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Casanova (2005)Director:Lasse HallströmCasanova :Heath LedgerFrancesca Bruni : Sienna MillerPucci: Jeremy Irons Paprizzio: Oliver Platt Andrea : Lena Olin Lupo : Omid Djalili Donato: Stephen Greif Dalfonso : Ken Stott Casanova's Mother : Helen McCroryVictoria : Natalie DormerGiovanni Bruni : Charlie Cox『ブロークバック』つながりで、ヒース・レジャーの『カサノバ』を見ました。ヒース、ものすごくかっこいいです~こんなにかっこいい人なのに、あのブロークバックの演出はそうしてなかったんで逆にすごいな~といまさら思います。「カサノバ」、舞台はベネチアなんですが、この男、ほとんどやってることが、『ドン・ジョヴァンニ』です。ドン・ジョヴァンニはもちろんスペインが舞台なので違うんですが… カサノバの召使が出てくるところも、これレポレッロじゃん~と突っ込みを入れてしまいました。 お金持ちのパプリッツィオ役の男性もなかなかよかったです。 ジェレミー・アイアンズが敵役で笑わせてくれました。 とにかくこの作品は笑えるもろコメディでした。 **********The Break-Up (2006)Director:Peyton ReedGary Grobowski :Vince VaughnBrooke Meyers : Jennifer Aniston ヴィンス・ボーンとジェニファー・アニストンのコメディーも見ました。この作品はぜひ見たかったので楽しみにしていたのですが、テレビドラマの枠を出ていませんでした。ジェニファーが。やっぱ映画女優ではないなあ~と。ヴィンスの描き方はさすがで、いるよ~こういう男!と思ってしまいます。ジェニファーがコンサートをすっぽかされ傷つくところとか、豪華なマンションを手放すところなど、すごく現実感があってうなずける展開でした。ただ映画として、最後がね~ すかっとせんのよね~やっぱラブコメはハッピーエンディングしか期待してないもんね。見るほうは。***************The Lake House (2006)Director:Alejandro Agresti Writing:David Auburn (screenplay)Eun-Jeong Kim (motion picture "Siworae") & Ji-na Yeo (motion picture "Siworae")Alex Wyler :Keanu Reeves Kate Forster :Sandra Bullockキアヌとサンドラの『イル・マーレ』これはリメイクなんですけど、実にすばらしい脚本です。ひさびさにうならせるわ~こういういわゆる恋愛映画でプロットを考えて辻褄整合性を考えて上映時間中ずっと煩悶する作品って他にない。そういう意味でも稀有。???あ~やっぱり!という展開の連続。実にすばらしい映画。泣けます!何を書いてもねたばれなので書けませんが…
2007年10月28日
The Tokyo Ballet with guest starsOct 2007 at Yuport hall, TokyoThe DreamChoreography: Frederick Ashton Music: Felix Mendelssohn Titania: Alina Cojocaru (Oct. 24, 25 eve, 26) Reiko Koide (Oct. 25 mat) Oberon:Steven McRae replaced injured Johann Kobborg (Oct. 24, 25 eve, 26) Haruo Goto (Oct. 25 mat) Ballet Imperial Choreography: George Balanchine Music: Pyotr I. Tchaikovsky Mika Yoshioka, Kazuo Kimura (Oct. 24, 25 eve.) Mizuka Uenom, Naoki Takagishi (Oct. 25 mat, 26) 東京バレエ団「真夏の夜の夢」/「バレエ・インペリアル」2007年10月26日(金)ゆうぽうとホール 五反田・東京 「真夏の夜の夢」タイターニア:アリーナ・コジョカルオベロン:スティーヴン・マックレーパック:大嶋正樹ボトム:平野玲ハーミア:小出領子ライサンダー:後藤晴雄ヘレナ:井脇幸江デミトリアス:木村和夫村人:高橋竜太、山口優、鈴木淳矢、氷室友、宮本祐宣エンドウの花の精:高木綾蜘蛛の精:田中結子カラシナの精:西村真由美蛾の精:奈良春夏指揮:デヴィッド・ガーフォースオーケストラ:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団合唱:TOKYO FM 少年合唱団 いや~コジョカルすばらしかった~絶好調のコジョカルを見た。タイターニアははまり役だ。妖精だから人間じゃない。なんか超越した動きをする。そういう感じがあった。もう人間じゃないアグレッシブさがあった。オベロンにもパックにももちろんそういう動きが要求される。オベロンのマクレー君は、代役の急ごしらえではあったが、なかなかの出来だった。出てきた瞬間、圧倒的な雰囲気がある。その流し目一発で決まる。彼はオベロン=尊大すぎる存在になっていた。これはサー・アンソニーの教えの賜物か。ゆっくりした回転などでぐらつくとこがあったが、スピーディーな回転やジャンプにおいてはまさに圧倒的! 中盤の見せ場がすばらしかった! これはロミオを見たかったな~という雰囲気。シャープでしかも踊りに華がある!異形のものをやらせたら抜群の大嶋さんもさすがに霞んでいたぐらいであった。マクレー君は2006年1月のロイヤル・バレエの「くるみ」で、2夜連続でトレパークを踊ったのを見ている。(一夜目、二夜目)派手なダンスでお客さんが非常に喜んでいたのを記憶している。マクレー君は、2007年10月16日(火)夜、コボーの代役としてコヴェント・ガーデンでロミオを踊り、初の全幕デビューを果たした。本番の1週間前にロミオを踊ることを告げられたそうだ。(このへんはNaokoさまの『ロンドン発バレエ・ブログ』に詳しく載っています。いつもありがとうございます。)ロミオに続き、コボーの代役として『真夏の夜の夢』を踊ることになり、17日朝(現地時間)には日本行きの飛行機に乗った。飛行機の中でずっとDVDを見て、18日(日本時間)からリハーサルに参加したそうだ。東京での初日が24日だから、これも1週間弱しか準備期間がなかったわけだ。それを考えれば実に驚異的。時差ぼけもあったろうし、大変な努力をしたのであろう。ありがたいことです。 次回のロイヤルの来日でどういう姿を見せてくれるのか?待ち遠しい。マチアス・エイマンの代役での来日といい、このような若手がすばらしい才能を地元では見られない役で日本で見せてくれるのは、ほんとにチャレンジングであって、しかも『お得』感があっていいことだと思う。しかし、今夜一番拍手をもらったのはボトムのトウ・ダンスであった。前にも驚愕したが、今回はもう微笑ましくて。その同じ振りをフィナーレでも踊るのだが、さすが。かぶりものしてなくてもボトムの愛らしさが爆発していた。彼がMVPだね。ほんとはボトムはもっと醜悪な存在なんだよ。原作では。これはバレエ作品だからあく(灰汁)の部分、あさましい部分がすべて砂糖にくるまれているんだ。「バレエ・インペリアル」振付:バランシン音楽:チャイコフスキー ピアノコンチェルト第2番上野水香‐高岸直樹奈良春夏長瀬直義‐横内国弘 佐伯知香‐吉川留衣ピアノ:志田明子松下裕次さんがコールドで出てましたね。ソロが見たかったのに残念。この松下さん、後日古川さんのブログを見たら、4パックとあるではないか!(3パックの写真もあり)(このへんはnaomi さまの "la dolce vita" からの情報。いつもありがとうございます。)なんと松下さんもパックをマチネで踊っていたのだ。なんだ~見たかったわ~(平日なので無理でしたが)下記のリンクにあるように私は前回の東京バレエ団初演真夏ヴァージョンで古川さんのパックを見ているので、松下さんがどう演じたのか非常に興味がありました。彼は以前にもパックをやられてはいるようですが。それから準主役の奈良春夏(すてきなお名前ですね)がすばらしかったです。この方はすぐにプリンシパルになるのではないでしょうか。あくの強さはなく、ひたすら薄味のダンスですが日本人らしいダンサーという雰囲気で逆に海外では受けるのではないでしょうかね。高岸さんはさすがの雰囲気をかもし出していました~ Related Linksシルヴィ・ギエムの愛の物語 Aプロ「真夏の夜の夢」「マルグリットとアルマン」2005年4月29日(金・祝) 東京・上野 東京文化会館「真夏の夜の夢」(東京バレエ団初演)2005年4月
2007年10月26日
King Kong (2005)Director:Peter JacksonCastAnn Darrow :Naomi WattsCarl Denham :Jack BlackJack Driscoll :Adrien BrodyCaptain Englehorn :Thomas Kretschmann Preston:Colin HanksKong / Lumpy :Andy Serkis Hayes:Evan ParkeJimmy :Jamie BellBruce Baxter :Kyle Chandler ピーター・ジャクスンの「キングコング」を見た。いまさら~でごめんなさい。これってこけたんですよね?一般的にはきっと長すぎるんだと思う。3時間半ぐらいありますもんね。でも私は虫だか甲殻類だかが出てくること以外はすごく楽しめました~なんかトリビュート映画なんですよね。ジャクソンの、昔の「キングコング」に対しての。昔よく作られた恐竜映画のような冒険活劇映画の雰囲気をかもし出そうとしていて、映画少年の憧れと夢を天然色の映画にしたというイメージ。すかっとおもしろいんじゃなくて、すご~くしつこい感じ。ジャック・ブラックの狂気に満ちた、映画にとりつかれた男。これはまさにピーター・ジャクソン。途中がどうしてもスピルバーグの恐竜映画になっちゃうところがなんか嫌だった。ナオミ・ワッツはいいなあと思いました。あと船長。トーマス・クレッチマンがめちゃかっこいい。映画スター役のカイル・チャンドラーはどこかで見たと思ったら、「グレイズ・アナトミー」の爆弾処理班の男だった。印象的だったから。
2007年10月21日
あしたWOWOWでキアヌの「イル・マーレ」が放送されます。ちょっと楽しみ~****Brokeback Mountain (2005)Director:Ang LeeEnnis Del Mar :Heath LedgerJack Twist:Jake GyllenhaalAlma:Michelle WilliamsLureen Newsome :Anne Hathaway ほんとにいまさらで恐縮なのですが、「ブロークバック・マウンテン」見ました~すごく純愛映画だった。いろんな意味で。まじめな映画でしたね。これは泣けるわ~ヒース・レジャーいいね! ジェイク・ギレンホールは若い頃はよかった。老けメイクしてからはちょっと似合ってなかった。ヒースはわざとというか役作りでぼそぼそ口の中でしゃべる。聞き取りづらい。すべての人間関係が、ただ***ということですべて微妙にきしんでいくところがすごく描けていて秀逸だった。ヒース・レジャーが別人のようでしばらくは同じ人間だと信じられなかった。この作品の主役は間違いなくイニス。アン・リーの演出がすごいのかなあ。こういう作品こそが「映画」だと思うんだよね。私は。********デニーロが監督した「グッド・シェパード」新聞評がすごく評価高かった。しょせんは俳優の監督作品と思っていたので、認識を改め、この作品もそのうち見たいもんです。マット・デイモン大好きなんで…彼の「ボーン・アルティメイタム」も早く見たいな~「ボーン・シュープレーマシー」は大傑作だったからね。第2弾はうううんんだったけど。続編につながる作り方も気に入らんが。許す。ジェイスン・ボーン大好きなんで…ところで「ボーン・スプレマシー」の殺し屋の役って、クライヴ・オーウェンだったってご存知でした? 私は気づかずにこないだ再放送しているのを見て気づいたんだよね。実は使ってたHPが突然閉鎖しちゃったんでこういうことを書くとこがないんだよね。ここに書かせてもらいます~
2007年10月20日
Deutsche Staatsoper Berlin (Berlin State Opera) Japan TourRichard Wagner : Tristan und Isolde (3 Acts)October 14, 2007NHK Hall, Shibuya, TokyoConductor: Daniel Barenboim Director: Harry Kupfer Scenery: Hans Schavernoch Costumes: Buki Shiff Lighting: Franz Peter David Chorus Director: Eberhard Friedrich Cast: Tristan: Christian Franz King Marke: René Pape Isolde: Waltraud Meier Kuruvenal: Roman Trekel Melot: Reiner Goldberg Brangäne: Michelle De Young A Shepherd: Florian Hoffmann A Steersman: Christof Fischesser A Young Sailor: Florian Hoffmann Staatskapelle Berlin / Staatsopern Chorベルリン国立歌劇場2007年日本公演リヒャルト・ワーグナー作曲『トリスタンとイゾルデ』 全3幕2007年10月14日 東京・渋谷・NHKホール指揮:ダニエル・バレンボイム演出:ハリー・クプファー美術:ハンス・シャヴァノフ衣裳:ブキ・シフ照明:フランツ・ペーター・ダヴィッド合唱監督:エバハルト・フリードリッヒ トリスタン:クリスティアン・フランツマルケ王:ルネ・パペイゾルデ:ヴァルトラウト・マイヤークルヴェナル:ローマン・トレーケルメロート:ライナー・ゴールドベルクブランゲーネ:ミシェル・デ・ヤング牧童:フロリアン・ホフマン舵手:アルットゥ・カターヤ船乗り:フロリアン・ホフマン (パヴォル・ブレスリク急病につき代役)ベルリン・シュターツカペレベルリン国立歌劇場合唱団
2007年10月15日
ベルリン国立歌劇場日本公演ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』Part2第3幕石像の上に横たわるトリスタン。その下で頭を抱えているクルヴェナール。像の上のほうでは、牧童が海を見ている。牧童は哀しげなシャルマイを吹く。クルヴェナールは激しく後悔している。彼はトリスタンが破滅の道を歩みだしたのは、イゾルデと付き合うようになったからだとわかっている。しかし忠実なる僕である彼は、彼に協力してマルケ王さえ裏切ってきた。そして今傷ついたトリスタンが死んでいくのを手をこまねいて見ているしかない。自責の念にかられている、クルヴェナール。彼は主人が死ぬときは自分も死ぬときだと思っている。このへんのトレーケル最高です~苦悩の似合う男なもんで。クルヴェナールは死ぬ行くトリスタンを救うために密かにイゾルデを呼びに行かせている。しかし待てども待てども船は来ない。牧童が明るいシャルマイの音を聞いたら船が来た印だよ、と告げて去っていく。目をさますトリスタン。「哀しげな音だ。懐かしい。」「ここはどこだ?」「あなたの故郷ですよ!」「ここはコーンウォールか?」「だから違いますって」すっかり錯乱しきっているトリスタン。クルヴェナールはイゾルデを呼んだことを彼に告げる。彼は瀕死の体で起き上がってしまう。クルヴェナールは気が気じゃない。心配してそばを離れられない。トリスタンはクルヴェナールの頭を胸にかき抱く。ここも胸を打つシーンだった。イゾルデがいつ来るのか待ちわびるトリスタン。クルヴェナールが高台に上ろうとした瞬間、シャルマイの音が響く。船が来た!しかし船は岩礁に入る。「座礁したか?」絶望するトリスタン。しかし、「岩礁を抜けました!」喜ぶ2人。イゾルデが駆け込んでくる。イゾルデは天使の羽の上に乗ってくる。トリスタンはもう目も見えないのか、イゾルデの方を見ることもしない。そばに横たわって、「イゾル…」と一声歌って事切れてしまった。悲嘆にくれるイゾルデ。そこへ2台目の船がやってくる。マルケ王とメロートが追いかけてきたと信じたクルヴェナールは弔い合戦。メロートに斬りつけ、殺してしまう。自分も深手を追う。入ってきたマルケ王。その威厳のすばらしいこと。その悲哀の深いこと! パーぺはすばらしい!クルヴェナールは、「私もトリスタン様の横で横たわります…」と瀕死の状態で体を這いずっていく。もうここで涙があふれてきた。クルヴェナールが石像の下に消える。マルケ王はなげく。「どうしてみんな死んでしまうんだ!死ばかりだ。私は秘薬のことをブランゲーネに聞いた。2人をいっしょにしてやろうと思ってきたのに…」イゾルデは茫然としたまま。トリスタンが死んでから茫然自失している。マルケ王はトリスタンの横に寄り添ったままうなだれる。照明が消え、残されたイゾルデだけにスポットが当たる。ここのイゾルデの絶唱!まさに客の涙を誘う名演!石像が静かに回りだす。天使の像のかたわらで、歌い終わり、手を天に差し伸べるイゾルデ。灯かりが消える。全幕了。最後の音が消えるまで拍手は出なかった。良かった。嵐のような拍手。すばらしい世界だった!Related:Wagner's Tristan und IsoldeFrom the Bastille in Paris
2007年10月14日

RENÉ PAPE -- outstandingベルリン国立歌劇場日本公演ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』2007年10月14日東京・渋谷・NHKホール指揮:バレンボイムめちゃめちゃよかった~現時点で本年度ナンバー2確定。トレーケル(クルヴェナール)が死ぬとこから最後の幕切れまで涙が止まらず!こういうことは珍しい。ワーグナーの術中にはまった。恥ずかしいぐらい泣けたわ~バレンボイムはやっぱ偉大ですね~ワーグナーの音楽は信じがたいほど美しく独創的な世界だ。世界だ。まさに。それからパーぺ!マルケ王。すばらしかった~トリスタンの100万倍かこよかった~普通こっちに惚れるやろ~とリアリティがない。舞台に出てきただけで存在感があり、声を発した瞬間、空気が変わった。カリスマ~~~マルケ王主役の舞台になっちゃってました。はっきり言って。ほかの歌手の方々もすばらしかった。特筆すべきはミシェル・デ・ヤング。す・ば・ら・しかった~彼女は東京のオペラの森でヴェーヌスだったのですが、今回そのすばらしさを痛感した~ヴァルトラウト・マイヤーも良かったが、完全に彼女を食っちゃってたもん。うれしい驚きでした。主役のトリスタンのクリスティアン・フランツだっけ?声はトリスタンだった~声はすばらしかった。言うことない。ただし、風貌が、トリスタンじゃなかった~そこだけが残念だった。ローマン・トレーケルは初生だったが、期待していたほど良くはなかった。演技とかすばらしいんですが、トレーケルだな~という感じで。トリスタンの声がすばらし過ぎるんでちょっと負けていたかな~声量はなさそうだった。というかすべて他の歌手が素晴らしすぎたんでね。きょうは。第1幕前奏曲。NHKホールはオペラには広すぎる。オケが遥か彼方にいるように錯覚するぐらい、遠い! でもこれは前奏曲だったからなのだ。だんだんクレッシェンドしていく。もうこの前奏曲で鳥肌立ちまくり。うわ~という感じ。前奏曲が始まってすぐ、薄幕のかかったおぼろな舞台が現れる。巨大なオブジェの上にたたずむ男2人と女2人。宿命。そしてまた幕が下り、暗いまま前奏曲がクライマックスに突入していく。半音階ずつ上昇していく、実に夢のような曲。全編通してこのメロディが使われていく。ほんとの幕があく。大きなオブジェは、背中に羽の生えたブロンズの天使像が床につっぷしているもの。右の翼を大きく広げているが、左の翼は無残にちぎれている。その残骸が下に落ちている。絶望している天使。このオブジェがこの舞台の演出家の世界観。世界は絶望と死と愛に満ちている。この美術は賛否両論あると思うが、私は大好き!でした。船も出てこないし、何にもセットは出てこない。このオブジェのバックに墓石が立ち並んでいるだけ。背景はほとんど黒い闇に覆いつくされている。照明も秀逸だった~見事に芸術的だった。アーティストにはたまらん感じ。イゾルデはブランゲーネに怨み節を聞かせている。アイルランドの姫である自分をコーンウォールのマルケ王に嫁がせるためやってきた使者は、あろうことに自分が恋をした相手、トリスタンだった。もともとモロルトの許婚(いいなづけ)だったのに、そのモロルトを殺したのは他でもないトリスタン。そのにくいトリスタンが「タントリス」と名を偽って自分のところに傷を癒しに転がり込んできたのだ。秘薬で傷を治すが、許せないイゾルデはトリスタンを殺そうとする。でもできなかった。彼女はトリスタンに恋してしまったのだ。アイルランドとコーンウォールの和平のためにいわば無理やり嫁がされる形になった。その使者がトリスタンとは!怒りと復讐に燃える彼女はブランゲーネにトリスタンを呼びに行かせる。すげなく断られる。彼女はトリスタンに毒薬を飲ませて殺そうとする。しかし不思議なことに、薬を飲んだ二人は熱烈に愛し合うようになる。忠実なブランゲーネが薬を入れ替えたのだ。しかしブランゲーネはすぐに後悔する。彼女が二人が固く抱き合っているのを目にした瞬間、船は港に到着する。人々の声がひびく。マルケ王万歳!船に乗り込んできたマルケ王(パーぺ)。凍りつく4人のストップモーションで第1幕が終わる。大拍手。第2幕イゾルデの部屋。灯かりを点している。さきほどの天使の像が180度反対を向いている。これで羽が半分に千切れているのが見て取れた。しかもこのセットは回転する。灯かりを消すとトリスタンがやってくる。二人は愛し合う。トリスタンは昼の世界が嫌になったことを唄う。二人は人目を避けて会える夜だけが生きる世界になってしまった。愛すれば愛するほど苦しさが募っていく。トリスタンはもう死ぬことしか考えていない。愛することは死んでも終わることがない。このへん非常に哲学的モノローグになっていく。こっちの睡魔も高まっていく。石像の下で二人で横になっている。石像が回る。『逃げてください!』クルヴェナールがやってくる。しかし間に合わない。マルケ王がやってくる。トリスタンとイゾルデは堅く抱き合ったまま。マルケ王がその低いバスで歌いだした瞬間、空気が変わった。ものすごいリアリティでマルケ王の苦悩がダイレクトに伝わってきた。「私は甥であるトリスタンに国を継がせるため、再婚もしなかった。しかしどうしてもという国民の期待と他でもないトリスタンの薦めで、再婚することにしたのだ。それがどうしてこういうことになるんだ。説明してくれ!イゾルデには私は手出しをしていない。でも彼女の上品さと高貴さで私は慰めを得た。どうしてこんな辱めを私に与えるんだ?」トリスタン「それにはお答えできません…」マルケ王はがっくりとうなだれ、木偶人形のようになる。その場に座り込む。トリスタンはメロートが自分を落としいれようと、妻を娶ることを進言するように自分に強いたと言う。トリスタンは、「イゾルデ、僕は故郷に帰るので着いて来てくれるか?」と呆れるようなことを言い出す。イゾルデ「ついていきます。」王の御前だよ。メロートは激高する。「この裏切り者め!」剣を抜く。トリスタンは死にたくてしょうがないので、「おのれ、メロート、やるか!?」と叫ぶと剣を抜き放つ。しかし飛び込んでいく瞬間。その剣を床に投げ捨てる。メロートの剣はトリスタンの心臓をえぐる。メロートはさっと上手によける。ぐらっと倒れかかったトリスタンは片手で敬愛するマルケ王の方に手を伸ばす。マルケ王は思わず手を出して彼の体を支える。これが二人の関係性を表している。イゾルデは彼のほうに手を差し出したまま固まっている。第2幕了。
2007年10月14日
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