仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.10.10
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町制最後の昨夜も記事にしたのですが( さらば富谷町...そして「字」も

全国には、市内に鉄道駅の全くない「駅なし市」がいくつかあります。東北では、十和田市が該当します(十和田観光電鉄が廃止されたため)。もっとも十和田市に今は駅はなくとも、鉄道だけなら、東北新幹線が市域を疾走しています。

■関連する過去の記事
駅なし市 いまむかし (09年11月7日)

では、駅どころか、市域を鉄路が全く通過していない「鉄道なし市」はどうか。それも全国には結構あります。武蔵村山市、坂東市、富里市、大川市など。首都圏や福岡県の都市が該当するのは意外な気もします。しかし、これまた意外なことに、東北地方には全くありません。つまり、現在の東北6県の市には、すべて鉄道が走っているのです...

いや、実はそうは言えません。今日から例外が誕生しました。富谷市です。

これまで何度か記しました。なぜ東北本線の仙台以北は、奥州街道沿いの吉岡や古川や築館を通らないのか。このため宮城県北の発展にどんな影響を及ぼしたのか。



鉄道会社は当初、吉岡、古川、築館を計画したが、丘陵地の三本木や金成が難工事だから小牛田や瀬峰を通るルートにしたという説明もある。かつての宿場をつないで北上するルートは、コストの点から避けられたということになる。そして、例によって、稲作や養蚕に害が及ぶとか、徒歩の旅客が来なくなって宿場が廃れるからという反対論も援用されるが、これらは大概のところ後から付け足した理屈というところだろう。もっとも、鉄道の利便は認識されていたとしても、自分のところだけは買収されたくないという意識はあった可能性がある。

結局、港の物流、地形(コスト)の要因に加えて、地元の賛否の熱力学が相まって、今の東北本線ルートは形成されたように思われます。

以上からは、富谷を鉄道が走る可能性も、薄かったということになります。しかし、小さい可能性としても、歴史上どんなルートが「あり得た」のでしょうか。

● 仙台から北仙台、七北田、富谷、吉岡と北進するルート
北仙台駅から西古川(陸羽東線)まで、762ミリ軌間の 仙台鉄道 が営業していたが、台風の被害により全線廃止となった(昭和35年)。そもそも「仙台から古川に至る鉄道」は改正鉄道敷設法(大正11年)の予定路線とされており、仙台鉄道を継承充実させる形で仙台古川間の鉄道敷設の地域運動が高まってもおかしくないのだろうが、そのような歴史は(不勉強にして)あまり聴かない。
もっとも、仙台鉄道は、陸前大澤(今の東北道泉IC付近)から北は、現在の泉ヶ丘とパークタウンの間(谷間のような)の市道に沿うようなルートで北上し、黒川小野駅(ハーモニータウン杜のまちの西側)を経て、富谷駅につながるのだが、この駅の所在地は現在の大和町小野地区(山下橋のあたり)。そこから北上して、富谷市二ノ関地区を経て国道4号沿いの志戸田駅に至る。つまり、富谷市域のほんの北の端を通過して、吉田川を越える手前の志戸田に一駅があっただけ。旧宿場のあった中心地や現在の住宅団地群から大きく西にそれたルートだった。

● 岩切から七北田を通って富谷、吉岡を経由するルート
岩切駅から七北田川北岸を経由して、松森、七北田、富谷と結んでいくルート。台原や荒巻の丘陵地で建設コストが過分となるのであれば、早期に開業していた岩切駅から延伸するという考えもあり得たのではないか。

● 利府から吉岡に至るルート
日本鉄道が塩竈まで開業(明治20年)した後、岩切から分岐して利府、松島(反町)を経由して一関に通じる鉄道が明治23年開通。しかし利府線の勾配緩和と複線化のために塩竈側の建設運動が高まり、昭和19年に海岸線(塩釜、松島、品井沼を通る現在の東北本線)が開業して、「山線・海線」が並立。その後、昭和37年に海岸線が複線化完成し、利府線は利府駅以北が廃止された。


もし、富谷が「駅あり町」だったら、大正、昭和を通じて事業所や学校なども集積していたでしょう。いまのような郊外型住宅団地の発展とは異なる歴史があったのではないでしょうか。

■関連する過去の記事(東北本線のルートなど)
仙台以北の東北本線・仙石線ルートと「松島電車」 (2016年2月11日)
石巻線と金華山軌道(石巻-女川)の歴史
仙山鉄道 3つのルート (2015年2月13日)
小原新道と白石人車軌道 (2014年8月8日)
松山人車と白石人車軌道 (2014年8月7日)
幻の鉄道計画 改正鉄道敷設法の予定線(その2) (2013年4月20日)
幻の鉄道計画 改正鉄道敷設法の予定線(その1) (2013年4月19日)
仙台駅の予定地について(その9) (2012年5月23日)
宮城県北部の東北本線ルート(何度目でしょうか) (2012年1月1日)
仙台駅の予定地(その8) (2011年9月26日)
やっぱり当初は角田か 東北本線ルート (2011年9月15日)
東北本線ルート 白石か角田か (2011年9月5日)
宮城県北の東北本線ルート(再び) (2011年8月24日)
宮城県北の東北本線ルート (2011年8月20日)
仙台駅の予定地(その7) (10年9月6日)
塩竈市内の仙石線と塩釜線の歴史 (10年5月11日)
仙台駅の位置について(その6) (09年10月21日)
仙台駅の位置について(再び) (09年3月10日)
仙台駅の位置について(その4) (07年8月16日)
大河原の尾形安平 東北本線実現に尽力 (07年1月5日)
仙台駅の位置について・続々 (06年7月15日)
仙台駅のはなし・続 (06年7月11日)
仙台駅のはなし (06年7月10日)
宮城県内の東北本線のルートの話 (05年11月27日)





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最終更新日  2016.10.10 19:47:59 コメント(2) | コメントを書く


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