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「ミラージュ」 MIRAGEMAN 2007年 チリ映画 監督 エルネスト・ディアス=エスピノーサ 主演 マルコ・ザロール ネットのおすすめ動画で観ました。なんとなくヒーローものなんだなと思い、予備知識ゼロで、まあ、暇つぶしになればという感じで観始めたんですが、中身の意外な重さに、思わず見入ってしまいました。 クラブの用心棒マルコ(マルコ・ザロール)は、強盗に襲われ、両親を惨殺された過去をもつ男でした。彼の唯一の家族、弟のチトはそのショックで心を閉ざし、現在入院療養中です。弟の治療費と生活費を稼ぐため、クラブのオーナーからの嫌がらせに耐えながら、毎日1人黙々とトレーニングを続けるマルコでした。 ある日、マルコは、日課のジョギング中に強盗団が押し入る現場に遭遇します。とっさに強盗のマスクを奪って顔を覆い、強盗団を撃退し、襲われていた女性を救い、そのまま顔を見せずにその場を立ち去ったのです。 次の日、ワイドショーでは『覆面ヒーロー、強盗を退治!』のニュースで大騒ぎでした。マルコが助けた女性は人気美人TVレポーター、マリアだったのです。 チトもニュースを見て大喜びし、覆面ヒーローのマネをして少しずつ心を開いていきます。その様子を見たマルコは、弟のために一大決断をするのです。 お手製の覆面をかぶり、“ミラージュマン”と名乗り、街に巣食う悪者たちと戦うことを決意するのです。 強盗に両親を殺され、精神を病んでしまった弟を抱えたマルコは、クラブの用心棒の仕事の傍ら、自宅で自作の器具を使い、黙々と体を鍛える日々を送っていました。そして、偶然強盗団を撃退し、そのニュース(それが兄だとはわかってはいませんが、)に弟が喜び、回復の兆しが見えてきたことから、正義のヒーローとして戦うことを志します。 しかし、彼は世紀の大富豪や、巨大軍事企業のオーナーではなく、手首から糸が出たり、傷がすぐに治ったり、金属を自在に操ったり、といった超能力があるわけでもありません。ただ単に独学で体を鍛えているだけのごく普通の一般人です。というか、どっちかというと、日々の生活にいっぱいいっぱいの、はっきり言って貧乏人です。 そして、その戦う相手も、超能力や超兵器を駆使したり、常識はずれの超犯罪を行うぶっちぎれた極悪人ではなく、普通の強盗やひったくり犯です。 だから、この物語は、ほかのヒーローもののような夢物語ではなく、非常に生活感にあふれ、地に足がついたリアルな物語なのです。 マルコは、へたくそな絵で、覆面をデザインし、ホームセンターで材料を探し、情報を集めるのに苦労(なんとあろうことかネットに電話番号を公開し、困った人からの情報を求めます。なんという無謀なことをと思ったのは私だけでしょうか。)し、上から目線で手助けしようとする金持ち女に騙されて落ち込んだりします。 しかし、彼がヒーローとして戦う目的は、金を儲けたいとか、有名になってちやほやされたいとか、女にもてたいとか、とってつけたような正義感に目覚めたとか、そんなものではありません。彼は、心を病んでしまっている弟に元気になってもらいたい、ただそれだけなのです。 ということで、そのリアル感、ドラマ感に、思わず感動してしまう、全く無名なチリ映画に、思わず出会ってしまった、というお話でした。 ところで、マルコ役のマルコ・ザロールという人、もちろんチリ人の俳優さんなので全く知らなかったわけですが、格闘家としても活躍している、チリでは有名なアクションスターのようですね。彼の身のこなし、なかなか半端ねえですよ。すごいです。
2016.12.23
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「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」 Mortdecai 2015年 アメリカ映画監督 デヴィッド・コープ出演 ジョニー・デップ グウィネス・パルトロー ユアン・マクレガー ポール・ベタニー ジェフ・ゴールドブラム すいません、またジョニデ映画です。口ヒゲがトレードマークのとぼけた紳士に扮したジョニデ(例によってキャラをかぶっています。)が印象的で、公開時TVCMなどで盛んに盛んに宣伝していた映画です。 イギリスの貴族であるチャーリー・モルデカイ(ジョニー・デップ)は、裏社会でインチキ美術商を営んでいますが、実はイギリス政府に対し800万ポンドの借金を抱え破産寸前でした。 彼の愛する妻ジョアンナ(グウィネス・パルトロー)と、モルデカイ家に仕える忠実な従者ジョック(ポール・ベタニー)は、邸宅の美術品を売るなどして何とか破産を免れようとしていましたが、チャーリーは家の状況には無関心で、最近生やし始めた口ヒゲばかりを気にしていました。 そんなある日、女性絵画修復士が何者かに殺害され、ゴヤの名画が盗まれるという事件が発生します。絵画を盗んだ男が国際テロリストだと判明したため、アラステア・マートランド警部補(ユアン・マクレガー)は、旧知の仲であり、美術品の知識があり裏社会にも顔が利くチャーリーに絵画の捜索を依頼します。一方、マートランドから絵画の話を聞き出したジョアンナは、借金を返済するため独自に絵画の捜索を始めます。 チャーリーはゴヤ専門の美術商から情報を聞き出し、自動車修復士のスピノザのところに向かいますが、エミルに命を狙われて襲われ、ジョックやマートランドに助けられます。 絵画修復士の家に向かったチャーリーは、彼女が撮影した写真に写っていた絵画を見て、ゴヤの幻の名画『ウェリントン公爵夫人』だと判断します。『ウェリントン公爵夫人』は第二次世界大戦中にゲーリングの手に渡った後、彼の莫大な財産と共に姿を消しており、絵画の裏地にはスイス銀行の秘密口座の番号が書かれていたのです。 しかし、その直後、チャーリーはロシアン・マフィアに拉致されてしまいます。 同じ頃、ジョアンナは絵画修復士と恋仲だったアッシャーボロードン公爵(ジェフ・ゴールドブラム)と面会し、“バーニー”という人物が『ウェリントン公爵夫人』を所持していることを突き止めます。 コメディタッチの推理物ということで、結構僕の好きなジャンルなんですが、正直言いまして、あんまりおもしろくなかったんですよ。 キャプテン・ジャック・スパロウまたはマッドハッターまたはウィリー・ウォンカことジョニー・デップ、アイアンマンの超優秀な秘書ペッパーことグウィネス・パルトロー、オビ・ワン・ケノビことユアン・マクレガーと、主要キャストにはスターを配し、「ドッグヴィル」「ビューティフル・マインド」など多くの作品で存在感を発揮している名脇役ポール・ベタニー、「ジュラシック・パーク」シリーズや「インディペンス・デイ」では主役を張っているジェフ・ゴールドブラムと、脇には確かな名優も起用している映画なのですが、なぜか面白くないのです。 チャーリーの口ヒゲ(日本版の宣伝文句に“チョビ髭が世界を救う”とありましたが、ちょびヒゲというのはチャップリンや“カトちゃんぺっ”のようなヒゲのことで、このチャーリーのヒゲは“口ヒゲ”ですよね。)をめぐる夫妻の掛け合いは、「さっさとそれよ!!!」と思わずTVの前で突っ込んでしまうほど、ちょっと面白いのですが、モルデカイ家の忠実な従者ジョックのドジっぷりとタフさも非常に面白かったのですが、そのほかの部分は………。 どうやら、脚本や演出に問題があるのではないでしょうか。しかし、このデヴィッド・コープという監督、「ジュラシック・パーク」シリーズ、「ミッション・インポッシブル」「天使と悪魔」「スパイダーマン」「宇宙戦争」「スネーク・アイズ」「M.I.B.3」などなど、数々のヒット作の脚本を書いている方なんですよ。 ところが、彼の監督作はというと、ヒット作は全くありません。(数は少ないのですが)以前、このブログでも、いまいちだったと紹介した同じくジョニデ主演の「シークレットウインドウ」(監督・脚本)という作品もありました。 しかも、今回は脚本は別の無名の人(弟子かな?)に任せているんですね。 ということで、豪華キャストを配しているにもかかわらず、興行的にも全く振るわず、批評家たちにも酷評されている、残念な作品を紹介しました。 この作品、公開時、日本では盛んに盛んに宣伝されていましたよね。本国での不振を、日本公開で何とか挽回しようと必死だったということですかね。なるほど、異常に盛んに宣伝している作品には気をつけろということですね。
2016.12.13
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