ちょっと前に紹介した本。
『 海ちゃんの天気今日は晴れ
発達障害の子どもと育つ』
(山岡小麦/マンガ、 大和久勝/原案
、クリエイツかもがわ、2012、1500円)
小学3年生の学級担任の視点による、
実践記録を基にしたマンガです。
登場する「海田(かいた)くん」は、多動で、集中するとのめりこみやすく、
周囲からは勝手気ままで"わがまま"というふうにとられかねない子。
誤解を恐れずにあえて言うならば、
受け持った担任や同じクラスの子どもたちが
振り回されて大変な目に合ってしまいそうな、
いわゆる「大変な子」と思われるような子でした。
学校現場では、まさに「こういう子、いるなあ。」と思う子ども像
そして、作中の担任の先生のかかわりは、まさに「こういうこと、あるよなあ(あったなあ)。」と思えるものでした。
個人的に印象深かったところをピックアップしてみます。
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『 海ちゃんの天気今日は晴れ
』
(ページ番号に続く ・以降の 太字
部分が、本の内容。
セリフかぎかっこの前のTは「先生」、Cは「子ども」という意味です。
その後の緑文字は僕の個人的コメントです。)
(p27 3・4コマ目)
・
帰りの会――
ここのところ 毎日ほめていたが、
T「今日の海田くんの生活は
いけないところがいろいろありましたね」
私が 悪い点をみんなの前で はっきり 言ったので
おどろいたのか
めずらしく 神妙に 聞いていた。
物語中特に重要でもないようなシーンなのですが・・・。
僕は個人的に、これ、自分と他の先生を比較してみて、
「こういうこともたまにはしないとなー」
と思いました。
自分はあんまり、こういう、悪いことをはっきり指摘する、ということを
しないほうなので・・・。
でも、いろいろな先生方の指導を見させていただいて、
バランスを取るというのか、
ほめるだけでなく、悪いことは悪いとはっきり指摘する、というのは
とても大事だなあと思っています。
僕の場合、その場で指導することはあっても、
後になって、帰る前にもう一度、というのは、
なんだか帰る前に雰囲気を悪くするようで、意図的に避けてきました。
ただ、それは「逃げ」なんじゃないかな、という気もしています。
他の先生方の「帰りの会」での「先生の話」をいろいろ聞かせていただくと、
けっこう、この最後の指導というのが、子どもたちの心に届いているようです。
(p91 1・2コマ目)
・ T「『先生が言った』 『お母さんが言ったから』 じゃなくて
大事なことは 自分の考えで 決めるんだ 」
T「ノートに書くから」
C「うーんと ・・・最初は・・・」
こうして 「海田くん憲法」が できあがった
ここは重要なシーンだと思います。
「○○くん憲法」。
別に憲法でも忍法でもなんでもいいんですけど(忍法はちがうか)。
大事なことはやっぱり、本人が自分の言葉で
「僕は ~~ します」
と言うことですね。
それがなかなか難しかったりするのですけど、
そのために先生は子どもと関係づくりをしているのだ、と
僕は思うところもあるぐらい、
子どもが自分で決めるというのは、すんごく重要なことだと思うのです。
(p160「大和久先生からのメッセージ」より 職員間の連携について)
・毎週金曜日には 教育相談部会の話し合いの経過や結果が
部会の責任者から報告され、
みんなで確認し合いました。
これらは、私にとっては、とても心強いことでした。
たとえば、
(略) の時は担任である私が付き添っていていいということを
提案し認めてもらいました。
出張当番も、 (略) 免除してもらいました。
また、海田くんが一人でいたい時のために、
多目的室の隅の一角をパネルで仕切って
海田くんルームとしてもらいました。
これらの特別な処置は、海田くんを指導していく上で
大きな安心となりました。
周囲の納得・合意に支えられるということは、
とても大事なことです。
この学校ならではのこともあると思いますが、
取り組みの内容が何であれ、
最後に引用した「周囲の納得・合意に支えられるということ」は、
僕もとても大事なことだと思います。
ケース会議や打ち合わせ、反省会などは
多忙なときにはなかなかその時間をとることも難しかったりするのですが、
1人の子・1人の先生を大事にするからこそ
そういう時間を優先的にとっていくという職員チームの雰囲気が
何より、がんばっていけるベースになるのだと思います。
決まり事や学校環境も、そんな話し合いの中で
柔軟に変えていける、というのは、とても理想的で、いいなあと思いました。
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この本のマンガになっているストーリーは、
僕が特別支援学級の担任として
通常学級の中で入りこみ支援をしながら
「これからどうしていったらいいだろう」
と悩んでいたころと、ぴったり重なります。
学級や学校の中で、「個を生かす」ということを
考えておられる多くの先生方に
一度読んでいただきたい本です。
マンガなのですぐ読めますよ。(^0^)
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