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身代わりの花嫁は、不器用な辺境伯に溺愛される 1 (フロース コミック) [ 一ノ瀬 かおる ]価格:715円(税込、送料無料) (2025/4/30時点)いかにも溺愛シンデレラストーリーといったタイトルのこちら、西洋風恋愛もの、という人気ジャンルの一つですね。日本版ハーレクインみたいな?意地悪な姉に虐げられ、父母にも愛されずに育ったヒロインが、姉の身代わりとして嫁いだ先で思いがけず真実の愛を得られる、といったまさに王道なシンデレラストーリーです。絵も丁寧ですし、しっかりとした設定が土台にあるので読んでいてストレスのないコミックでした。こまかなイラストでの伏線があるのもよいですね。あとで、ああなるほどと思います。本作のヒロイン・クラリスは地味目な容姿から姉に蔑まれつづけていました。社交界にもほとんどゆかず、しかしそんな中でもメイドらとは仲良くしているので、そこまで窮屈な生活を強いられているわけではない、というのがまず安心点といえます。「身代わり」として嫁ぐ際にちゃんとメイドを一人伴うのですが、そのメイドにもなにかしらの曰くがありそうな点をにおわせています。メイドの名は「メアリー」というのもくせものなんじゃないかな、と勝手に考えておりました。というのもメイドとしてポピュラーな名前でもあるからです。メアリーとかメアリ・アンとか…その「メアリー」の何らかの事情に関しては今後明かされていくようで、こちらも楽しみです。クラリスと相手役の辺境伯ジーンと、あっという間に相思相愛になったので今後どういう展開があるのかな、と思っていましたが、脇のキャラの話とリンクさせながら二人の今後を描いていくんだろうな、というのがわかり、その点も安心材料です。かなり早い段階で、クラリスの実家のあらゆる事情が語られるのですが、これに関しても全員が頭の悪いなんも考えてないキャラではなく、「ありそうな」事情なのがよかったです。クラリスの父も、いまでいう「毒親」ってやつなんですが、救いようのない下種とはいえ、なんというか、まあ、この人も気の毒ではあるよねっていう。子爵家の男としての価値観はまあこんなものだろうと。いやとても気の毒には思えない下種ではあるんですが。そしてクラリスの母に関しても、この人がもっとクラリスたちをかばってあげていたら、とはやはりさすがに思えませんでした。やはり気の毒ではあります。政略結婚で無理やり結婚させられた男から暴力を振るわれ続けていたら、心も折れてしまうでしょう。子供を救うどころではなかったのも情状酌量できるというか。さらにクラリスを虐げていた姉のマチルダも、気の毒といえば気の毒です。こうなってしまうのも已む無し、といったところですが。はたして「あの後」どうなってしまったんだろう?あの程度では死に至らしめることはできないと思うのですが、社会的にはどのみち死んでしまいますよね。クラリスはいかに実家をでたからとはいえ、あの家の娘なわけですから、「事件」として発覚されたら、知らんふりはできないと思うんですよ。醜聞になりかねない。このあたりのことも、今後お話として出てきたらいいなと思います。絵に関しても設定に関しても申し分ないのですが、ひとつ、ヒロインの前髪だけはちょっと気になるなっていう。いやこれはまあべつにほんのちょっとかわいくないなってくらいで。ドレス着用時に髪もセットしてて、それはとても素敵でしたしね。設定に関しても、「辺境伯」がいかに重要なポストなのかもわかるのもいいですね。クラリスがとても親切な令嬢として描かれているのですが、それは小さな一コマでさらっと描かれているのもよいですね。メイドらがソファーに座ってるシーンがあるんですが、それをクラリスがちゃんと座るよう声をかけ、遠慮しつつも…というシーンが小さなコマに描かれています。こういった、細かい点に考慮されている漫画ってのはいいなぁ、と。今お流行の「姉、ないしは妹」に虐げられていたものの、イケメンに愛されて幸せです、といった内容はあふれかえるほどあるんですが、その中でもこちらの作品は好きな部類に入ります。ヒロインがいじけすぎてないところがいいのでしょうね。とはいえ、長い間虐げられていたトラウマ的なものも抱えていて、それを克服していく姿にも共感できます。姉のマチルダがコンプレックスの具現化のようにして現れるので、そこが苦手な方もいるかもしれませんが、いかにマチルダの嫌がらせがクラリスの心に根付いて拭えきれない劣等感になっていたか、ということの表れでもあります。虐げられてきたから令嬢としてのスキルは低い。それもコンプレックスになっているのですが、周りから存在を認められることによって少しずつ自信を取り戻していく、というのは少女漫画の王道でもあるでしょう。キャラの周りの事情をそれとなく描いてくれているおかげで、クラリスやメアリーの心情もとてもすんなり受け入れられます。ときにはこういう、べったべたな溺愛ものを読むのもいいなぁと思って買い始めたコミックでしたが、やはり設定がしっかりしてたりキャラに好感が持てないと、読み進むのはストレスなだけになってしまう。しかし本作にはそうした、みょうにひっかかる部分というのもないし、イラストも全体的に綺麗で読みやすいので、溺愛ものを読みたいなってときには、おすすめしたい作品です。
2025.04.30
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緑の草原に…… 田中芳樹初期短篇集成1 (創元SF文庫) [ 田中芳樹 ]価格:1,012円(税込、送料無料) (2025/4/29時点)漫画でも同様なのですが、短編集は作家さんの癖というか好みというか、筆致のうまさも含めてけっこう如実に表れていることがあって、やはりとても好きなんです。田中氏の作品もそうで、なんのかんの銀英伝以後の作品も併せて同じ色を感じます。SF畑で育った感はありまして、初期作品は宇宙を舞台にした作品が多いですね。この頃はたぶんですが…スターウォーズとかもあったし、いまよりずっとスペースオペラ的なものが流行っていたんでしょう。かくいうわたしも、宇宙もので見ていたドラマがありました。真夜中にやっていた、「スタートレック・ネクストジェネレーション」です。ピカード館長の話です。これの前がいわゆるオリジン…「スタートレック」でカーク船長のやつですよね。スポックとか…さすがに詳しくなくて申し訳ないですが。さすがにリアタイはできる年代ではなかったのですが、その後レンタルなどでちょこちょこ見るようになりました。ネクストジェネレーションとのからみでカーク船長がでてくる映画もあったと思います。スターウォーズはあまり見てなかったかな。テレビでやってたのをちらっと見たくらい?なんとなく見る機会を逃した、という程度の「見てなかった」です。ネクストジェネレーションが好きだったのは、そこに人間ドラマがあったからで、いわゆる戦争ものではなかったんですよ。もちろん戦自体はありましたが。そんなこんなで、時代的にSFが流行っていたんでしょう。そんな中で銀英伝が生まれてきたともいえますが、下地にこうした短編がいくつかあったことは、知っておいていいように思います。上記の写真のとおり、わたしが持っているのはとにかく古い…いやーもう書店を駆けずり回って探したものですよ。大手の古本屋もですが、当時は個人経営の古本屋がそこかしこにあって、それらを見回るのが楽しく、またそこでとっておきの本に出会えることができました。古本ならではの出会い、というものはあるものです。ともあれ、この本とリンクにはった本では収録内容が若干ちがってきますが、おすすめの作品はいくつかあって、たとえば「白い顔」や「緑の草原に…」は読みやすいのもあるし、最後にちょっとしたどんでん返し的なオチがあります。「実はこうだった」というどんでん返しのオチは田中氏だけではなく多くの作家が使う創作の手法でしょう。これらも別段ものっすごい優れているとかそういうほどでもないのですが、自然と受け入れられるというか、奇異なものではありません。納得いかんってことがまずないといっていいでしょう。べたな展開ではあるんですが、ちゃんとうまく調理できているのはさすがといったところです。そして新しい作品になってかわらないどころか、ちょっと臭みを増してしまったかな、といえる部分があって、社会的な風刺感…批判的というのか、基本的に世界がおろかに描かれています。まあ、たしかにそうではあるんですが。皮肉屋、批判屋な人物がとても多いんですよね。それが悪いわけではないのですが、読後の爽快感がちょっと少ないかな、という印象です。シニカルというのかしらね?ただ、それが銀英伝などではうまく作用していますし、そういう社会や世間を斜めから、さらに俯瞰してみられる利点にも繋がってきます。それから短編ゆえにキャラがそんなに多くはなく、女性キャラも少ない。これがかなり読みやすさにつながってきます。もうね、いっそ女いない方が読みやすいです。「緑の草原」もそうです。ほかに「品種改良」「賞金稼ぎ」という話も好きで、掌編ということもあってキャラがかなり絞られているせいで女なぞ出てる暇はありません。だからものすごくひっかかりなく読めます。SFとしても面白いです。もちろん女が出てきても引っかかりなく読めるものもありますよ!「戦場の夜想曲(ノクターン)」や「長い夜の見張り」なんかがそれですね。どちらも宇宙を舞台にした話です。現代を舞台にした話もあるのですが、そちらはハードボイルドよりというんでしょうか。それなりにジャンル幅が広いのは「さすが」としかいいようがないですね。短編というのはとにかく気軽にさくっと読めるので、ぜひにとおすすめしたいのですが、いまでは本を手に入れるのがむずかしいのかな?電子ならありそうですが。機会があれば…とくに田中氏のファンであれば、読んでみてほしいです。
2025.04.29
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残穢 (新潮文庫) [ 小野 不由美 ]価格:781円(税込、送料無料) (2025/4/27時点)ホラーの名手が書いたドキュメンタリーの傑作です。これはもうほんと面白くて繰り返し読んでいます。ちなみに「鬼談百景」という怪談の百物語にちなんだ小話集というのが別に出ておりまして、それと合わせて読むのをおすすめします。といっても、別段読んでなくてもまったくもんだいはありませんが。本作はドキュメンタリーであり、エッセイ風に書かれている「小説」です。映画にもなったので、わりにメジャーな作品かもしれませんが、どうでしょうかね。映画の評判はわかりませんが、こちらの本はやはりというべき面白さでした。この作者さんらしい筆致、かき方の癖もるのですがそれが読んでいて心地よいと感じるのは十二国記のせいかもしれませんね。少女小説で見かけていた十二国もそうですが、「悪霊がいっぱい!」でご存じの方もいるのではないでしょうか?こちらはゴーストハンターと名を改めてコミカライズもされ、もちろんアニメにもなりました。十二国記にしても、けっこうなホラー具合ですもんね。さすがにうまいなぁという、残穢ですよ。作中にも、名は出てきませんが、少女小説でのいきさつが書かれているから、よりリアルに感じます。ドキュメンタリーですので創作小説とは違うのですが、これはもう「物語」として読んでよいように思います。ちなみにですが、映画版の方はがっつり創作物となってますね、ラストが。映画版のラストは、まぁもう仕方ないかなと思います、エンタメですから。そーはならんやろって笑ってしまうラストでしたが、あのラストもわからんでもない雰囲気が本作にはあります。創作にするならそうするだろうな、という。ささいな怪異から始まり、それがとんでもなく広がりを見せていく、そんな風につながっていくのか、という連鎖を楽しむのが「残穢」です。ホラーの描写ももちろんうまいのですが、歴史をたどっていく過程がとにかく面白い。日本独特といっていい怪異のありかたに、ひざを打ってしまうんですよね。怪異がきっかけで亡くなってしまう人も出てくるので笑い話にはならないし、とくになんの異変もなく過ごせてしまうこともある。日本の「怖い話」の大半がそれで、とにかく地味。地味だけど、なにかこう…続いている、という。日本の幽霊話って海外のものと比べるとすごく地味です。ホラー系のYouTube番組も見ているわたしとしては、それをしみじみと感じます。そしてそれがいいんですよね。たとえば超有名になってもはや「トイレの花子さん」くらいのキャラクターになってしまった「貞子」もそうですが、もとはとても地味なんですよ。地味だから怖い。今はもう貞子はネタキャラに成り下がってしまったので怖さなんてものはありませんが、貞子の怖さって翻って「自分自身」なんだなと思ってるんですよ、わたしとしてはですが。不幸の手紙の擬人化したものが貞子、というか。まあそれはそれとして。本作ではそういう明確な、キャラ的な幽霊は出てきません。原因は探られますが、ひとつの原因だけではないし、媒介する誰か…人も、べつに悪人でも何でもない。作中ではウィルスにたとえられていたけど、そういった一面はたしかにある。罹患しても発病するかどうかはその人の免疫次第、というのも。まあそんな具合に、地味に、ねちねちと怪異はそこかしこであって、「作者」と協力者である元読者が怪異の元ネタを探っていく…土地の歴史を探る、ということになるわけで、とにかく地味。時代時代に、こういう過程があった。というのが淡々と語られて、その中で細く繋がるものがある。その繋がりが明確に見え始めた時の快感は、得も言われぬものです。なるほどね!となるのは、映画より小説のほうが大きいといえます。文字と文章の力をまざまざと感じられる。これはもうさすがとしか言いようがないですね。ドキュメントホラーと銘打ってますが、幽霊がばばーんっと出てくる怖さはありません。ただ、地味に変なことが起こってるな?くらいな。気のせいと流せることもあれば、これはちょっと…なんだろ?ってのもあります。わたしは幽霊話は大好きですし、幽霊はいるものと思っています。公言はしてませんが。といって、自分が幽霊を見るだの霊感があるだのはないんで、不思議ではあるんですよね、我ながら。信じてはいるけれど、幽霊話のすべてをうのみにはしないし、まずは疑ってかかる。幽霊の仕業だ!と決めつけてしまうことのほうが怖い、という感覚はある。かといって、否定し続けることもそうはない。その塩梅が「残穢」はちょうどいい。そうそう、この距離感なんですよっていう。そして歴史をたどりたくなるのも、わかる。土地の歴史というか記憶は知りたくなるよねぇっていう。そういう、いわば好奇心を満たしてくれるのも本作のよいところといえるでしょう。怖い、というより面白いのほうが強い読後感です。しかしホラー苦手な方からしたら「怖い」が強く残ってしまうかもしれない…かな?映画のようなドラマチックなラストがあるわけではなく、そこがリアル。だからこそお勧めしたい本作ですよ!日本の幽霊話って本当に面白いです。
2025.04.28
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奇妙なお花屋さん新装版 (エメラルドコミックス ロマンスコミックス) [ 曜名 ]価格:680円(税込、送料無料) (2025/4/27時点)残念ながら本作のこちら、いまでは入手が難しくなっているご様子。好きな漫画家さんだったのですが、たしかもう引退されているようです。ということでタイトルからして奇妙な本作品はいちおう恋愛もののコミックです。すごく好きな作品だったので旧版のコミックスも持っています。少女漫画のような仕上がりなのですが、この漫画家さんはハーレクイン的な場で活動されていました。実際ハーレクイ原作付きコミックもいくつかありました。こちらはオリジナルのお話ですが、舞台は日本ではなく海外のどこかです。アメリカ…かな?具体的には描かれていません。しかし基本的に日本的な舞台のつくりかなぁ?と思ったのは、たとえば身長などセンチ表記なんですよね。インチとかつかわない。わかりやすさ重視かな。さて、主人公ですが。主人公はエルマ、社会人(プログラマー)の女性、お相手になるのは町のお花屋さんで博士号ももってるグレン。そのふたりのちょっぴり不思議な恋の物語、といったところでしょうか?お花屋さんとタイトルにあるように、お花が物語の鍵となるのですが、そのお花がかなり「ふしぎ」。その不思議に巻き込まれたり助けられたりするって感じかな。重要キャラとして、なんとお花の「パックン」がいます。もとはハエトリソウ(食虫植物)なんですが、グレンが育てると不思議なお花ができてしまうのです。そのふしぎ植物の代表として、もはや植物っていうか小動物みたいなポジションになってるのが「パックン」です。見た目も可愛い「パックン」で、すっかりマスコットキャラに。わたしもついハエトリソウを見かけると「パックン…」とつぶやいてしまうほどに、キャラが立ってます。といっても、一応これ恋愛ものなんですよ。あまりベッタベタな雰囲気はなくてコメディ要素がつよいといえば強いのだけど。恋のライバルとかも出てきませんので、ひたすらおっとりほのぼのとしたお話です。はじめは一話完結だったんでしょうが、その後いくつか続きのお話が描かれて、一冊まるごと描きおろし、というコミックもあったりします。基本的にはお花が物語に絡んできます。ひまわりやユリやバラ、水連など。たぶん私の好みにささったのはそのへんでしょう。絵柄も可愛くて、綺麗でもあるんですが、ノリが独特で面白い、というのも特徴として挙げられるかな。一話完結形式でもあり、キャラもそう多くは登場しませんから、気軽に読める作品といえます。漫画家さんが引退されたからなのか、入手しにくい作品となってしまったのが残念です。
2025.04.27
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千夜恋歌 (1)【電子書籍】[ 原ちえこ ]価格:660円 (2025/4/26時点)古き良き少女漫画のご紹介をば。子供の頃好きだった少女漫画家さんです。ものっすごい大ヒット作がある、という方ではないのですが、細く長く、漫画を描き続けていらっしゃる印象があります。ハーレクインのコミカライズもされていて、わたしも好きで何冊か読んでいました。本作はそれほど大昔…ではないのだけどやはり古いコミックです。こちらはちょっと変わった連載形式になっていて、コミックに収録されているのは基本読み切りの短編です。現代日本が舞台のものもあれば。西洋もあり、古代日本もある。そしてちょっぴり不思議系の話もある。いろんなお話が堪能できるのが、このコミックの良いところでもあります。といっても、一応主軸となっている主人公カップルはいます。高校生の静と、ベンケーというあだ名の大学生カップルがメインとなって、ふたりの話が短編で続いている、といった感じです。作者さんの好みなのでしょう、万葉の歌がところどころに引用されているのが印象的で、それもわたしの好きな歌が多いのがうれしい。万葉の歌、おもに恋の歌をとりあげていることもあって、このコミックの表題が「千夜恋歌」となったのでしょう。このタイトルの短編もあるにはありますが。この作者さんは西洋風舞台の話がやはりいいなぁ、と思っています。ふんわりとした長い髪の描き方が雰囲気づくりにひとやくかっているというか。内容に関しては恋愛ものの短編ですので、これといって大きな事件やややこしい関係とかは出てきません。ただ、メインの主人公二人がけっこう旅をしているので、読んでて、行きたくなってしまうんですよね。というのも、二人の旅は観光ではなく、主人公の一人「ベンケー」が考古学をやっているので、歴史に沿った旅になるんですよ。といっても、一話読み切りの短編ですしメインの話は「恋」ですから、そこに焦点はあたっていません。ちょっと触れるくらいかな。そして実際の歴史とはちがう「ロマン」として描かれることもあるので、歴史的なことにツッコミを入れるのは野暮ってもんです。ちょっぴりフシギな出来事もおこりますしね。また、メインの二人とは違う話では蘇我入鹿あたりの時代もいくつかあります。これらも史実通りに描いているわけではないし、あくまでロマンチックな少女漫画のひとつとして楽しんでほしいし、じっさいそのような内容です。そえてある万葉の歌がいいんですよね。最近の漫画は短編ってあまりない気がするんですよ、短編集的なコミックってほとんど出てない気がして。漫画雑誌を買っていないのでなんともいえませんが。かつては、長期連載物のコミックが出る前に、一冊短編集みたいなコミックが出てたんですが、いまはどうなんでしょう?連載物のコミックの後半にちょっとページあまったから載せておくか、くらいなんでしょうか?コミック一冊分で終わる連載ってのがそもそも今はなさそうですね?コミック一冊か二冊でおわる連載物が好きだったので、なんだかとても、残念な気がします。短編というのは存外描くのが難しいと思うんですよね。それを何本も描くとなるととくに。わたしは一話完結型での長期連載がものはわりと好きなんですが、たぶんそれは「短編」が好きだからなんでしょうね。その点で本作はとてもわたしの好みに合っているんですよ。バラエティに富んでいるのでお得感もあったりするし。古臭い少女漫画といえなくもないですが、やはり「古き良き」と言いたいです。この方の作品では風のソナタだったかな?ピアノが好きなヒロインの話があったと思うんですが、けっこうなメロドラマ風で驚いたことがあるんですよ。少女向けのメロドラマというのかしらね。だからこの方がハーレクインをコミカライズされても違和感がまったくなかったっていう。そんなわけで、昭和から平成にかけてのちょっと懐かしい少女漫画を読みたいときに、本作はお勧めしたいです。
2025.04.26
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片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ 1 (ヤングチャンピオン・コミックス) [ 佐賀崎しげる 鍋島テツヒロ ]価格:792円(税込、送料無料) (2025/4/25時点)サブタイトルは省略しまして。アニメにもなりましたね。去年だったかにお勧めされてとりあえず1巻のみ読んでみた…ということで、じつのところそれほど語れる感想はないのですが。これもいわゆる「なろう系」作品には違いない。この点を踏まえて読むべきでした。原作はよんでいないのですが、これは漫画家さんの功績がかなり大きく、ゆえにヒットした作品のように感じました。田舎で父の跡を継いでまっとう、かつ堅固に剣の先生を勤めていたベリルが、弟子に担ぎ上げられてさまざまな事件に巻き込まれていく…といった感じの説明でいいのかしら。とにかく漫画家さんの絵や構成力がうまいので、1巻読むのがまったく苦ではありませんでした。「おっさん」もちゃんと「おっさん」らしい、くたびれた感じと都会に不慣れな様子が好ましい。剣が好きなんだな、というのも伝わってきて、この点もとても好ましかったです。ベリルが自分を若干卑下ともとれるほどに謙虚でいるのは「田舎住み」だからだろうことは、勝手ながら納得していました。本来は違うかもしれませんが。田舎という狭い世界で過ごしてそこでそれなりの地位…ここでは剣術の師範代としてやっていけているので、自分の実力を「こんなものだ」と思えてしまうのはなんだかわかるんですよ。なぜならもう「おっさん」だからです。若くはない、という意識がすんなりと「こんなものだ」と繋がってしまう。だから田舎で剣を教えているのが自分の実力に釣り合っていると考える。弟子の誘いで軍の剣術指南をまかされ、模擬戦をおこなったところで、「俺SUGEEE」にはなりにくいんですよ。もう「おっさん」だから。そしてさらに剣が好きでその道を行くものとして「まだまだ」という気持ちもどうしたってある。だから強い相手と戦って勝っても、「まだまだ」の気持ちの方が強くなってしまう。こんな剣技があるのだと、相手に感心したりもするし、自分が「おっさん」つまり経験を積んでいて、だからこそ分があった、とも思える。けれど、それで「俺って実はすごいんでは」とは思えない。心がもう頑ななんですよ、おっさんですから、このあたりの心情は読んでいてわたしが「わかるなぁ」というか、想像したものです。そういう共感が得やすい主人公ゆえに、読んでいてストレスを感じませんでした。これはとにかく、漫画家さんの功績だと思います。剣戟のシーンがとくに上手いなと感じたんですが、たぶん、ごちゃごちゃしすぎてないからでしょう。動きのあるシーンがある一方でちゃんと静のシーンがある。余白がうまいというのかな。重心がちゃんと腰にあるのもよいなぁと。ずっしりとしたベリルの姿勢が剣を振るう人の立ち方っぽくて、いいなぁと。ごちゃごちゃと無駄な書き込みをせず、わりとシンプルといっていい絵にしてくれてるのもうまいですよね。魔法の描写も迫力ありましたしね。魔法に対してはちょっと劣勢になってしまうベリルもよかった。まあ、そんなわけで、主人公ベリルに関して印象はよいのですが。結局のところこれも「なろう系」なわけですから、弟子がやたらと女性ばかりで、その先を読む気になれませんでした。残念です。恋愛的な意味でなくとも、女性キャラ同士がベリルを奪い合ってるみたいなシーンというか牽制しあってるみたいで、そのあたりはまあ…男性向けなのでしょうがないかなと。たとえばよくある「なろう系」なんですが、男性主人公の師匠がだいたい女や少女ばっかりでしかもそのあとの弟子やら仲間やらがほぼ女子で、つまりハーレム展開…な流れいやこの作品はべつにハーレムではないと思うんですが、世話になった剣の師匠に対する態度かしらね、それっていう疑問がね…どうしても。適切な距離を保ってくださいよ女性陣…って思っちゃうのでどうしても。布の面積もうっすいしねw別にがっちがちの甲冑着用しろとまではおもわないけども。冒険者の彼女とかね…それかえって動きにくいやつやで…とか思っちゃうんですわ。ちゃんとホールドしておかないと、邪魔だしね。スポブラみたいならわかるんですが。まあこれは女目線ではありますが。ハーレムものとしての話なら、もうそういうものだしね、と思えるのですが、これはベリルがふつうにかっこいいおっさんとして描かれているから、女同士だけ別の世界観にいるようでもったいないな、と感じた程度、つまり、不快感とかがあるわけではありません。女性キャラのキャラデザ自体はわりと好きな方かな。尊敬しているベリル先生には強い人のままであってほしい、そして先生こそが一番だ、という女性陣の「思い込み」自体も、なんだかちょっとわかる気もするので…たぶんこれは漫画家さんの描き方のうまさかなと思ってます。本作は「なろう系」であるには間違いなく、その点をはじめから容れておいて、そのうえで読むのがお勧めかなとは思います。アニメの方は見ていないので何とも言えませんが、コミカライズされたこちらは、一度読んでみてもいいのではといえます。とくにいまは1巻お試し読みできるところもありますしね。読んでみて損はないと言える作品です。
2025.04.25
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古事記改版 (岩波文庫) [ 倉野 憲司 ]価格:1,210円(税込、送料無料) (2025/4/24時点)あえて「小説」として紹介します。日本の神話といったらこれ、というのが「古事記」と「日本書紀」です。現代語訳されたものではなく、こちらの岩波文庫のものをおすすめしたいですね。漢文はちんぷんかんぷんなわたしですが、読みやすいようフリガナも振ってありますし、漢文は後の方に載っているだけです。そして注釈も細かく乗っているので、現代語訳された文章より読みやすいと思います。章わけしてあるというか、キリのいいところで章題もつけられているので、それだけでも大まかな流れはわかると思います。あまつちはじめてひらけしとき~から始まる「古事記」はかなりざっくりめに話が進んでいきます。古事記は推古までですが、その推古とそのまえの崇峻などはこの本ではなんと三行しかありませんよ。たぶん一文しかないでしょうね、行分けしてるから三行いっただけっていう。日本の神話としてわかりやすいのは「古事記」の方だと思います。「日本書紀」は一応天皇記述が長いので、天皇伝記みたいなところはあるかもしれません。日本書紀は「あるふみにいわく」と異伝のようなものがつらつら書かれています。天地創造にしたって「一書」がなんこか続きますからね。この差を「古事記」と比べてみるのもまた一興かと。ともあれ、古事記は神話としてとても面白いです。小説だってこうはいかんでしょっていう怒涛の展開があって、「そんなことある?」ってつっこまずにはいられませんよ。スサノヲにしても、性格の差異がかなりでてきますからね。これに関してはおそらく同一の人物ではなかったろうと思われるんですけど。いや「人物」ってことはないかもですが。象徴ですものね、スサノヲにしても。「風土記」と読み合わせた方がいいのかもしれませんが、なかなかそこまで手と金が届かず。頭もですが。古事記はやはり前半の、いかにも「神話」といったところが面白いです。神武東征あたりからはちょっと小難しくなってくるしね。実際日本の神話ってどんなもん?どんな話が知らんっていう方は多いかと思いますが、それでも神社は身近に感じているのはとても面白い。せっかくなんだし、日本神話の神様たちの破天荒さを知ってほしいなと思うんですよ。わたしは子供の頃からギリシャ神話が好きで、次いで北欧神話が好きでした。けれど日本神話を好きになったのは大人になってからなんです。身近なようでいて、よくわからない日本の神様たち。地元に根付いている、あまりメジャーじゃない神様もいるでしょう。それを知るにはいいきっかけになると思うんですよね、「古事記」「古事記」は短いですから、あっさり読み進められます。一方の「日本書紀」はかなりめんどくさいです。「一書に曰く」が多すぎ案件。いやこの「一書」が面白くもあるんですが。あとは天皇記述ですけど、これだってよーわからん出来事の羅列だったりするので、こちらに関しては現代語訳のがいいかなと思わなくもない…歴史書としてあつかわれ、さも事実のように取り扱われていますが、もちろん架空の天皇も多いです。どこからか実在の人物かという問題もあるようです。ただ、キーパーソン的な天皇はいて、読んでいるとなんとなーーーーーくですが、それらがなんとなくわかってきます。謎が解ける的な「わかる」ではなく、不思議な違和感があるような感じです。違和感、というのもよくわからないのですが。「日本書紀」はとにかく長いので、全5巻です。怪しげな天皇持統までは載っています。持統は女帝ですね、かなり重要な天皇で、天武の皇后だった人でもあるし、百人一首でその名を知ってる人もいるでしょう。ちなみに「日本書紀」5巻は半分が解説で占められているので、本の厚みもすごいです。が、この解説なしでは語れません。日本は、独特の創作文化があるのを、古事記や日本書紀は教えてくれます。もちろん事実もふくまれているのでしょうが、まずは「物語」、つまり御伽草子みたいな感覚で読んでみるといいでしょう。かぐや姫にしてもうつほにしても、その後の源氏物語にしても、基本にこういった物語が根付いていたというのは大きいですよね。もちろん大陸から流れてきた物語もあったでしょうし、驚くべきことにギリシャ神話とのかなりの類似があり、そこにも驚かされるでしょう。いわば、知的好奇心が刺激されるのが「神話」なんですよね。ギリシャ神話が好きなら、日本神話はかなり親和性が高いので、すんなり受け入れられ、楽しめるはずです。学術的な面でも重要な古事記、日本書紀でしょうが、その前に物語として面白いので、読んでおくといいんじゃないかな、と個人的に思っております。いまはコミカライズなどで読みやすくなってるものもあるでしょうし、そちらから読んで、そのあとで原文に近い岩波文庫版を読んでみるのもいいと思いますよ!日本人として、知っておきたい「物語」です。
2025.04.24
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うつほ草紙(1)【電子書籍】[ 諏訪緑 ]価格:550円 (2025/4/23時点)こちらはタイトルからお察しいただけるかな、元ネタがありまして「うつほ物語」がそれです。が、かなりのアレンジがされているし、主人公らの名前も漢字が変わっていたりしますので、オリジナルとして元ネタしらずとも楽しめます。オリエンタルファンタジーというんでしょうかね。天才的な楽の才能の持ち主の清原俊華牙と、その乳兄弟であり琴の職人でもある春音が遠くペルシャ(波斯)へと流され、そこで願いをかなえるという「アラムートの霊木」の存在を知り……と、霊的な存在も登場してくるというファンタジーでもあります。このあたりは元ネタを大きくアレンジしています。そしてあらかじめ断っておかねばなりませんが、こちら別段BL的な内容ではありません。トシカゲとハルネとの間にたしかに深い絆と愛情はありますが、それは「友愛」といっていいものでしょう。この「友愛」がこの物語のキーポイントになってきます。主人公はあくまでトシカゲのまま、物語はその孫へと引き継がれていきます。楽(音楽)を通じて人の心や世界を癒す、といった主軸がありますが、その描き方が秀逸です。この絆というか、人の手と手をつなぐような思いのつながりは、その後のコミックにも影響していきます。こうした人と人との温かな思いやりを描くのがとても上手な方なんです。この主人公「トシカゲ」は、御曹司ということもあり高飛車だったりわがままだったりする面もありますが、それ以上に心、精神が非常に潔癖で、高潔です。それゆえに社会の歪みなどに潔癖に反応して、それにたいして声をあげてしまう。でもそれが通用するほど「社会」は美しいものじゃないし、トシカゲのそれは潔癖すぎるがゆえに周りを悲しませることにもなる。そうしたことにトシカゲ自身も気づいていながらどうしようもない…そしてそんなトシカゲの癒しの存在として、ハルネがいる。この二人の絆の純粋さは、潔癖なものではない。とても温かで、だれもが持ち得る思いなのだ、と。メインキャラとしてもうひとり、セライ・ナジャという青年が登場しますが、この方は最後までトシカゲにつきあってくれる人です。ナジャ自身も、物語の主人公になれそうな過去を持ち、しかしトシカゲよりはるかに精神年齢が高く、俗物的な面もあり、ひじょうにバランスがとれている青年。それゆえにトシカゲの面倒をみなくちゃならなくなるわけだけど。1巻終わりで、「さかしまの樹木」が登場しますが、これはなんというか、ユイスマンスの「さかしま」を思い出してしまいますね…もちろんユイスマンスのそれを意図しているかどうかはわかりませんが。このさかしまの樹木はひじょうに象徴的な現れ方をして、とても好きな場面です。魔法と剣のファンタジーではなく、オリエンタルな楽のファンタジーでしょうか。お琴(筝)や琵琶で不思議を起こすというのは、ふしぎとすんなり心に入ってくるのですよ。それらの説明にも納得しやすい。「うつほものがたり」といえば、「源氏物語」にもその名がちらっと出てくるほどには古い物語です。逆境にあいながらみごと大成していく、といういわゆる成り上がりストーリーではあるんですが、それが平安の頃にはすでに書かれていたという衝撃ですよね。そうした古い物語を知るきっかけとしても、本作品は優れていると思います。うつほものがたりの良アレンジ作品として、ぜひ一読を!とおすすめしたい作品です。
2025.04.23
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荒野の天使ども(第1巻) (白泉社文庫) [ ひかわきょうこ ]価格:607円(税込、送料無料) (2025/4/21時点)こちらの作品の作者さん、有名なのは「彼方から」なのですが、わたしは「荒野の天使ども」を推したいですね。たぶん、一番好きなんだと思う。こちらの作者さんの話はほぼすべて読んでいて、古いコミックは手放せずに本棚に並んでいます。「彼方から」までは揃ってます。が、とくに推したいのはやはりこちらの作品です。少女漫画ではあるのですが、異色といっていいでしょう。物語の設定舞台がいわゆる「西部劇」なんですよ。少女漫画の世界設定としてファンタジーものは多いし、その中で異世界風西洋だったり中華だったり、もちろん米国もありますが、時代設定が西部劇の頃ってあまりなかったと思うんですよね。映画では多かったですが。「西部劇」という言葉があるくらいですから。その西部劇をうまく活用していらっしゃる内容です。よく勉強もされたんだろうなと。アクションも多いので大変だったと思われますよ…少女漫画ですよこれ主人公は幼い少女のミリアムです。まだたった8つの少女。そして荒野の七人組…ではなく、悪ガキ三人がミリアムの前に現れます。こまっしゃくれて小生意気なミリアムと、親なしで世間からはずれてしまった悪ガキ三人が、ひとつの大きな事件にかかわっていく、という物語です。大枠の事件も、かっこいいといえる内容なんですが(犯人がね)、その中で幼い主人公たちがどう成長していくか、という点にも焦点があてられていて、この作者さんのうまさが出ています。少女漫画らしくもあるといえばありますが、この作者さんは「心」の成長を描くのがうまいなぁと思うんですよ。成長というか、「変化」かな。この頃の話が長編の「彼方から」へ続いていくんでしょうが。荒野の天使どもは、主要キャラはミリアムと、ミリアムの養い親ともいえる若い女性のグレース。それと悪ガキ三人のダグラスが主役でその友人二人、カードとジョエルがいます。キャラ立ても上手ですよね。カードがちょっとよわいかな、とは思いますが、後日譚でもちゃんと語られるし、当然なんですが、ちゃんと生きたキャラなんですよ。そしてキーパーソンのヒュー、シルバーキングと最初は名乗りますが、実は。という展開があったりもします。この話には後日譚があり、「時間を止めて待っていて」というのもありますが、それも併せて読むのをおすすめしたいです。ミリアムが「娘」に成長してしまって、幼い少女の小生意気さをどう表現していくのか…これは作者さんも気を使ったようでした。小生意気なミリアムですが、不快感はいっさいありません。これ、下手をするとすごくうっとうしい女の子になってしまうんですが、そのあたりのバランス感覚が抜群です。時間を止めて、の頃の絵が一番落ち着いて安定感もあって、わたしの好みです。ものすごく描き込みが丁寧で、背景もしっかり描かれているのはすごいです。なにしろ「西部劇」なので銃撃もあるわけですが、派手さより、わかりやすさが好ましい感じでしょうか。「死人を出さない西部劇」として描かれた物語なので、けが人は続出しますが、無残さはまったくありません。回想では亡くなってますが。つまり、安易なお涙頂戴はないといっていいでしょう。痛快なコメディタッチの西部劇、といったところです。この方のコミックはどれも好きなのですが、不思議とこのキャラが推し!というキャラがあまりいません。もちろん全員好きなのですが、特別にこのキャラはー…っていうのが少ないというか。物語の大枠が好きということもあるのかもしれません。けれど荒野の天使はちょっと違って、ひいき目にみちゃうキャラがいました。謎めいた人物として登場するヒューです。たぶん顔に傷があるからだw額から眉間にかけて傷があるんですよ、これももちろん訳アリです。役回りとしてはいちおうかっこいい真打的なキャラなのですが、あくまで脇役として地味な役回りもこなしてくれるキャラです。うーん、キャラの配置がうまいなぁと改めて。一応は少女漫画ではあるんですが、最初の「荒野の天使ども」は少女漫画の枠にとらわれない内容ですから、これはぜひ読んでみてとおすすめしたいです。
2025.04.22
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GS美神 極楽大作戦!!(1)【電子書籍】[ 椎名高志 ]価格:583円 (2025/4/21時点)これもまた懐かしい一作、今も好きな作品です。オカルトコメディではありますが、かなりオカルトに詳しいといえるコミックですよね。主人公美神の見た目や性格が、当時の「ボディコンギャル」?みたいなのもまた懐かしい。主人公が金にがめつい女っていう設定なんですが、嫌みっぽさがないのは、さすがとしか言いようがありません。そういえば、「絶対可憐チルドレン」も30巻あたりまでは読んでいたのですが、絵柄は絶チル半ばくらいのが好きだったかな。絶チルはさすがにながくなりすぎて…あと過去現在未来と話があっちこっちいってて、なんか疲れてしまったので、結局どういう完結だったのか知らないままです。美神も30巻は超えたのですが、まあ、それなりにキリのいいところで終わった…といえるかな?若干長引かせたところもあるし、後半に美神の母の話になったりと脱線もしましたが、最終的には無駄に長引かせず完結できたので、ほっとしてます。といっても、リアルタイムで読んでいたわけではないのですが。オカルトコメディということで、主人公美神が幽霊・妖怪をばったばったと祓ってがっぽり金儲け。バイトの横島と幽霊のおキヌちゃん、三人がメインキャラとなりますが、そのほかにも大勢キャラがいて、それもこの作者さんもお得意って感じがします。みな、それぞれ面白くて魅力的でした。横島がやたらとモテるんですが、基本妖怪にモテるというのも面白かった。後半に出てきた、それこみ美神をくっちゃうほどのヒロイン・ルシオラもやはり妖怪ですものね。アシュ編では横島がかなりレベルアップしてしまったんで、そこがちょっと面白みに欠ける部分もあったんですが、それでもさすがにうまくまとめておられたなと。ちゃんとコミカルにもなっていた。アシュ編ではおキヌちゃんの影が薄くなってしまったのはかわいそうでしたが、まあ仕方ないかな。おキヌちゃんはまっとうな人とらぶなエンドを迎えてくれたらよいです…平安編あたりまでが、わたしは一番好きだったかも。「文殊」がかなり万能すぎるんだけど、この頃はまだうまく発動できなかったり数も制限あったりしたので、万能感はまだそこまで強くなかったですしね。横島というキャラはとても良くて、読者の共感を得やすいんですよね、女から見ても、です。そして好かれる理由もわかる、という嫌みのないキャラでした。横島といえばやはり、序盤のGX免許試験バトルで、「自分を信じろ」とバンダナに言われて、自分が一番信じられんわーーーっみたいなこと言ってて、ものっすごい共感しましたわ。いや、「心眼」ことバンダナ、少年漫画的なまっとうなアドバイスしてるっての。そこを崩していくあたり、さすがといったところです。ここで横島が「そうだ、自分を信じるんだ」とかいうわけないですものね。あとはさりげなく留美子先生の漫画のパロとか出てくるのもほっこりしました。美神のママ編ではかなりダイレクトに出てましたけど。PIYOPIYOのエプロンほしいわー連載当初は一話完結っぽい流れて、そこからちょっとずつ何話か続き、というスタイルでした。それもあって読みやすかったのもありますし、今でもとっつきやすいんじゃないでしょうか。もともとわたしは一話完結ものってすごく好きなので。年増へび女がギャルになっちゃったけどメドーサもけっこう好きだったなぁとか。小竜姫やアリアや…女性キャラもバリエーションに富んでいてここらもさすが少年漫画って感じでした。もちろん時代背景とか古臭く感じるところもなくはないでしょうが、やはり今読んでも面白いと思える本作です。これはぜひにと、おすすめしたいコミックです。
2025.04.21
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はたらく細胞(1) (シリウスKC) [ 清水 茜 ]価格:759円(税込、送料無料) (2025/4/20時点)いまではもう懐かしいといってしまえるコミックですね。こちらはアニメも視聴して楽しませてもらいました。今ではスピンオフもたくさん出ているようですが、わたくしめは本作、つまり元のこちら全6巻しか読んでおりません。これはもうアイデア抜群といった作品ですね。日本は擬人化好きだし。その擬人化の仕方がとても上手な作品だったといえますね。赤血球と白血球のデザインもよかったー可愛くてね。作業着なのもたいへん好みでしたよ、白血球。樹状細胞が好きでしたわーいやでもT細胞も…デザインがとにかくよかった、と思えるコミックです。これがあまりにヒットしすぎたために、この作者さん、ほかの話を描けてない?知りませんが。スピンオフは別の漫画家さんが描いておられるので、もう別物ですよね。もちろんベースは本作なわけですが。本作はアニメも併せてみるのがよさそうなコミックだなと思えるくらい、アニメもすごくよかったです。というか、これはアニメの方のイメージが強すぎるかも?もちろん良い意味で、です。好きな声優さんが多く出演しているという、個人的な感想でもあるんですが。いちおう主人公は「赤血球」ちゃんですが、物知りな白血球さんがいろいろと説明してくれる体内ドラマ…ドラマっていうか、全体的にコミカルなのですが。それでいて説明文がちらちらと入ってくるので、「なるほど」と勉強にもなります。とはいえ、言葉はかなり乱暴というか過激なので、そのあたりで深夜のアニメになったんだろうなと思います。出血大量ですしね細胞のデザインや菌類のデザインもかなり凝っててそこも見どころですね。元の細胞の形から想起とのことで、これもまた「なるほど」となります。花粉症や傷口の話なんかは身近に感じられますし、体内ではこうなってんのかーと。熱中症の話もそうですが、水分大事って思いましたね、いやほんと。がん細胞の話は、なんかちょっと考えさせられますね。これはアニメでの声が石田彰さんだったのがぴったりすぎて。最初一般細胞として出演してて、名前見たときに、「これはっ」と気づかれた方多いと思いますよ、コミック読んでいたので、石田さんが一般のままなわけないやろと。それはそれとしても、がん細胞の悲哀はすべての細胞、そして生きているものすべてにかかわってくるものでしょう。生きているのって、厳しく残酷な面もある。そしてそれが自分の体内で起こっているんだなぁと。そういえば当時アニメつてほとんど見てなかったんですが、これだけはリアタイで見るのを楽しみにしてました。深夜すぎてつらかった思い出。擬人化すると、なぜかしら頭に入りやすくなるという利点がある。知識欲を医療に向けるきっかけとして、よい漫画であり、アニメだなとしみじみ感じました。内容が内容だけに、長く続けられる話ではなさそうなのはわかっていたので、全部で6巻でひとまずの完結を見たのは妥当な線だったでしょう。スピンオフも面白そうなのですが、それらを追いかける余裕は自分にはないので…でもはたらく細胞シリーズは、一度手に取って読んでみてもいいとおすすめできるコミックなのは間違いないです。
2025.04.21
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観用少女プランツ・ドール I【電子書籍】[ 川原由美子 ]価格:660円 (2025/4/20時点)これもまた懐かしい作品です。愛蔵版も買ったほど大好きなお話です。これっていまだとなんやかんや言われそうな内容ですよね…少女を「観賞する」って話ですから。一応は少女漫画に分類されると思いますが、恋愛がメインの話ではなく、「ちょっとふしぎなヒューマンドラマ」的な内容でしょうか。とにかく少女のイラストが可愛いし綺麗です。これだけでもかなり惹かれますよ!主軸に、「プランツドール」がいる、という物語です。「観葉植物」からとったであろう「観用少女」は人間の少女ではなく、観賞するためにつくられた「植物」的な存在です。「プランツ・ドール」と呼ばれています。基本一話読み切りなので、その点も読みやすく、どの話から入ってもOKという作品ですが、特徴的なのは、登場人物に固有の名前がない、ということでしょうか。名前が与えられているのは「少女」だけです。登場する人間はあくまで記号的なキャラとでもいうのでしょうか。どのキャラクターも個性的で魅力があるのですが、名を与えないことが物語に深みを与えているように感じます。あくまでも物語の中心にいるのは「少女」なんです。が、その少女は基本的に言葉を発しません。植物的な存在なので。何しろ摂取するのは「砂糖菓子」と「ミルク」、それと「愛情」なんですから。人間のようですが、人間ではない。植物的な存在なので「枯れて」しまうこともあり、逆にひどく長命だったりすることもあります。それでもずっと「少女」の姿のままです。感情は…ないとはいいきれません。「心」はあるかのような描写ですし、実際そうなのでしょう。愛情が栄養ですからこの作品は、オカルトホラーの雑誌に掲載されていた、というのも特徴的です。日常系のほんわかあったかいお話…もあるんですが、根本にあるのはやはりオカルトチックなホラーというか、得体のしれない怖さがあり、実際、そういった系の話もいくつか含まれております。ちなみにこのプランツ、お値段が身上をつぶすレベルの高額商品で、貴族のお楽しみ的な存在です。なので基本、金持ち連中しかこのプランツを購入しない…のですが、まれにそうではない人間も買わざるを得ない状況になったりします。というのも、プランツが買ってくれる人を選ぶからです。この点もうまい話づくりだなと思うんですよ。どんなに欲しくても結局買わない、買えない、という人間も出てきます。買ったあげくに堕落してしまう人間もまれに登場します。が、基本的にはプランツを買えた人間はすばらしいラッキーを手に入れることになるわけです。少女に選ばれる、というのが幸運のひとつとして描かれます。少女を手元に置けなかったとしても、出会えたことそのものに物語がある。誰が言ったのかわすれてしまいましたが、「少女とは、女の思い出の中と、男の幻想の中にしか存在しない」と。わたしはこの言葉がすごく好きで、この「観用少女」にぴったりの表現だと思うんです。このコミックで使われた言葉ではないんですが。本作は巻数にすると、4巻。すでに廃刊となってますが、かつてのコミックだと4巻で、愛蔵版(ぶっとい)だと2冊だけです。話数としては多くないですので、その点でもお勧めしやすいかな。電子しかなさそうですが、これは紙の本で読んでほしいかな……愛蔵版では昔のコミックに収録されていなかった話もはいっていたのがうれしかったです。わたしの好きなプランツちゃんて誰かなーと考えてたんですが、絶望を栄養にしてる「オランピア」はけっこう好きだったなぁと。あとは名前は出てこなかったけど「ブルードール」のプランツちゃんも好きかな。これは借金取りのおっさんの下で働いてた青年がその後どうなったかちょっと気になっちゃう。成功して、悠々自適な生活してるのかしらねぇとか。プランツドールは結局のところなんなのか、その点は謎のままです。そしてそれでよいのだと思う物語の仕上がりになっています。プランツちゃんにもいろいろ亜種があって、あんなことやそんなことに…って展開もあったりしますが。その点についての謎も別段解き明かされはしませんし、その必要はないと思われます。これはプランツドールを取り扱っている店の店主に関しても同様で、とってもいいキャラなんですが、やはり名もないし、謎多き店主です。この店主は客に対して非常に慇懃丁寧というか、うさんくさい人物として描かれます。つねに敬語で丁寧で、という。が、プランツにだけはフランクな話し方をするんですよ。このギャップもひとつの「謎」っぽいです。べつに謎として提示されているわけではありませんが。一話完結型なので話を超えたところでキャラ同士のかかわりがあるわけではないのですが、ふたりだけ、特別出演しているキャラもいます。やりようによっては、けっこうな長期連載物になりえたと思うんですが、まあやはり、ちょっと物足りないな、というところで終わるのが一番ですね。古き良き少女漫画のひとつとして、これもおすすめできるお話です。
2025.04.20
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追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双 4 (ヤングチャンピオン・コミックス) [ 日之浦拓 ]価格:792円(税込、送料無料) (2025/4/19時点)タイトル長い、つまり「なろう系」なわけですが。その「なろう系」を若干揶揄したような、逆張りはったような内容でしょうか。内容はタイトルそのままです。ただしこれはある程度「なろう系」に慣れ親しんだ層に向けた内容かな、とは思います。そしてコミックの裏や帯にあるあらすじにある「強くてニューサーガ」という言葉…わたしはなろう系はほぼ読みませんし、ゲームもさっぱりやらないので「強くてニューサーガ」と言われてもなんのことやらわかりません。つまり大前提から躓いてしまってる感がありました。もうある程度なろう系世界観を知ってますよね、という前提があるんですよね、これらの話は。いわゆるなろう系でも多種多様で、アニメ化もされて大ヒットしたものもあるのは知っていますが、だからといってそれらを見知っているか、というと、全く見ていないんですよね、わたしは。タイトルだけはなんか知ってるなーという程度の知識です。女子向けの「なろう系」でもそんな詳しくないっていう。つまり、そんな出だしなので、ハナからもう読者層は絞っている感じがします。とはいえ、強くてニューサーガというなんだか日本語としてそれどうなの、という言葉を知らなくとも、本作はとても楽しめる作品です。主人公エドは冒険者パーティーから信頼を得てその後追放されなくてはならない、という指示を受けて異世界にきています。「なろう系」でおなじみの「勇者パーティー」というのもゲームまったくかじらないわたしですが、そこはそんなもんだと納得してしまうものだと、割り切って話を読んでいきましたとも。ともあれ、100の異世界を渡っていく主人公の話です。しかも、ゲーム感覚でいうところの「二周目」です。揶揄してるような作品だなと冒頭で述べましたが、これは「なろう系」ではやっていたらしい「追放もの」をうまく使っていることからそれを感じました。このあたりはなろう系を勉強したのでわかりますw勇者パーティーというのは魔王を倒すために編成されたチームで、少人数の精鋭部隊のようなものです。その部隊から「追放」っていうのは、よくよく考えると非常に難しいんですよ。追放される側によほど問題があるってことになりますからね。だって少なくとも「勇者」がいて魔王を倒すために編成された少人数チームですよ?一人、たとえそれが雑用でも減ってしまったらなかなかに大変なのでは?まあ、そもそもが少人数でっていうのがアレですが、大人数ならいいってわけでもない場面も出てくるでしょうしそれはさておき。つまり追放するってことは、よほど追放される側に問題がある、ということになってしまう。この理由づくりがすごく難しいと思うんですよ。しかも「主人公」を追放とくるなら、作意があるにしても、納得のいく理由が必要でしょう。それがうまくできていない作品が多い。追放された「主人公」が追放後になにやら覚醒やら本当の力に目覚めたとかやるパターンが多いようですが、それならなぜはじめから魔王と戦うような強いものだけしか必要ではないチームに、力の目覚めていない、無力な主人公を加入させておくのか、という問題が生じる。まあ、このあたりをうまく利用しているのが、本作と言えるでしょう。主人公のエドは最初ひじょうに頑張って「勇者パーティー」に貢献するんですが、追放されなくてはならないので、無能と見せかけるよう演じねばならない。並大抵の努力じゃできないと思うんだよねーっと読者に思わせるのに成功しています。まあ、そんなわけでプロローグの段階で主人公エドは100の異世界で追放されてきました、と。一冊まるまる使っての「プロローグ」でしたが、これを無駄に長いとは感じませんでしたし、必要な描写、説明だったでしょう。なぜならわたしのようにまっさらな状態でこの物語を読む人もいるはずだからです。少ないでしょうが。ですが、丁寧に主人公の背景、事情、世界観の大まかな説明を一巻まるごと使ってやってくれたおかげで、以後の話がちゃんと気になる、どうなるんだろう、というわくわく感につなげていけてます。そしてもちろんですが、イラストもとても上手でかっこいいです。キャラが全員魅力的なのは素晴らしいです。ひとつ気にかかるというか、見てて気恥ずかしくなるのは、剣や魔法の術というか技のネーミングでしょうか。エドは追放されるたびに「スキル」という異常な能力を得ているんですが、その技の名前が厨二感バリバリというか。まあ…少年漫画ってこんなものか…な?「不落の城壁」と書いて「インビジブル」「吸魔の帳」で「マギアソープ」とか…100のスキルを持ってるからもちろんほかにもあるけれど、いやまあ…うん…別に悪いとかそういうわけではないですよ。このルビをふって別の読み方するのは少女漫画にも多いし、日本語らしい自由さがありますから。ただちょっと恥ずかしい気がするだけっていうか。かっこいいと言えるにはBBAすぎて。技を発動するときこれを発生するときはルビのほう、頭の中では漢字のほうが浮かんでいるってことなのかなーと解釈してます。まあ、些事ですよ、これくらいは。現在4巻まで発売されていますが、この4巻で第一部完、といった具合で一区切りついています。5巻からは新たなステージが始まるようなので、コミック発売を楽しみにしている次第です。わたしはコミック派なので雑誌はまったく読まないので、コミック出るまで現状さっぱりわからないんです。それも楽しみですが、ついつい早く出ないかなーとそわそわが止まらなくなってしまいます。長くなりそうな話ではあるんですが、あまり長いと読むのに疲れてしまうので、そこそこの巻数でとどめてほしい気持ちもあります。というよりは、この話ってあまりだらだら長く続けるべき話ではないと思うんですよね。エドの今後はどうなるのか、先延ばしにされると待ちきれない人も出てくるでしょうし(つまりわたしですがエド自身にも秘密はありそうで、コミック読みながら、エドはもしかして魔王なんでは、なんて考えたりもしました。まあ違うでしょうが。なぜ異世界に連れてこられてわけわからん使命を負わねばならなくなったのか。とにかくこの理由は知りたい。「知りたい」と思わせるだけの面白さがこのコミックにはあるといっていいでしょう。キャラもみんな可愛くて、ティアも可愛いけれど、アレクシスを推しちゃいますよねぇ~さす勇です。城はすんばらしい装飾にされなかったようで、ちょっと残念です。アレクシスはいい男やーゴンゾのおっさんも癒し系よね、筋肉は癒しということで、なろう系に興味ないとか知らない友人らにはすすめられませんが、これはいわゆる「無双」男子が好きな人には刺さるかもしれないので、とってもおすすめです。
2025.04.19
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カードキャプターさくら(1) (KCデラックス) [ CLAMP ]価格:715円(税込、送料無料) (2025/4/18時点)いわずとしれた有名作ですね。うちの本棚にあるのは12巻、さくらカード編までで、続編にあたるクリアカード編は途中で挫折してしまいました。本作はアニメ化もされているのでそちらのイメージが強い方もいるかもしれません。かくいうわたくしめもまずアニメから知りました。魔法陣が出るときの音楽が好きだったなーなんかかっこよかったですよね散らばった魔法のカードを試行錯誤しながら集めていく、といったお話で、絵柄も可愛いし、命がけのバトルがあるわけでもない、日常もの系魔法少女というコンセプトが目新しく感じられたものです。少女漫画雑誌「なかよし」掲載だったため絵柄もかわいらしくしたんでしょうね。魔法少女ものではあるんですが「変身」はなく、友人が作ってくれたコスチュームを着る、という設定も斬新だった。衣装も可愛くて、見てて楽しかったし。小学生のさくらが、どすればカードを捕まえられるかを考える過程も、好感が持てますよね。「水」や「影」といった一癖あるカードを知恵をしぼって捕まえる、という展開はとても自然だったし、キャラらしさも出せますし。ちゃんと「小学生」らしさがあるのがよかった。しかし物語の中にある恋物語の模様がかなり・・・・・・突飛というか、過激といっていいものだった…主人公のさくらは小学生でしたし、掲載雑誌が「なかよし」でしたから、生々しい恋愛模様は描かれませんでしたが、なかなかどうして…多様性に富んでました。びっくりです。アニメをさらりとみてから数年後にやっとコミックを買いそろえたのですが、つまりすでに成人越えしていたわけで、その歳で読んでも、さすがにちょっと驚きましたものねー恋愛模様の多彩さに。以下、物語の内容というよりはキャラの話ですが…まあいつもどおりか。魔法少女となったさくらは、母親は夭逝してしまっていわゆる父子家庭で育ちます。高校生の兄がいて、その兄の友人の「ゆきと」さんに初恋をする…のはまあわかります。身近な男性ですしね。ところがその兄「とうや」と「ゆきと」が両想いで、父は父で、女子高生と結婚…それだけでも「えー……」となっていた当時のわたしでしたが、さくらの友人たちもまた、かなり…ですよね。親友の知世ちゃんは、わたしも大好きなのですが、知世ちゃんの一番大好きなのはさくらちゃんですし。そしてその知世ちゃんの母親園美さんときたら…作中でいっさい明言されていないのですが、「夫」つまり知世ちゃんには父親がいないんですよね。もうこれはね、わたし個人の勝手な妄想補完ですが、園美さんの性格上、ぜったい男と結婚なんてしなかったはずなので、優れた男の精子だけもらって受精、ほんで女の子授かるようにしたんじゃないかな。体外受精ではなかったようには思うけど、何が何でも女の子が欲しかっただろうなと。いとこの撫子に対する執着ハンパないものね。作中で知世ちゃんが気の毒だなと思ったのは、撫子のように髪を伸ばさせていた、というところです。別段知世は気にしていないし、母親との仲もよいのですが、聡い知世ちゃんのことですから「父親」不在の理由も察しているだろうなと。べつに「撫子」の代わりではないんだろうけど、そういった側面が全くなかったかといえば、否定はできないと思うんですよね。けっこうな残酷さよね。知世もまた生涯男性を伴侶にはしないだろうまあそれでいいとは思うんですが。園美さんの歪みといっていい性癖がそのまま知世に受け継がれていった感がすごいんですよ。ボディーガードも男性が一人もいないし、お屋敷にもメイドはいるけど男性職員はいなさそう…男の気配は「おじいさま」だけ。徹底してますよね。知世がおとなびたのは、そうした背後関係があるからだろうなと勝手に憶測してました。男嫌いではないのですが、達観してしまって、かつあまり感情的にはならないけども、「さくら」に対する想いは母親譲りといっていいものがある。繰り返しますが、あくまで私個人の感想ですけどねっ!ほかにキョーレツなのはやはり利佳ちゃんじゃないでしょうか?いやー、寺田先生…いくらなんでもまずいでしょうよwとはいえ、利佳ちゃんは好きだったんですよねわーわーきゃーきゃーしてなくて、いかにも良家のお嬢様っぽい雰囲気で。たしかアニメでは先生に対する感情はあくまで「憧れ」なんですよね。父を慕うような感じというか。そりゃまそうか、という。ぶっとんだ設定だなー「なかよし」でこれはいいんかい?と思ったものです。しかしそれより、最近になってちょっと苦手になってきたのは、山崎くんです。幼馴染カップルの千春ちゃんと山崎くん、まあ、好きではあったんですが…おもしろキャラではあったので。糸目一族ですし。糸目はいいですね、オタクとしては見逃せないキャラ造形です。そんな山崎くんなんですが、苦手になったのは…わたくしめのちょっとしたかるーいトラウマから、「平気でうそをつく人」が苦手になってしまったのが大きい。山崎くんの嘘なんて、悪意はないし、その場ですぐばれる他愛もない嘘ではあるんですが、たとえばさくらや小狼がだまされちゃうこともあったりするわけですよ。もちろん千春ちゃんがすぐ否定してくれますが。これってね、すごく怖いことなんですよ常態的に嘘をついている人って、とても怖いです。その内容がどーでもいいようなくだらないことでも。冗談として嘘をつくって軽いことでも、それに対して罪悪感がないわけですよね…実際そういう人がわたしの周りにいて、ほんと、悪意も敵意もないんですが、嘘をつくことになんら抵抗がないのってすごく怖い。その時はなんとも思わないんだけど、塵が積もってってやつ。まあそんなわけで、最近になって山崎くんがちょっと怖くなってきたな、と。そういえば、アニメではクロウの生まれ変わりがエリオルとさくらの父の二人、という設定はなくなったのかな?わたしはこの設定すごく好きでした。納得感ありましすね。クロウみたいな胡散臭い人はすごく好きなので、エリオルもわりと好きでした。だから観月先生がエリオルに惚れるのもわかるんですが、しかし、エリオル…事件の後にはちゃんと肉体成長させとこうよ、とは思いました。まあ…観月先生が少年好きっぽいので…ダメそうかな…青年になったエリオルを見てみたかったです。胡散臭そう。エリオル関連で。クリアカード編としてここ最近続編が出ましたが、これは完結を待たずに、途中で断念してしまいました。なんというか…その内容…さくらでやることなのかなって。わたしはこの作者グループのほかの作品をあまり読んでません。たとえばツバサとかなんちゃらホリックも、数冊は読んだ程度です。好みではなかったので読み続けませんでした。しかしクリアカード編て、雰囲気が上記二作品と似ているというか、若干リンクしてるっぽい?流れでしたよね。魔法協会が出てきた時点で、「うーん…」となりました。ご町内で活躍の魔法少女という狭い範囲の話だったのに、なんやらわからん規模の話になってきて、あと、絵本めいたプロローグがあったりで、ついていけなくなってしまったんですよね。話もちっとも進まないしってこともあり。クリアカードはグッズ化するのにはよさそうだけど、クロウカードのデザインのが好きだったのもあります。あと、クロウカード(さくらカード)がかわいそうやないけ…ってなったのも大きいかな。カードたちみんなさくらのことが好きなのに、新たなカード作り出しちゃって。作らされていたにしても、なんやかんやふつうに使ってるし。かといって作っちゃったカードのリボンになった子なんかはさくら好き好きで、破棄するのもかわいそうやろっていう。途中で読むのをやめてしまったけれど、丸く収まったのかな?結果的に、秋穂とカイトもどうなったのやら。いやもうこれ、この二人を主役にして別の作品で描いた方がよかったのでは…って思いましたよ。何のかんの本編のクロウカード編・さくらカード編、これを12巻で終わらせたのはよかったですよね。外伝的に一冊くらい短編集があってもよかったなー、って思うくらいには、やはり好きなコミックです。
2025.04.18
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ひねくれ騎士とふわふわ姫様 古城暮らしと小さなおうち(1) (ガンガンコミックス) [ 葵梅太郎 ]価格:730円(税込、送料無料) (2025/4/17時点)可愛い絵柄に惹かれて、なんとはなしに手に取ってみたコミックです。現在二巻まで刊行されていますが、続きが楽しみで!早く出ないかなぁと日々楽しみにしています。ファンタジー世界のほのぼのラブコメ的な内容で少女漫画っぽいような、そうでもないような。ちょっと不思議な感じのするコミックでもあります。最初からネタバレしてしまいますが、二人は「妖精」を見ることができるまれな人間です。この世界では妖精はめったに目にすることができず、妖精を見る人間はたとえ王族でも「異端」と蔑視されます。そんなこともあり、少々かわいそうといっていいヒロインが、妖精のために小さなお家をつくってあげるという展開があります。この「お家」がとってもかわいいんですよ。ミニチュア好きなので作られたそのお家を見るのも楽しい作品です。ヒロインのお姫様クローニアと貴族嫌いの騎士ルークスとの、日常もの。基本的にはほのぼのとした展開なのですが、一応明かされていない「謎」がいくつか仕込まれています。母親(王妃)がなぜクローニアを嫌うのか。「妖精」と「精霊」との違い。廃城状態と「精霊」との関連。クローニアとルークスの出会い…ほかにもこまごまと明かされていない「謎」が出てきて、それがとても気になる雰囲気づくりに役立っています。絵柄は見ての通りかわいらしいのでかわいらしい話の内容ともばっちりあっています。実のところ、一巻の時点ではけっこう描き込みがあまりなくて、コマの背景が白いまま続いていたのですが、二巻からはかなり描き込みが増えて、背景もわかりやすく、かつ賑やかになってきています。やはり背景があんまり真っ白いのは物足りないですからね。ごちゃごちゃしているのも読みにくいですが、ある程度は「今どこでどういう姿勢で会話しているのか」という情報が背景にもほしいですからねー二巻はそういった点がかなり改善されていて好ましいです。新しく参加したキャラが「料理担当」ですから、なおのこと画面が華やいでいてほしいというか。まあ、新キャラは男性なんですが。それと登場する「妖精」がどれも可愛いです。商売繁盛の妖精とかね。この子が元気になってぺかーってなった時は、読んでるこちらもにっこりしてしまいました。そういう可愛さがあるコミックです。前作も読んでみたいと思ってんですが、紙の本はもうないみたいなんですよね…電子でなく紙の本でほしかったので残念です。連載続けてほしいなってときはやはり本、もちろん電子も含めてですが、コミックを買って応援しなきゃですものね。派手な展開のないほのぼの系ですので、すっごく売れる系の話ではないと思うのですが、ストレスなく、ほのぼのとした気持ちで読めるものも好きなので、ぜひとも続きのコミックを出してほしいです。癒し系コミックですので、これもおすすめです。
2025.04.17
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銀河英雄伝説(1) 黎明篇 (創元SF文庫) [ 田中芳樹 ]価格:880円(税込、送料無料) (2025/4/16時点)いわずと知れた名作の銀英伝です。わたくしめが高校生のころ初めて「大人買い」した小説でしたわ。バイト代ぶっこんだ。ですので、徳間書店でしたのよ、表紙も武骨な感じで。田中氏の本、初めて読んだのは「マヴァール年代記」でこれが3巻完結だったので手に取りやすかった。で。その次にアルスラーンでハマり、銀英伝、創竜伝、というコースです。その後短編集なども買い集めていましたので、かなり古い文庫もございます一番有名といっても過言ではないですし、いまだにコミカライズされたりアニメもリメイクされたりしている人気作品の「銀英伝」ですね。古い新書しか持っていないので、文字も小さく、ちょっと読みにくいこともあって、なかなか友人らには貸せません。でも一読の価値はある小説。「完結」しているのは大きいですね。全10巻とぷらす外伝ですので、その点もおすすめしやすい。宇宙を舞台とした話はほとんど読んだことがないので、銀英伝が初めてで、最後です。いや、田中氏の短編や未完の話でならいくつか読んできてますが。ちなみに短編はかなり好きなんですよ、めっちゃおすすめした。それはさておき「銀英伝」ですが。さすがに「昭和」の頃の知識が根本にあるので、どうしても宇宙の情報は古いものになりますね。たとえばブラックホールひとつとっても昔と今ではかなり違ってくるでしょう。宇宙に対する「常識」がすっかり変わってきてしまったので、その点はなるべくスルーして読むのがよさそうですよね銀英伝は宇宙を舞台にはしているけれど、宇宙はあまり気にしないで読むほうがいいです。歴史ものに近い感覚でしょうか。学者や歴史家などの論文がそのまま書かれているので、そこが苦手な方もいそうです。論文読んでる感じしますものね。キャラクターとしては、帝国軍のラインハルトと同盟軍のヤンが主軸となり、同盟軍に関しては途中からユリアンにシフトしていきます(ネタバレ宇宙戦争、という感覚はほとんどなくて西欧の王政国家vs合衆国的なノリがあり、中立国もあるので、まあやはり世界史のあるひとつの時代を読む感覚です。主軸となるキャラクターが膨大すぎて列挙するのは無理というしかないのですが、帝国軍にしろ同盟軍にしろ、悪役的な人物は多く存在しますが、どんなキャラでもちゃんと生きた人間として描かれていて、ただの記号のような「悪人」はいないといっていいでしょう。トリューニヒトなんて、いやー、こりゃ嫌われる、といった人物もいますが、読んでて不快ってキャラではないんですよ。ちゃんと不愉快なキャラではありますが。わたくしめは、帝国だとケスラーやミュラー、同盟だとポプラン、アッテンボローあたりが好きで、わりと「生き残り組」が好みだったりしますよ(ネタバレ氏の作品は魅力的なキャラが多く登場するので、人気が高いのは納得なのですが、わたくしめの好みに合わないところもなくはないんです。それが「女性キャラ全般」です。田中氏の作品全般において、です。嫌いとまではいかないのですが、魅力を感じないんですよね。どのヒロインもです。美人で賢くて気が強くて有能で…という判子押しのようなキャラがほとんど。聡明だけど控えめという子もいますが、ただ「それだけ」という感じです。銀英伝で主要女性はフロイライン・マリーンドルフ(ヒルダ)とヤン夫人フレデリカ、カーテローゼでしょうか。アンネローゼも一応いれておくことにして。なんといえばいいのか、ちゃんとキャラとしては立っているんですが、相手役に選ばれただけの女性としか見えなくて…ヒルダはとくにそうで、これはジークの代理というよりは皇妃になるためだけの人だったでしょう。もっとひどくいえば、ラインハルトの子供を産むだけの人。ヒルダは有能だしちゃんと秘書官として役に立ってますが、役に立ちからいるだけといえなくもないんですよ。ヒルダって、女友達ひとりもいなさそうでしょ?実際いないと思う。それが悪いわけではないのですが、いわゆる可愛げが感じられないんですよ。男側から見た可愛げではなく、女から見た、です。これがもっとも顕著なのは創竜伝の茉莉でした。茉莉って、はたから見てるとすごく賢しらで性格悪そうな子なんですよ。人の子と見下してる感がすごい…しかもそれ無自覚に、ですし。自分が美人なのを自覚しているのは全然いいんですが、仲のいい女の子たちとくっだらない会話できゃっきゃしてるところがまったく創造できないし、実際しないでしょう。賢さが鼻につくというか。似ているのが、カーテローゼです。カリンね。この子は絶対女友達いない…wツンケンしてるし、なんというか男の中に混じって男に媚びないのはすごくいいんですが、それだけでしかなくて。男には好かれそうな感じはすっごく出ているので、その点は妙にリアルです実は道原かつみさんという漫画家さんがコミカライズしてくださったことがあったのですが、その時に「さすが」と思ったのは、アンネローゼにもカリンにも同性の話し相手、おそらく友人を描写してくださったんですよ。だからそこでのアンネローゼやカリンには好感が持てたし、宮廷だろうが軍内だろうが、同性の友人を得られる程度にはコミュニケーション能力があるのだと、共感を得ることができました。わたくしめの勝手な感想というか、ある種のこだわりがあるんですが、女キャラにもちゃんと女友達がいてほしいんですよ。ここでリアルド度がすごく上がるので。銀英伝の男性陣は、ほぼすべてのキャラに性格や考えは違うのにウマが合う友人知人がいますよね?それがキャラの魅力の一つにつながっている。それを女性キャラにも、と思うんですよ。主要キャラにする必要はないし、それこそ回想でちらっと出す程度でもなんでもいい。メル友でも。友人がいるのがわかるかわからないかで、かなり印象はかわりますから。とはいえ、銀英伝はおそらく…銀英伝だけでなくアルスラーンにしろ…男性向けの物語なんだろうとは思うので、その点仕方ないかなと思わなくもないです。女キャラ全員好きにはなれないけれど不快さは感じないので。アルスラーンの中のファランギースはともかくアルフリードは気の毒すぎますけどね。さっさと振ってほかにいい男見つけて遠くいっちゃいなよ、と思わなくもない…ともあれまあ、女キャラのことはああいうもんだと割り切ってしまえば、銀英伝はやはりとても面白く、歴史好きにはハマりやすい話だと思います。ちなみにアニメは何年か前にやっと旧作を全話見ました。なっがいけど、声優陣が豪華すぎて、声聞くためになんどか見てるシーンとかあったりしますわ…もうヤンはあの方でしか脳内再生されないくらいにはハマり役でしたね新しいアニメは見ていませんが、好評なのかな?小説読む前にアニメから、というのもありだと思いますので、どちらでも、一度アニメ履修してみるのもいいかもしれませんね。そして機会があれば、田中氏の初期作品集、とくに短編をよんでみていただきたいです。女性がまったく出てこない話とかはすっごくおもしろいwもちろんアルスラーン戦記もおすすめします!(王太子編までしかよわたしは読んでませんが。
2025.04.16
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変幻退魔夜行 カルラ舞う!【完全版】(4)仙台小芥子怨歌編【電子書籍】[ 永久保貴一 ]価格:935円 (2025/4/14時点)オカルト大好き歴がかなり長いのですが、そのきっかけとなったのが「カルラ舞う!」と「生き人形」です。まず「生き人形」から読んで、その後同作者のカルラに行き着いたわけですが…「生き人形」はいわゆる実話系のコミックで、界隈では有名な某稲川氏の体験されたお話です。これ読んだの小学生だったかなぁ…友人の本棚にありましてすすめられたんですが、めっちゃ怖かったです。基本的に怖いのは平気な方なんですが、はじめて「自宅に置いておきたくない」と思った漫画でした。実話だからってのもあって怖かったのですが、絵の雰囲気とかもそうだし、写真もあったからね…ひえええってなった。まあ、繰り返し読ませてもらいましたが。結局自分では買うことなく、友人宅で読んだコミックです。その後、生き人形のおかげですっかりオカルト大好きになり、手に取ったのがカルラ、というわけです。けっこう長く続いているようですが、さすがに全部そろえきれず…家の事情引っ越しやらもあったりで、手放してしまい、コミックは手元にありません。諏訪あたりまでは持ってたかなーカルラの面白いところは歴史的に有名な人物を取り上げていることですかね。あと実在の場所ですね。これ読んだら歴史好きになると思いますよ!霊能力を持つ双子の姉妹がさまざまなオカルト事件にかかわり解決していく、という話ではあるんですが、この双子の家がカルラ信教の教団というのも面白いです。いまじゃこういった設定を描くのは難しいでしょうね…双子の姉妹の一人は頭脳型、一人は体力型。見た目も似ていないので双子にはおもわれにくいかな。初期作品は見た目に痛そうな描写があったりするので、オカルトホラーの「ホラー」色がつよいです。その後加わった男性キャラが話に彩をそえてくれています。恋愛要素も、初期はほぼなかったんですが、途中からふんわりと加わってきます。これは作者さんの思考の変化もあるだろうなぁ…とそんなこと思いながら読み続けてきました。もちろん良い意味での変化ですよ。オカルトものですし、「宗教」も出てきますが、ちゃんと創作ものとしての面白さがあるので、オカルト好きさんにはお勧めしたい…のですが、シリーズがめっちゃ長く続いているので、その点お勧めしにくくもなってます。「生き人形」もじつはかなりおすすめしたいのですが、これは電子でしかないかな?もうね、これ作者がビビリちらして描いているのがわかって、いやー、ほんとに怖かったんだな、と。ともあれ上記ふたつの作品との出会いが、わたしくめのオカルト好きへのスタートでした。今では妖怪ものや伝奇ものはすっかりメジャーになっていますか、むかーしむかしは、もちろんひとつのジャンルとして確固たる地位を築いていたものの、やはりいかもの食い的な扱いでもありました。しかし上記二作品が世に出始めたころは少女漫画でもオカルトホラーが流行りだした頃でもあったといえるでしょう。主に読み切りですが、傑作ホラー、オカルトがたくさんありました。少女漫画雑誌「なかよし」でもオカルト話が連載されていたくらいですものね。美内すずえ氏の「妖鬼妃伝」などは有名ではないでしょうか?ほかにも氏は様々なホラーを描かれていますし、ほかにも傑作ホラーはあったはずです。「薔薇の葬列」とか好きだったんですけど…作者さんの名は伏せますが、黒のシリーズとか…すごく好きだったんですが、もう手に入らないんですよね、ものっすごい高額になっていたり。電子はありませんし。諸事情があるのでやむなし…オカルトホラーが好きとはいっても、グロ系は苦手なので、たとえば映画でも幽霊ものは好きなんですが、スプラッタ系はほとんど見ません。まあ、アメリカの「オカルト」って血みどろ系なので好みではない、というのもありますが。「リング」のまさにそれでアメさんの「リング」は見たんですが、「へー」くらいでしたものね…「ポルターガイスト」は好きですけど。「チャッキー」とかがそんな好きでもないって感じ。脱線しましたが、「カルラ舞う!」は男性作者が描く少女漫画オカルトホラーですので、興味のある方はぜひ!近江くん…幸せにおなりよ…と思ってましたわ、当時。応援したくなる子でした。
2025.04.15
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タブロウ・ゲート(1) (プリンセスコミックス) [ 鈴木理華 ]価格:460円(税込、送料無料) (2025/4/13時点)これもまあまあ最近にやっと完結したコミックですね。あまり知られていないような気がするのですが、けっこうおもしろいのですよ!少女漫画なんですが、現代ファンタジー活劇、かしらね?内容としては主人公が散らばったカードを集めていく、という某有名作のカードキャブターのようなんですが、まあ、似ているようでやはりまったく違います。あらすじ説明するとどうしても似ちゃうっていう。恋愛要素はありますが、それはメインではなく、話の要素に取り込まれている、といった感じかな「タブロウ・ゲート」で登場するカードは「タロット」をベースにデザインされています。なのでタロットカード好きにはいいかもしれません、実際わたくしめがそうでした。この漫画家さん、もとはイラストレーターなのですよね、たしか。詳しくは存じませんが…それもあってイラストがとても美麗です。イラストレーターは「漫画」がうまくない人もけっこういると思いますが、こちらに感じはそういった感じはうけませんでした。苦なく読み進めていけます。物語の主人公は「サツキ」というイギリス出身の少年です。たったひとりきりで日本にやってきて生活することになるわけですが、そんなある日一冊の画集らしきものを手に入れ、それを開いてしまいます。そこからカードが逃げ出して…という導入です。そしてもうひとり主要キャラのレディという少女も登場。サツキとレディがカードの主人「マスター」となるわけですが、さらに別の「マスター」が現れて、しかもその「マスター」には大いなる謎が秘められているようで、と話が展開していきます。こちらの物語、キャラクターが多いので大変だなーと読みながら思ってますが、みんな個性的で素敵なんですよ。タロットカードから作られたキャラなので、正位置・逆位置的なカードのキャラの違いがあります。どちらが正位置とかではなく、サツキがマスターになった時、レディがマスターになった時、でキャラデザも性格も変化します。主要なカード、キャラは「太陽」と「月」でしょうか。「太陽」のカード…この場合カードは「タブロウ」といいます。「太陽のタブロウ(カード)」、名はアレイスター。「月」はエリファス。オカルト系好きには上記二人の名前だけでにんまりしちゃいますよね。タブロウにはそれぞれ固有の名を持っていて、だいたいが人型です。そして特殊能力を持ち、当然個性も感情もあります。また性格はマスターのよって変わるので、実質キャラ数はタロットの枚数のさらに倍っていう…さらにいえば、「タブロウ」を作った「創造主(グランドマスター)」の時の性格もあるし、初代タブロウの持ち主のマスターの性格もあるので…しかもキャラデザもかわる…で、キャラの数だけで言えば膨大…物語的にはタブロウの所持をめぐっての争いがあったりして、それなりにバトルもあったりします。小さな謎を解決して先へ進み、その先には大きな謎が待ち構えていて、しかも絶望的な終焉を迎えることになるのだけれど、それをサツキがどう乗り越えていくか…ー主人公のサツキは性格がネガティブで後ろ向きなんでイライラさせられることもあるんですが、ちゃんと主人公として闘い成長していくから許容できる「後ろ向き」さです。めそめそしてんじゃないよ!と読者的に思っていると、代わりにレディちゃんが叱咤してくれます。レディちゃんがかなり乱暴少女で暴れ牛と呼ばれたりもするんですが、そのレディが「あたしああいうヤツ大っ嫌い」と言ってくれるのがいいんですよ。サツキのことをね。もちろん大嫌いと言いながらも手を差し伸べてくれるし、助けられれば礼も言いますよ。基本的には仲間として尊重しあっています。サツキとレディはふたりでひとつ的な主人公です。どちらかだけだと多分いらっとして読み進められないだろうというバランスの良さがあります。サツキとレディ、どちらも出生に謎がありますしね。たくさんいるキャラクター、だれもみんな魅力的なので、そういったキャラの魅力を楽しむという読み方もありだとは思います。完結はしたのですが、実は納得のいっていないところもありまして、それが「グランドマスター」について、です。グランドマスターは結局どういった生まれのどういった人間なのかはよくわからないまま終わってしまいました。名前もないままなんですよ…これは仕方ないかもしれませんが。途中で、自分の生まれ…源を知りたいようなことを言っていたのに、結局そこは調べないままおわってしまったよグランドマスター…いわゆる「魔法使い」みたいな力をもっていて、時間移動ができる能力者なんですが、それがなぜ、いつどのように身についたものなのかが謎のままでした。「タブロウゲート」の「ゲート」はなんなのか、という謎は解き明かされましたが、なぜその力をグランドマスタが持っていたのかがわからないんですよまた、なぜ「タブロウ」に特殊能力を授けたのかも曖昧です。タブロウを人型化…顕現させたときにたまたまそういう特殊能力が付与されたのかもしれないけれど、そのあたりが明確ではないので判別できないんですよね「星」のタブロウの真の性格がああなってしまったり、なぜあんな物騒なピアスを持っていたのかもわからん…「星」の話はほんとに気の毒すぎて…実はこれ、サツキの母も同じで、サツキの母親…ヤヨイは結局どういう素性の女性だったのか、根本がわからないんですよ。いえ、養女になったところは説明されましたがサツキのおじい様がなぜ養女のヤヨイに執着したのかも希薄なんですよね…いわば根っこのさらに根っこ部分の謎が未解決のまま完結してしまったので、そこだけ別に一冊だしてほしいかなーと思うんですよ。このタブロウ・ゲートは連載される前に一度、試作のように二冊完結で単行本が出ているようですが、わたくしめはそれを有しておりません。もしかしてそこに謎の答えがあるのか…?なんにせよ26巻できちんと完結しているので、その点は安心しておすすめできます。ちなみに、タロットカードで好きなカードは「死神」なんですが、その「死神」がこちらのコミックでもかっこよくてうれしかったなぁ…あとこれ結構派手な展開もあるし、アニメ向きだと思うんだけどな!アニメで見てみたい作品のひとつかもです。
2025.04.14
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正反対な君と僕 1 (ジャンプコミックス) [ 阿賀沢 紅茶 ]価格:660円(税込、送料無料) (2025/4/13時点)次のレビューはこちら。青春ラブコメってことでいいのでしょうかね?アニメ化も決まったようで、大人気のコミックですね。最近完結したばかりです。読んでるとき、こりゃ人気あるしアニメ化されるんじゃないかなージャンプラでしねーと考えていたら、ほんまにそーなった。そう思ってた人は多いと思われる。それはさておき。これもおすすめされて何の気なしに手に取って、いざ読んでみたらすごくおもしろかったコミックでした。いやーBBAですので読者層からは大きく離れているとは思うのですが、かえって年いってからのほうが刺さる話ってあるものです。青春群像というのは不変のテーマでもありますね。基本「ラブコメ」ですのでラブがメインの話で、主人公二人鈴木と谷が主軸となって話は進むのですが、周りの友人らの行動も楽しく、共感性が高いです。一見個性的で「陽キャ」な鈴木ですが、存外人目を気にしやすい性質で…というのは年代問わず「あるある」と頷いてしまうところです。そんな鈴木の好きな男の子の谷くんは、他人の目をあまり気にしない性格だからこそ憧れる、つまり「正反対だからこそ惹かれる」というタイトルのままに話が進んでいくわけです。この過程や、キャラ達の思い、考えなどの解像度がとても高いんですよ。うまく表現して、言葉に変換してくれている、といった感じで。リアルな高校生…かどうかはわかりませんが、美々しすぎず、身近なキャラデザなのはよいですよね。あと、キャラそれぞれの服装、ファッションがものすごくキャラらしさをだしていてくれてます。キャラ達の私服を見るのも楽しいんですよ。「葵ちゃんはシュッとしてるわねぇぇぇ」と鈴木の母と同じようなことを言いたくなりましたわ、わたしの年齢的にwメイン二人以外のキャラもとても魅力的で、ちゃんと思考を持って動いているキャラばかりなのもいいです。あと、バイクや車関連の名づけにしてるのも地味ににっこりしちゃいますね。「日産」は、そこかぁぁぁっていうね。話が進んでいくごとにキャラのフルネームが明かされていくのも楽しかったです。若い読者さんに人気ありそうなのは平かなーと思ってます。こういうネガティブ、後ろ向きなキャラって本来好かれなさそうなんですが、根がいいやつだし、何より心の分析の仕方が上手で、「わかるぅぅぅ」と思う読者さんは多そうです。わたくしも共感しましたとも。個人的に好きなキャラは本田さんかな。オタクですしwそれを抜きにしても彼女がもやもやと胸の内に抱えてる感情ってけっこう共感できますよね。なにより「他人に親切にしたいわけじゃない」「優しいわけじゃない」というのも、納得いくし、すごく「わかる!」なんですよね。こういう、脇にいる友人キャラ達の掘り下げも上手で、何度読んでも楽しいコミックです。さらに登場人物たち全員が恋愛脳ではないのが非常に好ましかったです。本田さんもそうですが、鈴木の友人「なべ・さと」渡辺と佐藤の存在は大きい。鈴木の恋バナに付き合いはするし否定もしないけど、この二人自体は誰かに恋したりされたりというのがないのが、すごくいい。このあたりは少女漫画との差別化ができている印象がありました。主人公周りの全員が恋愛脳ばかりだと、食傷気味になってしまうんですよね…それが悪いわけではないのですが、恋愛から人間関係を構築するばかりなんてことはないですからね。友人関係のつながりもうまく描けていて、男子同士や女子同士の会話もすごく自然で、BBA的には懐かしさすら感じました。鈴木らのようなキラキラとした学生時代があったわけではなくても、友人らと内容のない会話で笑いあって遊んで戯れて…そういうのを思い出したりして。タイトルがテーマにもなっているので、「正反対な二人」が複数出てきて、そんな二人がどう変わって成長していくのか、という過程がとても丁寧に描かれている。8巻で完結というのもよかったと思う。かなり駆け足になってはいましたが、グダグダ続けられるよりずっといいです。いいところで終わってくれたと思います。ちゃんと余韻があるのもいい。まあ欲をいえば、後日談集として一冊でてもいいかなーとは思うんですが。「続編」とかではなく、あくまでちょっとした後日談として。巻末にあった4コマでもだいぶん満足でしたけど。平と東に関しては、ああした終わりにしてくれたすっごくよかったと思う。どう決着つけるんだろうと心配だったんだ、じつは。個人的にはとても納得したし、よかったなぁぁぁぁと感動しました。気軽にさくっと読める青春群像集、ラブコメですので、これはぜひぜひ!とおすすめしたいコミックです。
2025.04.13
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ダークグリーン(1)【電子書籍】[ 佐々木淳子 ]価格:583円 (2025/4/12時点)打って変わって、古いコミックを紹介します。タイトルがシンプルwいにしえの少女漫画ってジャンルがかなり幅広かったんですよ。これもその証左として挙げられると思います。いまなお問題提起されている自然環境破壊をベースにした、…これは一応SFといっていいのかな。主人公は「ホクト」、西荻北斗で美大の浪人生。ちなみに次男という。冴えない浪人生のホクトが世界異変を起こす「悪夢」の中で活躍する物語ではあるんですが、ファンタジーといってしまうにはちと言葉が足りないような、不思議で深い話です。そしてこれ、少女漫画として販売されていて、表紙からわかるように「フラワーコミック」なんですよ。恋愛要素はほとんどないといっていい内容ですよ。「愛」はテーマとしてありますけどね。メインキャラとなるのは「ホクト」ですが、「悪夢」の中のヒーローとして扱われている「リュオン」という少年と旅を続けて世界の謎を解いていく、といった具合でしょうか。そこにミュロウという金の肌の少女(実はこの子の正体は、という今に通じる展開もあったり)や謎めいた声を発しない少女フィーンが加わり、「悪夢」の中で人間を襲う「ゼル」という化け物と戦っていく…壮大な内容なのですが、なんと全10巻という短さです。どうやら続編が出ているようですが、わたくしめはそれらの購入はしていません。イラストブックとかは買いましたけどね!少女漫画とは思えないバトルがあるんですが、ここらへんの描写は少年漫画と違いがあるように思います。下手だというのではなく、この作者さんの好みの出方というんでしょうか。迫力があるというわけではないのですが、きちんと化け物とのバトルになっています。また、この作者さんは「夢」の描写がすごくうまいんですよ。夢のあの辻褄のあわなさ、不気味さ、展開の急転の仕方など…作者さん自身不思議な夢をよく見られていて体験記も描かれていましたので参考にしているのかも?本当に悪夢を見ているようなな気になれます。10巻しかないのに内容はものすごく濃ゆいので展開は怒涛といってもいいかもしれませんが、緩急はあります。メインの主人公は「ホクト」なのですが、「リュオン」と切り替わって物語が進むこともあります。そして「リュオン」とは何なのか、という謎が膨らみ、悲しい事実が明らかになります。かなり突飛と言っていい内容なのですが、破壊されていく自然環境に憤る「自然」そのものの反逆…これは実際に起こったら怖いだろうなと思うんですよ時代を超えて読めるコミックなので是非!とおすすめしたい。ちなみにこの作者さんはSFもこの前に描かれていて、「那由他」「ブレーメン5」どちらもわたくしめは大好きなコミックで、古くはあるんですが、いまだに手放せないでいます。「那由他」のほうは超能力ものなんですが、宇宙人が出てきたりと、やはり突飛な展開で、悪の組織が人間側にいてそれらと超能力合戦する、というのはほとんどありません。いや、ないかな。「那由他」というのはヒロインの名前です。こちらは全3巻という短さ。うせやん?と思うほど短くあっさり終わります。ブレーメン5の方は数年たってから続巻がでて新しい二冊はちょっとテイストが変わります。まあ絵柄も変わったしねってことで。こちらはばっちり宇宙系のSFで、社会の仕組みからはずれてしまった仲間たちが安住の地を求めて宇宙旅する、というお話。つまりブレーメンなわけです。キャラ造形がまたよくて、それぞれかなり個性的です。一話読み切り形の話になっているので読みやすいです。古いコミックなのですが、「宇宙」ものとしてもブレ5は面白いんですよ。「果て」とはなんなのだろう、という問いがあったりね。その問いを発することから始まるのが第一話、閉じられた狭い空間で暮らしているある「集団」の中で、「果て」ってなんだろうと不思議に思う、異端となってしまったヒロインの「ユズ」。ある日「果て」が壊されてそこから見知らぬ青年が現れ、……というところから物語が始まるわけです。つまり未来の話となります。ぶっちゃけねー、これ今でもアニメにできるんじゃね?と思える内容ですよ。たしかにSFがもう今の時代では古いものかもしれませんが。上記の「ダークグリーン」もいまアニメにしたらおもしろそうだけどねーアニメにはしにくそうな画風ではあるかもしれませんが。いにしえの少女漫画ってとにかくジャンルが広かったんですよね。ホラーもありSFもありシュールコメディもあり、べったべたな恋愛ものもあり、歴史ものもありで。いまだに人気の「ベルばら」もそうですね(ええ、文庫持ってますとも実のところ最近の少女漫画はあまり読んでいないのですが、そういえば昔から学園ラブコメはちょっと苦手だったかもと思い出したりも。ホラーオカルトが大好きでしたので!「ダークグリーン」にはホラーとはまた別の怖さがあって、やはりSFなんだけど身近の物事をテーマにし「悪夢」というとっかかりやすいものから始めているのが秀逸だと思うんですよ。これはいろんな方に読んでほしい作品だと太鼓判を押します。「那由他」「ブレーメン5」も同様に。ぜひぜひ、チェックしてみてくださいな
2025.04.13
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【全巻】「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます 1-4巻セット (ポラリスCOMICS) [ 水埜なつ ]価格:3,212円(税込、送料無料) (2025/4/12時点)続いてレビューするのはTHE☆少女漫画といった「君を愛するつもりはない(以下略これまたタイトル長くて今どき感ですねお話の内容はタイトルそのままですが、一応。主人公はエルサという、亡国の王家の血筋の「令嬢」で、ヒーローにあたりタイトルにもある「次期公爵」が政治的意図をもってエルサと結婚するところから物語ははじまります。あくまで名ばかりの結婚ということで次期公爵ユリウスから結婚した当日にそれを言い渡され、エルサもそれを了承、納得します。まあ、王道のヒロイン溺愛ストーリーですね。重たい設定はほぼ出てこない、わりとほのぼのとしたお話といっていいと思います。まずイラストについての感想から。パット見でもわかるようにふんわりとしたかわいらしい系の絵なので、物語の雰囲気とはあっているとは言えます。ただ、お世辞にも上手とはいえないです。人物デッサンが微妙…動きのある人物絵は描けないな、という印象でそれは数ページでわかります。スマホのような小さな媒体からならそれほどきにならないのかもしれませんが。背景画などはとても奇麗なのでアシスタントさんがうまく処理してくれているようですが、それゆえに漫画家さん自身のデッサンのなさが浮き彫りになってしまっています。決して下手ってわけではないんですが、立ち絵のぎこちなさがかなり目立ちます。バストアップならまあかわいらしいかな…と思わなくもないのですが…これはわたくしめの個人的な意見ではあるんですが、一番気になるのはヒロインの「顔」です。というか女性キャラを描くの苦手なのかしらと思うレベルで、かきわけはできていません。線がラフというのか、エルサが顕著なのですが、とにかく「目」だけ描いている感じで、口と鼻がかなりラフ…ラフというか、薄いです。表情がないわけではないのですが、とにかく「目」しか描いていない、という印象です。とりわけ気になるのが、目の下、頬のところにラフに描かれてある/////です。赤面表現の一つではあるんですが、エルサの顔にはすべてに描いてあるといってもよく、そのせいで絵面が「汚い」と感じてしまうのです。もちろん汚れている表現ではないですし、不快というほどでもありませんが、とにかく「汚い」。はっきりいってないほうがいいです。たとえば本当に恥じらって頬を染めて顔の中心全体に////が丁寧に、おそらくトーン処理されているエルサもあるのですが、それに不快感や違和感はなく、むしろちゃんと恥じらって頬を染めている表現がかわいらしく見えました。だからこそ、常にある/////の、しかもかなりラフな線、そしておそらく描き癖になってしまっているだろう線が邪魔でしかたありません。この線は全員にあるわけではなく、男性キャラはほぼありません。赤面時にたまに描き込まれる程度。また、友人のレベッカも基本はありません。こういう手癖をつけてしまったのか、ともかくヒロインの顔のこの////が気になってしまって、どうにもエルサに好感を抱きにくくなってます。上にも書きましたが、人物キャラの立ち絵を含め、たとえば手の描き方も非常に不慣れなのが見て取れ、そのため手の表現は正直なところ「下手」としか言いようがありません。顔とのバランスがすごく悪い。男性キャラはそれなりに描きわけができているのに、女性キャラは壊滅的といっていいかな…というのも、「美人」「綺麗」な女性として登場する「セラフィーナ」が圧倒的に、薄い。薄い、というしかないのは、別段「不細工」とは感じないからです。性格的にも行動的にも絵としても、とにかく「いじわるで美人なご令嬢」になっていません。ただの幼稚な中学生女子感…もっと美人に描いてあげて…髪の毛もかなり適当な策がで、綺麗に描いている感じがまったくない。ヒーローの美形男子ユリウスとお似合いだといわれているセラフィーナですが、まったくそうは見えないし、いやほんと言動すべてが幼稚で、中学生というより幼稚園女子…な反応もあって、見ていると切なくなってきます。とはいえ、物語の内容にあったかわいらしいイラストではあるので、雰囲気を壊すような感じではないです。でもセラフィーナをもって美しく描いてほしい。それなりに重要だろう女キャラなのに、もうお役御免みたいになっちゃってるんですよ…コミックはいまのところ4巻まで出ていますが、4巻なんてちらっと出。ユリウスに振られて「絶対許さない」とか言ってたのに、もう忘れてそう…イラストについてはこれからを期待したいところですが、手癖ついちゃってる感は否めません。動きのある人体デッサンは描けるようになってほしいかなーと。棒立ちの絵すら微妙です。内容はといえば、まあ、よくある溺愛もので、深刻で重たい話ではないので軽く読めてよいのですが、気になる点もいくつかあります。まず、ユリウスは「次期公爵」だということです。ユリウスの両親、つまり当代の公爵夫妻はどこでどうしているのかがまったく描かれていません。原作未読なのでわからないというのもありますが、過去の回想にしか登場しないのはいささか不満が残ります。エルサとユリウスの結婚式に、エルサの家族は参列しているんですよ。ですがユリウスの親はいない。諸事情があって参列できないのなら、それをちらりとでもふれておくべきくなのでは、と。というのも、ユリウスの人柄をエルサが少しでも知るきっかけになりうるエピソードの導入になるからです。エルサは家族仲がよいから、なおのことユリウスのご両親にご挨拶をしなくてもよいのかと不思議がりませんかね?今回はお会いできないがいつかご挨拶させてもらえるのか、と内心で思ったりもしないの、すごく不自然です。つまりこの時点でエルサはユリウスになんの興味も持っていない、歩み寄ろうとしていないということになるのですよ、たとえ誕生日を祝ったりしても。片手落ち感があるというか。ユリウスの家庭環境にがっつり触れる必要がなくとも、ユリウスから触れるな、という圧を感じてほしいのですよ、エルサに。なぜならユリウスはまだ「次期公爵」でしかなく、跡を継いでいないんですよ。つまり公爵夫妻は存命ということですよね。にも拘わらず公的な場に一切姿を現さないのは不自然すぎるし、そこになんらかの「事情」があるのかと、エルサだけでなく読者側も思うはずなんですよ。タイトルの音読み的に「じきこうしゃく」がよかったというだけで、「次期公爵」になったのかもしれませんが、どうでしょうかね?一方で脇にいる当て馬くんのヤルモはというと、家庭環境をがっつり描かれるんですよ。パルニラ家のパパ…いいやつやん?と、個人的には思ってしまいましたが、パパがさもわるそうに描かれるのももやっとしました。権勢欲は強いかもですが、べつに普通のことですよね?きちんとヤルモを引き取って後継にすべく教育して、娘のセラもちゃんと贅沢させている。ごく普通の貴族のご当主ですよね。もしかして国の乗っ取りを考えているかもしれませんが、それならもっとセラフィーナを有効活用しようよとは思わなくもないですが、セラが幼稚すぎるしね…まあ物語的にそんな国盗り物語は目指してないだろうから。ヤルモはユリウスに対抗意識を持っていて、一方のユリウスは歯牙にもかけていない素振り。それがユリウスには気に入らない、というのはよいと思うのですが、妙なほどそこに重点を置いてしまっているので、物語の軸がぶれそうなんですよ。ここらはもったいないな、とも思う。漫画家さんは男性キャラを描くのは好きそうなのでそこに力が入ってしまうのはわかるのですが、女の子を可愛く描いて!!と願わずにはいられないのです。わたくしめの個人的な趣味ではあるんですが、不憫なキャラってけっこう好きなので、ある意味で不憫なユリウスはそこそこ好きなんですよ。そしてメタ的な見方になるかもですが、セラフィーナも不憫すぎて好きってなってるくらいですからね。もっと可愛くキレイに賢く描いてあげて不憫すぎる…ってな風に。それとちょっと気になることではあるんですが、タイトルがちょっとそぐわないというか。「なぜか溺愛してきます」ってエルサ視点だと合わないし、現状そうじゃないよね、と。エルサは溺愛されてるなんてまったく自覚してなくて、「親切にしてもらっている」程度ですよね。だからこれ第三の視点でのはずなんですよ、「溺愛」に関しては。でも君を愛することはないという宣言はエルサにしかしていないという。第三の視点でいうなら「溺愛しています」かな、と。まあこれはタイトル釣りしなくちゃなのでそうなってしまうのも已む無しといったところでしょうか。いろいろもやったり気になるところの多いコミックですが、読んでて不快にはならないし、先もそれなりに気にかかるので、次の巻も楽しみに待っています。さすがにそろそろ気持ち告白あいっこしそうな頃か、セラフィーナに頑張って恋路の邪魔をして話をもりあげてほしいところです。セラフィーナを美人キャラに仕上げてほしいというのが切なる願いだったり。おすすめはしにくいコミックではありますが、楽しく読めている作品です。
2025.04.12
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最高難度迷宮でパーティに置き去りにされたSランク剣士、本当に迷いまくって誰も知らない最深部へ ~俺の勘だとたぶんこっちが出口だと思う~(コミック)(1) (ガンガンコミックスUP!) [ quiet ]価格:660円(税込、送料無料) (2025/4/12時点)初めましてってことでの、まず一冊目の紹介と感想をば。タイトル長いねん…っていうつまり「なろう系」というやつですね。これはとあるレビュー動画で紹介されていて絶賛されていたので読んで、買ってしまったコミックです。いわゆる「なろう系」は苦手だったので、過去の様々な人気作はほとんど知りません。アニメも見てないですそれ以前にわたしくめはゲーム自体をまったくやらないので、ゲームがベースになってるコミックって読めないんですよ、スキルだのダンジョンだのステータスオープンてなんだwいや意味はわかるけども。で、こちらの作品ですが、まあ「なろう系」には違いないとは思うんですが、ゲーム的な展開がほぼないので、とても読みやすく、かつ面白かったです。コメディがベースになってはいますが、魔物を討伐していく系の話です。そして「迷宮」に封印されている強大な魔物の謎を解き明かしていく、という大筋がある。主人公の剣士ジルがとある冒険者のパーティーに雇われて迷宮へ挑むことになるのだが、そこで仲間の裏切りにあい…しかも剣士ジルは剣の腕前は抜群なのにとんでもない方向音痴というマイナス要素があって、当然「迷宮」でも迷いまくってすったもんだ、というお話かな。ある程度「なろう系」に慣れていないととっつきにくいかもしれない話の始まりではあります。が、普通に少年漫画として読める内容です。「迷宮」がつまりはダンジョンなのですが、その迷宮の成り立ちにも意味があり、伏線もあちこちにちりばめられている様子なのも好ましいです。そしてもちろんですが、絵もとてもうまい、というか読みやすいです。コミカルな描写もとてもかわいい。「なろう系」だとハーレムになりがちなのですが(偏見?)こちらの作品にはそれがないのもうれしいもちろん主人公周りに女子は多いんですが、色っぽい雰囲気にならないのがとにかく安心して読める。最新刊まで買っていますが、そのあたりでも変にお色気もありません。主人公の剣士「ジル」も、一見すると量産型なろう男子なんですが(黒髪)それが気にならないっていうのは、ちゃんとキャラが立っているということでもあります。聖女リリリアや大魔導士ユニス、おそらくメインヒロインにあたるクラハ…ほかにも魅力的なキャラが登場します。なんても繰り返すようで申し訳ないのですが「なろう系」ではあるので、女子の登場率が高いです。けど可愛いので問題ないです。一番大事なのは剣士ジルの師匠が男性だってことですよ!!これ大事やたらめったら女の子、女性が出てくるわけではないので安心して読んでいられます。バランスがいい、というのかもしれませんね。ちなみにちょいネタバレですが、わたくしめの好きなシーンは剣士ジルが階層の扉を開けて、その一瞬で魔導士のユニスを突き飛ばすってシーンがあるんですよ。ここ、ジルの性格がちゃんと現れていて、すごく好きなシーンです。ほんの一瞬、つまり「死」の瞬間なんですが、その一瞬でそばにしたユニスを助けようとするんですよ。一瞬の判断でそのキャラの性格が出ている、いいシーンだなと何度読んでも好きなコマです。さらにそのあと、剣士ジル、聖女リリリア、魔導士ユニス、この三人がなんとか生き残れてお互いに顔を見合わせて「ありがとう」と「どういたしまして」と言うシーンもとても好きです。心がほんのりしちゃうし、三人の絆がここでしっかり結ばれたなってのがわかるシーンでもあります。キャラ同士の関係性がわかる、大事なシーンだなと。こういう関係いいなぁって、読んでてにっこりできるシーンでした。先にも触れましたが、「Sランクパーティー」だの「迷宮(ダンジョン)」だの「階層主」だのがさらっと出てくるので、そういうものが受け付けない、あるいはそれってなんだよって疑問を持ってしまう方には向かないかもしれないですが、それはつまり「なろう系」全般にいえることです。そのため、わたくしめはこの作品とっても好きなのですが、同年代の友人には貸せないんですよね。そういう世界観がまずわからない、となってしまうので。こちら、原作のほうは未読です。コミックは現在6巻まで出ています。5巻から次の章へ、といった具合でそこそこテンポもいいのではないでしょうか?6巻が4話しか収録されてなくてちょっともんやりしますが…先の展開が気になる、次の巻が待ち遠しいと思える作品です。ジルどんの師匠の活躍が待ち遠しいですねっ!絶対わたしの好きなタイプや……
2025.04.12
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けっこうなオバチャンゆえにいろんなコミックや小説を読んできたのですが、その感想を語り合う機会がなく、なんとなくブログを立ち上げてみることに。いやほんと急に思い立ちました。子供のころはお貧乏さまでしたので漫画も小説も図書館や友人に借りることしかできず、リアルタイムでその時にはやっていたものなどはほぼ読めない状態でした。その反動がおとなになってやってきた感。高校のころバイト代を本にぶっこんだこともあったなぁと懐かしみ。で、わたくしめの好きなジャンルは我ながら幅広くて、一応「女子」なので少女漫画からはじまり、友人の影響もあって少年・青年漫画も好んで読んでます。苦手なものもありまして、いわゆるBLだけは若かりし頃から受け付けませんでした。ゆーて、パタリロは読んでましたけどね!コメディだしってのもありますが。そして、BBAになったとはいえ、今とぎのものとかも読んでみたい気もあり、あれこれとチャレンジしています。古いコミックもあれば、わりに新しいコミックも、いろいろとごちゃまぜに紹介と感想を書いていきたいなと思っています。ブログ紹介のところにも書いておきましたが、わたくしめの個人の意見、批判、感想ですので、その点ご了承ください。大人気作品でも自分には合わないな、ということはありますものね。ひとりごとみたいなもんなのですけど、「あー、わかる!」って方がいたらすっごくうれしいです
2025.04.11
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