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金曜日に、日本テレビ系の金曜ロードショーで放映していた「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」。宇宙放射線を浴びて超人となった4人が、地球の危機に立ち向かうという、アメリカン・コミックスを原作としたSFアクション映画である。前作は観てないが、この作品が2作目になるようだ。2007年のアメリカ映画である。○DVD「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」 出てくる4人について簡単に紹介しよう。まずリーダーのリードは、天才科学者のゴム人間だ。あのワンピースのルフィーがかなり賢くなったと思えばいいだろう。リードの恋人でもあるスーザン(スー)は、物を透明化したり、バリアを張ったりできる。もしかすると4人の中でも一番強いかもしれない。青いアイシャドーが良く似合っている。ジョニーは、スーの弟で火の玉小僧だ。火の玉になって空を飛ぶことができるが、あまり物事を考えるのは苦手な感じである。そして、ベンは岩男。4人の中で一人だけ人間の姿に戻れない。頑丈な体と怪力を持っているが、心は意外と繊細である。 今回、この4人が立ち向かう事件は、世界各国で起こっている異常現象。サーフボードのようなものに乗って空を飛ぶ全身銀色のシルバーサーファーと名付けられた怪人が引き起こしているようだ。しかし、このシルバーサーファー、全身銀色なのだが、まるで日本の前衛芸術である「舞踏」の人だ。もしかすると影響を受けているのだろうか。時々そんな感じのポーズもしていたような気がするが。そういえば、日本も最初と終わりに登場していた。 画面の方は、製作費を1億3000万ドルもかけただけあって、全編すごい迫力のCGが続く。とにかく難しいことは考えないで楽しむ、そんな娯楽作品である。(監督)・ティム・ストーリー(出演)・ヨアン・グリフィズ(リード・リチャーズ)・ジェシカ・アルバ(スーザン・ストーム)・クリス・エヴァンス(ジョニー・ストーム)・マイケル・チクリス(ベン・グリム)・ビクター・バン・ドゥーム(ジュリアン・マクマホン) ほか ○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 28, 2010
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列車の旅での楽しみと言えば、車中で食べる弁当だろう。この旅で配られたのは、広島駅弁当の「山のおべんとう」。広島県山岳連盟と共同開発したという地球にやさしい弁当だそうだ。言われてみれば、パッケージから、なんとなくエコな感じである。○山のおべんとう 中身は、下の写真の通り。美しい景色を眺めながら、美味しい弁当を食べる。なかなかいいものだ。○山のおべんとう(中身)○関連過去記事・錦川清流線(錦川清流の旅2) ○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 27, 2010
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「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介:新潮社)、何とも不気味な作品だ。もっとも、この作品は、ホラーサスペンスだから、不気味というのは最高のほめ言葉となるのだが。○「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介:新潮社) 物語の主人公はミチオという小学校4年の少年。父母と妹のミカの4人で暮らしているが、母親はミチオに対して、異常ともいえる位冷たい態度を取っている。夏休みを控えた終業式の日に、ミチオは、先生から、欠席したクラスメートのS君の家に、宿題とプリントを届けるように頼まれる。S君の家でミチオが見たものは、首を吊って死んでいたS君の姿だった。そして、S君は、ミチオの前に蜘蛛となって現れ、自分は殺されたと告げるのである。 S君はある人物を名指し、ミチオは妹のミカと、犯行の証拠を手に入れようと動き出す。名指しされた人物は、確かに変態的な性癖を持っていたのだが、実はこんなものはほんの序の口。ここからどんどんと、異常で不気味な作品世界が広がっていく。 仏教の世界観では、命あるものは、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六道を輪廻するという。クラスメートが蜘蛛に生まれ変わるというのは、明らかに、仏教の影響だろうが、実は生まれ変わってくるのはS君だけではなく、この後続々と登場してくる。それが、ことごとく畜生道というのも不気味さに色を添えている。 主な登場人物は、いずれも、どこか心が壊れた人たち。それぞれに理由はあるようだが、トラウマと言うだけでは片づけられないような異常さである。読み進んでいくうちに、この異常さがどんどんと拡大して、まるでブラックホールのように読者を飲み込んでくるのだ。 ホラーとしては、すごい作品だと思う。しかし、そうそう出会いたくない作品だ。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
February 26, 2010
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これから、錦川清流線に乗って旅が始まるのだが、清流線の乗換駅は、JR新岩国駅から歩いて5分位のところにある「御庄駅」である。錦川清流線は、旧国鉄岩日線を引き継いだ、第三セクターの錦川鉄道が運営している線路であり、車窓からの景色が風光明美なことで知られている。○御庄駅待合室 御庄駅のホームにある待合室は、列車を改装して使っているらしい。鉄分の濃い人にはたまらないだろう。ここから、清流線の列車に乗って、本格的な旅が始まる。○錦川清流線列車 こちらは、清流線の列車。撮ったのは別の場所だが。JR岩国駅(在来線)から終点の錦町駅を走っている。なかなかキュートな列車である。○関連過去記事・JR新岩国駅(錦川清流の旅1) ○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 25, 2010
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魔女伝説の伝わる六軒島で繰り広げられる惨劇を描いた「うみねこのなく頃にEpisode 1:Legend of the golden」の第4巻。第一部の完結編である。○「うみねこのなく頃にEpisode 1:Legend of the golden(4)」(夏海ケイ/竜騎士:スクウェア・エニックス ) この巻では、人々に疑心暗鬼が広まり、更なる惨劇が続く。遂に登場するベアトリーチェ。そして、エピローグとも新たなドラマへのプロローグともとれるような話で締めくくられる。このうみねこワールド、どんな設定かが、この間紹介した、「うみねこのなく頃に Episode2 Turn of the golden witch(2)」と一緒に読むと、何となく分かってくる。これはつまりは戦士と魔女のゲームなのだ。それも、何度も何度も際限なく繰り変えされる残酷なゲーム。そういえば、話の中で「チェス盤をひっくり返す」という表現がよく出ていたが、それも、このことを暗示していたのだろう。果たして、戦士に勝機はあるのか。最後に、また新しい美少女魔女も出て来たが、今後、話の中にどうかかわっていくのだろう。○ランキング今何位? ○関連過去記事・うみねこのなく頃にEpisode 1:Legend of the golden(3)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 24, 2010
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旅行関係の記事は、どうもアップが遅れ気味になるが、「京都旅情シリーズ」が終わったので、新しく「錦川清流の旅」シリーズを連載したい。ただし、行ったのは、昨年の9月なので、あらかじめ了解しておいて欲しい。 錦川は、山口県の東部を流れる、山口県一の大河だが、流域が山口県内に留まるためか2級河川になっている。鵜飼も行われている清流の美しい川だ。今回の旅は、この錦川に沿って、上流まで鉄道でさかのぼるというもの。まずは、観光バスで新岩国駅まで行く。○JR新岩国駅 JR新岩国駅は、山口県の最も東にある新幹線の駅であるが、在来線との接続はない。山口県内には、新幹線駅が5つあるが、こういう形態になっているのはここだけである。○鵜飼模型 この新岩国駅には、色々と旅人の興味を引きそうなものが置いてある。写真は、鵜飼の模型。シーズンになれば、錦帯橋当たりでやっているようだが、今回は、残念ながらそこには行かない。この他にも、錦帯橋模型や天然記念物の白蛇の模型なども置いてあり、駅舎内でも色々と楽しめる。 ○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 23, 2010
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土曜日にテレビ朝日系列で放映していた「樅の木は残った」。江戸時代初期に先代伊達藩で起こったお家騒動である「伊達騒動」を題材にした山本周五郎の小説を原作とする作品だ。映画やNHKの大河ドラマなど何度も映像化されているのでご存知の方も多いだろう。 伊達騒動について一般に言われていることを、簡単に紹介しよう。3代藩主伊達綱宗が放蕩三昧ということで隠居させられた。4代藩主は幼かったため、一門の伊達兵部が後見として実権を握る。宗勝の甥の伊達式部とやはり一門である伊達安芸との間に所領争いが起こり、安芸や、兵部の腹心の原田甲斐らが、裁判のため大老の酒井雅楽頭の屋敷へ招集され、そこで、甲斐が安芸を切り殺し、甲斐自身も命を落とす。結果、原田家や兵部一派は処罰されたが、伊達家自体は安泰だったというものだ。 山本周五郎の「樅の木は残った」は、この騒動の当事者の一人である原田甲斐にスポットを当て、伊達騒動に新たな解釈を加えたものだ。山本周五郎がこの作品を書くまでは、甲斐は、兵部の一派として藩政を牛耳った奸臣という評価であったようだが、ここに描かれる甲斐は、忠臣中の忠臣。自分の感情をストイックなまでに押し殺し、裏切り者とののしられながらも、藩を意のままにしようとたくらむ兵部の懐に入り、結果として伊達藩を取りつぶしから救ったのである。実際のところ史実は分からないが、江戸初期に、多くの大名がとりつぶされている中で結果として伊達家が残ったということを考えると、あながちフィクションとも言い難いのではないだろうか。 田村正和は、そんな甲斐を良く演じており、ストイックな役柄が良く似合う役者だということを再認識した。周りを固める役者たちも、なかなかクセのある者がそろい、久しぶりに、面白い時代劇を観た気がした。(原作)・山本周五郎:「樅の木は残った」(監督)・橋本一(出演)・田村正和(原田甲斐)・笹野高史(伊達兵部)・橋爪功(酒井雅楽頭) ほか○平幹二朗/NHK大河ドラマ総集編 樅の木は残った○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 22, 2010
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円空は江戸時代前期に、全国を巡って、多くの円空仏と呼ばれる独特の木彫仏を残した旅の聖である。彼よりによりほぼ1世紀後に、同じように全国に仏像を残した木喰と並び称される事も多い。彼は生涯に12万体もの仏像を造ったと言われているが、ちょっと計算してみれば、さすがに、そこまでは無理だろうと思える。しかし、全国に多くの円空仏が残されているのは事実であり、アルカイックスマイルを湛えた表情と大胆にデフォルメされたその姿は、素朴な力強さにあふれた不思議な魅力を発散している。 「歓喜する円空」(新潮社)は、「隠された十字架」や「水底の歌」などの作品で古代史に大きな衝撃を与えた梅原猛氏が、全国の円空仏を訪ね歩き、謎の多いその生涯を解き明かすとともに、訪ね歩いた全国の円空仏についてその魅力について解説したものである。○ 「歓喜する円空」(梅原猛:新潮社) 円空は1632年(寛永9)に美濃国、今の岐阜県で生まれた。彼の生涯には、2つの相反する説があるという。まず、円空は木地師だったかどうかということ。もう一つは生まれが、羽島市か郡上市美並町(旧美並村)かということである。 初めて円空=木地師説を唱えたのは、劇作家の飯島匡だそうだ。その円空=木地師説を継承しながら、更に誕生の地を美並村として、美並村史を現したのが高野山大学教授、大谷大学教授を歴任した五来重だという。 しかし、梅原氏はこれらの説に手厳しい批判を浴びせている。円空による仏像の制作法は木地師の使う手法とは異なり、羽島には文献も伝承も残っているのに、美並にはそれがないというのが理由だ。 梅原氏は、五来氏について、「円空を芸術家としても認めず、単なる職人と見なして」おり、「円空の深い内面性に対して理解も関心も持たず、円空を木地師といる集団に還元すればよしとする態度である」とその舌鋒は鋭い。 梅原氏が自伝とも言える「学問のすすめ」(角川文庫)に紹介している、ニーチェの思想に「ラクダ」「獅子」「幼子」というのがある。「人間の精神はまずラクダの形で現れる。ラクダの特質は忍耐である。黙々と自己に与えられた責務を果たすのである。次に、人間の精神はライオンに変貌する。ライオンの精神の特徴は勇気である。必死の勇気でドラゴンで戦う。そして最後に人間の精神は小児となる。小児とは、無邪気に創造をする者である。」というものだ。 昔の梅原氏は確かに「獅子」であった。先に述べた「隠された十字架」や「水底の歌」などでも、既存の説を徹底的に批判し、権威に対して敢然と挑んでいた。しかし、最近は仏教関係の著作も多く、既に「幼子」の境地に達せられたかと思ったが、まだまだ「獅子」の片鱗を感じさせ、梅原節のファンとしては喜ばしい限りだ。○面白かったらポチっと1票! ○関連過去記事・学問のすすめ(梅原猛)(角川文庫)○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
February 21, 2010
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魔女伝説の伝わる六軒島で繰り広げられる惨劇を描いた「うみねこのなく頃に Episode2 Turn of the golden witch」の第2巻。○「うみねこのなく頃にEpisode 2(2) Turn of the golden witch 」(鈴木次郎/竜騎士07 :スクウェア・エニックス) この巻では、愛に苦しむ人々が描かれている。それは、魔女ベアトリーチェによる画策。彼女にとっては、すべて退屈しのぎの見世物。人々はゲームの駒なのだ。 しかし、この巻に出てくるベアトリーチェの格好、なかなかキュートだ。これはかなり、ベアトリーチェに萌える者が増えるのではないかと思う。しかし、表紙に描かれている真里亞はちょっと不気味だ。ホラーサスペンス漫画であり、確かに恐怖を盛り上げるのに、重要な役割を果たしているのだが、この不気味さは、ちょっとかわいそうか。○ランキング今何位? ○関連過去記事・うみねこのなく頃にEpisode 2:Turn of the golden witch(1)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 20, 2010
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京都旅情シリーズの最後は、「哲学の道」だ。琵琶湖疏水に沿って、南禅寺から銀閣寺まで、散策にちょうど良い小路が続く。京都学派の祖として知られる哲学者の西田幾多郎が、よくこの道を散策したことから名づけられたという。桜の季節は特に美しい。 (京都旅情 完) ○ランキングの順位は? ○関連過去記事・京都大学旧教養部(京都旅情15)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 19, 2010
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武士すなわち侍と言えば、日本人なら、だれでもこんなものだというイメージが頭にあるのではなかろうか。確かに時代劇を見れば、武士はたくさん登場する。しかし、どういうわけか、映画やドラマになるのは、上級武士か浪人が多く、平均的な武士というのは、その他大勢の中に紛れ込んでしまっているのではないかと思う。 それでは、江戸時代の平均的な武士とはどのようなものだろうか。それを明らかにしてくれるのが、「江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた」(八幡和郎/臼井喜法:ベストセラーズ )である。○「江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた」(八幡和郎/臼井喜法:ベストセラーズ ) この書では、平均的な武士像として、近江の国の尼子藩7万石という架空の藩に使える空谷恭之介という50石取りの武士を示している。50石といっても、全部が自分の収入になる訳ではない。4公6民とすれば、実習は20石ということになる。この収入で、なんとかやっていけないこともないが、やはりある程度の内職も必要なようだ。 ところで、50石取りの武士と言えば思い出すのは、藤沢周平の「たそがれ清兵衛」である。庄内地方にある海坂藩に使える清兵衛は、剣の達人ながら、非常にみすぼらしい恰好で貧乏暮しをしている。「たそがれ清兵衛」のレビュー記事には、清兵衛のことを下級武士と書き、それは一般的なコンセンサスも得られているものと思っていたが、この本によれば、武士としては中級で、上級武士か下級武士かの2分法によれば、ぎりぎり上級武士だというのは意外だった。 がちがちの身分制度の中で、先祖の功績のおかげで、いわば年金生活のような暮らしをしていた武士たちは、教養面では寂しい限りであったようだ。そのくせ、体面を大事にし、生活は数々のしきたりでしばられていた。そんな、普通の武士たちの生活を教えてくれる実に興味深い一冊である。○ランキング今何位? ○関連過去記事・「たそがれ清兵衛」○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら) (本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。)
February 18, 2010
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これが、京都大学の時計台の写真を紹介した際にちょっと触れた、旧教養部のあったあたり。昔は汚い建物が会ったような記憶があるが、現在では、こんなにおしゃれな感じになっている。しかし、ちょっとおしゃれすぎて、昔の大学を知っている者としては、かなりの違和感を禁じ得ない。 ○ランキングの順位は? ○関連過去記事・吉田神社鳥居(京都旅情14)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 17, 2010
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糸杉柾宏による問題作「あきそら」(秋田書店)の第3巻。隔月刊漫画雑誌「チャンピオンRED いちご」に連載中の作品だ。この雑誌は、一応一般誌であり、決してアダルトではない。しかし、この作品の内容は、びっくりするくらいハードだ。○「あきそら 3」(糸杉柾宏:秋田書店) 内容の詳細にはあえて触れないが、一般紙の限界に挑むような内容である。(もう既に限界を超えているような気もするが・・・)巻が進むにつれ、どんどんと内容が過激になってくるようだ。絵柄がかわいいだけに、そのアンバランスなところがカオスを感じて面白い。○ランキング今何位? ○関連過去記事・あきそら2○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 16, 2010
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「お父さんみたいになりたいな ― 韓国人気童話シリーズ11 ―」(イ・ブン/イ・ウンギ/榊原咲月: 現文メディア)を現文メディアさんより献本いただきました。まずはお礼申し上げます。○「お父さんみたいになりたいな」(イ・ブン/イ・ウンギ/榊原咲月: 現文メディア) この物語の主人公は、プルムという小学4年生の女の子。同級生にハンナという女の子とミョンスという男の子がいる。この3人の父親たちも、その昔同級生であり、「大月三銃士」と名乗る位に仲が良かった。ところが、ハンナの父は会社社長、ミョンスの父は銀行員とそれぞれに裕福である。しかし、プルムの父は、靴屋をやっているが、裕福とは程遠い生活だ。プルム自身も、母親から、勉強のできるハンナやミョンスと比較されて、何かと面白くない。おまけに、父が、ハンナの父の事業の保証人になっていたため、せっかく手に入れた家を手放し、ビルの屋上部屋へ引っ越す羽目になってしまった。そんなハンナの心には、もくらたたきのもぐらのように、不平不満が次から次に、ひょこひょこと顔を出してくるのである。 しかし、たまたま、銭湯の4階で塾を開いている「空海先生」と出会い、父親の昔の日記を読みだしてからは、不満だらけの父親に対する感情が次第に変化をしてくる。そして、「大月三銃士」たちが、「反射活動」という人助けをしていることを知り、父親みたいになりたいと思うのである。 この「反射活動」というのは、「日差しを受けた時、同じ方向に反射するのではなく、少し角度を変えて、また違う人に反射する」という意味だということだ。なかなかいい言葉だと思う。みんなが、色々な方面で、こういった活動をしていけば、世の中のすべての場所が光であふれるだろう。 ところで、このプルム、勉強はできないことになっているが、なかなか賢いようだ。なにしろ、自分の内が裕福でないことを嘆くときに、わざわざ自由帳に3つの家庭の比較表をつくっている。なかなか10歳の子供にできることではないだろう。それにしても、「お父さんみたいになりたいな」と言う子供は、日本ではほとんど絶滅危惧種といってもいいだろう。まだまだ、父親が尊敬されている韓国が少し羨ましくなってくる。○ランキング今何位? ○関連過去記事・ぼくの名前はへんてこりん○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら) (本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
February 15, 2010
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これは、ほとんど京都大学のシンボルとなっているような「吉田神社」の鳥居。かっては、吉田神道の総元締めとして、全国の神職の任免権を持つなど大きな力を持っていた。神社のある吉田山は、京都大学の逍遥歌の一節、「月こそかかれ吉田山」でも有名である。残念ながら、6年もここに通っていたのに、吉田山に登った覚えがない。今度行く機会があれば登ってみようか。 ○ランキングの順位は? ○関連過去記事・京都大学(京都旅情13)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 14, 2010
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樋口有介によるミステリー作品の「魔女」(:文芸春秋)。樋口有介といえば、中年の悲哀を漂わせる名探偵の柚木創平によるシリーズが有名だが、残念ながら、この作品には、柚木創平はでてこない。○「魔女」(樋口有介:文芸春秋) この作品の主人公は就職浪人中の広也という青年。ある日、元恋人の千秋が死んだことを知る。中世ヨーロッパには「魔女狩り」という恐るべき暴挙が行われていた。魔女だと言う難癖をつけて、罪もない多くの人を火あぶりにしたのだ。千秋も生きたまま焼き殺されたという。まるで魔女のように。○「魔女狩り」(森島恒雄: 岩波書店) ←魔女狩りのことを知りたい方は読んでみてください。 広也は、テレビ局に勤め、キャスターになるという野望を持つ美人姉の依頼で事件を調べ始めるのだが、出てくるのは、彼の知らなかった意外な千秋の顔。そして千秋の妹のみかんは、姉のことを魔女だという。みかんは、千秋の部屋に残された、多くの魔術書や魔術に使う道具を広也に見せる。千秋は、父親を魔術で呪い殺したのだ言う。 明らかになった事実からは、千秋は魔女と呼ばれても仕方がないのかもしれないと思う。彼女に絡んだ男たちは、破滅への道をたどってしまうのだ。しかし、それは、彼女の哀しい少女時代の体験によって作り上げた人格だった。 この物語はミステリーなのだが、本質は、心に傷を持った少女みかんと広也のラブストーリーだろう。私は、犯人の見当は早い段階で付いていたのだが、事件の謎解きがエピローグに充てられていることからもこのことがうかがえる。作品のテイストは、同じ作者の「林檎の木の道」によく似ていると思った。しかし、何とも破天荒な広也の美人姉水穂が出てくることと、みかんが、いろいろと心にわだかまりを抱えているということで一味違ったものになっている。 この姉がなんともユニークで面白い。正に白鳥麗子のようなキャラなのである。スピンアウトで作品を書いてみたら、なんとも痛快なものができそうだ。○「白鳥麗子でございます」(鈴木由美子: 講談社)←白鳥麗子のことはこちらを ○関連過去記事・「林檎の木の道」○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら) (本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。)
February 13, 2010
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写真は、東野圭吾原作のドラマ「ガリレオシリーズ」でおなじみの「京都大学」。時計台の姿は昔のままだが、中にレストランが入ったり、博物館ができていたり、工学部も桂に移ったりで、私の通っていたころからはだいぶ変わっていた。昔は汚かった旧教養部側が、ものすごくおしゃれでモダンな感じに変身していたのには特にびっくりした。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・百万遍知恩寺(京都旅情12)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 12, 2010
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「鈴鹿」という、滅びかけた「妖」の一族の物語を描いた幻想ロマン「アカイロ/ロマンス」の第6巻。 副題は、「舞いて散れ、宵の枯葉」。 この巻が最終巻である。 ○「アカイロ/ロマンス6 ― 舞いて散れ、宵の枯葉 ―」(藤原佑/椋本夏夜:アスキー・メディアワーク) この巻で描かれているのは、妖の少女の悲しい真実。 鈴鹿一族特有の、成長しない病に冒され、 自分が、当主の本当の娘ではなく、実の母親が一族の裏切者だと知り、 そして最も親しかった友にも死なれてしまった。 数々の絶望の果て、たった一つ縋ろうとした、愛しい思い人。 一族の始祖である鈴鹿御前と同じように、同朋をすべて殺しても、愛しい男を一途に求める しかし、それは、所詮は儚い夢。 待っていたのは、悲しい夢の終わり。 物語の幕引きは、あまりにも悲しく、寂しい。 救いは、エピローグで描かれた、生き残った者たちの7年後の姿だ。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・アカイロ/ロマンス5 ― 枯れて舞え、小夜の椿 ―○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
February 11, 2010
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京都大学の近くに「百万遍」という地名がある。この地名の由来となったのが、この「知恩寺」だ。「知恩院」とは、別の寺であるので混同しないようにされたい。名前から想像がつくように、この「知恩寺」は浄土宗の大本山である。百万遍念仏の行事でも知られ、秋には境内で古本まつりが行われることでも有名である。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・銀閣寺(京都旅情11)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 10, 2010
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三津田信三のホラー作品「赫眼」(光文社)。「あかまなこ」と読む。三津田氏の作品は初めて読んだが、恐怖の描き方がうまい作家だと思った。○「赫眼」(三津田信三:光文社) 収録されているのは、表題作の「赫眼」を初め計7編の短編と、怪談奇談四題と名付けられた4編のショートショート。いずれも闇の向こうから訪れる恐怖が腹の底までずしんと響いてくるような怖さがある。ホラー調のミステリーというのもよくあるのだが、これは掛け値なしのホラーである。読んだら最後、恐怖の世界に引きずり込まれていきそうだ。 この作品の怖さを更に引き立てているのは、表紙のイラストだろう。ネット書店の小さい画像で見るとそうでもないのだが、実物の表紙を見るとぞくぞくっとしてくる。まさに、帯に日下三蔵氏が書いているように、「問答無用で恐ろしい」。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら) (本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。)
February 9, 2010
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写真は、「銀閣寺」。京都に寺社仏閣は数あれど、金閣寺とならんで、もっとも有名な寺の一つだろう。臨済宗相国寺派の寺院で、元々は、足利義政の東山山荘として建造されたものである。義政の死後に、彼の菩提を弔うために相国寺派の寺院となった。 銀閣は現在解体修理中ということで、この写真は昨年のものだが、第一層が修理中であった。20年2月から2年間の予定だったので、もうそろそろ工事が終わるころなのだが。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・佛教大学(京都旅情10)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 8, 2010
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5日にフジテレビ系の「金曜プレステージ」でやっていた「剣客商売スペシャル 道場破り」。藤田まことの出る時代劇だとつい観てしまう。藤田まことは、「てなもんや三度笠」の時代から知っているが、正直、あの頃は、こんな存在感のある大御所になるとは思わなかった。○DVD(第5シリーズ 第1話・第2話) 今回は、生き分かれた娘のために金を稼ごうと、道場破りを続けていた剣客の話。鷲巣見平助と名乗るこの浪人は、小兵衛に、娘に金を渡してくれるように頼む。快く武者修行の旅に送り出してくれた妻はすでに亡くなっており、結果的に妻と娘を捨てたようになってしまっていた平助は、娘に合わせる顔が無かったのだろう。密かに娘を助けたいという、父親の心根は何ともいじらしい。 一方道場破りで面子をつぶされた大場道場主の大場治左衛門は、門弟たちに平助を着け狙わさせる。平助の住まいに火を放ったうえ、総がかりでもかなわないものだから、最後は飛び道具というまったくもって卑怯なのである。考えてみれば、時代劇には、必ず卑怯な悪役が出てくるので、セオリー通りといえばそうなのだが、中村梅雀が娘を思う好人物の剣客を好演しているだけに、観ている方も、大場道場の連中の卑怯な所業につい憤ってしまう。 観ていてやはり気になるのは、藤田まことの年齢だろう。このシリーズは、秋山小兵衛、大治郎の剣客父子の物語なのだが、やはり若い大二郎が前面で動いて、小兵衛は後ろの方でサポートしている感じだ。最後の方で、小兵衛が大場道場の門弟3人を倒すシーンがあったが、殺陣がスローモーな感じがしたのは気のせいだろうか。藤田まことには、まだまだがんばって、「必殺シリーズ」の続きをつくってもらいたいと思っているのだが。(原作)池波正太郎:剣客商売(新潮文庫刊) (監督) ・井上 昭 (出演)・藤田まこと(秋山小兵衛) ・山口馬木也 (秋山大治郎) ・寺島しのぶ(三冬) ・星野真里(おしの)・中村梅雀(鷲巣見平助) ほか○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)○関連ブログ記事・ぱらぐあい堂さんのブログ。・のほほん日和・毎日こんな感じ
February 7, 2010
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未練を持って死んだ者が「屍」となって、生きた人間を襲う世界。この屍と戦う「屍姫」と光言宗の契約僧たち。そんな世界を描いたホラーアクション漫画の「屍姫」の12巻。面白いのは、この「屍」というのは、いわゆる幽霊とは違って、肉体を持っているということだ。作品の中では、「屍」の一人を「大怨霊」と呼んでいるが、実態は「ゾンビ」に近いものである。だから、「屍」を退治するということは、一度死んだものを殺すという一見矛盾したことを行う訳だ。○「屍姫 12」(赤人義一:スクウェア・エニックス) さて、この巻では、屍たちの「王」と光言宗の選抜部隊との直接対決だ。最初のうちこそ、善戦していた光言宗側だが、敵の圧倒的な力に、壊滅状態になる。敵はほぼ無傷なのに、こんな状態では、本当に光言宗側は、屍たちを退治できるのか。いったい、ここからどのように、光言宗側の挽回(果たしてできるのか?)が始まっていくのかがとても気にかかる。○ランキング今何位? ○関連過去記事・「屍姫 11」○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 6, 2010
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写真は、広島市の皆実町にある「ゆめタウン広島」。イズミが展開するスーパーであり、中国地方で最大規模の店舗である。日本たばこ産業の広島工場跡地に2008年2月に誕生した、まだ新しい店である。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・千田胡子神社(広島市を歩く59)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 5, 2010
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京極夏彦による京極堂シリーズの中でも最高におどろおどろしい傑作を、志水アキが見事にコミックスの世界に仕立て直した「魍魎の匣」の第4巻。○「魍魎の匣(4)」(京極夏彦/志水アキ:角川書店) この巻の見どころは2つだろう。一つ目は、御筥様の教主寺田兵衛を京極堂が調伏するシーン。五足反閇や九足反閇などの魔法的踏切(マジカルステップ)を示しながら、膨大な蘊蓄で、兵衛を追い詰めていくシーンは、小説を読んだだけではもうひとつピンとこない。やはり絵の世界ならではだろう。 もう一つは、こけし頭の青木刑事が、久保竣公の仕事部屋の箱の中に見たもの。なかなか文章では、ここまでは想像できないだろう。もっとも本物を見たら、私など卒倒してしまうだろうから、絵であることがある程度ショックを和らげる役目も果たしているのだが。 物語は、かなり佳境に入った。次回が最終巻になるのかな。○ランキング今何位? ○関連過去記事・魍魎の匣(3)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 4, 2010
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写真は、「佛教大学」。元々は知恩院山内に設けられた仮勧学場から発展した、浄土宗系の大学である。通学制課程の他、通信課程を学部・大学院共備えており、ここの通信制大学院は、かって、学費がとてもリーズナブルなことで、話題になったものだ。今でも他の大学院通信課程と比較しても割安だと思うが、専攻が限られているのが残念である。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・あぶり餅(京都旅情9)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 3, 2010
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写真は、放送大学広島学習センターの近所にある「千田胡子神社」。逆光になっているので、少しわかりにくいが、鳥居が無いと見落としてしまいそうな小さな神社である。 祭神は事代主命。「えびすさん」といえば、「えびす」、「だいこく」と並んで言われるように、商売繁盛の縁起の良い神様として知られている。事代主命は「えびす」と同一視されているので、胡子神社と呼ばれているのだろう。 明日、2月3日は節分豆まき祭だそうだ。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・広島都市学園大学 -広島市で一番新しい大学ー(広島市を歩く58)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
February 2, 2010
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「鈴鹿」という、女性しか生まれない、滅びかけた「妖」の一族。彼女たちは、見かけは美しいが、身体能力は人間より、はるかに高く、首だけになっても数日は生きていけるという強靭な生命力を備えている。その一方で、「鈴鹿」の一族は、子孫を残すためには、首から下を人間のものと挿げ替え、人の男性と交わらなくてはならないという業(ごう)を抱えているのだ。そんな鈴鹿一族の物語を描いた伝奇ロマン「アカイロ/ロマンス」(藤原佑/椋本夏屋:アスキー・メディアワーク)の第5巻、副題は「枯れて舞え、小夜の椿」。○「アカイロ/ロマンス5 ― 枯れて舞え、小夜の椿 ―」(藤原佑/椋本夏屋:アスキー・メディアワーク) 「鈴鹿」一族に、人間を種の保存の道具としか考えない「繁栄派」と名乗る一派と、人との共存を求める「本家」派の争いが勃発し、本家の生き残りの少女枯葉は、首だけの姿で、白州学園に逃げ込んで来た。学園に通う桐沢景介は、枯葉と出会い、彼女の婿候補として、「鈴鹿」の争いに巻き込まれていく。 この巻では、物語が大きく動いていく。繁栄派の巳代がなぜか仲間から襲われ、中立の筈の篠田医院の院長玲二郎が不穏な動きをする。それには、玲二郎の妻で味方のはずの夭も何か関わっているようだ。そして、あんなに強かった、棗の両親が何者かに襲われた。よく起承転結という言葉を聞くが、この巻は、さしずめ「転」に当たると言えるだろう。 最後に明らかになったのは、余りにも痛ましい真実。 「世界を狂わせているのは愛」 物語は、哀しい終結に向けて、大きく動き出す○ランキングの順位は? ○関連過去記事・アカイロ/ロマンス4 ― 白日ひそかに、忘却の ―○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
February 1, 2010
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