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2023.08.26
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テーマ: 読書(8290)

書名



もりあがれ!タイダーン ヨシタケシンスケ対談集 (MOE BOOKS) [ ヨシタケ シンスケ ]

目次


第1話 「自己紹介だ!タイダーン」糸井重里
第2話 「伝説に迫れ!タイダーン」かこさとし
第3話 「共感発動!タイダーン」岸本佐知子
第4話 「お題を出そう!タイダーン」クリハラタカシ
第5話 「己を知ろう!タイダーン」坂崎千春
第6話 「モチベーションを探れ!タイダーン」柴田元幸
第7話 「際立て!個々のスタイル!タイダーン」junaida

第9話 「視界を広げろ!タイダーン」ブレイディみかこ
第10話 「蔵書対決!タイダーン」穂村弘
第11話 「仕事の極意を学べ!タイダーン」モリナガ・ヨウ

感想


2023年188冊目
★★★

ヨシタケシンスケ大好きか!(大好きだ)
これは珍しく?著者単独本ではなく、対談集。
さすが売れっ子絵本作家、対談相手が豪華絢爛。

対談の様子の文字起こしと、最後にヨシタケさんが1ページ対談の感想をイラストにしたものが掲載されている。
ヨシタケさんの頭の中が覗けたようで「そうなんだ」と新しい発見があった(動物が喋るかわりにロボットが登場する)し、制作の裏話も聞けるし、何より対談感想のイラストが面白かった。

糸井重里さんとの対談で、

自分の井戸だけはもうずうっと見てきたので、いっくらでも説明できるんですよね。だからもう本当に、そこで過ごすしかないなと思ってて。「あいつ、外に出てないし人の意見も聞いてないし、自分の井戸の中でしか一生終えてないけど、でもなんかあいつの井戸の話聞くと、井戸に入りたくなるんだよね」とか、「なんか井戸もいいよねってちょっと思えてくるんだよね」って言ってもらえれば、勝ちなのかなと。


とヨシタケさんが仰っているの、ご自身の作風をよく理解して分析しているのだな、と思った。
村上春樹も、物語を書くことを「井戸を掘る」と言っていた。

あるいはこの井戸の話、森見登美彦『有頂天家族』の矢二郎兄さん(蛙に化けて古井戸に住んでいる狸)も思い出す。
井戸に入りたくなるんだよね。

たぶん世界は、「出ていく」ことを称賛する。
「拡大していく」「拡散していく」。
より広く、より大きく、より高く、より遠く。

より狭く、より小さく、より低く、より近く。
半径85cmがこの手の届く距離、と初音ミクも「ダブルラリアット」で歌っていたな。

ボローニャでヨシタケさんの絵本『もうぬげない』が賞を受賞した時、「世界中で子どもは頭に服が引っかかっているけれど、それを絵本にしようとしたのはあなたがはじめてだ」と審査員が言ってくれたのが、ヨシタケさんはすごく嬉しかったのだそうだ。
たぶん、そういうこと。
子供の頃、砂場で穴を掘っていたことを思い出す。
その穴が世界の裏側に繋がっているのだと思っていた。
コンクリートの底にぶつかるまで。

でも、もしかしたら、それは違うのかもしれない。
それしかないわけないじゃない?
というのが、ヨシタケさんの面白さ、なんだろうなあ。

岸本佐和子さんとの対談では、対談後のヨシタケさんのまとめに

「ちゃんと大人になった人々」
↑あこがれ&憎しみ ↓軽蔑
「ちゃんと大人になれなかった人々」
↑共感&支援 ↓「世界に対する違和感」の表明
「ちゃんとした大人のフリができる人々」
↑信頼 ↓手助け(労働)
「ちゃんと大人になった人々」

という図解があって、これがすごく分かる。
「世界に対する違和感の表明」。
そして、ちゃんとした大人への憧れと憎しみ。
井戸の中に入ろうなんて思わない人たち。
でも、世の中の大多数は「井戸の中にいるなんて面白そうだな、ちゃんとした大人は入らないから入らないけど」という大人のフリができる人々、で構成されているんじゃないだろうか。
だから、「その井戸の中はどんなふう?」って、本を読んだりするのだよね。


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最終更新日  2023.08.26 06:50:21
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