『オトタケ先生の3つの授業』
、下平けーすけ(絵)、講談社、2011、1300円)
児童書ですが、子どもたちだけでなく、学校の先生にぜひ読んでほしい本。
オトタケ先生が小学校の先生をされていたときのオリジナル授業が生き生きと描かれています。
僕が解説するより、 著者自身の解説 を読んでもらった方が早いですね。
あとがきから転載します。
============================= 2007年4月から2010年3月までの3年間、
僕は小学校で教員をしていました。
担任していたのは、元気いっぱいの3、4年生。
(中略)
僕がクラスの子どもたちのために考えだし、実際に行ったのが、
本書に収録した3つの授業です。
子どもたちに伝えたいメッセージを、
「授業」という形にしていくのは、
むずかしくも、楽しい作業でした。
どんな題材を選び、どんな質問をし、
どんな流れで45分間を進めればいいのか。
ノートが真っ黒になるほど、検討を重ねました。
きれいごとをならべただけでは、決して子どもたちの胸に届きません。
僕がこれまでの人生で経験してきた出来事やエピソード、
すべての引き出しを開けて、授業の材料を探しました。
そうしてできあがったのが、
「努力」について考える『星に願いを』、
「多様性を認める心」について考える「心のバリアフリー」、
「命の尊さ」について考える「犬のキモチ」 という3つの授業です。
(後略)
2011年 初夏 乙武洋匡
=============================
授業記録がそのまま物語になった本なので、
授業を受けている子どもたちと同じ気持ちになってオトタケ先生の考え抜かれた発問に、
思わず答えを探してしまう自分がいました。
「道徳」の授業案はこれまで有名な先生が書かれたものを
たくさん見てきましたが、オトタケ先生の授業の流れは
子どもたちに自然と考えさせるようになっていて、
ベテランの先生の授業に勝るとも劣らない名授業だと感じました。
(教師用の授業案や授業記録よりもこういった本のほうが、
絵がある分だけ授業の様子や子どもたちの表情がよくわかって、
自分としてはその分よけいに勉強になりました!)
乙武さんは先生になられる前は教職経験はほとんどなかったと思いますが、
オトタケ先生の人生経験と子どもたちの側に立つ気持ちの強さが
素晴らしい授業を生み出すことに直結していたのでしょうね。
教師として、こんな授業を受けられる子どもたちは幸せだし、
自分で世の中の問題をどんどん考えていくようになるだろうな、と思いました。
自分もこういう授業をどんどんしていきたいものです。
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(授業内容メモ) ※自分が授業をするときのためのメモです。
【星に願いを】 実施時期:七夕
短冊に書いた子どもたちの願い事を
先生が意図的に黒板の右と左に分類していく。
先生はどんな意図で分けているんだろう・・・?
【心のバリアフリー】
黒板には「障害者ってかわいそう?」の文字。
意見交流した後、「オトちゃんルール」のプリントを配布。
このことが発問を具体的に考える契機になる。
【犬のキモチ】
「おうちで、なにか動物をかってる人?」の質問から開始。
子どもたちの話を聞いてから、
先生がかっている犬(シャンティ)の写真を見せる。
次に、シャンティが載っている1冊の写真集を見せる。
ページをめくっていくと、それぞれ「イエス」とか「ノー」と書いている。
これは何に対してなんだろう?
表紙には" Do you have a home?
"の文字。
ここから、家のない犬たちが処分されていく現実を知らせる流れに。
現実を知った子どもたちはどう考えるのか?
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