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9月24日、前回のトピックから約4ヵ月半の沈黙を破って「無防備地域宣言をめざす大津市民の会」が帰って来ました。 運動のシンボルだった無防備マンは撃破され行方不明、市川市や竹富町でも運動は敗退を続ける逆境の中、「大津市民の会」は5月に引き続き国民保護法への攻撃を繰り返す事で自らの生き残りを図っているようです。 追い詰められた者は敵を作り出し、それを攻撃する事で団結を図ると言いますが、彼らも同じ徹を踏んでいるようです。 さて、今回もその主張について見て行く事にしましょう。 >市民の皆さん。大津市は、有事法制のひとつの柱で平時から国民を戦争協力に導く国民保護法に基づき、大津市国民保護計画の素案を8月末に決定しました。 この辺は以前と同じ主張で新味がないですね。 復習を兼ねて国民保護法に触れてみますが、国民保護法はいわゆる「民間防衛」を規定する法律です。 枠組みとなっているのは災害対策基本法ですが、民間に協力を求めるに当たって強制力の強い災害対策基本法と異なり、国民保護法では事が安全保障に関わるため、基本的人権への制限や強制力のともなう協力義務の制定に関してはいらぬ警戒や混乱を招きかねないとして、自主的協力を求める、と言うスタンスを取っています。 この時点で >国民を戦争協力に導く というのが大嘘だと言うことが判りますが、まぁいつもの事なので今更驚くには当たりませんね。>地域防災計画と重複しており というのも国民保護法が災害対策基本法をベースにしている以上は当たり前で、相手が災害でも戦争でも、住民を避難させることが最大の焦点なのですから、むしろ違っているほうが驚きです。 >住民避難に「自衛隊による住民の誘導を要請する」と市の計画に明記し これも当たり前ですね。戦時では何処に避難すれば安全か、と言うと、当然敵軍のいない方向です。敵軍の動きを一番良く知っているのは自衛隊なのですから、自衛隊に避難を先導してもらうほうが安全です。 それともなんでしょうか? 敵軍は避難民がいることを承知で攻撃を仕掛けてくるような、悪逆無道な連中ばかりなのでしょうか? そういう相手に対して無防備になってみせて安全だと思いますか? >ジュネーブ条約の信じられないほどの全くの無理解 あー、すいません。ちょっとだけ素で言わせてください。 お前が言うなー!! ああ、すっきりした(笑)。 冗談はさておき、ジュネーブ条約に関して誤解と曲解を重ねている無防備都市宣言運動に、無理解とか言う資格はないです。むしろ、無理解の方がまだ罪がありません。 >「避難に自衛隊が先導」と明確に書いてあることについて、軍民分離原則に反している 大津市民の会は「軍民分離原則」についてかなりの誤解をしているようです。 軍民分離と言うのは、軍隊と一般市民が外見で明確に区別できる事を言います。具体的に言うと、軍人は必ず制服を着用し、軍所属である事を示す標識を身に付けることにより、自らを一般市民ではなく軍人であると明確に示す事です。 しかし、大津市民の会は「軍と一般人が全く別の所にいる事」が軍民分離だと考えているようです。まぁ、それも軍民分離状態には違いないですが、それだけが軍民分離を指すのではありません。 軍民分離原則として挙げられるジュネーブ条約第1追加議定書第48条にはこうあります。 紛争当事国は、文民たる住民及び民用物に対する尊重及び保護のため、常に文民たる住民と戦闘員とを、また、民用物と軍事目標とを識別することができるようにする。紛争当事国の軍事行動は、軍事目標のみを対象とする。「識別」とは書いてありますが、同じところにいてはいけない、とは一言も書いていませんね。 また、同第58条には 紛争当事国は、可能な限り最大限まで次の措置をとらなければならない。 (a)自国の支配の下にある一般住民、個々の文民及び民用物を軍事目標の直近地域から移動させるよう努めること。 ここには「軍隊で住民を誘導してはいけない」とは全く書かれていません。 >また、自衛隊に意見を聞くといいながら実は自衛隊は計画策定の計画部会に一度も出席せず意見も言っていない事実を隠す 大津市が自衛隊に意見を求めなかった理由や、それを隠していた理由については不明ですが、その前にお乙市民の会に聞いてみたいですね。 貴方たちは自衛隊に計画部会に参加してもらいたいんですか? してもらいたくないんですか? 私の勘では、自衛隊が参加していたらそれはそれで非難の対象にしたでしょう。賭けても良いです。 賭けが成立しないでしょうが(笑)。>「文化財保護から非戦のまちづくりを~ハーグ条約・議定書の文化財保護に学ぶ」>ハーグ条約・議定書は文化財保護の無防備地域宣言というべきもので、文化財保護のために軍事施設の分離を定めています。日本政府に批准させ、非戦のまちづくりにいかしましょう! 最後に出てきたこの勉強会に関する宣伝が、今回一番怪しい部分です。 まず、ハーグ(陸戦)条約は「交戦者の定義や、宣戦布告、戦闘員・非戦闘員の定義、捕虜・傷病者の扱い、使用してはならない戦術、降服・休戦など」について規定した条約であり、文化財保護を第一義とした条約ではありません。確かに第27条には軍事目的に使用されていない限り、宗教、技芸、学術、慈善に用いられる建物、歴史上の記念建造物、病院、傷病者の収容所に対し、なるべく損害を与えないよう、必要な手段を取らなければならない。 とありますが、主目的ではないのは明らかです。 次に、いかにも日本がハーグ陸戦条約、ジュネーブ条約追加議定書を批准していないかのような書き方をしていますが、日本はどちらも批准済みです。ハーグ陸戦条約の批准は1911年、ジュネーブ条約第一追加議定書は2004年に批准しており、批准していないかのような嘘をつくのは、日本政府に対するネガティブなイメージを植え付けるための悪質な印象操作と断じられても仕方のないところでしょう。 研究者さんの指摘により、ここは私の間違いであった事が判明したため、修正します。(2006.10.04) この点については「大津市民の会」の皆さんに謝罪します。失礼しました。 また、この勉強会を開くからには、なにやら大津市の国民保護条例では文化財保護が考慮されていないかのように見えますが、実際に彼らもリンクを貼っている「大津市国民保護計画素案」を見てみますと、「第9章 3 文化財の保護」としてちゃんと条文化されていることがわかります。 これも大津市現行案に対するネガティブキャンペーンじゃないんでしょうか? しかし、条文を読めばすぐにアラがばれるような主張を繰り返す辺り、本当に成長のない人たちです。もう少し巧妙な嘘をつく知恵はないものでしょうか…… そんな知恵があったら、こんな運動してないか。
2006.09.25
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先日新潟日報の投書欄で「感銘を受けた不戦願う法案」という投書が掲載されました。そこで紹介されたのが、1929年にデンマークのフリッツ・ホルム陸軍大将が起草した「戦争絶滅受合法案」です。 投稿者に感銘を与えたと言うこの法案、正確には「戦争を絶滅させること受合ひの法律案」と言うそうですが、これがどういう内容かと申しますと―― 「戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力の生じたる後、十時間以内に次の処置をとるべきこと。即ち下の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。一、国家の元首。但し君主たると大統領たるとを問わず、尤も男子たること。二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。三、総理大臣、及び各国務大臣、並びに次官。四、国民によって選出されたる立法部の男性の代議士。但し戦争に反対の投票を為したる者は之を除く。五、キリスト教又は他の寺院の僧正、管長、その他の高僧にして公然戦争に反対せざりし者。上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態等を斟酌すべからず。但し健康状態に就ては召集後軍医官の検査を受けしむべし。以上に加えて、上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦又は使役婦として召集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべし。」 だ、そうです。 まぁ、一見して判ると思うのですが、本気で言ってるなら正気を疑うべき内容です。政治家を前線に送る事の無意味さは前の日記で書いた事がありますので、そちらを参照していただくとして。 まず、この法律を本当に採択したとします。憲法九条と同じで、自分から戦争を仕掛けるのを抑止するには役立つかもしれません。しかし、どこかの国に攻められた場合、開戦と同時に政府と官僚組織は崩壊し、国家の存続自体が危うくなります。残っているのは軍部だけですから、ものすごい軍部独裁国家が誕生する事でしょう。 さらに、宗教指導者が前線に立つのなら、教徒がこぞって銃を取る事にもなります。どう見ても最終戦争状態です。 そこまで極端でなくても、私がこの法律のある国の指導者なら、宣戦布告のときだけ、適当な傀儡を立ててそいつに宣戦布告をやらせます。これだけでも回避できる法案など、あるだけ無意味ですね。 幸い、これを日本に紹介した長谷川如是閑(はせがわ・にょぜかん:大正時代の評論家)によれば、これを起草したホルム大将は「戯れに作った」そうなので、本気ではなかったようです。 その割に、ホルム大将はこの法案を近隣諸国に送り、立法化を薦めたそうです。もちろんどこの国でも無視されましたが。 ホルム大将がなぜこのような法律を作成し、そして周辺諸国に送ったのか。これを知るには、彼の祖国デンマークが当時どのような状況にあったのか、それを知る必要があるでしょう。 デンマークは地理的には北欧に位置し、バルト海と大西洋を隔てるユトランド半島の北部と、その周辺の島々を領有しています。しかし、かつてのデンマークは今のような狭い領土ではなく、もっと広大な土地を領有し、欧州屈指の大国でした。具体的に言うと、今のドイツ北部(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン地方)、ノルウェー全域、スウェーデン南部、さらにはロシアの一部までが大国時代のデンマーク領で、その勢威は「デンマーク海上帝国」と呼ばれていました。 しかし、16世紀にスウェーデンに離反されてからその国際的地位は翳り始め、大国デンマークは衰退の一途をたどるようになります。 1520年:ストックホルムの血浴 スウェーデン独立戦争のきっかけとなる1645年:ブレムセブロー条約 トレステンソン戦争でスウェーデンに敗北、ノルウェーの一部と領海通行権を割譲1658年:ロスキレ条約 北方戦争に破れ、スウェーデンにスカンジナビア南部を割譲1700年:大北方戦争 ロシア側について参戦。しかしバルト海の覇権をロシアに奪取される1801年:コペンハーゲン海戦 ナポレオン戦争に中立を表明したが、イギリスに攻撃されて首都は炎上し、海軍は全滅。デンマーク海上帝国完全崩壊1813年:キール条約 コペンハーゲン海戦の影響でフランスについた事が裏目に出て、スウェーデンに攻められ完敗。ノルウェーを完全に失う。1864年:スレースヴィ戦争 プロイセンにシュレスヴィヒ・ホルシュタイン地方を奪取される 20世紀に入る頃にはデンマークはかつての大国の面影を完全に失い、北欧の一小国にまで没落してしまいます。当時の小国と言うのは非常に悲惨な存在で、多くの場合自分の思惑で国の進路を決める事ができず、周辺の大国によって簡単に運命を決められてしまう存在でしかありませんでした。上の年表を見ても判りますが、16世紀以降のデンマークは侵略を受けるか、日和見を認めない勢力に攻撃を受け、自分の意思とは関係なしに敗戦国になる事の繰り返しです。 ホルム大将はこうした歴史を踏まえた上で、かつ間近で凄惨な第一次大戦の様相を見たわけですから、もし今度デンマークが戦争に巻き込まれた場合、国が立ち行かなくなるほどの大損害を受けるのは間違いないと考えた事でしょう。 事実、彼が「戦争絶滅受合法案」を起草した10年後には、デンマークは「北欧侵攻の足がかりにする」という理由だけでナチス・ドイツに侵略されています。幸いナチスはデンマークを同じゲルマン民族国家としていたため、苛烈な支配や収奪は受けず、主戦場になる事もなかったので大きな被害は出ませんでしたが、一歩間違えばデンマーク存亡の危機になったのは確実です。 これらの背景を踏まえて考えるなら、ホルム大将が「戦争絶滅受合法案」を起草し、これを各国に送った理由とは、純朴な反戦の意思と言うよりは「我々デンマークはもう戦争には巻き込まれたくない」という意思を半ばジョークのような形で表示した、と考えるのが自然でしょう。 ところが、世の中にはこのジョークでできた法案を真面目に取って、ぜひとも日本で採択して欲しい!! と主張する人々がたくさんいます。試しに「戦争絶滅受合法案」でぐぐって見てください。たぶんここ(楽天ブログ)でお馴染みの人も見受けられるかと思います(笑)。 日本だけで採択しても仕方がない、と言う点では憲法九条にも通じる点の多い「戦争絶滅受合法案」ですが、これを真面目に受け取る人たち的には、戦争を起こすのは常に日本なので問題ないのでしょうね。 ちなみに、そうした真面目さんたちの中で一番著名なのが、現社民党党首の福島瑞穂女史です。福島女史は「戦争絶滅受合法案」を参考にして「戦争立法自己責任法」なる、戦争立法をつくった人間が自己責任を持って行けという法案を作ろうと参議院法制局に行ったそうですが、その時の参議院法制局の解答が笑えます。 「日本国憲法は日本が戦争することを想定していません。戦争があることを前提とした法律をつくることは違憲になります」 普段護憲護憲と唱えている人が違憲行為をしようとしていたわけですね。これだけでも笑えますが、福島女史は弁護士出身であり、法律のプロのはず。それなのに参議院法制局のような解答を予測できなかったのでしょうか? 最後にこの言葉を紹介して締めようと思います。「妙案ではあるが、『戦争を絶滅させること受合ひの法律案を採択させる事受合ひの法律案』もホルム大将に起草してもらわなければならない」(長谷川如是閑)
2006.09.22
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何度か日記で取り上げた事がありますが、日本の港にはしばしば軍用艦艇が入港してきます。目的は様々ですが、もちろん現在戦時中で無い日本にやってくる以上は、親善や友好が目的と言う事になっています。 外国軍艦が入港してきた日は、秋葉原の電気街が水兵たちで溢れ返るところを見ると、実は買出し目的なんじゃないかと言う気がしないでもないですが(笑)、それもまた平和の証拠でしょう。 それはさておき、こうした軍用艦艇の寄港時には守られなければならない国際儀礼が存在します。その最たるものが、掲揚する旗の種類です。 どんな船舶でも自分の国籍を示すものとして国旗を所持し、これを掲揚して航行しますが、軍艦の場合はさらに「軍艦旗」という、海軍に所属している事を示す身分証明としての旗を持っています。 海上自衛隊であれば、国旗は日章旗(日の丸)で、軍艦旗は十六条旭日旗です。似ていますが某新聞社の旗ではありません(笑)。 普通の船舶とは異なり、国家の機関に所属する軍艦は、その行動にも様々な儀礼が必要となり、これらの旗の使い分け、掲揚の仕方にも複雑なルールがあります。 まず、軍艦旗は通常艦尾に掲揚し、国旗は艦首に掲揚するのがルールです。 さらにどこかの国に寄港する際は、メインマストに相手国の国旗を掲揚することにより、その国に対して敬意を払うことが決まっています。この場合、相手国の国旗は自国国旗と同じ大きさにする事も、ルールとして確立しています。 訓練航海などで外国に寄航する事が多い海軍軍人は「制服を着た外交官」とも呼ばれ、こうした厳密な儀礼を守る事により、相手国に敬意を表するだけでなく、自国が「国際儀礼を守る文明国」である事を示し、国の名誉を守る義務があります。 ところが、世の中には例外的な国も存在します。 9月9日~11日にかけて、韓国海軍の駆逐艦と補給艦が横須賀に寄港しました。訓練航海の途上だそうです。韓国駆逐艦:2隻、横須賀入港 /神奈川(毎日新聞) ところが、この時韓国海軍は日本領海で巨大な自国国旗をメインマストに掲げると言う、極めて非礼な行為を行った可能性が指摘されています。証拠写真と思われるものはこちらにあります。 マストに日章旗が掲揚されているのが微かに見えますが、明らかに大きさが違いますね? また、よく見ると、日章旗のさらにその上に別の小さな韓国国旗が見えると思います。 これにはさすがに唖然としました。ここは旗を掲揚するためのヤードの上であり、いかなる場合においても旗など掲げない(そもそも掲げる施設が無い)場所です。故意にやったのなら、どう考えても明白な挑発行為です。何を考えているのか見当もつきません。 確かに韓国は反日感情の強い国ですが、百歩譲って韓国が反日を行う理由が全て正当なものだとしても、このような非礼な行為が許されていいことにはなりません。 韓国海軍の儀礼無視は過去に数回前歴があり、日本や英国で行われた国際観艦式に韓国海軍の艦艇が参加した際に、ホスト国の国旗を掲揚して敬意を表すべき場所で、堂々と自国国旗を掲揚した事例があります。こう何度も行われているとなると、韓国海軍では国旗・軍艦旗に関する儀礼教育を行っておらず、何処でも自己を誇示する事が最優先されているのではないかと疑われてなりません。 この非礼に対し、英国海軍は激怒して韓国海軍に抗議を行ったのですが、海上自衛隊は特に抗議を行っていないようです。 旗に関する儀礼を守らないと言う事は、相手国を侮辱するのみならず、自らの品位を貶め、国際常識も知らない野蛮国、との印象を与えるだけですので、これが事実なら、韓国海軍には自らの名誉を守るためにもこのような行為をすべきではないでしょう。自衛隊も厳しく抗議を行うべきであると考えます。本当の友好関係とはそういうものだと私は思います。 さて、韓国海軍の横須賀寄港に伴い、もう一つ事件が起きています。いや、今も起き続けている、と言うべきでしょうか。 前回の日記で紹介した反戦団体「ヨコスカ平和船団」ですが、この韓国海軍寄港に対して全く抗議を行わなかったという理由で、同団体HPの掲示板に激しいコメントラッシュが発生しています。 ご存知のように、韓国もイラクに軍を派遣している有志連合の一国です。その派遣規模は最大時3000名。削減された今も2000名規模で、これは米英に次ぐ第三位の派遣規模です。 また、派遣期間は今年度末までとなっており、さらに1年間派遣を延長すべきとの意見もあって、韓国国会ではその是非について話し合いが行われています。 このように、韓国はイラクにおいて非常に重要な位置を占める国ですが、私自身は、このイラク派遣に関する韓国の判断は間違いではないと思っています。特に現政権が著しく反日反米親北に傾斜し、国際社会で面目を失い続けている状態では、イラク派遣は韓国がアメリカからの信頼を繋ぎとめる重要な要素になっていることは間違いありません。 しかし、反戦平和団体の側から見れば、韓国の行動は許されない「侵略の片棒担ぎ」であるはずです。派遣規模は日本の4~6倍、期間も長く、さらに現地で銃の暴発(誤射?)によるイラク人の死亡事件も起こしており、反戦団体的に叩く材料は山ほどあります。 ところが、私の知る限り、反戦団体が韓国に対して抗議活動を行ったと言う事例は、見た事も聞いた事もありません。2004年に東京港に韓国海軍の艦隊が来航したときも、たまたま仕事場が近くなので見ていましたが、何の抗議運動も見られませんでした。 こうした反戦団体の「二重規範」的な行動に対し、反発が起きるのは無理もありません。現在「ヨコスカ平和船団」のHPは相当荒らされているようで、それはどうかと思いますが、正直な所を言えば自業自得だなとも思います。形式的にでも「韓国艦隊の入港に抗議する!」とやっておけば、少しは自分たちの主張に説得力を持たせる事ができたでしょうに。 叩く相手が著しく偏向しているのでは、反戦団体だと主張した所で、反日反米団体であり、どこかの国の走狗になっているのではないかと疑われても、反論など不可能でしょう。これを教訓に、「ヨコスカ平和船団」には政治的偏向の無い、真の反戦団体を目指してもらいたいものです。「愚か者達の船が非情の海に浮かぶ。僕から離れていってくれ、愚か者の船よ」(The Grateful Dead「Ship of fools」より)
2006.09.12
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米海軍のイージス巡洋艦「シャイロー」が横須賀に入港し、これに対して地元の反戦団体が抗議の海上デモを行ったと言うニュースがありました。 まぁ、米海軍の艦艇が来る度に反戦団体が騒ぐのは風物詩みたいなもんですから、あまりニュースバリューがあるとも思えないのですが、「シャイロー」が海上発射型MD(ミサイル防衛)対応能力を持つ艦である、となれば話は変わってきます。 要するに、北朝鮮が日本に向けて弾道ミサイルを発射するような事態が発生した場合、「シャイロー」がいるのといないのとでは、かなり対処能力に差が出てくるわけです。「シャイロー」がいないがために、撃ち漏らしたミサイルが横須賀に落ちて、反戦団体の皆さんも一緒に吹っ飛ばされたとしても、どこにも文句は言えませんね。まぁ、そうなったらそうなったで、日米に抗議するのが反戦団体の皆さんでしょうけど。 さて、反戦団体の皆さんはどういう口実で「シャイロー」の配備に反対していたのでしょうか? 彼らのHPを覗いてみましょう。ヨコスカ平和船団は8月29日ミサイル巡洋艦「シャイロー」の横須賀配備に反対して海上抗議行動を行いました。ミサイル巡洋艦「シャイロー」は大幅に遅れて12号バースに接岸し、米軍は北朝鮮のミサイルを念頭に置いた政治的なセレモニーを行いましたが、私たちは東アジアの軍事的緊張をもたらすミサイル防衛には今後とも反対していくつもりです。詳しくは「追跡!在日米軍」でも見ることが出来ます。ミサイル巡洋艦「シャイロー」(CG67)はハワイ沖での演習においてもSM3(スタンダードミサイル)の実験に成功したと宣伝され、今回の横須賀配備となりましたが、ミサイルによる防衛とは名ばかりで極めて攻撃的な艦船です。駆逐艦が90基のVSL(垂直発射装置)を備えているのに対してミサイル巡洋艦「シャイロー」は120基・発射できるトマホークの性能は3000キロを超えています。北朝鮮を射程内に置くだけではなく、ロシア・中国をも攻撃できる能力を備えています。(ヨコスカ平和船団HPより引用) なるほど、「シャイロー」の目的は、MD対応と言うのは口実で、本当はトマホークミサイルで北朝鮮や中国やロシアを攻撃するためだと言いたい訳ですね。福島瑞穂女史よりはスマートな言い分です。(※上記URL内を「B52」をキーワードにして検索してみましょう) ですが、結局は「私たちは米軍が嫌いです!」と言いたいだけの、不純な動機に基づく反対ですね。トマホークミサイルなど、実戦配備から既に20年以上も経つ兵器であり、横須賀に入港する艦艇が装備し始めたのも、昨日今日の話ではありません。 トマホークを口実にMD対応艦を日本から追い出し、自分たちの愛する北朝鮮を側面援護したいと言うのが見え見えです。トマホークが日本から外国へ届くから危ない、と言うなら、外国から日本へ届く弾道ミサイルにも反対しなければ、筋が通らないでしょうに。 まぁ、反戦団体がスタンダードミサイルならぬダブルスタンダードを駆使するのは、今に始まった事ではありませんけどね。 そもそも、「攻撃的な艦船」という言い方が馬鹿げています。だったら「防衛的な艦船」なら問題ないのでしょうか? それなら自衛隊のイージス艦はトマホークを積んでいない、「シャイロー」に比べれば「防衛的な艦船」になるはずですが(笑)。でも、2002年の同団体の活動記録には、自衛隊のイージス艦「きりしま」にも反対している様子が見えますね。 そもそも、兵器とは「攻撃」にも「防衛」にも使えるものが大半です。北朝鮮のテポドンだって、あれの存在ゆえに北朝鮮を攻撃できない事を考えれば、立派に「北朝鮮の防衛」には寄与しています。 そうした中で、イージスシステムやMDは珍しく「防衛」専科の兵器という事ができます。 イージス艦は戦艦や巡洋艦といった艦の種類を表す分類ではなく、「イージスシステムを搭載する軍艦」と言う意味です。今回の「シャイロー」は分類上は「巡洋艦」になります。 ではイージスシステムとは何か、と言いますと、わかりやすく言えば「高性能のレーダーとコンピュータを組み合わせて、同時にたくさんの対空目標(主にミサイル)を撃ち落とすためのシステム」 と言う事になります。どういう原理かは重要ではないので割愛します。 元来は冷戦時代に大量の対艦ミサイルを持っているソ連海軍の脅威に対抗して作られたシステムですから、これ自体には攻撃的な性質はありません。飛んでくるミサイル(と、その発射母機)を効率的に撃ち落すだけが目的です。人間に例えると、それまではハエ叩きだけで害虫と戦っていたのが、殺虫剤のスプレーを使うようになった感じでしょうか。 じゃあ、トマホークミサイルは何なんだ、と言われるでしょうが、トマホークは発射装置が搭載されていれば、どんな軍艦でも爆撃機でも発射できます。事前にインプットしておいた目標に向かって自動的に飛んでいくだけの代物ですから、イージスとは関係がありません。 実際、イージスが普及する前の米海軍の艦艇にも、トマホークの発射装置は積まれていましたし、湾岸戦争で実戦に使われています。 現在の米海軍では非イージス搭載艦は殆どが退役するか、その順番待ち状態で、現役の軍艦はイージスばかりになりつつあります。要するに「シャイロー」はもともとは防御用の特別な軍艦だったのが、普及してイージスが普通になったため、攻撃的な任務も担当するようになったというわけです。 その辺りを混同して、イージスとトマホークが関係あるように見せかけて反対する、というのは、無知でなければ詐欺です。さて、ヨコスカ平和船団はどっちなのでしょうか。両方でない事を祈ります。 さて、最後に同団体のHPを見て思った事を一つ。>強大な軍事力で相手を完全に屈服させようという発想は誤りというほかない。私たちはだから、横須賀基地の増強に反対し続ける。 同団体の皆さんが大嫌いであろう「侵略主義者の悪の日本帝国」はアメリカの「強大な軍事力」によって「完全に屈服」させられたわけですが、そういう歴史を彼らはどう捉えているのか。大変気になるところです。
2006.09.05
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