2009年01月16日
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カテゴリ: 本


読み始めてしばらくしたら、あ、これもしかして児童虐待ものか?と気が重くなりそうだったんだけど、そうばかりでもなくて。心が辛くてとまってしまい先に進めなくなった足が、読んでいるうちに、また前に向かって動きだす力を得る気がしてくるよ。
東北の大きな市から少し離れた空き家になった母の実家に、父親が東京に単身赴任中なため、高校生のサチは母とふたりで引っ越してきたの。そこでサチはお寺の長男坊・広海くんと出会うんだけど、実は彼は不思議な能力を持っているのです。といって、SFというわけではありません。
この広海くんは高感度がかなり高い。そして同じ能力を持つ彼のおじいさんである大和尚さんがまた仏様の化身のようなたまらなく素敵な人。
「アポトーシス」「インピーダンス」「マグデブルグの半球」「シュレジンガーの猫」と難しそうなタイトルがついた短編集ながら、同じ場所、同じ時制の中で、気付かないうちに繋がりあっている孤独な人たちを描いていて、それぞれの痛みを丁寧に救い上げてくれます。タイトルの解説もちゃんとお話の中で親切に分かりやすく語ってくれています。表題の「かなりや」というのはあの有名な西條八十の歌詩です。
厭な人物も結構出てくるんだけど、誰もがそれぞれに理由をもっていて、目線を変えれば理解し認め合えるのかもしれないと思えてきます。その持続時間がどれほどのものかは分かりませんが、結構な時間、優しい寛容な気持ちで居られる気がします。





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最終更新日  2009年01月16日 22時25分22秒
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