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しばしば中国や韓国は日本に対して「ドイツに倣え!」と言ってきます。どういうわけか、彼らはドイツが戦後の補償問題をきっちり片付けたと思い込んでいるようです。 そもそもドイツは二次大戦について謝罪もしていなければ、国家補償に応じてもいません。責任を全てナチスに押し付ける事に成功し、逆に周辺諸国に敗戦で失った領土や占領地に置いてきた資産の返還を求めているほどです。 なかなか強気ですが、それが許されるのはドイツが今やEUの要というべき経済大国であり、強力な軍事力を持っているという点があげられます。しかし、もっと根本的な理由としては、そもそもドイツは日本が某三カ国から要求されているような謝罪と賠償を求められていません。 中朝韓はこうしたドイツの歴史について、自分たちこそ学ぶべきでしょう。 第一次世界大戦において、ドイツは敗戦国となりました。当時の戦争では、戦勝国が敗戦国から戦時賠償金を取り立てるのが慣例となっていましたが、ドイツに課せられた賠償金の額は、まさに天文学的数字でした。 その額、実に1320億金マルク。「金マルク」と言うことは、紙幣ではなく金(ゴールド)で相当額を支払わねばならない、という事です。 当時のレートで1320億マルクに相当する金の量は、約5万トン。現在の日本のレートで5万トンの金を購入するには、約71兆円かかります。国家予算のほとんど全額を払わないと買えないことになります。当時のドイツにとっては、GNPの約20年分に相当していました。 この巨額の賠償金は、戦後のドイツ経済に破滅的な影響を及ぼします。猛烈なインフレが進行し、事実上貨幣経済は破綻しました。この当時のジョークとして「コーヒー一杯を飲むのにトランク一杯に詰めた紙幣が必要だったが、コーヒーを飲んでいる間にトランク二杯分の紙幣が必要になった」 というものがあります。ジョークだから実話ではないのでしょうが、当時のドイツが陥った状態を端的に表した話だとは思います。 当然、ドイツ国民は塗炭の苦しみを味わう事になりました。働いても働いても、給金はほとんど無価値で、しかもほとんどを外国に持って行かれるのですから、労働へのモチベーションが上がる訳はありません。元々支払う事の不可能な賠償金はドイツ経済を崩壊させ、支払いは滞ります。 これを口実に、1923年にはフランスがベルギーと組んでルール地方の占領を強行しました。ルール地方はドイツの生命線とでも言うべき工業地帯です。 フランスの狙いは、ドイツが強敵として復活する事を阻止し、かつドイツと自国の間に緩衝地帯を作るため、ルール・ラインラントに傀儡政権を立て、ドイツから切り離して独立させる事も含まれていました。経済的に弱体化し、再軍備も制限されていたドイツはフランス軍に物理的に抵抗する事ができず、労働者にゼネストを指令するという抵抗を行うことで、なんとかフランスを撤兵させます。が、これによって経済状況の深刻さが増した事は言うまでもありません。 こうした国内の混乱は政治への不満に転換し、やがてナチスの台頭を招きます。そのリーダーとなったヒトラーの行動を見ると、彼はアングロサクソン国家(米英)とは協調できるとしていました。米英はドイツへの過激なまでの制裁に反対し、ドイツの賠償金支払額を段階的に縮小する案を提示していました。 ですがフランス、そしてルール占領に参加したベルギーに対してはどうしたかと言えば…… ベルギーは中立宣言をしたにもかかわらず、ドイツ軍に侵攻されて占領され、フランスも僅か八週間でドイツ軍に蹂躙されました。 この両国は敗戦国を永遠に敗戦国の地位に貶めておこうと無茶をしすぎた結果、見事なまでに報復され、国が滅亡する瀬戸際にまで置かれてしまったわけです。因果応報とはこのような事を言うのでしょう。 第二次大戦の結果、欧州諸国は「敗者を叩きすぎれば、それは次の戦争を呼ぶ」という教訓を得ました。敗者にも手を差し伸べ、彼らが立ち上がれるよう助けてやり、しかる後は名誉ある地位を与え、同格に取り扱う。ソ連および共産圏と言う新たな強敵の存在あってこそ上手く言った方針ともいえますが、今ではドイツはEUの主要メンバーであり、強いドイツは欧州の守護者として相応しい存在であると歓迎されています。 では、日本はどうかと言うと、主に戦った相手であるアメリカや、東南アジアからはそれなりの扱いを受けています。それには日本の起こした戦争が独立のために良い影響を与えた、としている多くの東南アジア諸国の考えや、戦後復興の苦しい最中に、誠実に賠償金を支払い、あるいはODAと言う形で独立後の国づくりを援助しつづけた日本の地道な努力があります。 今では、ASEAN諸国では膨張する中国に対して、日本を守護者として望む声すらあります。 また、日本を叩いてみて占領して、初めて大陸アジアにコミットするための同盟相手として日本が欠かせない存在である、と言うことに気づいたアメリカの思惑もありましたが、ともかく日本が敗戦国家だった事を良い事に、何をしても構わないと思っているような国はありません。 中朝韓をのぞいて。 日本を国際社会の一員として扱い、対等の国家としている他の国々に対し、アジアにおける覇権を握る事しか頭に無い中国と、その尻馬に乗ろうとしている韓国・北朝鮮にとっては、日本は永遠に敗戦国であり、歴史問題で叩けば唯々諾々と頭を下げ、金を払い続けるサンドバッグ兼キャッシュディスペンサーであり続ける事しか望んでいません。 それに対し、日本は長年その立場を受け入れ続けてきましたが、ここ数年、度を越した彼らの反日の異常さに気付き、叩かれつづける立場からの脱却を図っています。さすがに大戦間期のドイツのように、中朝韓に報復しようとまでは言っていませんが、もはや中朝韓の言いなりで良いと考えている人はほとんどいません。多くの問題がありつつも、小泉首相に一定の支持が集まるのはそうした理由によるものでしょう。 中朝韓が「敵は永遠に敵にしておこう」と言う、1940年に既に破綻した考えを捨てない限り、真の友好が得られるとは思えません。私は中朝韓こそ歴史に、特にドイツとフランスの歴史に習い、無意味な日本敵視政策を捨てる事を望みます。
2006.04.30
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教育基本法の改正案について、関心はいわゆる「愛国心」教育に集中しているようです。表現としては「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」と言う事になっていますが。 これに関しては賛否両論が出ており、賛成派は「国を愛するのは当然の事だ」と主張し、反対派は「戦前への回帰だ」と主張しているようですが、私としては現時点ではなんとも言いがたいものがあります。具体的にどのような方法で愛国心を教えたり評価したりするか、まだわかりませんので。 ただ、反対派の中に見られる一部の極端な意見にはちょっと賛同しがたいものがあります。たとえば愛国心そのものを否定するような意見です。これは作家・池澤夏樹氏の書いた文章を見るのが一番わかりやすいかと思い、紹介してみます。2年前の文章ですが、誤った愛国心の捉え方を見るには格好のサンプルだと思います。池澤夏樹氏のメールマガジン「パンドラの時代」>日本に生まれたから日本を愛せというのは、国民を国の奴隷にするものです。愛という最も心の奥にある感情を国が支配しようとする。>愛国心は批判を拒みます。>国を愛せよというのは今の政策を無条件に肯定せよというに等しい。 池澤氏はまず「愛国心とは国に無批判に追従する事」だと決め付けています。ですが、それは「国に対する偏愛」であって、対象が「国」でなくても成立しうるものではないでしょうか。 例えば人に対する愛であっても、それが昂じるあまりストーキング行為に走ったりする場合もありますし、インターネットをやっている人であれば見覚えがあるとは思いますが、愛する対象(好きなアーティスト、憲法九条など)を否定されると激怒し、一切の批判を許さない人も良くいます。 しかし、そうした人たちの存在を元に「愛なんて素晴らしいものではない」というのは正しい評価ではない、と言うのはすぐにわかると思います。 また、愛するがゆえに苦言を呈する、という愛し方もまたあるでしょう。 「ときどきのちょっとした反逆は、政府の健康のためには必要な医薬品である」「新聞なき政府と、政府なき新聞のどちらを選ぶと問われたら、私は躊躇せず後者だ」 というのはアメリカの第三代大統領、ジェファーソンの名言ですが、政府に対して苦言を呈する事もまた必要である、と言う意味の言葉です。独立宣言を起草し、アメリカの基礎を築いた彼は間違いなく愛国者ですが、批判もまた愛国心の発露であると言う事を知っていました。 愛する対象が何であれ、行き過ぎれば害にしかならないのは確かですが、国に対する愛だけが「常に行き過ぎたもの」である、とするかのような池澤氏や、その他の極端な反愛国心派の言い分には、私は賛同できません。 これに比べるとまだ理解できるのが「愛国心は自然に発生するものであって、強制されるようなものではない」と言う意見です。 愛国心完全否定よりはまだ良いとしても、愛国心が本当に自然に発生するのか、私は疑問です。それにはやはり、祖国が良い国であり、誇るべき伝統や歴史があることをしっかり教育せねばならないと思うからです。 よく言われることですが、日本の教育、特に歴史教育は過度に自虐的であり、自国が過去に行った悪事を強調して教える傾向があると言われます。 例えば、未だその評価が定まったとは言えない南京大虐殺について、中国寄りの見解を書いている歴史教科書が多いですし、江戸時代も幕府の圧政や飢饉で人がばたばた死んだ、と言うように解説されるものが多いように感じます。少なくとも、私はそのような教科書で日本史を習いました。 こういう歴史教育から「日本の良い所を見つけよう」と言っても難しい事は明らかです。なにしろ「良い所」を書いていないのですから。 今回の教育基本法改正に、こうした教育の現状に対する批判・反省が盛り込まれているのは間違いないでしょう。 そこで、私は愛国心教育の一環として、もっと日本の歴史において世界に誇るべき部分を増やすべきだと考えます。 先の例でいえば、江戸時代の日本の諸都市は同時代の世界の中でもとりわけ清潔で住み良く、また治安も極めて良好だった事や、当時の日本人が教育熱心で、識字率が高く、普通の農民でさえ農業技術指導書を書いたり、読める人がいたという事は、もっと伝えられても良い事だと考えます。 昭和の戦争の時代においても、日本占領時代を高く評価する東南アジア諸国の声があることも、強調されて良い事実だと思います。 愛国心教育が、こうした「日本の良い所」を教え、結果として愛国心を涵養していく方向で進むのであれば、私は教育基本法の改正を歓迎します。 そういえば、教育基本法改正案では、最初に上げた「伝統と文化を~」に続いてこう書かれています。「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」 これは国旗・国歌に対するマナー教育なども入るのではないか、と私は思っていますが、ちゃんと排他的で「愛国無罪」的な愛国心教育にならないよう、歯止めをかける一項だと思います。 これでもなお「国に無批判な人間を作るものだ!」「最終的には徴兵制だ!」 とか叫んでいる人は、たぶんこの文章をちゃんと見てないんじゃないでしょうか? まずは、愛国心教育がどのようなカリキュラムを持って為されるのか、今後も観察していこうと思います。「わたしにとって愛国心は人類愛と同一である。わたしは人間であり、人間的なるが故に愛国者である」(マハトマ・ガンジー)
2006.04.28
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先日、竹島近海における海底調査に関する日韓対立は、双方の妥協によってとりあえず決裂を回避し、日本が海底調査を中止し、代わりに韓国が海底地形の韓国名提出を取り下げる、と言う形で決着しました。 そのはずなんですが、早くも一度は先送りにすると決めた問題に点火して回る人が出てきました。他ならぬ韓国の盧武鉉大統領です。~引用開始~盧武鉉大統領:「竹島」挑発に断固対応 テレビで特別談話 【ソウル堀山明子】韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は25日、竹島(韓国名・独島)をめぐる最近の日韓摩擦を受け、「日韓関係についての特別談話」を発表した。盧大統領は日本の領有権主張を「植民地の領土権の主張であり、韓国の完全な解放と独立を否定する行為だ」と批判した。さらに「独島問題は静かな対応で管理できない。物理的な挑発には断固として対応する」と述べ、紛争回避のため韓国政府が続けてきたとする「静かな外交」を全面的に見直す考えを表明した。(毎日新聞:4月25日)~引用終了~ 盧武鉉大統領は場の雰囲気が読めない事で有名で、以前ドイツを訪問した際もドイツとの関係に全く触れず反日演説に終始し、在独韓国人からも「他に言う事はないのか?」と呆れられたと言う前歴がありますが、今回もそれは炸裂した模様です。 少なくとも、両国の交渉が妥結してまだ何日にもならないと言うのに、いきなり「強硬政策を取る」と発言するのは、外交的センスを問われてもおかしくない行為と言えるでしょう。 そもそも、この談話自体がツッコミどころ満載な訳でして、竹島の領有権に関する問題はいざ知らず、他のところまで何から何まで間違っていると言うのは、もう呆れを通り越して笑うしかない状態だったりします。 ちょっと長いですが、大統領の談話を引用してみます。~引用開始~ 独島(=竹島)は特別な歴史的意味を持つ。日本が朝鮮半島侵奪の過程で最初に、日露戦争遂行を目的に編入した。日露戦争は日本が韓国に対する支配権を得るために起こした侵略戦争だ。 日本が独島に対する権利を主張することは植民地時代の領土権を主張することだ。犯罪の歴史の正当性を主張する行為は決して容認できない。 日本が誤った歴史を美化し、それを根拠とする権利を主張する限り韓日友好は成り立たない。いかなる経済的利害関係も文化的な交流も、この壁を溶かせないだろう。 独島問題はこれ以上、静かな対応によっては管理できない。政府はこの問題に対する対応方針を全面再検討する。日本の歴史教科書わい曲、靖国神社参拝問題とあわせて韓日の過去の清算と歴史認識、自主独立の歴史と主権の守護という次元で正面から取り扱う。 物理的な挑発には断固として対応する。世界世論と日本国民に日本政府の不当な処置を訴え続ける。日本政府が過ちを正すまで、国家の全力を挙げて努力し続ける。 韓日両国は世界の平和と繁栄のために力を合わせねばならない。そのためには歴史の正しい認識と清算、主権の相互尊重という信頼が必要だ。日本の決断を期待する。~引用終了(強調は私によります)~>独島問題はこれ以上、静かな対応によっては管理できない。政府はこの問題に対する対応方針を全面再検討する。 私はこの部分を見て一番我が目を疑ったのですが、盧武鉉大統領的にはEEZと領海を勘違いして、公海上に警備船を20隻も派遣した上に、調査に来た他国の公的機関に属する船を国際法を無視して拿捕すると宣言する事は「静かな対応」らしいです。 見ての通り、盧武鉉大統領は竹島問題のみならず、日韓の間にあるあらゆる対立点について、一切の妥協なく、韓国の主張を全面的に全面的に日本に認めさせるまで争う構えです。 今回の一件について、韓国政府にとって最も賢明な態度は「両国の冷静な話し合いにより、衝突が回避された。今後も両国間の対立点に関しては、対話を通じて解決していく」 とでも宣言する事でした。これは別に国際社会向けのアピールだけでもOKです。盧武鉉大統領が既にレームダック(死に体)と言われ、国内向けには対日強硬論を言う事でしか求心力を得られない事は理解されていますから、国内向けならどんなに強硬論を言おうが、国際社会に良い顔をしておけば特に問題にはなりません。 しかし、盧武鉉大統領は最も愚かな道を選びました。強硬論を吐くだけでなく、それを国際社会に大きくアピールすると宣言してしまった事です。しかも、最近の対立がとりあえず回避された直後と言う、最悪のタイミングで。 韓国では来月末に統一地方選挙が行われるのですが、これは来年度の大統領選挙の前哨戦といわれています。そのためにも「反日」で支持率を稼いでおきたかったのでしょうが、国内政治のために国際政治で緊張を作り出そうとするその手法は、到底褒められたものではありません。 結局、韓国には内政にも外交方針にも定見が無い事を露呈し、その主張の信頼性は極めて疑わしいものであると言わざるをえない事を、国内外に示しただけであったと思います。 加えて、韓国外交の責任者である潘基文外交通商相は、25日朝のラジオ番組で、5月に行われる日韓両国のEEZ境界画定協議について「緻密(ちみつ)に準備し、独島が必ず韓国側EEZに含まれるようにする」 と発言しています。 竹島近海のEEZは1999年の日韓漁業協定で「暫定水域」とされており、日韓両国の共同管理下に置く、とされています。しかし、実際には韓国側が警備船舶を常駐させて日本漁船を締め出しており、事実上協定は反故にされた形になっています。 外交通商相の発言は、日韓漁業協定を完全に破棄し、竹島を今後も実効支配し続けるという韓国政府の意思を表明したものです。 韓国政府がこの強硬路線を貫くとすれば、先日の竹島近海調査に関する合意も無視され、海底地形の韓国名案が提出される可能性も、相当高まると見なさなければならないでしょう。 私はもはや日本政府は盧武鉉政権ではなく、その後継者がどうなるかを見据えて動く時期が来たと思われます。今の盧武鉉政権には全く期待できるところがありません。かの政権は国内の不満……というより、自らの失策を対外強硬策によって糊塗しようと言う、最悪の選択をしつつあります。 このような冒険に出た為政者がどのような末路を辿ったか、歴史を紐解けばすぐにわかる事ですが、そのような事を考えられないくらい冷静さを失っているのでしょう。 現在の盧武鉉政権は、韓国がこれまで数限りなく犯してきた誤った考え方を、一切反省する事無く濃厚に持っています。すなわち「朝鮮半島は極めて重要な土地なので、日本は征服しようと考えるし、世界も注目しているだろうと考える、根拠の無い夜郎自大」 です。日本の歴代政権の弱腰な対応が、これを助長してきた面もありますが、基本的にこれはかの国の人々が陥る根本的に誤った考え方であり、日本はこれ以上付き合うべきではありません。 盧武鉉大統領が火薬庫でファイアーダンスを踊るのは彼の自由ですが、爆死するのは貴方だけですよ、閣下、とでも言いたい気分です。「人間が本当に悪くなると、人を傷つけて喜ぶこと以外に興味を持たなくなる」(ゲーテ)
2006.04.25
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竹島を巡って日韓の間にきな臭い空気が漂い始めています……というか、韓国側が勝手に火をつけているだけにも見えますが。自分の家に燃え移らなきゃ良いですね(笑)。 さて、今回の騒動をきっかけに、日韓関係についてちょっと考えてみましょう。 竹島問題に関しては有名ですので、今更細かいところまで解説する必要はないでしょうが、1952年に当時の韓国大統領だった李承晩がいわゆる「李承晩ライン」を宣言し、その内側にあった竹島を占領したのが事の発端です。 以来半世紀に渡って韓国の不法占拠は続いています。日本側はもちろん毎年抗議を続け、さらに問題の決着を国際司法裁判所に預ける事を提案していますが、韓国側は「独島(竹島)が韓国の領土なのは事実だから、国際司法際で争う必要はない」と突っぱねています。まぁ、実際に争ったらほぼ確実に敗訴するので、出るわけにはいかないのが実情だったりしますが。 日本には実はまだ取れる手段があって、それは国連総会で竹島問題を領土問題として訴える、というものです。これは実は領土問題解決のための常套手段なのですが、日本はまだこの「伝家の宝刀」を抜いていません。 さらに最終手段として、軍事力による奪還という手もありますが、これも行っていません。自衛隊は海空戦力では韓国軍を圧倒していますので、その気になればほとんど犠牲を出す事無く、竹島を奪還する事ができるでしょう。 では、日本政府が取り得る手段がまだある(しかも成功率はきわめて高い)のに、それを行わずあくまでも二国間問題として竹島を解決しようとしているのは何故でしょうか? もちろん、国際紛争に及び腰にならざるを得ない国内事情(特に憲法問題)はあるでしょうが、最大の理由はそこにはありません。 かつて、日本が竹島問題で恐れていた最悪のシナリオとは、これによって完全に韓国を敵対勢力側に追いやる事でした。つまり、共産圏側に。 もともと、朝鮮半島に敵対的な勢力が進出してくるという事態は、日本にとって安全保障上一番回避したい事でした。日清・日露の両戦争も、元はといえば朝鮮半島に清やロシアの勢力が進出した場合、日本の独立が脅かされる事態になることが最大の理由です。賠償金やら領土やらを取ってはいますが、それは当時戦勝国が得る当然の利益だったからであって、それを目的に戦争をやったわけではありません。 日本にとって本来朝鮮半島の国家にこうあって欲しいという姿とは、日本とは友好的で、かつ危機に際しては共に手を携えて戦うことのできる、それなりに発展した国であることでした。言って見れば「白村江の戦い以前の百済との関係」が理想でした。 ところが、韓国は日本の期待に応えられる国ではなく、清やロシアの顔色を窺い、場合によっては日本に敵対しそうな有様でした。小国が生き延びるための知恵と言えばそれまでですが、そのやり方があまりにも拙劣だったため、日本も諦めて「こりゃ自分たちで統治した方がマシだ」という事になり、併合へ繋がっていきます。 話がだいぶずれましたが、ともかく日本は韓国を敵対勢力側に追いやる事はできませんでした。いや、韓国単独なら別に恐くも何ともないのですが、そこにソ連やら中国やらが基地を作った日には一大事です。 また、アメリカとの関係もあります。冷戦時代ではアメリカから見れば、日韓は共に同盟国です。仮に東アジアで戦争がはじまれば、韓国は最前線、日本は後方基地であり、その両国が対立していると言うのは、非常に都合が悪い事になります。 どっちかに一方的に味方する事など、もちろんできない相談です。そこで、アメリカは竹島問題に関しては中立を貫き、日韓が平和的に解決する事が望ましいとしかコメントしていません。 おそらく、竹島問題で日韓関係が著しく悪化し、それがアメリカの極東戦略に重大な影響を及ぼすのであれば、アメリカは何らかの制裁を匂わせて、それを仲裁にもって行く方向で動いたでしょう。しかし、それが実現した日には、残るのは日韓両国のアメリカに対するしこりだけであり、それを喜ぶのは共産圏諸国だけです。 幸いといっていいのかどうか、外交下手と言われる日本政府(正確に言うと外交下手なのは外務省だけです)にも、こうした情勢を理解する能力はありました。そこで日本が選択したのは、竹島問題に関しては徹底的に事を荒立てない事でした。 一応の抗議はしますが、広く国民に知らせる事はせず、問題が大きく炎上することを避けたのです。 仮に竹島問題が広く国民の間に知られていたら、おそらく政府にとって極めて制御困難な政治的混乱が生じた可能性が高いでしょう。多くの人々は竹島奪還を求めるでしょうし、一方でいわゆる「進歩的」な人たち(今で言うプロ市民な方々)が「心の祖国」からの指令を受けて、世論(と日米韓三極同盟)の分断に暗躍するのは目に見えています。 とりあえず自由主義圏内での安定を志向し、日韓対立を煽らない。これが日本の取れる手段の中ではベターなものでした。 一方の韓国ですが、そこまで考えて行動している人はほとんどいませんでした。貴重な例外は、クーデターで李承晩を叩き出した朴正熙でしょうか。彼は「独島なんかはダイナマイトで爆破してしまいたい」と語っています。 国民感情を考えれば、竹島返還には応じられない。かと言ってそのままにしておけば、いずれ日本は韓国の敵に回り、そのとき韓国に勝ち目はない。そう考えれば、竹島なんかこの世から消えてしまえばいいのだというのは、彼の偽らざる心境だったことでしょう。 そして、朴正熙が暗殺されると、韓国は竹島の実効支配を続け、しかもその行為に対する自己評価は年々エスカレートの一途をたどりました。いまや竹島は韓国にとっては独立と言う輝かしい勝利の象徴であり、同時に日本が現在も韓国支配を狙っていると言う被害妄想を補強する材料になっています。 しかし、時代は大きく変化しました。 強大なソ連は既に滅び、神秘のベールに包まれた「謎の軍事大国」北朝鮮の実態は、肥大化した張子の軍隊を抱えた世界最貧国に過ぎないことが明らかになりました。 しかも、歴史的に北朝鮮の庇護者だった中国やソ連の後継者ロシアは、既に北朝鮮を見捨てています。今の両国は、今後来るべき北朝鮮崩壊に伴う被害をできるだけ少なくして、自分たちが巻き添えを食わないようにすることしか考えていません。 この事は、朝鮮半島においては既に冷戦構造が消滅している事を意味しています。中露には北を支えて、半島で日米と対決する意志などないのですから。そして、それは同時に最前線だった韓国の重要性の消滅をも意味しています。例えば、ダグ・ベンド米カント研究所研究員は「米国において韓国は莫大な費用と犠牲を注ぐほどの死活的な利益の対象ではない」とコメントしています。 その事を理解していないのが韓国だけであると言うところが大問題です。韓国は相変わらず自分たちが東アジアの中で極めて重要な存在であると言う、誤った認識を抱きつづけていますが、現在東アジアで真のホットスポットとなっているのは、中国の海洋進出志向により最前線になりつつある東シナ海です。そこで重要なシーンプレイヤーは日米台中であり、韓国の出番はありません。 ですが、韓国はその事を全く理解せず、「自分たちは重要な国だ」という思い込みのままに行動し続けています。その典型例が「北東アジアバランサー論」でしょう。あれは韓国からしてみれば、全方位外交のつもりなのでしょうが、傍目には明らかに韓国の対日・対米離反志向を示したものです。米国議会調査局朝鮮情勢専門官のラリー・ニクシュ氏は「こうした新目標(注:バランサー論のこと)がもし実行されれば米韓同盟は破綻する」と述べています。 冷戦期なら、中ソにとっては「韓国をこちら側に引き込み、日本を脅かす機会」になるのでしょうが、現在の日米中から見れば「東シナ海以外に半島に“第二戦線”を作らせる気か? ふざけるな何様のつもりだ。いい迷惑だ」 という事になります。 この韓国の重要性低下が、日本の外交政策にも現れています。昨今竹島問題で日本が従来になく強硬な姿勢を示しはじめたのは、既に「韓国は敵に回しても大勢に影響を与える存在ではない」 という認識を日本政府が持っている事の表れです。 つまり、韓国が敵に回るとしても、それは韓国単独の事で、中国とは連携してこない(と言うか中国が連携しようとしない/できない)と言う事です。中国は日米台に海空戦力で圧倒的劣勢にあり、半島に関わる余裕はありません。韓国単独であれば日本から見ればちょっとはウザイかもしれませんが、十分片手間であしらえます。 しかも、韓国はいずれ北朝鮮と言う巨大な爆弾を抱え込む運命にあります。そのとき彼らを支えられるのは日米しかいないのに、それと対立しようと言うのですから、放って置いても自滅するのがオチです。それが読めているから、日本は対韓強硬姿勢を心置きなく(?)取れるようになったのです。 日本がまだ国連総会での提訴などに訴えないのは、韓国にたいして「今なら大事にならずに済むんだから、情勢を読んでおとなしくしてくれ」とメッセージを送っているようなものです。そのサインを韓国が読めれば、竹島問題は解決の方向へ向かうでしょう。しかし読めなければ……? 現在の韓国にとって最善の道は、自分たちが北東アジアや世界の中で重要な位置を占められる、という思い込みを捨て、日米とは協調の道を選び、大人しくしている事です。仮に中国と協調するにしても、積極的に日米に敵対しない事です。 それを理解できずに無駄に目立とうとすれば、いずれ首に縄をかけた状態で足元の台を蹴っ飛ばす羽目に陥るでしょう。そのとき助けてくれる相手は誰もいませんよ。「我侭勝手に振る舞っている者は、自ら懲りて学ぶより他はない」byウィリアム・シェイクスピア「リア王」より抜粋
2006.04.20
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現在外務大臣をやっている麻生太郎氏といえば、いわゆる特定アジアへの痛烈な発言でとかく話題の政治家。国民的人気は今ひとつと言われていますが、一部ファンには絶大な人気を持つ人でもあります。 麻生氏は読書家でもあり、何でも偏りなく読んでいる様で、マンガも好きだそうです。「ジパング」や「ゴルゴ13」が愛読マンガだと言うのは本人も認めていますが、ネット上で根強く囁かれる噂として、麻生氏がアニメにもなっている美少女人形たちがヒロインの萌え系マンガ「ローゼンメイデン」の愛読者である、というものがあります。 これは成田空港で飛行機待ちをしている麻生氏が、待合室でおもむろに取り出して読んでいたのが「ローゼンメイデン」の単行本だった、という目撃談によるものですが、その真偽に関しては定かではありません。 しかし、この度その噂に関して気になる情報を入手しました。 福岡県遠賀郡芦屋町にある岡湊神社では、毎年この時期になると「あしや人形感謝祭」を行っています。 これは祇園社でもある同神社で毎年夏に開いている山笠祭りで、人々の身代わりとなって厄を受け止める博多人形に感謝するためのお祭りだそうですが、今年はそのマスコットとして「ローゼンメイデン」が選ばれています。 まぁ、それ自体はここ数年の萌え系文化に応じて実行委員会が選んだだけだろう、と言う見方もできるのですが…… 福岡県遠賀郡芦屋町(福岡8区)は麻生氏の選挙区なのです。 ちなみに、私は麻生氏にもローゼンメイデンにも特に含むところはありませんので、その点はご了承ください。 噂が本当なら面白いだろうなとは思いますが(笑)。
2006.04.16
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海賊と言うと過去の遺物のように思えますが、実は今でも健在で、世界の各地で被害が多発しています。昨年に日本のタグボートが海賊に襲撃され、拉致された船長らが奇跡的に救出された、という事件「韋駄天事件」や、1999年にやはりマラッカ海峡で襲撃された「アロンドラ・レインボー号事件」を覚えている方も多いでしょう。 彼ら現実の海賊は小説や漫画の海賊のようなロマン溢れる存在ではなく、悪質な犯罪者です。彼らの手口は小型の船舶で目標に近づき、銃撃を加えてこれを制圧。船を積荷ごと強奪すると、積荷は密売し、船は船籍登録証を偽造し、「幽霊船」となって麻薬・武器の密売などに使用されます。「アロンドラ・レインボー」も幽霊船になっている所を発見されました。 この事件がおきたマラッカ海峡を含む東南アジア近海は、現在世界中でも有数の海賊事件多発地域であり、各国が合同で海賊対策に乗り出しています。ASEANでは日本にも協力を求めており、海上保安庁や海上自衛隊の艦船を派遣する事が望まれています。 これに対し、日本は海保のCL型巡視艇(20メートル級の中型艇)をインドネシアに無償供与する他、運用要員の教育などで協力する方針だそうです。 そして、東南アジアと並ぶもう一つの海賊銀座が、アフリカのソマリア近海です。 ソマリアは現在無政府状態で、各地に軍閥が割拠しての内戦状態が続いています。そのため治安も悪化しており、様々な武装勢力が海賊として近海を通行する船舶を襲撃する事件が多発しています。 ソマリアといえば、映画「ブラックホーク・ダウン」で知られるように、米軍を中心とする国連軍が上陸して治安維持に当たろうとしたものの、結局は失敗に終わり撤退した場所です。しかし、こうした地域はテロリストの温床になりやすいため、米海軍が沿岸のパトロールを実施しており、しばしば海賊との間で交戦が行われています。 先日、3月20日頃もこんな事件があったそうです。[ワシントン 18日 ロイター] 米海軍の発表によると、インド洋ソマリア沖で18日、米海軍の艦艇2隻が海賊と思われる船からの発砲に応戦し、海賊らしき人物1人が死亡した。 事件が発生したのはソマリア沖約40キロの地点。事件当時、米海軍のミサイル巡洋艦とミサイル駆逐艦が、海上保安活動を実施していた。 米海軍当局によると、米軍が2隻の小船をけん引した船を発見し、通常どおり検査のために乗り込もうとしたところ、海賊らしき複数人が携帯型ロケットランチャーのようなものを持っていたのに気付いたという。 その後、米軍に向けて発砲したため、米軍は小火器で対抗した。 この銃撃戦で、海賊と思われる1人が死亡。米軍側は、負傷した5人を含む12人の身柄を拘束した。 米軍側に負傷者はいなかった。 そして、同じ事件を報じたCNNのニュースがこれです(英語)。 えー、写真の小船は米海兵隊の特殊部隊のボートとかではなく、これが海賊船だそうです。 一方、米海軍の艦艇は巡洋艦「ケープ・セント・ジョージ」(9,600トン)と駆逐艦「ゴンザレス」(8,300トン)。英語なのでわかりづらいかと思いますが、どちらもいわゆるイージス艦です。 まさに無謀。まぁ、ボートでは全速で走ったところで逃げられるはずもなく、死中に活を求めて攻撃したのかもしれませんが……素直に投降した方が犠牲が少なくて済んだでしょう。 東南アジアの海賊は反撃しなければ人を殺す事は少なく、人質を解放するときも200ドルを渡すという習慣があるそうですが、ソマリアの海賊はかなり荒っぽいようですね。 そして、この関連ニュースを探している時にこんな記事が。CNN.co.jp : 米駆逐艦、ソマリア沖で海賊船を拿捕 26人拘束(1月23日)ドバイ(AP) 米海軍によると、ソマリア沖で海賊船とみられる帆船を追跡していた米駆逐艦ウィンストン・チャーチル号は22日までにこの船を拿捕(だほ)し、乗っていた26人全員を拘束して事情を聴いている。 バーレーンの米中央軍海軍司令部によると、チャーチル号は20日、国際海事局(IBM)から、ソマリア沖で貨物船が銃撃を受けたとの報告を受けて、追跡を開始。21日に2回にわたる威嚇射撃で帆船を止め、拿捕した。船内からは小型の武器などが押収された。 帆船に乗っていたのはインド人16人、ソマリア人10人。この中には合法的な乗組員も含まれ、「6日前に(ソマリアの首都)モガディシュ付近で海賊グループに乗っ取られた」と話しているという。 ソマリアは武装勢力による分割支配で事実上の無政府状態が続き、同国沖では海賊事件が多発している。>海賊船とみられる帆船∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵。∴∵∴∵∴∵:。∴∵∴∵∴: --─- ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵゜∴∵∴∵∴∵ (___ )(___ ) ∴∵。∴∵∴∵ ゜∴∵∴∵∴:∵∴∵_ i/ = =ヽi ∴∵∴∵。∴∵∴∴∵☆彡∴∵∵ //[|| 」 ||] >>海賊∴∵:∴∵∴∵∴∵∴∵ / ヘ | | ____,ヽ | | ∴:∵∴∵∴∵:∴∵∴゚∴∵∴∵ /ヽ ノ ヽ__./ ∴∵∴∵:∴∵∴∵∴∵∴∵ く / 三三三∠⌒> ∴:∵∴∵:∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵ ∧∧ ∧∧ ∧∧ ∧∧ ( )ゝ ( )ゝ( )ゝ( )ゝ ムチャシヤガッテ・・・ i⌒ / i⌒ / i⌒ / i⌒ / 三 | 三 | 三 | 三 | ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ 三三 三三 三三 三三
2006.04.05
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