全105件 (105件中 1-50件目)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』のサブタイトルからこのアニメでは毎回、百人一首の初句をサブタイトルに使っているで、この機会に百人一首を読み直して、いろいろ思いついたことでも書いてみるvol.11このアニメは全12話だが、11話まできてようやく、物語と百人一首との関わりが明かされた毎回姿を変えて登場しては、主人公にブッた斬られるバケモノ(物語では『古きもの』)が、太古より人を食らってきた。。。そのことが百人一首のいくつかに詠まれている、ということらしい。。。う~ん、わからない。。。これまでサブタイトルに使われた歌のことだと思われるが、これをどう読めば、バケモノのことが読み込まれている。。。なんてことになるのか暗号なのかと思い、アナグラムなど様々な暗号解読を試みたが、特にそれらしい記述にも行き着かなかった。。。誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに?藤原興風?【現代語訳】誰をいったい、親しい友人としようか。"(長寿で有名な)高砂の松も、昔からの友人ではないのに。 の松も、昔からの友人ではないのに。"長く生きていると知人を亡くすこともある。もちろん寂しいことだ。松の木なら自分より先に逝ってしまうことはないだろうっていうことで、それでいくらかでも心の支えとなるということなのか。。。そういった感慨にいたることに多少違和感があるのは、昔と今とでなんというか、救いを求めるベクトルというか選択肢が違っているのであろうおそらくどちらがバラエティ豊富か、ということではなく、現在よりも動植物との心情的な距離感が近い。。。ではないかと思う
2011/10/11
コメント(0)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』のサブタイトルからアニメの内容についてはおいといて。。。このアニメでは毎回、百人一首の初句をサブタイトルに使っているで、この機会に百人一首を読み直して、いろいろ思いついたことでも書いてみるvol.10吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ文屋康秀【現代語訳】 山から秋風が吹くと、たちまち秋の草木がしおれはじめる。なるほど、だから山風のことを「嵐(荒らし)」と言うのだなあ。この歌については、かねてよりツッコミを入れたいと思っていた。「嵐」というと、夏から秋口にかけて発生するいわゆる「台風」を思い浮かべて。。。「山風」というとイメージ的に「木枯らし」を思い浮かべるのは私だけだろうか。。。「秋の草木のしをる」る時期、というのはこの時代の季節感覚で言えば夏に近いのか、冬に近いのかまぁそういった季節的な細かい考証などあまり気にせずに作られた歌である、と見るのが妥当であろう。この作者にしても、1000年ほど後に制作されたテレビアニメの第10話のサブタイトルにこの初句「ふくからに」が採用されて40過ぎのアニヲタ探偵からツッコミを入れられることは想定していなかっただろう
2011/09/21
コメント(2)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』のサブタイトルからアニメの内容についてはおいといて。。。このアニメでは毎回、百人一首の初句をサブタイトルに使っているで、この機会に百人一首を読み直して、いろいろ思いついたことでも書いてみるvol.9心にも あらでうき世に 長らえば 恋しかるべき 夜半の月かな 三条院【現代語訳】心ならずも、このはかない現世で生きながらえていたならば、きっと恋しく思い出されるに違いないこの夜更けの月が三条院といえば、藤原道長が勢力を広げていくなかで、権力争いから脱落していった一人そんな状況での心情を歌った歌、ということか。。。これまで40年以上生きてきて、普段は平穏な日常を過ごしているようだが10年前、20年前のことを思い起こすと、まぁいろんなことがあったもんだと思い知らされる。星空を眺めながら夜道を一人歩いていたこともあった(ような気がする)なんてことのない歌だと思っていたが、改めて読み返してみるとそんな記憶が甦ってきた。この齢になってみないとわからないことってのもあるもんだな。。。
2011/09/12
コメント(3)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』のサブタイトルからアニメの内容についてはおいといて。。。このアニメでは毎回、百人一首の初句をサブタイトルに使っているで、この機会に百人一首を読み直して、いろいろ思いついたことでも書いてみるvol.8世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる皇太后宮大夫俊成【現代語訳】この世の中には、悲しみや辛さを逃れる方法などないものだ。思いつめたあまりに分け入ったこの山の中にさえ、哀しげに鳴く鹿の声が聞こえてくる。この歌には少し思い入れがあって、某サイトから引っ張ってきた↑の現代語訳とは若干違った解釈をしている私自身の話しで、山の奥深く、けもの道もないようなところを探索していて、どっちに向かっているのかわからなくなった(要するに迷った)ことが何度かある。大事にはいたらなかったが、やはりその最中は不安なもので、誰だってこういう時はそれなりに焦るこの歌を読むといつも、あの時の記憶が蘇ってくるで「世の中よ 道こそなけれ」というのは。。。この世で生きるということは、いわばあの時の状況と同じなのではないか。。。不安に駆られながらも、自分に向かって「大丈夫だ」と言い聞かせて何とか冷静さを保ち道なき道を進み、切り拓いていくものなのかもしれないそうしている間に、日が暮れて周囲が暗くなってくる等々で状況が悪化してくるとその深刻さ加減によっては当然焦って取り乱してしまいそうになるいわゆる『狂気』に陥らないよう、これまで自分を抑えてこれたのは。。。ただ運がよかっただけかもしれない今は高度情報化社会。。。情報過多により、言ってみれば至るところ道だらけで。。。どれを信じてどれを選ぶのかは各人の胸先三寸に委ねられているそう捉えてみるとやはり、今も昔も変わらず「道こそなけれ」ってことさそういえば、鹿が鳴いているっていう表現はこの時代の作品ではたまに見かけるから、何だか決まり文句みたいなもんだろうけど鹿の鳴き声ってやつを聞いたことがない。。。
2011/09/02
コメント(0)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』の第7話のサブタイトルからアニメの内容についてはおいといて。。。毎回百人一首の初句をサブタイトルにつけているのでこの機会に百人一首を読み直してみて、いろいろ思いついたこと憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しかれとは祈らぬものを源俊頼朝臣【現代語訳】(私に冷淡で)つれないあの人が、私を想ってくれるようにと初瀬の観音様にお祈りをしたのに。まさか初瀬の山おろしよ、お前のように、「より激しく冷淡になれ」とは祈らなかったのに。後半部分の「激しかれ」から連想したのか。。。私はこの歌には、エロティックな意味合いが込められているのではないか、と思ってきたで、今回読み直してみて、その長年の考えがそれほど的外れでもないような気がしてきた曲解をおそれずに言うと。。。「初瀬」というのはもちろん地名だが「初瀬の山おろし」というのは、実はこの作者自身の初体験を指している。。。初瀬→初の逢瀬、山おろし→○おろし男女の営みというものは想像していた以上に激しいものであったなどと読みとるのは、少し無理があるか。。。この源俊頼という人は和歌の技法を自由自在に操る名手であったので、容易に悟られぬように、こういった意味を忍ばせることも可能だったかもしれない。。。
2011/08/26
コメント(2)
前回の『BLOOD-C』の第6話のサブタイトル「かぜをいたみ」で、ようやく放送に追いついたと思ったら。。。うっかり第5話の分をとばしてしまった。。。めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月影紫式部【現代語訳】せっかく久しぶりに逢えたのに、それが貴女だと分かるかどうかのわずかな間にあわただしく帰ってしまわれた。まるで雲間にさっと隠れてしまう夜半の月のように。 浅学なため、この「めぐり逢ひ」の相手は、勝手に男性だと思いこんでいたが。。。『新古今集』には幼友達と久しぶりに逢ったが、ほんのわずかの時間しかとれず、月と競うように帰ったので詠んだ、と作者本人が書いている紫式部の同性愛者説が根強く残っているのは、こんなところにもあったのか。。。確かに、源氏物語を読んでいても、そういう目でみれば「そうかも知れない」と思えるふしがなくもないただし、それは紫式部の残した作品の価値には何の影響もない。作者が「女友達」とわざわざ書いておいたのはカモフラージュでないとも言い切れないしな
2011/08/24
コメント(0)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』の第6話のサブタイトルからこのアニメの内容についてはいろいろ言いたいこともあるが、それはおいといて。。。毎回百人一首の初句をサブタイトルにつけているのでこの機会に百人一首を読み直してみて、いろいろ思いついたことでも書いてみようかと思う風をいたみ 岩打つ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな源重之【現代語訳】風が激しくて、岩に打ち当たる波が(岩はびくともしないのに)自分だけ砕け散るように(相手は平気なのに)私だけが心も砕けんばかりに物事を思い悩んでいるこの頃だなあ。 この歌をきくといつも、東映映画のタイトルバック。。。あの大きな岩に波が当たる映像を思い出す。。。どうでもいいことだが、あれは千葉県銚子市(犬吠埼)で撮影されたものらしいが現在使われている映像はどうやらCGらしい。。。波しぶきのように砕け散る。。。そんな思いとはとうに無縁になってしまったがアメリカのド派手アクション映画なんかでよくあるシーン最後に残った敵(ラスボス)に追い詰められて、絶体絶命ってとこで運よく最終兵器(ミサイルかなんか)が手に入りその敵を倒す(大爆発が起こり敵は粉々に吹っ飛ぶ)死ぬ時はあんな風に粉々に吹っ飛んだらスカっとするんじゃないか。。。なんて思ったりしたなぁ。。。
2011/08/22
コメント(3)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』の第4話のサブタイトルからアニメの内容についてはおいといて。。。毎回、百人一首の初句をサブタイトルに使っているで、この機会に百人一首を読み直して、いろいろ思いついたことでも書いてみるなげけとて つきやはものを おもはする かこちがほなる わがなみだかな 西行法師【現代語訳】嘆き悲しめと月はわたしに物思いをさせるのだろうか。 いや、そうではあるまい。本当は恋の悩みの所為なのに、まるで月の仕業であるかのように流れるわたしの涙ではないか。西行の歌はどれも、他の歌人の歌とは異質で独特な死生観。。。倒錯的な性癖。。。そんなようなものを表現しようとしていたように思えてならない。。。どちらかといえば直接的な言葉を選んで、素直に感情を表現しているようでいて誰もが心の奥に隠し持っているいびつな感情、いわく言い難い心理的葛藤そんなようなものが、知らずに反応してしまう気がする。この歌でいうと恋の悩みゆえ涙を流している自分に酔って「オレが涙を流しているのは月のせいだ」と強がりを言っているような。。。
2011/08/18
コメント(0)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』の第3話のサブタイトルからこのアニメの内容についてはいろいろ言いたいこともあるが、それはおいといて。。。毎回百人一首の初句をサブタイトルにつけているのでこの機会に百人一首も読み直して、いろいろ思いついたことでも書いてみようかと思うひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける紀貫之先日、お盆で帰省してきていた昔の同級生が大勢集まった見た目別人みたいになってて誰だかさっぱりわからないが話してみるとやはり昔の面影がある。一方で、見た目はそれほど変わってなくても、人間的に丸くなった人やらとっつきにくくなった人やらもいてみんなそれぞれ、それなりに苦労してきたことが偲ばれる高校卒業してから20年以上経って、みんな変わってしまったようだが。。。ただ、それは「こいつはこういうやつだ」ってこっちが勝手に決めつけてわかったような気になってただけのことで人それぞれ周りに見せている部分と見せていない部分があって人が周りに見せていない部分でも、はたで見ていて何とはなしに感じ取れる場合と感じ取れない場合とがあって人がそれぞれ自分に対して持つ自分のイメージと、周りから見て看取されているその人のイメージとの乖離そういったものが20年もの歳月を経てさらに際立って感じられるジャック・ラカンの鏡像段階論みたいな話しも、こういうことだったのかってわかったような気がしてきたそれにしても、この歌はリズムっていうのか語感がよくて何度も繰り返して声に出して読んでみるとなぜか気分がいい
2011/08/16
コメント(0)
タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』の第2話のサブタイトルからどうやらこのアニメでは、サブタイトルを百人一首の初句で通していくようだ。ただし、知ってのとおりこの初句は百人一首の中に2つある。きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ (光孝天皇)きみがため をしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな (藤原義孝)アニメのストーリーとはあまり関連性がみつからないので、断言はできないが設定では季節は初夏のようなのと、生と死がテーマの一つであると思われることから後者を想定してつけたタイトルだと思われる。この歌に関しては、おそらく10代の私にもある程度は共感できていたように思う逢うことすら叶わず悶々としている場面と、念願叶ってふたり甘い時間を過ごす場面との比較対照これは狙ったものなのか。。。この歌に限らず現在に残っている数多くの歌は、その時代の人々が考えに考え抜いて作り込んだものなのか即興で鼻歌でも歌うみたいにして作ったものなのか。。。そんなどうでもいいことが、昔からどうも気になる。。。で、この初句でもうひとつ思い出すのは岡田以蔵の辞世の歌「君がため 尽くす心は 水の泡 消えにし後ぞ 澄み渡るべき」原発で復旧作業にあたっていて被ばくした作業員が、死に際に残した歌だと読み替えてみると感慨深い。。。放射能で汚染された空が、澄み渡る空に戻るにはどれだけかかるのか。。。
2011/08/12
コメント(0)
日記書くのは何年ぶりだろう。。。タイトルは7月スタートのテレビアニメ『BLOOD-C』の第1話のサブタイトルからちなみに、今のところ内容とサブタイトルとはあまり関連性がみつからねぇ。。。(後になって重要な意味を持ってくる可能性はあるんで、今のところ)言うまでもなく百人一首あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ 僧正遍照百人一首は小学生の頃に暗記して、高校のころまではだいたい覚えてた気がするが今では初句だけ聞いても「あ、あれやな」って思うだけでなかなか続きが出てこねぇ。。。で、何とはなしに調べてみた。今読むと、何てことのない歌のようでありながら、美しくもはかない者に対して湧き上がってくる寂しさがう~んちょっと違うな。。。まぁそんな言いようのない感情が伝わってきて、なかなかに味わい深いものがある。当時は何でもわかってるような気になってたもので、ロ○コンの坊さんが作った、何てことのない幼稚な歌って印象だったのが。。。何のことはない、自分が幼稚だったってことか
2011/08/11
コメント(4)
あれに出てた女優が、町長に直談判しようとして太地までやってきたが面会断られたって。。。当たり前だろ( ̄0 ̄)/あんな映画撮っちまったこと謝罪しにきたのなら話しは判る。イルカ漁やめれば観光で人を集めるのに協力するってほざいてたらしいが、大きなお世話だぜイルカの個体数増えるのはいいが、漁師にしたら、大事な網破られるんで、やむなく殺さなきゃならない、殺すからには出来るだけ有効利用するってだけのことなのに、なぜその事情がわからねぇかなぁ。。。
2010/03/28
コメント(2)
『地球温暖化』という言葉は、1988年アメリカ上院の公聴会でのJ・ハンセン氏の「最近の異常気象、 とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい」という発言から注目されるようになった。20年前か。。。アメリカでの異常気象、猛暑などのニュースは20年以上前から毎年のように聞いているような気がする。日本国内での異常気象とはまるでスケールが違う、というか何だか別次元の出来事で、どうも同じ起源の問題として扱うのには違和感がある。。。『地球温暖化』の原因はいくつかある。しかし、その全ての原因を合算しても、今現在のような平均気温の上昇を説明できない、と言われている。要するに、まだよくわかっていない、ということだな。よく耳にする『温室効果ガス』というのはそのいくつもの原因のうちのひとつ。今わかっている気温上昇の原因の中で、特に貢献度が高いというわけではない。CO2はそのいくつかある『温室効果ガス』のうちのひとつ。ICPP(国連の気候変動に関する政府間パネル)が「人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は9割を超える」と報告したことから、日本では、世界的に温室効果ガスの削減目標を掲げた京都議定書を議決するという動きになり、CO2排出量が問題視されるようになった。なぜCO2なのか。。。ここからは私の勝手な推測。まずひとつには、CO2については人類の努力によって排出量を抑制することが可能だから、という単純な理由と、CO2排出量を抑制すると、石油資源の使用量の抑制につながる、というわけではないか、という気がする。当たり前のことだが、石油資源は有限で、今のペースで石油を消費し続けていくと、近い将来使い尽くしてしまう。どのぐらいで使い切ってしまうかというと、研究者によって説はいろいろで、50年から100年ってとこらしい。もっと早いと主張する説もある。このことを前面に出すと、おそらく危機感が高まり原油価格が高騰する。日本政府もおそらく水面下で、激しい争奪戦に加わっているだろうと予想はつく。将来的に、石油資源の枯渇は避けられないが、それを先延ばしにする対策はかなり以前から研究され実用化されている。原子力発電から、最近ではバイオエタノールなどがそれにあたる。(ただしこの2つはかなりのデメリットがあるので私は賛成できない)CO2排出量削減もその対策のひとつに過ぎないのではないか。車をなるべく使わない、またはアイドリングストップ、3R運動(リユース・リデュース・リサイクル)などによって、石油の無駄遣いは確実に減る。ただ、CO2排出量削減キャンペーンは、欧米諸国ではどうもあまり浸透していない。なんだかとりとめのない文章になってきた。。。結局何が言いたいかを箇条書きにすると以下の通り。1. 『地球温暖化』の原因はCO2だけではない。2. CO2排出量削減キャンペーンは地球温暖化抑制策というよりは、石油資源の枯渇を先延ばしにするための対策である。3. 環境問題は地球温暖化だけでなく、他にも大気汚染・水質汚染、広い意味においては石油資源の枯渇・途上国の食糧不足など深刻な問題はいくらでもある。あくまでも私の個人的な見解だよ。全然わかっちゃいねえな!って反対意見もあると思う。このあたりの事情については、かなり議論が分かれるところみたいだし。それで、できるだけややこしい理屈や細かい数値を書くのは避けた。できる限り、テレビや新聞などの情報だけを鵜呑みにしないで、様々な意見を見比べていくことが大事じゃないか。。。↓もっとよく知りたい、という方のために一応wikipediaのリンク地球温暖化-wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96地球温暖化に対する懐疑論-wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%87%90%E7%96%91%E8%AB%96
2009/01/08
コメント(37)
それにしても長いこと留守にしちまったな。。。イロイロあって、もうダメかって思った時もあったがようやくここに戻って来れたよ。そういうわけで、あちこち訪問してたらバトンを見かけたんでとりあえず挨拶がわりにやってみる。【1】今付き合ってる恋人はいますか? いるよ。 【2】その恋人と付き合ってどれくらい経ちますか? どうだろう。もう一年ぐらいになるのかな。 そういえば、こいつと付き合い始めてから連絡をとってないのがもう一人いるな。 多分元気にしてるんだろうけど、今頃どこにいるんだろう。。。【3】この恋人と付き合ったキッカケは? 気がつけば傍にいた、ってとこかな。 【4】この恋人以外に過去にどれくらい恋人いました? 4人だと思う。【5】一番長く続いた恋人とはどれくらいですか?それはいつ頃? さっきの連絡をとってないヤツだと思うが、いちいち期間なんて憶えちゃいねえな。【6】逆に一番短かった恋人とはどれくらい? 短くても2年は意地でも続けるよ。【7】恋人を色に例えるなら何色ですか? シルバーが1番しっくりくるかな。。。【8】恋人との思い出があればどうぞ! きまぐれなヤツで、たまにヘソを曲げるとウンともスンとも言わなくなる。 まあ、これはオレが住んでる環境が悪すぎるってのが原因なんだけど。【9】浮気願望はある? 今のところないね。 【10】今の恋人に一言!! 普段からかなり荒っぽく扱ってるのに、文句も言わずにいつも傍にいてくれてありがとう。【11】まわす人 答えたい人がいればどうぞ。 !!!!!!!!注意!!!!!!!!!! 注:この恋人とは、携帯電話のことです!!笑 いかにも人間のようにバトンは書いてみてください!!言われた通りやってみたが、どうなんだろう。まあいいか。
2007/04/06
コメント(4)
久しぶりにあちこち訪問してたらバトンをみかけたんでやってみることにした。1、回してくれた方の印象・・・回してくれたわけじゃなくて、勝手に貰ってきたんだよ。。。 2、まわりから見た自分はどんな子だと思われてますか?どうだろうな。。。変わり者だってことは誰もが認めるだろうとは思うよ。 3、好きなタイプ5つ。A オレが持っていない部分を持っている人。B 映画や小説なんかについて話が合う人。C キツい冗談でも軽く受け流せる人。D A~Cにあてはまらない人。E 尻の軽い人。 4、反対に嫌いなタイプこう見えても、悪いヤツは大嫌いなんだよな。。。5、自分がなりたい理想像 苦しい時にふとあの人の事を思い出す。。。そんな人でいられればいいな、とは思う。6、自分の事を慕ってくれる人に一言オレは5で答えたような存在かい? 7、6人の方にバトンタッチ(印象付き)残念ながら、バトン回せそうな人はみんな終わってるみたいだ。とりあえず3人だけ名前いれとくよ。ログアウト状態でコメントくれたことのある人なのでどんな人かは知らない。。。forget-me-notさんもんじゃ焼きさん子猫さん8、タイトルにまわすかたのお名前を入れてタイトル見たら驚くだろうな。^^;---連載の方はかなりお休みしてるんだが、続きが書けない訳じゃないよ。もし、続きを待ってくれてる人がいるとしたら大変申し訳ない。もう少しじっくり取り掛かりたいだけだから心配しないで欲しい。っていうか、そろそろオレの存在も忘れられてた頃かな?
2006/11/23
コメント(9)
タコヤキとブロンドが揃って、私の向かいの席に座った。3人で軽い食事をとりながら私は、夜中に家の前で張り込んでいたが、特に変わった事はなかった、と(やや虚偽の)報告した。ブロンドの髪の色の抜き加減は、やはり私の記憶が正しかったようで、ごく控えめなものだった。夢で見た苦悶の表情が時々頭に浮かんできた。「現地では、何か収獲はあったかい?」「ボンヤリしてた訳じゃないが特に決め手になるようなことはわからなかったよ。行方不明者の共通点は何もない。」「そうか。。。」「あまり参考にならないけど、これを見て欲しい」そう言って書類をテーブルの上に出した。手作りの資料というわけだろうか。半分が顔写真で、残りの半分には簡単なプロフィールが書き込んである。1人分のデータがA4用紙1枚になっていた。「再生紙を使用しているな。。。」「相変わらずだね。僕が関係があると見ている7人だよ。僕なりに調べてみたが、この程度のことしか分からなかった。」タコヤキから渡された、インクジェットプリンターで印刷されたと思われるやや粒子の粗い顔写真を眺めていた時、私は少し奇妙な感覚に襲われた。どんな感覚か。。。うまく言葉で表現することができない感覚というのはたまにあるものだ。いや、実際はよくあるのだが、よく使われる決まり文句でその場は納得してしまうだけのことだ。本当のところは、そんな手垢にまみれた表現を使っても、本人にとっても相手にとっても全く意味をなさない。言葉にすればするほどリアリティがなくなり、実際の感じからは遠いものとなっていく。。。ただ、私の今のこの感覚は、いわゆる『決まり文句』でもどうにもならないものだった。これまで感じたことのない、『奇妙な』としか言いようのない感覚だった。「お互いに面識もないし共通の知り合いもいない。パソコンや携帯電話の履歴を調べても、怪しいサイトを訪問したような形跡も特にない。僕の思い過ごしなんだろうか。。。って気もしてきたよ。」タコヤキの言葉が、上滑り気味ながら辛うじて意味を理解できる程度だった。to be continued...
2006/10/03
コメント(6)
私は見覚えのない鬱蒼とした林の中に立ち尽くしていた。月明りにしては、ヤケに周りの物がはっきり見え過ぎているような気がした。足元でタコヤキの奥さんが、雑草と漬物石と小さな水たまりをベッドにして横たわっている。。。記憶ではほんの少し茶髪にしていただけのはずだったが、月の光の加減か妙に光っていた。私は彼女を『ブロンド』と呼ぶことにした。よく眠っている、と感じたのは一瞬の間だけだった。さすがにゾッとした。ブロンドの足先から腹部にかけて、数匹のヘビが絡まり合っていた。そして、ゆっくりとした動きで体の上を這っていく。。。私は慌ててそいつを払い落としてやろうとした、だが、どうしたことか体が全く動かない。『起きろー!』と声をかけているつもりであるが、その声も届いていないようだった。(このまま見ているだけしかねぇってことか。。。)ヘビが何匹いるのか数えてみようとするが、両端が頭になっているためだろうか、途中でわからなくなった。5匹あたりまで数えて、混乱してまた最初から数え直す。。。そんなことを3度ほど繰り返した。その間に、1匹がブロンドのアゴのあたりに接近していった。暗くてよくわからないが、濃い赤色のスプリット・タンがチロチロと見え隠れしているのがわかった。ブロンドは気を失って倒れてしまっているのかも知れない。。。私がそのことに気付くには、少々時間がかかり過ぎだ。眉間のあたりがかなりの不快感をよく表している。私も気を失ってしまいたい気分だったが、不幸にも私の精神構造にはそんな便利な機能が備わっていない。体が動かないのがもどかしい。ヘビはそれぞれが、時々舌を見せながら無表情な目つきでゆっくりと這いずり回っていた。私は繰り返し『しっかりしろー!』『やめろー!』とブロンドとヘビに向かって交互に怒鳴った。自分でも声がかすれてきているのを感じたが、本当に声がでているのだろうか。。。そんな事を思い始めた時、どこからか『通りゃんせ』の曲が聞こえてきた。一瞬、信号が青に変わったのか?と思ったが、こんな所に信号などがあるはずもない。調子はずれで不安感に襲われる。ところどころの音が外れているのだった。何のことはない、その音の発生元は私の携帯電話だった。もちろんそんな着メロに設定するようなことはしないし、寝る前にアラームをかける時以外はマナーモードにしている。何か狂っている。。。(そうか、アラームだ。。。)「起きてたかい?」電話を耳に当てて聞こえてきたのはタコヤキの声だった。現実の世界に戻ってくるのに少々時間がかかった。近所のファミレスで待ち合わせする予定だったが、念のため約束の時刻の1時間前に一度電話をくれるように頼んであったのだった。to be continued...
2006/09/11
コメント(2)
いつものレッドのニュースの解説が終わり、出勤の準備のために帰ってしまうと、やはり手持ち無沙汰になった。そして今日も、昨日とちょうど同じAM5:18にカラスが飛来してきた。そして例の両頭ヘビを夜中に見つけた辺りに着地した。首をひっこめるような仕草をして辺りを見回している。それを見て私は、マッギーがコーヒーを飲む時にちょうど同じような仕草をしていたのを思い出した。やがてそのカラスは、何か納得したようにまた飛び去って行った。おそらく、明日もやってくるんだろう。。。私はあのカラスをマッギーと名づけることにした。(当の奥さんの様子はどうなんだろうか。。。)引き上げる時間になって、私は帰りの道すがらマッギーの葬儀の時に一瞬見かけたタコヤキの奥さんの表情を思い出してみた。思いつめたような表情をしているように感じたが、今になって考えてみると、おそらく睡眠不足もあったのだろう。監視を引き受けはしたが、あの時以来姿を見ていない。今日はタコヤキが仕事の休みを利用して実家にやって来て、オレとも夕方会う約束をしている。その時に、奥さんにも会わせてもらおうと考えながら、私はベッドに横になった。おそらく夢の中では、数時間前に見た両頭ヘビが主役ばりの存在感で暴れまわることだろう。元々ヘビはあまり得意でないし、あんなやつの大群に取り囲まれた、なんてことになったら、私もカエルのようになるしかないだろう。。。to be continued...
2006/08/23
コメント(2)
早朝の黒い来訪客は少なからず気になったが、それ以外には特に異常はなかった。翌日、私は街灯の明かりを利用して、タコヤキが送ってくれた資料を何度も読み返していた。ヤツの周辺で起きている連続失踪事件に関する記事では、警察は3件の失踪については何らかのを関連性がある、としていた。タコヤキの調査によれば7件は間違いなくて、次第にその差は縮まっていくだろうと書き添えてあった。私は、ヤツの調査に協力しているわけでなく、奥さんに何かあった時のためにここにいるだけだ。。。自分にそう言い聞かせて、調査の方法について口を出したくなる気持ちを抑えた。その時、私はそろそろやって来るはずのレッドを少し心待ちにしていたような気がする。しかし、それどころではなくなった。見張っている家の斜め向かいのあたり、私の位置からはピッチャーマウンドからホームベースくらいの距離だろうか。雑草が生い茂った空き地の、不動産会社の看板が立っている付近で、微かに何かが動いた。。。私は迷わず車を降りた。静かに近寄ってみると、看板の足元にいたへビがゆっくりと雑草の間に隠れようとしているところだった。その異様な姿に驚いた私は、全身が隠れてしまうまでただ眺めているしかなかった。見た目はアオダイショウのようでもあるが、頭が2つある。尻尾があって、胴体が途中で2つに分かれた双頭のヘビというのは、写真で見たことがある。確か、剥製も各地にある、という話をきいたことがあるから、実は大して珍しくはない。異様だったのは、進行方向とは反対の端、尻尾があるべき部分にも頭があったことだった。後になってマスターに聞いた話では、プリニウスの『博物誌』やその他の文献に、私が見たのと同じヘビについての記述があるらしい。アムピスバエナと言って猛毒がある(プリニウスの言う事だからあまりアテにはできないが)ということだった。ある動物学者は、このアムピスバエナというのは足なしトカゲの一種であろうと推測した。尻尾が先細りしていない種類のものがいて、その尻尾を頭と見誤ったのだろう、という説らしい。マスターもこの説が有力だろうと言っていた。その時の私は混乱していた。やがてレッドがやって来て、思わずその話をしたが、『疲れているんじゃない?』と言った。そんなことはない、ちゃんと睡眠はとってる、と言うとレッドはこう答えた。「でも、もしそれが本当だとしたら大変だと思う。こっちへ行きたいと思っても、もう1つの頭がそれに従わなかったらどっちへも進めない。」私は、このヘビはどっちへも進めるようになっている、と考えたがレッドの意見は正反対だった。(場合によってはどっちへも進めるが、場合によってはどっちへも進めない、というわけか。。。)to be continued...
2006/08/18
コメント(2)
ただ、姿が見えないからといって、ここに居ないとは限らない。現に私は、マッギーの遺体が発見された直後にマッギーと話をしたのだった。何とはなしに、マッギーがドアから出て行こうとしているように感じて、私は出入り口に目をやった。すると、ドアがギィィッという音を立てて開いたので、さすがに少し驚いた。なんのことはない。マスターが帰ってきたのだった。「やぁ、マスター。店を空けるなんて珍しいじゃないか。」「そう、こんなことは初めてだ。」いつもと変わらない調子でマスターは答えたが、私にはピンと来るところがあった。(マスターは珍しくイラだっている。。。)「わけありだね。」「折り入って頼みがある。」神妙な顔つきだった。いや、神妙な顔つきはいつものことだが、話を続けるのにこれほど時間がかかるのは珍しいことだった。「昨夜ここで話していた件、大したことは事はできないとは思うが、私にも協力させてほしい。事情は想像に任せる。あの子でも役に立つ事があったら何でも言ってくれればいい。」マスターはレッドの方に目で合図を送りながらそう言った。なんだか雲行きが怪しくなってきた。以前の私なら断っていただろうか。。。「探偵さん、明け方に差し入れに行くけど何がいい?」とまあ、こんなやりとりがあり、毎晩レッドが差し入れを持ってくるようになった。レッドはおそらく夜のニュース番組で聞いてきたと思われる事件や事故の話題をきっちり1時間話し続けて、最後に話をまとめてしまう、という特技を持っていた。私には、相槌をいれる必要もないように思われた。この日も、タコヤキの奥さんに異常はないようだった。レッドが家に帰り1人になった私は、レッドがいつもポットにいれてきてくれるコーヒーをチビチビと口に含み、残りの時間をやり過ごす。頭の中が、家のベッドに寝転びお気に入りのDVDを流しながら眠りにつくことでいっぱいになり始めた時、突然アイツがやってきた。このあたりの住宅地ではあまりみかけないヤツだ。カラス。。。1羽だけ閑静な住宅街に間違えて入り込んでしまったように、この家の前の道に沿って通り抜けていった。時刻はAM5:18こんな時間にあまり出会いたくない相手だった。to be continued...
2006/08/14
コメント(4)
タコヤキと話した翌日、いつも通り『ウクバール』のドアを開けた私は、一瞬にして白い霧に包まれてしまった。私は少し驚いた時などに、たまに視界が白っぽくぼやけることがあった。ストロボの照射時間が長すぎてハレーションを起こしてしまった。。。ような状態に近いだろうか。。。カウンターのいつもマスターがいる場所に、なぜかレッドがいたからだった。私が動揺している様子を楽しんでいるように見えた。レッドのそんな少し意地悪そうな表情を見たのは初めてかもしれない。「あ、探偵さん。今日は早いのね。」この日はタコヤキの奥さんを夜なべで見張りをする初日で、確かにいつもよりは早い時間だった。「やぁ、新入りだね。マスターは?」「出かけてる。。。」カウンターの中での作業に熱心で、私の方を見もしないで答えた。私はただなんとなくその動きをみていたが、気持ちが沈んでいるような様子ではなかった。ほんの少し手の動きが止まりかけたところで、私は薄めのコーク・ハイを頼んだ。朝まで起きていなければならないので仮眠をとってからやって来た。起き抜けの目を醒ますにはこれがいい。レッドが慣れない手つきでコーク・ハイを作り、カウンターを大回りして私の前に運んできた。「マスターと知合いなのか?」レッドの顔がほんの間近に来た時に突然そう声をかけると、不意を突かれて少し驚いたように顔がこわばった。「ええ、まぁ。。。」私のまわりには、まだ薄くもやがかかっているようだった。レッドがカウンターの中に戻ると、私は何となく上着の内ポケットから小さな紙切れを取り出してみた。最初はマッギーからイエローへのメッセージだったが、いろいろあって私が預かってしまったメモ用紙だ。裏では、頭にネコの耳が生えた女の子が、いつもこっちを向いて微笑んでいる。問題はオモテだ。書いてある文面がその時によって変わる。『編み上げブーツ萌え~~!!』(ブーツ?レッドが履いてた?)カウンターの中に入ってしまったので、今は赤いカーディガンを着ていることしか確認できない。マッギーは目ざとく見ていた、ということだろうか。。。私は店の中を入念に見まわしてみたが、やはりマッギーの姿はない。昨日葬儀が終わったばかりだから当然といえば、当然だった。to be continued...
2006/08/10
コメント(4)
タコヤキが奥さんを実家に残し、子供だけを連れて行ってしまってから1週間が過ぎた。この奥さんはなぜか夜中に家から靴も履かずに外に出て行こうとする。タコヤキが言うには、新手のストーカーの仕業らしい。本人は、誰かに手を引かれる、と言っているらしい。近所で同じような話が何件かあり、失踪したケースもあったからだ。タコヤキというのは私の高校時代の同級生だが、当時はあまり親しくはなかった。今は親しくなった、というわけではない。ヤツは奥さんの異常に気がつき、夜中は車で家の外に連れ出すようにした。それまでにいろいろ試行錯誤はしたらしい。その結果、その家にさえいなければ特に問題はないように思えた。しかし、知り合いの家を渡り歩くわけにもいかず、ホテルで毎晩過ごすわけにもいかず、新築した家から引っ越すわけにもいかず。。。考えた末に、奥さんだけを自分の実家にかくまっておくことにした、ということだった。私は毎晩、ヤツの実家の前で玄関先の見張りをした。この家の番犬になったようであまり気分はよくなかったが、引き受けてしまったものはしょうがない。夕方仮眠をとり、『ウクバール』で時間を調整して、ヤツの両親が寝静まる11時きっかりに現場に到着する。万が一眠り込んでしまっても、玄関先にセンサーを仕込んであるので問題は無い。夜中というべきか明け方というべきか、3時半ごろになるとレッドが差し入れを持ってきてくれた。彼女は助手席に座り、1時間ほど一人で話をして帰っていく。私は、コンビニで買ってきたらしい差し入れのおにぎりだかサンドイッチだかを口に運びながら、黙って相槌をうった。昨夜は、相槌をうちながら眠ってしまったらしい。「探偵さん、もう5時半よ。」「あれ、警官はどこへ行った?」私は警官に追われていて、狭い路地に逃げ込み、行く手を別の警官に阻まれ、絶体絶命のピンチをレッドに救われた。「何寝ぼけてるの?私もう行くね。」レッドは私の肩を揺すりながらそう言った。「黙って行けばいい。。。」「そうはいかないのよ。『ウクバール』のマスターとの約束だから。。。」初耳だった。私は『ウクバール』で初めて彼女を見かけた時のことを思い出していた。to be continued...
2006/08/06
コメント(2)
この事務所は、開設した時から『探偵事務所』と看板を掲げている。そして、いつか誰かがその探偵と連絡を取りたいと思うような状況に陥らないとも限らない。そんな時のために、オレが腰掛けている位置から最も遠いデスクの一角に、いつでもつながる状態で電話機を置いてある。ここのところ、コイツは全く機能を果たすことはなくなった。ただ、それでも電話機をホコリを溜まり放題にして置いてあるのは、夫を亡くしたばかりの女性が寂しさをまぎらすためにかけてくる電話を受けるためではない。オレが預金通帳をボンヤリ見つめながら、銀行を襲撃する計画を練っていると、珍しくネコがうがいをするような音が響いた。「探偵さん、久しぶりね。」電話をかけてきたのはイエローだった。「ああ、しばらく見ないうちに白髪が増えたんじゃないか?」「うちに隠しカメラ仕込むなんて、余程ヒマなのね。でも、そんな口が聞けるっていうことは、昨夜は家でイイ子にしてたみたいね。」彼女とその旦那が前にボロアパートに住んでいた頃、短期間ではあったが夕食にありつくために頻繁に出入りする時期があった。その頃から、なぜかオレの事をガキ扱いする。「何かあったのかい?」「たまには、うちで食事でもどうかなって思ったもんだから。。。どうも母子家庭っていうのに、なかなか慣れてなくて。。。それで、手料理に飢えてそうな人を探しているのよ。」オレは、マッギーがいなくなって母子4人になってしまった食卓を想像してみた。「たまには、ね。」そう答えてはみたが、オレが加わって5人になった食卓を想像してみたがどうもうまくいかない。外国からの留学生を受け入れたホームステイ先。。。そんな様子が頭に浮かんだ。(まぁ、そういうのもたまにはいいか。。。)ためらう気持ちもあったが、結局は翌日の夕食時にお邪魔するということになった。無理矢理押し切られたせいではない。こんなことを頼むべきではない、と内心で思いながら人に何かを頼むのはしばしば功を奏する、ということだろうか。。。続かないよ。。。
2006/07/31
コメント(6)
自分でも、その時どうしてそんな事を言ったのかわからなかった。後から考えてみると、口実なんかはいくらでもある。マッギーの葬式を終えたばかりだ、というのもあるし、差し迫って金が必要と言うわけでもない。しばらく南の島でバカンスなんていうのも悪くない、なんてさっきまで考えていた。「そうか。助かるよ。ありがとう。実は、お前が引き受けてくれるとは、正直思ってなかったんだよ。他に仕事を抱えている、とかそういった意味じゃなくて。。。」「言っておくが、報酬は受け取らないぜ。これは仕事じゃない。オレが1人勝手に気まぐれでやることさ。今夜、お前はこの『ウクバール』へは来なかった。。。そういうことにしてくれ。それが条件だ。」報酬ももらわずに誰かを見張ったりするような行為は、ただの物好きだ。見方によればどっちがストーカーだかわかったもんじゃない。そんなことは重々承知した上で、オレはそんな条件を出した。タコヤキは腑に落ちないような表情で酒を飲み干し、オレの方をじっと見た。顔色をうかがっているらしい。。。「わかった。それじゃ、俺はもう帰るけど、今夜はオレのオゴリにさせてくれ。見ず知らずの客が、飲んでるうちに気分がよくなって他の客の分まで払った。。。そういうことでいいだろ?」オレは、ヤツのしたいようにさせて帰らせる事にした。(何言ってやがるんだい、タコヤキのくせに。。。)ただ、内心ではそうつぶやいていた。タコヤキが帰った後、オレは手元のグラスと棚に並べられたグラスを見比べながらただボンヤリとしていた。騒々しい酒場で、全身がタコヤキをかたどったカブリモノを着たタコヤキが、その場にいるひとりひとりに車代を配っている様子を想像してみた。。。「なぁ、マスター。。。オレは、さっきのヤツが相手だとどうも調子が狂うんだ。どんなもんだろうね。」「Je est un autre。。。」「私とは他者である、か。。。ランボーだね。あんなヤツごときに惑わされるのはオレらしくないってことかな?」「『自分らしい』とか、『本当の自分』などというものに縛られる必要はない。例えば、今こう思った、ということがあっても、数分後にはそれとは矛盾する考えに支配される事もある。考え方の傾向であれ、行動パターンであれ、所詮は人間のすることは恣意的というか気まぐれというか。。。それならばいっそのこと『他者である』としてしまえばいい。」いい考えかもしれないが、少し異論を挟みたくなってくる。マスターが何か言い切ったような時はいつものことみたいだ。。。そんな事を考えながらも、次第に考えはタコヤキの奥さんに付きまとっているというストーカー(密猟者)のことのほうに移っていった。the end.
2006/07/26
コメント(3)
この店では、棚に並べてあるグラスはいつ見ても光っている。おそらくマスターのこだわりなんだろう。。。毎日そいつを、端から順番にひとつひとつ取り出してはじっくり時間をかけて磨き、何度も灯りにかざして点検を繰り返す。ようやく気に入った状態になるとグラスを棚に戻し、次のグラスにとりかかる。どうも、ただのグラスに対する扱い方とは思えない。その動きはまるで。。。アナログレコードをターンテーブルから丁寧にジャケットに納めて棚に戻し、別のレコードを物色して、とっておきの一枚を取り出して慎重に針を載せる。。。そんな姿を連想させる動きだった。最後のグラスを棚に戻すと、マスターはいつもミックスナッツを一皿サービスしてくれる。自分も同じものをつまみながらビールを飲むためだ。「おそらく全国紙に載るような事件ではないから、お前が知らないくてもムリはないんだけど。。。うちの近隣では女性が失踪する事件が、知ってるだけでこの2年で5件発生した。」オレは、知らないと答えた。その後タコヤキは詳細を話し始めた。話をまとめてみると、だいたいこういうことだった。タコヤキは奥さんの異常に気付き、車で外に連れ出して夜を明かす、という日々を過ごしている。夜中に自宅にいなければ大丈夫だと考えたらしい。その知り合いの場合も、奥さんの異常には気付いていた。奥さんのその行動が始まってから一晩中見張るようにしていた。ただ、5日目に寝込んでしまって、熟睡している間に出て行ってしまった。。。翌日捜索願を出したが、残念ながら手がかりもなく、連絡もないまま1カ月が過ぎた。タコヤキの説では、少なくともこの2人の間には何らかの接点あるいは共通点があり、そのために何者かにターゲットとして選ばれたのだ、ということだった。「2人の接点あるいは共通点が何なのか俺なりに調べてみようと思う。その間、妻は実家に預けて置こうと思うんだ。実家にいれば問題ないとは思うが、ただ、何が起こるかわからない。だから、君を頼ろうと思ったんだよ。」オレは少し時間をおいた。酒をひと口飲み、タバコに火をつけた。「困ったな。。。断る口実がみつからない。」to be continued...
2006/07/23
コメント(4)
「話を聞かせてもらおうか。お前の頼みっていうのが何なのか、今のところ、おそらく奥さんに関することだろうってことしかわからない。」タコヤキは軽く1回うなずいた。いつも絶やすことのない口元のうすら笑いが消えていた。「実は、ストーカーのターゲットになっているみたいなんだ。 ただ。。。」タコヤキは少し口ごもった。どうやらその先はあまり楽しい話ではなさそうに思えた。オレは気が重くなってきたが、それでもそんなとこ話を切り上げる訳にもいかない。「ただ?1日に何十回もイタズラ電話をかけてくるとか、1600ミリの超望遠レンズで遠くから姿を拝んでいるとか。。。そんなそこいらにいるようなストーカーだったら、わざわざオレに会いに来ておべんちゃら言ったりはしないね。」タコヤキは、今度は2回ゆっくりとうなずいた。「誰も信じてくれないだろうと思って、今まで誰にも話してないんだ。お前だったら、笑わないで聞いてくれると思ってたよ。」そう言って、さっきから手をつけなかったバーボンを一口すすった。「1年ほど前から毎晩、妻は夜中に突然起き出して、パジャマのまま靴も履かずに家から出て行こうとするようになった。妻の話では、誰かに手を引かれているらしい。後姿だけははっきり見えていて、手を引くのはあまり見覚えのない男の後姿だって言ってた。」タコヤキはガラにもなく、慎重に言葉を選びながらそこまで話し、また一口すすった。「夢遊病じゃないのか?少なくともここまでの話では、ストーカーによって被害にあっていると言えるような状況ではない。。。」タコヤキは続きを話すべきかどうか少し考え込んでいるようだった。オレは話を少し変えてみることにした。「ストーカーといえば。。。マスター、タルコフスキーの映画で『ストーカー』っていうのがあったよな?」「あれは。。。1979年に制作された映画で当時はまだソ連だった。この映画の中では”ストーカー”と言うのは今使用されているような意味ではなく、”密猟者”の意味のほうで使われていていて、”ゾーン”という謎の場所へ連れて行く”水先案内人”のような人物をあらわしていた。」「ラストも良くわからなかったが、超能力を持っているような少女が出てきたよな?」「おそらく主人公のストーカーの娘、ということだと思われるが、一人でテレキパス(念力移動)を使っているシーンがあった。そのシーンの間にはチュッチェフの詩が朗読されていた。確かにその意図はつかみようがない。」話を聞きながら、オレは2杯目のバーボンを飲み干した。to be continued...
2006/07/19
コメント(4)
「まさか、オレに用事があって遠いトコはるばるやって来たなんて言うんじゃないだろうね?」「そのまさかだよ。」タコヤキは少し照れくさそうにそう言った。高校生の頃、コイツは何人も彼女をこしらえては、得意気にあちこち連れ歩いていた。それを見かける度に、オレ達はひがんで、「タコヤキのくせに。。。」といつもコソコソ毒づいていたものだ。「女性関係でのトラブルならゴメンだぜ。 テメエのケツはテメエで拭くもんだよ。なぁ、マスター。」マスターは聞いていないような格好で、ビールを片手に持っていた。「同感だが、それがままならない状況っていうのもよくある。こんな状況でどうすべきか、そんな時に客観的な意見をきいてみるのも全く無意味とは言えない。ただ、当事者にとっては重大問題であっても、関係のない人物にとっては所詮他人事であって、協力できる部分とできない部分がある、というのは事実であり、問題解決につながるような回答は期待すべきでないのかもしれない。ある程度自分で結論を出しておいて、その正当性を確認するというのが実際のところのように思われる。」マスターはオレとほとんど同意見のようだった。「そう言わずに、まぁ聞いてくれよ。」昔とは打って変わって低姿勢なことに気がついた。オレは話の続きを待つことにした。「高校生の頃、俺はお前に嫉妬してたよ。。。お前は自分に気がある女の子の事は見向きもしなかった。そして、みんなから好かれるように努力するとか、無理するとかってことにはまるで無縁だったのに、お前のことを悪く言うヤツはほとんどいなかった。俺はそれがずっと気になってたんだ。」オレに気がある女の子なんて初耳だったし、オレのことを悪く言っていたヤツをオレは何人か知っている。「そんな話でオレが、この上なくいい気分になって、『これからはどんな事でも協力させてくれ』って言うとでも思ってるのか?」「ははっ。相変わらずだな。」タコヤキは笑っているが、どこまで本気なのかつかめなかった。さっき見かけた奥さんと子供(らしき2人)の表情も気になっていた。「さっき一緒に居たのは奥さんと子供かい?」「まぁね。」ニヤけた表情が少しひきつった笑いに変わったのがわかった。to be continued...
2006/07/17
コメント(4)
ウクバールというのは実際にある地名かもしれないが、マスターの話ではJ.L.ボルヘスの小説に出てくる架空の地名からとったらしい。エキゾチックな屋号だが、特に変わった酒が置いてあるわけでもない。いつものバーボンを頼み、音楽に耳を傾けた。(友人の葬式の後で『Left Alone』は聞きたくねえな。。。)オレは、グラスを明かりにかざして曇りを点検しているマスターに話しかけた。「なぁ、マスター。思い出ってやつは厄介なもんだなぁ。」「そうだとも言えるし、そうでないとも言える。なぜなら、ノスタルジーというのは個人的なものであり、多くの場合感傷的なもので、確かに厄介ではあるし場合によっては非常に気の滅入るものではある。しかし、『時間』というものは常に過ぎ去っていくものであり、過去を振り返る行為というのは、人類が『時間』というものに対して行うささやかな『抵抗』と言えなくもない。」「・・・・」いつもの少し早口で、それでいて淡々とした調子でそう答えた。オレは少し異論を挟みたい部分もあったが、黙って聞いていた。10時を10分ほど過ぎた頃、タコヤキが店の入り口から顔だけを覗かせた。「やぁ、盛り上がってたかい?」オレがいるのを確かめてタコヤキはそう言った。「お前が来るまではな。。。」タコヤキは気を悪くした様子もなく隣に座り、オレと同じものを注文した。「待たせたかな?」気を使っているつもりなんだろうか。。。「別にお前が来るのを待ってたわけじゃないさ。 この時間には大抵オレはここでこうしてる。」オレはそう言って1杯めを飲み干した。。。人差し指を立ててグラスを置く。おかわりのサインのつもりだが、マスターは見逃すことも多い。。。to be continued...
2006/07/15
コメント(10)
マッギーの葬儀の間、イエローは参拝者ひとりひとりに向かって丁寧に頭を下げていた。レッドも列に混じって焼香していたが、イエローはそれに気が付かなかったのか、他の人と同様に対応していた。話しかけるチャンスがないわけではなかったが、オレは特に話はしなかった。ふと、オレの名前を呼ぶ声が聞こえた。オレは香典を整理する手伝いの手を止めて、声の主を探した。見覚えのある顔が、オレの方を見てニヤけていた。高校の頃、マッギーとウラで『タコヤキ』と呼んでいた、いけ好かないヤツだ。「久しぶり。遠いところご苦労様だな。」オレはそう言った。こいつがやって来るとは意外だった。遠方で居を構えたと聞いていたし、だいいちそれほど親しくしていたわけでもない。「遠いけど、こんなことでもないと帰ってくる機会もないんでね。」(なるほど。。。このあと同窓会でもやるのか。。。)「そうだな。たまには顔出しておかないと忘れられちまうからな。」なぜか、あまりにもマトモな返答をしてしまった。。。コイツが相手だとどうも調子が狂う。「ところで、後で時間とってくれないか?折り入って頼みたいことがあるんだ。」タコヤキのくせに、意外なことを言う。。。生憎だが。。。と言いかけて、ヤツの後ろにいるのはその奥さんと子供らしい、と気が付いた。「10時以降だったら駅前の『ウクバール』にいるよ。」とりあえず、オレがいつも飲みに行く場所を教えた。ヤツもそこは知っているらしく、安心したような表情をした。to be continued...
2006/07/12
コメント(4)
オレはクマから手を離したが、クマはオレから離れようとしない。オレは気味が悪くなって、手に持ったクマを地面に何度も叩き付けた。足で踏みつけ、ムリヤリ引き剥がしたが、その後もバタバタと暴れていた。「ある時、妻が彼女からそのクマを預かってきた。 オレはそいつが憎くてしょうがない。。。 そいつは人の心の弱ったところを見つけては、そこに入り込む。 そして、傷を癒してくれているような顔をして、実は傷口を思い切りひっかき回して喜んでやがる。。。」クマの方に目を向けると、まだ微かに暴れている。「そして、そいつがいると、ゾウが凶暴になるのさ。 ピンクに塗りつぶしても大人しくならないんだ。 やむを得ず、信頼できる人間に任せようと思った。それだけさ。」オレは黙って聞いていた。オレには訊きたいことが山ほどあったはずだが、何を訊きたかったのかわからなくなってきていた。「オレはこれまで何もしてないよ。 これからも、何もする気はないね。」マッギーはもうオレと話を続けるつもりが無いように感じた。これから先、もう会話をかわすこともないかもしれない。おそらく、イエローとレッドのことは、あの世からいつまでも見守っていくんだろう。。。足元ではクマがまだ微かに暴れている。オレはそいつのマヌケ面を見ていると、無性に何か叫びたい衝動に駆られた。オレはおもむろに腹にナイフを突き刺した。(オレはいつナイフを手に持ったんだ。。。?)そしてそのまま約90度回転した。昔のTVのチャンネルを替えたときのように、ガチャガチャという手ごたえがあった。ようやく、クマは大人しくなった。そしてオレは、そいつを池に向かって思い切り投げた。とっておきの映像をヤツに見せることができたのだろうか。。。何もする気はない、とさっき言っておいてなぜそんなことをしたのかは、自分でもわからない。ただ、ようやく何かをしてやることができた、という気がしていた。(もうこれっきりだ。。。)遠くの方で、子供が母親を呼ぶ悲痛な声がしていた。さっきから何度も繰り返し呼んでいる。その声を聞いたせいか、急にさっきの頭痛とめまいが治まっていないことに気がついた。立っているのがやっとだ。。。(やれやれ。。。この調子じゃ一緒にママを探してやる事なんてできないぜ。。。)オレは、急に足取りが覚束なくなって、フラフラしながら子供の声のする方に向かった。(そうだった。。。レッドを港に置いてきたままだった。。。) the end.
2006/07/09
コメント(9)
オレは、眠っているイエローからメモを預かったことを思い出した。もう一度読もうと思い、ポケットから取り出してみた。「クマを持って、公園の池の白鳥の前に来てくれ」と書かれていた。前に読んだときと内容が異なることには、オレはたいして驚かなかった。おそらく、数時間後にはまた違うことが書いてあるんだろう。オレは事務所に寄り、金庫にしまっておいたクマのぬいぐるみをつかんで、また車に戻った。そして、公園に向かって車を走らせた。いろんなことが起こった、というよりは、オレはただいろんなものを見せられただけだった。全てマッギーが仕組んだことだった。常識離れした会話、現実とは思えない行動、意味ありげな夢。。。どれもこれも、オレみたいな凡人にはついていけない。。。幸い公園には人気はなかった。オレは手にクマを持って白鳥を探した。白鳥は見当たらなかったが、桟橋のところに白鳥をかたどった足漕ぎボートがくくり付けられている。(やれやれ、ここまできて散々振り回しやがって。。。)当然ながらマッギーの姿はない。しばらく待ったが、何も起こりそうにないので話しかけてみた。「高校生の頃、集団暴行で少年院送りになった3人のことはよく憶えてるよ。」(おそらく伝わっている。。。)返事はないが、そんな気がしていた。「お前が関わったって言うのは事故なんかじゃない。 高校生の時に、あの3人と一緒になってやらかした集団暴行だな。 それが元で、お前はゾウの幻影に悩まされるようになった。そうだろ?」マッギーは答えるのをためらっている、オレはそう感じていた。「いつお前が話してくれるのかって、オレはずっと待ってたよ。」オレはそこまで言って待つことにした。マッギーは必ず返事をすると確信していた。「俺もずっと話したかったさ。。。」マッギーは姿を現さず、声だけが聞こえた。「しかし、話そうとするたびに、ゾウに襲われた。。。 もちろん、死ぬほど後悔したし、相手には申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。 でも、俺には謝罪する事もできなかった。 しかも、法の裁きを受けることすら出来なかったんだよ。。。」「泣き言なんか聞きたくないな。。。 なんで、海に飛び込んだりしたんだい。。。」「オレはゾウとクマから逃げてばかりいたんだよ。 ケリをつけようと思って、彼女を悩ましているゾウもまとめて始末しようと思った。 そうしたら、2頭がかりで倒されちまったってわけさ。」訳がわからない。。。そう思っていると、手に持ったクマが勝手に、小刻みに揺れ出した。to be continued...
2006/07/08
コメント(2)
事務所にやってきたのは、まるで1年振りくらいに感じられた。懐かしいにおい、懐かしい壁の色、懐かしい床の味。。。オレはリノリウム張りの床に顔を押し付けていた。結構長時間だったようだ。手には、やはり紙切れを持っていた。(ここには長居はしていられない。。。)前にこの場所でイエローに言われた言葉が気にかかった。早々にここから立ち去ろうと、オレは一人でもがいていた。だが、頭痛とめまいに襲われて、到底立ち上がれそうな気配すらなかった。「探偵さん、気がついた?」驚いて、声のする方に目を向けた。はっきりとは見えないが、レッドが来ている。。。「この事務所から。。。早く離れよう。」人が居ることで、少し気持ちが強くなったんだろう。おそるおそる立ち上がってみると、なんとか歩けそうだった。「分かった。あたしもここにはあまり居たくなかったの。。。」フラフラして、何度かレッドの肩をつかんで支えてもらいながら、どうにか車に乗り込むことができた。今日は赤い服を着ていた。「探偵さん、海へ行かないと。。。 昨夜、車ごと海に沈んでた身元不明の遺体が発見されたの。。。」レッドも助手席に乗り込み、心配そうにオレの顔を覗き込みながらそう言った。(マッギーの遺体がとうとうあらわれたか。。。)「そんな事を、わざわざオレに知らせにきてくれたのかい? 火事が起こっても、オレに知らせに来てくれてるつもりじゃないだろうね。」「なぜか、自分に関係がある事のような気がして。。。 気がついたら、知ってるはずないのにここへ来てた。」オレはゆっくり、海に向かって車を走らせた。前にイエローが明け方帰ってきて、海を見に行っていた、と言った事を思い出した。おそらくマッギーは、最後に電話をかけてきて間もなく逝っちまったんだろう。もしかしたら、あの電話をかけてきた時はすでにこの世にいなかったのかもしれない。。。(やっぱりオレにはわからないよ。一体オレに何をさせようって言うんだい?)港の近くまで来ると人だかりができていた。車では入って行けそうにない。車は数珠つなぎで全く動かなくなった。オレはそこでレッドに、車から降りるように言った。レッドは不思議そうな表情も見せず、黙って降りた。オレはUターンして、そのまま車でアテもなく彷徨った。to be continued...
2006/07/06
コメント(4)
見たことの無いダイニングキッチンの風景。。。あちこち見回してみるが、誰かの家の中ということ以外は何もわからない。家の中は静まり返っていて、なんとか障害物を見分けられる程度の明かりしかない。イエローが、テーブルに顔を伏せている。(マッギーの家か。。。)例によって声は出せない。。。ヤツから聞いていた通り、質素な暮らしぶりが見て取れた。手馴れた空き巣なら、侵入した瞬間に自分のバカさ加減に気づかされて頭を抱えてしまうだろう。いくら物色してみても金目のものはおそらく見つけることはできない。。。イエローは眠っているのかもしれない。オレがいる事に全く気づいていないようだった。イエローは右腕だけをテーブルの上に伸ばしていた。そして、手には紙切れを持っていた。(これを受け取れってことかい。。。)オレはその紙切れを、イエローの手からそっと取り上げた。小学生が授業中に、教師の目を盗んで伝言を回すのに使うような、小さなメモ用紙だった。「クマとゾウは俺が始末する。 うまくいくかどうかわからないが、 いざとなったら強い味方がいるから心配はいらない。」書いてあるのはそれだけだった。(マッギーの字か。。。相変わらず女の子みたいな字を書くヤツだ。。。)念のために裏面を見ると、頭にネコの耳のようなものが生えた女の子が、オレに向かってニッコリと微笑んでいた。予想していたことだった。おそらくマッギーは、もうこの世には居ない。。。イエローにはわかっているのだろう。この紙切れを何度も手にとって読んでいたのかもしれない。イエローの方を見ると、少しモゾモゾ動いていた。やはり眠っていた。その時、例によって場違いなほど大きな音がして、頭に衝撃が走った。。。(そうだった。こいつを忘れてたぜ。。。)薄れていく意識の中でオレは、マッギーがイエローを連れて来て、付き合い始めたことを報告しに来た時の姿を思い出していた。to be continued...
2006/07/04
コメント(6)
どうやら高校の教室のようだった。高校生のマッギーとなにやら見覚えのある3人(ブルー、グリーン、ブラウンとしておこう)がひそひそ話をしている。深刻な話をしているらしい。。。その時、普段はおとなしいはずのブルーが突然立ち上がり、ブラウンにつかみかかろうとした。マッギーとグリーンが止めに入ろうとして立ち上がった時に、マッギーの目がオレの方を向いて動きが止まった。(気付かれた。。。)少し焦って、逃げようかと考え始めたところで目が覚めた。オレは車の中で、酒ビンを片手に握り締めたまま眠ってしまっていたらしい。外は真暗だが、早起きマニアにとっては、少しばかり早い時刻だ。こんな時間に何も無いだろうと思いながら外を見ると、イエローが家に向かって歩いて来ているのが見えた。やはり偶然ではない。「朝帰りとは妬けるな。。。」オレは、家に入っていこうとする背中に向かって声をかけた。イエローは驚いて振り返った。「海を見に行ってただけ。」(こんな時間まで?)「マッギーはどこにいる?」オレがそう尋ねると、イエローは逃げるようにドアを開けて、家の中に消えた。しばらくオレは家の前に立ち尽くすしかなかった。(ムリもないか。。。)しばらくそのままの状態で待ったが、やはり出てきそうな気がしなかった。また出直そうか、と車に向かって歩き始めた時、背後でドアが閉まる音がした。イエローが、立っていた。。。手には見覚えのあるナイフを握っている。(やれやれ、またか。。。)オレはレッドが同じようなナイフを持っていたときのことを思い出していた。(まるで30年ほど前のテレビだな。オレの腹にナイフを差し込んで、そいつをガチャガチャと回し、とっておきの場面のチャンネルに合わせようってことか。。。)あの時の痛みの記憶がよみがえってきた。あの少し前にに献血した時の痛みとは比べ物にならない。(どうせそのうち、イエローの姿が一瞬見えなくなって、オレは腹に痛みを感じ、何かを預かるんだろう。。。)残念なことに、オレの予想は外れなかった。。。to be continued...
2006/07/02
コメント(4)
オレは返事をしないマッギーに向かって続けた。「マッギー、確かにオレはお前の過去の傷を預かるとは言ったさ。でもそれが、女の子からクマを預かって、奥さんからゾウを預かることだとは思いもしなかったよ。」やはり、返事はない。もちろん姿を現すこともなかった。だが、この言葉がマッギーに伝わっている事は確信できた。「次はおネエちゃんからネコでも預かるのかい?」しばらく反応を待った。。。少し経つと、マッギーがすぐそばにいる、という気配はふっつりと消えた。。。(やっぱりそうか。。。)オレは急にやりきれない気持ちに襲われた。。。車を走らせ、街外れにある高台に向かった。夜にはたくさんの車が夜景を見にやってくる場所。。。ひさしぶりに街を見渡してみた。そんなに大きな街ではないが、こうして見ると、あのあたりは行ったことがないな。。。と感じる地域もある。オレもマッギーもこの街で生まれた。いろいろあったが、今もこの街にいる。そして、この街のどこかで、マッギーはずっとレッドを見守っているんだろう。。。オレから電話をかけてもおそらくもう出ることはないだろう。。。オレは、ヤツの居そうな場所を推測しながら、ずっと街を見下ろしていた。夕方近くなって、オレは酒屋で安物のバーボンを2本買い、マッギーの家へと向かった。マッギーもイエローもおそらくそこにはいない。ただ、何かわかることがあるはずだから、気長に待ってやろう、ということさ。酒でも飲みながらでないと多分やってられない。ヤツの家の前で車を止めた。ガレージには車がない。インターフォンを押しても、思ったとおり反応はなかった。(長期戦になりそうだ。。。)オレは車に戻り、早速バーボンを開けほんの少しだけ口にふくんだ。to be continued...
2006/06/30
コメント(8)
その時、すぐ脇を車が一台通り過ぎていった。「動物園で見るゾウよりずっと大きいのよ。」オレにはレッドがふざけているようには見えなかった。「いつ現れるかわからない。。。道を歩いている時、家に居る時、仕事をしている時。。。当然、周りにいる人には見えない。。。」「トイレや風呂にも入ってくるのかい?」我ながらつまらないことを言ってしまった。だが、レッドは軽くうなずいた。「空間を超越してるっていうか、空間がゾウの大きさに合わせて大きくなる。そして、踏まれそうになる。。。」オレにはどうもイメージがつかめない。「それで。。。 ゾウが暴れないようにピンク色にしてしまう。 塗り絵に色鉛筆で塗りつぶすみたいに。。。」(ゾウを色鉛筆で塗りつぶす。。。?)「そのために、ピンクの服装が欠かせないってわけだね。」オレは話を合わせてみたつもりだった。レッドはそれには返事をせず、オレに背中を向け歩き始めた。否定しなかったところをみると、どうやらその通りらしい。続けて、下着もピンクなのか聞きたいところだったが、やはりそれはできなかった。。。彼女は狂っているようには見えなかった。振り向きもせずに歩き去っていく後姿を、オレはぼんやり眺めていた。レッドの話をまとめるとこうなる。普段の日常生活に突然非日常的なもの(ゾウ)が現れる。暴れると危険なので暴れないように対処(色鉛筆でピンクに塗りつぶす)する。そうすると、危険だったゾウが危険ではなくなる。そのためにピンク色の服装が欠かせない。幻覚・妄想のようなものだとしてもバカげてはいるが、彼女の中では現実だということか。。。「マッギー、そろそろ出てきたらどうだい?彼女は行っちまったよ。」オレは姿の見えないマッギーに向かって言った。さっきから隠れて見ているのはわかっていた。おそらくレッドにも。。。to be continued...
2006/06/29
コメント(4)
オレはレッドと交流のある人物を5人ピックアップしていた。ひとりひとり、まる一日張り付いて、そのうちの男女各1人をもう一日ずつ張り付いて1週間を過ごした。たまたまかもしれないが、その5人はオレが張り付いている間にレッドと接触することは一度もなかった。その間に、役所と警察のそれぞれに勤務するお友達に依頼してあった資料が届いた。レッドに関する資料とマッギーが関わったという事故についての資料。。。話を持って行った時は2人とも散々もったいをつけていた。だが、最後には2人とも「頼むから受け取ってくれ。。。」と言って、泣きながらムリヤリそいつをオレの手に押し込んだ。(不正をはたらくヤツは許しておけねえ。。。)ようやく全貌がつかめてきた。。。翌朝、1週間ぶりに見たレッドは。。。最後に見た時の姿は別人としか思えなかった。ピンクのスーツを着ている。「やあ、ひさしぶりだね」「まだあたしに何か?」1週間前の事はおそらく覚えていない。レッドの反応を見てオレはそう確信した。「実は、どうしてもわからないことがあってね。。。 なぜいつもピンク色?」いつもの軽口を言う調子で言ってみたが、表情を見るとそうは受け取らなかったようだった。「探偵さんには関係ないことだと思うけど。。。」「確かにオレには関係ないが、マッギーには関係が大有りなんだよ。。。」レッドの表情が曇った。オレは、この質問はサラッとかわされてしまうだろう、と考えていた。朝、外出する時に家のまん前の道端で立ち話する話題ではない。。。レッドは考えこんでいた。(マッギーの名前を出したのは失敗だったか。。。)やがて、レッドは意を決して、口を開いた。「突然、目の前にゾウが現れるのよ...」to be continued...
2006/06/28
コメント(10)
「久しぶりだね。マッギーは元気にしてるかい?」なんとか普段どおりの挨拶をしてみただが、無理矢理平気な顔をしてることを見抜けない人ではない。「あの人は相変わらず。。。 あなた、飲み歩くのもほどほどにしないと、今日はまた一段とひどい顔してる。」鏡はみていないが、確かにひどい顔をしているだろうと思った。「まあ、これも仕事だよ。 飲み屋に入ってミルクを飲んでたんじゃ目立ってしょうがないだろう。」イエローの顔は明るくはならなかった。「何か困り事かい?」あまり気は進まなかったが、そう訊かずにはいられなかった。「ゾウを探して欲しい。。。」(やっぱりゾウか。。。)そう思いながらも、質問を続けなければならなかった。「動物園にいるゾウ?それとも野生のゾウを探してくるのかい? 日本に連れて帰ってくるのはかなり費用がかさむよ。」オレがそう言うと、イエローは下を向いて少し考え込んでいたが、やがて不意に上空を見上げ、またゆっくりと視線を下に向けた。そして、もう一度上空を見上げようとするのか、と思ったらオレのところで視線が止まった。「あなたはここにいない方がいいみたい。。。」返事になっていない。しかし、確かにオレも同じ意見だった。「ゾウのことは近いうちに分かると思うから、気にしないで。。。 今取り掛かっている仕事に専念して。。。」何の事だかさっぱりわからないが、オレは彼女の言う通りにしてみようと思った。「わかった。しばらく留守番を置いておくよ。」イエローは早く帰りたそうにしていた。夕飯の支度にはまだ早い時間だったが、挨拶だけして早々に帰って行った。その後オレも留守番の段取りをし、とりあえず必要になりそうな物を鞄に詰め込み、事務所を後にした。それ以来、オレが事務所に行くことはほとんどなかった。それからオレがやったのは、レッドのことを徹底的に調べることだった。小学生の頃の出席番号から、今住んでるアパートの風呂の栓のサイズまで、それこそ何から何まで。。。その後レッドの姿を見たのは、その日から1週間後のことだった。to be continued...
2006/06/25
コメント(8)
やけに固いベッドで寝ている。。。寝苦しくなってきて気がつき、目を開けると、天井がゆっくりとまわっていた。オレはリノリウム張りの床に転がっていた。どうやら自分の事務所にいるようだ。酒を飲んだような記憶もないが、頭がズキズキ痛む。腕に何かを抱えている事に気が付いて、ムリヤリ上体を起こしてみた。クマのぬいぐるみが、オレの腕の中でゆっくりまわっている。。。そいつを見て、少しずつ記憶がよみがえってきた。頭は痛むが、じきに治まりそうな気配がある。感触としては、どうにかケガはしていない。レッドにお腹をナイフでグリグリかきまわされたわけではなかった。。。意識がはっきりしてくるのを待って、ようやく立ち上がれるようになるまでに1時間ほどかかってしまったかもしれない。まずは、腕に抱えたクマを、大きいだけで何の機能も果たしていない金庫に、型崩れしないように注意しながら丁寧にしまいこんだ。来客用の椅子に深く座り込み、コーヒーを一口すすってみても、考えがなかなか一点に集中していかない。。。夢の中の出来事はともかく、わからないことが多過ぎる。あの時の痛みは何だったのか。そして、なぜ自分がここにいるのか、どうやってここに辿り付いたのか。。。考えはまとまらないが、ひとつの仮説が頭に浮かんだ。その仮説について検証をはじめようとしたとき、事務所のドアをノックする音が聞こえた。返事をしようか迷っている間にドアは開いた。イエロー。。。黄色いコートが入ってきた。何度か会ったことがある、マッギーの奥さんだった。to be continued...
2006/06/22
コメント(6)
レッドは目をオレの方に向けた。手にはヤケに眩しく光るモノを持っている。切れ味の良さそうな新品のバタフライナイフが、戦闘体制に入った状態でしっかりと握られていた。「そいつでオレを3枚におろして、お造りにでもしようってのかい?」まだ続けて言いたいことがあったんだが、オレがそこまで言い終わった、一瞬の出来事だった。それまで動かなかったレッドが突然視界から消えた。オレは下腹部に鋭い痛みを感じた。一瞬にして目の前が真っ白になった。やがて、オレは見知らぬ街を旅する夢を見ていた。。。見たことがあるようで見たことのない風景。その中を1歩1歩踏みしめながら歩いている。町並みの中の広場のようなところで、小学生になるかならないかぐらいの子供たちが10人ほどかたまっている。その他には人影は見あたらない。何かの遊びに夢中になっている。近くを通り過ぎようとしたが、その前に1人がオレに気づき、声をあげて走り寄って来た。するとそこいた全員が一斉に声を上げて走ってきて、たちまち子供たちに囲まれてしまった。無邪気に大声をあげながら、体当たりを繰り返してくる子供、服や手をつかんで引っ張る子供。。。なぜかオレはなされるがままになっていた。どれくらい続いただろうか。オレは少し強く引っ張られて上体のバランスを崩し、慌てて近くの子供の足を踏まないように気をつけながら足を踏ん張ろうとした。だが、うまく地面をつかめなかったオレは、こらえきれずに地面に座り込んでしまった。騒いでいた子供たちは急に押し黙って、座り込んだオレから少し離れ、円を描いてオレを取り囲んだ。(今度は一体何だ。。。)やがて、正面付近にいた女の子が1人ゆっくりと、オレの方に向かって歩いて来た。胸の辺りで人形のようなものを抱えている。すぐ傍まで来ると、その子は手に持っていたものを、オレに向かって差し出した。(クマのぬいぐるみ。。。オレに渡そうっていうのか?)質問したいのだが、どうしたわけか声が出ない。。。ただ、そいつをオレに渡そうとしているのはわかった。(受け取るしか、なさそうだな。。。)オレが手を伸ばすと、その女の子は少し微笑みながら、そいつをオレの手に渡した。思ったより手にずっしりと重みが感じられた。意外な重みに少し驚いて、その子に向かって笑って見せようか、と思って見ると、少し表情が強張っていた。どうしたのかと思って、肩に手をやると、その子の目から大粒の涙が溢れて出てきた。胸が苦しくなった。その子の方をまともに見ていることができなくなり、手渡されたクマを返そうとした。その瞬間、鈍器で頭を殴打されたような痛みを感じた。場違いなほど大きな音がした。ハリセンで叩かれたお笑い芸人のように、その場に倒れこんだ。。。to be continued...
2006/06/21
コメント(8)
「一体何の話をしてるんだい?」いつもと違って苛ついた調子の返答だった。「少し聞いてくれ。例の素行調査の女の件なんだが。。。」少し間を空けて続けた。「彼女は両親を事故で亡くしてる。 実は俺はその事故に少し関わっててね。。。」そこでマッギーは少し口ごもった。何か言いたい事を抑えている。「そうか、わかったよ。 お前の過去の傷はオレが預かっておこう。」そう言ってオレは電話を切った。(やれやれ、オレは何をしたいんだか。。。)翌日からオレは、毎朝レッドのアパートで待つ事にした。毎朝、レッドが出てきそうな気配がするとオレは車から降りて、出かけて行くのを横目で確認し、見えなくなってしまう頃を見計らって車に乗り込み彼女を追い抜く。なぜかそんなことを続けてみた。やがて、毎朝お互いに軽く挨拶を交わすようになった。1ケ月ほど経った頃だろうか、朝いつものようにレッドは外に出て来たが、その日はいつもと様子が違っていた。しばらく考えて、どうやらそれまで出かける時はいつもピンクの服を着ていた、ということに初めて気がついた。赤いコートを着ている。。。そこに気づいたオレは、またいつものようにあらぬ方向を向いて、通り過ぎるのを待ったがその日はそうはならなかった。こっちに向かって歩いてくる。。。初めてのことだった。ほんの数メートルほどのところまで来て立ち止まった。オレはうつむき加減に横を向いたまま、これから何かが始まる、ということを悟っていた。できれば何も言わず通り過ぎてくれることを祈っていた。何も言わずに立ち止まったまま、長い時間が過ぎた。オレが彼女の方を向いた瞬間、全てが始まる。。。(やれやれ、どうやら逃げ道はなさそうだ。)オレは意を決して、彼女の方を向いた。思いつめた表情で遠くを見つめる彼女がいた。to be continued...
2006/06/20
コメント(6)
振り返ると、ピンク色のスーツ姿のレッドが立っていた。不意を突かれてしまったが、もしかしたらこうなることは解っていたのかも知れない。今になって思うとそんな気がする。本当なら、慌ててその場をなんとか取り繕うことになるはずだが、その時のオレはなぜかそうはしなかった。「特に用事ってわけではないさ。あんたを見張るように頼まれてね。それだけだよ。」なぜそんなことを言ったのか自分でも解らないが、レッドは妙に納得したような表情を見せた。「そう。まぁ頑張ってね。」そう言い残してレッドは、いつもの帰宅ルートの方向へ歩いていった。後を追いながら、オレは正直戸惑っていた。尾行がバレていたとは思えなかったが、実際バレていた。しかし、それはオレのミスだからしょうがない。問題は、自分の発言と彼女の返答だ。少し常識から外れている。彼女が帰宅して、仕掛けておいた盗聴マイクから聞こえてくる物音を聞いている間も、そんなことを考えていた。とそのとき、声が聞こえてきた。電話で話しているらしい。あまり明瞭には聞こえないが、どうも他愛もない話をしているようだった。特に内容にこだわる必要はなさそうだったが、あまり会話とは関係のないところで「ピンクのゾウ」という言葉が2度使われた。そんなことを考えている時に、マッギーから携帯に電話が入った。「パーロウ、話があるんだが・・・」と言ってきたので、オレはすかさずこう答えた。「どうせピンクのゾウの話だろう?」to be continued...
2006/06/15
コメント(8)
肌寒い季節だった。マッギーからある女性(仮にレッドとしておこう)の素行調査の仕事が舞い込んで来た。ヤツから持ち込まれる仕事は極秘ルートからのものなので、何が起こるかわからない。調査しているつもりが逆にこっちの素行調査をされてる、なんてことも考えられる。たかが素行調査とはいえ注意が必要だ。まずは、出勤から帰宅まで尾行し、オフィスの外から仕事中の様子を伺い、交友関係、よく行く場所などをチェックする。アパートに一人暮らし、朝は7時に出勤し、仕事が終わって買い物をすませて帰宅。。。帰宅した後は、特に出かけるふうでもない。2日めの調査が終えたところで、特にあやしいところはないように思えた。ただ、ほんの一瞬だが少しまわりの視線を気にしているように感じた。こちらの気配を察しているのか、とも考えたが、どうもそういう性分らしいことは仕事ぶりを見ていて感じた。3日めの仕事を終えたのが確認できた。そして建物からレッドが出てくるのを待った。10分ほどその場にいただろうか。前の2日はそれほど待った記憶がない。。。階段に蹴つまづいて怪我でもしたか?そんなことはないだろうが、別の出口から出たのかもしれない。少し不安になり、その場を離れようと歩き始めて2・3歩ほどで背後から声が聞こえた。「あたしに何か用?」to be continued...-----独り言-----こんな調子だと何日かかるかわからねえ。。。
2006/06/14
コメント(4)
オレとしたことが、ちょっとしたヘマをやらかしちまって、この事務所にもあまり近寄れなくなってたんだよ。おかげで随分と長い間留守にしちまった。まぁ時々は、必要な書類やクマのぬいぐるみを取りに戻ってきてはいたんだがね。。。ヘマのはじまりは、ある人物から荷物を預かってしまったことだった。この人物がとんだクセ物だったわけで、当然そのブツもとんだシロモノだった。この時点でそんな荷物なんぞ、そいつもろとも窓から放り出してしまえばよかったんだ。。。このブツをしょいこんだことで、また別の人物からも荷物を預けられる羽目になった。どうもオレはコインロッカーと間違われてしまったらしい。世の中では誰も彼もが、探偵に自分の荷物を預けたくなるような時代になったのか、と疑いたくなったよ。詳しい話は次回(連載しようかな。。。)
2006/06/13
コメント(6)
夢というのは、まったく見ないか、あるいはとびきり面白い夢を見るのがいい。覚醒時も同様で、まったく目を覚まさずにいるか、あるいはとびきり面白く目ざめているのがいい。ニーチェがこんなことを言ってます。おそらく、毎日のようにあまり面白くない夢に苦しめられていたんでしょう。そして、目覚めてじっと目をこらすと面白くないことだらけの現実。。。周りの人々はそんなことにまるで気づいていないように楽しそうにしている(ように見える)。。。ニーチェはそんなもの達にほとほと嫌気が差していたんだと思います。いっそのこと、目覚めて目覚めていなければいい。自分に常に突きつけられる現実から逃避して、自分に都合のいい現実と自分に都合のいい仲間だけを相手にして、自分に都合のいい解釈で成り立った論理で生きていけたら。。。ということでしょうか。。。付記----あちこちのサイトを訪問していると、本当にいろんな境遇の方がおられることがわかります。自分は大した苦労をしていないな、といつも痛感しています。訪問するだけであまり交流させてもらっていない方もいますが、日記を書く時には来てくれた方々がどう受け取るだろうかと考えながら出来る限り注意して書いております。考えが至らずに不快な思いをさせてしまったことがあれば申し訳ありません。信じられないことですが、読んだ人がどうしようもないほど不快になることを書き続ける人もいるんですよね。
2006/05/31
コメント(8)
人が最も多く夢を見るのは春と秋の近づく頃で、仰向けに寝るとさらに夢をよく見て、うつ伏せに寝ると全く夢を見ないプリニウスの『博物誌』のなかでこんな一説があります。もちろん、そういった事実はありません(多分)。私の経験上、季節的な部分はあまり自信はありませんが夢を見る頻度は季節によってそれほど変わらないと思いますし、うつ伏せで寝てて夢を見たことは確かにありました。おそらく当時のギリシャでの俗説か、まことしやかにデタラメを並べたか、とにかく科学的な裏づけもなく書かれた物だと思います。でも、この『博物誌』の特に、荒唐無稽な動物の話などは楽しくて、今でも時々手にとって読んでみることがあります。
2006/05/30
コメント(6)
辺境の地に暮らしているためだろうか。。。何かと振り回されることが多い。こんな経験をしたことのある方は多いかもしれない。2年ほど前だっただろうか。紙幣が以前のものから今のものに変わって間もない頃、11時になる少し前にタバコが切れて、近くの自販機まで徒歩で買いに出かけた。財布の中には小銭が少ししかなく、自販機に1000円札を挿入したところ、新札に対応していなかったため戻ってくる。仕方なく、隣にあった飲料の自販機で小銭に替えようかと思ったが、2台ある自販機が両方とも新札に対応していない。この時間では歩いて20分ほどのところにあるコンビニぐらいしか開いていない。。。タバコを手に入れるという想念の餓鬼と化していた私は、迷わずコンビニの方向へと歩き始めたのであった。→なんとなく、この世が自販機に支配されているように感じた出来事であった。また、先日の日記でも書いた、買い換えたケータイの交換の話の続き。。。品切れだったと言われてから2週間たって入荷したという連絡が来た。が、バックアップをとっておいたSDカードが行方不明だったのと、時間的にもなかなか交換に出かける暇もなかったため、結局連絡があってから1週間ほど経って閉店間際にいくことができた。いつもと違って丁重な扱いを受けた。→なんとなく、自分が文句たれの面倒くさい客にされてしまったように感じた出来事であった。あまり面白くなくてすみません。。。
2006/05/28
コメント(8)
パ~ロウさんが。。。いつの間に。。。いつもコメントをいただいている海月さんのご指名なのでやってみます。あなたの携帯電話での… 1、 「と」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 とこ 時 とかに とか 所2、 「お」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 思ったより 思って 思ってた 音 おろし3、 「り」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 龍 旅行 了解 料理 両方 4、 「あ」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 あれ あるよ 朝から 汗 (--;)5、 「め」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 恵まれて ♀ メール 目 飯 う~ん6、 上に挙げられた各文字の5候補からそれぞれ1つずつを選び、 文章をつくれ。 「とかに思ってた旅行 朝からメール」 ケータイ買い換えたばかりだからあまりおもしろ味はないですかね。7、 次に質問集を手渡すべき5人のために、5文字選定せよ。 オ ド ラ デ ク (パ~ロウさんの選定です)8、 その5人 とりあえずリンクさせていただいている方々。 できればよろしくお願いします。 気が向いたらでいいですよ。
2006/05/22
コメント(6)
久しぶりに日記にやってきたパ~ロウだよ。ご指名だからしょうがない。やってみるか。。。あなたの携帯電話での… 1、 「ひ」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 人 久しぶり 表情 ヒート 姫2、 「さ」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 さん させてなか さんが さんも さすか3、 「か」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 かい 「」 かぁ。 書き 下記 4、 「た」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 多分 たまにやると たまには ただ たまに5、 「の」 の変換候補、上位5候補を挙げよ。 のうちに のも の のさ のったり6、 上に挙げられた各文字の5候補からそれぞれ1つずつを選び、 文章をつくれ。 「姫さんもかぁ。たまにやるとのったり」 7、 次に質問集を手渡すべき5人のために、5文字選定せよ。 オ ド ラ デ ク8、 その5人 相棒にまかせておくか。。。 それじゃまたな。
2006/05/22
コメント(2)

少し前に聞いたことのある名前の商品を見つけたので、思わず購入してしまいました。見えにくいと思いますが『月うさぎ』冷酒のコーナーに置いてあって、ラベルには「にごり酒です」と書いてあります。グラスに注ぐとビールのような泡がたって、もちろん色はにごり酒っぽい色です。飲んでみた感じは。。。清酒ではありますが日本酒を飲んでいるという感じは全くなくて、まるでチューハイのような飲みやすさでした。ごくかすかに、日本酒特有のフルーティな味わいが楽しめました。ネーミングからみても、やはり女性をターゲットにしたもののようです。
2006/05/17
コメント(12)
全105件 (105件中 1-50件目)


