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2008.08.15
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カテゴリ: 思い出話



pyramid.JPG



詳しいことは5年前の大晦日の 楽天日記 に書いたので省略するが、1999年の大晦日をエジプトのピラミッドのふもとで過ごすことを、もうその10年以上も前から決めていたからです。

大晦日の1週間くらい前にトルコからカイロに入って、数日観光したあと大晦日までまだ数日あったので、海が見たくなって、紅海より近い地中海に行くことにしました。もともとは紅海のダハブあたりに行ってスキューバダイビングをしたいと思っていたのですが、イスタンブールで氷雨を浴びて風邪を引いてしまったので、近場の アレキサンドリア で日光浴する程度でガマンすることにしたのです。

その晩、ぼくは夕食を食べようと、市街地に向かうためにトラム(路面電車)に乗りました。
乗客の中に、席につかずに車窓から外を眺めている10歳前後の兄弟がいました。弟は脚が奇形で、両脚のひざがあらぬ方向に曲がっていて、金具で固定されたスネの部分で一種のひざ立ちで立っていました。

alexandria boy.JPG

乗客の多くは珍しい東洋人のぼくをジロジロ見ました。兄の方も車窓から目を外してぼくをジロジロ見て、弟にも珍しい東洋人を見るように声を掛けていました。
でも、その奇形の少年は、頭を横に振って、ぼくの方を見ようとはしませんでした。

彼自身、他人から好奇の目でジロジロ見られるのにウンザリしていたからかも知れないし、
あるいは、ぼく自身が奇形の彼を見てどんな顔をするかを見たくなかったからかも知れません。

終点に着きました。乗客たちが降車口に押し寄せます。
しかし、ひざ立ち(しかもあらぬ方向に曲がった)でしか歩けない奇形の弟と付き添いの兄は、降車するほかの客の邪魔にならないよう、遠慮がちに降車口から離れて待っています。

ぼくは、兄弟が先に降車するまで、出口のそばに立って待っていました。奇形の少年は、彼らを先に降車させようとして待っているぼくに気づいたらしく、恐るおそる顔を上げました。
彼が恐る恐る顔を上げたのは、きっとこれまで、汚らわしいものを見るような、あるいは拒否されるような目を多くの人に向けられ、他人の表情を見るのが怖くなっていたからに違いありません。

alexandria boy 2.JPG

ぼくは、少年と目があった瞬間、ニッコリ微笑んで「お先にどうぞ。」というジェスチャーをしました。すると、硬かった彼の表情が、とっても哀しい笑顔に変わりました。

少年は、兄に抱きかかえられてトラムを降り、その曲がった脚を引きずりながら、兄といっしょに夜の街の中へと消えて行きました。

ぼくはその晩、夜のアレキサンドリアの街をひとり歩きながら、少年のその哀しい笑顔を思い出し、彼がそれまで遭遇してきたツラく悲しい日々のことを思いちょっと泣きそうになりました。


alexandria.JPG






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Last updated  2008.08.16 11:59:40
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郡山ハルジ @ Re[1]:殿さま35年後(08/19) ほうろうさんお元気ですか どちらの人物と…
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