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昨日、日経平均がバブル最高値を更新を更新した。終値でも更新。昨夜の米株高を受けて、日経先物も上昇中。しかし、日経平均がバブル最高値を更新するとは、実に感慨深い。僕が株式投資を始めた2001年当時、日経平均は1万円をウロウロしていた。バブル最高値の1989年12月以降、10年以上も下落相場が続いた訳だ。当時、株式投資はやるものではない、という認識が日本中蔓延していた。嘘かホントか、株には手を出すな、という家訓があるという話もよく聞いた。今のようにインターネット上で情報がすぐ手に入るという事もなく、今と違って事業報告書は白黒印刷。IRなんて言葉がない頃、事業報告書にはグラフも要点も記載されていなかった。どの会社の事業報告書を見ても、いつも出だしは同じようなことが書いてあった。不況、業績低迷、先行き不透明。確実に言えるのは、当時、株式投資をやろうと行動した奇特な人間に先見の明があったのではない、という事だ。恐らく真逆だ。馬鹿な人間ほど株式投資をやったのだ。僕は株式投資を始めて間もなく、2002年卒として就職活動を行ったが、この時期は就職氷河期で最も就職難だった時代。2000年卒~2004年卒を就職氷河期、就職が最も厳しかった時代と捉えて欲しい。この時代に若くして株式投資を始めた人間は、まともじゃない。まともな人間は、こんな閉塞感の中で日本の未来に投資をしない。まともな人間は、株式投資なんかしている状況じゃない。生きるのに精一杯だった。遅くまで残業をして、疲れ果てて家に帰り、そこから睡眠時間を削って株式投資をする余力なんてない。今と違い情報がインターネットですぐに手に入る時代じゃない。ネット証券黎明期。証券口座を開くのだって、それなりにハードルが高い。口座資金1億円以下の客はゴミだと言われていた時代に、バイト代で貯めた十数万円を持って野村證券店舗を訪れた大学3年生。「すいません、株を買いたいんですけれど」。株式市場に入るタイミングからしたら丁度良いと思われるかもしれないが、そうではない。リーマンショック、ライブドアショック以降の株価の暴落はすさまじいものがあった。日経平均が1年ちょっとで半分以下になったが、小型株はそれより1年早く暴落が始まり、半分の半分の半分になった。阿鼻叫喚。多くの人が何も言わずに去っていった。今残っているのは、それを経験した投資家。その投資家が優れているという訳ではない。色々な条件が上手く合っていただけだ。多くは独身投資家だろう。結婚して子供もいるような家庭で、投資資産が半分以下になって、まだまだ下がる、金融市場が崩壊する、資本主義の終焉だ、というような状況で、今がチャンスと投資資金を増やすことは出来ないだろう。多くの会社は、コスト削減、リストラ、設備投資見送り。そんな時代だ。投資をすることができる環境にあるのは、やはり負うものが少ない独身者か、後に引けない専業投資家位だろう。2011年3月11日金曜日は東日本大震災が発生し、以降、日本は壊滅的なダメージを受ける。多くの予想に反して、急激な円高となった。これは日本企業が外国から資金を戻した事による。放射線漏れ、メルトダウン、政治不信、大幅な生産能力低下、深刻な電力不足、引き上げる外国人、翌週から続く株安。止まらない株安と円高。政府・日銀は円高容認。大転換はアベノミクス。3本の矢。1本目の矢は財政拡大、すぐ折れた。2本目の矢は金融緩和、これは日銀が実施。3本目の矢は構造改革、これデフレ脱却に何か意味があるのか?ともあれ、異次元金融緩和が続き市場に資金があふれ返った。何が何でもデフレを脱却させないという強い意志を持った政権がブレずにデフレ継続政策を取った為に、フローが上昇せず、ストックが上昇し続けた。長く続いた法人税減税の影響もあり、ストックは主に企業の内部留保に回った。デフレ下で、日本企業は国内設備投資はしなかった。海外投資を増やした。海外投資をしない企業は負債を返却した。2020年コロナショック。短期的に株価は大暴落したが、全世界での大規模金融緩和によりすぐに反発。金余り資金は株式市場に向かった。世界中で上がり続ける株価。株価は上がりに上がった。昨日の高値は今日の底値、今日の高値は明日の底値。何れ来ると多くの人が思っていた大不況は、多くの人が思っていたので来なかった。ハードランディングがないなら、と株価は更に上がった。世界中でインフレになり、金利が上がった。不況は来なかった。日本は、日本人労働者はデフレに苦しんでいた。失われた10年は失われた20年になり、失われた20年は失われた30年になった。デフレ脱却の目が出ると消費税増税して景気の腰を折り、プライマリーバランス黒字化目標を掲げるなど政府は長期的に国力低下をさせる気満々。だが、海外からインフレが押し寄せてきた。日本は外圧に弱い。今回も外圧に屈した。デフレ脱却。インフレなのかスタグフレーションなのかは分からないが、兎に角デフレを脱却した。ストックならある。膨大に。これが動き出せば、いつでもフローが上昇する。フローが上昇すれば、業績も上がる。賃金も上がる。業績が上がるなら株価は先行する。株高。それでも異次元金融緩和を続けて円安。株高。ざっと書けはこんな感じだろうか。日経平均構成銘柄が変わっているので単純比較は意味がない、為替を加味したドル建て日経平均だと2021年の水準には届いていない。そんなことは分かっている。それを踏まえて、感慨深い。バブル時と今とでは全然違う。企業の収益力も資産も今の日本は大きくなった。当たり前だ。そんなことは分かっている。それを踏まえて、感慨深い。バブル時は5年で日経平均が4倍になっている。今は10年で4倍だ。ただ、10年で日経平均が4倍になる世界が来るなんて、信じられたかい?少なくても就職氷河期世代の自分には信じられないね。10年で4倍なら、20年で16倍じゃないか。30年で64倍だ。信用取引していたら、10年で16倍か。めでたいね。こんなバカみたいな上昇相場が続くなら、誰でも株式投資で億万長者だ。今後株価がどうなるかは分からないし、予想しても仕方がない。ただ、当時は永遠に超えられないすらと思えたバブル最高値を更新したんだ。余韻に浸ろう。
2024.02.23
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電子書籍の目次です。電子書籍1 はじめに電子書籍2 はじめに2電子書籍3 資本主義社会とは何か ~お金を貸せば金利が発生する~電子書籍4 投資家として大事な心構え ~ゆっくりとお金持ちになるように意識する~電子書籍5 自分の性格に合った投資手法を見つける ~自分の性格に合った手法でなければ無理が生じる~電子書籍6 短期投資と中期投資が違うのと同じくらい、中期投資と長期投資は異なる ~中長期投資という概念を捨てる~電子書籍7 基本はファンダメンタル分析で行うべき ~テクニカル分析は心理学~電子書籍8 自分が理解できることをやる ~理解できないことをやると必要以上にリスクをとってしまう~電子書籍9 投資家は孤独に慣れる必要がある ~コミュニティから距離を置く~電子書籍10 他人からの礼賛は不要 ~承認欲求は身を亡ぼす~電子書籍11 買値に意味はない ~含み損、損切、ナンピン、云々には意味がない~電子書籍12 信用取引は買値に意味が生じる ~現物取引と大きく違うトレードが必要になる~電子書籍13 MEANING の投資手法① ~中期逆張り投資~電子書籍14 MEANING の投資手法② ~分散投資~電子書籍15 MEANING の投資手法③ ~ファンダメンタル分析~電子書籍16 MEANING の投資手法④ ~低 PER 銘柄への投資~電子書籍17 MEANING の投資手法⑤ ~ ROE が上昇する銘柄~電子書籍18 君は備えていたか? ~そうなった時にどうするか、そうならなかった時にどうするか~電子書籍19 バリュー投資の弊害 ~バリュー投資家の解釈が正しい訳ではない~閑話休題電子書籍20 ●蛇足① 常識を疑おう基礎編『PER』 PER は低い方が良いのか?電子書籍21 ●蛇足② 常識を疑おう基礎編『PBR』電子書籍22 ●蛇足③ 常識を疑おう基礎編『ROE』電子書籍の投稿 終わりです。
2024.02.17
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お疲れさまでした。5ヵ月に渡って週1回続いた電子書籍の投稿も、やっと終了です。長かったですね。この電子書籍の内容はかなり力を入れて書きましたので、できるだけ多くの人に読んで貰いたいという希望がありました。2022年4月の販売当初、販売価格は1250円でした。時間が経つと全然売れなくなったので、途中から100円とか10円とか、ただ同然の価格設定にして欲しいとお願いして、500円位にしてもらった記憶があります。値下げ後も大して売れてなかったので、できるならただで配布して欲しい、とフィスコの担当者さんに無理をお願いしていました。という流れで、去年の夏頃、フィスコの担当者さんにお願いして販売停止してもらい、このブログでの投稿を了承してもらいました。本当は電子書籍ではなく紙媒体での書籍出版をいつかしたいと希望していたのですが、昨今の相場環境では資産を急増させている個人投資家が多そうなので、諦めました。今後電子書籍も販売する気はありませんので、これが僕の最初で最後の作品となります。内容的には満足のいく出来だと考えています。僕の投資哲学の集大成。この哲学が確立されたのはかなり初期で、投資を続けるに従い、こなれてきた感があります。相場環境が変わってもこの哲学は今まで変わることはありませんでしたし、今後変わることはないでしょう。フィスコの担当者さんからは「お忙しいと思いますのでゆっくり書いて良いですよ」と言われていましたが、内容については5日間程度で全部書いたような記憶があります。鬼気迫る、とは言い過ぎでしょうが、仕事、家事、育児、投資をしながらこのボリュームを5日間程度で書いたのは我ながら凄いと今は思います。まだあれから2年も経っていませんが、今の僕には出来ないかな。完成した文章は物凄い時間をかけて何度も何度も読み返して推敲し、フィスコさんに原稿を渡しました。フィスコさんが個人フリーランスの方に外注しているのか何か分かりませんが、PDF化の微修正が脱字誤改行強調文字抜け等の嵐でしたので、そこから更に何度も何度も読み返して推敲を繰り返しました。修正した個所が修正されていなかったり、前回問題なかった全然違うところが脱字していたり、という感じで修正原稿を渡す度にPDF化された出来栄えを何度も何度も読み直したり再修正を依頼したりしたので、合計で100回以上は読み返したと思います。本当に、物凄い時間とエネルギーを注ぎ込みました。このような機会を頂けたフィスコさんには感謝しています。何の制限もなく自由に書かせて頂いて、書いた内容を殆ど修正することなくそのまま販売して、投稿後もこちらの要望の通り値下げや販売中止、ブログへの投稿を了承して頂き、本当に僕の自由にやらせて頂きました。フィスコさんが販売する個人投資家の電子書籍は僕が最初だったようですが、販売数が伸びず申し訳ない気持ちで一杯です。声を掛けて頂いた際に、まず最初にZoom打ち合わせを行ったのですが、僕が「四季報の業績予想は間違いだらけで嘘ばかりなので、それを信じて投資をするのは間違い」というような内容の発言をした際に、出席されたフィスコさん側の二人のうち一人はとても驚き、もう一人は深く頷いていたのがとても印象に残っています。頷いてくれた人は、とても知識豊富な方で、マイナーな銘柄のマイナーは話をしてもちゃんと拾ってくれる方でした。例えば、ワールドインテックの社長がマンションディベロッパー畑出身で、その繋がりからサンシティビルドを安値で買ったというと、あぁあの九州で有名な社長ですね、と拾ってくれる。軽く解説すると、ワールドインテックと言うのはワールドホールディングスの一つの会社であり前身となる会社、サンシティビルドというのは倒産したサンシティの子会社です。このサンシティはかなりの体育会系の会社で伸びに伸びまくっていた過去のある会社でした。このサンシティビルドをただ同然で買い叩いた時から、ワールドインテックの業績が伸びることは確実だと感じたという会話です。ワールドインテックの社長は九州で有名なやり手社長で、多方面で繋がりも多い。この社長が広げた大風呂敷(何も根拠を提示していない超高成長の中期計画)をちゃんと畳んだ、という話のストーリーです。ちなみに、驚いた人はフィスコに入社されてまだそれほど経過されていない人で、とても奇麗な方でした。しばらく後にヤフーファイナンスに表示されたフィスコの広告に出てきた時に、あ、この人あの時の人だ、と驚いたものです。こんなに奇麗な人が世の中に居るんだなぁ、と思ったのですが、後からこの人猟師の資格を取って猟をやっていると知って、フィスコって凄いな、と思いました。かなり脱線してしまいました。閑話休題。今回投稿した電子書籍の内容が、多くの人の役に立てることを願っています。この電子書籍の内容が正しいこと、有益なことは、僕が保証します。投資において最も重要なこと。それは、ゆっくり時間をかけてお金持ちになること、です。そして、株価は常に適正価格。でも今日の適正価格と明日の適正価格は一致しない。右往左往しても仕方がない。自分の性格に合った投資手法を貫くだけ。好きこそものの上手なれ。大事なのは投資を好きになること。他人は気にせず、好きなようにやれば良いんです。僕から教えられることは、大体こんなもんです。それでは、また鉄火場で逢いましょう。
2024.02.10
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_ ROEは高い方が良いのでしょうか? いえ、違います。 それでは、ROEは低い方が良いのでしょうか? いえ、違います。 ROEの数値を切り取って、高い方が良いとか低い方が良いとか、そういう事をいうのはナンセンスです。 PER、PBR、ROE。 投資家にとってはこれら3つのバランスが重要なのです。色々と特殊な場合を除けばPERは低い方が良いですが、PBRとROEについては低い方が良いとか高い方が良い とか、そういうものではないのです。 どのような事業で、どのような経営をしているのか、そしてこれからどのような経営をしていこうとしているのか、それによって変わります。 単純にPBRは低い方が良い、ROEは高い方が良い、というものではないのです。 いや、もちろんPBRは低い方が投資家の資産に対する評価が低くて長期的には投資妙味がある場合が多いでしょう。ROEは高い方が資産効率が良くて中期的に投資妙味がある場合が多いでしょう。そうすると、その2つを合わせて、PBRが低くてROEが高い方が良いでしょう。否定はしません。 ただ、これは同じPER 水準での話です。PBRが低いとその分ROEも低くなる。ROEが高ければPBRも高くなる。PERとPBRとROEの関係からすると、当然そうなります。 PBRを取るか、ROEを取るか。どちらが良いのでしょうか。 しかし、そういう話ではないのです。 それではROE編について、PER編やPBR編とは違った切り口から始めてみます。 ROEは自己資本をどれだけ効率的に運用しているかを表しています。 レバレッジをかけて負債を多くすると全体の資産が増えます。資産が増えると非効率的な企業運営をしていない限りその分利益が増えますので、ROEが上昇します。この点を問題視している投資家は多いです。 それでは、低い自己資本率で高ROEを叩き出している企業は悪いのでしょうか。 信用取引でレバレッジをかけて株式投資をしている投資家と似ています。 信用取引をすれば上昇相場では利益が急増しますし、下落相場では損失が急増します。 企業運営もレバレッジをかけていればその分順調な時に利益を多く出し、順調でない時に 損失を多く出します。 信用取引をして自己資本比率の高い企業に投資するのと、信用取引をしないで自己資本比率の低い企業に投資をするのと、どちらが安全でしょうか。 これは実に面白い問いですね。 勿論バランスです。企業側の企業運営内容や投資家側の投資手法にもよるでしょう。 ただ、そのような色々なパラメータを無視して、もうちょっと簡単に言う事が出来ます。 それは、『レバレッジをかけているリスクをしっかり認識して経営者が企業を運営しているか、 また投資家が投資をしているか』。 これに尽きます。 どのような環境下で、どのような状況で、どのようにレバレッジをかけているか。 ROEは長期的な推移が重要になります。 短期的にROEが高くても全く意味がありません。 長期的にROE水準を維持、または向上できるか。それに尽きます。 長期的にROEを維持・向上できる投資先があるなら、設備投資やM&Aをすれば良 いでしょう。 長期的にROEの維持・向上に繋がらない資産があるのであれば、改革や売却をすれば良いでしょう。 用途のない無駄な現金があるのであれば、配当として株主に還元するべきでしょう。 長期的に高ROEを維持する為には必ずしも高成長し続ける必要はありません。 自己資本が分母、利益が分子、の指標です。 利益により自己資本が増えて、今までのような効率的な資金運用ができない。それによりROEが長期的に低下する。それでは経営として非効率です。 増加した自己資本は必要な分だけ使用すれば良い。必要でないものを内部保留として溜め込む目的は何か?ROEを長期的に低下させてまで行う企業活動の意味は何か?成長の為ではない、現状維持のための資産がどんどん増えていないか? 効率的な将来の大きな投資の為、数年分の利益を溜め込む。そのような場合もあるでしょう。または、将来の利益を期待して、現時点では利益を出していない企業に投資する。そのような場合もあるでしょう。中期的にはROEが低下するが、長期的にみるとROEが上昇する。そのような場合はROEが下がったタイミングが投資家にとって投資妙味があります。(ここはROE推移に着目して投資をする投資家にとっての落とし穴ですので注意して下さい) 一時的に資本効率を下げるだけであれば、その先を見越して投資をするというのは一つの投資手法として正しいです。しかしこの手法は多くの成長株投資家の逆を行く投資手法ですので、かなり株価に対して鈍感力を必要とします。多くの場合は株価が急落しますので、 逆張り投資家でなければ非常に辛いでしょう。逆に、逆張り投資家であれば全く意に介することなく、気ままにドライブを楽しむように投資ができます。ただし、企業が思うように利益を上げられなかった場合はROEは低下したままになり、急落した株価は元に戻りません。長い株価低迷を余儀なくされます。 高いROEを維持しながら成長している企業については、例えばソフトバンクを見てみると分かり易いかもしれません。他にもエムスリーなどを見てみると分かり易いでしょう。 長期的に高ROEを維持している企業がどのように利益成長をし、それに伴い株価がどのように上昇しているか。 万年高ROE銘柄を見つけたら、将来の莫大な利益は確定されたようなものです。(とんでもないバブル時に購入したのでもない限り) しかし長期的にROEが高い銘柄を見極めるのは至難の業です。上に挙げた長期的に高ROEを維持している2銘柄でさえ、今後も長期的に高ROEを維持できるかどうかは全く分かりません。 そうであれば、現在資金効率の良い運営をしている評価の高い企業より、これから資金効率の良い運営をするようになる可能性がある企業に投資をする方が良い投資と言え ます。 それが低PBR銘柄への投資であり、バリュー投資の考え方の一つです。 今は低ROEが続いていても、これから企業運営が良くなるかもしれない。たとえそうならなくても、他の物好きな企業が高値で買収してくれるかもしれない。外部環境が変わって注目されるかもしれない。精々その程度の思惑で低ROE銘柄へ投資をしている投資家 が多いです。その程度でバリュー投資を標榜しているのが日本の個人投資家の現状です。 そして、そのバリュー投資の考えは概ね正しいです。 低ROE銘柄であっても、物凄く高い配当利回りの場合、高ROE銘柄への投資と同じ結果が期待できます。 もし仮に配当利回り15%を維持する銘柄であれば、ROEが15%を維持する銘柄と同じ評価をすることができます。 ただ実際は今の日本で高ROE銘柄と同じ水準の配当利回りを出し続けている銘柄がないだけです。また配当には税金がかかりますので、その分だけ低く評価する必要があります。 自己資本比率が高い銘柄ほど、不景気などで赤字になった時にとれる選択肢が増えると いうメリットはあります。 また負債が少ないほど金利上昇時に支払い利息の増加が少なくて済むというメリットがあります。(ただしマクロ経済の視点からみると、景気がピークアウトした時期などの例外を除いて支払利息の増加分より企業の増収分の方が高くなります。支払利息の増加は企業利益の増加に遅行します) 不況時は、レバレッジを効かせて多くの利益を上げている高ROE銘柄が業績悪化に伴い選択できる企業運営の幅が狭くなる一方、自己資本の潤沢な低ROE銘柄は安い買い物ができるようになります。 景気の波は時に大きく振れますので、リスクを常に把握していなければ自己資本比率の 低い企業は致命的なダメージを被ることがあります。信用取引をしている投資家と同じです。 結局はバランスなのです。 PER・PBR・ROE を画一的に論じるべきではありません。 企業の業績、企業活動の内容、今後の方針、景気動向、政府の方針、様々なことを考慮しつつ、投資家の性格と投資手法で考えるべきです。 これは投資に慣れていない人にとっては難しく聞こえるかもしれませんが、決して難しい事を言っているのではありません。 画一的にROEは高くてPERはできるだけ低い方が良い、という投資手法の方が遥かに難しいということを理解しなければいけません。 何故ならバランスが悪い企業は必ず無理が生じているからです。バランスの良い企業はそのうち投資家の想定以上に業績が上がることもありますが、バランスの悪い企業は時 が経つにつれ投資家の期待を裏切るからです。 ここから先は余談です。 常識を疑おう基礎編『PBR』で、同一PERならPBRを取るかROEを取るか、そういう考えで銘柄選定をするのではない、と言いました。 それでは PBRとROE のバランスはどのようなものが良いのでしょうか。 理想的なバランスはあるのでしょうか。 好景気はレバレッジをかけて、不景気になる前の予兆を見逃さず、不景気になる前にレバレッジを低くして運転資金の十分な確保を行う。それが理想です。 PBRとROEのバランスは景気や企業運営内容を考慮して決める必要があります。 理想的なバランスは日々変わっています。 どのようなリスクを取っている経営なのか。 経営者と同じく、投資家もこれを把握することです。 リスクを把握できないのであれば、高ROE銘柄への投資は行うべきではありません。高ROA銘柄への投資を行うべきです。 そして、万年高ROA銘柄への投資は、万年高ROE銘柄への投資より難しいです。何しろ絶対数が少ないですから。 妥協して万年中ROA銘柄への投資を行うのであれば、それは一つの正しい投資手法です。 以上
2024.02.03
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