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占い師には花騎士の恋心が見えています5 (ブリーゼコミックス 85) [ 裕上ハツ ]価格:750円(税込、送料無料) (2025/7/31時点)これは、自分的にあたりでした!すっごくほのぼのとした恋模様の話なんですが、世界観もしっかりしてて、あと不快なキャラが出てきません一応ヤバげな人物も登場してくるわけですが、ちゃんと物語的にたのしめそうな「敵役」(適役)っぽいので、先の展開も気になります。「魔女」で「薬師」てことで、以前紹介したこちらともかぶるんですが、内容はあたりまえですが違ってます「赤毛の役立たず」とクビになった魔力なしの魔女ですが、「薬草の知識がハンパない!」と王立研究所に即採用されました。 1 (花とゆめコミックススペシャル) [ 天宮 こなつ ]価格:737円(税込、送料無料) (2025/7/31時点)赤毛の役立たずの方がテンプレにそっていることと、「契約結婚」「ざまあ」という、いかにもなろうらしいテンプレが入ってます。といっても、これなろう系ではありつつも、なろう色は薄目…かな?こちらも好きな作品ですが、占い師のほうもとても好きな話です。占い師の方はより「恋愛もの」で、全体的にほのぼのしちゃう、初々しさです。「魔女」「薬師」なヒロインのシルルですが、別段虐げられるようなことはなくて、ふつうに薬屋として独り立ちしています。ワーキングウーマンですね。孤児ではありますが、親代わりもいるし、町の人たちにも頼りにされている。「魔女」であることは隠していますが、なぜか「占い師」としての評判は高い。魔女…魔法使いが希少な存在であるようで、それを政治利用されないよう隠しています。ヒロインのシルルは他人の感情やちょっとした「予測」を色としてみることができるこの設定自体も別段新しいわけではないのですが、うまく使えている感じがします。親代わりのジャンにはそれを伝えてある、というのも好印象ですね。恋仲になる美貌の騎士、通称「花騎士エクトル」にも、わりに早い段階で秘密を明かします。この過程もとても自然な流れで、普段無愛想というか、無表情に徹しているシルルの変化もとてもわかりやすい。魔女の力のこともあり、人との距離を常においているシルルと、美貌のせいで女嫌いになり表情をつくって本心を隠すことが常態化してしまったエクトル、似た者同士ともいえるんですが、恋仲になってからはシルルが男前すぎて、エクトルといっしょに赤面してしまうほどですこのあたりのバランスが上手だなぁと。絵柄に関しては、素朴な感じが作風と遇っていてわたしは好きですが、好みはわかれそうかな?この点も赤毛の役立たずとにてるかもですね。なんつーか、牧歌的、というか。へんにきらきらした感じでなく、画面がうるさくない。漫画として読みやすいです。ちなみに、少しだけ魔物との戦闘シーンがあるんですが、この点はあまり迫力ないので…少女漫画あるあるってやつですキャラ全員とてもまっとうで人間味があるのがすごくいいんですよ。カイオス殿下めちゃいいよね妃殿下も良い方というかおもしろそう。エクトルのにーちゃん……好きすぎるわ…この人絶対不憫属性だ…いい人決定ヒロイン周りにいる人たちが基本誠実なんですよ。これがすごく読んでて心地いい。もちろん「敵役」みたいなのもでてくるけど、ご都合主義的にいーかげんに描かれたキャラではない感じがして、そのあたりにも描き手の誠実さがうかがえます。こってこてのラブストーリーなんですが、よんでてとても楽しいんですよね。エクトルの反応も可愛い。気持ち悪さとかがないんですよ。さわやかだねぇっていう。多分このさき、いろいろと不穏な出来事はおこるかもしれないけれど、それも楽しみに続きを待とうと思います。ほんわかしたファンタジーの恋ものがたりを読みたい方にお勧めです
2025.07.31
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「龍の花嫁は鬼の嘘に溺れる」これはレンタか電子のみのコミックなのかな?これまたいかにもテンプレ的な始まり方をするのですが、なかなかに面白かったです。ヒロインは双子の妹・珠妃ちなみに姉は芽依で、このヒロイン珠妃は姉の代わりに厳しい龍の巫女修行をやってるんだけど、蛇のうろこが体に顕現、まあつまり、蔑まれていたわけです。巫女修行の宮司様だけは入れ替わりに気づいていつつも黙っていたわけだけども。まあその、虐げられヒロインが実は、という展開はお腹いっぱい過ぎて最初は流し読んでいたのですが、後半、ちゃんとした設定になっていきました。絵も好きかもってことで読んでいたわけで。竜神や鬼神の一族がある、という設定で、時代も大正風。これもまた「流行」を意識したものでしょう。そこらもそれなりにうまく書かれているんですが、しかし一話目との乖離がすごいなとおもわないでもないかな…蛇の身と蔑まれていたヒロインですが結果としては竜神の巫女として正式にみとめられ、そのきっかけとなったのが鬼神の一族の長・廉との出会いです。この鬼神の廉は「大江」という姓からもわかるように酒呑童子の末裔という設定もあったりします。このイケメン鬼神の廉の「花嫁」として迎えられることになるヒロイン珠妃なわけで、ここもテンプレではあります。契約結婚的な、そういう設定にしておいて、というね。そして鬼神の長・廉に連れられて「東京」に行き、そこでさまざまな事件に巻き込まれるといった態かな?鬼の一族には「仕事」があり、それゆえに人間に忌避されることもない。また閻魔の配下ということもあり「嘘をついてはならない」という設定があるのもなかなかに面白かったです。嘘はつかないが、隠し事はする、というね。廉はわがままなぼんぼんって感じですが、きちんと仕事はこなす性格。わたしはいわゆる「俺様」系の男は苦手なのですが、廉に関してはそこまで苦手感なかったです。まわりがきちんと説明してくれるからでもありますし、廉自身も理不尽なことはしません。きちんと「長」として立っている、という感じがします。一方でヒロインの珠妃ですが、好感はもてなくもないんですが、なんつーか、前半と後半でかなり性格が変わるんですよ…いじわるねーちゃんそっくり…双子って怖い…とにかく性格のわるい姉の芽依と似た感じがするんですよ。気が強くて、手が出る。廉にビンタするしなぁ…うじうじネガティブヒロインよりはマシなんですが、しかしそこまで変わる?たぶんどこからかの時点でいじわるねーちゃん復活してきそうではあるんで、そのためにこの気の強さってのは必要なんでしょうが、すごく…怖いんですよ、絵面が。なのであまり好き…といえないというか。双子なんだから納得はいきますけどね。変わり身の早さにはドン引きですよ…こりゃ、いじわるねーちゃんと入れ替わったってわかんないやっていう。たぶんいつかバトルするんだろうなぁ…ヒロインだけがいまのところなんというか好感もてなくもないけどびみょう…っていうくらいですが、他はわりと良い感じかなと思ってます。ひとつだけ。この漫画に限ったことではありませんが、自分の力が定かではないのに、ヒーローが戦ってるところにしゃしゃろうとするのは、あまり好きではないです。確実に自分のちからを使いこなしていて、バトルに参加できるだけの「根拠」があるんならいいですが、自分だけ守られてるなんてっと、バトル参戦しようとするのって、好きじゃないんですよ。結果的にヒーローの助けになるわけですし、物語の展開として必要ならぶイベントなんだろうなってのはわかりますが、しゃしゃり出るヒロインって、けっこう嫌われます…足手まといって知ってる?ってなる。何ができるかわからない、なら指示に従っておこ?ってなっちゃうんだよね。力があることがわかって、ヒーローもそれをアテにしてるってことなら、女がバトル参戦は問題ないし好きなんですけども。それはそれとして。亡くなったと思っていた父親がじつは…ということで、父を求めて東京へ…ところが父親の行方不明の謎にはさまざまな状況がからんでいて…みたいないくつかの謎がふくまれていて、それを探っていく、という一本の筋が通っているのは、この話のいいところですね。はじまったばかりの話のようですが、印象としてはいい感じです。読むのにさほどのストレスは感じません。いくつかの謎がちりばめられている、というのもわかっているので、続きが気になるコミックだと思います。
2025.07.30
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「死んでみろ」と言われたので死にました。 1 (フロース コミック) [ 蘭 らむ ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/7/29時点)死んで、気づいたら過去に戻ってました系の話ですね、量産型の。面白いかどうか判断がつきかねる、といった感じでしょうか。ただ、漫画としては好みではないです。たぶん、絵ではなく「漫画」として受け付けない。イラストそのものは下手ってわけではないんですよ。好みはあるかと思いますが、そんな嫌いでもない。…好みでもありませんが。ただ、漫画としてすごく読みにくいです…ごちゃごちゃしすぎてて。もうちょっと漫画として読みやすい絵にしてほしいかな…顔芸が多いのも好みでないかも…悪役がいかにも悪役顔で悪態ついてる「顔芸」が受け付けないかな…あと、ヒロインのナタリーが30で自決するわけですが、うん、30歳にはみえませんね。もうちょっとやつれた感じにした方が悲壮感でますよね…なんていうか、コマとかエフェクトでごまかしてる感じがして、そのあたりもよみにくい。読んでて感じたのは、スマホのオトメゲーのシナリオっぽさなんですよ。漫画を読んでるって感じがすごく薄い…文字だけを追うのは嫌いではないのですが…小説ともちがう…これ、シナリオというか、乙女ゲだ…っていう感じ。絵がまたそういう雰囲気なんですよ、基本バストアップの顔だけ絵で、まわりがキラキラエフェクト…立ち絵があり、たまにスチルがくるっていう感じ。なので漫画としてすごく読みづらい。内容も、まあこれはありがちなんで、正直そんなに先は気になりません。不幸な結婚?をして言われたまま死んでやった…ら、過去に戻ったので、悲劇的な未来を避けるためになんとかしようって…うん、これってほんとゲームなんですよ…これ、漫画じゃなくゲームとしてなら受け入れられたのかもです…ところどころに選択肢がでてきてってのがほんとにありそうな漫画なんですよ。わたしはゲーム世界を舞台にした話が苦手なので、それで読むのがつらかったのかもしれません。これ系の少女漫画にありがちな描き方なのですが、目や口もとだけアップにして、なんらかの感情表現をするってのがあるんですが、ぶっちゃけあれって…手抜き手法ですよね?たまにならいいんですが、大きなコマをつかってやられると、この画き手さんは表現力乏しいのかな、と感じてしまいます。顔芸は、やるんですが。顔だけドアップでやるので、なんというか「芸」がないというか。少女漫画なのできらきらエフェクトつかうのはいいんですが、すごく…邪魔です。読みにくいったらありません。笑ってしまったのが、「賊に襲われる」シーンです。全然襲われてません…台詞だけなんです…あと顔とセリフだけで、どういう状況になってるのかがわからない。そしてそこでいきなり過去のシーンが挟まれるので、「?」となる。いやいやいやいや、見せ場ですよね、賊を蹴散らすシーンですよ、ヒーローが!全シーンそうだといえるんですが、コマの中が顔だらけなんですよ。もちろんそうじゃないところもあるにしろ。顔だけで話が進んでいくので、すごく鬱陶し…いやそれはいいすぎだけども、とにかく読みにくいの一言につきる。俯瞰のコマがほぼないといっていいので、画面がうるさくて物語に集中できない。あと、こまかいことなのですが、言葉遣いがちょっと…伯爵令嬢が「ありがとね」はないでしょう?それと過去に戻ったからって「恩返し」プレゼントってなんだろ、チープすぎませんかね?未来を変えるためにそれ必要なの?ってなって、とにかくここのシーンは不要に感じました。街へ行ったときに買ってかえった、贈った、でええやん?ユリウスに助けられるイベントをつくりたいにしろ、それならもっと他のやりようがあった。薬草をまた届けに行くとか病気についてもっと知りたくて医師に相談しにいくとかでもいい。とにかく、未来を変えるための行動をしている途中で何らかのイベントがあればいい。買い物に尺をとる必要はないんですよ。街中で見かけた「人物」の登場のさせ方も、もっと必要な出来事の隅でやればいいわけで。未来をどう変えたいのかが明確じゃないのが問題なのかも?ドレス選びにしろ…ほんとにこれ乙女ゲのシナリオですよね?選択肢が見えましたもの…画面に…悲劇的未来を回避するため、そしてイケメンとらぶになるために、どのルートを進んでいくのか、という。ちなみに、やはりこの作家さん全身絵が俯瞰して描けないんだなと思った、きもちのわるい父親の駄々こねるシーン。じたばたしてるの、あんなコマじゃわからんす…お心の狭さが明るみに出てしまう…ってせりふもね、ふーん、これほんどヒロインの台詞でいいの?こんな嫌味言ったら゛ちきれられるにきまってるでそ?明るみに出てしまう…ってのもなんか変な言葉遣いではあるけどもそれは置いといて。ここは顔芸黒髪夫人の怒りをかってピンチを演出したい、そういうイベントを発生させたいためってのがまるわかりすぎて…うん、もう、これはダメでした…話の内容もさほど珍しいものでもない過去戻りの、リープもの?ところがヒロインは未来をどう変えたいのかがはっきりしない。なんというか、ヒロインの性格がよくわかんないんですよ…癒しの魔法もってる、くらいのことしかわからない。どんな性格なのかがあまり描かれていない気がします。この先もずっとこんな感じで顔だけ漫画が続くんだなと思ったら、萎えてしまいました…すまんです…
2025.07.29
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ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫) [ 小野 不由美 ]価格:792円(税込、送料無料) (2025/7/27時点)こちら、ゴーストハントのシリーズはコミックもアニメも読んで、見ていました。好きなシリーズなんですよね。最近になってようやくリライト版小説を買いそろえました。一応幽霊ものなんですが、怖い、という感想はわたし自身はなく、もともとオカルトというか民俗学が大好きな私は、どうもそうした視点で読んでしまうので。それでも十分すぎるほどにおもしろい。なにしろ、もとは少女小説…ティーンハートってな女の子向けラノベでしたから、一人称で書かれています。主人公の麻衣、視点で書かれますが、とても読みやすいですねー悪夢の棲む家 ゴーストハント(1) (KCx) [ いなだ 詩穂 ]価格:639円(税込、送料無料) (2025/7/27時点)続編といっていいかな?こちらも楽しめました。しかし、この作者さん…ヒロインに酷な「恋」させますなぁと。ネタバレ全開で行きますが、ナルの双子の兄のジーンが麻衣の「初恋」になるわけですが、好きになった人が好きになった時点ですでに故人読んでて切なくなりましたもんね…ずっと「ナル」って呼んでた、というところがほんとに。だって知らなかったんだもんね…ここはほんとに辛かった。救いとして続編「悪夢の棲む家」があったんだなと感じた。いや、結末は変わらないのだけど、ちゃんと「ジーン」って呼んであげられてよかったね、と。もうそれだけで満足した続編でしたわ…といっても、まあ、これは一応オカルトな話なので、幽霊もどしどし出てくるし、いやもー妖怪めいたものまで派手に出てきます。なのでかえって怖くないんですよ。この辺のバランスはさすがとしか。オカルトの描写も妙にリアルで、一方さすがにこれはありえんやろっていう派手さがあって、良い意味でとてもフィクションなんですよ。そこがとても痛快です。民俗学オタもにっこり嬉しい情報やまもりなので、なるほどと膝を打ちながらよめるのもいいです。主要キャラも全員すごくいいんですよ。さいしょはすんごく胡散臭い、というのがいい。綾子に関してはなかなか実力だせなくて気の毒ではあったかな。しかしまさかの麻衣のお母さんポジになるとは。アニメの方は残念なことに最後までできなかったんですよね。海からくるものでおわってしまったので、あれではナルが無双して解決やーんてつまらんオチになってしまった。ナルの正体について語られることなく終わっちゃったからね…でもすごくわかりやすくていいアニメだったと思う。声優オタではないんだけど、ぼーさんの声のハマケンさん好きで、あの声の読経はありがたかったし、ジョンの声の岡本さんの聖書もありがたかったわーやはり呪文をいい声で聴けるってありがたいっす前半はそうでもないかもしれませんが、後半はけっこうな血みどろ具合で日本のゴーストも本気出したらこわいねー、と。怪奇現象もちゃんとリアリティあるのがすごい。派手すぎるのは、フィクションとしての「映え」のためでしょう。はじめ、日本人嫌いのリンが好きではなかったんですが、なんのかんの、やはり好きになりました。日本人とイギリス人嫌い、だってのに周りが全員日本人とイギリス人…たしかにこりゃ気の毒。日本なんぞ足元に及ばないこと英国様はやってましたからね…英国様のやり口は知っておくべきやと思いますよ…まあそれはそれとして。人によってはホラー色が濃いので怖いと思うかもしれませんね。あとうんちく多いので、それを楽しめるかどうか、かな?何しろこれが世に出た頃って1980代だったはずなので、言葉もちょっとわかりにくいかもしれないですね。これが現代…令和だったらナルはもっとさまざまな機材ぶっこめただろうなぁと思ったりも。わたしが好んで見ている心霊ものYouTubeの番組、やり方がちょっとナルたちに似ているんですよね。ナルほど知識もなく科学的知見もないにしてもね。まあそれにしたってナルも麻衣も主人公様ではあるので超能力的なものは持ち合わせています。そのあたりはちゃんとエンタメとして楽しめる範囲のものといっていいでしょうねコミックも漫画家さんがとても丁寧に画いてくれていて見ごたえがありました。おまけもよかったしね。アニメはいろいろカットされているとはいえ、非常にわかりやすいので、見てて楽しかった。耳が幸せでもある。夏ですし、ゴーストハントで肝を冷やしてみるのも一興ではないかな?
2025.07.27
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虐げられた花嫁は冷徹竜王様に溺愛される 1 (ベリーズファンタジーコミックス) [ ナナキハル ]価格:704円(税込、送料無料) (2025/7/26時点)新人さんものを読み漁ってる感がしない今日この頃なかなかあたりは引けませんねーこちらも表紙から察せられると思いますが、イラスト自体も微妙です…下手っていうわけではないんですが…漫画の描き方はやはり稚拙といっていいでしょうねがんばってるとは思いますが。それよりも…おそらくですがこれは原作の「文章」自体にも問題がありそうです。タイトルからして意味が分かりにくいんですよ。これは編集が変更したのかもしれませんが。虐げられていたのは花嫁になる前ですよね?もちろん結婚して「花嫁」になってもいじめられたりはしてますが、あくまで婚前に「虐げられていた」はずなんですよ。だのに「虐げられた花嫁」って、花嫁にかかっちゃってるじゃないですか…冒頭の「国情説明」に関しても、わかるようなわからんような…なんつーか、歴史をすこしは勉強した方がいいですよ感がものすごい…上っ面だけこーですよーって言ってる感じがして、呑み込みにくいんですよ。説明文の引用を少しさせてもらいますが、「ここフロメシア王国一帯は干ばつにより深刻な飢饉に陥った「そのためフロメシアを含む人間が住まう国々はちょっとまって、「国々」ってどこさして言ってる?王国一帯ってどこが?めっちゃふわっとしてるのはさておき、「フロメシアを含む人間が住まう」ってどういう意味なの?そもそも「ここフロメシア」の「ここ」はいらないでしょ?フロメシア周辺国のことを言いたいのか、フロメシアの各地域、例えば州でも県でもなんでもいいけど、国内の「一帯」なのか…いやもうね…その後も読んでいくとわかるんですが、日本語でけっこう躓きます。設定ももったいないところが多すぎますね。獣人ですよ!こりゃおいしいネタじゃないですかね!!でもなにがどう獣人で、どんな歴史があり、どんな国交があるのか、人間との違いが全くわからないんですよ。鷹だの鷲だの犬だの、なんでもいいですが、見た目はカチューシャ耳をつけたただの人間でしかないんですよ。もっと価値観の違いとかあってもいいんじゃないですかね?「つがい」なんて価値観の違いでもなんでもないです。獣人の「人」の部分しか書いてないので違和感しかないんですよ。もっとけもけもしててもいいのにもったいない…あと、王は「龍」なわけですが、それが世界に対してどんな影響力をもつかもわかんないっていう。龍ですよ?ドラゴンですよ?たかだか一国におさまってていいもんすかね?獣人を統括する立場にある割には、なんつーかいろいろしょぼい…設定面でいえば、ヒロインがものすごく中途半端です。いじめられ続けてきて卑屈になってるのかとおもいきや、やたらにポジティブだし、「気の毒」という言葉に縛られているようだけど、すごく無理やり感あるし。なにより、剣をたしなむ設定にしたのは失敗だったと思う。なにしろ作画があれですからね…描けない人に描かせてはダメな絵面になってしまってますよ。すっ、がっ、からん、だけですからね、ほんとに。何がどうなってるのかさっぱり。でもたぶん、これは原作者さん・・・つまり小説の方にも問題があるんじゃないかと推測しています。漫画家さんもなんですが、剣術の勉強をしてほしいっす…文章で書くのもけっこう難しいので、小説家さんも勉強してほしい。じっさいわたしも剣術シーン書くのは苦労したし、難しいと実感しましたからね。たとえば、わたしはが大好きな映画ロードオブザリングの特典DVDで役者さん達の話を聞くに、やはり演技指導の一環として、剣術、馬術、そのほかもろもろ、習得させられていたんですよ。カメオ出演でほんの数秒しかでない監督らも、弓の稽古させられてましたからね。いわば「基礎」です、基礎がキャラの動きを作るのに役立つんですよ。剣の振るい方ひとつとっても「性格」が出ます。生まれ育った環境も現れます。役者はそうした、映画自体にはそれほど関係ないことでも、演技の助けとして習得するんですよ。作画にしてもそうで、まず「剣」そのものをしらべて、剣の形状の描き方を学んで、握り方振るい方をしらべてほしかったし、これは原作者さんも同様です。剣の形状がもうカッターナイフの替え芯みたいなんですよ。剣の持ち方なんてほぼ書かれてません。擬音でごまかしているだけ。そんなことならヒロインに剣術させるなんて無理しなくていいんですよ。万能ヒロインである必要はないんですから。殿下は私に興味なんかないんだわとスンとなってみたかと思えば、デートだわるんるんしてみたり、初めてのお食事一緒でどきどきとか、気の毒言われたつまり同情なのねと、感情もとっちらかってるんですよ。一本「軸」を入れてほしいです。1ページごとに違うヒロインになってます。なので名前も覚えられません。そもそも剣術をならってるくせに、いじめっこおねーちゃんと母のなすがまま、かと思うと、「上辺結婚」でしょぼくれてたはずなのて、妃殿下の身なのだからと強気で言い返したり、もー、なにこのヒロイン…着ぐるみでもかぶってるの?というくらいキャラ安定しませんキャラ設定は守らせてあげなきゃですよ…絵もかなり雑といっていいところが多くて、キャラの顔が安定しませんね。ヒロインの顔が毎回ちがう…あと可愛くないです、ぶっちゃけ。人体デッサンがまだまだなのは仕方ないにしても。あと殿下も別段美しい顔ってのは…うーんまあ…いいやなんというかキャラの顔が全体的に雑、雑すぎるとしか。基本的にバストアップばかりで話が進むし、文章も…読みにくい漫画の構成もわかりにくくて、それ誰のモノローグ?となるところもあります。いきなり、モブにしかすぎないはずのメイドのモノローグがあったり、とっちらかってて、先の展開はちっとも気になりません。申し訳ないですが…令嬢ものって当たりもあるので探すのはやめられないんですが、いくらなんでも編集さん指摘して直してあげてくださいよ…とも思うんですよ。漫画の専門学校の生徒さん、あるいは卒業生さん?なのかもしれませんが、やはりまず「読み切り」での下積みをさせるべきなんだなぁ…いやでも、裾野が広いのはいいことだとはおもってますけれども。
2025.07.26
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婚約破棄されたのでお掃除メイドになったら笑わない貴公子様に溺愛されました(コミック) : 1【電子書籍】[ 間宮 ]価格:748円 (2025/7/24時点)う、うんまぁ…同人誌を読んだと思えば…ぶっちゃけ漫画的におもしろくありませんし、絵もうまくないですね…これだけに限らないんですが、別に「転生」要素いらないですよね?あと身体強化の魔法つかえるというヒロインですが、その「魔法」ってどういうの?このあたりがまったく説明されないんですよ…身体強化できる魔法、つまり身体能力をあげる、腕っぷしが強いし、重たいものも持てるって…うん、それで?っていう魔法がある世界というのはメイドとして勤めることになる場所からわかるんですが、その「魔法」の描写がしょぼいか、あってないようなもの。この世界における「魔法」がどのようなものなのかがさっぱりわからないんですよ。そして転生要素なんてまったくもって意味がない。働くのは好きでした、とかその程度の「転生」要素ですよ…ぽかーんとしました、がちで。婚約破棄の流れはまあ、どうでもいいですね。というか、キャラがやたらと多いのもよくないです。イケメンぞろいの職場でいろんな人と知り合って親しくなっていく、という過程を描けているわけでもない。あと、唐突にいじわるする人たちが出てくるんですが、あんまり唐突すぎて、これまたぽかーんですよ。ヒロインの親友の現れ方も唐突すぎる。お手紙もらったからーって。いやいやいやいや、その親友に手紙で知らせておこうとか、そういう場面があるならいいですけども。そもそもがこれ、ちっとも「掃除」してないんですよ。掃除のノウハウでもあってそれでヒロインスゲーするのかなと思ったらそんなこと全然ないし。人体デッサンできてないのでしかたないですが、掃除をする格好すら絵に描けないんだと思いました。そもそもね、掃除ってそんな一日でぱぱーっとできるもんじゃないんですよ…広い場所なんですから…こびりついた汚れをいかにしてとるか、整理整頓の仕方について試行錯誤してみるとか、そういうお掃除あるあるやお掃除豆知識的なこともないんですよ。で、いじめっ子らにくだらないいたずらされても、わたし平気なんですー強いですしーとか、いやもうそれ、放置してちゃダメなんですよ、くだらないことでもちゃんと報告しておきないさいよ、「転生」してきたんなら「ホウレンソウ」大事ってわかるでしょ?なんでこんないじわるされてるのかしらーってすっとぼけも、ちょっとイラっとしました。そしてこのヒロインの「ミスリル」ちゃん、協調性ってのが皆無なんですよ。広い施設での掃除で他にも掃除するめんつはいるのに、シフトがどうなってるのとかいうか、役割分担がまったくされていない。雇う方に問題があるんですが、雇用人の管理くらいしっかりしなさいよっていう…それを不自然とも思わず、わたし掃除すきなのでーって勝手にやって、そりゃ煙たがられるでしょ…自分だけ手柄取りして、っていう。このヒロインにはまったく好感もてない。「お掃除メイド」ですらないんですよ…身体強化とやらでいじめっこを背負い投げ?したりなんかするんですが、絵があれすぎて、何やってんだかがわかんないんですよ。さらにいえば、いじめっ子側も幼稚すぎて、なんというか…読んでて痛々しい気持ちになるというか。ヒロインにも共感できないし…絵、というより漫画の稚拙さがすごいというか。コマ割りも単調なせいで、起伏がなく、画面も花がない。場面転換もちょっとわかりにくい。キャラが棒立ちで台詞読んでるみたいな単調さがある。そして吹き出しで体をごまかしてるところがちょくちょくみられる。まあでもこれも、新人育成のためのコミカライズなのかな?ぶっちゃけ、原作の方の内容もこれじゃ…うーんって感じだと思います。漫画家さんの力不足はありますが、ひとつひとつのエピが、なんというか、しょぼいんですよ…婚約破棄していずれザマァされるおぼっちゃんも、婚約破棄したことを兄にしかられてるけど、いやもうそれ以前の問題で、どんな教育してたんだよっていう。それにちっゃんと事前に事情話しておけよ…後出しされていい話じゃないよね、それ。だから弟を責めてるけど、兄だってかわんないんだよ。なんでこのなろう系世界の人たちって「ホウレンソウ」を怠るんだ…というか大事なことこそ話さないよねあまりに稚拙で一巻読むのがやっとでした…けど、はじめてなんてこんなものだし、これから絵や漫画の見せ方を学んでいけばいいですよね。がんばれ、とだけ。話はまあ、タイトルがあらすじなのでそうなるのはわかるんで、先を読む必要は感じませんでした。
2025.07.24
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最果てのパラディンI【電子書籍】[ 奥橋睦 ]価格:759円 (2025/7/23時点)転生ものではありますが、わりと横道なファンタジーですね。設定もしっかりしているし、おもしろくはあるんですよ。主人公ウイルはもとは日本で生きる意味もなくその果てに「生きる」力を手放して転生、そして三人のアンデッドに育てられる、という。三人の訳アリのアンデッドが魅力的ですし、ウィルもすごくいい子なんですが…なんていうんですかね…すごくいい話だとは思うんですが、不思議と続きが気にならないんですよ。とはいいつつ、まあ、アニメも観ましたけどね分けありアンデッドのうち、マリーとブラッドの話にはほろりときたし。ちなみにアンデッドといっても、マリーはゾンビでブラッドは骸骨、ガスは幽霊というアンデッドの種類が違うってのもなかなかに面白かった。まあ、守銭奴というか、金は大事やでのガスがやはり好きだったかなーおいしい役どころではありますよね。後に、エルフやドワーフ、吟遊詩人の「仲間」ができるんですが、まあ、悪くはないんですが、不思議と心に残らないんですよ。話そのものは面白いと思うんですが。なんでなのか、中途半端さを感じるのかもしれません。そもそもが主人公優遇ですからね…いや努力家なのは間違いないけど、元の「人格」的にそんなに頑張れるほどの根性があったのかが不思議なんですよ。つまるところ、主人公が一番魅力を感じなかった…不快とかはまったくないんですが、よくもわるくも、「良い子ちゃん」過ぎて。俺様とか無双とかの主人公はもっと苦手なんですが、賢くて真面目でっていうだけのウィルに、なんとも魅力を感じない。一応転生者としての知識?で領主っぽい仕事もこなすんですが、転生前はやる気なしの子でしたよね?そんな知識あるもの?いや、どちらかといえばガスの教育のたまものかあれは。真面目しか取り柄のない主人公ってのはアリだと思うんですが、結局のところ万能主人公なんですよね、この作品だと。いやめっちゃ苦労したり挫折もあったりするんですが…なんでしょうこのもやもや。たぶん、自分に合わなかった、というだけだと思います。灯の女神はちょっちウィルをえこひいきしすぎじゃね?ってのもひっかかっていたが、これは読み進めていくうちに、神様だしな!と妙に腹にすとんと落ちたので、よし。ただ、スタグネイトだけは推していただけに、龍退治のあたりからあまり好きでなくなってきた…不死神…もちっと異質な存在であってほしかったのに、えっらい安っぽくなって…っていうかね。全体的に見て良作といえる作品だと思います。アニメに関しては、うーん…まあ見てみてもいいとは思います。繰り返し見たいとまでは思いませんでしたが、わかりやすかった。ところでわたしは、なろう系のコミカライズは読むのですが、原作は読みません。これには理由があって、根本的に、なろう系の小説は…女向けなろうもですが、文体が自分に合わないんですよ。下手だのそういうのではなくて、単純に合わない。コミックのうしろにたまに小説が入ってることがあるんで、それで実感しました。女向けなろうはとくにそう。ぶっちゃけ読むのがしんどい。漫画にしてくれてありがとう、というレベルです。たぶんですが、一人称書きがおおいからでしょう。三人称でもちょっと読みにくい…いやでも読みやすくすんなり入った話ももちろんありましたよ。なんというか、状況がわかりにくいのと、「情景」が描かれないことで「雰囲気」を読み取ることができないからかも?「説明」は多いんですよ。必要なことではあるんですが、ようは「説明」しかない感じ。漫画だといちおう背景に建物があったり効果として花が咲いていたりキラキラエフェクトがあったりと、描かれていない「雰囲気」をなんとなく出してくれてるんですが、小説だとそれがほぼ感じられなくて、ただ「心情」だけがつらつらと書かれる。たぶん、わたしにはこれが退屈なんだと思う。もうどうでもいいことなんですが、わたしも手すさびで小説もどきを書いていたので、なおのこと気になるんですね…きっと。なので、パラディンも原作は読んでいないし、他のなろう系コミックも原作には手をだしていません。これからも読まないと思います。余談でした。
2025.07.23
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エルフと狩猟士のアイテム工房 1巻【電子書籍】[ 葵梅太郎 ]価格:770円 (2025/7/21時点)全部で五巻、ほんとは紙でほしかったのですが手に入らず電子で購入しました。恋物語、の一形態ではあるんですが、恋愛の生々しさはほぼなくて、ほのぼのした…それでいてちょっとだけ事件が起こったり「ダンジョン」に潜ったりします。主人公の青年ユラは見た目には「青年」ですが、なんというかこう…少年のままなんですよ。色欲とちょっと離れたところにいるのでもはやこれは妖精?っていう…まあ実際、心の中に少年がいるんですが。もう一人はエルフのマグリット。年齢不詳なので見た目は少女なのですが、じつはとっても長く生きている「エルフ」ですからね。これをガチの恋愛ものとして書いてしまうとどうしても生臭くなってしまうんだろうなぁと。恋愛恋愛したものが苦手な方にはいいかもですが、じつのところ「中途半端」といえなくもないんですよ。狩猟士となってマグリットの材料集めを手伝っているユラは、マグリットのことが大好きなんですが、その大好きの種類がちょっとわかりにくい。恋情…ではあるんでしょうが、どうしてその感情を抱いたのかがすごく浅いんですよね。いや一目ぼれじたいはありえるし、それはそれで納得いくといえばいくんですが…命の恩人でもありますからね、マグリットは。けれど再会までにすごく時間がかかってて、でもなおかつマグリットを思い続けていたのって、なんというかほぼ「幻想」に近いんですよ。一緒に暮らすようになって恋が本物になっていった、のかもしれないけれど、ユラってずっと「少年」なんですよ。年齢と欲が合致しない、というか。まあ「呪い」の影響もあるにせよ。ここのところがちょっともやってしまったかな?一方でマグリットの方は一緒に暮らすようになってからユラを好きになっていったので、これはわかるし、その描写もあるっちゃあるんですよ。ユラはかっこいいなぁと思っているし、可愛いとも思っている。ちゃんと「ときめき」があるのでわかりやすい。エルフというか「女の子」としての描写がちゃんとある。エルフの恋人になるにはユラみたいなのがいいんだろう、ってのはわかりますけどね。しかしこれは気を付けないと…ロリ…では…という疑惑持たれちゃうよね、見た目がね。味付けになっているアイテムつくりってのはとても好きです。後の作品のミニチュアハウスと同じで、材料を提示してくれるのもいいんですよね。そしてできあがったものも「ありそう」なのがいいですね。ただ、わたしはゲーム的な設定の「ダンジョン」というのがどちらかといえば部類に入るんですよ。たとえばこれが「メイドインアビス」の「アビス」みたいな設定ならいいんですよあれはガチすぎるんですが。「なろう系」で出てくるダンジョンって、存在意義がさっぱりわからんのですよ…ステータスウィンドウなんてもっての他…いやまあいいですけど。この話の中のダンジョンは、多少設定は作られてますが、ちょっと苦手と感じてしまいました。べつにダンジョンじゃなくて魔の森でもなんでもよかった気はしなくもないな…魔境、前人未到の洞窟とかー。なんとか探検隊が入る系の。インディージョーンズ系は好きですからね。まあ、そういったところを「ダンジョン」と呼ぶんだってことで一応は納得して読みましたが。ラスボス…とは言わないけど、謎の存在の子は可愛かったなぁアメーバ状の時の姿もかわええやーんこの造形の可愛さは、この作家さんのお得意なのかも?獣人らしきものもいちおう存在してるんですが、それらの出番が少なかったのは残念。スズメいいやんスズメちゅんちゅか鳴いて情報ダダもれっぽくはある…それはさておき、エルフは長命ゆえ、ただの人間であるユラが「呪い」を望んでしまったのは仕方ないとも思えるし、最後の選択も人間らしいと感じられた。ちょっと物足りないなと思うところもなくはない話ですが、全体的に面白かったと言えますね。好みでいえば、のちの作であるふわふわ姫のほうが好きですけれども。ひねくれ騎士とふわふわ姫様 古城暮らしと小さなおうち 1巻【電子書籍】[ 葵梅太郎 ]価格:385円 (2025/7/21時点)どちらの作品もちゃんと作者さんの強みがうまくでてますよね。アイテムであれミニチュアハウスであれ、そうした小物好きにはたまらん話といえそうです。あと単純で、可愛いです。
2025.07.21
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自由気ままな精霊姫(1) (KCx) [ 比良 純香 ]価格:759円(税込、送料無料) (2025/7/19時点)表紙の絵柄がけっこう好みだなーとおもって読んでみたんですが、いまいち…うーん、あまり好きになれなかったな…あとこれ、転生要素いる??前世が日本とは明記されてないし西暦もごまかされてるけど、スマホやらなんやらがある世界から、ファンタジーな世界に転生してきた女の子…そして義理の母親と妹に虐待されている…っていうテンプレヒロインのオリビアは物心ついたころには「心」と体」が分離していて、それはまあいいとしても、前世の記憶はいつ蘇ったのか?もうね、冒頭から不自然極まりないんですよ。オリビエは「精霊の女王」の血筋として生まれて、国から大事にされるよう言われている存在なんだけど、だったらこんなん王宮内で囲っておくか、それができないのならせめて国からちゃんとした保護者をあっせんすべきでは?オリビアの父が無能で王都で離れてくらしているのならなおさら「監視」すべきじゃないの?「伝説」が形骸化してるにしても、しっくりこないんだよねあと、唐突に財閥とか出てきて驚いたわいやまあいいですけど。もっと他に名称なかったんかーいっていう。オリビエは基本、心で思っていても体をうまく動かせない、という設定なのに、スマホがあったら助けを呼べるのにといってるところがあって、いやいや体動かせないのに?スマホ操作できる?とにかく細かいツッコミどころが得多すぎて話に集中できないのですよ。それと漫画としてちょっと読みにくい。オリビアの救いとなるシリウスという「北の財閥」の当主?がいて二年前までは会えたのに、といってるけど、その海草がわかりにくすぎる。回想だとわからなかったんだよ、はじめ。あと、母親よ。本物の方の。いやまあ精霊なんだから人間と価値観が違うってことならそういう風に描いてほしい。娘がねちねち虐待されて死にかけてようやく、おひさーって現れて、…あほなのかと。わたしならグーで殴るわ、今更度の面下げてきてんだよ。それはさておき、いろいろトラブルがありながらも屋敷を出ることになったオリビアそしてシリウスがついに虐待を知って反撃に出る、という展開に持っていったわけだけど。なんというか、話が急すぎて、よくわかんないんですよ。一巻だけでキャラを出しすぎ。国の存亡がどうとかいう話もちょっと分かりにくい…わかるんですが、なんというか嚙み合わないんですよ理解しにくい書き方をしている…というか俯瞰的な図がなさすぎて、オリビアの恩恵を被ってる国の情勢とかがぜんぜんわかんないんですよ。おそらく今後、現代知識無双するオリビアなんだろうけど、そのための下準備も雑すぎるんですよ。魔道具=スマホやタブレット、みたいな書かれ方をしてますが、そこのとこも実際はわかりにくい。妄想で、そうなんだろうなと察しつつ読まないといけない。あと、オリビアの周りではなく、外側にいたシリウスが驚くほど無能だよねオリビアの母親の遺言、人づてできいただろうそれを真に受けて調査もせず、監視もオリビア周辺におかないって、あほなのかと。国防にかかわることなんちゃうんかーいこんなこっちゃ「財閥」の存続も怪しいよねっていうサスペンスって書いてあるから、けっこう酷なざまぁが用意されてるんだろうなってのはわかりますが、意地悪義母と妹程度にざまぁして何が楽しいんだ?これって国をゆるがす事件なんちゃうの?オリビアの存在がどれほど重たいものか、それもなんかふんわりしすぎてて、よくわかんないんですよ。このあたり、オリビアの実母が悪いし、諸悪の根源だよね?そのくせ、危機が迫ってることすら娘に知らさず、またいつかあった時にねーばいばいーってナメてんのかと。何度読んでもこの実母精霊女王にいらってくるのでまた愚痴っちゃったわ。まー、それはさておきですね。とにかく、話がとっちらかって、理解がしにくい。わかるんだけど、もうちょっと俯瞰的に説明してくれっていう。キャラが多すぎてそうなってしまってるんですよ。誰と誰がどういった関係にあってどういう立場にあって、国においてはどういう立ち位置なのか。それは一応説明はされているんだけど、流されちゃってわかりにくい。名前だけ出して、あいつはどうだ、あの家はどうだ、といわれても。まず、国の状態がどうなのかわかんないし、戦争がどうのといってるけど、唐突すぎるんですよ。「とっちらかってる」というのが一番の印象です。絵に関しては、まあ、そこまで嫌いではないんですが、ヒロインの影が薄すぎるのと、個性がなさすぎるので、妹のマリアの方が印象に残ってるくらい。なんでああまで歪んだのかはわからんけど、ああした根っからの加害者気質の子はいるからなーとは思えるしね。あとはいくら「加害者」だからって髪をむしるのはどうなの?野蛮人しかいないな…この世界。あと無能ばかりすぎる…そうそう、絵ですが、ひとつすごく気になるのは、シリウスの寄り目ですかね…実はこれ、生理的に受け付けない顔だった…寄り目の具合というか。いやこれ、イケメンじゃないよね…あとは加虐のシーンがえげつなさすぎて、好きではないですが、これはもう好みかな?この物語において諸悪の根源はオリビアの母親なんですよ。この精霊母にこそ罰を与えるべきなのでは?まあこれは「ざまぁ系」ですので、悪役を演じてきた義母たちが罰を受けるのを楽しめる方なら読めるんじゃないですかね?あとは寄り目イケメンを許容できるか、かな?わたしは早々にページを閉じてしまいましたが、まだ続いているようですね続きはもうどうでもいいです。という感想でした。
2025.07.19
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贄の聖女と救済の契り 不良魔法士と綴る二度目の恋 1 (フロース コミック) [ 戸浦 ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/7/18時点)サブタイトルにある二度目の恋、というのは余計な気もするなぁ…というこちらのコミック。いわゆる聖女ものでしょうか。そういってみれは聖女ものは初めてかもですね。テンプレっぽい作品といえばまぁそうですが、なかなかに面白くて、続きを楽しみにしているコミックです。ヒロインのリゼルカは若干卑屈なところもあったのですが、ちゃんと成長していく過程がある。相手のシャノンも、「俺様」系男子に見せかけて、実はとても素直で真面目な青年だったのがよかった。シャノンにはちゃんと友達もいるし、人望もある。すごくまっとうな男子なので、その点がすごく好みでした。俺様系男子は苦手なんですよね…ただの横暴なやつやんけ、となってしまった。こちらのコミックは世界観もちゃんと作られているのも好感触です。リゼルカが聖女としての魔力を失ってしまったことから物語は始まるわけですが、「空の聖女」になってしまったことで何かしらの事件に巻き込まれそうなのがわかっているのもよいです二巻の時点ではまだ大きな事件には巻き込まれていないのですが、不穏な種はちりばめられている。そんな中でむやみやたらに身勝手な行動をとらないヒロインにも安堵感があります。言われたことはちゃんと守るんですよ。そして他人の意見を拒まない。一度は拒むんですが考え直すことができる。きちんと反省して謝ることも、お礼をいうこともできる、やはりまっとうな子です。まっとうな思考の主人公ふたりなので読んでて違和感とか不快感とかもありません。シャノンがとにかくいいやつですよね。すごくまっとうな男子で、気ままにふるまっているようでいてちゃんと組織人としての行動もできる人という印象があります。友人がいるってのは大きいね!それに変に事を隠さないで思わせぶりな態度をとることもないのがいい。そのため、おかしなすれ違いは起こらない、今のところは、ですが。絵に関しては好みではあるんですが、若干雑な線だなと感じるのですが下手というのではありません。とはいえ、粗雑なところはいくつかみられます。二巻になってからはあまり気にならなくなってきました。戦闘シーンは駄目そうかなとは思いますが。剣戟に関しては期待できなさそうというか。少女漫画あるあるってやつ主人公らのまわりにいるキャラもちゃんと個性をかけてるなと感じます。なので多少雑めな絵でもほぼきになりません。黒龍をあがめる邪教とのかかわりが今後の山場になるんでしょうね純粋に先の展開が気になります。ただ、冒頭でも書きましたが「二度目の恋」ってどこにかかってるんだ?リゼルカ自身は意識もしてなかったはずだし(幼いころ)、シャノンは初恋貫いて貞操もまもってきたわけそ?「一度目の恋」ってのはどこいった?ここがわからない。こういうサブタイトルが足かせになるのは、やめてほしいんだけどな…なのであえてブログタイトルではサブタイトルは書きませんでしたが。現時点でまだ2巻までしか出ておらず、山場となりそうなのはおそらく次の巻以降でしょう様々な謎が説かれるといいのですが。とりあえず次の巻を待ちたいと思います。
2025.07.18
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氷のようだと蔑まれた宝石令嬢は策士な伯爵様のお気に入り1【電子書籍】[ かみきわか ]価格:165円 (2025/7/17時点)う、うーん…これは…初コミック、つまり新人さんなのかな?読んですぐわかりますが、絵はお上手とはいえませんね…話の内容もありきたりで、原作…ついてないのでオリジナルのようですが、とってもなろう系少女漫画です。義理の母親と妹に蔑まれていたヒロインが成り上がりの伯爵イケメンに助けられて幸せエンド、です。設定として、涙が宝石になるというけれど、宝石の定義があいまいすぎるのも問題ですね。せいぜいが「貴石」程度では?そもそもなんでいじわるママハハは一度見ただけでそれが「宝石」だとわかるんですかね?鑑定にだすなりしなさいよ…もしかしたら黒曜石か、はたまたブラックダイヤかもしれないじゃないですか。色の優劣があるというのならそれをまず初めに記しておかないと。また、氷のようだというかつまり表現が乏しいってことが個性の一つのようですが、そんなことはまったくありません。表情めっちゃ豊かなんですよ。もちろん幸せだったころは微笑んでいられたと言いたいんでしょうが。きついこと言われて涙がほろりってそれふつうですよね。表情がかたいなんてことまったくありません。こっそり貯めていた金をつかわれそうになって「怒る」シーンでもふつうに表情動いてます。たんに愛想がない女、というだけにすればいいものをその愛想にしたって社交界でぶすっとしてるシーンすら描き込まれていないので、設定がまったく生かし切れてません。社交界で悪い評判がたってるって…そんなのどこにも「描かれていない」んですよ。ただ意地悪ママハハが言ってるだけ。また、亡き母のお墓をきれいに立て直したいからって泣いて宝石をためてたわけだけど、それを父親に渡してるとか…無計画すぎてもうこれ、ご都合展開にもってくためでしかありませんよね?で、さらにそのあともしょんぼりで、救い出してくれたイケメン様のルカに契約結婚をお願いされるんだけど、それもまたあっさりうけいれちゃうんですよ。いやいや、最初普通に求婚してたやろがいで、それがだめなら契約結婚でーと言われる不自然さときたら。それなら、うちの宝石店の働いてほしいでいいやん?涙が宝石になるのだからそれを利用されると案ずる風もないし。いやべつに、利用されてもいい、救い出してくれたお礼になるなら、というのならまだいいんですよ。もともとルカはスリ小僧で、そこからなりあがって伯爵になったわけで、さらに子供のころからヒロイン・レイラを好きだった…いやこれもまあ、少女漫画なんですからいいとしても、そこまで「告白」されて、なんで冒頭でルカはどうしてわたしを救い出してくれたんだろうなんて言ってんだ。答え提示されとるやんっていう。ここはもうちょっと、せめてルカが宝石オタクで、レイラの涙の「宝石」を売る目的とではなく、単に観賞したいという目的があるってんならいいんですよ。涙が宝石になるなんて気味が悪いですよね、というヒロインに対して、そういう不思議なところも魅力なんだと答えるくらいには、オタク気質であってほしい。あとは、生理的にも涙ってでるものなんですが、そういう涙は宝石にならないとかそういう細かなことはどうなってんのかっていうね少女漫画として、絵が微妙…ってのもありますが、そういう細かな設定をちゃんと作ってない気もします。表情筋がかたい、といえば楽園番外地(1)【電子書籍】[ 桑田乃梨子 ]価格:660円 (2025/7/17時点)わたしの好きな漫画家さんで、この話を上げますが、絵もすごくうまいってわけでもないんですが、やはり「うまい」んですよ。まあこちらはコメディよりではあるんで比べるのはちがうかもしれませんが。こちらの漫画のヒロインは表情が硬くてまわりからビビられるのがデフォ、それが悩みでもあったりして、それゆえに表情めっちゃ豊かな先輩に憧れて好きになる、というベタな話です。ちゃんと表情硬いんですよ。それでも喜怒哀楽はあるせめてこれくらいには「表情硬い」を表現してほしかったなって。すぐ泣くしね…レイラ、それでよく氷の令嬢だのと言えますよ…心が綺麗だから綺麗な宝石が涙にって話もじつはちょっとうーんと感じました。もうちょっと言いようあったろっていう。結局涙がどうのってより宝石の色を変化させる力ってことでしょう…ま、まあ化学変化で色が変わることもあるし、石の色が変わるってのはけっこう好きな設定なんですが、せめてもっと「宝石」「加工」についての話であってほしかったなって。たとえばダイヤモンドですが、あれはカットの功績が大きいですよね。わたしはそれが好きなんですよ。もちろん原石の質もおおきいですが、職人が丹精込めて加工して、あの輝きがあるんですよ。宝石ってそういうのが多い。そしてこの漫画での「宝石」はどこまでを「宝石」と位置付けているのかもわからない。黒い宝石…というか貴重な石ってけっこうあって、そのどれかもわからない状態でスタートしてるので、せめていじめられてできた黒い石はトルマリンの黒だったとか、オプシディアンだったとかオニキスだったとかあるやん…黒にもいろいろ。宝石商がルカの立ち位置なんだから、そういう宝石知識もいれるべきだったのでは?しかも早い段階で。でないと、単なる劣化シンデレラでしかないですからね…あとわりとどーでもいいことですが、ドレスのセンスが…好みでないです。オフショル…なんかこう…もっとシンプルでよい服にしてあげて…そして宝石商なのだから、宝石が映えるドレス選びも必須だと思うんですが…これはまあ、絵があれなのでしかたないかな?まあつまり、新人さん?の腕試しというか練習的な漫画なのかも?編集さんがいると思うので、もうちょっと人体デッサンと、キャラ設定にアドバイスしたけで…と思いましたわ…
2025.07.17
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虚構推理(4)【電子書籍】[ 城平京 ]価格:594円 (2025/7/16時点)これはアニメから入って漫画で読んでみたコミックです。まだ続いているようですが、20巻あたりで脱落してしまいました。面白くないわけではないんですが、たんに長くなりそうな雰囲気が苦手というだけで。オタクっぽさを楽しめる話ですよね。理屈つけて「論破」してるみたいな。ただしい正解があるわけではないけれど、真実は無限にあるからそのひとつを選び取ってる、といった感じかな?ヒロインにあたる琴子が「怖い」と感じる六花の気持ちがよくわかるんですよ。琴子自身が作られた「神様」、つまり虚構の神様なわけで、それをすんなり本人も受け入れてる。これが悲しくもある。強引に恋人になった九郎先輩は琴子を大事に思っていることをちらりと覗かせるシーンもちゃんとある。似合いの二人なんですが、それは「化け物同士」だからという悲哀もあるね。琴子から「神様」部分をはぎ取ってしまったらどうなってしまうんだろうという危うさ。琴子の非情さは、不快なものではないんですが、危ういと感じている六花がいるのはうまくバランスとってるなと。六花については、まだ謎が多いなと感じる。20巻の時点ですが。救になってるのは雪女の話でしょうか。ほのぼのしてますよね。妖怪と人間の恋は、長くは続かない。寿命的な意味で。けれど「今」という時間をいとおしんでいきていけばいいと、ちゃんと認め合ってそばにいる。雪女の血のはいった「子孫」も登場するから、そこも救いになってくる。幸い、雪女は長寿だけど不死ではない。このあたりに救いがある。で、人魚と件の肉を食ってほぼ「不死」になった九郎と、妖怪によって神様に仕立て上げられた「虚構神様」の琴子、これからどうなっていくのだろうか…と、このあたりは気になりますが、あんまり長くなってきたのでリタイア、というところです。ふたりともごくふつうの青年と少女になる未来があるのかな?それはさておき、一応は「推理」ものでもあるので、なにかしらの事件はおこります。現実的な対応で終わることもあるけれど、煮え切らずに終わるものもありましたね。事件解明というよりは、解決をでっちあげて納得させる、ということに重きをおいているので、ミステリとして読まない方がいいかも、と感じました。あとは、琴子のお下品な言動をどこまで許容できるか、ってところでしょうか。めっちゃお下品なんですが、もちろんそれもキャラを立たせるのに一役買っていますので、思いのほか不快感はありません。ただ、どこまで許せるかってのは人それぞれですからね。ピノッキオの話や雪女の話なんかは好きでしたが、ここらはアニメでも楽しめます。これはアニメもけっこう好きなんですよ、とてもわかりやすかった。漫画もですが、絵もかわいらしいので、読んでて楽しめました。推理ものとしての賛否はあるでしょうが、気楽な娯楽もの、妖怪好きな方には楽しめそうな話だと思います。
2025.07.16
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ひねくれ騎士とふわふわ姫様 古城暮らしと小さなおうち(3) (ガンガンコミックス) [ 葵梅太郎 ]価格:770円(税込、送料無料) (2025/7/15時点)やっと三巻きたわーっ次の巻も楽しみにしているコミックです。じつに、ほっこり可愛いお話です。ひねくれ騎士とふわふわ姫様 古城暮らしと小さなおうち(1) (ガンガンコミックス) [ 葵梅太郎 ]価格:770円(税込、送料無料) (2025/7/15時点)展開はかなりゆっくりめかな?新刊ではルークスの上司と超親友様が登場してなにやら不穏な展開が…と思わせてそうでもなく、本割です。ただ、前作のエルフと狩猟士の話とちょっと似た展開ではあるかもですね。友人すきすき問題。いちおうまだ謎のままの布石が置かれたままですので、先が気になるようになっています。早い段階で「両想い」となっているので、じれじれものの恋物語を望まれる方には向かないかもしれませんね。恋愛もの、といった感はないので。ちゃんとミニチュアの家がでてくるのがいいなぁ。センスいいですよねー実際に欲しくなるミニチュアの家々ですよわたしは料理人のゴータがすきなんで、もっと出ないかなぁと思ってますけどね。食材の序列にしても、この世界なりの価値観があるのってやはりいいですね。あと、使い鳥のコチカも好きなので次巻で出てほしいなぁお姫様もかわいいですが、ルークスがきちんと「騎士」してていいと思うんですよ。警戒心がつよく、お花畑な思考でないのは地に足がついている感じがしてやはり好きです。ラスボスは王妃様、なのかしらね?はやく次の巻でないかなー伝説の剣もやはり意味があるのかしら?
2025.07.15
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燃えよ剣 [ 司馬 遼太郎 ]価格:1,650円(税込、送料無料) (2025/7/13時点)しばりょーの有名作品ですが、これを読んだのはかなり後になってからでした。「新選組」があまり好きではなかったってのが理由にありましたね。べつに嫌いというほどではありませんでしたが、なんとなく…なんで人気あるのかがわからなかったんですよ。司馬遼太郎のこの小説がひろく伝わり…さまざまな漫画やアニメ、ゲームなどに影響を与えた…ということも子供の頃はしりませんでしたが、それでも「新選組」はなんかみょうに…「好き」と言えなかった。そしてこの小説を読んでもやはり、その印象はかわりません。ただし、めっっっっちゃ面白いですし、土方が人気出るのはわかりすぎるくらいわかりました。こりゃもう人気でない方がムリでしょっていうくらい、すごく人間的で魅力的なんですよ。ずるいくらいですよ。歴史ものライトノベルといわれるくらいには、かなり読みやすい作品です。歴史的な解釈をいれつつ進む話ですが、それもとてもわかりやすくて「しばりょう構文」もあるくらいですよる。にしたって、土方がイケメンすぎる…いや、冷徹ではあるし、傍にこんな人いたらいやですし、ましてや上司だったら最悪ではあるんですが。史実としては、どうかはわかりませんよね。これはあくまで司馬遼太郎の小説の中の土方です。実在した土方がこんな人物だったらいいなぁと夢見させてくれるほどには人間味があっていいんですよ。和歌を趣味で作ってるんだけど壊滅的なダサさとかね…ここがほんともう好きで。照れくさそうに沖田に読ませるんですが、沖田も口にはださないけど「だっせぇ」って思ってたっていうあたりの描写がほんとに可愛い。なんこれずるい…女性ファンが卒倒するレベルで可愛いです。そして女性関係においてもそうで、最後の最後に、思い人と再会することになるんですが、ここがまたロマンス小説もびっくりなくらい、ロマンスなんですよ。わぁ最後にこうきちゃうんかって驚きましたよ。さすがにうまいですよね。多少なり、しばりょーの幻想は入ってるかもしれませんが、しばりょーの描く女性ってなんだかとてもいいんですよ、魅力的で。しとやかな女性も活発な女性も。嫌みがないというか。さじ加減かな?前にも消化した「戦国の女たち」からしてそうなんですが、男性作家の描く女性像の臭みがあまり感じられないんですよ。実在した女性たちをモデルにしているからヘタなことかけないってのもあるかもしれませんが、「わかるー」と言いたくなる女性たちなんですよ、みんな。たとえば北政所と対立してたと書かれがちな淀君ですら、悪女にはかかれないというか。燃えよ剣にかんしては女性の出番は少ないです。たぶんそれが人気の要因でもあるかなとは思います。作者しばりょーが新選組を好きだったかはわかりませんが、かっこよく書いてあるなぁと感心したものですよ。わたしが新選組をどーもよーわからんな、…と思っていたところを埋めてくれるような感じというか。幕府の犬だのなんだの言われているけれど、実態はもっと複雑だったんだなぁ、とかね。良くも悪くも田舎の剣豪たちのあつまりで「政治には向かない」んですよね。これは土方自身が一番わかっていた、という描写にはすごく合点がいった。組織を動かすのはうまかったかもですが、「国」を見る観点はすごく浅かったと思う。国の範囲が狭かったというか。それでも時代的には必要だったのかもですね。燃えよ剣とは別に、新選組内部でのちょっとしたミステリー風仕上げの短編があるんですが、それを読むとまた土方のイメージは変わります。「壬生狂言の夜」という短編ですねうわー…策士やなー…腹、くっろ!!と思いましたもん。そして多分この点が新選組をどーも好きになれない理由なんだなと。がちの組織で、隊の規則やぶったらっていうのがもう怖すぎる。問答無用すぎるやろっていう。時代的に仕方ないし、新選組は決して悪ではないんですけどね。世間知がなく、あれは道化だ、と言われてしまっても仕方ない側面はあったのかなぁと思う。ただ、それだけではないと思うし、時代が生んだ集団ではあったろうなぁと。近藤さんに関しては気の毒だったなと思ってしまうわ時代が大きく変わるときでしたものね。メディアミックスされたものはまったく見ていないのですが、ドラマ化したくなるのはわかる気がするんですよ。それだけ魅力のある話ですから。でも、新選組の人気の理由となった「燃えよ剣」この小説は、小説で楽しんでほしいってのはあるかもです。歴史小説ですがとってもラノベちっくなので読みやすいですしね。しばりょー初めにもいいかもしれません。わたしとしては短編からしばりょー初めしてほしい気もしますが。ここから維新前後の小説を読み始めるのもいいかもですね。登場人物がおおすぎてげんなりするかと思いますが「燃えよ剣」はそういうげんなりさはほぼ感じずに済みますからね。注意があるとすれば、しばりょーの小説っておもしろすぎて、歴史上の人物がとても身近に感じられ、それがつい「事実」だと誤認してしまうことでしょう。いちおうこれは「娯楽小説」です。実在の人物や歴史的事件をもとにしてはいるけれど、想像で書かれた部分も多い。しばりょーの書くものが歴史的な「正解」ってわけではないです。とはいえ、日本史の勉強にはなりますよ。あらたに研究が進んでじつはこうだった、という発見があり、歴史は都度都度修正されていきます。しばりょーは多くの…ほんとうに膨大な量の資料や実際さまざまな場所に赴いて取材しているので、地に足の着いた「リアル」はあります。だから安心して読める、のですよね。どんな物語でも、取材力ってのは大きいなと感じますね。物語に血が通っている感覚ってのは、読むとわかります。好みはあるかと思いますが、ぜひにとすすめたい小説です。
2025.07.13
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「君を愛することはない」と言った氷の魔術師様の片思い相手が、変装した私だった(コミック)(2) (ガンガンコミックスONLINE) [ 葉月秋水 ]価格:770円(税込、送料無料) (2025/7/12時点)これはなんでしょうかね…あてこすり?と、思わせるタイトルですね。いや違うとはおもいますが。タイトルがまんまあらすじなです。ヒロインは不憫な境遇にあった伯爵令嬢で、結婚相手は侯爵家の残忍な当主…かとおもったらなんやかんやでその孫が結婚相手となり、すんなり結婚に至ります。で、このヒロイン・フィーネはかなりレベルの高い魔法を使えるんですが、それを隠すのかと思ったら、そんなことはしませんでした。わりと早い段階でバレてしまうからですね、魔法使えることが。しかしフィーネの旦那様になったシオンはフィーネがかつて変装してばんばん魔法を使っていた「黎明の魔女」に命を救われ、それをきっかけに生きることに意味を見出していった…つまり片思いの相手が「黎明の魔女」フィーネ絵も丁寧でかわいらしいし、シオンもイケメン、「幽霊さん」と呼ばれてるフィーネの「恩人」ともいうべき過去の「黎明の魔術師」さんもかっこいい。不遇令嬢もの…なんですがちゃんとヒロインは自分の力で物事を乗り越えようとするし、けつしていやな子でもうじうじした子でもないです。世間から隔絶されて育ったのでちょっと世間知がない、というところはありますが、そこにそれほど臭みはありません。でも、なんでなのか、二巻でもりあがりそうな場面がラストにあったにも関わらず、先が気にならないというか…うーん、…という感じ。これ、どういったらよいものかフィーネもシオンもちゃんとキャラが仕上がってる感じですし、幽霊さんもそう。絵も綺麗ですし、読んでいていらっとするようなことはまったくありません。おもしろそうだなーと思ったから買ったわけですしね。ただ、続きが気にならない。こういうのってたまにあります。この話での「魔法」にもその原因があるのかも。この漫画での「魔法」って、なんだか数学的なんですよ。術式があって、それを数式としてあらわして、研究の対象にもなっている。ヒロインは論文を提出しているくらいですし、作中でもやたらとなんとかの論理がどうのと語られて、でもそれって、読み手の私たちにはなにがどうすごいのか、わからないですよね。知らない世界の知らない物理の法則の数式なんて、なにがすごいのか基準判断がないんですから。ただ紙面上ですごいすごい言ってるってだけで、まぁ、ヒロイン賢いんだなぁとはわかりますけどね?この二人も魔術オタクなんで、オタトークになると盛り上がるのはわかるんですが、読者おいてけぼりすぎるやろっていう。ちょっと前に紹介した「赤毛の役立たず」も薬草オタトークはあるんですが、くどくど語られていないのもあったし、絵としてその「薬草」を見せてくれたから、そんなに引っかからなかった。あちらも論文がどうのという話は出てきますが。薬剤についてはわたしはさっぱりわからないのだけれど、わからないなりに、なるほどと思わせてくれるシーンがちゃんと書かれていた。が、こちらの漫画は、わからないままどんどん進んでいって、ヒロインがいかに天才的か、ということだけに重点を置いている。「なろう系」だからまぁそんなもんなんでしょうが。作中でも「専門的な話は退屈がられる」とフィーネ自身いってるので、「ほんそれ」です。正直、描く必要あったんかなーって思います。いやまあちゃんと流してはいるんですよ、漫画的には。でもなんか、くどいんですよ。ヒロイン様スゲーのはわかりましたからっていう。ただヒロイン・フィーネの考えに賛同できるところもあるんですよ。ロマンス小説みたいな展開がなくてもひとりで楽しめることはあるっていうの。そこは「うんうん」と思ったのだけど、のちに幽霊さんが正体明かしたら?と提言したら「バカじゃないの」と一笑に付してしまうのですよ。理由が、そんなロマンス展開は自分には合ってない、とかのようですが。これってねー、昔よんだ「誰かこの状況を説明してください」と似てるんですよ、ヒロインの感性が。誰かこの状況を説明して下さい! ~契約から始まるウェディング~ 1 (アリアンローズコミックス) [ 木野咲 カズラ ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/7/12時点)こちらは魔法なんてないし、ヒロインはもうちょっとおとなしいですけれど。この作品はもうなんていうか、オタク女の夢というか欲がつまってる感じがして、いたたまれない感ハンパなかったんですよ…好きなことをしていたいんで契約結婚大歓迎、私のテリトリーに旦那ははいってくんな、みたいなね。旦那に愛人がいても気にしないし、むしろ愛人のところにずっといっててくれ、と。自由に過ごせる金持ちの家があればよしっていう。ま、まぁ、少女漫画なんでそれはそれでいいんですが。それでまあ本作のヒロイン・フィーネはそこまでひどくはないんですよ。いちおうシオンの家にとどまり続けなくてはならない理由はあるから。探し物があるんですよね。ところが二巻後半で、「黎明の魔女」に紛争してシオンの祖父の幽閉場所に侵入するんですよ…え…それできるんならべつに結婚しなくてもよかったんじゃね?まあ結婚してしまったので離縁が難しいってのはわからなくもないけど、それならお世話になってるシオンに対してもうちょっとこう…歩み寄ったら?って思ってしまうんですよ。嫁ぎ先とはいえ、いちおう衣食住を保証してくれてるんですよ、それに対しての感謝は…あるようなんだけど、「正体明かせ」には「バカらしい」「結婚なんて私には合わない」???理由として、正体明かしたら殺されるかもっと思っていたところまでは良かったんですよ。でも、殺されるどころか片思いの相手じゃんとわかって、戸惑う、ここもわかる。だったらなぜ、正体を明かすことに戸惑いを素直にあらわさないのかと。正体を明かしてがっかりされることが不安だ、と思うのはいいと思うんですよ。それを自分から否定しても。でも「ばからしい」はないでしょ…なんかここで大きく躓いてしまった感が自分の中にありました。フィーネが他人に頼れない性格だというのはわかるけれど、気持ちを打ち明けてくれたシオンにいくらなんでも不実すぎないか、と。たとえばおまえなんかが黎明の魔女ではないと怒鳴られて、それで落胆してシオンと距離をとるってんならわかるんですよ。魔法談義は楽しかったけれど、仕方ない。せめて嫁いできた以上侯爵家の家格を落とすようなことはすまい、ひとりで過ごすのは慣れているし…という流れなら、受け入れられたかも。少女漫画脳なのでしてね…ひとりでいることに慣れてしまったせいで、他人を信用できなくなった、そしてたいていのことは自分でできる、その描写もちゃんとあったので、わかるんですよ…正体明かさないというよりは、自分をさらけ出すのが嫌なのだってのは。だからこの先きっとふたりの歩み寄りがあるんだろうな、ってのはわかるんですが、なんかもう…どうでもいいや、となってしまった。だってフィーネは一人でも生きていけるだけの能力はあるんですからね。気の毒なのはシオンと幽霊さんだけ。フィーネは「ポジティブ令嬢」ってことで帯にそう書かれていたんですが、ポジティブでは決してありません。幽霊さんは甘やかしーですし…まわりにフィーネを叱ってくれる人がいない、というのは大きいなと。とはいえ、絵も綺麗ですし設定もしっかりしているので、よくわからん理屈っぽいシーンがあっても楽しるという方には、お勧めできる作品かもです。
2025.07.12
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妖鬼妃伝 美内すずえセレクション黒の書 (このマンガがすごい!comics) [ 美内すずえ ]価格:1,650円(税込、送料無料) (2025/7/11時点)この漫画を読んだのは小学生の頃だったかないやー怖くて好きな漫画ですよ。今でもあせないホラー漫画だと思います。ホラー漫画ではありますがちゃんと少女漫画してるのがいいですねー怖さ、でいうなら「白い影法師」の方がひょえっとなる怖さですよ。霊体験してる人なら「白い影法師」のほうがよりリアルでこわいんじゃないでしょうか。こちらはホラーですがミステリっぽい要素が含まれているのが面白かった。とあるデパートに主人公のつばさと親友のターコが買い物に行くんですが、そこで「人形展」が開催されているのを見つけ……そしてそこから事件は始まります。「人形」というのはホラーの定番ですねー書き方が実に怖い。「人形の墓」という短編も描かれているんですが、そちらもお勧めです。さて、「事件」はオカルトにからんでくるんですが、つばさがその「事件」にかかわっていくのは親友のターコの突然の「事故死」からでした。事故か自殺か…地下鉄の電車にはねられて、という悲惨なものでした。服はぼろぼろになり、髪も一部切られている…それがまずひとつの不審点としてつばさに疑問をもたせます。そしてターコの死に疑問を持ったつばさは、デパートに聞き込みに行くんですよ。そこでスタッフのひとりの発言に「確信」をもつことになり、デパートに潜入して不思議な体験をする…というのが前半です。このあたりはホラーというより冒険ものというかミステリってぽい流れですよる。九曜というひとりの盲目の美青年と出会うってあたりに少女漫画らしさがあってよかったですわー「人形」のオカルト的要素をすごく上手に使っているんですよ。1000年も生きる「妖鬼妃」様、そのまわりの随身達もまた時を超えて生きているんですよね。そしてそのやり口がけっこうえげつない…けど、これほんとにありそうな話だなぁとも。歴史上の有名人もしれっと名をだしてきて、そこにリアリティを持たせているのはさすがです。この作者さんはこの漫画を描いていたころが絶頂期だったんじゃないでしょうか。絵の迫力がほんとはんぱないんですよね「ガラスの仮面」があまりに長期にわたりすぎてそちらが有名になってしまったけれど、やはりわたしはこの頃の漫画が好きですね。ガラかめも二人の王女あたりまではすごく好きでしたから。この妖鬼妃伝は、デパートや地下鉄といった、身近なところを舞台にしているのが怖さをいい具合に煽ってくれますね。人形が窓に張り付いてるシーンとかめっちゃ怖くかかれてますし。玄関に次はお前だとばかりに紙人形はりつけるとかね。そしてなにしろ少女漫画ですので、最後はらぶなえんどになります。そこのあたりもとても可愛くて、これはヒロインも相手の九曜さんもすごく好きなんですよ。地下鉄に平安時代めいたかっこうの人たちが乗っていくってシーンも、アンバランスさが怖さを掻き立ててくれるんですよ。非日常、異空間、というのを異常な光景をみせることで不安をあおってくる。うーん、うまいです。「黒百合の系図」もそうですが、ヒロインがとても行動的だし、ちゃんと聡いんですよね。無謀なこともするんですが、無謀過ぎないのもいい。ちゃんと友人を頼ったりもしますからね。わたし自身はこういった漫画を読んで、怖くて眠れないとかトイレいけないとかはまったくないんですが、日本人形こわいーーーってなった方はおおいんじゃないでしょうか?古いコミックですので、たとえばデパートのセキュリティーがガバガバすぎんかといったようなつっこみはせず、昭和のホラー少女漫画として、ぜひとも読んで、楽しんでほしいですね
2025.07.11
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夜歩く 金田一耕助ファイル 7 (角川文庫) [ 横溝 正史 ]価格:616円(税込、送料無料) (2025/7/10時点)金田一シリーズはどれも好きなのですが、これもお気に入り。金田一耕助が出てくるのは後半。一人称で語られるお話です。犯人はこの人かなーと思ったらやはりそうだった、という点で、意外性ってのはないかもしれませんが。わたしは推理小説で「推理」しながらよむことはないので、犯行トリックそのものはほぼ興味がありません。行間を読むとかそういうのもどちらかといえば苦手な部類。細かく読んでいけばわかる、という系も苦手で、いつもざっくり読んでいます。ミステリー好きというわけではないんですよね。脱線しますが、先日YouTubeで浅見光彦シリーズの「天河伝説殺人事件」の映画を久しぶり見たんですよ。市川崑の映画はいいなぁ…というのはひとまず置いておいて、これもまた、なんか演出とかで犯人この人かなと思ったらやはりっていう展開です。すごくわかりやすい。でもそれでいいんですよ。とはいえこれ「伝説」?とはなりましたけどね。伝説に関しては味付けがあっさりしていて、まぁ、うんって感じ。天川村にはいったことがあって、とてものどかないいところでした。ちなみに映画での「神社」は天川の神社ではありません。あんな立派じゃない。そしてこれもどうでもいい余談ですが、浅見光彦といったらわたしは榎木さんなんですよねーあのおぼっちゃんおぼっちゃんしたところがすごくいいですよ。探偵っぽくないし、なんのかんのバックがしっかりしてる良家のおぼっちゃんってのがいいですよね、光彦。話がずれましたが。つまりまぁ、犯人が誰なのかわりとあっさりわかる系はきらいじゃないんですよ。むしろ犯人が最初から分かっているものより好きです。なんかわかっちゃう、くらいの流れでいいというか。金田一シリーズでも犯人がはじめからわかっている、という短編はありまして、それはそれで好きなんですが。短編だからいいってのもあります。そしてこの「夜歩く」ですが、有名な「八墓村」とちょっとだけリンクしています。場所が近いんですよね。なので、もちろん磯川警部もでてきてにっこり。これは犯人が復讐を遂げる話なんですが、まわりくどいねちねちしたやり方がいいですねー「夢遊病」をうまく利用しているのですが、のちの本物の夢遊病者が出る話もあったりします。なんというか、みんな「まっとう」でないんですよね…くる病というのは時代的に多かったかもしれませんね。表現的にもよく出てきます。この話はたぶん、犯人が一番共感しやすい人かも。だから最後の最後に金田一にネタばらしをされても、犯人は激高しないんですよ。金田一もまたそうで、どこかしら同情しているからか、ちゃんと「続き」を語らせてくれた。こういった犯人とのやり取りが好きなんですよね。それにしたって耕助ときたらお行儀わるいぞ、というシーンが出てきてそこもまたご愛敬かな。テレビドラマや映画になっていないと思われるこの作品ですが、なかなかにミステリ小説として面白いと思うんですよね。いろいろと登場人物は出てきますが、メインはそれほど多くなく、一応は犯行トリックもある。そして一応、後から読み返して、そういえば…と感じられるところもあるし。これは「八墓村」とセットで読んでほしい一冊ですね。そういえば「八墓村」も一人称で書かれている話ですね。一人称、つまり物語を語っている人物の対比も感じられるかも?八墓村よりはあっさりとした内容なので読みやすいです。
2025.07.10
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すり替わった恋 / 1【電子書籍】[ 原 ちえこ ]価格:550円 (2025/7/9時点)夢の舞踏会へ / 1【電子書籍】[ 原 ちえこ ]価格:550円 (2025/7/9時点)原ちえこさんのハーレクインものは安定感がありますねー懐かしさ、というのがいいのかもしれません。こちらはセットになっている話です。双子の姉妹のロマンス。双子の姉妹が入れ替わって、というのは昔からの王道でもありますし、まあ、ありがちな設定ではあります。ヒロインは双子の姉妹アナベルとロザベルです。まずは「すり替わった恋」の方では双子の妹ロザベルがメインの話となります。順番としてもこちらを先に読んだ方がいいでしょう。ロザベルはしとやかでおとなしげな性格、その性格を見込まれて名付け親の息子と結婚することになるのですが、それが悲劇の始まり…そしてロザベルは未亡人となり、さらに「事件」に巻き込まれることになります。ふるさとにすら帰ることを禁じられたロザベルですがなんとか了承を得て実家へ帰り…そこで双子の姉のアナベルと「入れ替わる」、ということから物語が始まります。アナベルバージョンももちろん同様で、二つの物語はリンクしています。ので、セットで読むのがいいってわけです。話の内容と作者さんの絵柄が合っているというか、この作者さんはこういった話が合うんでしょうね。さくさく読めて楽しかった。ありきたりですし、なんのてらいもない話ではあるんですが、少女漫画っぽさもあるし、なんというか…不思議と何度読んでも飽きません。まあ単にこの作者さんが好きってだけなんですが。ロザベルにもアナベルにもお似合いの男性が現れるのですが、ちゃんと「お似合い」に描かれているのがいいんですよね。双子の姉妹で顔も声も同じなんですが、性格はけっこう違います。ロザベルはしとやかですが、アナベルは活発な性格です。そういえばこのコミックで「ドアマット」の言葉の意味を知りましたよ。「あんなドアマットみたいな人!」ってアナベルが、ロザベルの相手となる男性を評しているんですよ。ロザベルにはそうは思えなかったわけですけどね。アナベルははきはきとものをいうし、活動的なヒロインですから読んでても楽しいです。一方のロザベルはというと、内気なんですが、うじうじしていないというか、控えめではあるけど読んでてイライラしないんですよね。この点は作者さんさすがというべきでしょうね。長く少女漫画畑で活躍していた作者さんだけあります一応、物語の中心にひとつの「事件」があって、それを主人公二人…というよりは男性陣が表立って解決していく流れになるのですが、双子の姉妹もただ守られているだけではないのも好印象です。絵に関しては決して今風とは言えないので、好みに合うか合わないか、はあるかと思います。異様に首が長かったりするのは気になりますけどね。メインキャラはさておき、それ以外のキャラの描き分けは時々微妙…になることもあるけど、決して下手というわけではありません。なんというか…「悪役」がものっすごくいかにもーな悪役顔してるってのは昔からの癖でしょうか。といっても、やはり安定したキャリアのある作家さんですし、「貴族」な雰囲気の華やかさを出すのはうまいですよね。花が爛漫ってだけかもしれなくても、見せ方がしっかりしているというか。ひとむかしまえの少女漫画の絵が苦手でないなら、楽しめるハーレクインものだと思います。
2025.07.09
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「赤毛の役立たず」とクビになった魔力なしの魔女ですが、「薬草の知識がハンパない!」と王立研究所に即採用されました。 1 (花とゆめコミックススペシャル) [ 天宮 こなつ ]価格:737円(税込、送料無料) (2025/7/8時点)タイトルで損してるシリーズです。なんでこんな長いタイトルなんかな…なろう系ってこういう長文タイトルじゃないと受けが悪いのはわかるけど、せめてこの半分にしてほしい…読んでみると期待以上に面白くて一気に買い集めたんですよ。絵に関しては好みが分かれるかな?あまりキラキラ感はなくてちょっと古いともいえる…雑なところもなくはないけど、線が太めなのがわたしの好みなのか、読んでて苦痛がまったくなかったです。ほんとにこのタイトルだけがネックで、しばらくは読む気も起きなかったんですよ。ぶっちゃけ表紙の絵もそんなかわいいわけじゃないですしね。それでもまあ読んでみると、なかなかに面白かったのですが、やはりこれ冒頭の…というか一話目が「なろう系」追放ものテンプレすぎて。うへぇとなった。もったいないなと思いましたよ。以降はちゃんと面白くなるんですが、なんでこう「なろう系」は冒頭にテンプレ持ってこなくちゃ気が済まないんでろうか。出版社は白泉社ですが、「なろう系」少女漫画にはちがいないので、もうそこはしかたないとわりきるしかないですね。「追放」ものと「ざまぁ」ものですかね。実は有能な主人公が「追放」されて、追放した側が「ざまぁ」され、主人公はイケメンと出会ってハッピーですっていう。実にこのテンプレのままの話ですが、バックグラウンドが思いのほかしっかりしていました。主人公はルジェナとエーリクなんですが、周りの動向の方が気になるっていう。そしてちゃんと「わかりやすく」伏線がいくつかちりばめられています。突飛だったり意外って展開ではないんですが、ちゃんと物語につながって、無理がないです。主人公の二人、ルジェナとエーリクはふつうに有能で良い人、そして天才肌の調剤オタクです。ふたりの言動に無理やり感はないし、人間らしさもあるから共感もしやすいし、好感持てました。ただ、あまりに「天才的」すぎて身近には感じられません。わたしはいわゆる「追放側」のダリミルが最初からなんか、気に入ってたんですよ。もうね、めっちゃ小物感バリバリで。でも可愛いんですよ。読んでいくと、ダリミルことダリくんにはめっちゃ共感できてしまう。もちろん好きな子に意地悪ってのは共感できないけど、抱えているコンプレックスみたいなのはすっごくわかる。ルジェナが天才的な子すぎるんですよ…そりゃこじらせもします。そして追放に加担するリリアもなんだか好きです。このリリアって気の毒なんですよ。性格はあれですが、でもそうなるのもわからなくもない、という。これって、田舎のへき地、小さな村の中で満足して生きていける人間と、閉鎖空間では行き詰ってしまう人間との対比の話でもある。ダリくんやリリアは、僻村に閉じ込められて辟易している。リリアは都会へ行きたい。ダリくんは一度でも都会へ出ていったから、憎らしくもあるんですよ。作中でエーリクが言っていたことがかなり大きい。魔女の力は土地の「守護」のようなものからきているけれど、ある意味では「呪縛」、魔力のある土地だからこそ、そこにとどまり続けるよう「呪い」として影響を受けている。そんなふうな解釈に、わたしは取りました。ここを鑑みてリリアの行動を考えると、たしかに僻村に呪縛されて、いらいらしてしまうんですよ。一方でルジェナは小さな村の中でも様々な出会いがあったことに喜びを感じられている。この差は大きい。わたし自身も狭い世界の中で完結してしまいがちな性格なので小さなことに喜びはみいだせますが、もっと広い世界をみたいと思う人間にとって、「僻村」は牢獄でしかないでしょう。ダリくんにしても、あれしろこれしろと父親にがんじがらめになって、心が疲弊しきっている。小物なんですよ、ダリくん。だからリリアやフランツにいいように利用されてしまう。このお話のもう一人の主人公はダリミルくんですよね…なんつーか、そこそこ幸せになってほしい子です…心を入れ替えてすっごいいい子になるとかでなく、ダリくんらしく、都会でそれなりの幸せを得てほしい。この子が痛い目みるのは嫌だなぁと思うんですよ…かわいそうすぎる読んでると、ダリくんが可愛そうでかわいそうで…リリアはたくましいのでひとりでとっとと都会へ出て、やはりてきとうにハッピーでいてほしい。村にいるから性格が曲がってしまった子だと思う。都会で揉まれて失敗して、のしあがってほしい。もうひとりの「敵」役といっていいフランツも気の毒なんですよね。毒親に育てられ心を曲げられてしまった子、という感じで。このフランツはエーリクを一方的にライバル視しているというか。師匠のやり方というか思想をそのまま受け継いでいるので、もうこれ洗脳にちかいなっていう。かの師匠の娘もそうですが、平民を見下す教育をされてしまっているからね…なんというか、ルジェナは存外幸せな境遇にあった子なんですよ。子供の頃、母や祖父母にきちんと愛されて育った記憶があるので、性質をまげられなかった。エーリクも周りに良い人たちがいたから、優しい性質になれたんだろう。しかしこのふたりと「敵対」する側ってみんな気の毒すぎる環境にいるので、安易な「ざまぁ」がはじまったらいやだなぁ…という気持ちに。ヒロインたちには幸せになってもらう前提としても、ダリくんもしいつかはそこそこ幸せになってなっていうねつまりそれくらいには、続きを楽しみにしているコミックです。上にも書きましたが、絵に関しては好みが分かれそうです。はっきりとした太い線がですので、野暮ったく見えるところもあります。けれど全体的に、デッサンもしっかりしているし、なによりキャラの表情が豊かなのがよいです。なによりエーリクが「俺様」系でないのはかなり好みです。タイトルで悩んでずっと手を出していなかったコミックでしたが、今では続きの巻を楽しみにしています。とにかく長文タイトルはほんとどーにかならんものか…でもこれがないと「なろう」じゃ飛びぬけないんでろうなぁ…もったいない。タイトルがあらすじの役割を呈しているのって、いやまあ…悪くはないんですかが、もうちょっとね…コミックの表紙に関しては、正直どれも微妙って感じはします。それもあって手がでなかった。野暮ったいんですよ。のっぺりしてて…バケツ塗りしたって感じがすごいでも内容はちゃんとしてますし、キャラにも生きてる感があって、よかったです。続きが楽しみです
2025.07.08
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星は、すばる。【電子書籍】[ 日渡早紀 ]価格:758円 (2025/7/7時点)これまたえっっっらい古い漫画なんですが、「僕の地球を救って」の作者さんのデビュー作「魔法使いは知っている」が載っています。おそらく好評だったのかシリーズ化したんでしょうね。コミック二冊で完結していますが、初期と最終回ではまったく絵柄もかわっていってます。このシリーズの二冊目からの絵が好みでしたねーなんといってもデビュー作ですから、初期の絵はいかにも昭和って感じの絵です。あと気を付けて?ほしいのは、ヒロインの名前が作者の名前なんですよ「日渡早紀」です。いやまあデビュー作ですから仕方ないですが。よんでてちょっと、なんかこちらが恥ずかしくなるというか。一話目はファンタジー色がかなり濃いんですが、次からはふつうの高校生ものになります。いちおうは「宇宙」がテーマというか、ヒロインが天文学部で、大の天体好き。たぶんわたしも天文学ってのに惹かれてコミックを買ったのだとおもいます。古すぎておぼえてねーや。今読み返すととても新鮮です。天文学はいまではもう昔の常識が覆されているくらいですからねーそれでもまだボイジャーミッションは続ているんだなとおもうと感慨深いです。ヒロインは日渡早紀なわけですが、ヒーローはいちおうイケメンくんの星野くんです。この星野くんのキャラがちょっとぶれることもあるんですよね。あと今泉くんという当て馬もいますが、これもしや作者さんのお好みでは?などと考えていました。早紀はどちらかといえば破天荒な女の子なんですが、高校生らしく、いろんなことを思い悩んだり、友達といざこざあったり、なんというかとっても青春です。みんなあっかるいんですよ。そしてそんな中、「大人」がなんかいいこと言ったりするんですよねぇ。ボイジャーの話がそうでしたが、早紀がボイジャーミッションに関して、あれは自己満足なのか意味があることなのかと思い悩みそれを専門家の人に問いただしてしまう。かえってきた答えは、もちろん作者さんの「思い」ではあるんですが、「まずは伝えようとしなければ」ということで、とても納得できたんですよね。ボイジャーミッション、搭載されているのはレコードだったり、あとは地球の位置を知らせたマップだったりするんですが、この点詳しく漫画では触れられてないので、調べてみるといいかもです。そんなミッションに対しての作者さんなりの回答があって、それは突飛な思いではないし、あるいはそれこそがミッションの重要なことかもしれない。何をするにせよ、まずは動かなければ。そして知ろうとするために、自分のことも伝えなければ、というのはとてもよくわかるんですよ。いい話だな、と思いました。あとはタイトルになっている「星は、すばる。」これはかの有名な枕草子の一文です。この文をうまく使っているな、という印象なんですよね。それもあってこの「星は、統ばる。」という言葉、わたしも好きなんです。星は、すばる。彦星。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。(引用・枕草子)「昴」「すばる」とは、つまり集まっている様子を言っているんですよ。一応天文好きな女の子が主役ということもあって、星のことが作中でいろいろと出てきます。わたしもこれで覚えたなぁ…古い少女漫画ではありますが、今でも好きな作品で、なんだか手放せない。僕の地球は…じつは途中で脱落してしまったんですが、あの作品の根底にこの早紀のシリーズがあったんじゃないかと思わせるところがあります。話の内容は全然ちがいますけどね。どちらかといえば早紀シリーズはコメディタッチですし。それでも、僕の地球が好きな方には、ぜひ読んでほしい作品です
2025.07.07
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ヒカルの碁 文庫版 コミック 全12巻 完結セット (集英社文庫ーコミック版) [ 小畑 健 ]価格:10,032円(税込、送料無料) (2025/7/6時点)名作といっていい、超有名なコミック。アニメも好きでした。この漫画のすごいところは読んでても碁がわからんまま、それでも「おもしろい」と思えるところでした。キャラがいいんでしょうなぁ人によっては佐為が昇天してからはあんまり…と思うようですが、それでもあの焦点は必要でしたね。佐為がショックうけてるあたりはすごく好きだったんですよ。碁を打ちたくても打てないし、ヒカルは上達して佐為をおいていってしまうし…塔矢行洋と好戦したことで「満足」してしまった。というのが「昇天」のきっかけになってしまうのですが、成仏フラグを自分でたててしまったんですよね碁、といういわば若干のスポコン的なものもある漫画なんですが、そこのところはあまり深く描かれていないように感じました。まあ背後霊が教師って非現実的だしね。それにもともとヒカルには才能があった、というジャンプらしさもある。キャラの成長ものなんですよね、これ。わりとどうでもいいことなんですが、行洋名人の嫁…若いっっっっ!と思ってましたが実際どーなんでしょ?というか、母親は年相応かな、中学生の母親としては。つーか、年の差いくつやねん…名人…若い嫁ゲットしたんやね…とかまあ下種なこと考えてましたわ、ええ。この漫画には一応ヒロインは存在するんですが、ほぼ出てこないので、妙に安心。たまに出て、ヒカルをちょっと元気づけるってくらいがいいんですよ。この漫画の時代的にアリなんでしょうが、高校進学せずプロの碁うちになるってのには驚いた覚えがあります。いわば「就職」ですよね、棋士っていう。いまじゃなかなかそうはいかんやろうけどね。とはいえ、上段にいけばそこそこ金はもらえるのだろうか?緒方先生、いい車載ってたしなぁ?女もいるしねーなんかそこんとこはよくわからんけど、とにかくこの漫画は大人たちがいいキャラばかりでした。子供たちをちゃんと成長させる大人がいるし、食わせものもいる。子供たちばっかりでわちゃわちゃしてるだけの青春もの、ではないんですよ。たぶんそこが魅力でもある。おかっぱアキラも高飛車なだけではなく、かといってくっそ真面目ってだけでもない、揺らぎのあるいい子でした。最初らへんのヒカルとアキラは小学生でしたので絵が幼い。ところがとどんどん大人びていって、だれやねんくらいに変わります。アキラはおかっぱのままですが。伊角あたりもなんかイケメンになっちゃっておどろいたものです。碁の漫画ですが、碁のルールとかさっぱりわからず、なんかわからんままでも面白いので、碁をうってみたいって気持ちになったことが一度もないっていう、不可思議な漫画でもあります。白と黒だけの石で、なにがどうなって勝った負けたになるのかさっぱりわからんのです…一色碁とか、あれ目の前で見せられたらもうさっぱりわからんどころじゃないねちなみにわたしは倉田さんけっこう好きでした。ちゃんとした大人の人ですよね、軽いノリですが、見る目があり、侮るということをしない。いいキャラだなぁと。おっさん好きではあるので行洋名人が好きでしたけどねっ!アキラはどっちに似たんだ、たぶんお母さん?頭は父親で。髪型については…問うまい。これはヒカルもだしね。そしてこの漫画のすごいところって、すっごく長く感じるけど、文庫だとたった12冊で完結なんですよ。若干のしりすぼみ感はあったかもしれないし、もちっと描き切ってくれとも、という気持ちはなくもないけど、あれでよかったように思う。無駄に伸ばしてだらだらするよりはね。古い漫画ではあるしアニメも古いかもですが、これはどちらも観てほしい漫画、アニメです。
2025.07.06
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妃教育から逃げたい私 1 (PASH!コミックス) [ 菅田 うり ]価格:693円(税込、送料無料) (2025/7/5時点)好みかそうでないかと問われたら、まあそれほど好みとはいえない漫画なのですが、初めからちゃんとコメディ全開なので気軽に読み進めていけます。アニメ化するんだろーなーとおもってたらほんとにそうらしい。テンポよく進む話なのでアニメ化には向いてるかも。ヒロインのレティは破天荒すぎて共感しにくいところもあるんですが、10年厳しい教育のため束縛されてきたから自由を欲するのはわかるんですよ。だからちゃんと「共感」しやすくなってます。そしてなにより、ブリッ子さんの存在がいいですね!すわ嫌みなライバル登場か、という現れ方をしますが、ブリッ子さん、ものすごくいいキャラというか、ごく普通に常識人なので、ちゃんとヒロインを叱ってくれます。このあたりが良いですね。安易に同情もしなければ、打算的な行動もしてくれて、ちゃんと生きたキャラという気がします。コメディだから許される…のは、ヒーローのクラークですよね。コメディラブファンタジーだから許されるキャラですよ、ほんとに。レティにしろクラークにしろ、立場上しかたないけれど、話し合う機会が全然作れなかったことがネックになってしまってるんですね。ちゃんと恋愛ものとして丁寧に歩み寄ってるのが感じられる描き方です。コメディ要素がかなり強いので、恋愛のねちょねちょした臭みがほぼ消されているのがいいですねー作画も丁寧で綺麗だと思います。読みやすいですしね。何より一番評価したいのは、…まあ原作由来ではあるんでしょうが、「やきもちを焼く」の言葉ですよっ!これをちゃんと「焼く」と描いてくださる漫画家さんってすっっっっっくないんですよ!!たいてい「やきもちを妬く」って書きやがりますからね。「妬いている」と単品で書くのならいいんですよ。けれど、「やきもちを」「やく」んなら「焼く」でないと意味わかりませんから。誤用トップ10には確実にはいりますね。「すべからく」がトップ3に入るでしょう。「煮詰める」もかなぁ。ともあれ、こうした言葉の使い方の間違いがあると、もうそれだけで読む気が失せるのですよ…よほど名作でない限り。作画でよかったなぁと思うのは、ちゃんと姿勢が美しい、というシーンがちゃんと「美しい」ことでしょうか。人物デッサンができているからでしょうか。食事のシーンなどもとくに違和感なく読めましたからね。話が面白ければ、あるいは好みなら多少デッサンくるってても気にしない方なのですが、ここ最近はあまりにひどいのを立て続けに読んだもので…最低限漫画としての読みやすさとかはクリアしててほしいかなっていうね。その点でこちらのコミックは、テンポよく話が進み、コメディ部分もくすっと笑えるし、ちゃんときゅんとくるときめきもあります。ヒロインのレティも破天荒ながらもわがまますぎはしませんし、クラークはまあ…やりすぎといえなくもないけどそれなりに節度があるのがいい。レティのお兄ちゃんもまた腹黒感だしてきてていいし、やはりぶりっ子さんが美味しい役どころ持ってってるなーと感じました。最初にも書いたように、好みかと問われると微妙な感じで先はそんなに気にならないのですが、これはドタバタらぶこめ少女漫画好きさんにはお勧めできるコミックと感じました。
2025.07.05
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屋根裏部屋の公爵夫人 1 (B's-LOG COMICS) [ 林 マキ ]価格:715円(税込、送料無料) (2025/7/4時点)これも人気作のようだしそのうちアニメ化でもされるんでしょうかね、といった感想です。いかにもなろう系少女漫画って感じですね。結婚した先で不遇な目に遭いながらも負けずに自分の得意分野で「事件」を解決して、スゲーされるっていう。帳簿はもうちょっとマシなところに隠しなさいよ。。。とかは思いましたが、まあこの侯爵家にはろくな人材がいなかったってことで。ヒロインのオパールが公爵領地の不正をあばいていくってのが最初のイベントですね。そこはまあ…それなりに面白かったです。ただ致命的といっていいのかどうか。この漫画家さん、イラスト自体は上手なんでヒロインも可愛いんですが、「漫画」があまりうまくない…何が起こってるのかわからない、というところがなんどかありました。冒頭がとくにそうで。というか冒頭からそれでええのんかいなっていう。ヒロインが「暴漢」に襲われるかなんかしたらしいですが、そこの描写が全くされてなくて何が起こっているのかまっっっっったくわからなくて文章だけで説明されている。何が描かれているかって、ヒロインがとくにも乱れた風でもドレス姿で座っている、だけなんですよ。しかも夜会で襲われた、とだけ。ななこれ?と頭に?マークが飛びましたよ。ヒロインはきょとんとしてるだけだし。「きゃぁぁぁ」という悲鳴の後にきょとん顔のヒロインですよ?何が起きているのかさっぱりわかりません。もちろんこの襲われたことは伏線なんでしょうが、物語の根幹ともヒロインの根幹ともいえるこの襲われたシーンをほぼなんの説明もなく終わらせるってどういうこと?もうここで、先を読む気がマイナス値になりました。暴漢に襲われたっていうけど、いつどこでどんな経緯があって?しかもヒロイン、目隠しひとつされてないし。未遂に終わったとはいえ、ショック受けてなさすぎ。悪評が広まったことにのみ焦点が当てられてるけど、ふつう、「襲われたこと」に恐怖を感じない?そのあたりのことがまっっっったく描写されていないので、この襲われた事件って結婚したくないヒロインがわざと…つまり一芝居うったってことなの?とか深読みしてしまいましたわ。違いましたけど。結婚後との夫の会話も不自然極まりないんですよ。旦那になった公爵は金に困ったから結婚したとわかっているのに、なんで冷たい態度をとるんだろうと思ってみたり、いくら不思議に思ったからってぶしつけに「愛人」かと尋ねてみたり。もちっと聞き方とかあったんちゃうの?金で買われた自覚があるのに主賓の部屋があてがわれないことに文句言いに行ったり。誤解だなんだといわれても、頭悪すぎでしょとか…肝心の、女主人の座について話に行く…相手ノーサム夫人のところにいくところすら描かれていない。ここ、描いておくべきなので?もうね、割愛しすぎなんですよ。小説の一文一句を漫画にしてしまう必要はないけど、描かなすぎるとわけわからんの。ヒロインが「だって誰も教えてくれなかったじゃない」はこっちの台詞なんですよ!まずふつうに、女主人代行のノーサム夫人に話をつけに行く、のではなくご挨拶とこの家の状況をおしえにいただきにいく、くらいの気構えでいなさいよって話だよ。もうこの時点でヒロインへの好感度がマイナスその後いくら活躍しても、なんつーか、無神経でずけずけした、気の利かない頭の悪い令嬢としかならないんだよね。あげくに逆切れでわたしを殺せばいいじゃないかとこんなん「脅し」でしょうよ。いくら自分の父親があくどいことしてたのを知らなかったからって、やりようはあったはず。ずっと頭下げて卑屈にかまえろってんじゃないけど、状況把握しようとかないのかよっていうまた、頑固で意地っ張りなのが「私」、それがヒロインの性格的特徴らしいけど、そんなシーン、あった?頑固で意地っ張りだったヒロインがここまで読んでも1ページも出てこないんですよ。経営勉強していたらしいのはちゃんと描かれているので、その程度でいいから頑固な性格のエピソードだしてくださいよ。そういう、いわば描写不足がめっちゃ多い。誰かに言わないと部屋を出られない、に関してもまったくそういう描写がない。屋根裏に引きこもったのはヒロイン自らがそうしたわけですよね?ならば、引っ越すに際して、夫のヒューバートから部屋を出るときは必ずメイドに報告し、行き先を定め、そこだけに行くようにと行動の制限をするように言い渡されたとかなんとかのコマをいれればいいのに、それもない。にがいってだけで咽るかしらねぇとかおかしな描写ばかりなんですよ。顔をしかめるとかならまだしも。粉っぽいとかなら咽るでしょうが。とにかく漫画として読みにくい。絵は可愛いんだけど、なんというかそれだけ。説明してほしいことは描かない。空間把握もしにくい。屋根裏部屋に浴室トイレとかあるのかい?とかまあこれは漫画なのであまり気にしないけど。屋根裏にする必要、が欲しかった。屋根裏がどういう構造をしているのかわからないけど、屋根裏だからこそできることがあったり秘密があったりしないの?絵は綺麗だけど、動きのあるシーンが描けないのは、少女漫画家さんあるあるかなぁ。顔のアップが多いしね。絵は描ける人だと思うんですが。漫画を描く能力はそんなに高くない、という感じ。バストアップの絵が多いせいで、立体的なものの立ち位置が非常にわかりにくい。ヒロインの行動に関しても性格の描写がかなりてきとーなので、いってることやってることが、すごく嫌みに感じる。わざと自分を被害者ポジションに置いている…これは作者さん都合なんでしょうが…なんというか、話は面白そうではあるんですよ。賢いヒロインが公爵地の経営を立て直したり不正を暴いたり、そこから夫のヒューバートが目をさます…っていう流れね。このヒューバートがもうものすごくダメ男なので、それをいかに立ち直らせるか、というのは物語の味付けになりそうですしね。幼馴染の男は当て馬なのだろうけど、まぁ、それもひとつの味ですし。けど、とにかく描写がなさすぎて、いちいちこちらでバックグラウンドを考えなきゃならんのでめんどくさい。もっとちゃんと、描くべきところを描いてほしい。このヒロインにしたって有能アピしたいんだろうけど、最初がとにかく性格わるすぎる。だからヒロインが知らなかったことを知っていって謙虚になる、という話ならそれも面白そうなんですよ。ヒロインがある程度強キャラでわがままじゃないといけないんですが、どうもそのように描きたいわけではないらしいのですよ。頑固で意地っ張り、らしいですが。具体的にはわからないし。ただのわがままで自己中ってだけですよね、としか。持参金=自分、という意識が最初にあればよかったのに、それがないのがいたい。数話を読んで、こりゃだめだ…と脱落してしまいました。まあ、人気でそうだし、アニメ化もちかいかもですね。しらんけど
2025.07.04
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とくに読まれてもいなさそうな日記的なブログですがよくぞここまで続けてきたなぁと感心感心。ということでちょっと休憩です。小説はともかく、漫画って田舎住みということもあるからか、いい年して漫画なんか読んでと蔑みの目で見られることは多々あり、職場なんかではさすがに漫画の話はめったにしません。好きかと問われれば好きだよ、というくらい。これはアニメもそうで、流行ものなどはあまりみていませんが、好きなものはたくさんあります。アマプラのサブスクしてるくらいにはね。好きなアニメの一つに「プリンセスチュチュ」というものがあります。Xで紹介されていたので見てみたんですが衝撃でした。これめっちゃ大人向けでは?いやもちろん子供向けに作られてはいるんですが、話がものすごく複雑です。絵はいかにも子供向けって感じなんですがそれがよいです。そしてベースがクラシックバレエなのがまた…たまりませんねっ!これは「創作」する人にはすごく胸が痛むアニメでは、と感じたんですよ。物語を作る人向けでもありますね。みにくいアヒルの子がベースにあるんですが、このアニメのすごさは、ヒロインの「あひる」が最終的に「人間」にはならないんですよ。魔法の力でアヒルが人間の女の子になる。そしてプリンセスチュチュになって恋した王子様を助ける…んですが、その王子様にはちゃんと素敵なお姫様がいる。このお姫様がまたいいんですよね。ヒロイン「あひる」つまりチュチュと敵対するクレールという黒い姫が、お姫様なんですよ。根底にあるのが、「愛」なんですよ。お姫様「るう」は王子様を心から愛していて、どんな姿になってもそれは変わらない。そして絶叫する「愛しているの」と。その愛の深さに「あひる」は敵わないと悟る。見ているこちら側も、「るう」ちゃんには敵わないだろうと思わせてくれる。ちなみにこれ、声優さん達がすごくいいんですよね。迫真の演技です。最初「王子様」はぼそぼそしゃべっているだけで聞き取りにくいんだけど「自我」がないからなんですよ。それから王子様に戻っていくと、すんげーりりしくなる。もうひとり重要なのが王子様を「束縛」しているといっていい、ふぁきあ。彼がまた、前半後半でめっちゃ印象代わって…こりゃずるい…このアニメはおそらく考察するの好きな人にはたまらんアニメだと思うので見てほしいんですよねそして「物語」を作る人の心に刺さると思う。おとぎ話の残酷さをきれいにまとめてあるといったところもある。いやー、いいアニメだよ…大人になってみたからよけいそう感じた。「ハートキャッチプリキュア」もそれで、大人になってから見たんですが、ええ話というか、かっこいい話だよね。ゆりちゃんの人生ハードモードすぎではと白目向いたけど。びつくりしたのが、パートナーの妖精に石田彰がつかわれとるやんけってことで。ムーンライトのパートナー妖精で、ムーンライトかばって消し炭にされちゃうんだよこれがまたさすが石田彰はんぱないな…ゆりちゃんね…目の前で妖精消し炭にされるわ自分の遺伝子からダークプリキュアつくられてそれを倒すわ目の前で父をやられちゃうわで…ええぇぇぇぇ…憎しみはだれかが歯を食いしばって断ち切らなきゃいけない、的なことを「最弱」と呼ばれたブロッサムが言うんですよ。これ、すごくいいセリフだと思った。ムーンライトが憎しみで強くなれるならそれでいいと言ったのを止めるために。貴女に何がわかるの、と言われたらほんまその通りなんだけど、ブロッサムがいうように、連鎖させてはいけないものなんですよ。歯を食いしばって耐えなくちゃならないときってある。簡単に忘れられることでもないし許せることでもないけれど、たしかに「歯を食いしばって耐える」ことが必要な時期や事ってあるなと。あとは敵のデューンがたいそう好きでした。執着系だこれ…と勝手に思ってたんですよ。フラワー好きすぎたんだろうなぁと。砂漠化といい、まあこれは砂の星っていうかそこからきてるんだろうけども、彼はなんていうか、「悪」ではない感じがしたんですよ。少年の姿は力が奪われたからってことなんでしょうが、単純に「少年」そのものという気もしていた。肩に乗ってる妖精もどきも可愛くて、あれはきっと「妖精」だったんだろう。ちなみにデューンとのバトルシーンがすんごい好きでした。なんつーか、バレエみてるみたいな。演舞的なバトルでしたね。いやー、子供向けのアニメってすごいな、って話を友人にしたら、ちょっと引かれましたね、ええ…しょんぼり遊戯王もこの年になってから初めて見たしね。カードバトルってなんなんやろと思っていたけど、エジプトがベースになってるのが面白かった。津田健次郎の海馬がたのしかったわーそりゃー、ブルーアイズは海馬の嫁いわれるわーと笑いながらもほっこり出世作ですよね、たしか。子供向けというのはすごく丁寧に作られているなと感じるんですよ。子供たちって脳が柔軟だからね、すご吸収するし、驚くほど理解が早い。作画が乱れたりすることはあってもおそらく大事なカードバトルのところはシナリオちゃんと寝られてるんだろうなと感心した。あらためて、日本に生まれてよかったなぁ、なんて思うんですよ。このアニメであれ漫画であれ、独特のカルチャーがある。それがしかも当たり前のようにしてあるからね。けっこう前の作品のようですが、海外の…アメリカやらフランスやらが「日本風」アニメを制作したのに不人気だとプンスコしてたようですが、そりゃそーだろうとしか。「アバター」だったかな?伝説の少年アンだったか、紹介されてる動画見たけど、なんつーか、話とかアニメーションの出来はさておき、色味が地味なんですよね。日本のアニメっていろあいがすごく派手というか、カラフルで華がある。髪の色が何色だっていいんですよ。蒼だろうが緑だろうが。見栄えという点において、わたしは日本の方が好き。現実の人間に寄せる必要なんてないんですよ。寄せたいなら実写でやればいいでしょう?ぶっちゃけ日本のドラマはあまり好きでないんですが、海外のドラマは好きなんですよ。生身の人間を使っての演技ってのは海外の方がいい。でもその「生身の人間」の見た目の色彩をそのままアニメに使うのって…何の面白みがあるのっていう。実写に近いといえば「ブルーアイズサムライ」とか…どう見ても日本じゃないのに「日本」を舞台にしてるのがまずね…主役ヒロインの顔がまず日本ぽくなくて。アジアを侮蔑するときに目をほそくして釣り目にする、ってのが海外・・とくにヨーロッパの方はそうなんだけど、その侮蔑表現そのままのヒロインの顔なんですよね…そりゃダメでしょ根本にあるアジアへの侮蔑がそのままヒロインに現れていて、見ただけでうんざりします。内容はもちろんしりませんよ。話題にすらなってませんからね。日本のアニメはおもに日本で見るために作られているので、べつに海外でぜんぜんみられてなかろうが、どうでもいいと思うんですが、なんで海外勢は「アニメ」つくったのに日本は何で見ないんだとぷりぷりしちゃうのかしらね?アメリカ産のアニメを日本は嫌がるのかってことは、ないんよ。でずにーがそうでしょ?わたしはあまり好きではないのですがやはりメジャーだし。アメリカのアニメといえば、トムとジェリーなんて、わたしは大好きだったんですけどね…ここ最近、アニメや漫画について考えることが多いです。自分では「創作」しないけど、その「創作」部分に関して考察するのってとても楽しいし、脳内活性にも役立っている…気がする。いい年こいてと言われても、よいものは良いといいたいし、好きなものをどんどこ増やしていきたいと思う。もちろんいい年こいたせいで受け付けなくなってしまった内容のものとかは多いけれど、それでも存外刺さるものは見つかるものですよ。「漫画」の文化は、絶対絶やしたくない。読む側としてはただ「読む」だけしかできないけれど、その「読む」ことだって絶やしたくないな、と思う次第です。
2025.07.03
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蒼の封印(1)【電子書籍】[ 篠原千絵 ]価格:583円 (2025/7/2時点)これも古い作品になってしまうんですねーいまもこういう話ありそうなんですが、少女漫画ではなかなかなさそうかな?この作家さんの描くサスペンスものが好きだったんですよ。読み切り集あるはずなのでお勧めです。それはそれとして。こちらは伝奇アクション…サスペンス?恋愛ものですね。ヒロインが人間を喰う鬼、という設定は当時目新しく感じました。四神、青龍白虎朱雀に玄武いまだと知っている人も多いでしょうが、一昔前はとても新鮮なネタだったと思うんですよ。わたしもそれに惹かれて買いましたからね。ヒロインの蒼子はふつうの女子高生だと自分でも思っていたのに実は…という、まずは「記憶喪失」という状態から始まります。もちろん記憶を失っていることすら覚えていないので、このあたりはとてもサスペンスっぽいんですよ。元同級生に会いに行ったのに「知らない」と言われ、自分と他人との記憶が食い違っている。そんな蒼子を「鬼」として退治しようといる存在がいて、なんやかんやその「白虎」の当主・彬と行動を共にすることになる、と。このあたり、展開がけっこう早いのでありがたいです。いまだともだもだぐだぐだしそうな展開にもっていかれそうなところですからね。とにかく、飽きさせないように、ということもあってか、どんどん話が進みます。オカルトっぽさもちゃんとあるのがこの作品のいいところですね。そしてまさかの展開として、耐えたと思われていた「玄武」がいたり。羅睺(らごう) と 計都(けいと)という名が出てくるんですが、これはのちに「十二国」を読んだ時に、にっこりしたんですよねー。オカルト好き大喜びですね。楽しく読めたコミックではあるんですが、もちろんけっこうガバいところも多いですよ。展開が早いし、わりと強引なたたみかけだったので、しかたないところもありますね。そもそもなんで「白虎」がそんな力を持ったのかもよくわかんないんですよ。青龍はニンゲンを喰う「鬼」として存在するんだけど、その成り立ちもよくわからない。玄武にしろ朱雀(これはもう絶滅)にしろ役割があまり明確じゃない。とくに玄武は…ほぼ全滅してるとおもっていいの?一角獣の存在にしてもそうだけど、四神に照らし合わせた「鬼」の設定がちょっとガバいというか。少女漫画だからしかたないかなと思うけれどもね…白虎はもとは鬼だったのかそうではないのか。四神にてらしあせているけれど、もとは同じ「種族」だったのかもわからない。超能力はあるけれど、青龍の「鬼」、つまり蒼子の力が絶大なのは「女王」だからまあいいんですが…なんというか、なんで対立してるのかってのがよくわからないんですよ、青龍と白虎いやわかりますよ?青龍の蒼子は人間を喰う鬼ですから対峙するってのは。白虎はそのためにある、みたいに言われるけれども、でもその白虎がもってる力って名に由来なの?蒼子には角が生えてるんでビジュ的にも「鬼」だけどほかの玄武や朱雀にも角はあったの?ユニコーンが出てきたときに「角」っておそらく「力」の象徴かと思ったんですよ。能力の高いものには角がある、的に。これは桃太郎とかの「鬼」なんかと同じ由来で、「角」というのは民俗学やら神話学やらでも「力」の象徴として語られるんですよ。ユニコーンもそうですが、ミノタウロスもそう。強大な力であり、豊穣のしるしでもあり…と、このあたり語ると長くなるので割愛ですが、まあつまり、ヒロインの一本角にはそういう意味が込められてるのかと思ったんですよ。「女王」としてのシルシみたいなね。これは実際に作者さんもそういうていで描いていたのかもしれないし。ただ、では「白虎」は、となるんですよ。彬には角はない。ただ、力を奪うだけ。この力を会得したいきさつがさっぱりわからないので、納得感がないんですよ。少女漫画だからまあ蒼子と彬が結ばれるという「オチ」があって、そのための設定なのかなぁと。短くまとめられて終わっているので、描きたくても描けなかった、というのはあるかもしれませんね。とはいえも少女漫画にしては珍しい設定のひとつが「玄武」と「計都」の存在だと思いましたよ。そらまあ「計都」妹ってことにするよね…彬は知らないままだったかな、たしか。蒼龍、つまり「龍」は自然汚染を広げる人間に鉄槌をくだすために生まれた、というような感じなんですよ。そしておそらく「桃太郎」の「鬼」がわの物語という側面もあるでしょう。結局は「龍」が犠牲になって人間を守ることになるわけですが、蒼子はふつうの人間の女の子に「なり下がる」というハッピーエンドです。「白虎」も力を失わないとアンフェアだと思うんだけどな…とラストでほんのり思ってました。まあ蒼子は「初めて」ではないけど、体はのっとってるわけだから、肉体的には初めてか…とそんな下種なことまで考えてましたとも…とはいえ、飽きさせずに描き切ってあるので、一気読みには最適です。「鬼」とかのでてくるオカルトサスペンスで恋愛ってのが好きな人にはもってこいの漫画です。そういえば、いつか鬼無村に行きたいですねぇ遠いのですよねーいいなーわたしも4WDの車で行きたいわーこの作者さんの代表作といえば「天は赤い~」がありますが、それよりもお手軽なこちらの作品の方が、わたしは好きだったりします。
2025.07.02
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小川未明童話集 (ハルキ文庫) [ 小川未明 ]価格:528円(税込、送料無料) (2025/7/1時点)「日本児童文学の父」とも呼ばれているこの御大の作品、一度は読んでほしい「児童文学」です。なにしろとてもふるい・・・大正時代に児童文学をすでに発表していた方ですからね…そうはいっても、私がこの御大の本を買って読んだのは大人になってからです。上質な文学なんですが…とてもやさしい…本当にとても、切なくなるほどやさしいです。日本のアンデルセンなどともいわれるようですが、はるかに優しいです。描かれる世界が…とにかく優しい。といっても、有名な「赤いろうそくと人魚」は残酷なんですが、「人魚」の民俗学にのっとった素晴らしい話なのです。好きな話はいくつもありますが、どれもとても短く、読みやすいです。それもあって絵本になっているものもおおいでしょう。わたしがとくに好きなのは「小さい針の音」「野ばら」…「殿様の茶わん」…いやいや、あれもそれも、読めばどれも好きになるはずです。「月とあざらし」とかね…せつないったら。でも、優しいんですよ。根底に、とてもやさしく温かな人の心根を感じられて、その温かさに涙がこぼれるんですよ小さい針の音は、成人した男が主役となって話がすすみます。田舎のしがない教師だった青年、クラスのおさない生徒たち。青年が学校をやめるときに生徒たちから懐中時計を贈られるんですが、その後青年は立派に出世し、大きな会社の重役にまで上り詰めました。出世した青年は生徒たちにもらった懐中時計を今の自分の身分には合わないだろうと古道具屋へ売ってしまうのですが、ふとあるとき、部下の男がそれを持っていることに気づきます。そしてその古い懐中時計は、ちっとも時間が狂わない。大きくて不格好な時計だけれど。青年はそれをどうしてもと頼み込んで譲ってもらいます。間違いなく、あの生徒たちが自分に贈ってくれた懐中時計。そうして時計は、思い出をよみがえらせてくれる…たわいない話なんですが、情景が浮かぶんですよ、子供たちの笑顔がそこに。それがとても愛おしい。「野ばら」も、存外せつない話ではあるんですが、ほんのわずかな出会いとその情景で、様々なことが想像される。残酷な現実ではあるけれど、根底に人の優しさがあるから、心がほんのりと温かくなる。人間はみにくいものだと吐き捨ててしまうのは簡単ですが、こうして人のやさしさに気づくことの大切さは忘れてはならないことだと思うし、それは時経ても変わらないものなんだなと、思い至ることも大切です。他愛無いことこそが、とても大切でもある。また、人間が主人公ではないことも多々あり、そこが「童話」としての面白さです。日本らしさがあるといっていいのではないかしら。「負傷した線路と月」がまさにそれで、「主役」となるのは線路のレールです。傷ついたレールと機関車…傷ついて気の毒にと思う月。誰が悪いのかと月が目線をやった先には…童話だからということもありますが、誰かや何かを「悪」として明確に攻め立てないのがよいのですよ。ただし「天罰」はくだることもありまして、それが赤い蝋燭の話です。が、これは「人魚」にまつわる伝承に照らし合わせているのでしょう。わたし自身、人魚の伝承について、民俗学的なことをメインにいろいろ調べていたので、この話は「納得」なんです。伝統にのっとったといってもいいかもしれませんね。西洋の「人魚姫」と基本はかわりません。童話というのは、ものすごく神話伝承に使いものなので、民俗学や神話学を学んでいると避けては通れない道です。ですので、そうした観点からも楽しめるのが「小川未明」の作品です。でもそんなことを考えずとも、とにかく心がほんのりと温かくなるお話です。文章の美しさもあってのことでしょう。情景が目の前に浮かぶような、そんな文章です。宮沢賢治のような明暗のはっきりした美しい情景文章とはまた違った色合いといいますか。日本の児童文学っていいな…と純粋に思わせてくれるお話です。
2025.07.01
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