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アンヌウヴンの貴公子 (創元推理文庫) [ エヴァンジェリン・ウォルトン ]価格:924円(税込、送料無料) (2025/6/30時点)ファンタジー小説ではあるんですが、神話学の側面もあるシリーズです。全部で四冊。はじめの一冊はそれほど厚みもないので読みやすいです。内容も、「神話」でありがちな…というかまあ神話なんですが、冒険譚としても語られるので海外ファンタジー好きなら読めるかも。ケルト神話、ウェールズの古代の神話、そうした知識があらかじめ入っていると読みやすいのですが、日本のファンタジーとちがって若干説明が長く、読みにくいと感じるところも多々あります。主人公は「プウィス」という貴公子で、彼が冥界の王「アラウン」と出会い、魂の交換をするんですよ。アラウンがかつてたおせなかった冥界の王の一人を、プウィスに倒してほしい、と。魂の交換、つまりアラウンの体にプウィスの心が入るってわけです。すったもんだありながら、なんとか敵のハウガンは倒せるわけですが。なにしろこれ、「神話」ですからね。古き民、新しき民、上王(ハイキング)、まずそのウェールズの世界設定を呑み込むだけでもしんどいです。とはいえ、四部作の中でたぶんこれが一番読みやすい…わたしも読むのにめっちゃ時間かかりました。ふだんの四倍以上かかった。マビノギの神話形態はざっくりとしか知らず、名前はかろうじて…という程度でしたからねーこのマビノギをベースに描かれた日本の少女漫画がたしかいくつかあったはずです。それらの話のベース、元ネタを知りたい方にはこちらのマビノギオン物語四部作をおすすめします。難解ですけれど。学術書ではなく「物語」として語られている点、多少の「憶測」は含まれています。それがうまい味付けになってる感じかも?海外ファンタジーに興味がわいた時があって、これはその時に手に入れたものなんですが、「創元推理文庫」は書店であまり幅を利かせていなくて、探すのが大変だったんですよ吸血鬼ドラキュラとか有名どころは置いてあったのですが。海外の小説、とくにファンタジーは「訳者」との相性が大きいです、私的には、ですが。内容が全く頭に入ってこないものも中にはありました。たとえばドラキュラも、最初は読むのに苦労したんですよ。小説ですが「日記」「手記」ですからね。これはマビノギオン物語もやはり訳本ですし、読むのはなかなかに手間がかかる。読み手を選ぶなぁとはおもいますが、世界の神話好きさんにはお勧めのシリーズです
2025.06.30
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花嫁修業をやめたくて、冷徹公爵の13番目の婚約者になります(1) (ポラリスCOMICS) [ 空柄 ]価格:803円(税込、送料無料) (2025/6/29時点)令嬢ものってなんか癖になるな…手あたり次第読んでる感があるけれど、それでも好みのものってなかなかみつからない。といっても、見つかることもあるので、手当たり次第に読んでしまうのかも。むかしからファンタジーできらっきらした少女漫画好きでしたしね。最近は読んでなかったのでその反動がきたのかもしれません。が、まぁこちら…現在7巻まで出てるようですが、いつもどおりというか、好みには合致しませんでしたわ…絵も微妙というか…地味っていうか表紙からわかるくらいには、人物のデッサンが微妙です。なんというか…描き慣れてない感じがすごいです人物デッサンができてない漫画家さんの特徴として「汗をぬぐう」の描き方がすっごくおかしいんですよ。やってみたらいいのにっていつも思う。これはこの漫画家さんだけではありません。微妙な絵の漫画家さんはたいていそうです。なぜかこぶしをこめかみあたりにあててる、という絵なんですよ。なんだろこれテンプレなの?ってくらい、同じ。「手」が描けないのはわかるんですが、「汗」ってそう拭く?というか。ため息交じりに「ふう」と。疲れを現している記号的な表現なんですが、これべつにこぶしをこめかみに充てる必要なくないですかね?別の漫画家さんでもこの表現があって、…しかもひとりふたりじゃない…不自然に肘をあげて、汗は頬に描かれてる。不自然極まりない。また、舞踏会やら夜会やらのシーンでも、ほとんどがバストアップ。舞踏会の会場のひろさなども伝わってこないですし、そのせいでいつも「混雑」してるですよ。そりゃワインもこぼすわっていうw建物などはだいたい素材なんでしょうが、空間の把握ができてないというかね。あとは令嬢ものなんですが、だれもかれもみんな地味なんですよ…髪型がとくにそう。それと、まぁ、どうでもいいことなんですが、掃除のシーンで窓をバーンと開ける絵にはちと笑ってしまいました。そして「掃除」したことないですよね、この格好でやりはじるって。髪もゆわない、エプロンはつけるけど、スカート丈もそのまま。こういうところにケチはあまりつけたくないんですが、ヒロインのイリアは家庭的なことが土得意という設定なのだから、そこは大事に描いてほしかったんですよ。それと、山積みになってた部屋の荷物どこやった?!勝手に移動させてええもんなの?他人様のお家のお荷物ですが?もう、こまかい「絵」の稚拙さが気になってしまって…はいってこない。物語はテンプレなのでまあどうでもって感じではありますが。病弱な妹を厳しい淑女教育から解放するためにつごうよく現れた「冷徹公爵」と無事婚約。って話ですね。で、契約婚約した公爵のねーちゃんがいじわるしかけてくるってあたりも「シンデレラ」で、まあ別に面白いわけではありません。もちろんこの姉も過去にいろいろあって「あえて厳しく」しているのははやいうちにチラ見せしているので嫌悪感はないんですが、やってることが稚拙すぎて、よくこんなくだらないことをいつまでも許してるな、嫡男(エリオット)と思い、なんつーか、ヒーローであるエリオットの株が下落なんですよ…まあてきとうに婚約しただけだからそれでいいんでしょうが…あんまりヒロイン任せすぎじゃない?そしてそのヒロインのイリアなんですが、すごく「いい子」なんですよ。ぶっちゃけて言うと、いい子過ぎて鼻につくタイプです。ちょっとやりすぎなんじゃないかなー。エリックの姉のいやがらせだけではなく、夜会で会った令嬢からも嫌がらせをされるわけですが、それにも「気づかない」という天然鈍感ヒロインなんですが、なんというか…うん…べつに悪くはないんですが、なんとも言えない気分になるんですよ。とにかく「いい子」なので、善意にとろうとするんですが、それもう嫌みじゃない?っていうパーティーでメイクなおしてもらって綺麗になったって絵もあったけど、全然そんなことなくて…うん、もうちょっとヒロインは気合入れて素敵に描いてほしいかな…ドレスもですが。エリオットが「いい子ちゃん」ないイリアに恋をするのは予定調和なのでもうどうでもいいんですよ。たぶんこの話はいい子ちゃんなイリアが周りの嫌がらせを善意にとって、つまるところそれが「ざまぁ」展開になったり、心を入れ替えて親しくなったり、といういわばヒロインの「影響力」を描きたいってものなんだと思うんですよ。イリアのおかげでみんな幸せハッピー大団円ってやつ。それはそれでもちろん良いのですが、イリアが「考えなし」過ぎてちょっと引くんですよ。善意善意、つらいことにもめげません、健気なんです感が前に出すぎていて、そこに「心」がないと感じてしまうんですよ。原作は読んでいないのでわかりませんが、わたしはとってもいい子ちゃんなんですーってのが強すぎるの。典型的な女に嫌われる女の子になってしまってる。もうちょっと打算的でも良かったと思うんですよ。実家のことを絡めてね。実家についても、なんつーか極点思考すぎるんで、まあイリアはなるべきくしてああなった感はすっごいリアルですが。いやでも令嬢に掃除スキルって必要?掃除の「采配」ならわかるんですけど。家具などの配置センスが抜群とかならわかるけど。コマカイダメだしばかりしてしまって、作品単体を楽しむのはちょっと難しい漫画でした。巻が進むにつれて絵は少しずつ上達していってる感じはありますが、うーん7巻でもやっぱり微妙かな?嫌がらせも古典的なものばかりなんで、ある意味感心します。華やかなフリルとドレス、キラキラな令嬢ものには向かない絵柄だとおもいます。とはいえ、典型的なシンデレラもので溺愛が確約されているので、ヒロインがどういう意地悪されて、それをいかに「善意」で乗り越えるか、という楽しみはあるかもしれません。もっとこう、きらっきらしてふわっふわなドレスとか髪とかエフェクトとか見たいって思うわたしには、とことん相性の悪いコミックでした。あとはたぶん、13という数が縁起わるいから13人にしたのかもだけど、そうするとエリックの評判さがるどころか、ただの無能って不評がたちそうなんですが、それはどうなんでしょうかね?青髭公的な感じにしたかったのかしら?
2025.06.29
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はるかなる光の国へ【電子書籍】[ 中山星香 ]価格:638円 (2025/6/28時点)こちらの作品は大作「妖精国の騎士」と繋がった話になっています。妖精国の騎士(アルフヘイムの騎士) 1【電子書籍】[ 中山星香 ]価格:528円 (2025/6/28時点)妖精国の話を読んだ後に読んでも良いのですが、妖精国の話を読むのが初めてな方には、こういう作風で、世界観なんだなと予習するのによいコミックです。絵に関してはもちろん古いし、つたないと感じる部分もありますが、ファンタジーの王道としてとても「まっとう」だし、不思議なほど「恋愛恋愛」していません。わたしは妖精の話を含めて神話が大好きだったこともあり、この方の代表作「妖精国の騎士」がとっても好きなんです。その前段階としてこちらを紹介してみたというか。ゲルマンや北欧の神話好きな方なら、うなってしまうほどの作品だと思いますよ。独自の世界観がきちんと構築されているのには驚きです。こちらのコミックは表題作のほかに短編ものっているのですが、読み切りの短編ものでもちゃんとファンタジーもとしての世界観を作っているのはさすがですね。難点があるとすれば「ルビ」でしょうか。べつにいいんですけども、わたしは文庫で持っているせいか、よみにくいところが多々あるんですよ。まあ、わかるんですけれどもね。これはこの方の作品全般にいえるのかも?とにかくルビが多いです。「緑の君」とかいて「ルシアン・エルフェルム」といった名をルビでふる、といった形状のものも多いですが、それ以外にも多々あります。妖精国の方はそれが顕著なので、その点も前段階にこのコミックを読んでおくのがいいかもです。話の内容としては「王道」としかいいようがないかな?しかしその「王道」をなんと説明していいやら。魔法と剣の世界なんですが、こちらのコミックでは魔法の方が表に出てるかんじでしょうか。もちろん剣もあってたたかったりもするのですが、そこは少女漫画ですので、それほど緊迫した戦いってわけではなく、そこまで見ごたえはありません。おとぎ話みたいな話ともいえるかもしれませんが、王子様がお姫様を助けに行く、といった単純さはありませんし、むしろお姫様が戦います。とにかくこれは妖精国を描くための布石、として描かれたもののようで、ある種、実験的でもあるんですよる。「妖精国の騎士」という大作を完結させたのですが、ライフワーク的な話のようで、続編と言えそうなものも出ています。こちらの「はるかなる」では絵が少々稚拙でしたが、妖精国で安定し、その後の話さすがに前ほどの勢いがなくなった感じで、画面が白いな…と感じました。それもあって買っていないのですが…うーん、どうしようかな。「三剣物語」として作者の中には物語があるそうなので、その「三剣物語」のいにしえの話なんかすごく読みたいんですよね。。。「指輪物語」が好きな人なら、きっと刺さるはず…というくらいには作り込みの深い話です。はるかなるは、話の雰囲気に慣れるために最適なコミックといえるかと思うので、興味のある方はぜひ。
2025.06.28
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漂流教室〔文庫版〕(1)【電子書籍】[ 楳図かずお ]価格:979円 (2025/6/27時点)子供の頃ちらりと詠んだことったけど…具体的には全然おぼえてないと、そんな話をしていたら友人が全巻貸してくれました。電子だとこういうのができないのがつらいところではありますが…アナログ世代なもので本は紙に限るんですよ。あとわたしはわりに人によく貸しますからねー共有したいのもありますし。しかし場所をとるのが難点ですね。それはさておき。これってよくよく考えると今はやりのクラスまるごと異世界転移「なろうもの」、元祖って感じなんですよね。転移先は異世界ではなく「未来」ですが。まあ、異世界のようなもの。だから主人公が「無双」するんですよ。小学生ですが、ものすごい「なんでもできる」子すぎて、さすがに引く…となったところが多々あります。なにしろ「昭和」の話ですからね…というか「戦後」というか、子供もめっっっっっちゃたくましいんですよ。そしてネタバレとなりますが、主人公は元の世界にはもどれません。まあほとんどそうですが。母親との絆がハンパないのも、「昭和」あるあるかな。いやいくらなんでも都合よすぎでは…っていうのはあるんですが、そこはもう強引だけれど、よい味付けになっています。世界が滅んで廃墟と化してしまった「地球」で、しかも生き物も変異してしまっている「世界」。サバイバルものでもあるんですが、クラス内での対立などがリアルで怖い。最初はニンゲン同士の対立だけかと思っていたのですが、後半に行くとそうではなくなることがわかります。荒廃した「地球」で新たに生まれたバケモノとの対立。そのバケモノとは何なのか。基本的に主人公の高松くんがある種の「正義」のように話が進んでいくのですが、終始、それがもやっていた。が、後半、ラストあたりで仲良くしていた同級生の子が、本音をぶちまけてくれるところがあって、そこですべての「もやっ」が解消された気分でした。だよねぇぇぇって。その男の子の気持ちがめっちゃわかるし、わかったから、高松くんのことも受け入れられた感じです。最初から対立してた子とかは明確に「悪者」っぽく描かれていたので、それではモヤがはれなかった。クラスまるごと転移なんだけど、大人もはじめはいました。が。大人は何の役にも立ってくれない…ここがすごくリアルでした。そうそう、わりにはやくパニくるのって大人だと思うんですよ、柔軟性がなくなってしまうから。そしてその大人に下種な奴がいて、そいつと戦わなくてもいけない。異世界転移ものってね、こういうサバイバルものだよねってほんと思うんですわ。クラスの中の対立、和解、徹底的な亀裂、…何しろ閉鎖空間でのサバイバルで食べるものも飲み物も少ない状態なんだからね。つまりこれって、バトルロワイヤルやね…映画しかみてないけど。ただ、このクラスにまったく関係ない幼児まで転移してしまっていて。それが物語のキーポイントです。それにしたって、小学生だってのに、やることがえげつないんですよ。親が医者だからって…外科手術とかできんやろ?っていう…まあそこはサバイバルだしフィクションですからして。そして「母親」です。高松くんの母親は、まあ主人公の母親だけに、息子と「会話」ができてしまうんですよ。といっても一方的ではありますが。それで武器やら薬やらを送るわけですが。この母親の行動がもう犯罪っていうか。常軌を逸していて、そこがある意味でリアルでした。この程度の「ご都合展開」はないとさすがに小学生だけのサバイバルは厳しいので、許容範囲。全体的にすごくリアルな心理戦やら化け物のえげつなさ、バトルのむごさがあるのはこの作者さんの味ですよね。ホラーをよむつもりで読んだ方がいいです。ただ、胸糞が悪くなるようなラストでは決してなく。あのたくましい子たちならきっと生き抜いていけるねっていう安堵感がラストにあります。「名作」と呼ばれる作品ですが、読むと納得できますね。しかしこれは大人になってから読んだ方がいいやつ…と思いましたよ。あまりにえげつない内容なので、いまだったら映像化も難しいでしょうね。バトロワの子供版みたいなものですが、それよりもっとえげつないので。昭和のホラーを楽しみたいという方にはもってこいの一冊です。読んでおいて損はないコミックだと思うので、ぜひにとすすめたいですね。
2025.06.27
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宮廷魔女の王子録(7)【電子書籍】[ 上条あおい ]価格:528円 (2025/6/26時点)まさかのFCコミックでした…正直に申しますがお試し版で読んだのですがさきがまったく気にならず、しかも7巻まででてることに驚くましたよ…4巻完結あたりが妥当の内容に思えますし、もう最初の一話目から絵と漫画の出来が…だめすぎでしたまさかFCコミックでの漫画がこれ?いやたしかに絵がアレな漫画家さんなんて昔からいましたけど…さすがになんつーか未熟すぎてびっくりしました。初のコミックなのかな?でもこれ編集さんに人物デッサンとか動きのあるシーンとか会話の流れとか、指摘されなかった?というレベルですよ…同人誌かなとおもったくらいです。さすがに二巻以降の絵はマシになっていきますけれどね。基本的に全身絵があまり……です。とくに男子。これって、流行の「薬師もの」要素をいれていたり、「おもしれー女」の「逆ハーもの」でもあるっていう、一昔前の乙女ゲーみたいな内容なんですよ。こういうので大事なのって、ハーレム要因の男たちのかっこよさ、見目麗しさなどが必須なんですが、それがまったくできてません。あと、ヒロインのロゼも可愛くないんですよ…致命的すぎる…可愛くない、というのは見た目もですし、性格もです。鈍感系なんでしょうが、二人の王子にときめいたり、小心者だから火あぶりは嫌だのなんだの…ヒロインだけではないんですが、設定がかなりその場しのぎなんですよ。ふたりの男子にふらふらする設定時代はべつにいいんですが、その葛藤の描き方がすごく雑。最終的にだれかを選ぶにしても、この葛藤って少女漫画ではとても大事なんですよ。はじめからクール系を貫いてくれればいいのに、妙に乙女チックモードはいっちゃったりして、女全開なんですよ。ここは「魔女」設定なんだから、魔女ってのは無意識に媚薬効果がオーラとして出ちゃってて、異性に好かれるのはいつものこと、ただそのせいで男を惑わせる淫乱な魔女として火あぶりになった「経験」があるから、あえて距離をとっているのに王子が寄ってきて困る、そしてある時その事情を打ち明ける、とかでもええやん?これだって陳腐な設定だけど、ヒロインに一貫性のある性格、軸というのを持たせてほしいんですよ。だれかと恋仲になるか、これを楽しませるのは実際漫画では難しいでしょう。乙女ゲームみたいに分岐があるわけではないですからね?まあ…初のコミックなら仕方ないことではあるんですが。(調べたら初ではなかった衝撃内容が雑ならせめて人物デッサンはきっちりしっかりやってほしい。というかですね、人物デッサンが微妙な方はエセヨーロッパ的なファンタジーはやめた方がいいんですよ。乗馬シーンとか、獣とバトル、剣技など、もう目も当てられない…見てて切なくなるほどですよ…別に下手なら下手でいいんですが、もうちょっと自分の絵がどこまで描けるかを把握したうえで描いてほしかった感がすごいです。たとえばキャラの服装もそれで、べつにナーロッパ風なんだからいいんですが、なんというか…ちぐはぐなんですよ。現代ものでやってくれたらよかった…っていうとにかく致命的に感じたのは、ヒロインの決め顔(最高に可愛い顔)が、まったく可愛くなく雑でしかないんですよ。衝撃でした。ヒロインの「ここぞ」っていう見せ場なわけじゃないですか。それで男どもがロゼ可愛い♡ってなるんですが、その顔のどこに惚れたのやっていういやもちろん顔で惚れたんじゃないにしても。都度、決め顔するんですよ、女子の。その顔が可愛くないっていう。それがたまたま一コマだけだったってならそういう絵になっちゃうこともあるかーと思うんですが、「ことごとく」なんですよ。ちょっともー、びっくりしました。大きなコマつかってヒロインのアップにしてんのに、その顔がほかのコマのヒロインの顔と比べても「酷い」んですよ。ちょっとしたお色気というか、色っぽいシーンとかもあったりはするんですが、絵がアレなせいで、体どーなってんだとかそっちしか考えられんていうあと、そういうときの男子の顔もいろっぽくなくて、あっさり淡泊。というか、読んでてこれどういう感情になればいいのか、と戸惑ってしまうんですよ。最近も絵が致命的に描けないなって少女漫画を読んだのですが、それとはまた違ったとまどいです。基本的に漫画が描けない人でもないし、まったく絵の描けない人ではないんですが、ファンタジーを描く人ではないとおもうんですね…なんというのか「雑」なんですよ、絵もせりふ回しも何もかも。イゲメンが勢ぞろいの逆ハーものは向かないと思う…つまりそのくらい絵が…ちゃんと「人物」をかけてないです。弟キャラの子が一番苦手でした。えろ兄は見た目が受け付けなかったし、メインの王子二人はまぁ…ふつうというか。ヒロインはどっちつかずの子だしで、2冊読んでも…うん…まあ、…という感想しか。とはいえ、流行要素をごりごり入れているので、人気はあるんでしょうし、好きな人もいるかと。はじめてファンタジーラブロマンを描いてみた!って感じではあるので、つたないところも含めて楽しめる方なら、いいのかも?低年齢層向けです。キッスなシーンはありますが、全然萌えないので問題なしです。
2025.06.26
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しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜 1【電子書籍】[ 左藤真通 ]価格:715円 (2025/6/25時点)あれ、ちょっとタイトルがかわった?ともあれ、フィクションではあるんですが、リアルなネタで、なるほど訴訟ってこうなんだーってのがわかりやすく描かれているコミックです。(わたしは一番目の話だけの購入でしたがブログでバズッた主婦が誹謗中傷されて炎上、生活にまで支障をきたし、その誹謗中傷の一人を特定して訴訟を起こす、という話。現実にありそうな話ですよね。そしてこの「無料相談所」ってのもよくある設定です。ここで、泣いてないでと弁護士さんがいってくれるんですが、これ大事なんですよ。時間決められてますしね。本気で相談したいならいったん冷静になって、状況説明して、どうしたいのかを明確にしていかないとねっていう。誹謗中傷してきた相手の情報開示を請求することになるんですが、いやー、時間も金もかかるんだなぁと改めて。放っておいても収まるかもしれないが、やはり誹謗してくるヤツの面をみてやりたいと依頼者の主婦は奮起、ことを起こします。これがじつに長い…もちろんコミックなので短くまとめられてますが、実際は長い月日がかかるんだなと驚きました。そして民事裁判の「欠点」もなるほどなぁと。「もう善悪ではなく勝ち負けです」というセリフもすごく腑に落ちました。そして金額でもないんですよね…うーん、これ大変だなと。訴える側ももちろんしんどいんですが、このコミックでは訴えられた側のこともきちんと描かれていて、うんうん、こういう反応するよねっていうリアル感がおもしろかった。「和解」もイコール「仲直り」ではなくて、ひとまずの手打ちって感じなんですよね。和解したってことは請求したお金を支払うってことでもあり、こちらの話でも、和解金的(賠償金)なものを支払っていくことが決まるんですが、当然遅延します。そしてらどーなるの…?ってところまでちゃんと描かれているので、読んでみるとけっこうタメになりますし、ああこういう人いるなぁ感がものっっっっすごいです。裁判所からの「執行官」ってのも知らなかったから、へぇぇっとなった最終的に訴えた側もかなりの金額を最初に支払うことになりますし、都度都度資金追加もあったりします。この覚悟がないとってことなんですよね。訴える側もですが、訴えられる側もちゃんとイタイめをみているので、漫画としてとても面白かったです。「他人事」これは監修された弁護士さんが大切にされている言葉だそうで、それにも納得がいきましたし、わたし自身、じつは「他人事」という意識はつねに持っています。突き放す、というのではなく。家族だろうと友人だろうと、自分ではないんです。自分がどうするか、ということに軸をおいて、さらに「他人ごと」としてまわりを冷静に見ることはとても大事です。線引き、とまでは言いませんが、どこかでちゃんと他人と自分との境界線を把握しておかないと、自分が見えなくなりますよね。そして他人のことも見えなくなる。弁護士に知り合いはいないし今後も頼ることはなさそうかなとは思うんですが、弁護士ができることが何にかちょっとわかって、タメになりました。
2025.06.25
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風のソナタ(1) (KCデラックス ポケット) [ 原ちえこ ]価格:607円(税込、送料無料) (2025/6/24時点)「アリス」繋がりってわけでもないですが。古き良き少女漫画といった絵と内容…なんですが、古い言葉でいう「メロドラマ」みたいな内容といったほうがいいかもしれません。この作者さんはのちにハーレクインのコミカライズをたくさん手掛けており、わたしも何冊かはお気に入りのものがあります。もともとご令嬢もの系が合う作者さんなんですよね。昨今の令嬢もの系漫画家さんはちょっと見習ってほしいくらいに、髪やドレスがちゃんと「ゴージャス」なんですよ。昨今の令嬢ものに足りないのは、ヒロインの「ゴージャスさ」だと思う。髪型ひとつとっても、なんというか…いまの溺愛もの令嬢ものは地味というか、見栄えがしないんですよ。この原ちえこさんの絵がめっちゃうまいとか美麗とかっていうんではなく、ピンポイントで「美麗」な部分をおさえている。髪の毛の表現がまさにそれで、あの「波打つような髪」は、現実だとちょっとどうかとおもわれる表現かもしれないけれど、非常にたっぷりとして美しく、「映える」んですよ。これが非常に効果的。このあたりは見習ってほしいなぁと、いつも思ってしまいます。それはさておき、「風のソナタ」ですが、初めて読んだのはなにぶん子供だったので、すごく「意外」な話に感じたんですよ。ヒロインの「アリス」はロンドンの資産家の娘で、素敵な婚約者もいて、ピアニストになるのが夢、といういわゆる「令嬢」なんですが、家が破産して、結果的に家も売らなくてはならなくなり、田舎へと逃げるようにひっこし…あげく婚約も解消されて、アリスは失意の底に。病気がちな祖母と幼い弟の面倒を長女であるアリスがみなければならなくなり、妹もまだ若くて、たよりにならない。妹・プリシーは派手で遊び好きな、ちょっとわがままな子。姉のアリスをじつはうらやましくねたんでいたりもした…ハーレクインか!って内容なんですよね。転居した田舎の村でアリスは画家志望の男の子としりあって仲良くなり、恋中にもなるんですが、妹が略奪します。こう書くと妹のプリシーが「悪役」みたいですが、ちがうんですよねープリシーね、けっこう健気なんですよ。強引ではあるんですが、恋する乙女の暴走って点で、いい妹キャラです。アリスは結局画家志望のローリーと一緒になれなかったのは、アリスが「家族」を抱えているからで、このあたりも「長女」ならでは、といった感じがある。恋にひたむきに走っていける「次女」とは事情が違いすぎるんだピアニストになる夢もほぼ潰えてしまい、ひたすら家族のために働いて、で、好きな男の子が一緒に街へ出よう、と言われたって、それって家族を捨てていくってことになるでしょ?そりゃ行かねーわってなる。ローリーはまだ若くてその点に頭がいかなかったんだよね。…これだから男は、ってちょっと思ってしまった。その後アリスはピアニストのギルバートで出会って、はじめは反発しながらもやがて惹かれていき…っていう、まあ少女漫画なんだしそうなるよねって話なんだよ。この話は存外短くて文庫本だと3巻で終わります。なので怒涛の展開ではあるんですよ。これ現在だったらどんだけでも長く、だらだらと描ける内容なんですよ。ご都合的展開ももちろんありますが、それも短く話が終わるので仕方ないというか。凝縮してます巻がある。いま、姉or妹が意地悪してヒロインを虐げる系もめっちゃ多いんですが、この話もそれをやろうと思えば、できたんです。次女のプリシーは社交的でおしゃれで、男子からの人気もある。一方で長女のアリスは、地味な見た目でこそないけどピアノが一番って子で、異性にちやほやってのは望んでない。安易に「プリシー」を意地悪女にしてしまうってテもあったんでしょうが、家族ですし、それはできなかったんでしょうね、作家さん的にも時代のノリ的にも。いやまー、よくよく考えると、アリスは初期に婚約者がいて、次に画家志望、最終的にピアニスト…三人の男性に好意を向けられてるんですけどもね…だからプリシーの気持ちってちょっとわかるんですよ。たぶん、出来のいい姉と比べられて、悔しかったんじゃないかな。画家志望のローリーのことも、本気で恋してしまったのに、アプローチしても「アリス」のことばかり。プリシーの恋が実ってよかったね…最終話でもしみじみ思いましたよ。今風な話では決してないんですが、令嬢ものを好まれる方にはぜひ読んでほしいコミックです。
2025.06.24
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不思議の国のアリス (岩波少年文庫 047) [ ルイス・キャロル ]価格:847円(税込、送料無料) (2025/6/23時点)子供のころから大好きな「不思議の国のアリス」いろんなところから出版されているし、たくさんの人の訳本がありますね。訳者のセンスが読み手と遇うか合わないかで大きく変わる…気がします。実際、何冊か購入したり借りたりしたのですが、役者のノリやセンスが合わないものもありました。わたしがもっているのは中学生の時に買ったものなのでかなり古いので、訳自体もちょっと古いんですが、慣れてしまったこともあって、それを基準にしてしまいます。不思議の国のアリスは、某ねずみの国がアニメ化したことによって有名になったってところもあるでしょうが、あれはかなりアレンジされていて、実際…つまり「原作」は別物と思ってもらった方がいいです。実際鏡の国のアリスのキャラも引っ張り出されてますからね。ですが、不思議と鏡ではまったく別の場所の話しで、とうぜん続き物ではありません。「アリス」だけが共通しているだけで、そのアリスも鏡の国に行ったときに、不思議の国のことなんて微塵も思い出しません。ただ作者さんの遊び心として、帽子屋や三月兎が名前を変えてでてはきます。そしてそこで不思議の国のあのことだな、と思わせる台詞もあるにはあるんですよ。ただし、アリスはそれに突っ込んだりしないので、それは読者側がにこっとすればいいくらい。とにかく、不思議の国のアリスって、誤解を恐れずに言いますが、物語性はまったくありません。何かしら「冒険しよう」みたいなテンションもありません。行き当たりばったりで、そこで出会った変な住人の話を聞いて、だいたいはアリスがぷんすこ怒って離脱、の繰り返しです。他人の夢の話を聞いている、という感覚に近いです。ダジャレの連発でもあるので、まさに子供向けの「お話」です。イギリスらしくはありますね。聖書についで読まれている、などと言われるアリスですが、この感覚は日本ではちょっとわかりにくいかもしれないです。あくまで子供向けのお話であって「絵本」としてつくられている。作者自身が挿絵を描いたりもしてますからね。有名な話ではありますが、「アリス」という少女へりクリスマスプレゼントとして書かれた本が、のちに出版されたのです。そのまえに「口頭でのお話」があるのですが。わたしがこの「アリス」を好きな理由には、アリスの性格のわがままさがあるんですよ。まーなんていうか、かっっっっわいくない。口達者だしお嬢様らしく自分より身分の低そうな子は見下すし、好奇心旺盛だけど飽きっぽくもある。この「少女」のリアルさよ…作者さんはこのわがままでおしゃまで気まぐれな少女に振り回されるのが好きだったんだろうなぁと…オズの魔法使い (岩波少年文庫 112) [ フランク・ボーム ]価格:891円(税込、送料無料) (2025/6/23時点)たとえばオズの魔法使いのドロシーなんかはふつうにいい子なんですよ。仲間と協力して目的に向かって進んでいく。ちゃんと意志をもって行動して、その結果として現実に戻ってくる。すごく教訓的で、このあたりは「アメリカ」の子供むけ本といった感じがします。まあ、いい話ではあるんですが、わたしはやはりアリスのクレイジーさが好きなんです。子供に読ませるのなら、まずはオズを勧めますけどね。あるいみでとてもわかりやすい。キャラクターも非常に善良に描かれているし、良い変化を得られるのはいいですよね。というか、ちゃんと物語があります。アリスはと言えば。退屈のあまり寝ちゃったら夢をみて、それがとってもへんてこな夢だったの、という完全なる夢おちですし、なにかを解決したとかも一切ありません。最後の裁判だって結局アリスが癇癪起こして…あら、目が覚めた、ですからね。だからこそ、このアリスってホラー系の漫画に組み込まれやすいんですよ。日本ではアリスは素材そのものになってます。どんな話なのかを知ってる人は存外少ないと思われるし、まあ…しらんでもええんか…ともなります。ただアリス好きとしては、この話が書かれた背景含めて、しっておくとおもしろい話だとは思うし、お若い方々なら英語の教材にはいいんじゃないかなと。ダジャレが多いですからねーただ、作者の「造語」もあるので、この点はむつかしい?ちなみにわたしはでずにーのアニメのキャラは…好きではありません。わたしがアリス好きだと知ってる友人知人から、好きでしょうとプレゼントされるのはたいてい某ねずみアニメのアリスなんですよ…そーやないって思いつつ受け取りますが。イラストとして一番好きなのはテニエルですが、それ以外のイラストレーターさんのアリス絵も大好きです。某ネズミのだけがどうしても…受け付けないっていうか。アリスのティーパーティ (河出文庫) [ 桑原茂夫 ]価格:641円(税込、送料無料) (2025/6/23時点)不思議の国のアリスを読むにあたっては、いわゆるガイドブックを片手にってのがよいかもしれません。上記のガイドブックはとてもお勧めで、これも何度も読んでいます。そーいやアリスって読んだことないな?って方もいるかもですし、やはり一度読んでみるのも一興かと思います。
2025.06.23
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【全巻】 一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる 1-4巻セット (GAコミック 1) [ 十乃壱 天 ]価格:2,882円(税込、送料無料) (2025/6/22時点)劣化BJなどと揶揄されていたのでおためしにと読んでみました。アニメ化もされていたようですしね。一応言っておきますがBJのバクとかではないですよ。いくらなんでもBJに失礼すぎますからね!キャラの設定がモグリの医者ってことと、一緒にいるのが幼女だから劣化BJなんていわれてるんでしょうが、まったく別物です。比べること自体がBLに失礼です。つまりはまあ…いつものなろう系でしかなく、まったくもってわたしの趣味には合いませんでした。なにしろ主人公のキャラが嫌です。生理的に受け付けないです。主人公ゼノスってさいしょ冒険者のパーティーにいて無事追放…なんですが、最初すごくおどおどした性格として書かれるんですよ。おどおどってほどではないにしろ、控えめというか。ところが「闇ヒーラー」になってからやたらとイキる。そして始末の悪いことに「やれやれ系」なんですよ。この「やれやれ系」というのはなろう主人公ではとても多いんですよね。すごいことをやってのけても、めんどくさそうに「やれやれこんなことくらい誰でもできるだろう」みたいに嫌みを言ってくるキャラです。クールぶってるつもりなんでしょうが、人を小馬鹿にしたような態度にしか見えない。そして貧民街出身なのに頑張ってきた、なのに報われない俺かわいそうと被害者面までする始末。「ありがとう」と言われたことに感謝する系主人公なんですが、この主人公だって「ありがとう」言ってないんですよ!冒頭の追放の流れはテンプレだから入れたのと主人公カワイソーをいれたいがためにやったんでしょうが、ぶっちゃけ要らない。初めから貧民街でほそぼそ治療師としてやってきた、でいいんですよ。そうすればキャラの性格が追放時と追報後でドン引きレベルで変わるってことがなくなる。追報された後に治療もどきをした主人公ゼノスですが、ことあるごとにこの程度の傷で大げさだのこの程度のことで呼びつけるなだの、尊大極まりないんですよ。この性格ならたしかに集団行動は無理なのでパーティーから追放するのも已む無しではあるんですが、そのくらいひどい。キャラの性格や設定がぶれるのって、たしかにBJでもあるんですよ。無免許医者の黒男さんは、無免許であることにこだわりめいたものをもっているはずなんですが、ある話では免許を授けようといわれて、るんるんするんですよ。結果的にそれはもらえなくなってしまって、ちょっと落ち込むんですが。いやいや、無免許の誇りどこいったーっていうね。まあ、長期連載にありがちなそういうブレみたいなものは仕方ないです。でもこの闇ヒーラーのゼノスは違います。さんざん俺かわいそうと被害者面し、頑張ってきたのに報われなかったありがとうすらいわれなかったと拗ねているのに、なんのきっかけもなく、いきなり高飛車になるんですよ。小さな奴隷の女の子を助けた時のブチィにも笑いましたが。いやそれしんじゃう…というか痛いよそれ…あんな治療もどきしてたらそりゃ追い出されるでしょ…(二度目そしてわたしはこのゼノスがしていることを「治療」とはいいたくないんですよ。魔法の「回復」とすらも言いたくありません。というのも、万能なんですよ。それ、最初からやっとけっていう。治療の何たるかもわかっておらず、ただ自分の魔法を「たいしたことない」チラチラ自慢してるだけ。戦うこともできるし、防御もできる。だったらそれ最初にやりなさいよっていう。治療っても、BJがそうなんですが「万能」ではないんですよ。だからこそBJは苦悩するんです。助けられなかった命もあり、ぞんざいな「治療」に怒りすらします。「命がけで治そうとする」がBJは大好きなんですよ。まるでそれを馬鹿にするかのようなこの話の主人公のゼノス。いや、もそんなつもりはないとわかっているんですが、魔法の「一瞬」でさくっと「治療」して、やれやれこんな程度の傷で大げさだなとか。人としてどうかと思ってしまうんですよ。生理的に受け付けないのはそのあたり。そういえばちょっと疑問だったのですが、貧民街出身だから「治療師」のライセンスは持ってないとゼノスは言ってたんですが、じゃあ冒険者のパーティーでは無免許のゼノスを連れ歩いてたってことでしょうか?だとしたらそれがバレたらマズいってことで追放にすればよかったんじゃない?なんで回復なんかしてなかっただろとかいう理由にしちゃったかな?一瞬で治してたもそうなんだけど、たとえば指先の切り傷程度なら一瞬で回復させられてもわからないだろうけど…治療とヒールをなんだと思ってるんだろうか?回復と書いてヒールだったり防護と書いてヒールだったりと、まあなんか。ゼノスのやってることって「治療」ではないから、たしかに「治療師」ではないなっていう。あと、ライセンスがどうのというなら、まずゼノスらのいる「国」での治療師の立場や意味を最初から書きなさいよっていう。ただしこれは治療がテーマの話ではなく、あくまで主人公がスゲー力でみんなに頼られてちやほやされる、というのがメインテーマであり、ハーレムもそこに含まれる「なろう」の典型的な作品です。その点にかんしていえば、うまくできているんじゃないでしょうか。タイトルにある通り、楽しく生きるのが目的なので、治療とか患者、生命に関してはとくにこだわりはない。のちのち、何らかの陰謀に巻き込まれ…という展開はあるんですが、なんというか…ゼノスを活躍させるための事件なので、この話…というか国や世界、価値観などは主人公が追放された瞬間に狭い範囲で作られたので、深みが感じられません。一瞬で治療してやるから殴り合いしてそれで和解しろとか…やってることがガキそのものだし、暴力がすべての価値観がこわすぎるこれもまた「なろう系」のあるあるかもしれませんね。こうした世界は主人公が「すべて」で、主人公の価値観がすべてでもある。主人公は間違わないし、全能「でしかない」ハーレム女にちやほやされるのは、かまわないです。女主人公だって同じですからね。けれど最初の主人公ゼノスの被害者面、自分より弱者である立場の…つまり怪我人などには居丈高にふるまう性根…腐ってやがる……としか。根本の性格が悪いのがすけっすけで、生理的にほんと受け付けないです。よくこんなものがアニメ化されたな…というよりは、こんな作品だからこそアニメ化されたんだなと最近感じるようになりました。単に、薬屋が流行ったからかもしれませんが。おっさんものが流行ったら巷におっさんモノがあふれるのと同じですね。人気があってもわたしには合わないなってのは元からわかってましたが。にしても、流行ものってのはすごいですね
2025.06.22
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紅伝説(1) (フレンドKC) [ あさぎり夕 ]価格:416円(税込、送料無料) (2025/6/21時点)紅天女ではありませんよwいやもういって紅天女こういう話でええやん…ってことはありませんが。あさぎり夕先生は、ある時期からBLを描き始めていたんですが、この作品はちょうどその時期への分岐点だったんじゃないでしょうか。いや、もともとBL好きな方ではいらしたので、やっと好きなように描ける立場を得たんでしょう。この作品はいちおう少女漫画ですが「なかよし」掲載ではありません。一見すると逆ハーみたいなノリなんですが、一応は一人に絞ります。ヒロイン・彩香は背中に鳳凰の入れ墨をしょっていて、それを利用しようとする「一味」に狙われる、という展開。そんな中で複数のイケメンが出てくるわけです。あと「なかよし」でないこともあって、ふつうにヒロインの上半身…半裸とか出てきます。といって、エロ全開でもなく。彩香は高校生なんですが肉づきがよくて、全体的にむっちりしてます。そしてBL好きさんらしいといえるのが、男子たちです。マッチョが勢ぞろいですよ巻数も少ないのでかなり強引にまとめた感がありますが、この中で好きなのはしのびの妖子のエピソードです。妖子は実の兄である「風王」に恋をしてしまっているのですが、一方の風王はといえば必死に理性で恋情を抑えているんですよ。「妹」であることを妖子は知らないはずとおもっていたからなおのこと。ところが妖子はそれを知ってて恋を仕掛けてきていた。さらに後、妖子は風王をかばって命を落としてしまうんですよね。それで風王は落ち込むし、妖子を死なせる原因となった炎(えん)というヒロインの彼氏を襲うんですよ、妖子の仇といって。それをヒロインの彩香が責めるんです、風王を。だれが仇をとってほしいなんて言ったの、仇を取ってすっきりした気になろうなんてふざけないで。安っぽいヒロイズムを気取るな、と。ほかの女を抱くたびに妖子を思い出すがいい、と。めっちゃジコチューで激しい主張なんですが、ここがすごく好きなところなんですよ。納得しかねぇっていう。仇なんぞうってすっきりしようなんてムシがよすぎるってなもんですよ。恋する女は怖いんだぞ。恋焦がれてもだえ苦しみ続けることの方こそ望むっていう。「命がけの代償が惚れた男の腕の中なら決して悪くない」っていうね。「恋」の激しさをテーマにもしているので、この烈火のごとき恋情にはすごく納得がいくんですよ。ラストは、結果的にはハッピーエンドではなかったし、大きな陰謀などは描かれることなく収束しました。物足りなさはあるけれど、まあこれが限度だったんじゃないかな。作者さんはわりに気の強いヒロインが好きなようなんですが、初期は逆の、いじいじめそめそしたヒロインが多かった。その反動がきてるっぽいなーと思いながら読んでました。この話よりだいぶんまえに「あこがれ冒険者」というコミックがあってそのヒロインのみいはけっこう強気で活発な子でしたけどね。男の子は筋肉バカというか、あほの子があいてになる傾向が強い…かも?まあ、いろんなタイプを描けるってのはさすがの実績と言わざるを得ないし、男子のキャラを見てるとBL好きそうだなってのもわかりますね。わたし自身はBLが受け付けないので、この方のBLはまったく読んだこともありません。思うと…意外なことにこの方の描く男子きゃらって、あまり好きだなと思う子がいないんですよね…漫画は好きだったけど、これといって惹かれる男子がいないというか。脇役にはたまにいましたが。やはりBL苦手なのは伊達じゃないなと気づきましたわ。今では入手も困難なのかなかなか見かけませんが、一度読んでみてほしいコミックではあります。紅天女ではなく、伝説です。そして壮大なストーリーではありませんのでその点もご留意いただければ。
2025.06.21
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ひよこ時計PiPiPi【電子書籍】[ 高瀬綾 ]価格:594円 (2025/6/20時点)なっっっっつかしことこの上ありませせんね。一冊読み切りのラブコメなんですが、昭和の漫画らしい絵柄とノリで、いまでもなんか好きなんですよ。これがたぶんこの方の初コミックだったんじゃないかな?主人公の女の子は妄想激しい中学二年生。片思いしてる男の子がいるんだけど、どうやらその男の友達から好意をよせられているようで、といったラブコメとしてはありがちなものです。絵も昭和らしいTHE少女漫画といった風で、目が大きくて顔の半分以上っていう。男子もキャラのかきわけができているかといわれると微妙で、まあそれは女の子もかな…ただすごい勢いはあるし、画面の描き込みがすごい。絵のうまさだけでいうなら現代の少女漫画の方がうまいのは間違いないんですが、華奢過ぎない絵で勢いとノリがあり、「漫画」としてはこの頃の方がよみやすいとすらいえます。デジタルの、タテヨミにも対応した漫画ってのは、一ページの情報が少ないし、顔だけで話が進んでくとかありますからね…この当時、昭和って全身のデッサンをかなり求められたんじゃないかと思うし、コマわりや視線誘導もかなり勉強したんじゃないかな?アナログって大変だ…とむかしの漫画を読むと実感します。こちらのひよこ時計は、話としてはありきたりなんですが、その分気楽に読めるし、一ページに描かれてる絵をじっくり見てくとけっこう面白かったりするんで、なぜかしら飽きないんです。主人公の実久はかなり独特に片思いを楽しんでて、もちろん本人は真剣だし、本気なんですが、周りの友人二人はそれを面白がってるし、一方で感心もしてる。物語にそれほど出張ってこない女友達が二人いるって、やはりいいなーと。片思いしてる男の子の隣の席になって喜びつつも緊張するって、ド定番なんですよね。これが「正反対な君と僕」でもあって、いやー、変わらないものってあるんだなぁとほっこりしたりね。といっても、こちらのヒロイン実久はシャーペンの芯が飛んできただけで宝物にするような子ですし。ちょっと変わってはいるっていう。ちなみに友人の梨華ちゃんがいいんですよ。ぴらぴらのレース好きで男の子より女の子が好きっていう倒錯者(ヒロイン実久談)そういう梨華ちゃんをすんなり受け入れてるのって何気にすごいですよね。現代の、絵は整っているし美形揃いの少女漫画ももちろん良いのだけれど、この当時のこってこての少女漫画も、なんともいえない味わいがあって、読んでみてほしいんですよね。この作者さんの代表作はたぶん「くるみと七人のこびとたち」かと思われますが、わたしはそちらは未読なんですよね。ただ評判はそこそこ良いようです。
2025.06.20
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魔百合の恐怖報告1 部屋の隅の白い影【電子書籍】[ 山本まゆり ]価格:410円 (2025/6/19時点)かれこれ長い付き合いのコミックで、今に至るまでずっと買い続けています。ハロウィン時代からではあるんですが、この作者さんの少女漫画を描いていた頃から読んでたんですよ。といっても「マイバースデイ」というところで掲載されていたので、それより古いものはさすがに…なので緒方克己シリーズも読んでました。こちらのコミックは実録もので、実在する霊能者が心霊に関するあれこれを解決していくといったものです。はじめは本業はべつにあり、副業的な「霊能者」だったんですが、相談が増えすぎて職業霊能者となった次第。こういった実録ものって、一回読んだら再度読む必要ってないんですが、このシリーズは「漫画」として面白いのもあるし、勉強になるからけっこう繰り返し読んでいるし、そのせいもあって手放せません。ちなみに「視っちゃんシリーズ」も並行して買っていますとも。わたし自身は霊感のレの字もなく、この霊能者さん玲子さんに相談したい!ってことはまったくないんですが、お会いしてみたいなぁという気持ちはありますよ。自分が民俗学とか歴史とか好きだからてのもあります。「闇の検証」というシリーズもでていて、こちらは全部ではないがやはり持っていて、「なるほど」とおもいながら読んでいます。霊感まったくないのに、なぜスピリチュアル系好きなのかが自分でもよくわからないし、なんで信じられるのかと言われると、ほんと…わかりません。幽霊の存在を何から何まで信じ切っているわけではありませんが、いるだろうことは、なんとなくずっと子供のころから信じてました。はっきり見たことなんてないのに、じつにふしぎ。霊体験を一度もしてないってこともなくて、まあたぶん、それっぽいものは見ているし、「怖い」なと感じた何かしらは何度かありました。といって、霊体験でひどい目にあったとか、それこそ生活に支障がでるようなことはまったくありません。この漫画をよんで勉強になるのは「カルト」関係に対する受け取り方もです。おどろくほど、たくさんのカルト系宗教が世間にはあるんだなとびっくりしましたし、そういうカルト詐欺も横行してる…このあたりは身近にはないことなのですが、ないからってだまされないとは限らないですよね。そうした詐欺に引っかからないよう、いくつかのモデルケースをこの漫画で学んでいるって感じでしょうか。わたしは寺社仏閣にいくのも好きなんですが、だからといってスピリチュアル全般に傾倒しているわけでもありません。なにしろ裕福ではないので、スピリチュアルに金を貢ぎまくる余裕はないのですよ…それはさておき。このシリーズはまず作者さん自身が体験したことからはじまります。こういっては失礼ですが、ああした霊体験をしたことのある人ってけっこういるんじゃないでしょうか?それがたまたま玲子さんに祓ってもらえた、という流れになっただけで。でもそういう、言葉は悪いですが「ありがちな霊体験」から始まったからこそ、リアルだといえます。はじめは玲子さんも「知識」がなく、よくわからない、といったまま解決していることが多かったですが、これが霊能者としての経験値を踏んだら、それこそもっと読者側に「わからない」まま解決したりするんですよねーそれがまたおもしろくもあり。オカルト系の漫画でよくある儀式とか呪文とか、一切ありませんからね。はたから見てるとなんもしてないように思われる…そんなやり方なんですよ。ある意味でとてもリアルですし、安心感もあります。ひとつだけ、「ブレスレット」だけは相談者に渡すこともありますが。経験と知識を積んだせいか、相談も民俗学的なものになったりしてて、そこも興味深いです。日本の神社やお寺、修験道などに対する歴史的知見も得られて、わたしとしてはほくほくです。それにしても、世の人はいろんな霊体験してるんすね…わたしなんぞ金縛りにあったこともないですよ心霊系のYouTubeも観てますが、まったく見えないですし感じないので、エンタメとして楽しめるっていう。日本のホラーも好きですが、怖い感覚ってあんまないですしね。「生き人形」だけがこわかったな、漫画では。恐怖報告シリーズは、以前ほどコンスタンスには刊行されないのですが、それでも毎年夏になると、そろそろ新刊でないかなと楽しみにしています。実録系の漫画で唯一買い続けている漫画ですもの。「連載物」とはいえないので、どのコミックから読んでも問題はないかな。実在する霊能者さんの話なので胡散臭がられるかもしれませんが、玲子さんの祓い方あっさりしてることもあって、あんまり胡散臭さは感じません。カルト宗教に引っかからないための勉強にもなるので、機会があれば読んでみるといいかも。絵柄は少女漫画家さんなのでべつだん怖くないですしね。絵は初期の方が好きなんですが、まあこれは加齢もおありでしょう。なんつっても長いシリーズですしね。
2025.06.19
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お針子令嬢と氷の伯爵の白い結婚(1) (マンガワンコミックス) [ 岩上 翠 ]価格:770円(税込、送料無料) (2025/6/18時点)う、うーん…なんとなく読んでみたコミックでしたが、そもそもタイトルからして自分の好みじゃないってわかるやつやん流行の要素をてんこもりに入れたって感じでしょうか。性格の悪い妹に虐げられていて、婚約者から婚約破棄を言い渡されて、その後別の男から白い結婚を申し込まれるっていう。しかも魔力がどうのという設定もいれてあって、なんつーか、盛りすぎではとあと両親にも虐待されてるけど、これいる設定?なんというか…どれかひとつに絞ればいいのに、と感じた冒頭で、続きがきにならなくなってしまった。これふつうにおかしいんですよ。セラフィナはいちおう長女で家を継ぐために婿養子がいるって設定で、コンラッドとは家同士の取り決めで婚約したわけだよね?それを妹の方がいいって理由で婚約解除って、それ親が普通怒る案件だよ、コンラッドの方に。妹と婚約したところで婿養子になってくれる契約結んだってんならまだしも。あ、ここでそうなるとセラフィナは「追放」されなくちゃ!とおもったくらいには頭がなろうになってたわ…まあ結果的にそういう感じにはなるのかな。ヒロインのセラフィナは貴族の娘として、わりとぬくぬく生きてるんだよね。婚約破棄されてしょんぼりしてひきこもって縫物してたとか…うんそりゃ…婚約も破棄されるでしょ?そういうとこだよって思う。妹のミリアムがどんな子かもちゃんと描かれていないのもモヤッとした。美人で魔力が高い、ってことで両親からちやほやされたのはわかるけど、だからって姉を虐待し婚約者奪うようなことすっかな?なんでなん?そのあたりをもっとちゃんと描いてほしいかな。こういう話ってついつい、虐げている方の事情を知りたいと思ってしまうんですよ。もちろん、生来歪んだ性格の人間てのはいるものなので、それ自体はまぁリアルかなとは思うんですが、なんというか…ただヒロインを「かわいそう」な立場に置くためだけの舞台装置になっちゃってて、「あー、はいはい」としか思えないんですよ、ヒロインに対しても。元婚約者のコンラッドもそうで、もちろん何かしらの理由があって妹に乗り換えたんだろうけど、しかたなしに婚約していたし最初は優しくしてやったけど妹の方が可愛いし魔力も高いって程度の理由しかないんですよね。クズ男としてはそれでいいんだけど、もうちょっとこうそこに「ちょっとしたドラマ」を挟んでも良かったんではない?と感じてしまう。刺繍入りのスカーフ突き返したりとか性格悪すぎてドン引き…と言いたいけど、いやそれ、もっと意味深に描いておかないと、伏線未満になってしまうんですよ…願いを込めた刺繍…お守りとしての魔力があったはずですよね、それ?いや、わかりませんが。魔力補給の設定も…なんというか…余計な設定に感じるかな。やりたいことはわかるんですよ。本当は妹よりずっと魔力が高かったってことが後々わかるっていうね。いわゆる追放ものにありがちな「ざまぁ展開」につなげる布石でしょう。まあそれはさておき「白い結婚」ですが、この言葉がまかり通っている世界観なのがまず不思議なんですよ。これはあとから称された、ならわかるんですよ。それか、まだ結婚というには早い年齢なので結婚後もしばらくは清い関係のままでいてほしいとねがいでて、そのご家か国かの要請で離縁されることになった。そしてその時に、あのふたりは白い結婚の間柄だった、といわれるのならわかるんですよ。でもこれ最初から白い結婚をしてほしいといってますでしょう?ごくふつうに、最初から、名ばかりの結婚をしてほしいといえばいいだけなんですよ。結婚したという事実が欲しいと。まあそんなこと貴族子息子女がゆるされるわけねーでしょ、とは思いますが。血統を継ぐのが貴族家に生まれたものの「仕事」のはずですから。家と家との婚姻、という意識がすごく希薄。刺繍ができるからと契約結婚をひきうけるけど、家を継ぐための「子供」はどうするのかとか、別に愛人というか側室を用意した方がいいのかとか、もうちょっとこう…現実的なことも考えておくれよ…と思ってしまう。一時的な結婚で、数年後には離婚も了承する、という設定があるにしても「白い結婚」だからヒロインは清いままだ、なんて世間に公表するわけにもいかないでしょう?そういうところも、なんも考えてないな相手役伯爵にもやっとする。ほんとはセラフィナが好きだったとかいわれても、だったら最初にそういえやだし。途中から好きになっていく過程を描くにしても、なんとなくヒロイン・ヒーローどちらもなんかふわっとしてるんですよ、「心」の模様が。心の変化を描いていく…にはちょっと漫画家さんの力も足りない気がしました。ぱっと見の絵は可愛いのだけど、漫画として読みにくい点が多々あります。妹ちゃんがコンラッドと合わせて食事会しましょーって提案してヒロイン困惑…からいきなり氷の伯爵の領地へ移動なんですよ。落丁疑いましたわ…え、伯爵と結婚決まって、それでどーなった?「夫」とかいってるけど結婚式はまだで、いやどんな取り決めがあったとか…家族でどんな話し合いがあったとか、そういうのは?セラフィナの父親は一応喜んでたけど、母親は?結婚の準備の話とかそういうのまったくないわけ?いやいやいやいや…まじでページとんだ?ってなりましたね…このあたりの話の突飛さって、漫画家さんの「漫画表現」のつたなさのひとつでもありますね。決して絵が下手な方ではないんですが。人体のデッサンも…ときどき微妙になりますね。これは少女漫画家さんにはありがちなことですけど、剣をふるう立ち絵すらなんつーか微妙で、全然かっこよくない。あとやたら胸がでかいねー胸に目がめっちゃいく。この辺りは姉妹が似ててわらってしまった。まあ漫画家さんの絵柄としてそうなっちゃってるんでしょう。下手とまでは思いませんでしたが、とくに男性の体がちょっとヘンなんですよね。女の子の絵はたぶんドレスでごまかされている感じ。ただ女の子の顔は可愛いので、少女漫画としてはじゅうぶんかな。ちょっと圧が強いけれども…控えめでおとなしい地味なヒロインのはずなんですが、ものすごく「圧」がある…いや可愛いんですけどね。ここ最近、いろんな少女漫画とくに令嬢ものを読み漁っていて、好みに合致ってものもありましたが、どうもうーん…てのもあって。ただ感じたのは「漫画表現」がうまいかどうかって、少女漫画はとくに大事なんだなと感じました。絵は下手でも、コマわりとかやたらと文で書くのではなく「絵」で説明してくれるとか、キャラの立ち位置、姿勢からの「表現」というか…絵だけが可愛くても漫画としての表現が微妙…ってけっこうあって、まあこれは紙媒体がメインではないからかもと思わないでもないですが。あとは「素材」に頼ってるのも大きいかな?背景やら花やら…きれいなんだけどキャラと溶け合ってないとかね。少女漫画育ちで少女漫画好きだから、ついつい厳しい目線で見てしまいますねだからこそ、好きな「少女漫画」に出会うとうれしいのですが。そんなわけで令嬢ものはこれからも読み漁っていくと思います。あ、ゲーム転生しか悪役令嬢ものは好みではないのでよむことはないです、たぶん。面白いよとすすめられたものもあるのですけどね。
2025.06.18
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男の華園 1【電子書籍】[ 桑田乃梨子 ]価格:670円 (2025/6/17時点)作者さんの持ち味が生かされているコミックといえます。キャラたちがわちゃわちゃやってて、「恋」「青春」もあるかだけど、ずっと緩いんです。男子新体操という、なかなかに珍しい部活をあつかっていて、それもちゃんと描いてはいるんですが、だからって全員熱血全国大会へGOみたいな展開はまったくありません。ヘボのままです。そしてタイトルから誤解されそうなBL展開は…まあ、なくもないんですが、とってもゆるいです。作中でも「ホモ哲」ってあだ名でからかわれてますしね。「哲」というキャラは、新体操部ではかなりうまい選手なんですが、それが主人公でもある男の子に恋をしてしまうんですが、私の苦手なBL展開にはなりません主人公は、小説を趣味で描いている(某犬以下と揶揄される)インドアの大学一年生、縁(ユカリところが意外なことに反射神経はよくバク転とかもできちゃうもんだから、それを新体操部の先輩に見つかって強制入部…といったところから物語ははじまります。この新体操部の先輩たち、名前が女名前で統一されてます。シオリ、マドカ、アズサ、メグミ、ナギサそこに「ユカリ」参入ってわけです。「恋」の部分は、このユカリが片思いしている女の子も女子の新体操部員で、ナギサの妹。それなりに友達としてなかよくなるんですが、鈍感系女子だし、ユカリはへたれだしで、いい雰囲気にはちっともなりません。この作品は、もしかしたらですが作者さんにとって転換期だったのかと感じながら読んでいました。花とゆめやlalakの雰囲気に合わなくなってきた頃でしょうしね。それからフリーになったのか、別の場所で描き始めるようになります。高校生ものばかりを描いていたのですが大学生のキャンパスライフを描くようになり、幅がひろがったのかもしれませんね。美麗な絵を描かれる方というわけではありませんし、萌え絵でもないのですが、人物デッサンはこの頃が一番安定していたように思います。絵が安定していて、キャラのかきわけもできている。それにキャラの私服がそれぞれ個性にあっててよかったなとも。もともとコメディ寄りの話を描く人なので、内容もがっつりリアル、というわけでもありません。キャンパスライフといったって、授業にでてるとこなんてありゃしませんしね。キャラ達のバイト先での話はけっこうあるんですが。ただやはりキャラはいいんですよね。男女ともに。女子だと、ヒロインポジの子(雪野)もいいんですが、ヒロインの友人の井上もいいやつなんですよ。そしてこの子が恋してしまうのが…っていうのもわかるし。もちろんこの井上がガチに恋をするのは「ユカリ」ではないですよ。そういう「ありがち」は踏まないんですが、ユカリが最終的に告白して付き合うことになるのはやはりヒロイン雪野ですしね。このあたりは「ありがち」なオチなんですが、それでいいなっていう。作者くわたんって独特の持ち味があるので、固定のファンはいそうだなと。流行は追わないし、流行を追うにしてもちょっと別角度的な話になりがちだし。でも読んでて心地いいんですよ。あとは、細かい「描き文字」がネタの宝庫すぎておもしろいし、作者さんの読書量がはんぱないなってのがわかります。漫画好きなんだなーってね。言ってしまえば「毒にも薬にもならない」系のコミックではあるんですが、それがいい持ち味になっているので、ゆるーい系のコミックが好きな方にはお勧めしたいです。タイトル検索でガチのBLが出てくるのでそこは注意っす
2025.06.17
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スキップ・ビート!(第1巻) (花とゆめコミックス) [ 仲村佳樹 ]価格:471円(税込、送料無料) (2025/6/16時点)初っ端から余談ですが。やはり鬼の花嫁、アニメ化ですねー。予想当たったwあくまで「小説」の方がアニメ化ってことなんでしょうが、とにかくあの漫画は自分には合わなかったし、ヒロインが性格悪すぎてドン引きだった。でもアニメ化されるだろうことはなんとなく予想がつくくらい、不自然に持ち上げられてましたね。さてアニメ化といえば、こちらのスキビもたしかアニメ化されていたはず。基本的に少女漫画のアニメ化って最近のものはほとんど見ていないのでこちらも観ていませんでしたが。この話、芸能界ものというか「演技」をメインにした話だと思っていたし、最初はそのあたりが楽しかったんですよ、強引でコメディ寄りの流れではあっても。幼馴染のショータローにいいように使われて用なしとなったらポイ捨て去れたことで復讐してやるーっと芸能界入りするわけですが、「愛」のない演技しかできない、ということでオーディションも落ちてしまう。ところがワンチャンってことでどうにか演技の勉強ができるところ養成所に入って、そこで友人とも呼べるモー子さんと出会ったり、芸能界一のイケメンで演技派俳優とされる蓮との出会いがあったりと、様々なドラマがヒロイン・キョーコの周りで起きてきます。ラブミー部に入ってからいろんな体験をしつつ演技の勉強をして…というところはすごくよかったんですよ。キョーコには何やら複雑な事情があるらしく、それをにおわせつつも、宿敵ショータローとの直接対決があったりして。いわゆる巻ごとにイベントがあった。ただ、そのせいで話が進まな過ぎてダルくはあったけど、キャラ多いしで仕方ないかな。蓮は最初キョーコのことを好ましく思ってなかったんですが、代理マネをやった時に、キョーコの演技への本気さ、というか演技そのものを楽しいと感じていて、復讐なんかのためじゃない、そのことがわかって好感度があがるあたりも、納得でした。蓮はそういう、演技に関してはまっすぐで、潔癖すぎるところすらあるくらいだと。この蓮の変化がダークムーンというドラマで顕著になっていく…というあたりまではすごく楽しめたんですが…申し訳ないことに、このあたりから脱落してしまったんですよ。蓮とキョーコがくっつく未来はぼちぼち読んでいてわかっていたのですが、どうもショータローのこと切れてないですよね?もう何ならキョーコはショータローとくっつく未来があったんでは?と思うくらいに。そのあたりで、なんかダメでした。これって、蓮が確実に「当て馬」なんですよ、キョーコの相手のはずなのに。ショータローのことは過去のやり口がひどすぎて、どうしたって好きにはなれないんですが、もしや作者さん、ショータローひいきなのか?と思うようなことがあったりと、純粋に楽しめなくなってしまった。あとはほんとにびっくりするほど、話が進まないし、いまたしか50巻ほど出てるはずですが、この時点で作中の月日が一年経ったか経たないかくらいでは?いくらなんでも遅すぎるでしょう…ガラスの仮面でもそうですが、現実世界は進んでしまっているんですよ。たとえばガラケーからスマホ、タブレットに。これだけでも「情報」が違いすぎますし、ハリウッドの映画の作り具合というのか、制作方法もけっこう変わっていると思うんですよ。読んでいるこちら側と、作中の芸能界との乖離がはなはだしいんですよ。ショータローの音楽についてもそうです。一昔前のスタイルすぎて…それもうべつにかっこよくないよね?そういうのが気になってしまうのが、現代ものを舞台とした長編の弊害でしょう。ぶっちゃけこれも、30巻あたりでまとめておくべきだったと思う。キョーコの母親のことや「コーン」の正体のこと。蓮のバックボーンについても「コーン」と絡めてさっさとネタバラシしておくべきだったろうと思う。少女漫画って長すぎるとダレるし、名作になりえただろうに、名作にはなれずに読者離れしてしまうと思う。一気読みしたいから全巻買おう!にしても50巻越えとか…ってなる。いろんな意味でもったいないなと感じた。作中のダークムーンはどんな話でどんな結末がついてのか、それだけは気になったかなー。演技に集中できるポテンシャルがあるキョーコが、今後どういった「役者」になっていくんだろうと楽しみにしていたけど、どうもそちら方向には進まなそうで…ただ、20巻あたりまでは一気に読むと、設定的には無茶ぶりしまくってるけど、テンポよく進むので、楽しめるんじゃないかな、とは思います。30まで行くとだれるかな、という印象。40巻までは…ついていけなかったです。とはいえ、いまでも「花とゆめ」の看板作品のようだし、読んでみるのも一興…かな
2025.06.16
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カローンの蜘蛛 (角川文庫) [ 栗本薫 ]価格:501円(税込、送料無料) (2025/6/15時点)全二巻、かな。一応続きはあるような話だったのですが、結局刊行されることはありませんでした。グインサーガは読んでなかったのですが、これは短いこともあって読みやすいです。しかも表紙絵がすばらしく美麗で…天野喜孝氏が描かれているんですよ。アルスラーン戦記もそうでしたが、いいイラストなんですよ…氏もお気に入りだったようで、個展などもよく使われていたそうです。リンクでは画像がないので、ぜひググッて探してみてください。いや、持ってるんだから写真あげろよって…それはさておき、こちらの話はわりに王道ともいえる「剣と魔法のファンタジー」です。主人公は絶世の美少年で魔導士ゼフィールと草原の国の貴族であり剣士のヴァン・カルスこの二人の旅路がメインとなり、その旅先でいろいろと不可思議な出来ごとがおこる、というわけです。美少年ゼフィールは神の禁忌に触れたことで国外追放の身となり、それの護衛としてカルスが付き従うという構図です。ゼフィールは、闇王国の神ジェイナスの申し子ともされ、かなり強力な魔道の力をもつ少年で、しかもカルスが愛した姫の生まれ変わりという設定も。性格はと言えば高飛車で冷徹、自分の美貌もよくわかっているし、魔導士としての力の強さも自認している、鼻持ちならない王子様なんですよ。それで時にはカルスとけんかしちゃったりもしますが、結果的にはカルスは王子を憎めないし、何のかんのカルスを信頼してるゼフィール王子こりゃまあBLぽくはあるんですが、まぁ、そうといえなくもないですかね。気色悪い異形を描くのが得意な作者さんなので、魔法合戦はなかなかに面白いです。一話読み切り形の展開で、時には未来から「思い出話」として語られることもあります。ちょっと長めなのは王子が国にいた頃の話でしょうか。とにかく全体的に薄暗い。さすが「トワイライトサーガ」と銘打っているだけのことはあります。カルスの楽天的な性格が物語を救いのあるものにしてくれてますが、わりに救いのない話がおおいかもです。悲しいとかではなく、なんだか切ないなぁという感じ。気位の高い美少年ゼフィールも、絶妙にいいんですよ、キャラが。すっごいツンケンしちゃってるし、カルスにおまえなんかいなくても平気だみたいなこともへっちゃらでいうし、可愛げないんだけど、ちゃんと可愛いっていう。ツンデレの「デレ」部分はほとんどでてこないんですが、それでもなんか可愛いんですよ。この話に「ヒロイン」は存在しませんが、ゼフィールはある意味でヒロインポジションでもあります。カルスの愛した姫の生まれ変わりというか、同じ魂の持ち主ですからね。性格はちがうようですが。しかしカルスはその姫の想いを知らぬままなんですよ。だから姫は俺を愛してくれたのか、その答えも知りたい。そしてそれを王子に求めてしまう。「姫」の記憶を。でも答えは得られないままです。それでいいかな、とも思います。2巻目あたりで、ゼフィールとカルスは別の道をゆき、離れ離れになるのでは?という未来をにおわせていたのですが、そこも結局はわからないままです。2巻で完結と書きましたが、未完でもあります。この頃ってこういう未完ものが多い…というか、わたしがそういう小説なり漫画なりを手にとってしまいがちなのかもしれませんが。グインサーガの方がどうしたって有名なんですが、これは隠れた名作だと思うんですよ。名作、はちょっと言い過ぎかもですが、いい具合のまとまり方をしてるし、耽美な小説を愛する方には好まれそうですしね。いまでは手に入れるのも難しいかもしれませんが、探してみるのも一興かと思います。表紙絵はぜひとも見てほしいですしね。
2025.06.15
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魔法使いハウルと火の悪魔 (徳間文庫) [ ダイアナ・ウィン・ジョーンズ ]価格:935円(税込、送料無料) (2025/6/14時点)宮崎アニメともども好きな作品です。アニメを見てから原作を読んだのですが、うまく端折ってまとめたのがアニメですね。好悪はあると思いますが…たとえば「声優」含めて、わたしはけっこう好きですし、なんならDVDも買いましたよ倍賞氏もそれほど違和感なかったです、わたしはですが。キムタクはまあ、キムタクですね。でも別に合わないとかは思わなかったです。声優を使わないことで賛否がある宮崎アニメですが、わたし自身はそれほど違和感なく楽しめるし、初期はともかく、たしかにプロの声優さんだとかえって違和感出てしまうかもしれないなと思わないでもないです。ただし「風立ちぬ」はダメです。それはさておき、ハウルの小説は、いちおうは児童向けのものとしてかかれたようで、しかもよく知られる「おとぎ話」の「定石」がちょっと揶揄するような形でベースにしかれていますね。そしてこの点がとても不思議の国のアリス風味です。といっても一応は恋愛ものでもあるんですよね。ラストは大団円になってますし。そのあたりはアニメも同じなんですが、大筋で結構設定が変わっているところもあります。ソフィー自身のキャラ設定が変わっているのはありますが、これは映画内では語りつくせないだろうしでしかたないかな。ソフィーは三姉妹の長女で、母親は継母。このあたりは、おとぎ話ではよくあるよう設定をあえて使ったんでしょう。おとぎ話だと、たいてい継母は意地悪だし、三姉妹となれば上の二人もいじわると相場が決まってます。だからソフィーは「長女だからなにしてもうまくいかない」と思い込んでいるし、そういう「設定」が世界観としてある。アニメでもそうでしたが、ソフィーは内向的で地味な性格なんですが、おばあちゃんになったとたん、図々しくなるし物おじしやしません。小説だとそれが顕著で、もういっそすがすがしいくらい口も悪いしヒステリーだしで、ヒロインとしてそりゃどうだろっていうくらいです。ハウルはといえば、やはりうぬぼれやだしぐだぐだするし、わりとろくでもないっていう。まあ、結局お似合いの二人なんですよね。そして後のお話で、ソフィーはハウルのこと、だめだからいいんだっていうんですよ。そういうところがいいって。これっていいなと思ったんですよ。母性愛的なそれではなく、補い合ってる感じというか。小説で、ソフィーはわりに早い段階で「魔女」であるこが明かされます。ソフィーが自分で気が付くんですよ、話しかけることで魔法を使うタイプの魔女なので、けっこう強力。それにハウルの出生については小説ではかなり以外なんですよね。これって日本でいう「なろう系」ってやつではと、いやそんなわけはまったくないんだけど、そう思った自分にちょっと笑ってしまいました。ソフィーがおばあちゃんになったのは魔女ののろいでしたが、それ以外にもあって、「複雑な呪い」になってる。じつはこのあたりは小説ではわかりやすいんですが、宮崎アニメだとわかりにくい!そもそもソフィーが魔女だとは、アニメでは「名言」されてませんからね。軽い口づけが「言葉」の魔法の代わりになってる感じはりました。このあたりは「おとぎ話」っぽくていいなと思ったんですよ。おとぎ話では、王子様のキスでお姫様は目覚めるものだし、逆もまたしかりで、魔法を解く「まじない」のひとつです。わかりやすい絵的な表現として「キス」にしたのかなと。アニメでは少年だった「マルクル」ですが、小説では「マイケル」でふつうに青年で、ソフィーの妹に恋しています。小説ではここらも大事な設定なのですが、それらを描くと長くなりすぎますものね。アニメで少年にしたのはさすがと思いました。可愛いしね。犬人間もでてくるんですが、これは「ヒン」なんでしょう。小説とは役割が変わっていますが、大枠でざっくり見れば、同じなんですよ。基本的な設定は変えてないんだなと感じました。ハウルの話は、イギリスらしい話といえるんですよね。ふしぎの国のアリス的な、主人公たちの性格の歪みが。模範的な「良い子」ってほぼ出てこないんですよ。なにしろヒロインからして「ハッター」(帽子屋)ですからね。それもあって「教訓的」ではないんですよ。悪がいて、善がいて、という構図になっていないというか。嘘だって平気でつきますし、ちょっと意地悪しちゃうなんてことも平気でする。口汚いし、皮肉屋だし。ソフィーだってヒロインなのに、他人の批判だってするし、小馬鹿にしたりもする。いい子過ぎて共感できない…ということがないんです。アニメの方では「毒」を少し抜いた感じかな。まあしかし、おばあちゃんになったがゆえに心が軽くなって外交的な性格になるのはすごくわかる。わたしもたいがいBBAで、それをさいきんとみに実感しているのですよ。BBAになるといろんなことがへいっちゃらになって、良い意味で図々しくなる。悪くもでしょうけど。結果的に、ソフィーは無自覚に自分に「まじない」をかけて「変身」していたんですよね。その方が心は楽でしたろうから。その後のソフィーはおばあちゃんどころかいろんなものに「変身」しちゃうんで、最強魔女なんですけどもね。ゲド戦記とは違ってアニメはアニメで楽しめるし、小説読んでいると、ここのシーンをああいう風にもっていったんだーとかがわかるので、アニメを楽しめた方なら、この小説も楽しめるかと思います。
2025.06.14
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幻月楼奇譚(1)【電子書籍】[ 今市子 ]価格:586円 (2025/6/13時点)こちら、わたしが唯一読めたBLコミックです。作者さん買いしたものなのでBLだからと手に取ったものではありません。むしろわたしはBL全般が苦手なので…いわゆる同性愛がテーマになってるものやギャグよりなら大丈夫なんですが、ファンタジーとしてのBLはどうも受け付けなくて…こればかりは好みの問題ですね。が、こちらの作品はわりと平気で読めました。もちろん主役二人の青年はデキちゃうわけですが、まあ、あまり濃厚なシーンがあるわけでもないし、ストーリーの筋が「あやかしもの」、そしてそれをメインキャラの二人がほんのり解決する話で、ちょっとコメディ要素もあり、妖怪ものらしいちょびっとの怖さもあります。時代は「現代」ではなく、ちょっと昔の…明治でも大正でも昭和でもない、これといって明記はされてないいつかのどこかです。舞台が「吉原」、そこの料亭「幻月楼」が拠点となります。いわゆる霊感というか、妖怪あやかしと縁の深い「男芸者」の与三郎(切られの与三からのあだ名)、そしてもうひとりが味噌屋の老舗のぼんぼん、若旦那の升一郎。この若旦那が男芸者に入れあげて…っていう話でもあるんだけど、この与三郎の周りで起きる怪異に巻き込まれ、それをなんとか解決したり放置したりする話で、代表作の百鬼夜行と若干の類似点はあります。とはいえ、なにしろ場所が「吉原」ということもあり、この場所特有の「欲」が絡んでくるし、起こる「怪異」がとても面白いです。そしてメインキャラ二人のコンビが面白い。BLの世界観ですが、ちゃんとまっとうな女も出てくるし、男女の恋にまつわるあれこれも出てきます。場所が遊郭ですしね。そして男同士の「恋」の怖さもまたちゃんと描かれているのが面白いです。与三郎はちゃっかりしてるんで、女とも寝ますよ。この辺りがよかったなと個人的に。まあ、情報収集のためにっていう目的があるわけですが、なにしろそこは「男芸者」ですからね。そしてこの与三郎、「男芸者」つまり太鼓持ちなんですが、特技とする「噺」は怪談。これが特色となっているし、この特異の怪談をするためにあえて怪異に踏み込んで危ない目にも遭う。そこを若旦那に助けられるわけですが、それが別段かっこいいってわけではないのも好ましいです。味噌屋を継ぐためにも早く嫁を迎えろと家人からはやいのやいのいわれるし、升一郎の素性は実は芸妓の子でていうのはかなり早い段階で描かれ、しかもべつに深刻でもない展開なのも安心。ちゃんと「怪談」ぽい事件が起こり、それを主軸に与三と若旦那のコミカルな恋模様も描かれるので、BL感はかなり弱めです。ガチのBL好きさんには物足りないかもしれない内容ですが、そこの判定はちょっとわたしにはつけられません。コミカルなあやかしもので、ちょっと古い時代の雰囲気を味わいたい人にはお勧めできる…かな?BLものですからそこだけは初めに飲んでおかないと、ってのはありますけどね。怖いというよりほのぼのの方が強い、一風変わった「あやかし」ものです
2025.06.13
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地球(テラ)へ…(1) (中公文庫コミック版) [ 竹宮恵子 ]価格:836円(税込、送料無料) (2025/6/12時点)竹宮氏の漫画はほかにも数点読んだことがあるが、世界観がとっても独特。なんというか…よくもわるくも「わかりにくい」ところがある。少女漫画らしいポエミーさがあるので、合わないと感じてしまうととことん合わなくて、それで脱落してしまった作品もある。そんな中でこれは少年誌でかかれたこともあって比較的「わかりやすい」このころって、おそらくだけど「超能力」ものって流行っていたんではないかな?有名どころだと「超人ロック」がそうで、舞台が宇宙なのも似ているかな、これ。冒頭は「火の鳥」ぽくはあるんですが、内容はニンゲンvsミュウ(超能力者)…なんですが、それはあくまで表面的なことで、人間との対立がテーマってわけではないです。むしろ機械に支配されることへの忌避、このあたりは銀河鉄道999のようですしね。メインの主人公は二人、ミュウの長となるジョミーと人間の代表になるキース二人の葛藤をメインに描かれ、最終的に対決もしますが、この二人は敵対しつつも、最終的には敵対しきれず…勝敗はつかないといっていいのではないかしらこの話はずっと一つのことにこだわり続けている「怖さ」がありますね。それが「母」です。どんなに年経ようとも、根底に「母」があるし、対決するのもまた「母」です。ジョミーは少年のまま。姿だけではなく、心もずっと「少年」キースは少年時代がなかったせいで、知能だけは成熟している「あかんぼう」なんですよ…この二人は「地球」をめぐってあらそうわけだけど、これってつまり「母」をめぐっての争いでもある。そしてそんな中で唯一の男性の機械声、グランドマザーに永久指令を与えた地底のメインコンピューター。これがおそらくは「父」的な存在でもあるけれど、結果的にこの「父」の命令は無視されます。そりゃまそうでんがなっていうね。父の存在は最後までずっと無視されるんですよ。ジョミー自身がそうで、母親のことはいつまでも恋しく思い出しますが、父親のことなんて一ミリも思い出しませんからね。ブルーの存在は父のようであり、でもやはりどちらかといえば「母性的」なんですよ。人間もミュウも、差異はあるんだけど遺伝子レベルでか「地球への思慕」を組み込まれ、洗脳されちゃってる。これがナスカで生まれた子たちは希薄で、筆頭のトォニィはジョミーを慕い、ジョミーのために戦うことを決意するけれど、彼らは戦うためにだけ生まれてきたので地球なんてわりとどうでもいい。だから最終的には「たましい」だけの状態になって地球から離れ…けれど最後に…なぜか最後に異星人となって舞い戻ってくる。ただこれはトォニィたちではなく、トォニィたちが抱えていた記憶の一部が異星人の魂に刻まれてしまった、ってことなんだろうかと。ま、勝手に思ってます。この辺りは火の鳥の望郷ともちょっと似てるかもですが。唐突に異星人が出てきたのには面食らったけれど、この漫画家さんらしいポエミーなラストだったんですよ。「ゴール」を目指す存在としてのジョミーこれね、結果として機械の言うとおりに従うのなんてダメだ。人間自分たちの意思で生きていかねば、というテーマもあるけれど、それはあまりメインにしてない気がしたんですよ。ジョミーははたして何を目指していたんだろう。この問いかけをはっきり描かず迎えたエンドのように感じました。このあたりの「わからなさ」がこの漫画家さん「らしさ」ではあるんですよ。ポエティック人間を支配するコンピューターが「母性」として描かれるのはそんなに珍しいことでもなくて、いやもうだいたいそれっていうか、そういうイメージが昔はあったのかも。とにかく「乳離れできない人間」を描くためなので仕方なくもありますが、しかし女性優位というのでもないんですよ。女性と母性は分けられている、というか。支配するのが男性声のコンピューターもええやんかと思わないでもないんですが、たぶんそれだと人間いうこときかないんだろうって容易に想像できるから、しないんでしょう。この話のラストはとても不明瞭で、「地球」がどうなったのかは描かれていないのでわかりません。爆発でもして失われたのかもしれない可能性だってあります。それでも遠くからやってきた異星人は「地球へ…」と向かうんですよ。洗脳の結果としてでも。これはなかなかに怖いラストで、ジョミーは少年のままゴールを目指し、そしてそのまま…つまりゴールへはおそらく永遠にたどり着けないでしょう。この作品はアニメ化もされましたが、わたしは新旧どちらも観ていないので、どのようなアニメになったのかはわかりません。けれど表面的なテーマはとっても派手だしSFなので、そういう点でひろく愛されたんだろうなと思います。たぶんソルジャーブルーは人気なんだろうな、とかもね。古い作品ではありますが、今読んでみても考えさせられる話です。「檻を意識されては困る」という遊園地でのあの件とかね。
2025.06.12
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シルクロード・シリーズ(4) (HMB) [ 神坂智子 ]価格:733円(税込、送料無料) (2025/6/10時点)これまた古いコミックなんですが、少女漫画の可能性を感じた作品でもあります。というか、この頃の「花とゆめ」ってとにかくジャンルが雑多で、たのしかった。このシルクロードシリーズはその名前の通り、舞台は「シルクロード」のそこかしこなんですが、一番初めは日本からスタートします。固定の主人公、というのはいないといっていいかな。けれどメインのキャラはいて、それはなんと「神様」です。日本の神ではなく、シルクロード、遊牧民たちの神とされる「10人の神」長い金の髪と青の瞳、という「神」ですが、この「神」の設定がちょっとSFぽくもあり。「終末思想」もちょっと入ってるし、宗教観も最終シリーズにはあったりします。まあ、それはそれとして。歴史ものというわけでもなく、少数民族らの生きざまなどを描いているので、今から思うとかなり特殊といっていい「少女漫画」でしょう。作者さん自身が現場…タクラマカンやら当時の「ソ連」、中国、アフガン、パキスタン、インド…とにかく出向いて、生で見ているのでリアルです。なにしろ1980年代のようで、これはすごいことですよね、なんというか想像もつきません。けれど、その分作品に「愛」を感じられます。民族の誇り、というものをリアルに描けていて驚くばかりです。遠い土地での生活のあれこれが、さらりと描かれているのも好印象です。別段大げさに描くでもないんですよ。あくまで「日常」として描いています。そんな中で特異な存在として「白い神々(テングリ)」が物語に登場し、時に人とかかわりを持ちます。基本的に彼らは人と関わらないのですが、時として人の願いをかなえてやることも。「白い神々」は「天山(テンシャン)」に住むといわれています。物語のはじめ、「白い神々」は9人しかおらず、欠けた状態でしたが、そこに一人のヒロインが仲間として加わります。唯一の女性神です。そしてそれで物語がはじまるのかっていうと、そんなことはなく。新たに加わった「ヒロイン」は女性ですが、はるか昔に亡くなってしまった「オリジン」という神の血筋です。このオリジンが神々の長なので、その流れでこのヒロイン、シオリも長となるわけですが、一応そこで「シオリ(詩織)」の物語は終わります。一話完結形式なので。そしてこの「シルクロードシリーズ」は時代を過去や未来にいったりきたりして展開するわけです。時に実在した人物を紛れ込ませたりして。それにしても、9人の白い神は全員が美男子なのはいいといても、かなりの長髪金髪なので、これ、描くの大変だったろうなーと思うんですよ。素敵ですが。そして髪型も微妙に違うのも見どころです。ドジな末っ子「アーサー」やナルシストはいった「テイサ」、思慮深い「マロムセイ」あたりがよく出てきますね。「スルジェ」には唯一ともにいることを許された恋人がいますが、それは別のシリーズ「ゾマのシリーズ」のヒロインです。枝葉がおおいんですよ、このシリーズ。アーサーの神が絨毯に編み込まれちゃった連作はとくに好きでしたわ。そういうことがほんとにあったらいいのに、みたいな、なんともいえずほのぼのしちゃう話というか。とはいえ、超絶長い話でもないのでお勧めなんですが、今、なかなか手に入らないのかな?日本の価値観とはまた違った土地での人たちの生き方、死生観なども含めてさらりと読めます。何度読んでも飽きないんですよね。ちょっとカルトっぽく感じるかもしれませんが、メインの舞台が日本ではないことや、密教仏教のことも含んでいるので、「そういうもの」として読めます。ただいまこれが手に入りにくいのって、イスラムのあの神に触れてるからかしらね?別段茶化してもいないし、教義時代には触れていない(はず)なのですが。世に広く知られている漫画ではないですが、むかし、こんな少女漫画があったんだな、という感動がある。それと、神話好きな方にもお勧めしたいかも。
2025.06.11
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陰陽師 1【電子書籍】[ 岡野玲子 ]価格:848円 (2025/6/10時点)陰陽師ものではこれが群を抜いて好きだったんですよ…そう、途中までは。なぜなのか、女性漫画家さんってある時からカルト系に思考がのめり込んでしまう方が多い気がします。これもね、なんだか途中からへんなルートに進んで行っちゃったなぁと。水乞いあたりまではとても好きだったんですよ。歴史もの好きだったこともあるし、とくに平安時代前期あたりは好きでしたから、これも歴史考察を含めてもとても楽しく読んでいました。勉強にもなりましたしね。安倍晴明のキャラもとても立っていて、博d陰陽師 1【電子書籍】[ 岡野玲子 ]価格:848円 (2025/6/10時点)陰陽師ものではこれが群を抜いて好きだったんですよ…そう、途中までは。なぜなのか、女性漫画家さんってある時からカルト系に思考がのめり込んでしまう方が多い気がします。これもね、なんだか途中からへんなルートに進んで行っちゃったなぁと。水乞いあたりまではとても好きだったんですよ。歴史もの好きだったこともあるし、とくに平安時代前期あたりは好きでしたから、これも歴史考察を含めてもとても楽しく読んでいました。勉強にもなりましたしね。安倍晴明のキャラもとても立っていて、楽器バカの博雅とのコンビもよかった。真葛も、まあそれなりに。晴明と博雅がなんらかの事件に巻き込まれてそれを解決する、という構図がよかったんですよね。そこにうんちくが含まれていても、博雅の気分になってそれを「聞かされてる」感じになれたので。それが途中からエジプトのファラオがどうとかでてきて…わたしはいつの間にデュエルモンスターを読んでいたんだって気分になりましてね…そういううんちく語りは別のところで語ってくれたらええねん、と。この「陰陽師」が好きだったところのひとつに、消え去りしもの Missing Link [ 岡野 玲子 ]価格:680円(税込、送料無料) (2025/6/10時点)この漫画の存在もあったからなんですよ。陰陽師とリンクしている話ではないんですが、似た思考が入っていて、わたしもそれにみょうな納得感を得たんですよ。すべてのものは種から生じ、種に帰結する、というところね。オカルトというかファンタジー好きはこの「消え去りしもの」には「おおっ」と感じる部分があると思います。とくに「名称」ね。アルス・マグナとか。「ミッシングリンク」というのは科学というか、人類の謎としても語られることではあるので聞いたことがある人もいるでしょう。そのミッシングリンク、つまり「消え去りしもの」が、魔術師、魔法使いだったのではないか、というファンタジー解釈です。この、種から生じ種に帰結するという考えは五行の思想ともたしかにリンクするのでなるほどと感じたし、「鬼門」の解釈に関しても、なるほどと感心した。このあたりのうんちくは前半でもかなり語られるんですが、突飛な感じはしないんですよ。ものすごく納得できて、リアリティも感じます。また、登場する妖怪たちも可愛いし、中でも「天満宮」の神様である、菅原道真に関しても、いい解釈だと思ってます。歌合わせの回も楽しんで読めたんですよ…囲碁との組み合わせにも違和感なかったです。応天門の話とかもね。よく調べられて書かれているのがわかりましたから。こういった雰囲気で話がすすんでいけばなぁと。方向性が変わっちゃってすごく残念でした。漫画家さんとしては無理なこじつけのつもりはなかったんでしょうが、こちらは平安時代の安倍晴明らの話を読みたかったわけで、ファラオとかそういうのは求めてないんですよ…わたし自身、スピリチュアルなことは大好きですし、けっこうそういう系の話は読む方なんですが、そういうのは最初からそういうものとして初めてほしいんですね。ガラスの仮面がそういう話になってきちゃって冷めたのと似ています。この「陰陽師」自体は、途中まではほんとうにおもしろくてお勧めできるんですが、せいぜい内裏が炎上するところまでくらいですかねー雨を勧請するために各地を回る、というのはすごく納得感あってよかった。若狭はまた行きたいなぁとか思いながら読んでましたしね。丹生津姫のことはのちのち勉強したくらいですよ。なのでこちらは、全巻ではなく、途中までならエンタメとして楽しく読めるのでお勧めです。百鬼夜行のシーンは圧巻ですしね!!
2025.06.10
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ヌエの絵師14 (Nemuki+コミックス) [ 猪川朱美 ]価格:891円(税込、送料無料) (2025/6/8時点)「鵺」ではなく、空と鳥のほうの「ヌエ」環境依存文字なんで書籍紹介なんかではカタカナが書かれがち…それはともかく、派手さはないとてもいいお話です。生きた人間の魂を奪い、死んだ人間をも蘇らせるといわれる「絵師」この「ヌエの絵師」とよばれる菅沼英二郎氏を中心に描かれる人間ドラマです。陰陽師じゃありません。これは「少女漫画」というより、大人向けの話といえます。青春群像劇とかでもないですしね。天才画家と呼ばれてはいるものの、たんに器用になんでも書けてしまう絵師、といったところでしょうか。基本は油絵なんですが、日本画でもなんでも描きます。これは作者さんがきちんと絵を描ける人だからこその漫画といっていいかもですね。老人が、ちゃんと老人の造形なんですよ。これ、少女漫画ではなかなかみられませんね。そしてその老人たちもちゃんと個性がある。物語は戦前から戦中を中心に描かれていくので、後半はちょっと暗い展開が多いです。といっても悲惨とかではなく…暗い時代だったんだな、と。そんな中でもたくましく生きていく人たち…庶民はいて、その生活感がよくかけているな、と。実際、身近な人たちの経験談を活かしているとのことで、なるほどリアリティがあります。あたりまえではあるんですが、登場人物たち、ちゃんと老けていってます。主人公が絵の依頼を受けて物語は動いていくんですが、主人公自身の過去とリンクもさせているので、それらをどう乗り越えていくのかも読みどころのひとつです。「死」と向き合う話でもありますが、「生」の中にある「心」の話でもあります。絵を描くために英二郎は探偵まがいのことまでするという徹底ぶりです。探偵というか、モデルとなる「人」のことをとにかくよく聞く、聞いて知って理解して、やっと依頼者の求める「絵」として仕上げます。「ヌエの絵師」と呼ばれることの一つに、顔かたちをつぎはぎでもかくことができる、というのもあります。写真すらない人の顔かたちを描かねばならないこともあり、そんな時は赤の他人の写真から思い出を手繰ってモデルの顔かたちを作っていく、という工程をいれるんですよ。これって依頼側にとってはとても難しい作業で、ことこまかに顔を覚えていられますかね?といってももちろんここは、思い入れのある人だけを描いてもらうことになるし、時代的に写真はあるにせよ身近ではない。だからこそ、存外記憶に残っているんだな、とも思えます。描いてもらうのは、ヒトというよりは思い出ですしね。あまり話題にならない漫画かもしれませんが、人間ドラマのひとかけら、といった具合が絶妙で、もっと知れ渡っててもいいのにっ!という漫画なんですよね。といっても、やはり地味な漫画には違いないし、こういうのはアニメにもしにくいですよね…というかアニメには向かないし、ならない方がよさそうですが。好きなエピソードはどれかと問われるとけっこう困るというか。その時々によってかわるかな?一巻あたりはまだ方向性がそれほど明確でなかったのか、ちょっとゆるホラーみたいなのもありましたが、基本は全部人情ものです。半ば頃に弟子志願の男の子が登場して、その子の描いた「おじいさま」の絵はよかったなぁもちろん絵はこの作者さんのタッチが出てしまいがちなんですが、ちゃんとこの男の子の個性を「笑い」という表現でだしていますしね。英二郎はいわゆる愛人の子(芸者)の子で、日陰の身の子なんですが、正妻の長男、つまり英二郎の異母兄にあたる人がとってもいいキャラでね。いい人なんですよ…おにいちゃんかっこいいですしね!子爵様なんですよ!この兄の後ろ盾があったおかげで、英二郎はそれほど困窮せずに済んでいる、という設定もあったりするのですよ。このあたりの設定づくりも話に生かされますし、うまいですよ。この漫画家さん自身も美大だったかな?いちおうはがっつり絵の勉強をしているので、人物の基本絵がちゃんとしているのですごく安心感があります。流行にのった漫画ではないのですが、しっとりと落ち着いた良作です。「泣ける」などという安易なうたい文句はいらない。けれども、時にほろりとくるいいお話がある…心に染み入ってくる漫画です。
2025.06.09
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ヨコハマ物語(1)【電子書籍】[ 大和和紀 ]価格:594円 (2025/6/7時点)はいからさんんが大正ものなら、こちらは明治ものです。ふたりの女性を通じた時代の変遷を描くものなんですが、シリアスに振り切らず恋愛も絡めて、読み心地のいい作品で、大和氏の持ち味が生かされている感じですね。はいからさんが通る 新装版(1)【電子書籍】[ 大和和紀 ]価格:605円 (2025/6/7時点)はいからさんはギャグ要素が強めの前半でしたが、ヨコハマ物語はコメディ要素は控えめ。いわゆるダブルヒロインもので、一人は貿易商のお嬢様・万里子。もう一人は孤児となり貿易商叶家に引き取られることになった卯野性格も生まれも全く違う二人なんだけど親友でもある真理子とお卯野女の友情ってのを描くのがうまい人なんですよ。万里子は高飛車だしいまでいうツンデレ気質なんですが、嫌みがない。お卯野はいい子ちゃんで頑張り屋なんですが、やはりこちらも嫌みがない。ふたりはまったく別の道を進むことになるのだけど、やがて再び巡り会い…という話で、そこに恋模様も描かれる。もちろん少女漫画なので恋模様がメインなんでしょうが、それより真理子とお卯野の絆にこそ、感動しちゃうんですよね紅緒と環とはすこし違うのだけど、恋愛とは違う無二の関係があるのって、いいなと思うんですよ。女友達同士できゃっきゃしたりもするんですが、わりにあっさりしていて、それでいてとても献身的。お嬢様と付き人、という関係から始まったのですが、途中からは対等な者同士として、「恋敵」にもなったりする。そのあたりの二人の関係がすごく爽やかで、こういう友情を得られた時点で彼女たちは大成功なんですよね。どちらかが依存してる関係ではないのがいいんですよ。ただ、心の支えになっている。時に恋愛以上の絆が万里子とお卯野にあるんですよねぇいいなぁ、と。見た目や性格の華やかさから真理子のルートがすごくドラマチックに感じますが、お卯野ルートの方がかなり過酷で、しかしここを長々と書かなかったのは良かったですね。冗長になりすぎると面白さが薄まってしまうので。万里子ルートは今どきでいうハーレクインぽいんですが、お卯野ルートはそれのハードモード版みたいな。とても革新的なヒロインふたりの相手となり男性ふたりも、とても魅力的にかかれていて、どちらも好きです。さいしょ森太郎つまらんなーと思ってたけど後半かなりいい男になってて、こりゃ納得。トビーもええやつやん…まあ基本的にいやなキャラは出てきませんが。昔の少女漫画のよいところは、とにかくさくさく進むってことです。いや、だらだらしてるのもありますが。ヨコハマ物語にしても、いくらでもだらだらさせられる内容ではあるんですよ。渡米するまでの期間、船での出来事とかね。でも基本的に大事なところだけ書いてあとは端折ってる。ご都合的なところもそのため出てきてしまうけど、テンポが悪くなるよりいいでしょうしね。壮大なドラマではあるんですが、巻数はすくないです。昭和の漫画と懐かしんで読むにはいい作品ですね。
2025.06.08
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金田一耕助ファイル3 獄門島【電子書籍】[ 横溝 正史 ]価格:594円 (2025/6/7時点)金田一シリーズで一番好きなのが「獄門島」シリーズとしても始まったばかりですし、金田一耕助も若い。若いといっても三十半ばですけども。復員したばかりの頃ですね。やっと髪がのびてきたとこ。百日紅もすきなんですけどね。いかにも復員兵な耕ちゃんて、かなり新鮮この話に限らないけど、金田一は基本的に誰かを救うことってほぼないんですよ。犯人を見逃すことはありますが。まあ探偵ですからね、事件がおこってそこにある謎を解くだけともいえます。獄門島は犯人たちもその背景も好みなんですよね。小さな島、閉鎖的な島の中でおこる悲劇、には違いないんですが、これって「外からやってきた流れ者」の影響が大きい、という事件でもあり、犯人ではないのですが、重要な人物はたいてい島の外からやってきた「よそ者」なんですよ。おしのさんとか、誑し込み役の鵜飼くんなんかがそうなんですが、かなり重要なのは床屋の清公だとおもうんですよ…いや清公、あんた戦犯やんけっていうもちろんそこはあえて責められないのですけどね。そして島の大物二人を「秀吉」「家康」にたとえているのも示唆的でおもしろかったです。一般的なイメージの太閤、権現さま、それをキャラづくりに生かしているので読み手としてもイメージがたやすいんですよね。そして「その後」もなんとなく想像しやすいし。この話がとっつきやすいと感じたのは、冒頭の島の歴史の説明がリアルだったからかも。歴史もの好きだからそう感じるというのもありますが。そして、こういう閉塞した島での事件はやっかいだ、とつなげるわけですが、やはり事件の背景にあるのは「よそ者」の影響なんですよ。このことは、短編の「湖泥」でも耕ちゃん自身が話しています。さてこの話、犯行の手口というか犯行現場がひじょうに「華やか」で映え、なんですよね。たぶんそこらが映画化されやすい理由でしょう。犯人たちもたいへんやで…と思わずにはいられませんでした。ある種の洗脳ですもんね。現代での感覚なら、なぜそんなこときかなきゃならんのだ、と理性でおさえられるでしょうが、この時代ではそうするしかなかったんですよね…思考も島と同様に「閉じて」しまっているので。そしてなんでそこまで技巧を凝らさなきゃってところに、床屋の清ちゃんの功罪があるんですよ。本人は気づかないままでしょうが。まあ、推理ものとしての良し悪しはわたしにはさっぱりなのですが、この話は耕ちゃんのかわいさがあふれているので、その点で好きなんです。床屋に行ったらものすごい髪だなとあきれられるし、清水の巡査さんと仲良くなるけど疑われて牢にぶち込まれるし、美しい女性に心惹かれて、一緒に東京にとお誘いかけたりもするし…何しろ耕ちゃん若いものね。耕ちゃんが一目ぼれしたと思われる女性、早苗さんは結局島に残ることになるんですが、こうしたプラトニックな恋が耕助にはあうんですよ。後に惹かれる女性ともまた出会うんですが、そちらも悲しい結末でしたしね。最後のオチのひとつに、「復員詐欺」が出てきますが、こうしたこの時代ならではのものをいれるのもよかったです。鐘の「復員」もそうでしたが、偶然が重なりすぎた…と言ったところへのこの仕打ちでしたから、犯人たちにとってはこれほどない仕打ちだったでしょう。やらなくてもいいことを、やらされるハメになったんだから。被害者の3人娘は取り立てて個性らしき個性もない、被害者になるためだけの子たちでしたが、それらを殺されることを予見して恐れていた千万くんは…なんやいいやつなんやなって…だってあのいかれた妹たちが殺されると案じてたんですものね。別に妹たちがかわいかったわけではなく、島の「支配者」の娘たちではあるし「体面」を考えただけのことかもしれないけれど、だからって「殺されてもいい」娘たち、とは考えなかった。…と、思われる。ところがこの妹たちは島のだれからも、殺されても気の毒には思われなかったんですよね。3人が始末されて、「これでもう何も起こらないだろう」とホッとされてたくらいの存在だったわけで。まー、この娘っこらの母親がアレだったんで、恨みも買ってたでしょうしね。そんなわけで被害者らに「個性」というか、そういったものはほぼなかったにせよ、それらがきにならないくらいの流れでした。この話には磯川さんも出てくるので、磯川さんとのやりとりもほっこりですよ…東京の轟さんも好きなんですけどね。金田一耕助の可愛さを満喫!という点で獄門島は何度読んでも楽しい話です。それほど長くなく、さくっと読める話なので、これはぜひ読んでほしいかな、と。瀬戸内の島にまた行きたくなりました。
2025.06.07
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「これは政略結婚だ」と言った王太子殿下からなぜか溺愛されています(1) (ポラリスCOMICS) [ 坂田ユイ ]価格:803円(税込、送料無料) (2025/6/5時点)「君を愛する気はないと言った(略」の公式スピンオフ、ということで応援の気持ちでかってみましたが…「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます(4) (ポラリスCOMICS) [ 水埜なつ ]価格:869円(税込、送料無料) (2025/6/5時点)正直申しまして、面白くはありませんでした。が、続きも買う予定でいますけどね…目的がなんか「応援」になってる感あるので。政略結婚の方は、次期公爵ユリウスの上司である王太子の話になります。次期公爵の話より前の話となりますね。これがもうね、べったべたでこってこてのシンデレラストーリーで、とくに見どころとかもないんですよ。国などの世界観などは前作というか「本作」の方とも絡めてうまく作られているとは思いますが、ただそれだけともいえます。そして漫画家さんの作画が、双方とも微妙ってのもちょっとおもしろいなと。次期公爵の方は頬の////が気になるし人物デッサンはあまりお上手とはいえないし、ほんの少しの動作、アクションは目も当てられないというか。立っているだけでも姿勢が変だし、手というか腕を描くのが苦手なんだろう、立っている姿勢の不自然さがすごいんですよ。とはいえ、絵柄と物語の雰囲気はあっているので、嫌いな絵ではないんですよ。とにかく頬の/////だけは一刻も早く消去してほしいレベルで苦手なんですが。顔が汚いんですよ…この////だからこの////がないキャラの顔があるとホッとします。そして王太子の方の漫画家さんも、正直に申してうまくはありません。漫画としての見せ方も非常につたないです。バストアップの顔とかはまあいいんですが、この方も多分、全身をちゃんと描けない漫画家さんだろうな、と察せられます。動きのあるシーン、たとえば窓に駆け寄るとかドアに向かって走ってくとか、その程度の作画でさえ、すごく…微妙です。基本的にバストアップの顔だけ劇場になっているのも残念で、この点に関しては次期公爵の漫画家さんの方がましです。絵が微妙…なだけでなく漫画としてどうかな…っていうのは情報の出し方がすごく雑なんですよ。王太子の方のヒロイン・フローラは十年前に侯爵だった父母を事故で亡くした、までは書かれていますが、父母の弟夫婦に引き取られているらしいんですが、そこのところがほぼ書かれていません。いや、ぼんやり書かれてはいるんですが、それは読み手側が察しておかなきゃならないような書かれ方なんですよ。わかりにくいのは、意地悪してくる「妹」がいるんですが、それ、「妹」なんですかね?っていうところにもあります。養女として籍を入れた、ということも描いてなくてその妹に「お姉さま」と呼ばせているんですよ。いやそれはいいとして漫画なんだし文字を目で見ることができるんだから「義姉」「義妹」と書いておけばいいのでは?それにもっとわからないのは、その意地悪いもちゃんに、「忘れたの?お姉さまのものはぜんぶわたしのもの」と言わせるんですよ。「忘れたの?」と言われても、忘れたって何を、なんですよ。どういう事情があって妹は姉のフローラをそこまでいたぶるのかもわからんし、義母にあたる叔母さんもフローラをごく潰し扱いなんですが、それ、なんでなん?フローラの両親と何らかの確執があって、というのならわかるけど、それならそれでちゃんとにおわせておいてくれなきゃってことですよ。フローラの両親が事故でなくなって、その弟が爵位を継いだらしいことも、「察せられた」けれど、察しただけであって、ちゃんと明記されてない。わたしはもしかしてフローラの両親は弟夫婦にヤられたのかと思ったけど、どうなの?そうだといいな、とは思うんだけど、とにかくなんの伏線もないのがかえってもやる。かけないことはないはずなんですよね。というのも、この漫画家さん、ひたから大ゴマばかり使うんですよ。だから1ページの情報量がめっちゃ少ない。そしてべつの繰り返さんでもええわってコマを繰り返すもんだから・・・もうちょっと情報載せて?ってなる多分ですが、web連載用(スマホ)なので1ページのコマを大きくしないと見えにくいからなんでしょう。コマに緩急がないんですよ。だから顔ばかり、しかもバストアップで台詞が添えられで場所を取り、大事なシーンだろう場所もなんか間の抜けたトーンでじつは背景真っ白だったりして、しかも唇やら目やらのアップが多用されて無駄ゴマばかり。意地悪いもちゃんの意地悪顔のアップもパターン化されてしまっているというか。そんな大ゴマ使うのはなぁ…ってなるしね…もうほんとつっこみだしたら止まらなくなる出来なんですよ。はじめにこちらが出ていたらこのシリーズは買わなかったとおもうな…なんというか素人にスピンオフ書かせて勉強させてる感がめっちゃある。次期公爵の方だってそんな絵はうまくないし、女の子の描き分けもびみょうだったり…まあ問題はもりもりあるんですが、漫画としての緩急はつけられている感じはしますし、もちろんアシスタントさんやデジタルの力でごまかされているところは無きにしも非ずだけど、うるさくない具合に画面が「華やか」です。少女漫画ってこの画面の「華やかさ」がすごく大事たと思うんですよ。次期公爵の方は顔の////がすんんんんごく気になるしやめてほしいとほんとしつこく言うけど、話の雰囲気にあった絵柄と華やかさがちゃんとあるので、先も読みたいなと思うんですよ。そりゃもうつっこみどころもあるけど、もしかしたら次の巻で説明してくれるかもしれないという期待も持てる。たぶんこれは原作者さんの設定がしっかりしてると感じられるからかも。王太子の方の設定もたぶんそうで、なんらかの事情とかがフローラの一族にはあるんだろあなーと希望的観測はもってるんですが…どうかなぁ…漫画家さんは、まあ、がんばってほしいかな。人物デッサンとコマわり、説明不足の解消…課題は多いけれど、せっかく人気作にあやかってコミカライズしたのですからね、奮起してほしいものです。まあ、次の巻も買うと思いますが、次の巻で「完結」だといいなと願ってます。つまりその程度の内容でもある。ということです。次期公爵のユリウスが気になる方だけ、読んでみてもいいかな、というコミックでした。
2025.06.06
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わたしの幸せな結婚(1) (ガンガンコミックスOnline) [ 富士見L文庫/KADOKAWA刊 ]価格:770円(税込、送料無料) (2025/6/4時点)「わたしの幸せな結婚」と書いて「シンデレラ」とルビを振るお話ですね。人気作でアニメにもなったそうで、人にも薦められました。が、まあ…わたしの好みではなかったです。絵柄は可愛いですしとっつきやすし、舞台も異世界風な「日本」ということもあり、読みやすいです。なにがどうして好みじゃないのかが、実のところちょっとわからないんですよね。ヒロインの美世がうじうじしすぎているからとかではないです。好きでもないですが、不快感とまではいきません。あれはもう、境遇がそうさせてしまったので仕方ないです。結婚が決まったってのに相手先の家の久堂さんちがまったく迎えに来ないのも、良い家としてはどーなのかなーとか思わないでもないけど。最初の「運が悪かっただけですから」の台詞は正直好きではないかな、てのはありますけど。自分の不運を嘆くのは仕方ないし気の毒ではあるけど、ちょっと変な違和感があって、たぶんこのヒロイン、心の底ではすごく他責思考なんですよ…それが端々にうかがえるかんじがして、もやっとする。美世の境遇的にああした卑屈な感情になるのは当然のことです。一種の洗脳なんですよ。おまえはだめだ、出来損ないだと蔑まれ続け頭を押さえつけられ続けていると、じぶんは「ダメなのだ」と暗示にかかり、思考がマイナス方向にしか向かなくなる。ちょっといいなと思っていた青年を妹にとられて、それを青年に謝罪されても、「運が悪かった」といい、そうやって内心で青年を責めている…ことにすら気づいていない。この人は弱い人なのだと蔑んでいるんですよ、ヒロイン。そしてその蔑みは、培ってきたマイナス思考のいったんでもあり、他人を評価するときに自然と働いてしまう。蔑まれてきた境遇が、他人への優しさや気遣いを奪うんですよ。また、女学校にもいっていないこともあって、他の女の子達…だけでなく、いろんな人を知らないで生きてきたわけだから、判断基準になるのが「自分」しかない。ここのところをもっと詳細に描いていてくれたらな、と冒頭の何話かで感じてくれたんですよ。つつましやかで質素で内気で…っていうだけ。旦那になる久堂当主もねーま、しかたないですわ、政略的な婚姻で相手に興味なしだったわけですからね。最初はあんなもんでしょ。ただね、二人がゆっくりとでも心を寄せ合っていく過程で、ヒロインの「洗脳」を解いていく、という流れが見たかった。あまりそういう感じがなかったんですよ。もちろんひかれあっていく様子はちゃんと描かれていましたが。この話はつまるところ王道というより「古典」に近いんですよね。シンデレラや白雪姫といったたぐいの。「いつか王子様が」であって、王子様が現れた時点で終わっていいんですよ。この話は「異能」と呼ばれる能力バトルもあったりするわけですが、それはかなり後半。わたしはそこまで持ちませんでした。それならシンデレラや白雪姫を絵本で読むわ、という感想が一番近いかな。極端かもしれませんが、シンデレラの結婚相手の王子様の父親がどんな王様で、どんな「王国」なのか、どんな気候風土でどんな国柄なのか、近隣の国とはどういう関係なのか、歴史的背景はどうなのかなどなどには、まったく興味がないし、シンデレラの話にそんな要素はいりません。ふんわりとした「王子」がいればいいだけのことです。「実は怖いグリム童話、アンデルセン、みたいな形でシンデレラがハッピーエンドを迎えた後、義理の姉たちがとんでもなく残忍な目に合う、といった後日譚があったとしても、それは受け入れられます。あくまで本編から省かれたけど実はこんな話があってーってのは「本編」ではないから。そしていわば「横道」なので、あってもなくてもいい話。ところがこの幸せな結婚の「異能」ってそうではなくて、話の根幹にかかわってくるものですよね。最初からそういった設定は語られて…まあつまり「なろう系」なので、あとあとになって才能開花で、実家にザマァ的なあれとかソレな展開が待ってるかもですが…根幹にかかわる「異能」について、しばらく本筋で尺を取らないんですよ。いやこれもっと早くに出して?と思った。最初からこの「異能」も主筋であると前面に出してほしかったんですよ。シンデレラにおける義理の姉たちの話のように、べつその話要らんかな、あっても別冊でいいかなくらいの設定ではないはずなので。最初、主人公たちののんびり癒していく恋のお話かしらーと呼んでいた人たちも、バトル始まって「ええっ?」と戸惑ったのでは?最初からそういう設定はちゃんと書かれているんですが、それよりも美世の心を解きほぐすのがメインだ、とばかりに進むので…もういいや、となってしまう。シンデレラよりさらに受動的になんですよ。白雪姫の方に近いかも。寝てたら王子様きて生き返ってハッピーエンド。っていう。もうそれでいいです、となってしまう。このあたりが自分に合わなかった理由かな、と思ってしまうんですが、人気が出るのもわかる気はするんですよね。とにかく無条件に愛されたい、わたしはこんなダメ子だけどそれでもいいのでしょうか、みたいな流れは人気がある少女漫画の流れとして「王道」ですから。絵柄もふんわりとしていてかわいらしいのも人気が出た理由の一つでしょうね。ところどころ人物デッサンが微妙で、首が異様に細かったり、その肩から腕の流れどうなってんだとか、男性がほっそりほそほそで…微妙…漫画として動きのある絵がちょっとぎこちないかな、と。とはいえ、下手というほどではないです。タイトルからして実はかなり自己主張つよめなんだろうな、ということが察せられるヒロイン。わたしは先を読む気がなく…というより先の展開がまったくきにならないので途中断念してしまいましたが、あくまでわたしが合わなかっただけ、というコミカライズなので、人気作なのは間違いないと思うので、少女漫画バッチコーイな人にはお勧めできるかもです。
2025.06.05
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SWAN -白鳥ー 愛蔵版 特装BOXセット 1 (SWAN特装シリーズ) [ 有吉 京子 ]価格:6,050円(税込、送料無料) (2025/6/3時点)わたしにとってクラシックバレエの漫画と言ったらこれなんですよ。バレエの知識はほぼこちらの漫画から得たと言っていいでしょう。それくらい影響の大きい漫画でした。といっても、後日の話モスクワ、ドイツ、そのほかの話は追っていません。話の内容もそうですが、途中からめちゃ絵柄がかわって、ヒロイン、同一人物か?ってなったほどです。髪型変わっただけとかではなく。最初らへんはとにかくすごーく少女漫画な絵柄だったんですが、アメリカからかえってきたあたりから「少女」ではなくなったんですよね。まあ、成長ですので許容範囲です。話の始まりはそれなりにパターン化したものですし、ヒロインの「真澄」がじつは血統的に…ってのもありがちではあります。田舎のバレエ教室で習っていたが故の基礎のなさとか、あと印象的だったのは「耳が聞こえなくなる」というところでしょうか。これ、驚いたのが心因性だったことなんですよ。そしてそれを途中登場のレオンに「我が強いからだ」と看破される。ここも、驚きでしたし、同時に納得できました。こういう設定ってなかなかないと思うんですよ。何らかの事故とかで一時的に目や耳がーってのはあるんですが…とくに少女漫画では、耳が聞こえなくなった原因がある種のストレスからというのは新鮮だった。克服しなければならない要素として描かれるんですよね。絵はまんま少女漫画なんですが人物デッサンが美しいので、当然バレエのシーンが美しい、というのがこの漫画のウリのひとつだと思います。バレエというのは肉体表現の芸術なので、人物デッサンが美麗なのは大前提ですまた、バレエの中のパントマイムの説明も非常にありがたいし、それをうまく活用しています。そういえばこの漫画も「エースをねらえ」同様に実在の人物が出てくるのも特徴です。そんな中で独自のバレエ論も語るのですごいことですよ。さてこちらは少女漫画ですので、恋愛要素もあります。それがちゃんとバレエにも生かされているので邪魔になりません。ヒロイン真澄は、初恋は失恋したもののアメリカで運命的な恋と出会い、それでバレエ観を変えた。しかしその恋とは死別の運命にあり、その後に真実の愛に気づく…という流れです。この辺りはとても少女漫画的で「呼び合うんだわ」と小夜子嬢に言わせてたりします。ヒロイン真澄のまわりには複数の男がいて、やはり熱視線を向けられるわけです。かといってモッテモテ、という設定とは違います。ちゃんと失恋もしてるわけですし。真澄に多大な影響を与えたセルゲイエフ先生もまた熱い視線を向けていたけれど…これは「恋」とは言いきれないものでしたしね。この関係は「宗方仁」と「岡ひろみ」っぽいかもしれません。ただし死ぬのはセルゲイエフ先生ではないけどね!!作中ではいろんな「対決」があるんですが、わたしは黒鳥好きなこともあって、黒鳥対決がけっこう好きでした。ラリサも好きでしたしね。黒鳥のソロは難しいことで有名ですし、同時に見栄えもする派手な場面でもある。白鳥よりめだってる感はけっこうあるんですわ…でもタイトルの通り、白鳥でたたかわないと、ではあるんですけどね。白鳥対決も好きではありましたが、リリアナが無双すぎて、ありゃいかん。リリアナは薄命の「白鳥」でしたから、これを超えるのはつらすぎるなぁ、といったところで終わったんですが。この漫画は基本的に「クラシックバレエ」ですので、作中の演目もだいたいそうです。「ジゼル」も好きでしたねぇ。「体重を消すのが早すぎる」ってそれわざわざ衣装はぎ取って言わなくても、真澄に伝えてって頼めばよかったんじゃん?と思わなくもなかったが、まあ切迫感もたせるには仕方ないかな?後半になると「モダンバレエ」にも触れるようになるのですが、モダンといってもわりにポピュラーですので、牧神の午後とかボレロとか、聞きなじみのあるものなので入り込みやすいですね。ニジンスキーについても、この漫画で知ったくらいでしたから、ほんとにわたしにとってバレエの基礎、起点です。続編については好みに合わなかったこともあるので読んでいませんが、原点のこちらはやはり是非にと進めたいバレエ漫画です。ただ、次世代編だったかわすれましたが、ヒロインがフィギュアスケートをやってて、それはいいんですが、ほんのちょっとフィギュアを見下すようなセリフがあって、すごくがっかりしたんですよ。それがきっかけで読まなくなった。わたしはフィギュアスケート大好きだったので。今は違うかもしれませんが、フィギュアスケートとバレエって親和性が高いというか、とても近いんですよ。「肉体表現」をする点でも。なので作中のこととはいえ、フィギュアを下に見るような発言が自分的には受け付けず。それはそれとして、愛蔵版が出るくらいには愛されているバレエ漫画ではあるし、これはバレエ知識入れるのにもばっちりいい「教科書」にもなってくれます。やはり名作ってのは、世代を超えていくものですね。
2025.06.04
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アイシールド21 1【電子書籍】[ 稲垣理一郎 ]価格:460円 (2025/6/2時点)これは当時リアタイで連載を追っていたのですが、巻半ばくらいからは追えてなかったんですよね。ちょっとまえにようやく全話読むことができました。部活青春ものって、自分には全く縁のないものだしどこにも共感できないからこそ、好きだ、というのがあります。わたしは高校生の時、帰宅部でしたし、なんというかこう…今もなんですが熱中して何かをやり遂げる、ということにほぼ興味がないし、それができないタイプなんですよね…自分にはできないという自覚もあるし、何の才能もないことも知っていたからでもあります。こういった部活青春ものに限りませんが、少年漫画の主人公ってのは、一見平凡だったり劣等生だったりしても、なんらかの「才能」があって、それを努力で伸ばせる天賦の才を与えられているのが王道です。スポーツだろうがオカルトだろうが、それにかわりはありません。血統主義的なこともそれに混ざりがちなのが少年漫画ではあるんですが。アイシールドに関しては血統…はまれにしかありませんでしたね。とはいえ、この当時アメフトってあまりメジャーではなかったし、ラグビーとの違いもぶっちゃけわかりません。日本人の体格に向かないスポーツだなぁくらいの認識はありましたが、現代はもう違いますねこの漫画は、ネーミングがある種のネタになってますね。この当時で「セナ」っていったらそりゃ「速い」でしょうと。ヒル魔にせよ栗田にせよモン太にせよ、とっても漫画的な見た目ですし、行動もそのままですよね。ヒル魔に至っては機関銃担ぎまくってるし。日本じゃありえないでしょっていうツッコミは野暮ってもので、「これは漫画なんだよ」とわかりやすく提示してくれている表現でもあります。ふつうに熱血スポーツもの、ではあるんですが、コメディ要素もとても上手で楽しくて、それもあって楽しみに連載を読んでいました。こういうスポーツものって、前にも書いたけれど「結末」ありきのストーリーなので、かくのは難しいとおもうんですよ。そして、部活ものの内容って、おおざっぱに二種あって、練習に尺をとってそこを長く描くか、練習風景よりは試合そのものに焦点を当てて試合の緩急を描くか、だと思うんですよ。たとえば「エースをねらえ!」は前者にあたります。試合自体はじつはそんなに長く描かれていません。アメリカの親善試合もわりとさらーっと流されましたよ。試合したの二人だけですもの。しかも一人は棄権。そして同行したほかの選手の試合はいっさい描かれません。徹底してますよね。どちらかといえば練習そのものに焦点を置いているというか、尺をとっています。「ひろみ」もテニスはほぼ素人で、しごきともいえる特訓から精神論から、そのあたりを長々と書かれます。恋愛要素もあるにはあるんですが、べつに告白イベントがあるわけではないですし、だれかほかの人に目が映って、なんてこともありません。とにかく試合より練習のが長いパターンの部活スポーツもののひとつです。一方でこちら、アイシールドは練習風景ももちろん尺はとってあるんですが、おもったよりすくないです。監督になったどぶろく先生も後半はほぼいるだけ状態ですよね…そして試合の駆け引きのほうがうんと長く、その試合中に過去のあれこれや練習風景が挟まれる、という構図です。なのでどうしてもひとつの試合が長くなる。相手チームのメインキャラについても長くなりすぎない程度に語りますしね。印象としては、試合にかなり尺をとっているパターンの漫画です。少年漫画と少女漫画の違いでもあるかもしれませんが。わたしはどちらも書き手次第だなと感じています。どたらも好きといえますが、書き手によっては尺が長すぎると感じたり逆のこともある。アイシールドはきりのいいところできっちり終わったな、と。ボカすところはぼかして、読者の創造にゆだねているところもあります。ラストで、ヒル魔・栗田・ムサシが別の道へ行く、というのはよかったなぁって。別の道といってもアメフトからは離れませんよ。いつか別チームとして戦おう、という終わりです。こういうの、いいなぁと。この三人が好きだったからこそでもありますしね。いやもうムサシはおっさんが過ぎますけど。当時、やはりヒル魔が好きだったので、ヒル魔が骨折してピンチ、というエピソードがあったのもうれしかったんですよね。やはりこういうピンチはないとだし、いったんは試合からはずれてもまた戻るっていう。クールなようでいて、実は熱いやつなんやで、っていうのがわかりやすい。そういうシーンはけっこう多かったですけどね。そしてこの漫画でよかったなーと思えたのは女性キャラです。少年漫画でいちばんネックになるのが実は女性キャラに好感が持てるかどうか。まも姐とすずちゃん、どちらも好きでした。有能だし!まも姐がセナのこと弟みたいに大事にしてて、けれどそこに恋愛感情はなく、だからこそセナにとっても大事だったっていうね。オカンかよ…ともちょっと思ったけれど、もののわかる姐さんでしたし、ヒル魔のアシストもできる有能ぶり…ここも大事で、ヒル魔の横にいても邪魔にならないどころかもう一緒傍にいろとか思ってましたからね…妹キャラのすずちゃんも、ちゃんといい子なのが良かったですよね。いちおう生意気っぽいキャラではあったけど、バカじゃないんですよ。いや、兄はバカでしたけど、いいバカですしね、あれ。迂闊にいろんなことをしゃべったりしない、わきまえた子、という印象でした。この漫画は恋愛に重きを置いていないので、あの二人の関係はとかそういうのはなくて、そのあたりもあっさりしていてよかったです。上にも書いたのだけど、わたしは自分に「熱血」「根性」なところがまったくなくて、「勝敗」そのものにもあまり興味がありません。負けて悔しがる、といった感覚がほぼありませんし、逆の勝ったという喜びも…これもほぼありません。しょーもないトランプとかウノとかでもです。勝ち負けに関心がないというよりは、自分は「負け組」なので、負けていることがデフォだから、まーべつにどうでもいいかな、という感覚です。おかげでギャンブルにも関心がなくてありがたいことです。だからこそ、疑似体験のひとつとしてこういった部活ものとかスポーツものを読むのは好きなんですよね。知らない感覚だからこそ、というのかな。こういう漫画の登場人物たちはたいてい「負けず嫌い」なんですよ。良い意味で諦めが悪い。勝つことしか考えない。無我夢中で練習できるのもそういう精神構造があってのことでしょう。そういうのを、いいねぇ、と思いながら読むのが好きで、自分もそうしたい、というわけではありません。共感はできませんが、一方で「青春、いいねぇ」とほっこりした気分は共感に近い感情に寄せていって、なんのかんの楽しめる。スポーツ観戦はだいたい好きなんですが、熱中して応援したいわけでもなく、「すごいねぇ」という気分でただ眺めていたい、というのに近いかな?世の中にはこういう人もいるんだなぁという感動もありますしね。未知のものを知るのはやはり楽しいです。ところで最終巻、ヒル魔と阿含が並んで立っている全身絵があったんですよ。いやー、当然なんですが、さすが巧い!絵がうまい人だ!と感動したんですよ。というのは、ヒル魔と阿含てぱっと見にたような体系なんですが、ちゃんと筋肉の付き方が違ってるんですよ、プレイスタイルの違いがちゃんと筋肉に!って感動したんです。どっちも捨てがたいスタイルの良さでしたわ…眼福アニメ化もされていたようですが、そちらは観ていませんでした。今だったらどんな作画になるんだろう?リバイバルというか、作り直してアニメ化再び!してほしいかも。試合中のコマ、VSの入れ方が漫画でもかっこよかったけど、これアニメ化しやすそうですよね。けっこう古い漫画ではありますが、これはぜひとも読んでほしいスポーツ青春漫画です。
2025.06.03
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愛さないといわれましても~元魔王の伯爵令嬢は生真面目軍人に餌付けをされて幸せになる~(1) (モンスターコミックスf) [ 石野人衣 ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/6/1時点)これは好きなタイプの令嬢ものです。コメディ要素が強いからかな?元魔王といっても周りの人間が勝手にそう呼んでいただけで実情は違うし、なんなら魔王時代のデザインというか見た目もかわいくて好きです。目が不吉だからと実家で蔑まれ、さらに仕事ができるってことでメイド以下の処遇で働かされていた。けれど前世が人間ではなかったこともあり、人間の価値観がいまひとつわからない、心は幼いままで食欲だけはある、という令嬢アビゲイル。可愛そうと言える不遇ヒロインだし無自覚有能なんですが、ヒロインの言動が幼児並みで、まわりもそのように扱うからか、全然イラっとしない。それでついにヒーローもほだされて…というか餌付けに成功して、ぴよちゃん…これをついうっかり両親の前でもやっちゃうんですよね、餌付けをね。こういうわらいどころをちゃんと持ってきてくれるので、読んでてほっこりします。わかるよノエル子爵…餌付け成功するとうれしいし、なんかもう庇護欲わくし、かわいいよね…ってなるのですよ。ヒロインはおとぼけキャラとしても描かれるのですが、それもいらっとしませんし、可愛いし最強なんですよ。食欲に忠実なのがブレなくてよいです。実家の姉に会ってもどうってことありません。元魔王の時代のことを知ると、気の毒感がましちゃって…このあたりのバランスもいいです。人間の女性としての意識がまだ薄いアビゲイルが、今後旦那様と幸せになれるのか…というのは確定しているからいいとして、その過程の丁寧さと「ほっこり感」がきっとこの作品のウリなりでしょう。脇キャラだとノエル子爵付きの執事夫婦とその息子あたりが、ちゃんとした人たちなのでこの点も安心です。ノエルもそうですが、ちゃんと謝罪できたり礼を言えるのっていいですし、注意してくれる人が周りにいるって大事なことです。「餌付けコメディ」と書かれているだけあっていろんな食べ物が出てくるのも面白いですね。現代的なものも出てきても、そこは「ファンタジー」として呑み込めます。説明もちゃんとありましたしね。ヒロインは「いい子」というよりはひたすら幼い子供なので、食べ物に対するリアクションも子供らしさがあって楽しいです。この話はタイトルだけ見ると、「うーん」と手に取るのをためらうものなんですが、コメディとしてはちゃんとおもしろく仕上がっていますし、漫画家さんの絵もとても丁寧に感じました。美麗なところもありつつ、ちゃんと崩した絵もある。何より魔王かわいい…ここは大事なので二度言いました。令嬢ものってあたりはずれが大きいので、すごく人気でも自分には合わないものは多いです。いっそコメディに振り切ってくれれば存外いけるんですけど、コメディは難しいですものねこれもまた、かるーい気持ちで読んでみてもいい作品だと思います。ヒロインもヒーローも、好感が持てますし、テンポよく読めるコミックです。
2025.06.02
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無能才女は悪女になりたい 1 ~義妹の身代わりで嫁いだ令嬢、公爵様の溺愛に気づかない~ (フロース コミック) [ 轟斗 ソラ ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/6/1時点)なろう特有の、未来の「見せ場」から、さかのぼることあれは〇年前、という始まりこれ、あまりよくないと思うんですが……よくないというか、その必要あるかなっていう。ページ数使ってまでやることではないと思うんですよね、と思ったのが最初の感想で、つまりやはりこの話もわたしには合いませんでした。けっこうレビュー高いですし人気の作品なのですが、ノリが合うか合わないか、ですね、これって。タイトルからして「なろう系」とひとくくりにしてしまいます。このなろう系ってつまり、周りからは「無能」と呼ばれて蔑まれていた主人公だけど、じつはとっても有能、「追放」されてから本領発揮、という話ですよね。これは「追放」とはちがって、身代わり結婚です。しかも妹は義理の妹であるにも関わらず見た目がそっくり、という。ここは「謎」といえる設定なんでしょうが、有能であるはずのヒロインがなんでそれを調べないのかなぁと。あと、無能と才女っていきなり矛盾してるのはわらかしにきてるのかしら?いやまあ、「なろう系」ですよ、と暗に教えてくれているタイトルではあるんでしょうが。記憶力に優れている→呪い、というのはまあ呑み込めないでもないけれど、それがどうして「無能」と呼ばれるのかがよくわからない。「忌み子」とでもしておけばよかったのに?あとは、文章でいくつかひっかかることがあって、読むのがちょっとしんどかったかな…文章が破綻しているとかではなく、その表現だと伝わりにくい、というか。主人公エイブリルがいろいろ家のことを説明してるシーンが何ページかあるんですが、理解はできるんですが、わかりにくいというか。それに「うーん、どうしましょう」といってなんらかの行動に出たようなんですが、そこを絵で描いてほしかったかなっていう。そういうところが多々あります。エイプリルに、送金しろと脅してくる義母に「随分な人ですね」って内心で思うエイブリルなんですが、「随分」て…甘いお考えの方ですね、くらいでいいと思うんですよ。わたしが素直に送金するとでも思っているのかしらって。「随分」の意味の使い方としてはあってるんですが、ここのシーンでは「考えが足りない人だ」という言葉でいいと思うんですよ。そういう、別に間違ってはいないんだけどひっかかりのある言葉遣いというか文章が散見され、これがまたヒロインが丁寧口調なだけにひっかかるんですよね。無事?契約結婚をはたして、新生活をスタートさせるわけですが、なんというか…べつに悪女になろうとする必要性をそんなに感じないんですよね…悪女になろうとして無自覚才女ムーブをかますのかなと思ったらほんとにそんな流れで、なんというか…すごくがっかりしたし、こういう主人公ってたぶん嫌われやすいと思うんですよ。「なろう系」の男主人公でも無自覚無双の、ぼくなにかやっちゃいました系主人公ね…すごくイラッとするんですが、これ女子でもおなじだなって。実家ではバリバリ仕事こなしていた自負もあるわけですよ。なのに「無自覚」なのはありえないですし、下手するとわざと無自覚ぶって、周りに媚びてるの?となってしまう。古い言葉でいうと「ぶりっこ」というやつです。そういうのってたいてい嫌われるんですよ、少女漫画の王道的には。これだったら復讐系にして、実家の歪みを全部調べつくして断罪するくらいの気概を持ってほしい。そもそも妹が自分にそっくりだってことも調べるだろうし、てゆーか遺伝的につながってるとは到底思えない父親のことも疑いますよね?これらがもしかしたら伏線として張られているのなら、そのあたりをもうちょっと早い段階で描くべきかなって。とまあ、なんかいろいろ気になることが多すぎて、基本的に「なろう系」令嬢ものって自分には合わないんだなぁと実感しました。好きな話もいくつかあるんですが…あと、蛇足なのですが、「白い結婚」って言葉がいつから流行りだしたのか、やたらと使われだしててそこにもちょっと辟易しています。この概念時代は歴史的にもかたられたことはあったけれど。その言葉の持つ意味もそりゃわかりますけども。なんというかその「前提」たる「宗教観」がないので、その言葉だけが独り歩きして、そういうものだから呑み込んでおいてね、みたいなのが透けて見えてしまう感じがして、すごく残念なんですよ。ボルジア家の…ルクレチアなどで有名な言葉になってしまったけれど、その物語独自の背景がないからか、「白い結婚」の言葉だけが浮いてしまってね…紹介した才女の話も、国の背景とか歴史とかが感じられないせいか、べつにこれ「令嬢」である必要ないなっていう感想にしかならないんですよ。借金のかたに娘が売られるなんて別段珍しくもないですしね。というよりは貴族の婚姻とくりゃきほん「政治」ですからね、そこを前面に出してほしかった感はあるかも。タイトルでいろいろ察することのできた話ではあるので、まあ…流行りものとして読み流すものとしては楽しいかもしれません。
2025.06.01
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