全3件 (3件中 1-3件目)
1

「アヒルと鴨のコインロッカー」 2007年 日本映画原作 伊坂幸太郎監督 中村義洋出演 濱田岳 瑛太 関めぐみ 大塚寧々 松田龍平 岡田将生 なぎら健壱 以前紹介した「フィッシュストーリー」と同じく、伊坂幸太郎の原作小説を中村義洋監督が映画化した作品です。夜中にひっそりと放映されていましたので、伊坂幸太郎原作というのが気になって、ほぼ予備知識なしで録画しておきました。 仙台の大学に入学し、ひとり暮らしを始めた椎名(濱田岳)が、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら荷物を片付けていると、隣人の河崎(瑛太)が声をかけてきました。 変わり者の河崎は、隣の隣に住むブータン人にプレゼントするために本屋を襲って広辞苑を盗みに行こうと誘ってきます。最初は断った椎名だったが、結局、手伝うことになってしまいます。 ところが、本屋強盗に入った河崎は、目的の広辞苑ではなく広辞林を盗んできて、一向に構わない様子です。 ある日、椎名は、大学構内でペットショップの店長、麗子(大塚寧々)と出会います。彼女は河崎が椎名に気をつけろと忠告し、バス停で困っていた外国人女性を助けていた女性です。麗子は、河崎に気をつけろと言ってきます。 やがて椎名は、河崎と、その元カノでペットショップの店員だった琴美(関めぐみ)、そしてブータン人のドルジの、3人の物語を知るのでした。 ドルジと琴美は2年前に起こっていたペット殺害事件の現場に出くわし、巻き込まれてしまっていたのです。 結構スローテンポで始まり、主演が“金ちゃん”こと濱田岳ですし、瑛太演じる河崎の変人ぶりから、予備知識のほぼなかった僕は、「あれ、コメディかな?でも、伊坂幸太郎だよな?」と思って観始めました。(だって、いきなり拳銃2丁を手に強盗に誘ってくるんだぜ。瑛太がボケで、濱田岳がツッコミだと思うでしょ。濱田岳のお父さんがなぎら健壱だったし。)しかし、河崎や麗子が椎名に語る2年前の出来事が挿入され、ペット殺害事件との絡みが明らかになるにつれ、だんだんと物語に引き込まれて行きます。 そして、河崎に関するある秘密が明らかになり、もう1人のキーパーソン、松田龍平が演じる男(正体は秘密です。)が現れる(回想の中ですから厳密にいうと現れていないですけどね。)につれ、どんどん面白くなっていきます。さすが伊坂幸太郎です。 ということで、やっぱり、伊坂幸太郎のミステリーは面白かったね。というお話でした。もちろん、主演の濱田岳、瑛太の2人の巧みな演技があってこそですけどね。あっ、そうそう、ボブ・ディランの「風に吹かれて」、非常に効果的に使われていますね。観終わった後、思わず口ずさんでしまうくらいです。 ちなみに、椎名の大学の友人役で、今やときめく岡田将生が映画デビューしています。全く物語の展開に関係ない、本当にちょい役ですけどね。
2016.07.30
コメント(0)

「その男は、静かな隣人」 He was a quiet man 2007年 アメリカ映画監督 フランク・A・カペロ主演 クリスチャン・スレーター さて、恒例の無名映画紹介コーナーとまいりましょう。 中年会社員のボブ(クリスチャン・スレーター)はダメ社員の典型で,年下の上司にこき使われる毎日でした。与えられる仕事と言えばつまらないデータチェックだけ。家に帰っても話す相手は金魚だけです。そんな彼は会社の机の中に拳銃を隠し持っていて,弾を込めながら「1発目はおべっか野郎,2発目は嫌な上司,3発目は・・・」と日々夢想していました。 ある日、彼の不満がいよいよ爆発するぞというその時,オフィスで銃声が響き,次々と人が倒れていきます。銃を撃ったのはボブの同僚で,日ごろの不満をついに爆発させたのでした。そしてその男が銃弾を受けてもまだ息がある社長秘書のバネッサにとどめを刺そうとしているのを見たボブは、彼に銃弾を撃ち込み射殺します。バネッサは一命を取り留めますが,脊髄が損傷され,意識はあるものの四肢麻痺になってしまいます。 翌日出社したボブは,勇敢に立ち向かった男として一躍ヒーローとなり,社長は彼を副社長に抜擢し,彼をバカにしていた若手上司はおべっかを使ってきます。 ボブはバネッサを見舞いますが,「こんな障害を負って生きていけっていうの? 生き地獄よ。なぜあの時助けたの。」と罵声を浴びせられます。そして、自殺の手助けをするように懇願されます。 ところが、かねてからバネッサの笑顔に魅せられ、密かにあこがれていたボブは、寸でのところで実行できません。優柔不断な彼に、感情を爆発させるバネッサ。その時、彼女の右手の小指がかすかに動きます。医者に「回復の兆しかも。」と言われたボブは、彼女の世話をすることを決意します。 結論から言いますと、なかなか楽しめました。すごく感動するとか、涙が止まらないとか、ということはありませんが、まあ、ちょっと佳作という感じでしょうか。 気が弱くおとなしく、仕事もできないダメダメ社員、頭部が寂しくなってきた容姿もさえない男が、ちょっとした偶然で、優遇された地位と、自分の力に頼りきっている美しい女を手に入れ、人生が超好転するという物語です。「えっ、そんなお話でいいの???」と思っていたら、ラストはどんでん返しが待っていました。 よく考えたら、いろいろと伏線もあったんですね。詳しく述べてしまうとつまらないと思いますので、ちょっとヒントだけ、金魚と爆発するビルに注目といったところでしょうか。ああ、ボブとバネッサの関係性も考えてくださいね。 主演のクリスチャン・スレーターという人、どこかで見たことがあるなあ、と思っていたら、「インビジブル2」の主演の人でした。そう、軍の策略で透明人間にさせられ、大変なことになってしまうゲスな兵士を演じていた、見るからに悪そうな顔をした役者さんでした。調べてみたら、そのいかにもな顔を利用して、ちょい悪な役を中心に、いろいろな映画に出演している結構なベテラン俳優でした。若いころは結構ちょい悪なイケメンで売ってた感じですね。そうそう、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でも、ブラピ演じる現代のヴァンパイアにインタビューするジャーナリストという出番は少ないけど重要な役を演じていましたね。 なんとこの映画、「インビジブル2」と同年公開なんですね。ということはあのゲスな兵士と、今回のさえないダメダメ中年男の役、同時期に演じていたということですね。すごいふり幅ですね。 なるほど、最近助演したTVシリーズでゴールデングローブ賞の助演男優賞を受賞しているのも納得です。いいですね、こういう味のある個性派の名脇役って、好きですよ。 ということで、ちょっとした佳作で、また1人自分好みの名脇役(今回は主役だけど)を見つけてしまったというお話でした。 しかし、詳しく述べるのはやめておきますが、女性って、このバネッサみたいにみんなしたたかなんでしょうか。ちょっと怖いですけど、一度お世話になってみたい気はしますね。(「何言ってんだ、お前!!!」と、セルフツッコミしておきましょう。)
2016.07.26
コメント(0)

「アフター・アース」 After Earth 2013年 アメリカ映画原案・出演 ウィル・スミス監督・脚本 M・ナイト・シャマラン主演 ジェイデン・スミス どうもお久しぶりです。最近忙しくて、なかなか映画を観る時間が取れず、当然ブログ記事なんてとんでもないという状況だったのですが、やっとまとまった休みが取れたので、久しぶりに、DVDを借りてきました。 この映画、とってもとっても見たかったんです。ところが、知っている人は知っていると思うんですが、どこかのレンタル大手(Tで始まるところです。)が独占契約をしてしまっていて、その大手以外のレンタルショップには並んでいなかったのです。最近になって、やっと他店にも並ぶようになったものです。なんか訴訟になっているみたいですね。 この映画、公開時にはTVで盛んに宣伝していて、僕好みの地球破滅型SFですし、ウィル・スミスの原案で、親子で出演しているし、そしてなんといっても、監督があのM・ナイト・シャマランなんですね。いつもツッコミどころ満載な映画を作ってくれるシャマラン監督です、「シックス・センス」的奇跡が起きていることを期待しつつ、ツッコむ気満載で観賞しました。 2025年、人類は自らの故郷である地球の自然環境を破壊してしまい、遠く離れた惑星ノヴァ・プライムに移住します。ノヴァ・プライムの先住民は、人類を抹殺する巨大生物“アーサ”を作り上げます。“アーサ”は視覚も嗅覚もないが、人の恐怖心を察知して攻撃することが出来るのです。人類は対“アーサ”としてレンジャー部隊を組織します。 1000年後、レンジャー部隊の候補生である13歳のキタイ・レイジ(ジェイデン・スミス)は訓練に励んでいましたが、能力的な成績は良いものの精神的には未熟とみなされ、正式任用には不適格とされてしまいます。キタイが幼少の頃、姉のセンシ・レイジが“アーサ”に殺害されるのを、なすすべもなく見ているしかなかったという恐怖心が拭えないためです。 そんなキタイのもとに、レンジャーの最高司令官でもあり父でもあるサイファ・レイジ(ウィル・スミス)が宇宙遠征から帰還します。サイファは恐怖心を消して“アーサ”と戦うことができる“ゴースト”と呼ばれる技術を、最初に会得した男です。 一家団欒の夕食で、キタイは不適格の件をサイファに報告します。サイファの妻でありキタイの母であるファイア・レイジは、キタイが必要としているのは指揮官でなく父であると、サイファに告げます。 サイファは引退前の最後の任務にキタイを同行させます。レンジャーの訓練のために積まれた“アーサ”とともに。ところがその任務に向かう途中、小惑星嵐にあったために宇宙船に深刻なダメージを負い、偶然近くにあった第一級隔離惑星“地球”に、真っ二つに折れて墜落することになってしまいました。 生存者は、キタイと致命的なけがを負ったサイファのみです。サイファはキタイに通信装置や武器、医療器具などを託し、100km後方に墜落している船尾にある、救難信号の発信器を回収する危険な旅へ送り出します。 やっぱりツッコミどころ満載でしたね。 まず、物語の舞台設定について、ひとこと言いたいです。地球の自然環境を破壊し、他星へ移住し、その惑星の先住民から抹殺用の巨大生物で攻撃されているという基本設定についてです。これって、考えてみたら至極当たり前なことですよね。そうでしょう、先住民にとったら「なんやこいつら、勝手に大量に移住してきやがって、ずうずうしい奴らだ。攻撃してやろうか。」と思われて当然でしょう。まあ、かつて地球上でネイティブ・アメリカンやインカ人に対したように、先住民自身を攻撃して領地を奪ってしまうというほどの暴挙ではないですが、先住民にしたら怒りを覚えて当然の行為でしょう。 このお話、原案ウィル・スミス=アフリカ系、脚本M・ナイト・シャマラン=インド系なんですけど、なんでこんなヨーロッパ系な発想の舞台設定なんでしょうか。自分の先祖がかつてヨーロッパ人によって虐げられていたことを忘れているのでしょうか。 それから、レイジ親子が期せずして漂着してしまったかつての故郷地球の風景についてです。人類が地球を捨てて移住してから1000年ですよね。なんで人類が所狭しと作り上げてきた建造物が、かけらさえも全く見られないのでしょうか。たった1000年ですよね、100万年とか1億年とかじゃないんですよね。人類移住後はびこった森の間に、かつての人類文明のなれの果てが垣間見えて当然の期間ですよね、1000年って。考えてごらんなさい、現代だって、ピラミッドとか、万里の長城とか、造られてから1000年以上たつ建造物はたくさんありますよね。確かにそれを守るべき人類はいなくなっているのですが、たった1000年で跡形もなく姿を消してしまうっていうのは変ですよね。人類が移住前に自ら破壊しつくしてしまった(「マトリックス」の世界のようにね。)というのも考えられますが、だとしたら、全面に森が広がるまで回復しているのは逆に短すぎますよね、1000年では。確かに全面に広がる大自然な風景は美しかったですが、あまりにも不自然すぎます。(大自然ですが。) それから、「この惑星のすべてが人類抹消のために進化した。」と、予告編で謳っていたコピー、その言葉通り、倍ぐらいに大きくなったネコ型肉食獣(ライオン?)や猛禽類、集団で獲物を追う肉食に進化したであろうサル(ヒヒ?)、胴体部まで広がって飛べるようになったヘビ、などなど、キタイが次々と襲われています。でも考えてごらんなさい、なんでいなくなった支配者に対して進化する?おかしいですよね。もういないんだからそんな奴らなんか気にせず、独自に進化すればいいんじゃない? どうやら進化の法則がわかっていないようですね。基本、生物の進化というのは、与えられた障害に抗する形で進化するんですよね。砂漠で水がないから少ない水分で生きていけるように進化するとか、肉食動物から走って逃げられるように足が速くなるとか、天敵の鳥につかまらないように蛇の頭みたいな色と形になるとか。 この「この惑星のすべてが人類抹消のために進化した。」っていうのって、はっきり言って自意識過剰すぎな傲りですよね。いなくなってまで意識するほど、生物たちはバカじゃないよ。 そのほか、なんでわざわざ敵役まで運んでまで他の惑星で訓練するの?とか、たくさんの乗組員がいたのにレイジ親子だけ生き残るなんて都合よすぎない?(お父さんなんて、爆発の衝撃で吹っ飛ばされてるしね。)とか、呼吸薬の意味がよくわからない(あれだけ森林がはびこっていたら酸素は過剰なくらい濃いよね。)とか、夜になると雪が降るほどの気温変化って不自然でない?とか、あの猛禽類の行動(詳しくは秘密)の意味が分からない、とか、いろいろとツッコミどころはあるのですが、これくらいにしておきましょう。 多くの人がネット上で感想を述べているように、これだけ大掛かりな舞台設定をしておきながら、テーマが家族の絆?息子の成長?なんやそれ、って感じですし、いろいろと進化した生き物たちに襲われながら、最大の敵が自分たちで運んできた“アーサ”で、しかも結構あっさりやっつけちゃったりして、物語の盛り上がり的にも非常に残念な物語でした。 ということで、やっぱり残念な結果だったのね、というお話でした。興業的にも大コケしたのも当然かな。結局はどこかの大スターのお父さんが自分の息子を売り出すために壮大なプロモーションを企画して、大失敗に終わったというお話ですかね。まあ、壮大なSF映画の監督・脚本をM・ナイト・シャマランに任せたのが、そもそも失敗だったという言い方もできますがね。
2016.07.24
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1

![]()
![]()