おしゃれ手紙

2020.08.19
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テーマ: 読書(8637)
カテゴリ: 読書


伝統と格式の商家がひしめく大阪・船場。
久女(くめ)は幼い頃から船場の富商にあこがれ、その一員になるため異常な執念を燃やして生きてきた。
娘の結婚を契機にようやく船場商人へとのし上がるが、時はすでに戦後。
時代は船場の町を大きく変容させていた。
船場を舞台にした山崎豊子の名短編。

船場は、東西を東横堀川、西横堀川、南北を土佐堀川、長堀川に囲まれた島のような街。
川一つ越せば、まったく違う世界になる。
 船場には多くの仕来りがある。

●船場では、気温の寒暖に関わらす、
四月一日から男女ともに袷(あわせ)になり、外出には必ず袷長襦袢と袷羽織を着用する。
六月一日から単衣(ひとえ)になり、
菖蒲節句から帷子(かたびら)、麻長襦袢、ろ羽織、
 浴衣は六月15日から、
七月一日から薄物、しゃの羽織、
九月から単衣、
十月から袷という更衣のしきたりがある。

●・・・土佐堀川の向こうの子供だけ変わった名称で呼ばれることであった。
男の子は、ぼんぼん。
兄弟が沢山ある場合は、兄ぼん、中ぼん、小ぼんなどと云われていた。
女の子は、嬢(いと)さん。
これも姉妹の多い時は、嬢(とう)はん、中嬢(いと)はん、妹嬢(こい)さんという風に呼ばれた。



主人は、旦那(だん)さん、奥さんは、御寮人(ごりょうん)さん、女隠居は、御家(おえ)はんと呼ばれる。
 江戸時代の船場の北に位置する天満の呉服屋の物語■ あきない世伝金と銀 ■では、以下のように書かれている。


●眼下を流れる大川は、天満組と*(船場)北組*とを明確に分かつ。
同じ大坂でありながら何かと爪弾きにされる天満組にとって、大川に架かる橋には、強い思い入れがあった。

 久女(くめ)は、船場に憧れて、船場の外にいながら船場のように暮らした。

●船場に住んでいないのに、船場の子女が行く女学校に行く。

●更衣も船場のとおりにした。

●結婚して子どもが生まれたら、「ぼんぼん」、「嬢(いと)はん」、「妹嬢(こい)さん」と呼ばせた。
手代にも、番頭は助、手代は七、丁稚は吉と付けて呼び、女中もお梅どん、お竹どん、とどん付けにした。

●食事も箱膳を使った。

●娘を船場に嫁にやった。

船場というブランドに憧れた女商人を描いた短編ながら、面白い作品だった。
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Last updated  2020.08.19 00:10:39
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