迦陵頻伽─ことだまのこゑ─

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2026.06.07
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カテゴリ: 浮世見聞記
東京都港區南青山の銕仙會能樂研究所で開催の「第二十回 女流義太夫 竹本越孝の會」夜の部に出かける。



女性による義太夫節の繼承と普及と次世代への橋渡しを使命と心得る主催者の、二十回目となる自主演奏會だが、私の目的は昔日の多摩川園に在って「多摩川の舞臺」と呼ばれ、のちに銕仙會の持ち物となってここへ移築された能舞臺を見ることと、



それまでイロモノ扱ひだった女流義太夫の地位向上につとめた戰前の名手・豊竹呂昇を、人生に思ひ悩みながらも毅然と立ち向ふ一人の女性に描いた朗讀劇「呂昇物語より」に特別出演の、嵐圭史(てしまや)を久しぶりに觀ることにあり。

十年ちかく前に前進座を離れて以来、すっかり舞臺姿を觀る機會を失なってゐたので、最近の朗讀動画で聴くかぎり往年の美聲を保つ嵐圭史を生で觀られることを、とても樂しみにしてゐた。

八十六年のあらゆる人生經験を呑み込み、昇華させた人ならではの力を抜いた表情に、自分もあの年齢までは生きたいものと、新たな目標を見出せたやうで、なにより前進座歌舞伎時代を想はせる明瞭な口跡には、次はまた芝居が觀たいものと、つひ願ふ。

今年三月には瀬川菊之丞の女形といひ、かつて前進座歌舞伎の舞臺骨を文字通り支へてゐた両優の健在ぶりをこの目で確かめられて、安心安堵。


そしてもう一つ、仲入り時の見所(客席)では十八年ぶりに面白いモノを見かけて、あとの朗讀劇の上演中には嵐圭史とそれが、ちゃうどひとつの視界に入ったので終ひまで遠慮なく半々に目を遣りながら、とんだオマケもあったものだと腹で嗤ふ。





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最終更新日  2026.07.12 00:48:42
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