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2016.10.06
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カテゴリ: 探訪


この写真は昨日所用でJR稻荷駅で降りた序でに、九州への台風上陸の影響で天気が思わしくなく曇天でしたたが、本町通(旧伏見街道)に面した表参道前の朱塗り大鳥居を撮ったものです。伏見稲荷大社です。



朱塗りの鳥居とその右方向(南)にあるこの狐像とを併せて眺め、外国人はまず興味を惹かれるのかもしれません。勿論、日本人観光客も同様でしょう。
黒ずんだ胴体の後ろ脚を高く上げ、口には大きくたわわに実った稲穂を咥え、尻尾の先には火焔付宝珠が金色に光っています。これは岩に飛び降りてきた瞬間でしょうか?
境内に多くの狐像があると雖も、これほどダイナミックなのは記憶にありません。


こちらが通りの西側にある 「JR稻荷駅」 です。ここから北西方向に少し行くと、 京阪電車の稲荷駅 があります。また、南側のJR踏切を渡り、疏水沿いに南方向に5分位で、 京阪電車の深草(龍谷大前)駅 もあります。伏見稲荷大社への交通機関は整っています。



今回は、繰り返し訪れてきたこの伏見稲荷大社とその周辺について、一度今までの写真から様々なシーンを抽出して、再認識のために整理してみることにしました。


            表参道 鳥居の正面からの景色

 参道を東に進みます。

 今、参道の両側にはこの幟がズラリと立ち並んでいます。
なんと、 外国人に人気の観光スポット2016として日本国内3年連続第一位 と記されています。下部に英文で、この日本文の趣旨が翻訳されています。しかし、この幟そのものは日本人向けのアピールなのでしょうか? 

それはさておき、この写真の背後は、表参道北側沿いの築地塀に区切れた開口部と石段があり、北に境内空間が開いているのです。
 2014.11.4
背景に聳える現代建築は「儀式殿」 です。
この境内にある末社等を向かって左側(西)からご紹介しますと、


熊野社  祭神:伊邪那美(イザナミ)大神
元禄7年(1694)建立、一間社春日見世棚造、檜皮葺の社殿です。1959年に現在地に移築されたとか。
「この社殿は、平安末期に流行した熊野御幸において、上皇らが稲荷奉幣を行った際、立ち寄り拝礼されたと伝えられる社である。」 (駒札より)


藤尾社  祭神:舎人(トネリ)親王
江戸初期の建立。一間社流見世棚造、檜皮葺の社殿です。
「この社殿は、日本書紀を編纂した舎人親王を祀る社で、天正17年(1589)の社頭図に『藤尾天皇再興 南向』とあるのが初出である。その後、延宝8年(1680)には天皇塚の崩れた後に小社を新築したとの記録がある」 (駒札より)

霊魂社
慶応3年(1867)に建立された、一間社春日造、檜皮葺きの社殿です。
「この社殿は、瑞穂講社並びに講務本庁の特別崇敬者等、当社に係わり深い物故者の御礼が合祀されている」 (駒札より)
これは、まあある時期日本でブームとなった企業墓の原型になるのかもしれません。大きな由緒ある神社を訪れると、同種の社を目にします。


見世棚造というのは、「流造や春日造の階を省略して棚を付けた」形の小型社殿様式を称するそうです。 (資料1)

表参道の一角にこの石標が立っています。『延喜式神名帳』では「官弊社」であり、「大社」に位置づけられていたことがわかります。


2つめの大鳥居を前にした景色です。


この鳥居の右方向には、 交通安全祈願の「車祓所」スペース が設定されています。
表参道の南側築地塀を境にして、その南側に駐車場と通路があり、車でここまで乗り付けてご祈祷してもらえるのです。

このスペースの東、楼門への石段の右側には、歌碑が建立されています。

前川佐美雄氏(1903-1990)の詠まれた歌の碑 です。
   あかあかとたたあかあかと照りゐれば伏見稲荷の神と思ひぬ

調べて見ると、大正10年に竹柏会「心の花」に加入、佐佐木信綱に師事し、プロレタリア歌人同盟を経て、新芸術派に転じ、昭和9年(1934)に歌誌「日本歌人」を創刊した人だとか。「朝日新聞」歌壇の選者でもあったようです。昭和-平成時代の歌人です。 (資料2)



鳥居をくぐると、楼門への石段手前、左側には 大きな手水舎 があります。すべて朱色で統一されています。こういう華やかさと異国情緒が外国人観光客にまず魅力を感じるのかもしれません。少し見ていると、大概の観光客がこの楼門前で記念撮影をしています。

楼門 は天正17年(1589)に 豊臣秀吉が建立 したといいます。天正16年(1588)6月、母大政所の病気平癒を稲荷大社で祈願してもらったところ、霊験が効き平癒したそうで、翌年に本復御礼の奉加米をもって、この楼門を再興したとされています。入母屋造、檜皮葺です。

というのは、稲荷大社には秀吉による「命乞いの願文」という文書が伝来されているそうです。母大政所の病悩平癒祈願が成就すれば一万石奉加するという内容なのだそうです。 (資料3)

           石段上、 楼門前の狐像


楼門の左右には、帯剣し、左手に弓、右手に矢を持ち、背には靭を負う近衛府の官人の姿をした 随身像 が正面を向いています。これら随身は 随神とも呼ばれ神像 です。
そして、よく見ると楼門にむかって右側の随身はその口が阿形、左側の随身が吽形という形で、お寺の山門の二王像のごとく、阿吽形に造像されているのです。左を 矢大臣 、右を 左大臣 と通称されているようです。随身が鎮座しますので、 随身門 とも称されます。 (資料4)

江戸時代中期の元禄7年(1694)に、社頭拡張を行うために、楼門を西方に5間移築し、前方の石段の造成と、それまで築地塀であった南北廻廊部分を、切妻造、檜皮葺の廻廊で絵馬掛所として新造されたそうです。
「昭和48年(1973)の楼門解体修理の際、再興当時の墨書が発見され、当社の中では本殿に次いで古い建築である」 (駒札末尾より) ことが明らかになったのです。このことが、上掲「命乞いの願文」の伝来の事実確認に繋がったと言われています。


楼門を通り抜け、 内側から眺めた廻廊と楼門


楼門の隅角部軒見上の斗栱の構造が三手先で美しい形をしています。
また、木組みの先端は金色に輝く飾り金具で覆われていて、木材の先端を保護し、飾り金具には菊文の意匠です。

屋根の側面部は三ツ花懸魚で比較的シンプルな意匠ですが菊文主体の飾り金具との均斉もとれていて落ち着きを感じさせます。


楼門の先には、 「外拝殿」 が配置されています。
間口5間奥行3間の入母屋造、檜皮葺の建物です。

 南東の位置からの眺め



少し、表参道の雰囲気写真を補足しておきます。

 2005.1.2  初詣 の様子


              2010.1.3  初詣 の様子


           20012.1.8 楼門近くの大鳥居から西の眺め


「稲荷祭」 の間立てられる幟 2015.4.24
4月20日の最近の日曜日に稲荷祭(神幸祭しんこうさい)、5月3日に「稲荷祭(還幸祭かんこうさい)の行事が行われます。 (資料5)

4185 2016.10.5 楼門前石段から表参道を眺めて
訪れた時、大半の人が外国人観光客のように思えました。私もそのうちの1人に思われていたのかもしれません。

では、本殿の方に向かいましょう。

つづく

参照資料
1) 神社建築   :ウィキペディア
2) 前川佐美雄  :「コトバンク」
3) 「大社マップ」 :「伏見稲荷大社」
4) 随身門  :「コトバンク」
5) 祭礼と行事  :「伏見稲荷大社」

補遺
伏見稲荷大社  ホームページ
伏見稲荷大社(お稲荷さん)   :「京都観光Navi」

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Last updated  2016.10.21 14:37:20
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