2014年02月05日
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カテゴリ: 本
奪われた野にも春は来るか


『빼앗긴 들에도 봄은 오는가 / ペアッキン トゥレド ポムン オヌンガ』は

韓国の写真作家、鄭周河(정주하 / チョン・ジュハ)さんの写真集です
「빼앗긴 들에도 봄은 오는가 」は「奪われた野にも春は来るか」と訳します

撮影されているのは、東日本大震災後の福島の風景
2011年11月から2012年2月にかけての寒い時期です
人物は、皆無ではないですが、ほとんど登場しません
予備知識がなければ、美しい里の風景、と感じるものが半分近く

よく見ると、自然の恵みが鈴なりのまま残されているのに気づきます
無いはずの物があり、あるはずの物がない、そんな風景

いつのも花を咲かせ、いつもの実りを結ぶ

人の存在も居る場所も、今までと違うことに思い至る

あたりまえのことに悲しみを覚えます

深く考えず、ただ絵葉書を眺めるように
この写真集を鑑賞するのもひとつの味わい方かとも思います

写真のほかに
この写真集を企画するに至った経緯や、タイトルが意味する事など
韓国語、日本語、英語の3か国語で丁寧に書かれています
わざわざ他言語版を出す必要はありません
だから、韓国語の本のコーナーに置かれているのは
とてももったいないと思います


「奪われた野にも春は来るか」
私は、このタイトルを以前に聞いたことがありました
1926年6月に朝鮮の雑誌『開闢』70号に発表された詩に由来します
作者、李相和(イ・サンファ)は日帝時代の抵抗詩人です
この詩の掲載によって、発行停止処分も受けたそうです


だから、お互いの苦悩について想像力を馳せてみよう
というのには違和感を覚えます
隣国の苦悩、という意味だけではないのは分かるのですが
世界中の苦悩する人たちのことに思いを馳せようと

心からの思いを込めて企画を立ち上げ
大変な苦労の末の作品だと理解してはいても
申し訳ないことに、どうしても引っ掛かりを覚えてしまうのです
私の心の狭さと勉強不足ゆえ、ですね

参考までに、詩を紹介します
詩も訳も、この写真集に掲載されていますが
下記の詩は、以前私が某サイトを参照して訳していたものを
写真集を参考に訳の手直しをしたものです



지금은 남의 땅 - 빼앗긴 들에도 봄은 오는가? / 이상화
今は他人の土地 - 奪われた野にも春は来るか / 李相和

나는 온몸에 햇살을 받고
私は全身に陽光を浴び
푸른 하늘 푸른 들이 맞붙은 곳으로
青い空と 青い野が 触れ合うところへ
가르마 같은 논길을 따라 꿈속을 가듯 걸어만 간다.
分け目のような野道に沿い 夢の中を歩むごとくただ歩む

입술을 다문 하늘아 들아
口を閉ざした空よ野よ
내 맘에는 내 혼자 온 것 같지를 않구나
私ひとりで来たのではないようだ
네가 끌었느냐 누가 부르더냐 답답워라 말을 해다오.
君が導いたのか 誰かが呼んでいたのか もどかしいのだ 応えておくれ

바람은 내 귀에 속삭이며
風は私の耳にささやきながら
한 자욱도 섰지 마라 옷자락을 흔들고
立ち止まるなと 着物の裾を揺らし
종다리는 울타리 너머 아가씨같이 구름 뒤에서 반갑다 웃네.
ヒバリは垣根の向こうの娘のように雲に隠れて嬉し気に囀るね

고맙게 잘 자란 보리밭아
ありがたくよく育った麦畑よ
간밤 자정이 넘어 내리던 고운 비로
昨夜半過ぎに降った柔らかな雨に
너는 삼단 같은 머리털을 감았구나 내 머리조차 가뿐하다.
君は麻束のような髪を洗ったのだな 私の髪まで軽やかだ

혼자라도 가쁘게나 가자
ひとりでも 息苦しくても行こう
마른 논을 안고 도는 착한 도랑이
渇いた田を抱いて廻る優しき用水路
젖먹이 달래는 노래를 하고 제 혼자 어깨춤만 추고 가네.
乳飲み児をあやす唄を唄い ひとり踊りながら流れて行くね

나비 제비야 깝치지 마라
蝶よツバメよ急かせるな
맨드라미 들마꽃에도 인사를 해야지
ケイトウやタンポポにもあいさつしなくては
아주까리 기름을 바른 이가 지심매던 그 들이라도 보고 싶다.
唐胡麻油をつけた人が真心込めていた あの畑も見てみたい

내 손에 호미를 쥐어다오
私の手に鎌をおくれ
살찐 젖가슴과 같은 부드러운 이 흙을
膨らんだ胸のような柔らかなこの土を
발목이 시도록 밟아도 보고 좋은 땀조차 흘리고 싶다.
足首が痛むほど踏んで 良い汗を流してみたい

강가에 나온 아이와 같이
川辺に遊ぶ子供のように
짬도 모르고 끝도 없이 닫는 내 혼아
暇なく駆けめぐる私の魂よ
무엇을 찾느냐 어디로 가느냐 웃어웁다 답을 하려무나.
何を求めるのか 何処へ行くのか おかしいな 応えておくれ

나는 온몸에 풋내를 띠고
私は体に若草の香をまとい
푸른 웃음 푸른 설움이 어우러진 사이로
爽やかな笑顔若々しい悲しみがひとつになった中を
다리를 절며 하루를 걷는다 아마도 봄 신령이 지폈나보다.
脚をひきずり一日を歩く まるで春の精が宿ったようだ
그러나 지금은 들을 빼앗겨 봄조차 빼앗기겠네.
けれど、今は野を奪われて春さえ奪われそうだ





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最終更新日  2014年02月06日 01時20分32秒
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