ラッコの映画生活

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2008.03.31
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
TEN MINUTES OLDER ~The Cello~
HISTOIRE D'EAUX(水の寓話)
Bernardo Bertolucci
(所有DVD)


Bernardo Bertolucci


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(以下ストーリーネタバレ)
ところはイタリアの森の中。密入国の難民なのだろうか、狭いトラックから何人もが下ろされる。みんな列を成すように案内される方向に進んで行くが、老人が独り列から逸れて勝手な方向へ向かう。気付いた青年が呼び止めるが老人は気にもとめず去り、一本の大樹の足元に坐り込み、瞑想でも始めるかの様子だ。そして追いかけてきた青年に「水を汲んできたくれ」と言うと、横笛を吹き始める。その様子を近くの囲いの牛が見つめている。インド人らしきその青年が川で水を汲もうとしていると、背後の茂みの上にある田舎道に物音を聞く。道に登ってみると、女(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が故障したバイクに悪態をついている。バイクの荷台には生ビールのボンベ。青年が茂みから顔を出す。最初は警戒していた女だったが、修理を任せ、既に微笑みを交わしていた。女の運転するバイクの後ろに青年が乗って、女の経営する飲食店に二人はやってくる。どれだけの時間が経過したのか、身重の女と青年の結婚式。二人は幸せそうだ。店内はインド風に改装されていて、インド人音楽家がインド音楽を奏している。椅子に坐っていた女から床に流れ出る水。破水したのだ。また時間が経過し、娘と息子のいる二人。夫が嬉しそうに、誇らし気に、買った車で帰ってくる。家族3人を乗せてドライブに。川に落ちた車を業者が引き上げている。それを悲しそうに見つめる家族4人。突然夫は走り出す。やがて木立の中に入り、大樹の下に坐って横笛を吹く老人のところへ。「早朝に水を汲みにいったまま随分帰ってこなかったな。」と老人。呆然と立ち尽くす青年の遥か彼方の線路を列車が駆け抜けていく。最初とおなじように牛が見つめていた。

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映画的には10分、青年の女との物語は20年弱、しかし老人にとっては同じ日に水を待っている何時間かだった。インドの伝説を下敷きにしているらしい。主観的な時間の相対性を描いている。インドの時間的観念は物凄く長い。たとえば釈迦入滅後56億7千万年後に弥勒如来が出現すると言う。その根拠は弥勒が修行・説法を行っている兜率天(トソツテン)での1日は400年に相当するという発想からの計算の結果だ。ちなみに1日が400年なら72分が20年となるから、青年の20年は老人の72分だったのかも知れない。長くもあり短くもある人間の時間を、悠久の大宇宙の長大な時間の中に位置付ける哲学なのだろう。牛の目が見つめているのは、牛を神聖視するインドだから神の目なのかも知れない。

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異国(異文化)間の恋愛が興味深いとベルトルッチが言っているのをどこかで見たことがある。例えば 『シャンドライの恋』 はアフリカ出身の黒人シャンドライと西洋人キンスキーの恋を描いていたが、互いの音楽への無理解が素材に使われていた。ここでもイタリア女とインド男の恋と結婚の物語。国際政治の世界では、たとえばプロテスタント(米国)とイスラーム(タリバン等)の場合など、自国の文化を守ろう、押し付けようともする。しかし恋愛にあっては相手への一体化の心理的欲求があり、自分の文化の維持と同時に相手の文化への同化欲求もある。もちろん相手が自文化に同化して欲しいという欲求もある。これはすなわちあるがままの自分として相手に受け入れらたいという欲求だ。この自文化と異文化の問題は後の第5編クレール・ドゥニ監督の『ジャン=リュック・ナンシーとの対話』のテーマでもあるが、人間が他者との関係を求める一つの究極の欲求が異性愛であり、そこにこのテーマを見るのは興味深い。そもそも恋愛というのは、もともと異文化である男と女の、相互的な自己の保持と他者への融合の要求であるわけだし。


10ミニッツ・オールダー ~イデアの森~
第1話『水の寓話』(ベルトルッチ)
第2話『時代×4』(フィッギス)
第3話『老優の一瞬』(メンツェル)
第4話『10分後』(サボー)


10ミニッツ・オールダー ~人生のメビウス~
第1話『結婚は10分で決める』(カウリスマキ)
第2話『ライフライン』(エリセ)
第3話『失われた一万年』(ヘルツォーク)
第4話『女優のブレイクタイム』(ジャームッシュ)
第5話『トローナからの12マイル』(ヴェンダース)
第6話『ゴアvsブッシュ』(リー)
第7話『夢幻百花』(陳凱歌 チェン・カイコー)




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Last updated  2008.04.03 21:24:04
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