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2007/06/25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ちょっと前に評判になりました、 BTJジャーナル の 2007年3月号 (PDFです)の「がん研究のパラダイムシフト」を読んで見ました。


多分、多くの方のがん組織のイメージは、均一ながん細胞の塊というものではないかと思います。
それぞれのがん細胞が無限に増殖して行く、という捉え方かも知れません。

上記BTJでは、分子標的薬は、がんを狙い撃ちしているにも拘らず、何故完全にたたくことが出来ないのか、ということから、がんを組織構造の観点からもう一度捉え直そうとする特集です。

近年のニュース等から、がんは、周辺に血管(がんの血管新生は何度かこのブログでも取り上げたと思います)や、間質等を持つ組織だということが何となく伝わっていると思います。

国立がんセンター東病院臨床開発センター臨床腫瘍病理部部長 落合敦志氏へのインタビューの中には、

『がん組織において、がん細胞はたかだか30%ぐらいしかありません。

残りはがん細胞でない細胞で構築されています。』

『抗がん剤を投与することでがんがなくなるということは、言い換えるとがん組織の主要構成成分である間質がなくなるということです。』

とあります。


組織中に30%以下しか存在しないのでは、幾ら薬剤を投与しても中々効果が出難いのは、寧ろ当然かも知れません。
例えますと、東京大空襲の時の様に、人家が密集していると思って絨毯爆撃を行っていたのに、実はゲリラ戦術を行っていたベトコン(?)の様なものでしょうか?
最近の例では、難民キャンプに紛れ込んで多くの人々を盾に取る某ゲリラ組織の様なものかも知れません。
ひょっとしたら、自爆テロの概念を一般大衆にも植え付け、女性や少年までも巻き込み、勢力を拡大している某組織の方ががんのイメージと瓜二つに思える気もします。
何れにせよ、戦うには非常な苦労を伴います。



そして、がん組織のかなりの部分は骨髄に由来する線維芽細胞で、マウスへのがんの植え込み試験を行うと、同じがんでも植える部位(皮膚、肝臓、肺等)によってこの間質の誘導能が異なった、ということです。
がん細胞は、自己の存在の場を形成するために、植え込まれた部位に応じて必要な間質細胞を適宜取り込んでいることが示唆される、ということから、逆に、この間質の誘導・形成をブロックすればがんの進行が抑制出来るのでは、という研究が進行中とのことです。


更に、この環境構築には マクロファージ

マクロファージは、Wikiにもあります様に、本来は免疫システムの一部をになう細胞の筈です。
ところが、マクロファージを欠失させたマウスでは前立腺や乳腺が出来ないと同時に、乳がんも育ちにくいことが分かっていて、更にはヒトのがんでもマクロファージの数と悪性度は非常によく相関する事等から、がん細胞がマクロファージを教育している、という理論も提唱されているそうです。


これも、従来の、がんに対抗するためには普段から免疫力を高めておくことが大事、という考え方とどの様に拘るのか、今後の研究が非常に興味深い、と思います。





また、大阪大学微生物病研究所情報伝達分野 教授 高倉伸幸氏のインタビューでは、がん細胞は従来考えられていたような均一な細胞集団ではなく、がん細胞と《がん幹細胞》からなる集団である、とのことです。

まだ、がん幹細胞は仮説の段階で、明確な定義も確立されたとは言いがたい状況だ、とはありますけれど、これまで未研究の分野、ということで、これから徐々に解明されて行く分野、という印象を持ちました。
『がん幹細胞』の検索結果 )



一方、正常な体組織にも当然 幹細胞 が存在し、万能ES細胞を作り出そうとしていること等は最近のニュースでよく知られるようになった思います。( 万能幹細胞:ESに、より近く 京大チーム、マウス実験で作成 )

上記BJTのインタビューでは、造血幹細胞に、分化性(自己複製)に加えて、血管新生を誘導する機能も持っていることが明らかになったとし、「まるで女王蜂の様に、血管を自分で導き、自分にとって住みよい場所を作り、増殖するイメージです。」と喩えています。

まるで、落合敦志氏へインタビューと申し合わせたかの様な表現ですけれど、これらは独立のインタビューの様です。
それだけ、正常組織とがん組織の類似性が非常に高い、ということかも知れません。


どこかで、がんが正常組織を乗っ取った、という表現を目にした記憶がありますけれど、BTJを読んだ感想としまして、この乗っ取ったリーダーを叩く、というのは勿論ですけれど、リーダーを説得する、というのも一つの方法として考えられないかな、ということを思いました。

戦う、ということはどちらにも犠牲がつきものですけれど、リーダーを説得して組織を(正規軍として)認定出来れば、正常組織として活動出来ないまでも、いわゆるがんが落ち着いた状況で安定出来るのでは?という妄想です。



がん治療最前線 (PDFです)として、分子標的薬等を説明したこのドキュメントは2005年4月のラジオNIKKEIによるものです。
この分野の研究の進展が如何にめまぐるしいものかが良く分かります。

BTJジャーナル は無料でダウンロード出来ますので、一読(定期購読)されることをお勧めします。
いざ、という時、最新の情報を知っていれば色々役に立つことは言うまでもありません。






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最終更新日  2007/06/25 05:38:29 AMコメント(0) | コメントを書く


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