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人面瘡 金田一耕助ファイル 6 (角川文庫) [ 横溝 正史 ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/5/31時点)横溝氏の金田一シリーズは長く愛されているシリーズ。かくいうわたしも大好きなのですが、推理小説が好き、というわけではないんですよ。というのは、推理トリックにほぼ興味がないからです。犯行の謎よりも動機の謎の方に目が行きがちなんです。ちょっと横道にそれますが、「金田一少年の事件簿」という漫画があり、さらにスピンオフというのか…「犯人たちの事件簿」がありますよね。もうあの犯人たちの視点からの話が大好きすぎて!本編を読みたくなるいい犯人視点…でもあるし、犯行トリックに対するツッコミが、読者として「わかるわぁ」なんですよね。数々の名言も残したくらいの名作スピンオフってやつです。つまり、犯行トリックってよくよく考えてみるとリスキーだし、知略よりも体力…圧倒的体力が必要なんですよね。なので犯行トリックが明かされても、いやーなんか大変な作業だったんだね、おつかれさま、となってしまうんですよ。これは上記のスピンオフを読んでなくても思っていたことではあります。犯行の手口の美学だのなんだのはよくわからないっていうか。すごいなー、程度には思いますが。それもあってわたしは推理小説でもネタバレ平気な性質ですし、誰それが犯人だよと種明かしをされてもまったく平気です。さて、今回はそういう犯行トリックがとくに「すごい」って感じのしない短編集をおすすめです。ですが、この短編集が、金田一シリーズの中でかなり上位にはいるほど好きです。「睡れる花嫁」「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「蝙蝠と蛞蝓」「人面瘡」が収録されていて、この中で一番好きなのが「湖泥」です。磯川警部さんも出てますしね。犯行を隠す作業はしているけれど、これといって奇怪なトリックを使って、というのはこの短編集にはないですね。花嫁は性癖の話だろうし、蜃気楼は…まあ気の毒な人の気の毒な顛末で、蝙蝠はなんだかちょっとほっこりしたし、人面瘡は偶発的な要素が強いしね…そんな中でも犯人の動機が一番好きなのが、湖泥なんですよ。べつに個人的な恨みがあるとかじゃない。けれど犯人の最後にわめいたセリフが好きすぎて。こんな台詞、一生かかってもいわなさそうなので…憧れるなぁ…と。いや、憧れるようなセリフではまっっっっったくないのですが。犯人も金田一に煽られてうっかり犯行みとめちゃったわけだけど、だからこそのあの「毒づき」でしたよね。あんな台詞はなかなか日常で出ることはないんですが、言ったらすっきりするかも、と思ったんですよ。溜まっていたうっぷんをすべて吐き出して嘲笑する台詞。これはちゃんと犯人が、自分の手も汚したからこそなんですよね。いや全部この犯人がやったんですけど、えげつないけれど「小さな罪」を認めることで、「大きな罪」をひとに擦り付ける。自分も汚れることで成し遂げたんですよね。加害者もかわいそうなんですぅ~的な話より、こういう痛快な話の方が読んでてさっぱりしますね。加害者が気の毒すぎる話も好きではあるんですが、そういえばこの短編集には加害者に情状酌量の余地がありそうな人は…一人だけかも。金田一シリーズは短編もいいんですよね。読みやすいし、何より金田一氏がかわいいのなんの。いやもうこれだけで読んでるってのはあります。この時代の小説なので、登場人物の口が汚かったり悪かったりするのはご愛敬で、金田一氏もそうです。けっこう口悪いし、小馬鹿にするようなことも行ったりします。見た目もっさいし貧弱なんだけど人懐っこい、女性に世話焼かれてもとくになんとも思わないぐーたらしてるところもある。周りがこぞって面倒を見たがる「探偵」なんですよね。そしてそこがいい。いろんな作品が映画化されていますが、短編の中の金田一氏もとってもかわいいので、ぜひとも読んでほしいです。
2025.05.31
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【全巻】 この音とまれ! 1-32巻セット (ジャンプコミックス) [ アミュー ]価格:17,248円(税込、送料無料) (2025/5/30時点)青春部活ものとして、内容はとっても横道なこちら。筝の琴がその「部活」っていうのはなかなかに珍しく、それで読んでみた作品でした。以前紹介した「うつほ草紙」と合わせて読むとさらに感慨深いものがあるかなぁ、と。しかしこれ、絵柄も含め内容もけっこうな少女漫画だと思うんですよ。読み手もやはり女性に合わせてるんじゃないかな?とはいえこれジャンプなんですよね…ふしぎな感覚でした。独特な絵柄で、口元のアップが多かったり、泣きそうな顔のくしゃっと感とか笑顔は、かなり癖のある描き方をされてて、好みが分かれそうかな?実際わたしも、好きかと言われればあまり…という感じの表情の描き方をするなぁという感想で。といっても、絵が雑なのでは全くありません。どちらかといえば丁寧な作画です。それなりにちゃんと、キャラのかきわけもできていますしね。内容はというと、ほんとにこってこての王道もの。主人公の一人は家庭環境からちょっとグレちゃったけどほんとは優しい男の子、愛と書いて「チカ」もう一人は筝の家元の娘なんだけど訳アリの女の子、「さとわ」たぶんこの二人がメインのキャラなんですが、きっかけとして描かれるのが筝の部になたった一人残された男の子で「武蔵」ここにたくさんのキャラがかかわってきて、お箏で全国制覇するぞーって話になります。仲間ができて、大会もでるけどまずは勝ち進めなくて、次を目指して頑張っていく。しかも二年生は翌年は受験だしで大会はワンチャン…これ逃がしたら次はないってやつ。こういうのスポーツ青春ものではとっても多い展開で、このコミックもそれを踏襲しています。王道ってことなので、ある意味とても安心できる展開です。こういう部活ものって難しいのですよね。オチが初めから決まってる…わかっているようなものですから。いわゆる「優勝」は既定路線であり、その道のりを描いていくのが、部活青春もの。その「青春」の部分にいろどりをつけているのが、このコミックの特徴かもしれません。少女漫画っぽいなと感じたのはその「いろどり」の部分です。メインキャラの恋愛模様も描いていくんですよ。全員ではないだけすっきりしてますが。メインキャラ二人は晴れて両想いとなりましたが、あと一組!こちらも両片思いってやつなので遅かれ早かれってやつだとは思いますが。サブキャラもふんわりと恋模様はあるかも?わたしがわりに気に入ってるキャラなんですが、お箏の指導をしてくれることになる「晶」先生。ヒロインの家とは対立関係にある家の娘なんですが、結果的にはいろんなことで味方になってくれる人です。この晶の葛藤を、サブキャラの一人足立くん…サネに重ねていて、そこらはわかるなぁと身近に感じられるエピソードがありました。凡庸きわまりない「サネ」と、自分を凡庸だと思っている「晶」サネは調和に向いている、というのはキャラデザとしても納得なんですよね。「みっつ」と「こーた」は見た目からしてかなりキャラが立っているんですが、「サネ」はいまひとつふつーというか。そこがミソだったんですよ。わたしとしては、倉田たちが卒業したら、サネにこそ副部長ってやってほしいなって思うんですよ。部長はさとわでいいけれど、サポートするのは「チカ」では無理だろうし。そこは調停役にぴったりのサネがやったらええんでないの…とまあこれは妄想ですが。晶はうまいことすずかちゃんGETしたらええんやけどねーどうでしょう。こういうこと妄想できるあたりがすごく少女漫画っぽいですね。後半、チカがハメられたりしてピンチになるんだけど、できすぎ君のてつきが根回ししてて、じつにできすぎ君でしたわ…高校生とは思えませんね(苦笑良かったと思ったのは、大人がちゃんと大人の働きをしたことでしょうか。生徒にまかせっきりにせず、公的機関をちゃんと動かして「子供」を守る、というのは安心できます。大人の介入が必要なことってあるんですよ。青春ものでも、大人がちゃんと動いてくれるのって大事なことです。だって晶も最初の頃にいっていたけど、まだ十五歳の子供なんだ…って。そう、子供なんですよ。どんなに才能があって、大人顔負けの技術を持っていようとも。社会的には十代半ばの高校生。これは忘れてはならないことですからね。なので、王道展開だけあって、極端に走らず、まっとうに話が進んでいきますし、横道にそれすぎもしません。対戦相手のあれこれを語るページももちろんありますが、そこにページを費やしすぎない、ここもよいバランスだと感じました。多少長いとこもあったけれど、そのキャラを好きになれるか、興味を持てるか、ですよね。コミックのカバーをめくるとおまけの漫画とかイラストとかあって、これまた少女漫画のノリっぽいんですよ。そしてこの漫画はアニメにも。まあ…アニメの方は曲だけ聞けたらいいかなって感じでした。悪くない出来だとは思うんですが、あれって結局漫画に色付けてカット流してるだけじゃ…って思ってしまえるところがいくつかあったんですよ。正直、アニメはうーん…という感じでした。ただ、曲が聞けたのはよかったです。そろそろ最終話だと思うんですが、あのまあハッピーエンドでうまくまとめてくれたらいいかなって感じですかね。チカの父親はさておき、母親とかの話はしなくていいと思うんだけどどうかなぁ?あと一巻で終わることを念じておきます!だらだら続かれるのはぶっちゃけ苦手なので。すっごく泣けるって話ではありませんが、部活青春ものとしては良い感じにまとめられているんじゃないでしょうか。王道ってのはやはり「王道」なだけあるなっていうね。
2025.05.30
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ヤヌスの鏡(1) (集英社文庫) [ 宮脇明子 ]価格:660円(税込、送料無料) (2025/5/29時点)実写ドラマ化もしていた漫画です。ドラマ自体は観てなかったんですが、オープニングの唄がいまだに大好きで、時々熱唱してますよwYouTubeで検索すると出てきます。ドラマではどうだったのかはわかりませんが、コミックはすさまじいといえる内容です。そして舞台は「名古屋」って、これ明記はされてないんですが、住んでたことのある地域の名がめっちゃ出てきて、すっごく驚いたんですよ。とはいえ、キャラたちは名古屋弁ではありませんのでそこはご安心ください。この当時、二重人格というか多重人格ものの漫画ってあまりなかったのではないかしら?それもちゃんとした理由・原因のある多重人格です。もとの性格はたぶん「ヒロミ」だとおもうんですが、はたしてどうなんでしょうか。おとなしくて内気で、男女交際に…性的なあらゆることに潔癖といっていい女の子の「ヒロミ」いっぽうの「ユミ」、これは「裕美」の名前をユミと読ませてものですが、性格は大胆で犯罪もへっちゃら、魅力的な女。性的なことに潔癖なもとの人格に引っ張られているところはなきにしもあらず、かな原因となっているのはやたらめったら厳しい、それこそ鬼のつらのおばあちゃまなんですが、これがほんともうホラーばりに怖い。このおばあちゃまに抑圧されて、それが最悪の形で爆発した。ユミは知能犯です。宝石店を襲う黒幕になったりね。でもこれ、頭がいい、賢いってことではなく、無謀で破天荒というか、そういうやり方でもある。そしてユ三は、殺人も犯します。そこに罪悪感はありません。これ、おもしろいことに、「ヒロミ」もたぶんそうなんですよ。同じ人格ですしね…良くないことだとはか思うんでしょうが、その程度です。「だって仕方がない」と思えてしまう。ユミが手にかけた人の一人は、実の父親なんですよね。ぶっちゃけこれは、「ざまーみろ」と読者は思ったでしょう。この父にして、この娘だと、ちょっと思ってしまったわ、おばあちゃまよりはマイルドに。さてこれは一応少女漫画ですので、相手役といえるキーマンの男子が二人登場します。「ヒロミ」には誠実な男子高校生、「ユミ」には未熟な不良未満男子。どちらも「裕美」の救いにはならないし、なんなら追い詰めにかかってます。でも。いるかいないかでかなり違ってくるでしょうから、やはり影響はあったんでしょう。この当時、こういう「多重人格」って話題になる直前くらいだったとおもうんですよ。それを短い話によくまとめてあります。ラストのオチ、作者さんはああすると決めていたそうです。わたしも読み手として、あれしかないし、ああいったオチでよかったと思う。読者側に問題提起をしてくれた話でしたからね。大人になってから読み返してもやはり引き込まれる展開で、そりゃぁむりやりすぎんだろ、というところがあっても気にならないスピード感があります。今どきああいった「不良」ってのはいないでしょうが、「裕美」のような子はいるとおもうんですよね。ちょっとアレンジしていまドラマ化してもいいんじゃないかなっていう内容です。話自体もながくないですしね。内気な「ヒロミ」にいらいらするかと思いきやそんなことはなく、庇護したくなるかわいらしさがあるし、それは「ユミ」も同じです。だれか「ユミ」をたすけてあげてーって思ったくらいですもん「ユミ」はほんとはどうしたかったんだろうって、ここもすごく考えさせられるポイントになってます。外伝よんで、おばあちゃまも気の毒なのはわかるけど、それを娘や孫にあたりちらすみたいにしていいのかって思うしさー。「ヤヌス」の神の設定をうまく生かしたコミック。これはぜひにと進めたいコミックです
2025.05.29
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祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション) [ 桑田乃梨子 ]価格:693円(税込、送料無料) (2025/5/27時点)くわたんコミックが続きますが。こちらもわりに新しめのコミックで、やはりゆるふぁんたじーものです。「おっす、わたし魔女」から始まるので、ちゃんとゆるコメディファンタジーなのがわかるんですよね、第一声って大事だなって。このタイトルの「歌姫」というのは、いまでいうところの「聖女」みたいなもので、歌姫とは歌で国の守護を「祈る」という「役職」です。設定だけ見るとちゃんとファンタジーっぽいのですが、これはあくまでゆるーい女の子同士のほのぼの話です。読んだ後は、魔女ちゃん友達できてよかったね、くらいのゆるさです。さて、ちょっと愚痴めいたことをこぼします。上記のコミックとは別のお話。今って、女子向けなろうでは「聖女追放もの」が流行っているのか、よくみかけるし、じっさいわたしもいくつか読んでみたのですが、ことごとく自分には合いませんでした。聖女の定義がよくわからないんですよね、説明はされてるんですが。婚約してたりするのはまぁどうでもいいとして、国外追放ってどういうことだよっていう。役に立たないからってかりにも「聖女」…つまりなんらかの魔力をもってるだろう役目の人を、安易に国外追放なんかして、いいもんなの?そういうのは幽閉しておくべきでは?なんでわざわざ国の外に出すのかがわからん。そもそも「聖女」ってなんなのかがよくわかんない(二度ジャンヌダルク的な聖女?神の声を聴くとかいう巫女的な役割で、さらに国を守る使命を持つとか?それが国に、というか王宮にひとりかふたり…?選ぶ基準とか、測定器でもあるのかな?なろう系だと水晶に手をかざすのが定番だったりしますが、そういうの?あるいは貴族の中でかならずそういう娘が出る家があってそこから着任の流れ?いやなんかよくわからん説明はいろいろあるんですが、呑み込めない。前にも書いたけれど、その国なりの宗教観、という価値観がよくわからないんですよね。女神の代理人とかそういう使命があるにせよ、それがなんらかの理由で「役立たず」とあとになって知らされたとして、なんで国外追放とかになっちゃうのか?たまに聖女自身から国外脱出、というパターンもあって、よその国で優遇されたんで、さくっと復讐みたいな流れもあってドン引きしたんですが…なろう系だとだいたい「追放」と「復讐」はセットになってるんだけど、そこもなんでやねん、となる。なんで追放後に優遇されたからって、その優遇してくれた人を安易に信じちゃうかなぁって。まあこれも世間知らずだから、と言い訳できなくもないのですが…日本のようには「国籍」がきちんと整備されていないとかもあるんでしょうが、安易に追放された聖女って難民あつかいなの?だとしたら国政にかかわらせるのもちょっと問題あるんじゃないのとか…うーん何やらもやっとすることがおおくて、いまのところ、いいなとおもえるものにあたっていません。なんなら「聖女」がタイトルにあったら避けるようになりましたしね…そんな流れの前、およそいまから10年ほど前にこちら「祝福の歌姫」は刊行されています。この話は別段追放だのなんだのはないんですが、じつは似たようなエピソードはあって、追放はされていないんですが、幽閉はされているんですよ。聖女の当たる「魔女」が。主人公ではありませんが、のちに主人公と仲良くなる「魔女」です。あまりに力が強すぎて、それゆえに見張りを付けて幽閉されている、という。まあ、あまあま幽閉生活ですが。主人公の「魔女」はというと、歌で魔法を使うタイプの「魔女」で、あるときたまたま国の王子に「歌声」を褒められて、そのまま国の「歌姫」に出世!という流れなんですが、実は主人公魔女、とっても音痴。逆に上記の別の国の幽閉されていた魔女はというと、逆に歌がとてもうまい。で、この二人が対決するのかと思いきや、偶然出会って、魔女友になるっていう、かなりゆるい展開です。この話では「聖女」ではなく「歌姫」ですが、かるーくどんな役割があるのか説明されますが、なにしろゆるふぁんたじーなので、いちおうこういう設定はありますよ、程度。今でいう「聖女」のポジションに近いものがあります。歌は下手でも音感の悪い王子に気に入られているのでなんかいい雰囲気だしって、コメディではなくふつうの「少女漫画」としての設定に強引にもっていくことはできそうなんですよ。なんというか、わたしにはこの程度のゆるーいものがいいなと思ったり。ヒロインがやたらとまわりに溺愛されてよいしょよいしょされるの、苦手なんだなと…今更なんですが、痛感したというか。「はいからさんが通る」なんか、ヒロインは周りの男どもに惚れられまくるんですが、あちらは納得感があったけど、こういういわゆる「逆ハー」ってとんでもなく難しいですよね。こうした「歌姫」のヒロイン、とてもいい子なんですが、超絶音痴なので、王子以外は気絶するレベル。こりゃ、ハーレムにはなりえない、と確約されているのがいい。そしてもう一人の未来の「歌姫」の魔女と敵対するでもなく、女子同士仲良くなって、王女もまじえてのんびり女子会したりするんですよ。全体的に嫌みがない、というのがこの作者さんの作風でもあるかも。日常の切り取りをゆるーくかけるのは強みかな、と思う。ドラマ性は皆無なのでそれを求めてはいけない作風ですね。別作品で、ほんのりじんわり心に染みるなぁ、という展開もかける作者さんではありますが。聖女追放ものを読んでストレスがたまっていたこともあり、久々に読み返した作品でした。
2025.05.28
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放課後よりみち委員会(1) (バーズコミックス デラックス) [ 桑田乃梨子 ]価格:880円(税込、送料無料) (2025/5/26時点)高校生の頃から、長くくわたんのファンなんですよねー全巻揃え…とまではいきませんが、ほぼ持ってる状態。独特のゆるーい読み感が好きで、「いかいかする」という言葉をごくたまーに使ってるんですが、くわたんの影響です。いかいかする、ってのは「いらいら」と「むかむか」のあいの子みたいな言葉。実はこれかなり初期漫画で登場する言葉で、以後使われることはないんですが、くわたんの漫画の特徴として「描き文字」があるんですが、なんというか、すごく日常に影響を及ぼしてくるんですよね、さりげない言葉が。さて、これはそこそこ新しいコミックですね。以前は「はなとゆめ」で活動されていたのですがフリーになって長く。こちらはタイトル通り学校、高校生の日常ものです。そしてかなりゆるーい異世界召喚ものです。召喚と呼んでいいものかは置いといて。主人公は男子高校生の「姫」。「姫野」という苗字なんですがそこからのあだ名というより、なんと異世界では女の子になってしまう、という。そしてその異世界には同じ高校の先輩が既に3人いて、それぞれ虎先輩と熊先輩と鳥先輩です。虎と熊とぺんぎんになっちゃうわけですよ、異世界で。しかも可愛いデフォルメの。まぁ、異世界ものといってもかなりゆるいし魔物とか出てくるわけでもありません。目的は「人探し」なんですが、躍起になって探し回ることもありませんし。オチらしいオチもないといえばない、いつも通りのゆるさです。ヒロイン枠の女の子がいてその子が鍵となるんですが、眼鏡っこです。可愛い。読んでて青春だなぁとかそういうのはあまり感じなくて、ただただのほほんとして、いいなぁと思うんですよね。あほのこ「姫」はおもしろいけど、きほんとてもいいやつなんですよ。素直で裏がないっていう。そして、あほのこだけど「バカ」じゃないんですよ。こういうキャラ描くの、くわたんはうまいなとおもうんですよね。そしてモブキャラにも力を抜かない…というわりは、無駄にわちゃわちゃいるモブこそがこの作者さんの真骨頂みたいなところがあり。ものすごく絵がうまいっていうのとも違うし、萌え絵ではない…絶妙なゆるキャラ感がいいんですよね。この「異世界」はBBAなわたしもいってみたいなぁと思う懐かしさがあるんですよ。狭い世界、「箱庭世界」ではあるんだけど、なんとなくいつか行ったことがあるような、ちょっとした田舎の風景みたいな、けれどそれも漠然としたもので、ふんわりしたイメージがそこにある、という感じ。何言ってんだか分らんが。ほんとうにゆるふわ漫画なので、何かしらの謎が隠されていたりとかそういうのはまったくないので、ゆるーく読むにはお勧めの作品です。
2025.05.27
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火の鳥(4(鳳凰編)) [ 手塚治虫 ]価格:1,320円(税込、送料無料) (2025/5/25時点)不朽の名作「火の鳥」この作品を読んだのは小学生の時、学校の図書館にあって、「まんがだし」ってことで軽い気持ちで読み始めたんですよねさすがにこれ…小学生には早すぎた…と今になって思います。小学生だったわたしは「怖い」が感想でしたよ…でも読み切った!けれどその時は怖いだけが印象に残ってしまったせいもあって、ほかの話を読む気になれなかったんですよね。大人になってから文庫でですが全巻集めましたけれど。そしてやはり結果的に一番好きな話が鳳凰編です。「仏教」に対する痛烈な批判も描かれていて胸が苦しくなるほどなのですが、それは太陽編へと繋がっていきます。鳳凰編では、我王と茜丸というメインの二人がいて、その二人が時に交わり時に別の道をすすみ…そんな中で「火の鳥」とかかわりを持つ。茜丸が小鳥になって火の鳥にたいして「おばさんにずっと会いたかった」というんですよ、輪廻転生の中で、ですが。そして火の鳥が「さあ、みなさい」と自分の姿を、羽を広げて見せてくれるんですよ。火の鳥さん、大サービスです。が、このシーンが、初めて読んだ時もそうでしたが、いまでもなんでかすごく好きなんですよ。火の鳥が色っぽいからか?でも「みなさい」というシーンはほんとに惹かれるシーンだった。茜丸は我王に利き腕をだめにされて、けれど悟りを開いたかのように素晴らしい仏師になるんですよね、一時期は。ブチ、という少女との出会いあたりから。この時茜丸は仏師として頂点に立ったのでしょう。けれど、仏師として名をはせた「我王」と巡り会って、茜丸は凋落していく。このあたりは本当に残酷で…けれどすごくリアルなんですよね。切なくなるほどでした。我王はといえば「師」と出会ったことによってある種の悟りを開いてしまう。これは「火の鳥」が求めるものでしたし、我王は火の鳥が時代に配した「猿田彦」のひとりなんですよね。これもまた残酷といえば残酷。猿田彦、というのは道を示す存在の神ですからね…伊勢にも神社があります。交通安全とかのご利益で有名かな?ともあれ「道」の象徴でもあるんですよ、「猿田」は。このあたりは黎明編で出てきますね。残忍な悪党だった我王が、やがては悟りを開いた仏師になり、世俗とかかわりをたって生きて…とある話で登場します。少しですが。善人だった茜丸が世俗にまみれ、火に焼かれて死んでいく悪人だった我王が悟りの道を進んで、長命を得て世俗を俯瞰するこの対比が怖くもあります。だいたいわたしたちは茜丸のようになるのが確約されているといっていいでしょうから。根が善人だったとしても、ある時ほんの小さなきっかけや、立場で、心は変わってしまうものだから。けれど、茜丸にはせめてもの救いとしてブチがいた。このわずかな救いがあるのとないのでは大きな違いで、茜丸を「自業自得だ」と蔑むことはできなくなるんですよ。茜丸は読み手に近い存在といっていいかなと。無垢だったこともあるけれど、保身のために心がけがれてしまうのも、なんかこう…わかるのだよね。気の毒ではあるけど、一生をまっとうしたといえる人だろうとも思う。火の鳥と出会うことはできたし、末期も火の鳥が迎えに来てくれた。我王は気の毒なんてものじゃなくて、火の鳥に「道を示すもの」として役をふられちゃったもんだから、この先何度も悲惨な目にあわされるんだよねー小学生の頃はただ怖いだけの漫画だったし、今でもそれはかわらなくて「怖い」話ではあるんですよ。なにしろ圧倒的で緻密、濃厚な絵がどどーんっと展開されるんですから。なんだあの緻密とか以前の絵は…デジタルじゃ表現できない、圧倒的画力…こんなん怖い以外にないわ…わたしが子供の頃は「漫画なんか読んで」とバカにされるのがふつうだったんですが、それでも手塚治虫の火の鳥となると、漫画を否定する大人たちも黙るんですよね。今では漫画だからって馬鹿にされることはほぼありませんが、それでも「ほぼ」なんですよね。いい年して漫画読んでって、鼻で笑われましたもん、数年前ですよ…それ。でも、やはり日本の漫画の力ってすごいんだぞって言いたい。手塚治虫だけではない、たくさんの漫画家さん達が作り上げてきた日本の漫画、やはりすごいと声を大にして言いたいですね。もちろんだめだこりゃなものだってありますが、そういうつたない漫画がたくさんあるからこその、日本の漫画でもありますからね。すそ野が広いってのは、やはりそれだけの場の力ってのがあります。だからいい年下BBAだけど、この先もいろんな漫画読んでいきたいなと思う次第ですよ
2025.05.26
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岸辺の唄【電子書籍】[ 今市子 ]価格:717円 (2025/5/25時点)「水」わテーマにしたオリエンタルファンタジーってことで、結構ながく続いているシリーズですね。まさかこんな長く続くとは思わなかったなぁ。けれど好きなシリーズではあります。一話完結なのもよいですね。主要人物は数人いるのですが、話によってはそのキャラがほんの顔見せ程度にしかでなかったり、全くでなかったりと、いろいろ。主要人物、まずは鬼人とよばれる人とは異なるちょっと不思議な存在のエン、孤児で人身御供にされそうになったスリジャ、鬼人のとりかえっこといわれるジンファ…このあたりでしょうかね。舞台は基本的に水の少ない地域で砂漠だったり山地だったり。オリエンタルといえばまぁそうかな?この方はとにかくオリジナルの神話をつくるのがすごくうまいんです。もちろん元ネタはあるんでしょうが、その「神話」のおかげで世界観がすごくわかりやすいし、地に足がついている、という感覚があります。そこにいる人たちの価値観が明確なんですよね。「河伯」というのはわりあいメジャーな神様で、中華系の神話に登場します。その「河伯」をうまく使ってますね。河伯のいる湖にいけにえを捧げれば水を得られる、というのがこの世界観の基本となっている。そして「鬼人」という人外の生き物もいたりして、独特の世界観がきちんと構築されているんですよね。このあたりは本当にすごいです。恋愛ものってわけでもないけれどそれらしい話もあるし、基本的には心がほっこりするような、ほのぼのした感じがあっていいんですよね。主人公になるのは毎回別のキャラなんですが、それもまたいろんな人がいて面白い。「悪夢城の主」のメインキャラはさえないおっさんで、すごく好きなんですよ。この話はちょっとコメディよりかも?「苦い水」という話なんかはけっこうきっつい内容だとは思うんですよ。さらっと流されてますが。タイトルの「苦い水」の意味がわかって。…そりゃ苦いわっていう…「盗賊の水差し」とか「影法師達の島」とか他に好きな話は多いんですが、やはり初期の方が好きかなぁ…あとは鬼人の王子ウダンというのがいいキャラしてますよね。この鬼人っていうのは人の姿をしていたり牛の姿をしていたりといろいろなんですが、ウダンは人の姿をしていて、けれどなんだかとってもトカゲっぽい、とってもいいキャラです。そして鬼人は首を落とされてもなかなか死なない、というせってもあるんですよ。これがキーになる話もあったりします。わりに残酷な話もあるんですが、それを感じさせない構成になってますね。泣かせにくるような感動モノではなく、どちらかといえば淡泊で、「むかーしむかしあるところに」の昔話を読んでいるかのような、そんな雰囲気があります。「水」をテーマに据えているからブレないのですが、そのせいで作者さん自身も仰っていましたが、似た話が?ってなることもあります。それでも何本も描けるのってすごいです。しかも一話完結なので、一話ごとにそれなりのオチがなければならないんですよね。そしてこの作者さんのお得意といっていいのか、一つのテーマだけを物語に入れるのではなく、もう一本話のテーマを絡ませるんですよ。すっごく複雑で難解、ということのほどはないんですが、話に厚みが出てきます。淡泊な話だからこそ、厚みを付けている、といった感じがします。話自体がとても地味なのでメジャー度は低いでしょうが、良質なファンタジーなのは間違いないと思います。この作者さんの持ち味が生かされているなぁ、と。ちなみにわたしは水分すくないと生きていけないので、この岸辺のシリーズの中ではぜったいに生きていけないです…
2025.05.25
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花の名前 1【電子書籍】[ 斎藤けん ]価格:528円 (2025/5/24時点)この作者さんの出世作となった作品…といえるかな?かわいらしい女の子を描く作家さんですが、同時に良い意味で気色悪い人間関係を描くのが上手な方でもありますね。この話は孤独な少女と孤独な青年が出会って恋をする、というお話ではあるんですが、根底に…言いようのない気味の悪さがあるんです。全体的にほのぼのしたタッチで描かれますし、笑うの要素もあるし、純情な恋物語には違いなく、ホラー色とかはまったくないんですが。とにかくわたし個人的にですが、この作中のメインキャラが誰一人として「好き」といえないんですよ。ただ嫌いではないし、話自体はすごく好きなんですよ。ふしぎな感覚です。ヒロインの蝶子さんは天然ふんわり系女子で見た目にもかわいらしいし、不快感なんてまったくありません。お相手となる作家の京という青年は、無口で威圧的な…とこれまた嫌いではないキャラではない。歳の差自体もきになりませんしね。ただこれ一話で終わってても問題なかったし、逆に物足りなく感じるだろうな、と相反する感情を揺さぶってくるんですよ。ヒロイン蝶子は幼いころに両親を亡くして孤独のトラウマを抱えてしまった…読んだ当初は「えー…」と思った。気の毒ではあるけどそれをいつまでも引きずってんのはどーかと…でもこれ、蝶子がめっちゃ両親に溺愛されていたからゆえなんだなとわかった。溺愛される系女子なんですよ、かなり広義的に。つまり満たされていたし、満たされているのが当たり前すぎたゆえの悲劇、というか。なので恋をする相手の京とも、ある種の共依存な関係なんですよ。そりゃ気味悪く感じてもしかたないかなって。依存しあう関係性をポエティックな漫画にしたって感じかな。全体的にとってもポエトリーな作風ではあるので、それがこの二人の異常性によくあっている。なので詩集を読むのが好きな人にはささるかも。そしてこの作品は良い意味で異常性を楽しむ話なので、わたしにもささったんですよね。4巻で終わってよかった。創作ものきキャラへの好感が大事だとわたしは考えているんですが、すべてがそうである必要はないんだなと、この作品は教えてくれましたわ。サブキャラに至るまで、これといって好み速烈!なキャラがいなかったんですわ…まあ、せいぜい京のにーちゃんくらいかな…とはいえ、キャラに魅力がないというのとはまた違います。それぞれ個性的で、ちゃんと生きたキャラになってます。たぶんこの異常性のある人間関係、人間模様の描き方がいまの天堂につながってるんじゃないかなと思います。そちらは途中で断念してしまいましたが、引き込まれる漫画には違いないです。ホラーっぽいんですよね、ポエミーなところと相まって、とにかく気味が悪い…(誉め言葉ですよこれポエミーといえばこの作品、花の名前を基本的に漢字で表記してルビをふってるんです。そこらもふくめて、とってもポエティックといいますか。そしてわたしはたぶん、京の書いた小説、受け付けないだろうなって。太宰治っぽいのかしらね?芥川っぽい爽快感はなさそうっていうか。いやしりませんけども。一文も出てきませんからねーまあそれでいいとは思います。雰囲気漫画ではあるので、そこは妄想で…でいいと思うんですよ。好みは別れそうな作品ですが、ちゃんとハッピーエンドになる少女漫画なので、その点は安心して読めるかと思います。
2025.05.24
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ロリィの青春 1【電子書籍】[ 上原きみ子 ]価格:616円 (2025/5/22時点)古い少女漫画って、もー、かなり設定がむちゃなんですよね、の代表作がこれかなって。いや、好きな話ではあるんですが。海外が舞台なので無茶し放題ってところなのかもしれませんが。青春と恋の物語なんですが、そこに乗馬…障害物のスポーツが絡んできます。そこがおもしろいんですよね。でもスポーツものではないんですよ、これ。あくまで主人公たちの「青春」を主軸にしているようです。主人公はロリィ、登場時は14歳でした。ところが家が貧しいため勤労少女…妹のカーラはとっても美人な女の子ですが、勝ち気でしっかり者。ところが姉のロリィはドジっ子で…と、まあ、それなりにどこにでもある設定ではあります。母は病弱で父は早世、というのも苦労話としてはよくあるかな?ところが、ネタバレだけどロリィの母親はおフランスのお金持ちのお嬢様だったんですよ。けれどかけおちしてアメリカへ、という。このママの話だけでもけっこうなページを割けそうなところですが、メインはあくまでロリィなのでちょっと触れるだけ。恋のお相手となるのはクレオ。これまた大富豪の跡取りお坊ちゃんなんですが、はじめは正体を隠していて、その状態でロリィと出会います。そこから、いじわるなライバル役としてダリアという少女が出てきます。とってもいいキャラなんですが、はじめは「悪役」として登場しちゃうんですよ。ガラスの仮面でいうところの亜弓に近いかな。そして重要なキャラとしてハッピーと名付けられた白い馬もいます。この馬との出会いがロリィを乗馬の道へ進ませるんですよね。このハッピーが心の声でしゃべったりするのは…まぁ、ご愛敬。わたしはこういうのあまり好きな方ではないのですが、まあ、場合によってはありかな。それはともかく、無茶な設定というのは、馬との出会いもそうですし、まず馬を育てることってそんな簡単ではないんですよね…まあ漫画なのでそれはあまり気になりませんでしたが。あとは、ロリィは結局貧乏なこともあってハイスクールへは行きませんでした。それはいいんですが、漫画のラストでロリィはクレオと結婚するんですよ!!そんな年食ってないはずで…せいぜい16歳頃かな…?その前にシベールという子と結婚するハメに陥りそうだったわけですが、ここらあたりの紆余曲折がすんごいんですよ。少女漫画のトラブルをすべてかき集めたような展開っていうか。シベールは心臓が悪いんで死にかけるし、クレオは一時ヘリコプター墜落の事故で死んだものとされていたし、ロリィはロリィで失明しかけるし、おフランスにつれていかれておじい様とあったかとおもえばお家騒動にまきこまれ…いやもうお腹いっぱいってくらいありますよ…わたしはロリィの妹のカーラがすごく好きでした。初めて読んだ時からあんまり変わらないかな。すごくまっとうな子なんですよ。ロリィに冷たくしていた時期もあったんですが、冷たく仕切れないところも可愛かったし。母親の薬代を稼ぐために家を出たり、その前には綺麗な髪を売ったりしていました。ドジっ子だけど一生懸命なロリィの方が主人公としては適任でしょうが、カーラの立場からすると、そりゃいらいらしますよ…しかもカーラは好きになった男の子がどちらもロリィが好きって展開ですからね…最終的にはロリィよりカーラに惹かれたって具合の子、シベールがいて、ハッピーエンドになったけども。カーラが好きだったので、ロリィとふたりで自宅に帰り母の墓参りを、って話にはほっとしました。カーラ、いい子やんな…カーラだってものすごく頑張ってるのに、ソツなくいろいろこなせることもあるから、まわりにすこーいと言われにくいし、やたらと同情を得ようとしないんですよ。姉のロリィはといえば、一生懸命で素直で、うまく立ち回れない不器用さがあり、けれどそれゆえ庇護されやすい。ロリィはカーラのこと好きなんだってわかるんだけど、これは…ロリィの傍にいるのはきついよね…って思ったわそしてヒーローのクレオだけど、年齢はわからんけど、でっかい会社の社長職についちゃうんですよ。いやいやいや…いくらなんでも、学校は?ハイスクールであれ大学であれ、キャラ達が学校に通ってる、一コマもでてきませんからね…必要ないからとばっさりカットしてるんでしょうけど…さすがに無茶ではと苦笑しましたわあとは、気楽に海外いっちゃってるけど、パスポートどうしたってなるんですよ。クレオは金持ちなんでわかるけど、ロリィは?国内旅行感覚でアメリカからフランスへ飛んじゃってるんですよ…言葉の問題もガン無視です。ま、まあ…むかしの少女漫画ってそういうとこあるよねっていう。ただ、やはり勢いがあるので、面白くはあるんですよ。今だったらがっつり「乗馬」「馬術」に焦点をあてて描かせたんじゃないでしょうか障害物レースってすごくおもしろいなと思ったんですよ、わたしもたぶんそれで読み始めた。馬術…オリンピックの協議にもなっていますしね。障害物をどのようにクリアしていくのか、テレビで見ただけでも馬術は迫力あるし、なによりかっこいい!この漫画でもそうした「迫力」はちゃんと描けてますね。ど素人だったロリィが特訓の末、大会出場も果たしますし、そこでまさかの妹対決、とかね。妹のカーラも馬術をやってたとか…ご都合展開もスポーツものではあるあるってやつでしょう。しかし後半はあまり馬術は出てきません。それが残念でしたね…馬術の女王といわれたダリアとは最終巻で決着をつけるんですが、それは競技場ではないんですよね。そこがちょっと惜しいなと思った。まあ、馬術がメインの話ではないので仕方ないね…でもやはり公式な競技の場で戦ってほしかったなぁと。とにかく勢い、勢いだけでどんどん話が進んでいくので、細かなことはけっこう端折られてます。昭和にはこんな漫画もあったんやねぇ…と思える作品ではあるので、読んでみるのもよいかも!
2025.05.23
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エースをねらえ!(全10巻セット) [ 山本鈴美香 ]価格:6,809円(税込、送料無料) (2025/5/21時点)スポコンものって好きなんですよね。たとえばそれが演劇でもバレエでも、知見を得られる楽しみがあるというか。わたし自身は運動神経を持ち合わせていない根っからね文系なので…いや頭も悪いので文系というのもおこがましいけれど。エースをねらえは連載当時、一世を風靡した漫画だったのですよね、アニメにもなっているし。さすがにリアタイ世代ではないし、この作品を読んだのはかなり年取ってからでした。今にして思うと、スポーツものなのに巻数が少ないですよね。わたしは古いタイプのコミックで持っているのですが、20巻ないんですよ。そしてこの頃って驚くことに、「週刊連載」だったんですよ。少女漫画にもかかわらず。なので、線が荒いところもあったりします。それでもこの作者さんは人体を描くのがうまいですよね。これはこの当時の漫画家さん全体にいえることなのかもしれませんが。さい内容はご存じのことかと思うのであえて説明するまでもありませんね。それにしてもこの頃のスポーツの「特訓」は「しごき」なわけで、今だったら絶対問題になってるレベルのことをやってます。そして精神修行もかなり前面に押し出してきます。とはいえ、やはりこれはスポーツマンがの王道といえるでしょうね。むかしの漫画って、メイン以外のことってけっこうざっくり流すんですよ。日常生活をあまり見せないし、時間の進め方もかなり早い。作中で主人公のひろみは短大生になりますが、その勉強風景にページを割いたりしません。ただ、いいなぁと思っていたのは、ちゃんと親友の牧がところどころに出てきてくれているところなんですよ。牧は、テニスからは離れてしまったけれど短大ではまた友人になってて、宝力さんに「女の友情長続きしてるんじゃない」と言われるほど。こういう、テニスとは関係ないところでも、ひろみにはちゃんと友人がいる、という事実は救いになってるんです。その日常を描くことはなくても、かかれていないところではちゃんと一人の女の子としての「ひろみ」がいるんだなぁと。そしてエースをねらえと絶筆して亡くなった宗方コーチなわけですが…実はこのコーチの設定ってかなり無茶があります。読んだ時から不思議で仕方なかったんですよね。でもそういった「こまけーこたーいいんだよ」的な勢いで話は進んで、終わります。とにかく勢いです。早めに終わってよかった、という作品でもありますよね。宗方コーチは複雑な家庭環境で育ちますが、いかにも昭和的です。おかーさんは愛人なんですよね…宗方コーチの父親は緑川さん(お蘭)の父親で、つまり緑川さんの母親が「正妻」…なんだけど、正妻面ってのはしてません。まあ、宗方ママは早世しちゃいますしね。まー、ほんで宗方ママはシングルマザーとなり、そのまま実家で病を得て、さくっと亡くなります。宗方コーチはこれがトラウマになってるわけね。で、その宗方コーチも体を悪くするわけだけど…このあたりまったくといっていいほど説明がないんですよ。どんな病気だったのかはわからずじまい。悪性の貧血がどうのとは言ってますが、入院もしてるのに「保護者」の立場にあり、身内でもある祖父に一切説明されていないって、ぶっちゃけありえないでしょう。宗方が口止めしていた、ということも描かれてませんからね。膝を悪くしたときは祖父の励ましがあったから知らされていたよね?一人娘をはやくに失って、その孫まで入院となったら、ごくふつうに徹底的に調べさせるのが祖父心では?親友の桂だけは知っていた、という設定ですが、その桂にしてもなんの病気だったからおしえてくんないんですよー読者に。まあともあれ「宗方コーチが死ぬ」という設定が必要だっただけなので、その病名やらまわりのあれこれやらは一切排除してるんですよね。このあたりの徹底感はすごいです。後にひろみのコーチになる桂は永平寺にこもって修行して、…まあこれも実家が寺だからなんですが、父親が会社の社長という地位にあって、…つまりぼんぼんなんですが、こちらもまた母親の存在はいっさい語られない。無駄はすべて排除してるって感じですね。宗方よりは桂の方が…見た目的に好みでした。男子勢は藤堂・尾崎・千葉といて。尾崎はお蝶様loveなんですよ。たいへんすぎる・・・妹がいる設定はたぶん後付けかなと思ってました。この漫画は無駄を省いているのと、後付け設定がそれなりにあること、後なぜか秘密のはずの事柄が皆に知れ渡っているってことがあるんですよ。宗方と藤堂のやり取りとか。誰がしゃべったんだよっていうまあ、そういう感じでざっくりとしてるしツッコミどころはかなり多い。スポーツものとしてどんなんだろうかっていう「しごき」もあったりしますが、テニス漫画として参考にしたいところはやはりあるんですよ。柔軟の大切さもそうですが、クラシックバレエと比較して語っているのはさすがだと思いました。人物デッサンがとても奇麗です。コマ送りのシーンを描いてるんですが、いまとちがってデジタルじゃないんですよー!けれどたしかにポージング、姿勢がすばらしく美しく書かれているし、その点を作中でも大事なこととして語っています。クラシックバレエの美しさは「脅威」だと語るんですよ。ほんとにそれ!っていう相槌うちまくりでしたから!あとはへんな「魔球」なんぞに夢見るな、とも言ってましたね。ウイニングショットとは別のものです。決め球、というのは選手によってはあるはずですから。この時代「打点をかえる」ってのはまだあまりメジャーじゃなくて、とはいえ伊達選手がそれをやっていたように記憶しています。伊達選手、好きだったんですよ。この頃からはコートが芝ってのはあまり主流じゃなくなってきていたんじゃないから?作中では実在する選手も登場します。これも何気にすごいですよね。「週刊連載」の強みでもあったかも。週刊連載ということもあって絵に雑なところもみられはしますが、それでもやはり力強いタッチで描かれて、多少の矛盾なんぞは蹴散らす勢いで読ませてくれます。現代のスポーツ論には合わないかもしれませんが、テニスブームがあったというひとつの証拠として、この作品は後世に語り継がれていくんでしょうね。作中でまっとうなキャラともいえる、緑川さんや牧、女子ではこの二人が好きでしたので、ぜひとも幸せになってもらいたい。ツッコミたい気持ちは抑えて読んでもらいたいコミックです。今だと…宗方コーチは人気でなさそう
2025.05.22
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おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中!(1) (comic LAKE) [ 晴田巡 ]価格:825円(税込、送料無料) (2025/5/20時点)なんだか人気があるなぁと思って一巻読んでみたのですが。結果として、わたしには合いませんでした。ただ、面白くない、とかではないと思いますし、楽しめる人も多いでしょう。これきっとアニメ化するな、くらいの人気はあると思います。イラストもふんわりしててかわいらしいですしね。ヒロイン・ニコルは婚約者にほぼ放置され、その婚約者ときたら王女のことばかり口にするっていう。もちろんそれは仕事だとわかっているけど、ないがしろにされているのは周りから見ても明らか、といういわば「不遇なヒロイン」。そんな時、ふと思い立って一人でいろんなことやってみよう、と思い立つ、という話なわけですが…うーん、続きは気にならないなってことで。つまりあまりいい感想にはなりません。婚約者ケイオスにはいらっときますが、ニコルに不快感は抱きませんでした。ただ…なんというか、ものすごくモブなんですよ…そりゃモブ扱いしちゃうわなっていう。この手の少女漫画に多いのですが、伯爵令嬢らがなぜか学園に通っているんですよ。なんで?としか。そんな必要なくない?伯爵令嬢ですよね?たとえばこれが「乙女ゲー」の世界とかならまあわからんでもないんですよ。架空の世界だってのがより強調されるので。そういうゲーム転生ものは好きではないのでそもそも手にとりませんしね。コメディならいいんですが。でもこの作品はそうではないんですよ。で、世界観というか時代はナーロッパ…こと、中世後期くらいで貴族制度がある、王政国家。どの程度文明が進んでいるのかがわかりにくいってのもあります。それは世界観の設定にあるのが「乙女ゲーム」のような現代の感覚+中世風、というひどく曖昧なものだからでしょう。宗教観がない、というと固く聞こえますが、この世界の人たちの宗教観というより、価値観がわからないんですよ。学校があるわけですが、はたしてそれはどんな学校なの?文化の水準がわからないんですよ。だから「学校」の定義もわからない。伯爵令嬢なんだから家庭教師何人も雇えばいいだけのことです。たとえば、日本でも大正時代には女学校はありましたし、いいとこのお嬢さんが通ってたりもしました。いわゆる「華族のお嬢さん」ですね。これは教養を高めるためでもあったでしょう。ステータスとして通っていたりもしたかもしれませんが。このコミックの学校もそういう「女学校」みたいなものかもしれませんが、妙に中世風と合致しないんですよ。「学園」の雰囲気が現代っぽくて。大正時代の女学校ものって、ちゃんと時代にあった価値観が学校内にあるんですよ。もちろん突飛な考えの女の子もいたりはするんでしょうが、女学校がまわりの「日常」にちゃんと溶け込めている。服装や制服もそうですね。ところが、この作品に限ったことではないのですが、いわゆるナーロッパって文化水準がちぐはぐで、周りの環境と学園が溶け合ってないんですよ。さらにいえば「服装」もです。地味だと揶揄されるヒロインだけど、地味とかいう以前にその服装はさすがにその時代にあってないんでは?と思ってしまって。せめて中世ヨーロッパ風の地味な服装にしてほしかった。あとは、作中の人物らの価値観がわからない。というか、作品の世界の世界観、かな。この世界において「伯爵令嬢」って一人で街歩きしててもいいものなの?学園通いしてるってことは安全だからひとりでもok?いやでも、随身くらいつけなさいよって思っちゃって。庶民ならわかるんですよ。なので、庶民に成りすましてってのもわかるけど、それでもお供の方はつけなきゃでしょ。ひとりで忍び歩きをしたいので、お供の方にはちょっと離れたところにいてください、というなら納得感出ますし、あるいは勝手にお供の方がついてきてこっそり伺ってる、でもいい。そして、たぶんこれって「ひとり行動」が得意でない方向けの作品なんでしょう。ひとり行動がふつうの側から見ると、やってることがしょぼいんですよ。それくらいのことひとりで…いや初めての時はどきどきするだろうけど、かりにも伯爵令嬢って地位も教養もあるだろう人が、街歩き…なんだろうこのものっすごい違和感…初めからひとりで行けばよかった、みたいなノリでも、そっすね…としか。というか、家族も止めなさいよ…伯爵令嬢ですよ?なにかあったらどーすんだとかないの?せめてメイド一人はつけて…もうちょっとこう…読んでもやもやばかりがたまるんですよね。キャラの感覚が現代すぎて。これね、たぶん現代もので描かれていればそこまででもなかったんだろうと思うんですよ。現代で、いい家のお嬢様が親に決められた婚約者がいて、けれどないがしろにされていて、いろいろと心砕いてきたのにこんな扱いされるなら、ひとりでいろんなことできるようになろうって。街歩きもひとりで楽しいし、一人旅だろうが映画館だろうが焼き肉店だろうが、どこへだってひとりでいけるんだって。ちょっと勇気出して、いろんなことにチャレンジしてみようっていうなら。そういう女の子は少なからずいるでしょうし、そういう気持ちはとてもわかるんですよ。「初めの一歩」みたいな感じかな。ひとりでも楽しめるんだなって。が、中世ヨーロッパ風にしてるもんだから、違和感はんぱない…せめてファッションくらい現代とは違うものにしてほしかった。現代のワンピースだよね、それって。と思っちゃって。没入感をそいでくるんですよ。細かなことですが、世界観、価値観って、キャラが動くための指標になるので、大事なんですよ。いちいち説明しなくてもいいけど、絵なのだから、絵で見せればいいんです。まあ、「おひとりさま」という言葉を使いたかっただけどろうタイトルですし、その言葉自体が「現代」的なんですよね。あとはヒーローのケイモスくんですが、まぁ、これはどうでもいいですわ。たぶんヒロインとより戻してほしくない勢がおおいんじゃないかな?改心するにしたって遅すぎでしょ。読者さんの好感度低そう。王女も王女で、気づかなかったとかいう以前の問題ですよ…危機感なさすぎる。男友達みたいなものだっていう感覚が現代的すぎるのはおいといても、へたに醜聞としてひろまったらどうするんだよっていう。適度な距離を保つべきではなかったの?という。つまり、あんないい子って感じしなった。作中の主要キャラに、ちゃんとした「友達」がいないってのはいたいですね。友人でなくても、苦言を呈してくれる人が誰一人としていない。ニコルにしても、そうです。まわりに陰口ばかり言われていたのでしかたないですけれども。そこは同情できます。現代的な思考が悪いというわけではなくて、コミックの舞台設定になってる時代背景と、キャラ達の思考、価値観をもうちょっとすり合わせてほしかったなっていう。あとは、もっとコメディ寄りにしてくれてたら楽しめたかも。令嬢ものって、好きなんですけれどねーどうしても違和感覚えてしまうものもあるのでしかたないですね
2025.05.21
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口紅コンバット1【電子書籍】[ 佐伯かよの ]価格:495円 (2025/5/20時点)ありえない設定がてんこもりのこのコミック、すっごく好きなんですよね。これもまた古いコミックなのですが、無理押しごり押しが素直に受け入れられた頃の漫画、という気もします。全部で4巻なのですが、やはりはじめは人気低迷していたそうですね。それで長くは続けられなかったっぽい。主人公は高校生の女の子ふたり、忍と理絵。この二人が実は世界的大企業グループの総帥、という設定なんです。もちろん未成年ですよ。今じゃ考えられない設定ですね。もとは祖父がグループの総帥だったのですが、孫の二人がそれを継いだ、という具合で。そしてスーパーガールなのでもちろんグループの株価は上がっているし、部下たちの信頼も厚い、という。現実味なさすぎやろと思うでしょうが、不思議とそんな感覚には陥らないのです。それっぽい単語が出てくるからってのもありますけどね。日銀もそうですし、株主総会、国税局、公取委などなど…企業がどう成り立っているのかをちゃんとわかっている会話が端々にあるので、いいかげんなこと言ってら感はありません。旦那様の影響もあるでしょうね。時々出てくるモブのおっさん、旦那様がかいてるなーとわかったりもしますし。忍は長髪黒髪、理絵はふんわりショートカットで、実はこの二人はいろんな作品に出ています。名前をかえたりしてね。ビジュアルはほぼ一緒。最近だと「クオ・ヴァディス」でも主要キャラとして出ていました。かなりなじみ深いキャラで、もとは別の話のモブとして登場していたそうなのです。手塚治虫からの流れなのか、スターシステムみたいなものですね。物語としては若き総帥の二人が商売敵とたたかってみたり、ちょっとした事件に巻き込まれたりと、アクションもあり、恋愛もあり、という満載感。女性として戦うんじゃない、ひとりの人間として戦うんだ、みたいな流れではなく、タイトルにある通り「女として戦う」話なんですよ作中でも忍が言っていますが、男は兜のひもを締めてたたかうけれど、女は紅をひいてたたかう、と。これに関して、いまじゃわーきゃーいう人が出てきそうですが、わたしはやはり、女が女として戦う、という姿勢がいいなと思うんですよ。女だからこそ見えてくる視点もあるでしょう。理絵はとくに体術も極めていてとても強いんですが、ちゃんと女性らしく恋もする。恋と仕事、どちらも手にいれるんですよ。パートナーになる男性が忍にも理絵にも表れるんで、やっぱり男がいるんじゃんーっていうのは野暮だと思う。一緒に戦っていこう、というスタンスなんですよ。ビジネスパートナーでもあり、愛し合う一対の男女でもある。女を捨てる必要はないし、かといって男に頼るだけのこともしない。対等な人間として、けれどちゃんと男女として愛し合い、支えあって、戦っていく、という。だからはじめ、忍にとってのパートナーは理絵だったし、忍と理絵は一対、静と動、魂の半身とも描かれる。そしてそれは終生変わらないだろう。わたしはこういう同性同士のつながり、絆があるのってすごく好きなんですよね。会うことは少なくなるかもしれないけれど、心のつながりは消えない、というのを感じさせる関係がとても好き。依存関係ではないからこその繋がりなんだなって。まあかなり無茶な設定ではあるんですが、それをものともせずに描き切った、という少女漫画の枠を超えた内容になっているので、いつの時代に読んでも面白いものだと思います。なごみキャラとして登場するゴンちゃんも…作者さん好きだなぁと、にっこり。
2025.05.20
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青い宇宙のルナ【電子書籍】[ あさぎり夕 ]価格:594円 (2025/5/19時点)驚きの古さ!!ですがこれ、コミックで持っています。昔の少女漫画って…スケールがすごいねっていう。これは短編集で、表題の短編は舞台が宇宙です。そして悲恋もの、といっていいかな。そういうのがほかにも入ってます。あさぎり夕先生のコミックは好きで何冊か持っていますが、古いものだけ手元に残してありました。が、リアタイで読んでいたのはたしか「あっぷるドリーム」でした。そのあとの「あこがれアドベンチャー」も読んでたかな…ところが好きな話は「あいつがHERO」なんですよね。リアタイで読んでいたわけではないのですが。しかし後年、この方はBLにいきましたね。その兆候は、じつは初期段階からすでにあるんですよね、おもしろいことに。この単行本にもそれは現れていて、「ちょっぴり危険なラブ講座」って好きな話なんですが、このあたりはほんと…続編がたしか一本でてたはずなんですが、それで察し…ってなりました。でも収録されている話、どれもさすがの描き込みで、すごいなぁとなりますよ。シリアスなものからコメディまで、いろんなことに挑戦されている方です。そういえば、ずいぶんと前に男性向けの漫画も描かれていて「ミッドナイト・パンサー」だったかな。持ってたんですが、手放しちゃったんですよねーもったいない男性向けってことで、女の子たちの裸体満載でした。けど不思議と下品さがなくて。たぶんBLのほうが得意だからなんだろうなと思ってました。女の子三人、かわいかったんですけどね。ルキシュ(ルウ)とケイとソニアという三人のアイドル兼殺し屋っていう設定。異世界というか、終末的世界が舞台でした。男性も出てくるんですがそっちに力はいってましたもんね。わたし自身はBL読まないので手は出しませんでしたが、いろんなジャンルをこなしてこられた方だったんだなと改めて感じます。初期作品てのは、その作者さんの嗜好がわりに出やすいみたいで、それらを楽しめるのが古いコミックの楽しいところですね。久々に読んで、やはり好きだなと改めて感じました。
2025.05.19
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ガラスの仮面(1) (白泉社文庫) [ 中村保雄 ]価格:770円(税込、送料無料) (2025/5/18時点)昭和の名作漫画のひとつですね。が、これもまた完結をあきらめたコミックでもあります。紅天女の里でエチュード開始、あたりまでは追っていましたが…完結はあきらめて自分の中で「こうなる」と勝手に妄想して終わらせることにしました。この漫画は昭和・平成の時代に終わらせておくべき漫画だったと思うんですよ。「紅天女」という舞台の話があまりにも現代には向かない設定すぎる。舞台やテレビが、映画が主流であり、世間を動かしているメディアであった時代ならともかく…今ではどんな名演技をしたところで、一部の人に「すごいね」と言われるだけの「舞台演劇」にすぎなくなっている。そもそも登場人物たちの造形からして「昭和」でしかありませんしね。途中から「携帯電話」が登場しているようですが、そもそもはじまりは「黒電話」ですよ?それがいきなり「携帯電話」まで時代が作中でながれちゃってるのは不自然でしかありません。だってせいぜい五年くらいしか経ってないはずなんですよ?昭和から五年…せいぜい平成中期ですよね?まずその設定からして「だめだろ」と感じてしまったんですよ。あくまでこの漫画の時代設定は「平成前期から中期」ってことにしておかないと。月影先生…戦前の人なんですよ?そういう描写を入れてしまった以上、時代は動かすべきじゃなかった。この漫画のピークはおそらく「二人の王女」あたりまでだったろうと思うんですよね。わたしはこの作中劇好きでした。まあ、いうてオリゲルドがメインの話になっとるけどもね。そういえばいつも思っていたんですが、いじわるな監督の小野寺さんは、いろんな嫌がらせをしてくる人ですが、監督としては有能なんだなぁと。でなきゃ、数々の舞台を手掛けられませんよね?とくに亜弓の舞台にかかわっていることが多かったですし。オリゲルドとアルディスの話は、それの前の段階のオーディションの回も好きでした。マヤに有利なご都合展開的なところはあるでしょうが、マヤがどんな「演技」をしてくるのか、という楽しみがありましたし、勝ち進んでいくのも納得感がありました。ガラスの仮面はマヤが主人公ですが、亜弓もまた主人公であり、おそらくですが人気でいえば亜弓の方が勝っているのでは、と思います。カーミラの時とか、亜弓に惚れた人は多かったはず。そもそも亜弓は初期段階からマヤのことを侮れない子だと一目置いていた。ライバル認定してたんですよ。そして嫌がらせの類は一切しないし、むしろ奮い立たせてくれる人でしたよね。人間ができすぎてるんですよ。いい人すぎる…そりゃマヤもこの人には敵わんと思うやろ、というとてもいいキャラです。わたしももちろん亜弓が好きなんですが、なぜといえば亜弓はめちゃくちゃ努力家なんですよ。一方でマヤはといえば、天才的すぎて、役者というよりは「巫女」に近いんですよ。紅天女の時が一番それを感じました。紅天女のさまざまなエチュードで月影先生が言っていた「風を演じろとは言ったが、風になれとは言っていない」と。これはすごく重要で、亜弓はそれに衝撃を受けて「火」になろうとしますが、根っこから役者の亜弓は「火」になり、「火」としての演技もそこに加えた。つまり「魅せる」ということを常に頭に置いている。ところがマヤはそれができない。神降ろしをするみたいに、風であれ梅の木であれ、それになって「神気」をおろしてしまう。そうして「巫女」のような語り手になってしまう。巫女という天賦の才があるがゆえに、実はマヤは努力をないがしろにしてしまうところがある。亜弓はつねに努力を重ねている。ダンス…バレエも日舞も、なんでもやる。演技に必要な「体づくり」を積み重ねていく。演技は、体づくりがとても大事なんですよ。とくに舞台役者ならそれをして当然です。体の演技、というものはある。たとえば「剣技」のシーンがあるなら、やはり剣術はひととおりやっておくべきでしょう。せりふではなく、肉体の表現で「剣技」を魅せなければならないから。魅せるための体づくりというものを怠らない亜弓に対して、マヤは苦手だから…とダンスなどは避けてきた。狼少女のような役の「体力づくり」はするんだけど、肉体表現のための体づくりはしてないんですよ。パントマイムでの表現も亜弓にかなわないのだけど、それは当たり前で、基礎の体づくりをしていない。この差が顕著に表れたのが紅天女の練習で、ここらまではまあなんとなく読めたんですよ。マヤがそれを克服しなきゃならないだろう…その後どうするんだろう…とけど、なんかそういう体の表現をおろそかにしたまま舞台づくりしそうな予感しかしなかったし、あとは紫の薔薇の人まわりがきな臭くなってきてて…無理になってしまった。しおりさん……あのお嬢様はさくっと退場させとくべきでしたよね。とんでもない性悪というか、お嬢様である自分の立場を笠に着て…いやわかりやすい性悪女ならまだしも。まあ真澄が悪いっちゃ悪いんですが。紅天女練習から東京に戻ってきて…以後の話はもう読まないことにしたのでどうなったのか詳しくはわかりませんが、桜小路くんもなんかね…マヤにそれほど執着するのなんだろって。ま、まあともかく、紅天女の話の内容とかも、もう今更どうでもいいか、となってしまったのは、現代に合わなさすぎるから、なんですよね。古典としてなら受けいれられるのですが……なんかこれ、スピリチュアル系の話ですよね、結局。そういう話は嫌いではないんですが、作中劇としては微妙なんじゃないかな、と思うんですよ。作中劇で面白かったものって二人の王女や狼少女、真夏の夜の夢、ヘレンケラーとか…あとは一人芝居のヤツとか…けっこうあったとは思うんですが。アングラでやってた…えーっとタイトル忘れた、マヤが人形になるやつ。もともと「舞台」として有名なものもあったりしたので入り込みやすかった、というのはありますね。もちろんオリジナルのものもありましたが、有名なものをやっているため、わかりやすかったというのはかなりの大きかった。ところが「紅天女」はオリジナルなんですよね…正直不安しかないです、その内容。しかしこの作者さん、初期の頃の漫画ってけっこうおもしろいし、好きなのもあるんですよ。孔雀色のカナリアとか黒百合の系図、妖鬼姫伝とか…ホラーやサスペンスがうまかった。「ダイナマイト・みるく・パイ」みたいなちょっとコミカルな話も好きでした。ほかにもいろいろとあってストーリーテラーとしてはさすがといえるんですが、しかしやはり「紅天女」は持ち上げられすぎて…いっそ紅天女をこれだけでコミカライズしてほしかったかな。わたしもいいかげんBBAですので、ガラスの仮面の最終話は読むことになくあの世とやらにいきそうです。なので、もう終わったものと認識しておいた方がストレスないな、と思って。王家の紋章やクリスタル・ドラゴンも同じく。最終回はそれぞれの胸の中に。そういうコミックがあってもまあいいかな、と。あきらめも大事ってことです。
2025.05.18
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【全巻】 花野井くんと恋の病 1-16 巻セット (KC デザート) [ 森野 萌 ]価格:8,811円(税込、送料無料) (2025/5/17時点)そろそろ完結が近いらしい…んですが、もうしわけないことに途中で断念してしまったコミックです。とはいえ、少女漫画らしいいいお話だと思いますし、高校生のきゅんとくるラブものが読みたい方にはおすすめできるかも。面白くない、とは感じませんでした。アニメ化もされたんですね~そちらは観ていませんが、人気作という雰囲気はあったので納得です。恋に鈍感というよりは臆病なヒロイン・ほたると、執着心がはんぱない花野井くんのお話ですが、わりと早い段階で両想いになります。それぞれ過去にトラウマを抱えているのでそれをどう乗り越えていくか、というのもテーマの一つでしょう。昭和世代からすると、言葉は悪いですが「その程度」なトラウマなんですが、つまり主人公たちみんなとても繊細なんですよね。本人らにしてみたら軽い心の傷ではないし、それと向き合って克服していく様は、健気で応援したくなります。今どきの高校生らしい心模様だなとも思うし、「その程度」とはいえ本人にしてみたらとても重要だし、乗り越えるのは簡単ではないんですよ。繊細だから。優しい、という感じはしなかったんですよ。とても繊細だなぁ、という印象です。みんな細かいガラス細工みたいで、壊れたら戻らないし、触れたら傷つける、みたいなね。うかつに手を出せない繊細さを感じる。そういう意味でも、今どきなのかも、と感じました。キャラクターに関しては、ほたるの友人二人が好きでした。好印象ですね。きょーちゃんこと「響」と、しばむーこと「月葉」はいい寄り添い方をしてくれますよね、主人公に。恋愛脳のきょーちゃんは、ほんといるいるこういう子!ちょっと騒がしいけど嫌みのない子ですし、しばむーの他人に干渉しないところはすごく親近感持てました。きょーちゃんはともかく、しばむーの恋も応援したいようで…いっぽう、別段恋バナはいらんかったなーと思ったりもしました。とにかくまわりが全員といっていいほど恋愛脳だとさすがに疲れる…かなって。別のコミック「君と僕」での友人キャラのなべさとが、いい塩梅だったんですよね。ふたりとも恋愛はあまり興味なしっていう感。主人公のことは応援するけどっていうね。まあ、しばむー好きでしたし、恋バナ自体もよいものだったので、どちらでもって感じではありましたが。とはいえ、途中で断念してしまったのは、そこだったりもします。そこ、つまり全員が恋愛脳過ぎることに食あたり、みたいなね。もちろん話の軸にあるものはそれだけではなく、広義での人間関係が含まれているのはわかりますけれども。これがたとえば全部で10巻完結なら、まちがいなく揃えていたでしょう。少女漫画ってそのくらいがいいんです…恋愛ベースならとくに。これがスポコン系だったりミステリとかオカルトとか話の主軸が恋愛でないなら長くてもよいのですけどね。少女漫画とくに恋愛は10巻前後に飽きがくるんです、わたしの場合ですが。これはあくまで私個人の「飽き」なので、現在でも人気なんだろうな、とは察せられます。結構丁寧な話作りをされている印象がありましたから。この話を好きになれるかどうかって難しいとは思いますが。ある種の溺愛ものではありますしね。主人公の花野井くんが好きになれるかどうかも大きなポイントになるでしょう。かなりの執着系男子…これへたすりゃストーカ……もにょもにょ…ですから、その線引きがとても難しかったと思いますよ。そしてヒロインのほたるも、たしかにいい子なんですが、そこまで執着されるような子かどうかも、このコミックを好きになれるかのポイントでしょう。周りの男子全員にラブ視線向けられるわけではないけれど、少なくともあと一人は視線向けてくる子もいたしで。まあ、三姉妹の真ん中ってことでおとなしいいい子でいることに慣れているからこその性格ってのもわかるので、わたし自身はほたるは嫌いではなかったです。こういうふつうでとがったとりえのない子の方が執着されやすいよねっていうリアリティはあります。ほたるの妹とのエピソードは本作の中ではかなり好きです。あんな妹がいたらそりゃ自分は控えめになろって思うわなっていう。妹はかなりわがままな雰囲気の子としてかかれますが、けっしてバカじゃない、ちゃんとしたいい子です。これがまた残酷。だいたいヒロイン周りはみんないい子なんです。トラウマ背負わせたあの子とも話しできたのはよかったしね。陰惨な感じではないんですよ。これ、花野井くんまわりもそうで、さみしかったのはわかるし不器用なのも性格とはいえ、執着がこわい…ってなるよね。けど周りが受け入れてくれる。親御さんのことにしても、いやまあ、完全な放置子ってわけじゃないし…「かぎっ子」世代のわたしからしたら、うーん、たいへんだなぁ今の子たちは繊細でって思ってしまう。時代の感覚の差が見られたのは良かったですわ。どの時代でも、その時代の生き方があって、正解はないし、そのときどきの悩みってのはありますからね。周りがよく見えてしまうってのは、今も昔も変わらないでしょうし。時代によって違う感覚のものはあるけれど、不変の感覚もある。少女漫画の、とくに恋愛ものってそれを改めて感じるのにいいんですよね。いやこれ漫画に限られないし、少年漫画でも同じか。それはさておき、高校生の恋愛ものがお好きな方にはけっこういけるんじゃないかな、というコミックです。青春だし純真な恋物語。一度読んでみるのもいいかもです。
2025.05.17
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妖怪缶詰(第1巻) (白泉社文庫) [ 魔夜峰央 ]価格:576円(税込、送料無料) (2025/5/16時点)パタリロや埼玉で有名な方ですが、妖怪ものもおおく描かれている方です。パタリロも妖怪と言えなくもない…つぶれあんまんとかいわれてましたし、実際この本の中のちょこっとエッセイ部分にもツッコミ役として登場します。何しろオカルトもの、幽霊とか妖怪が好きなので、こちらの作品も大好きです。1巻が和物、2巻が洋物です。ふりかえってみると、わたしは「牡丹灯篭」はこの方の漫画ではじめて読んだかも。子供の頃に読んだのかな。とにかく不気味でした。この作者さんのイラストはかなり独特な雰囲気で、それがオカルトものにあっています。ただ好悪は別れそうな絵柄ですね。かなり癖があるので。わたしは怪談とコメディってよく似ていると思っているんですが、この本を読んで改めてそう感じました。和物の方は基本「妖怪」ものの話が多いです。有名な怪談のアレンジもあります。「黒塚」がそれですね。怖いものもありますが、絵柄は怖いけどべつだん怖いことはされてないなってものもあり。洋物のほうはコメディ風が多いかもしれませんが、少女漫画雑誌に掲載していただけに、少女漫画風なものもあります。絵柄がそうは見せませんが。そういえば洋物の悪魔の名前を知ったのも、この方の作品のおかげだったかも。アスタロトに関してはたしか連載ものがあったはずです。そちらは途中までしか読んでないのですが、西洋の悪魔にも詳しいんだなぁと感心した覚えがあります。デザインが、まんま西洋の悪魔のイラストを元にしているので受けしれやすいし、すっごく「悪魔」なデザインでかなり好きです。すごーく不気味なんですよ。「優しい悪魔」という短編はとても好きなんですよね。いちおうどんでん返しというか、あ、そうなんだ、というオチがあって。あの二人のいろんな話を読んでみたいなぁと思ったけど、出オチになっちゃうな。「悪魔」の表現がすごいんですよ。うん、不気味。怖いというか「不気味」で、ただしグロな一切ありません。そこが不思議でもありますね。コメディというか、ほのぼの寄りというのか、グロ系のオカルトではないです。作中エッセイでも仰っていましたが、作者さん、ほんとうに妖怪、怪異が好きなんだなぁと。万人受けする絵柄、作風ではないのでお勧めはしにくいものではあるんですが、パタリロや埼玉のベースにあるものなんだなと思うと、「なるほど」と思える短編集です。
2025.05.16
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ご注文はうさぎですか?(1) (まんがタイムKRコミックス) [ Koi ]価格:900円(税込、送料無料) (2025/5/15時点)可愛い女の子は好きですか。YES、ということで。なんとなく手にとってずっと読んでいたコミックです…でした。絵柄が可愛くてなんとなく手にとった一冊だったんですよ。日常もので可愛い女の子がたくさん出てくるっていうお話ですね。我ながら節操なしでしたわ。メインの女の子は四人+アルファですね。ココアとチノとリゼ、それと千夜ちゃん。この四人がメインですがさらにちっちゃい子マヤとメグがいます。ほかに作家の青山さんとか…まあ、ちまちまと出てきます。とにかく女の子が可愛ければOKなノリの話。ある種のファンタジーものでしょうね。出てくる土地は異世界というよりは、現実世界に似た雰囲気の見知らぬ異国の街並みです。煉瓦とうさぎの町です。野良ウサギがいるくらいですからね。それと設定上ファンタジーなところがひとつあって、「チノ」のおじいちゃんがそれです。なぜかウサギになっています。それに高校に通う際にどこか店に下宿してバイトしなけりゃならないルールみたいなものも存在する。そもそもが、中学生の女の子が店をお手伝いしている時点で…いや実家ではあるけど、コーヒーだしたりしてるからね…ちなみにチノという女の子がいる喫茶店にメインヒロインのココアが下宿することになって、そこでもう一人のバイトの女の子のリゼと出会い、主に三人でお店を切り盛りしていく、といった流れです。まあ、こまけーこたいいんだよってことで。日本ではないな、と流すべきところですねーお店に関しては。経営者というか店の持ち主はもちろんチノのお父さんで、夜はバーになるそうです。この父はたまにしか出てきません。あと、チノの母親は早世しているので思い出にしか出てきません。基本。内容はあってないようなものです、日常ものなので。でもちゃんと年はとってたかな。進級したりしてましたしね。アニメにもなって、すごく人気の作品だったようです。わたし自身はアニメはノータッチでした。これはもうあくまで女の子がわちゃわちゃしているのを見るだけの話ですからね。漫画だけで充分でした。わりと楽しく、ほのぼのしながら読み続けていたのですが、途中から…止めてしまいました。飽きたというよりは、なんとなく「怖く」なってしまったので。いや全然ホラー要素とかないんですよ?ただ可愛い女の子がいっぱい出てくるだけの話なんですが。ほんとにね、女の子しか出てこないんですよ。一応チノやリゼの父親とか、おばあちゃんやらなんやら、大人も出てはきます。でもまったくといっていいほど、町のどこにも、男性がいないんですよ。学校は女子高だからしかたないにしても。店の客にも男性が出てこない。これは読者ターゲットを絞っているからそうなっているんでしょうが、あまりに不自然すぎて「怖く」なってしまったんですよね。「父親」は出てくるのに、です。男の子との絡みが一切ないんですよ。当然といえば当然なんですが、一度それを気にしてしまうと、なんともいえない気分になる。出さないのが正解だとは思うんですよ、漫画の流れというかテーマ的に。出しちゃいけないんだろうな、と。そういうコミックだからね。それにしたってはんぱに父親が顔を出すもんだから。作家の先生の青山さんはさておき、そのマネージャー的な人とかもね…全部が全部、女だけで。可愛いんだけど、可愛いだけってちょっと怖いんだな…と思ってしまったんですよ。ちなみにわたしはBLが苦手なんですが、それとはちがった「怖さ」でした。受け付けない…とかそういうんじゃない、妙な違和感です。BLの場合、よほどの例外を除いて、まず読み進めることすらできません。まさに「受け付けない」ほどに苦手。たぶんこれ、わたしが狙った読者層から外れているから、なんだなと。そして「うさぎ」なのは、妙に納得でした。猫ではなく、うさぎなんですよね。なんでかなと思ったけど、勝手に納得してたのは、うさぎってものすごく女子が強いんですよね。可愛い顔してけっこうつよい…ってのがうさぎのイメージでしたから。途中下車してしまったコミックですが、まだ続いているのかな?だとしたらすごいなと思います。わたしは「怖さ」を感じてしまいましたが、ふつうにほのぼのーかわいーふんわりーといった作風なので、読むのになんらストレスは感じません。女の子がただわちゃわちゃしてるのを遠巻きに眺めるって感じで読める、たのしい話。人気作のようですし、四コマ仕立てなので気軽でもあるから、お勧めはできるコミックです。
2025.05.15
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戦国の女たち 司馬遼太郎・傑作短篇選 (PHP文芸文庫) [ 司馬遼太郎 ]価格:628円(税込、送料無料) (2025/5/14時点)竜馬や土方の小説が有名ですが、しばりょーは短編もめっちゃおすすめです。というか、短編読みやすいし、すっごく好きです。歴史もののラノベといわれますが、よい意味で本当にそうなんですよ。かるーく、けれどちゃんと面白い物語に仕上がっていて、さすがというしかないです。ちなみにセットっぽく出ている「戦国の忍び」も併せてお勧めです。片方が女たちにスポットを当てて、片方は男に。なので陰影は違ったものになります。女たちの方は、有名どころで北政所(ねね、おね)、もう一人がガラシャ細川たま(明智光秀の息女)が挙げられています。ほかはあんまり有名じゃないかも?けれど戦国時代の女っていえばどうしても限られてしまうので。そんな戦国時代、有名どころをさけてとりあげているのは面白いです。「一夜官女」とか「駿河御前」あたりが好きかな。駿河御前の方は、名はあまり知られてないかもですが、秀吉の妹にあたり、家康に嫁がされる女性の話です。これ、酷な話なんですよ。まさに道具として使われただけの女性の話で。教養がなかったにせよ、一句も歌を残していない、という文があり、それもさもありなんといった「人物」です。人物、といってもどんな人物なのはまったくといっていいほどわかりません。これは主人公の「駿河御前」も気の毒でしたが、家康もたいへんだったろうと思うんですよ。断れない時期でしたからね。家康はおおくの側室をもっていたけど、明確な「正妻」を持っていない人で、これはまあ過去をしればなんとなく察せられる…そんな中で今度は秀吉から妹を嫁に迎えてと言われて…この話は「駿河御前」の気持ちに共感というより、ついつい家康に同情が向いてしまう。というのも、それほどに駿河御前の心情が難しい。何しろ記録がほぼ残ってないような状態でしたろうし。そんなわけでしばりょーお得意の創作ではあるんでしょうが、この時代背景を学ぶのにちょうどいい「きっかけ」になってくれる存在です。この時期の家康と秀吉の関係性、ということで。一方の一夜官女の方は、なんだかすごくすっきりしたって感じの話です。女であるがゆえにいろいろ我慢させられて、けれどラッキーなことに実家がそこそこきちんとしてくれている、という女性が主人公。一夜だけ枕を交わした人との、刹那的な恋が心の支えになるって、なんというかこれ…わかるんだなぁ…というか。こういう心の機微をかくのがやはりうまいなぁとしか…こういうことがあってもいいだろうっていうかね。北政所の話も、妙にすっきりしている。司馬遼太郎氏の小説の「悪影響」ってあって、なんだかこれが「小説」なのに、ほんとにそうだったんだろうと思わせてしまうところなんですよ。もちろん大量の資料をベースにしている小説ですからあながち嘘でもないだろうし、心理状態は創作にせよ、時代背景と合わせて読むと、そうだったかもしれないという、違和感のなさがある。北政所は、次の「支配者」は家康だろうと早いうちから頭を切り替えていたんだろうなって思うんですよね。秀吉の死後も当然。自身に子がなかったからというのもあるだろうけど、無駄に抗わない人だなぁと。秀吉にとって糟糠の妻だった人ですから、やはり秀吉にとってもおろそかにはできない存在だったろうしね。元上司の信長にも叱られてたしw信長・秀吉・家康の時代って本当に魅力的な人が多い。そしてこの時代って日本にとっても必要な時期だったんだなあと改めて思い至ります。文化的な意味でも。家康の時代に地味目に落ち着いたけれどそれも必要な「閉鎖」だったろうしね。もう一冊の「戦国の忍び」では「伊賀者」という話が好きなんですよ。「元の木阿弥」の元ネタはいってますー忍びものって、推理サスペンスものみたいなところがありますね。ミステリみたいな?忍者かっけー!というより、すごく泥臭くて、えげつないな…というのがよくわかります。さすが歴史もののライトノベル、さくっと読めるので、ぜひにとお勧めしたい。しばりょーの影響ははんぱないので、その点はご注意。しばりょー構文もありますものね。
2025.05.14
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砂の上の楽園【電子書籍】[ 今市子 ]価格:800円 (2025/5/13時点)「百鬼夜行抄」ももちろん好きで持っているのですがその前に。初期短編集もお勧めしたいのです。日本の良き怪談、といった雰囲気は昔からなんですが、表題のこれはちょっとファンタジーぽいものです。ほかに三本短編が入っていますがそれは日本の「怪談」です。表題の話ももちろんおもしろいのですが、この方の描く話は基本どれも「解決」を提示しないところがいいんですよ。中途半端で終わっているといえば、たしかにそうです。でも途中で終わるからこそ怖い。答えのない怖さって、いかにも日本らしいと思うんですよね。掌編の「雨になればいい」もまさにそれで、ある日父が車に乗せた少女が…っていう。タクシーの幽霊の亜種のような話で、驚かせようとか怖がらせようといった雰囲気がなく、ただ妙なことが積み重なってるという。なんだかすごく「ありそう」なんですよねすごく静かなホラーなんですよ。このあたりは長編の百鬼夜行抄に通じるものがありますね。この作者の話づくりの癖というのか、二本の話のベースラインをあざなえる縄のように編み込んで、ひとつにまとめていますよ。だから時としてちょっと複雑になりますが、そうやってつなげてまとめるのかと驚きも大きいです。ホラーで、しかも短編としてまとめるわけですからかなり技量がいると思います。味付けとしてコメディ要素をいれているので、がっつりホラーなのではなく、ほんのり怖いコメディホラーみたいなテイストです。ものっすごく笑えるのではなくて、これもくすっとくる程度。絵は今どき風ではないのですが、中年や老人などが非常にうまいです。なんかこう…近所にいそうなおっさんとかね。こういう老人を描けない漫画家さんってけっこう多いですよね。まぁ、少女漫画がとくにそうかな?ほうれい線だけ描いてるだけの。そういうのはこの作者にはありませんので安心して読めます。あ、ただし、幼児はかわいくないかもwまあ、ちゃんと子供としてはかけてますが。短編集に限りませんが、この作者さんの描く話は派手さはなく、複雑なんですがひどく淡々としていて、静かなんです。コメディ部分もです。タクシーの怪談…髪の長い白っぽい女性を乗せたらいつの間にかいなくなってて、シートが濡れている。本当にそういった雰囲気。だからどーしたっていう怪談の一つですよね、タクシーのは。まさにそれで、でも想像したら地味に怖いし、不気味でもあります。初期短編集には「懐かしい花の思い出」というのも一冊でています。それと合わせて読んでみるのもよいかもです。初夏の怪談として。あ、怪談ばかりではないんですが。
2025.05.13
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ゲド戦記 全7冊 美装ケースセット (岩波少年文庫) [ アーシュラ・K.ル=グウィン ]価格:6,732円(税込、送料無料) (2025/5/12時点)楽天で購入映画は観なかったこととする…(映画館で観ましたけどとほほ)大好きなお話ですがこれもやはり大人になってから読みました。というかこれ大人になってからの方が面白いよねっていう。なんのかんのいってゲドが主人公の1巻目が好きです。映画の主人公となったアレンはゲドが「大賢人」になってからの話になるのですが、1巻目はゲドがいかにして魔法を極めていったか、という話です。「腕輪のテナー」が出てくるのもわりに後半なんですが、「テナー」自身は2巻目で主役になっています。ゲドは魔法使いの師匠オジオンに教育されて、のちに賢人の島へいくことになります。若者時代のゲド…ハイタカは魔法を使う力はある、鼻持ちならない自信家で、そのためにとんでもないことをしでかしてしまう。その不始末を片付けにいくため旅に出る、といったような流れが1巻目です。ところでわたしは、なぜなのか「学園もの」って苦手なんですよ。さらっと触れるくらいならよいのですが。学園がメイン舞台となりそこで学生たちがなんやかんやするっていうの…たぶんわたし自身が学校にいい思い出がなかったからなんでしょうけど。ともあれそんなわけで、ゲド戦記が学園ものだったら読んでなかったでしょうね。ゲド…ハイタカは魔法を学ぶためにその「学び舎」に入ることになるんですが、けっこうさらっと流されます。ただ事件はその学び舎で起こるんですが。基本的に「旅もの」だと思うんですよ、この作品は。1巻でも旅に出ますし、2巻以降もそうです。アレンが主役の話でもどうこうして旅に出ますしね。ゲド「戦記」となっていますが、おおっぴらに戦うのってじつはそんなにないんですよ。いや、あるけど、派手じゃないというか。影との戦いにしても、それってようするに自身の内面との戦いですしねっていう。人生は旅というし、やはり闘いもまた結局は内なる自分との戦いなんだなと、そう思わせてはくれます。児童文学なんですけど、登場人物の年齢は総じて高い。わたしが好きなのはオジオンです。ハイタカの師匠であり、テナーの保護者ともなった人物です。穏やかで優しい、深みのある人物です。「師」とはこういう人をいうんだなとわたしの心に深く刻まれたキャラです。そしてカラスノエンドウ…彼も大好きです。カラスノエンドウはハイタカの友人です。彼は学園でできた唯一の友ですし、最後の戦いにも一緒にいってくれた漢気のある人物です。さらりと真の名をハイタカに教えてくれたんですが、あのシーンはハイタカ同様にすごく感動したんですよ。もうこんないい男と友人になれただけで、ハイタカ、幸せだよ!カラスノエンドウ、なんていいやつなのっっっ学び舎で別れたのち、自分の「影」を追う最終段階になってハイタカは彼を訪ねるんですが、そこでカラスノエンドウは村の魔法使いとして存在しています。カラスノエンドウには妹もいて、その子も聡くていい子なんだよ、さすがカラスノエンドウの妹だよ!カラスのエンドウの真の名もかっこいいのですが、それはぜひ本書で知ってほしいです。妹ちゃんもね。ゲドは基本グダクダしてて、怒りっぽい。「大賢人」になってからも頑固爺って感じだし、大賢人引退した後はさらに気難しいって感じ。というかちょっと弱気っぽいというか。魔法は男しか使えないという設定で結婚はNG。といっても女の魔法使いもいるけれど、学校には行けない。村のまじない師にとどまっているのがやっと、という世界観です。そして竜が出てくるんですが、この竜は物語のキーポイントとなっています。映画のテルーはわりに後半に出てくる子ですが、小説と映画だとかなり印象が変わるはずです。いやまあアレンもですが。ゲドと「腕輪のテナー」はいちおう夫婦となるわけですが、それでゲドの魔法はなくなった。それ以前に魔法を使い切ってしまっていたのですが、もと大賢人だったゲドははじめ戸惑うんですよね、「夫婦」のまじわりに。このあたりがみょうに生々しいというか。ただ、生臭さはないんですよ。リアル、といえばそうかな。子供には微妙にわからんような具合なんじゃなかろうか…いやどうだろ。魔法使い(男)は基本生涯独身を貫くので、その点でもゲドは変わり種、ということなんでしょうね。わたしは谷山浩子さんの歌が子供のころから大好きで、それこそCDを山ほど持っています。映画ではテルーの歌を作られていますが、それ以前にゲド戦記のイメージとして作られた歌があるんですよ。アルバム「歪んだ王国」に入っています。そのこともあって映画は、歌はよかったけど、と言われるのはうれしいやら物悲しいやらです。そしてこれを書いている今日知ったのですが、新刊でるんですね!!!ゲド戦記はケースセットで持っているのですが、ここに七冊目がでるとか!!!ケースに入らないやんけ!!!いやそっこうで7巻目は予約しましたけどね…まあやむなし。それにしてもゲド戦記を取り上げるかーとリンクさがしてたら、新刊予約って文字見つけて偶然とはいえ、本当に驚きました。こんなことあるんだなぁと。児童文学ではあるんで、児童に薦めたい小説なんですが、大人こそが読んでほしいともいえる名作ですので、映画はまあ見なくてもいいけれど…いえ、見てもいいけど…この小説はぜひ読んでほしいです。まずは最初の2冊だけでも。
2025.05.12
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ポーの一族 復刻版 限定BOX フラワーコミックススペシャル [ 萩尾 望都 ]価格:2,852円(税込、送料無料) (2025/5/11時点)これもまた名作のひとつ。少女漫画の白眉ともいえるコミックですね。現在も続編が出ているとのことですがそちらは追っていません。こちらの全5巻だけでわたしとしては十分でしたから。「春の夢」だったかな?続編の一冊目は買いましたが、うーん…という気持ちになってしまって手放しました。好みではなかったというだけで、つまらないとかまでは言えませんね。ほんとうにこれは好みなので。5巻で終わっていますが、もちろんその5巻の中で謎はいくつかあります。キリアンのこととかね。キングポーのこともそうなんですが、まあ、あれらは謎は謎のままでいいなと思っているんですよ。あえて深堀しなくてもいいやって。「ポー」とは何なのかをおそらく続編でやってくれているので、気になる方は続編を追ってみるといいかもしれません。わたしはもう「エドガー・アラン・ポー」だけで十分かなって感じです。1巻と2巻では重要な設定が語られる「長編」となっていますが、以後は短編が続く、という構成も好きでしたね。まさか1巻目でポーツネル男爵夫妻からメリーベルまで消えてしまうとは思わないじゃないですか。ポーツネル男爵夫妻もメリーベルも好きですが、一押しはやはりオズワルドなんですよね。過去編というか。エドガーたちの出生にかかわる人物として。オズワルド、なんというかものすごく不憫な青年なんですよね…もうそこがわたしの好みすぎて。軽薄にふるまっているけれど虚しさをつねに抱えていて…切ない人なんですよ。だからこそあんな「遺書」を残したわけで。ユーシスに関してはイラッとしましたわ。いや嫌いではないし、年頃的に仕方ないけど、なんでそういう考えに至っちゃったかなっていう。弱すぎやろ。ユーシスがいなくなったおかげでたしかに表面は丸く収まったけどね。おかげでメリーベルもエドガーのところにいけたわけだし。結局すべてのしりぬぐいをしたのはオズワルドなんだろうなって想像できちゃって。マドンナとまろやかな家庭作って幸せになるのよ…って心から願ったわ。家系が続いたので結果的にはそこそこ幸せな人生を送れたのかな?と。オズワルドの遺書がらみの話も好きでした。メリーベルがちゃんとしたたかな娘になっていたのがね。見た目の年齢は「少女」だけど、年は重ねているからエドガー並みにしたたかさはあってしかるべきの子なんですよ。妙齢の女性としてのしたたかさではなく「少女」らしいしたたかさで描かれているのはさすがとしかいえませんね。わたしは「少女」の残酷さがとても好きなので(創作ものとして)、メリーベルのそういった一面がすごく好きなんですよ。見た目に愛らしいだけの少女ではない、というね。その点でいうと、最終話の「エディス」はいい子過ぎてしまうんですが、それゆえに生き延びた感はあるし、そうしてアラン達を滅びに導いたというのもあるかも。なにしろほんとうに「少女」ですから。わたしはあの終わり方がとても好きでした。霧の中にまぎれてしまい、はっきりとした輪郭の見えてこない、終わり。謎を残したままでいい。現代にエドガーやアランがいてもいいけれど、それはもう別のエドガーとアラン、という解釈でいます。私たちはもう「髪を切った魔法使い」なんですよね…一度はそういったものから手を切った。切った…けれど、目の当たりにすると手を伸ばしてつかみたくなってしまうものが、エドガーという存在だった。届きそうだけどつかめないままでいい、というのがもどかしいながらも好きなので、やはりあのエンドでよかったなと思ってます。続編は続編で、ある種のスピンオフかなと。公式認定の。リデルの話やはるかな国の女性の話も好きでした。リデルは現実世界に戻ってこれ、ちゃんと成長できた女の子でしたが、エルゼリは現実世界では生きられない人だった。こうした対比もよいですよね。エルゼリの話はなぜだかとても好きなんですよ。昔はそうでもなかったんですが。精神弱すぎじゃね?と思わなくもないエルゼリだけど空想の中でしか生きられない人ってのはいるんだなって。繊細な人っているんですよ。エドガーがエルゼリを追い詰めてしまったことを悲しむんですが、メリーベルと重ねていたのがよくわかります。「空想の中の少女」ですからね。エルゼリの話だけではなく、なんというか…心理的に迫ってくるような話が短編には潜んでいます。本当におとぎ話のようなお話ですよね、「ポーの一族」詩的な少女漫画でありつつ、何かしら心理的に深いものを感じるコミック、お勧めさせざるを得ませんね!
2025.05.11
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ハムスターの研究レポート 1 (白泉社文庫) [ 大雪師走 ]価格:748円(税込、送料無料) (2025/5/10時点)ペットのコミックってこれが先駆けなんじゃないでしょうか?と、思っているこちらの作品ですが、これもまたけっこうな古さです。笑わせに来るようなものではない、わりに淡々とした四コマまんがなんですが、タイトル通りレポートです。実録はうたっていませんが、実録といっていいでしょうね。ハムスターの生態がよくわかる漫画なんですが、かといって飼育の指南書ではありません。いまだったらかなり雑めな飼い方ではありますよ。ハムスターで遊ぶなんてと怒り出す人もいるかもしれませんね。わたしも昔ハムスターを飼っていたことがあったので、読みながら「あるある!」を内心連発してました。実録エッセイに近いこともあり、ハムスターたちは基本的にせりふ付きではありません。ときどきモノローグみたいなのははいりますが。そしてすごくさっぱりとした絵柄でハムスターに表情付けはされていないんですが、ものすごく表情豊かなんですよね。ふしぎ!リアルに寄せているかというとそうでもないんですが、ある意味ですごくリアルです。そんな中で私が好きなハムスターの絵は、上を向いている絵とあくびしている絵ですね。リアルなんですよ、可愛い絵柄なんですが。よく見て描いているのがわかる動作の絵です。そうそう、ハムスターってそういう顔だよっていう。本当によく観察しているんだなと、感心します。ところでこの作者さんは名古屋出身のようなんですよね。というのも、登場するおばあちゃんががっつり名古屋弁ですし、買い物しに行く先のスーパーが名古屋地元の店なんですよ。わたしもよく利用してます。今ではハムスターもメジャーなペットになり、小屋も遊び道具もかなり種類が増えて、見るたびにすごいなぁと思っています。このコミックが出た頃やわたしが飼っていたころは小屋も金網の…インコなどを飼うケージの背の低いバージョンくらいしかなく、まあ十分ではあったのですが、種類などはほぼ無きに等しかったです。金網でしたので夜中にガジガジされるとうるさいのなんのあと、おもちゃも回し車くらいしかなくて、しかも回すとかなりうるさいやつでした。今のは静かだし、なんか可愛いんですよね。食べ物にしても、ハムスター用のペレットもかなり種類がありますが、当時はかじりん棒くらいしかなくて、あたえていたのはひまわりの種と野菜の切れ端くらいでした。まあ助かりましたけどね、わりと何でも食べてくれるので。たなみにインコを飼っていたのでそのシードも与えていましたがわりに好評でした。いまじゃしかられそうなラインナップの食事でしたよ。このコミックに出てくるのはゴールデンハムスターです。実物をみるとわかりますが、けっこうでかい。でかいけど、丈夫そうではるし、すっごくハムスターって感じです。ハム太郎と名付けたくなる感じの。とっとこの方はこのコミックより後にはやったようですが、あの漫画のようにはキャラクター性はありません。といいつつ、ハムスターのキャラはけっこう立っていて、そんな中で推したいのは、ちびすけとてんちゃんですかねー。ちびすけとてんちゃんは夫婦で子供もうまれるんですが、その育児レポートもすごく楽しめました。赤ちゃんハムスターが指の隙間に入ってかくれようとするのがもう「あるあるっ!」で、くすぐったいのもわかる~なんですよ。このあたりのレポートがほんとうに「実録」です。とはいえ実録をうたっていないのは、創作も含まれているからです。作者さん自身が飼っているハムスターが元ネタにはなっているんでしょうが、ハムスターを飼うことになった人たちのちょっとした小話も含まれています。もう終始ほっこりしちゃうコミックなので、ハムスターに興味のある方には是非にとお勧めしたいです。
2025.05.10
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わいるどらいふっ!身近な生きもの観察図鑑価格:1,100円(税込、送料無料) (2025/5/9時点)オールカラーの学習系コミックです。身近なところにいる「生物」のあれこれが、おもしろおかしく、けれどとても詳しく説明されている四コマ漫画。とっても勉強になります。生物全般ですので、もちろん植物も。作者さんの博識さにおどろきますが、それがとてもかわいらしいイラストで表現されているので、センスの良さにも感嘆です。かわいらしい絵柄ではあるんですが、ちゃんと実物に寄せているので、マスコットキャラ的な雰囲気になっていないのもすごいです。この漫画はもともとピクシブに掲載されていてそれを追って読んでいたのですが、コミックになっていると知り、さっそく買いそろえました。オタクっぽいネタがちらほら出てくるのでそのあたりも楽しめます。二巻のヤブツバキの漫画にはわらってしまうところがあるんですよ。え、そこに黒棒いれるんだっていうこういうところがオタクっぽさ出ていてくすっとさせられます。ツクツクボウシの唄なんかも脳内再生余裕でした。このあたりの、細かな笑わせどころがいいんですよ。生物らの「せりふ」もあったりはするんですが、漫画的すぎないバランスの良さがあります。ちゃんと学びとして受け取れますし、読んでいるこちらがわの気持ちによりそうような感じといいましょうか。小さいお子さんにも楽しんでもらえる漫画ですし、実際漢字のすべてにルビがふってあるので、児童向け書籍として扱われているかと思います。生物の生態についてのコミックですので、生と死、どちらも描かれています。どちらも大切なことで、そうして生き物たちの循環はあるのだなと思えるので、「かわいそう」という言葉はあたりません。また、そのように配慮された描写になっています。児童向けではありますが、もちろん大人が読んでも面白いし、ちょっとした知識を得ておくのもいいでしょう。読んでいて生物の行動の理由が「あ、そうなんだ」と知れることがたくさんありました。他愛無いことなんですが、「そういうことだったんだなー」とわかるって、すごく楽しいです。図鑑ほどは詳しくないけど、身近な生物の生態にほんのり触れられる素敵な本だと思います。
2025.05.09
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はいからさんが通る 新装版(1) (KCデラックス) [ 大和 和紀 ]価格:605円(税込、送料無料) (2025/5/8時点)同作者さんの作品が続きますが、こちらはもうずっとずっと大好きなコミックです。「花の大正大ロマン」と銘打たれていますが、コメディ色がかなり強く、けれどしっかり恋愛ものです。これはアニメや舞台化、映画化もされたそうです。どれも観ていませんが。というのもこれ、アニメや実写化は難しいと思うんですよ。舞台が大正だからではなく、内容がけっこうなコメディで。その部分を省いては面白さ半減ですからね。そしてこれは今でいう「逆ハー」という設定でもあるんでしょうが、それが無理なく展開されています。主人公・紅緒の恋の相手は伊集院忍で変わらないのですが、編集長の冬星さんや弟分の蘭丸、狼さんこと鬼島…どれもいい男すぎる。いや蘭丸は可愛いんだけど。このバラエティに富んだ「イケメン」…全員が紅緒に恋をしてしまうんですが、納得できるんですよ。ヒロインを読者が好きになれるって大事なことで、さらにイケメンたちにことごとく惚れられても違和感ないってのも重要です。この点紅緒は納得なんですよね。紅緒のブレなさ、というのはすごく大事だし、魅力のひとつでもあります。わたしが惚れたのは親友の環ですけどね!環のような理解者であり親友がいるというのがまたヒロイン紅緒の魅力の一つになります。才色兼備で華族のお嬢様である環ですが、紅緒とは相通じるものがあり、重要なキャラです。ヒロインにこういう魅力ある親友がいるって、じつは少女漫画ではなかなか難しいと思うんですよ。もう環がいるからこそ、はいからさんが好きってのすらあります。結果的に環は鬼島と結ばれるし、蘭丸もまあいちおう…それなりの相手を見つけるという後日譚もあり、冬星さんも大事な存在をみつけられる…それぞれに救いがあるようになっています。ところでこの漫画は恋愛もいいんですが、コメディ部分が大好きで、いやー、これしか今の時代だったらできへんやったろなってのがかなりあります。だいたい、ヒロインが酒好きの酒乱だし。酔っぱらっていろんなことしでかすし、監獄には入るし…いやぁ、少女漫画のヒロインとしてどうなのっていうエピソードがてんこもりなんですよ。そして「今週の御言葉」シリーズも好きで、これはどこかのコマに張り紙がされてるんですが、それを見つける楽しみもあります。これは番外編のコミックに全部収録されていたのでありがたい。「はいからさん よんであなたも 恥知らず」とか「ちかんにあったら化粧をおとせ あなたの素顔でおばけも即死」とか「金になるならへつらおう 金は正義だ真実だ」まだまだありますよ!!もうこんなん書いちゃっていいんか、みたいなのがゴロゴロでてきます。また、読者さんのお便りコーナーが漫画の下の載ってることがあって、それもまた狂気しかないっていうこの当時ガッチャマンが流行っていたのか、それらがよく出てきます。リアタイで読んでいたわけではないしガッチャマンは見たことなかったんですが、まあ知識として知ってはいたしねっていう。これがね、大正十二年の関東大震災をきっかけとして結ばれる紅緒と忍の恋の物語ってんですから、もうすごいの一言です。シリアスなシーンが続いてもラストはほっこりなハッピーエンド。古いコミックでもっているので、新装版などでは手直しされているのかもしれませんが、番外編のコミックに載っていたイケメンたちの対談とかクイズとか、それも含めてエンターテイメントって感じですよ。こちらの漫画に関してはメディアミックス…まあアニメやらなんやらはあまり見たいと思わないかな。上でも述べましたが、破天荒なコメディを削っては成り立たないのが「はいからさん」ですし。監獄にぶちこまれて牢名主のお定とはりあってたりするのがいいんです。歯ぎしりまでしますよ、紅緒。つよすぎるwはいからさんのコミックに一本短編読み切りが入っているのですが、それも好きな作品です。「杏奈と祭りばやし」という、とてもしんみりする優しいお話です。少女漫画ってすごいなと思ったんですよ。こういう作品が少女漫画雑誌に掲載されたんだなって。今ではなさそうかな…これも読んでほしい一作。はいからさんとはテイストが違いますが、はいからさんに通じるものはあります。今週の御言葉をみつけるためにも、ぜひともお手に取ってもらいたいコミックです。
2025.05.08
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あさきゆめみし 完全版1 [ 大和 和紀 ]価格:2,200円(税込、送料無料) (2025/5/7時点)これもまた傑作コミックですね。何度読んでも飽きないのは元がおもしろいからというのもあるのでしょうが、アレンジがとてもいい。といっても「光源氏」そのものをきちんと読んだことはありません。せいぜい授業で読んだかなーくらいです。光源氏はおおくの漫画家さんがコミカライズされていますが、アレンジの仕方が好きなのはやはりこの方です。はじめの一巻二巻はまだ絵も不慣れな風もあって、ちょこちょこミスもあります。指が六本あったりね。独特のセンスで展開していく「光源氏」の物語ですが、後半は詠んだ歌も載せられているのがうれしいですね。光る君は好きになれるイケメンかというとそうでもないんですが、かといって嫌いにもなれないさすが主人公です。頭の君の方が好みやわーってファンはけっこういそうな気がします。これは漫画家さんのセンスがいいってことでしょう。良きライバルで良き友人で、やはりこういう存在がいるのといないのとでは大違いです。光る君の「相手」になった女性たちの中で自分がいいなぁと憧れていたのは、じつは花散里でした。彼女は原作だとやせっぽっちとのことですが、「あさき」ではぽっちゃり設定にしています。これは現代の感覚に合わせたそうです。花散る里の君は、なんだかんだ、うまくやりすごした人ですよね。家柄もしっかりしているからというのもあるでしょうが。姉は天皇の女御だけれどそれほど「ときめいて」はいない。それでもその地位にあるってことはそれなりに実家。その妹である花散る里は男性からも文も届かない、さえない娘なんですが、ふとしたきっかけで光る君と知り合うわけです。そして知り合ったのがけっこう早い段階。容姿にさほどめぐまれなかったものの、つつましやかな気性を愛された。その「容姿に恵まれなかった」部分に助けられていますね。描かれることはなかったですが、彼女はとくに嫉妬心もなく、好きなことをして日々過ごしてそうなんですよ。衣を染めたりね。歌を詠んだりもしていたかもしれないし、花をめでて、ゆったりと過ごしていたんでしょう。時々も紫の君に気遣うようなお手紙出して友情はぐくんで。嫉妬なんぞはいるスキがありゃしませんよ。後には夕霧の養母となって、地位も安泰。いやー、花散る里、うらやましいわーっとなったんですよね。こういうのんびりとした生き方がいいんすよ。朧月夜みたいなモテ人生もはたから見ている分にはかっこよくて好きですけどね。女として恋を満喫して、もういいやとなったら出家してすっきり。怒涛の人生だったろうけど、わが生涯に悔いなしっていいところに成仏できそうです。長生きもしそうだけど。光る君といえば、後半になって柏木をおいつめていく展開もあったりで、クズ男を露呈してくれてるのもいいね。ちゃんと「お前が言うか!」なツッコミを自分でしてるし。柏木は不憫でしかたないね。平安の頃のお貴族様は精神病んで命削っちゃう人多いなぁ。仕方ないか、あの閉じられた世界では。なかなかにおそろしい平安時代。妖怪も跋扈しますわね、そりゃ。「源氏物語」を読む前に、こちらのコミックを読んでおくとすんなり入るだろうな、とは思うんですよ。削られているところもあるだろうし、章の順番もかわっているでしょう。あとは光る君の心情がすんなり入ってくる。固有の名前が基本なく、役職でよばれがちなこの当時ですからね…わけわからんくなります。そういうのをある程度、かるーくでも頭に入れておくと元の「源氏物語」も読みやすくなるのではないかしら。そういえばずいぶんと昔に、京都の博物館…かなり小さい民俗資料館みたいなところに、源氏物語のジオラマを見に行ったことがあります。あの六条の宮殿をミニチュアで作ってあったんですよ。あれは感動しました!!!もっとじっくり眺めて写真とりまくればよかった…いまはもう別のところに保存されているのかな?ジオラマとかミニチュア大好きなのでとても興奮しました。平安時代ってのは華やかな時代でもありましたが、それゆえに貴族たちの政争があったり女同士のあれやこれやがあったり、あまり「平安」ではなかったですね。が、光る君がいた頃はまだしも平和で、その前後の時代が波乱万丈すぎるのかも。光る君はそんな中、恋愛脳で人生やりきった!!というのが、面白くもあります。裏事情はまたあとあと調べたらいいのだし。平安時代を知る一助となれば、というのがこのコミックだと思います。宇治編では薫にいらっときたけどまあ仕方ないかな。ああいあ出生じゃね…母の三宮はアレだしねー。でもその後の明石の姫が出てくれてそれだけでもけっこう満足。しっかりした母親になってそうなのがいいよね。夕霧も生真面目マンで面白かった。宇治は、まあ後日譚みたいな感じで読むのが楽かもですね。
2025.05.07
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日出処の天子 完全版 1 [ 山岸 凉子 ]価格:1,650円(税込、送料無料) (2025/5/6時点)日本史を題材にした漫画のなかで、これは間違いなく傑作でしょうね。読んだときは衝撃を受けたものでした。「聖徳太子」というよりは「厩戸王子」の物語です。かなり奇抜といっていいキャラ付けをしてて、それがまた妙にリアルなんですよね。「相手役」というよりはもう一人の主人公は蘇我毛人、彼は有名な蘇我馬子の長子で、かつ入鹿の父でもある。この有名なふたりの間にいる毛人(えみし)は歴史の盲点ともいえる存在です。これもまたうまく絡ませたものです。基本的に大筋は日本書紀などを参考にしていながら、独自の解釈も入っていて、しかもそれが邪魔にならないどころかかなりピリ辛の、いい味付けになっています。厩戸が同性愛の志向にあったのはおもしろいですよね。これはのちのちの、いわゆるBLとは別物です。この点はあえて言っておきたい。作者さんの意図はどうあれ。古い作品ではあるので、現在私たちがしっている歴史とは若干のズレがあります。解釈もちがいますしね。この漫画が描かれたころってたぶん「大化の改新」というのを歴史で習っていたころのはずです。今は「乙巳の変」ですね。古事記や日本書紀で天皇の産れたねん没した年を記されてはいますが、結構あやふや。実在した天皇は誰彼だったのかもまだはっきりしていないんじゃないかな。ちなみに「聖徳太子」も後につけられたおくり名ですし、そもそも「天皇」とはまだ呼ばれていなかったはずで、作中でも「大王(おおきみ)」と呼ばれています。とはいえ、現代っこが読みやすいようカスタマイズはある程度されています。言葉遣いも含めて。それから、作者さん自身がおっしゃっていたのですが、座り方がこの当時は片膝をあげたものだったそうで、本作ではまだその知識がなかったので正座になっている、とか…つまり歴史家が見たら間違いを指摘しそうなところがたくさんあるそうです。資料にしたものが比較的新しいものだったからでしょうね。それでもかなり綿密に資料を調べたことは間違いないです。しかし「聖徳太子」には謎が多い…オカルト界隈でも、です。歴史に謎の多い人物は多いのですが、「聖徳太子」は筆頭に挙げられそうです。卑弥呼クラスというか。まあ、それはさておき。本作での厩戸王子は、いわゆる異能の力を持った超人設定になっています。超能力とも霊能力ともちょっと違う、不思議で恐ろしげな力を持っている、という設定。ちなみにですが、この作者さん、一枚絵などはとても上手で美麗なのは間違いないのですが、アクションシーンは微妙…です。迫力のあるバトルシーンはありませんのでその点はまあ仕方ないかなと。少女漫画なわけですしね…基本的に活発な動きのある絵はあまりうまくないなという印象なんですよ。歩くとか走る、ですらそれを感じます。下手とまでは言えませんが…時々びっくりするほど稚拙な絵になってたりするんですよね。バレエの漫画も描いていたので、そういう絵はやはりうまいのですが、バレエって素晴らしい体幹、ポーズのストップモーションを連続して流してるみたいな感じですからね。後に描かれているバレエを描いた短編でも、ポーズの美しさや迫力はあるんですが、躍動的な絵、とはなってないんですよ。ただ、ホラー描写はさすがといったところで、このホラー感がこの作品の面白さをより際立たせています。たぶんですが、夢を絵に表現して描ける方なんだなぁと。訳の分からない、とりとめのないぼんやりとした「夢」を、ちゃんと夢のように辻褄合わなくかけているんですよ、だから怖い。こういったシーンがいくつも出てくるのですが、厩戸が異能の人だからです。また仏の手を意識して描いておられたそうなので、それがよくわかります。基本的に会話劇なんですよ、この漫画。会議シーンや談合のシーンも多い。でももちろん、退屈しませんし、厩戸の賢さやすごみが会話と顔の表情と、手つきで見事に表現されています。とにかく厩戸王子が怖い、のですが、嫌いにはなれないし、同情的にならざるを得ないんですよ。もう、気の毒で気の毒で。でも、一方でもう一人の主人公の毛人はとてもまっとうな人なので、毛人の考えもわかるし、やはり共感できてしまうんですよ。妹の刀自古ちゃんも生き生きしていて可愛い分、のちのち気の毒な目に合うんですよね。誰一人としてハッピーにならんやないけ!!っていう。まあ、歴史としてそうなってるんだから仕方ないですけども。実際の「聖徳太子」がどのような人物だったのかはわかりませんが、この漫画のような人だったかもしれん、くらいにはかなり影響力が強い漫画です。ラスト間際に、まっとうな毛人が、厩戸の母である間人媛に「貴女がすべての元凶だ」ということを言ってくれてそこは本当にスカッとしました。いやほんと、貴女のせいなのになに被害者ぶってんだっと胸倉つかみたくなる人ですよこりゃ厩戸も女嫌いになるわっていうの。ちなみに弟の来目もだ!!気づくのおっせーんだよってなったし、しかもそのうえでまだ兄を責めるんだ?みたいな流れになって、厩戸が気の毒でならなかった。まあ、来目は若くして亡くなってしまうんで(史実)、いっか、とはなったけど。日本の歴史を学ぶ前にこの漫画は読んでおくといいな、とは思うんですよ。名前だけでもすんなり入ってきますからね。わっかりやすくさくっと暗殺された崇峻とか、うまくたきつけられて推古天皇となった額田部女王とか…この漫画を読んでおくと理解が早まります。ただものすごく影響してきますけど。わたし自身はそのあとの「天智・天武・持統」の頃の歴史が好きなので、その前段階の時代も知識として入れておきたかったので、この漫画は最適ですしたとも。歴史ものとしても面白いのですがホラー漫画として読むのもありだと思うので、けっこう万人向けなのではないかなと思います。線が細いし独特の絵柄ではあるので人を選ぶかもしれませんが。巻数も多くないですし、いにしえの名作漫画として読んでおくといいコミックであるには違いないと思います。うーん、聖徳太子の謎は深いですねぇ
2025.05.06
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封神演義 1【電子書籍】[ 藤崎竜 ]価格:408円 (2025/5/5時点)そういえば、好きなコミックはけっこうアニメ化されているなぁ。メジャーどころはもちろんですがわりにマイナーなものまで。そんな中の「封神演義」です…これは「アニメ化なんてされてない」がファンの間では合言葉みたいに語られています。そうです、つまりアニメ化はあかんかったやつです。二回とも。なぜなのでしょうかね…コミックの方はそりゃもう面白くて、引き込まれるようにして読んでいたし、いまだに手元から手放せないコミックでもあります。なにがすごいって、これジャンプ掲載だったのに、23巻で完結しているんですよ!すごいですよね。無駄なく終わったなぁという印象です。外伝もあるようですが、そちらは未読です。原作といっていいのか、「封神演義」そのものは読んだことがありませんが「太公望」の話は歴史や民俗学好きなのである程度は知っています。これは予備知識なしに読んでも面白いけれど、知っていると楽しみがちょっと増すかなと思います。太公望というと、軍師で釣りしてる仙人みたいな人というイメージが強いのではないでしょうか。「釣り」というのはあまり知られてないかな?釣りをしていたらそこに後の周の王となる人物がやってきて、という流れは有名かな?ともあれ、「太公望」を主人公に据えて物語は古代中国で繰り広げられます。殷周時代…とにかくふるーーーーい時代なので一度歴史の年表を広げてみるといいかもしれませんね。太公望は殷の悪女「妲己」を倒すために「封神計画」を師に命じられ、それを遂行していくのですが、実はその計画にはおおいなる謎が隠されていて…と物語はかなり壮大な展開が待ち受けています。太公望は計画遂行のために多くの仲間を得、かつおおいなる敵と対峙していくわけですが、どのキャラも本当に生き生きしていて、面白いです。哪吒や天化、楊戩なんかは人気キャラでしょう。いやもうたくさんいすぎて名前列挙は大変です。スープーちゃんも可愛いしね。スープー村にはほっこりしちゃったわ。当面の敵の妲己ちゃんは…これ、ヒロイン枠なのかしらね?女性キャラも適度に出てくるのですが、メインに据えているのはやはり妲己ちゃんなのでヒロインかも…悪女として様々な「悪だくみ」をしていく妲己ちゃんですが、本当の狙いは…「なるほどねぇ」と感慨深かった。今も妲己ちゃんはわたしたちの傍にいてくれるのかも。そう思うとちょっとうれしいなとも思える、とてもいい「悪役ヒロイン」ですね。太公望の事情も複雑なのですが、各キャラの掘り下げもとても深く、切なくなったりもします。みんなかっこいいんだ!あとはキャラクターのデザインも個性的でその点も見ごたえがありますね。ピエロと言われがちな申公豹も、一応師とおぼしき太上老君と衣装が寄せてあるんですよね。この二人、好きなんですよー。可愛いしね!黒ちゃんも可愛い。最強の霊獣といわれるけど見た目可愛い乗りたい黒ちゃん殷周革命は「分岐点」となりその先の展開はまさかのものでした。オリジナル要素ばりばりなんですが、女神らの名は中華では有名どころですし、出てくる妖怪もなんかきいたことあるかもな名があったりします。ですのでやはり土台に「封神演義」というか中華の様々な神話が編み込まれている感じがあり、その点も話に厚みを持たせていますね。さすがといったところです。コメディによったところも多いのですがそれが嫌みにならず、物語のいい味付けになっています。古いコミックではあるんですが、何度読んでも面白いです。これがアニメ化されたら面白そうだなぁ…ちゃんとロングスパンで。ある種の時代物といっていいものなのでいつ読んでも古臭さというのは感じないんですよ。23巻と短い巻数なので読みやすいのもお勧めしやすいところです。ジャンプの歴史の一つとしてぜひとも読んでほしいコミックです。
2025.05.05
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結界師の一輪華 1 (B's-LOG COMICS) [ おだやか ]価格:737円(税込、送料無料) (2025/5/4時点)流行っているのかどうなのか、これは「なろう系」の女子版といったところでしょうか。4巻までしか買っていなかったので、その後の展開はわからないのですが。これは、某花嫁と同じ作者さんの小説のコミカライズですが、その花嫁のやつより良いんじゃないかな、とお勧めされて読んでみたものです。某花嫁は、もうなんというか、いろいろ受け付けなかったこちらはたしかに花嫁に漂う臭みは減っていますが、わたしには合いませんでした。ふしぎではあるんですが、何がどうだめで合わなかったのか、自分でもちょっと判然としないんですよ。花嫁と比較してしまって申し訳ないのですが、花嫁の方に比べたらヒロインは確かにマシです。性格が外に向いているヒロインなので、うじうじしていませんから、そこに不快感はありません。しかしなぜかヒロイン・華に好感が持てなかった。なんでなのかしら?いやほんと自己分析できません。これはかなり王道女子向け「なろう」作品で、内容は虐げられてきたヒロインが実はすごい力を持っていて、虐げてきた相手を見返すとか、まあそんな感じかな。なろう風に言うならザマァ系でもありアタシTSUEEEEかしら?詳しくないのでわかりませんが。大筋は花嫁の方と同じかな?というか、たいていの「姉、ないしは妹に虐げられていたヒロイン」系と筋は同じといえるかも。ヒロインの華には双子の姉・葉月がいて、葉月は優秀な娘。高位の式神を召喚でき、両親の期待の星。一方の華は低位の式神しか呼べなくて両親からがっかり。頑張って学校の勉強もがんばってきたけど、まったく褒めても認めてももらえず、といういわゆる不遇ヒロイン。まあたしかにこういう親はいるし、それに落胆するヒロインには同情的になるし、一定の共感は得られると思う。姉の葉月とも幼少時は仲良くしていたのに、ある時からすげなくされるようになり、と。そんな中で華はイケメンヒーローの朔と出会い求婚という流れ。ここは力を利用されるみたいな流れから溺愛へと変わっていく、と。また、のちのち朔と敵対する者が現れたりと物語は溺愛だけじゃなく、動いていくわけですが、そんな中華もそれに協力していく、と。大筋は、どちらかといえば嫌いではないし、異能バトルものってけっこう好きではあるんですが。華が強すぎというか、万能というか、どうも惹かれないんですよ。応援できないというのが近いかも。ちなみにイラストはとてもかわいらしくてそれでコミック買ったのもあるかな。ただちょっと肉感的かな、太ももとか。色気があるとかの肉感的というのではなく、むっちりしてるというか。でも式神たちもかわいかったりかっこよかったりするのでその点でも読みやすいです。これいっそ、葉月の方の視点で描いてたら面白かったかも、と思いました。4巻でだったか、結局華は葉月と和解して葉月も家を出るんですよ。葉月もほんとうはとても辛くて、華のことをかばい続けてきた、という裏事情があった。つまり華って、式神らも含めて、全方向から愛されているヒロインなんですよ、毒親はともかく。一方の葉月はずっと孤独で、友達もいない。(華にはいる華を守ろうとしてプレッシャーに潰されてしまっていたからああなってしまったのは仕方ないともいえるけれど。華は自分の力がスゲーことに気づいたものの、ずっとそれを隠している。両親に気づいたら利用されるとわかっているから。学校でもそうしている。わからなくもないのだけど、「なんで?」となってしまう。「子供」という立場にいるから親には逆らうまい、というのもわかるんだけど、あんだけ強い力をもってるのに、家を出るまで力はかくしておこって、なんでやの?と思ってしまった。というのは、結果的に葉月と一緒に悪態ついて家をでてるじゃないの、と。もちろんこれは朔というヒーロー、つまり婚約者がいてそこに逃げ込めるというアテがあるからで、つまり後ろ盾がいるから大きく出られたし、親とも決別できた。なんといえばいいのかわからないもやっと感が襲ってきてしまったんですよ。別に華に不快感はないし、朔もまあ、相手役ならこんなもんでしょうという具合で好感はとくに抱かなかったけれど不快感はない、苦労してるんだねぇくらいの感想はもった。葉月に関しても同様で、やり方は不器用だったけれどいい子だったんだね、よかったよかった、と。ヒロインとヒーローのやりとりも可愛いと言えば可愛いと言えるでしょう。まあ、まだ子供ですしね。子供っぽいというのはある意味では「正しい」でしょう。ただヒロインの華に遠慮がなさすぎるのが苦手感を増させてるのかも?うじうじしてるのも好みではないし、やれやれ系もあまり好きではない。華はそのどちらでもないのだけどね。もちろん境遇が境遇だし、はやく独立したいから利用できるもんはなんだってしてやろう!な気持ちには共感できるんですが。ちゃんとお礼だって言える子なんですが…いっそもっと図々しい子の方がよかったかも。そしてなんだかんだ「不遇ヒロイン」でありつつ、周りに愛されすぎているんですよ。ハーレムではありませんが。そこがなんだか残念かなと。まあ、万能ヒロインなのでこれも仕方ないかな。比較してしまいますが、某花嫁よりは受け入れやすいです。あちらのヒロインの被害者ムーブはほんとに受け付けなかったので。…ああいう子、いますよね…っていう。ああいう子は近くにいると、かなりしんどいです。そして鬼の彼もわりとひどい。力を増幅させるためにそばに置いておきたいならそれでいいんですよ。溺愛はその後でいい。最初から溺愛ムーブかましてくる必要はない…つまりこの点を改善させたのが、一輪華だったのかな?とも思いました。それぞれに理由付けしてる感じがある。花嫁の方での指摘点を、一輪華で「理由付け」した感じ。ヒロイン実家との決別がとくにそれを強く感じました。花嫁の方では、さっさと鬼彼が自分の素性を語ってから自宅に乗り込めば荒事にはならなかったんですよ。おまえは誰だ見たいな茶番もカットできて話もスムーズ。一輪華ではそれをやっています。それが悪いわけではありませんよ?ただ大筋で同じストーリーなわけで、それを改修してるだけにとれなくもなくて。改修してるんだからよくはあるんですが。もしかしてわたしはこの作者さんのヒロインちゃんが合わないのかも?こういうのはほんとに好みでしかないので、しかたないかな。そして面白くないのかと問われれば、そんなことはないよともいえます。でももしかしてアニメ化されるんなら某花嫁の方なんだろうな、という気がします。そういう引きの弱さが一輪華にはあるのかもしれませんね。まだ連載しているようですが、流行の虐げられヒロインの溺愛成り上がりストーリーなので、一読してみるのも一興かもしれません。
2025.05.04
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砂の薔薇1【電子書籍】[ 新谷かおる ]価格:440円 (2025/5/3時点)今こそこれを読むべきなのでは、と近頃しみじみ思っています。手放せないコミックです。テロリストと戦う女性たちの話と一言でまとめてしまうと陳腐極まりないのですが、まあ、だいたいそんな感じではあります。テロと戦うといってもちゃんと組織として戦っていて、民間のカウンターテロの組織に主人公たちはいて、チームを組んでいます。なにしろこの作家さんの作品ですからね、車も銃も戦闘機からなんでもさすがのクオリティーです。もちろん漫画らしく、ちょっとありえなくない?と思うところもあるんですが、そんなの気になんかならないくらいの面白さです。例えば主人公の真理子・ローズバンクはカウンターテロの民間組織「CAT」のチームの隊長なんですが、もとはただの主婦なんですよ。アメリカで夫をみつけてアメリカ暮らしをして、一人息子もいて、平穏に暮らしていた…ところが空港の爆弾テロで夫と子供を失い、自分も瀕死の重体…そこから生還してCATに入って軍人的な訓練を積んでいく…わけですが、真理子は生粋の日本人です。だというのに、ものすごくスペックが高いというか。なんでもオールマイティーにこなすし、銃もばんばん撃ちまくります、ええ、躊躇しませんよ、テロリストには。しかしこれ…いくら最愛の夫と子供を失い、復讐のためだといっても、生粋の日本人にそんな覚悟が持てるでしょうか?まあ、そういったツッコミははいらないわけでもありませんが、作中でも真理子…マリーの覚悟は語られるので、ちゃんと納得感はあります。ラストは切ないものですが。そんなわけで、女性版ハードボイルドみたいな…?といって、チームは全員が女性です。そのチームの構成もすごくいいんですよね。経歴も様々で、もともと民間人だった人もいれば、空軍海軍の出身もいる。そして出身国もバラバラ、というのがいい。この作品はかなり古いものになるので、マリーの親友でもあるヘルガは、出身は「東ドイツ」でした。まだ東西分かれていたんですよ。CATに入隊してからは統一されましたが。そのあたりは念頭に入れておいた方がいいかもしれません。ヘルガの亡命の話も入ってます。ヘルガもまたかつては民間人だったんですよね。デライラ・カンクネンという女性がわたしはとても好きなんですよね。デラはモデルさんだったとのことだけど、納得なんですよ。どうしてCATに入ったんだか気になるーっ!デラの過去の話はないのでちょっとわかりませんが、かなり問題のあるあらくれチームに入っていたのですが、のちにマリーのチームに入ることになります。そのデラと同じチームにいたアイリーンもまた魅力的で、彼女はすごく女の子なんですよね。いや、エロ担当ってだけでなく。そのほかにも魅力的な女の子達が盛りだくさんですよ!また、カウンターテロの話の内容自体もすごくかっこいいです。カウンターテロの重要性がとてもよくわかる。マリーの信念が逐一語られるので、共感しやすいんですよ。日本人として、マリー…いや、真理子の心構えというか、意識は心にとめておいた方がいいなと思うんです。マリーたちは銃を持ってテロにむかっていきます。「話し合いで解決」なんてかったるいこと言ったりしません。自らが矢面に立って、そして罪を背負って、戦うんです。守るために。何を「守る」のかはそれぞれでしょうが、無差別テロを許さないという固い意志は揺らぎません。やるか、やられるか、ではあるんですよ。命を張っているから、時には仲間が死んでしまうこともある。それらをテーマにした話もあるのがいいですね。綺麗事だけではないんです、ちゃんと。あと、せりふ回しもかっこよくて、しびれちゃいますね。自分が言うことは一生涯ないだろうってせりふがぽんぽん出てきます。あと上にも書きましたが、時代がちょっと古いので、銃器はともかくほかの機材が古めかしいのはご愛敬。インカムがでけぇCATには男性チーム女性チームと二つのセクションがあって、その男性チームの話もひとつだけあります。そちらもやはり面白いんだなぁ~いいキャラが出てくるんですよ。古いコミックには違いないんですが、時を超えて…いや、平和な時代に見える今だからこそ、このコミックは読まれるべきなんじゃないかなと思う。陳腐だなんて思わずにね。漫画的なシーンももちろんあってそれがいいアクセントにもなってますし、読み応えはばっちりです。男性向けの雑誌で連載されていたようなのでちょっと裸体が多いのはご愛敬。でも一読する価値はおおありなので、ぜひにと進めたいコミックです。
2025.05.03
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百物語 実録怪談集【電子書籍】[ 平谷美樹 ]価格:726円 (2025/5/2時点)わたしは子供の頃からずっと怪談話が大好きなので、よく実録系の本を読んでいました。といっても、心霊スポットにでかけることもないし、交霊術を試みたりもしません。金縛りにすらあったことがない…霊感ゼロなのです。だというのになぜ心霊話が好きなのか、自分でもどうもわかりません。怖いのは苦手な方ではあるんですが。そして見たこともないのにどうして信じられるのかも、自分ではさっぱりわからないんですよね。「本当にあった怖い話」のコミックはもちろん持ってます。心霊体験で怖い思いをした人がたくさんいるんだなー大変だな…とは思うんですが、自分がそれを体験してみたいとは思わないですし、わたしには縁のないことだろうなとも思うんです。とはいえ、じゃあ実際に心霊的なものを何も見ていないのかと言われればそんなことはなく。それはさておき、百物語。こちらの本も創作ものではなく、いちおうはノンフィクション「実話」として収録されています。読んでいて「怖い」といった感想はなくむしろほっこりした気分になるというか。いや実体験したら怖いんだろうな、とは思うんですが。塩梅がいいというのかしらね。読みやすいですし、身近にかんじられる雰囲気があります。先に取り上げた「残穢」とは違った雰囲気で、こちらのほうがカジュアル怪談って感じでしょうか。そして本作は作者さんの実体験もふくまれています。ものすごく怖い、というよりちょっと怖いなぁ、といった感じでしょうか?釣りやキャンプが趣味のようで、そのあたりはやはりリアルです。いや、釣りは怖い体験しそうですよね、という。ちなみに川の方の釣りです。そして興味深かったのは、わたしはいくつも実体験系の話を読んできたのですが、似たような怪奇現象があるんだな、ということです。タクシーに女を乗せたら…的なものではなく。現象のおきかたがよく似ているケースがあるんですよ。全く違う人物と場所、時代でも、です。もちろん多少の違いはありますが、大枠が似ているというのか。たとえば「ふすまがゴムボールのように膨らむ」とかかな。襖が、向こう側から押されでもしたのか、それにしたって襖の中央だけゴムか風船かのように膨らむってどういうことだろう、といった現象です。この現象を別作品でも何度か読んできました。ただ、それだけの現象です。その後、これこれこうで…といった後日談が足されるものもありますが(家族や親せきで不幸があったとか)、ほんとうにただそれだけの現象で終わることもある。怖いというより不思議と感じる方もいる。音が鳴ったり鳴らなかったり…違いはあるにせよ「襖が膨らむ」という現象のカタは同じという。これ、なんなんでしょうね?もちろんほかにも似た現象はありますが、襖が膨らむ系の話は日本の怪談ぽくて好きなんですよね。海外の怪談話ってちょっと派手すぎるんですよ。これはフィクションの映画でもそうで、なんというか幽霊たちの自己主張の強さときたらってそっちに意識がいっちゃって。好きな映画の一つ「ポルターガイスト」も、実は墓地の上に建てられた家でしたってオチがあるにしても、主張の激しさがスプラッタだし、激しいんですよ。そりゃびっくりするわっていう。いやもう、派手ですよね…日本の「憑き物付き」の現象も派手だし、主張激しいなとは思うんですが、エクソシストみたいに首回ったりしませんからね~このあたりの違いが興味深くもあるんですよ、「怪談」って。そしてこの百物語も、とっても地味です、地味なお話が続いて、なんだかほっこり。百物語の遊びが流行った、というのも日本らしい。「遊び」なので教訓めいた話になりにくい。そこがいいんでしょうね。怖がりたい人にこの本はお勧められないかもですが、日本の地味な会談をちょろっと読みたいなって人にはお勧めです。
2025.05.02
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7つの黄金郷(エルドラド)(1) (中公文庫コミック版) [ 山本鈴美香 ]価格:565円(税込、送料無料) (2025/5/1時点)未完の名作といわれるこちら…まあ、未完なので名作とは言いきれないのがつらいところですが。かの「エースをねらえ」が有名すぎなのですが、こちらの作品もかなり力の入った作品です。有名すぎる「ベルばら」がフランスなら、こちらは16世紀のイングランドが舞台です。こちらにも「男装の麗人」的なヒロインが登場します。そして、この頃流行っていたのかどうなのか、主人公は双子なんですよね。男女の双子です。男装の、と書きましたが、もっと特殊なんです。主人公はオリビエ・リー、侯爵家の嫡子です。双子の兄エロール・リーと二人セットで「天使たち」と呼ばれています。見た目の美しさと性格の清らかさから。このふたりは、レッドフォード侯爵家の嫡子なんですが、この侯爵家はちょっとかわっていて、その嫡子はある時まで性別を明かさない、という家訓のようなものがあります。性別を超える家柄のようで、父もかつては少女と思われていたりもしたそうです。なかなかにぶっとんだ設定ですが、これが創作の面白さですね。ちなみに1500年代のイングランドが舞台ですから、もちろん歴史上有名な人物もたくさん出てきます。筆頭はエリザベス女王でしょうね。つまりその頃の時代を舞台にしています。メアリ・スチュアートも重要なキャラとしてちらっと出てきます。あとは、ドレイク船長とかかしらね?スコットランド王も出てきます。まあちょい役ではありますが。そして英国の王宮をメイン舞台にしているので、歴史の流れに沿った展開となっています。この創作の料理の仕方がとても面白い。とはいえ、ちょっとどころかかなり、エリザベス女王を善人にしすぎているかなーと。というか、英国自体を良い国のように語りすぎというか。この当時というか以後かなぁ…英国けっこうえげつないことやってますからね…まあそれはそれとして。タイトルにある通り「エルドラド」が物語のキーワードになっていて、ヒロイン・オリビエの背中にエルドラドの文字が刻まれているのです、しかもそれはエルドラドの秘密そのものである、という。エルドラドの文字には秘密の文字がつかわれていて「神へのみちしるべ」「太陽の扉」「7つのエルドラド」というキーワードがそこから浮かび上がった…しかしこれだけではまだ謎は解けず…歴史の流れを追いながらエルドラドの謎を探していくわけですが、ベースにあるのはやはり人間関係、オリビエの恋の行方でもあります。オリビエを恋い慕う人は二人、伯爵のアーサーと謎めいた公爵ロレンツォです。ロレンツォは画家でもあり、美男ゆえにローマ法王から寵愛されている人物。つまり、オリビエのいるイングランド(プロテスタント)にとっては敵でもあるわけです。この当時は宗教戦争の頃ですからねー。ところがロレンツォはとんでもない過去を背負った人物で、「悪魔の子」でもあるんです。この過去はつらすぎる。そんなロレンツォが過去に親しくしていた人物がまたオリビエたちの敵にあたる…その人物もまたとんでもない人物の子で、という。オリビエは様々な思惑の渦の真っただ中にいる、という設定もおもしろいんです。この時代をうまく活用しているなぁと感じたのはそこです。つまり、エリザベス女王とメアリ・スチュアートという、ふたりの対立する女の中に、オリビエが絡んでくる。もちろん直接対決するわけではないです。16世紀の英国動乱時代、そんな中で主人公を含めたキャラたちがどう動いていくのか、それももちろん見どころです。魅力的なキャラがとにかく多いんです。アーサーやロレンツォのほかに、エロールの付き人のビンセント、アーサーの軍師マリオット・ローランなどがとくにあげられるでしょう。ちょっと面白いのが、マリオットはアーサーのことを「私の伯爵(マイ・ロード)」と呼ぶんですが、とても印象的な言い方だとオリビエなんかが言うんですよ。なんだかこれ、銀英伝のロイエンタールっぽいなと。「私の皇帝(マイン・カイザー)」みたいなね。ロイエンタールはヘテロクロミア…左右の眼の色が違いますが、マリオットは片目が弱視で眼帯して髪は老人のように真っ白なうえ、半身不随という身上。かなりちがうんですが、なんとなくロイエンタールを思い出したんですよね。ちなみにオリビエ・エロールの双子は金の髪に青の瞳です。ラインハルトや!いやちがいますけど。ちなみにわたしが好きなのは、双子の父親、レッドフォード侯爵なんですが…あまり多くは語らないけどおいしい役回り的な人です。ところでこの作者さんは、エースをねらえでも感じたのですが、「父性」に関して何らかのこだわりというか…根ざした感性がありますね。父性愛というのを強く感じます。竜崎パパもそうなんですよね…父が大好きなんかしらね?この話のヒロインもやはり父親を敬愛していて、父のようになりたい、とつよく熱望している。けれど女ゆえにそれがかなわなくて悩みもする。どうして女に生まれたんだろう、と。女である自分を卑しんではいないので、もやっとした感情にはなりにくいです。話全体的にかなり綺麗事をならべている感じは否めないですが、それでも引き込まれずにはいられない説得力もあるし、絵柄もそうです。キャラの表情が迫力があって見ごたえがある。すさまじいほどの美形と描かれるロレンツォも、その形容を裏切りません。読みごたえも抜群なんですが、いかんせん未完成…続きが書かれることはもうないでしょう。すごくドラマチックなところで「続く」になってしまっているのが残念でなりません。文庫ではラフがのせられているんでしたっけ?それでもどのように完結するのは思いもつかないので、もうこれは「未完」のものとして読むしかないのですよ。いにしえの少女漫画ってこんなに壮大なものもあったんだなっていう、証拠の一つでもありますね。とにかくジャンル幅がめっちゃ広かった。そして存外話はさくさくと進んでいくのも少女漫画の良いところでもありますね。やたらめったらに長いのもあるにはありますが。エリザベス女王が美化されすぎじゃね?と思わなくもないですが、一読の価値はありです!
2025.05.01
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