが出来るので書きやすくなる。=トライ&エラー。
筆記具一つをとっても、その国々が文化的に「教育に求めるもの」=人としてどうあって欲しいか、が透けて見える。

座席の並び方からは、勉強がチーム戦か個人戦か、何を目標としているのかが見えてくる。
体育の授業はその競技に習熟するためか、健康増進のためか?
(体育の授業でなぜあんな大きな名前の書いたゼッケンが必要なのかわからない、とあってハッとした。確かに!!)

コミュニケーションが得意ではない性格であるうえに、言葉も分からないナージャさんは、自分の苦手を克服する方法を生み出す。
それは、自分の苦手を把握し、ルールの抜け道を探して、自分ができるやり方でやってみること。
これ、いいなと思った。
真正面から勝負してかなわないことなら、横から攻めてみよう。
私はいつも、子供の頃に読んだ小説『楽園の魔女たち』を思い出す。
迷路を時間内に抜けろ、と言われて、たしかボーンと迷路を爆破するかして、全てを突っ切る一本道を作ってしまうのだ。
同じく、迷路の壁の上にのぼってしまうのもアリだよね。
「迷路を時間内に抜ける」というルールは破っていない。
トリッキーな方法を使うだけで。

著者は行く先々で、その場の「ふつう」を体験してきた。
そうして思うのだ。「ふつう」ってなんだ?
ふつうになりたい、みんなと一緒になりたい。
でもその「ふつう」は場所場所で、時々で変わる。
じゃあ、私の「ふつう」って実はほかのひとには「ふつう」じゃないのかも?
同じようにほかの人の「ふつう」は、私の「ふつう」ではない。
それぞれが混ざり合って、あたらしい「ふつう」が生まれる。
それを楽しむこと。

前に何かで、「普通」の枠に押し込めても押し込めてもはみ出てきてしまうものこそが「個性」だ、と読んだ。
それは自分の荷物を、スーツケースにぎゅうぎゅうに押し込んでるイメージ。
上から乗って閉めて、ふう一安心!と思ったらバイーン。
はじけ飛んだスーツケースの中身を呆然と見つめる。
その時、「なんで私の荷物はここに入らないんだろう…」と落ち込むんじゃなくて、スーツケースに入れきれないものこそが、自分の本当の持ち物(持ち味)なのだと思う。
さて、私が入れきれないモノって、何かな。
それってきっと、みんなが預けない荷物、手荷物で機内持ち込みにする大事なものだと思うんだ。




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最終更新日  2022.12.03 23:31:33
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