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2016.10.21
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カテゴリ: 探訪

伏見稲荷大社の裏参道沿いをご紹介したときに、最初に「産場稲荷社」に触れました。
産場稲荷社の前の鳥居を通過すると、産場稲荷社の敷地と産場お茶屋との間に、幅の狭い通路が北方向に通じています。そちらに目を向けたとき、 「田中社ごんだゆうノ滝」という立て看板 が目に止まりました。ここは知りませんでしたので、2016.10.15に裏参道を探訪した際に立ち寄りました。

この道を北に進むと、途中に左、右の写真の道標がありますので、迷うことはありません。右折して、坂道を上って行きます。上り始めると直ぐに、「弓矢八幡宮」の石標が右手方向(南側)に見えますが、後で触れます。


坂道の北側に、一段低くなった場所が境内 です。丘陵地の斜面地がたぶん開削されたのでしょう。「権太夫大神」の扁額を掛けた朱塗り鳥居があります。

この境内地にも数多くのお塚が祀られています。


拝所の建物の北側に 「田中社」と刻した石碑


この右側に 「子守大神」のお塚 があり、この右側にさらに石段で下に降りて行くと「ごんだゆうノ滝」が設けられています。
稲荷山にお塚が無数にあり、同じ神名の石碑もたくさん見かけます。
しかし、ここの堂守をされている方のお話では、「子守大神」というのは、ここにだけ祀られているお塚だそうです。


「ごんだゆうノ滝」 のあるこの場所は、 田中社の行場 だそうです。現在は稲荷大社の祭神の一座として田中社が祀られ、稲荷山の荒神峰に田中社の神蹟があり、権太夫大神の扁額を掛けた鳥居があるのはご紹介済みです。これらが相互に関係していることになります。
滝口の左には地蔵尊が、右側には 役行者坐像、不動明王像、権太夫大神の神名碑 が並んでいます。

境内のお塚を詳細に拝見してはいませんが、目に止まったいくつかをご紹介します。

「猿田彦大神」 、両側に二神ずつ神名を記したお塚、 「三皇大神」 のお塚

「白龍美財天女」「白玉大明神」「粟嶋大神」 などの神名のお塚があります。

「光秀大神」 というお塚です。その左右には、御剱大神、権太夫大神の神名碑が併記されています。

この「光秀」は何をあるいは誰を意味しているのでしょうか?
私は即座に明智光秀を連想してしまいました。たぶんそうではないかと推測します。

少し調べてみると、 福知山市内には「御霊神社」 があるそうです。
「神社の起り」として、「御霊神社の祭神は宇賀御霊大神であって元来稲を主宰し給う神を祀ったことから五穀豊穣商売繁昌の神として崇められてきました。しかしこの本社を御霊神社と云うのは明智光秀公を祀ったことに由来しています。」 (資料1)
とあります。


裏参道に引き返す際に、 「弓矢八幡宮」 に立ち寄ってみました。南側の坂道を上ると、
その先に朱塗り鳥居が立っています。八幡宮も朱塗り鳥居は普通でしょう。ただ、八幡鳥居ではなく、ここには台輪のある稲荷鳥居の様式の鳥居となっています。

鳥居の傍に、手水舎と弓矢八幡宮の道場の建物があります。

境内の右側に回りこみます。拝殿とその前の鳥居。その傍に手水が設けられています。


石造鳥居があります。ここには 「弓矢八幡大神」 と記された扁額が掛けられた八幡鳥居が立っています。その先に「弓矢八幡大神」と記された碑が見えます。
当日、神事が終わったところのようで、後片付けをされていましたので、写真を撮るのを控えました。

知らない宗教法人でしたので、少し調べてみると、和歌山県の日置川町に本部が所在する八幡宮系統の新興宗教法人のようです。 (資料2)

このあたりの地図(Mapion)はこちらからご覧ください。

少し地図をシフトさせて、伏見稲荷大社の裏参道寄りを表示していただくと、後半の位置関係がわかりやすいと思います。

産場稲荷社の北側辺りになりますが、 「名勝 大橋家庭園(苔涼庭)」 があるのを見つけました。水琴窟の音が聞ける庭があるというのは以前に聞いたこtがあるのですが、所在地を知らなかったのです。

機会をつくって一度訪れて見たいものです。

産場稲荷社から裏参道を上るプロセスでのご紹介を既にしています。
その際、稲荷大社の境内地に入る区域と推測した辺りに焦点をあてました。ここでは裏参道を上り始める最初の段階の ある区域だけで目にする不可思議な宗教雰囲気をご紹介します。 これらは、稲荷山の持つ宗教的様相の外延として、様々に引き寄せられた宗教世界なのかもしれません。
「人種の坩堝」ではなくて「人種のサラダボール」なのだという表現をかつて見聞したことがあります。それをもじると、稲荷大社の裏参道の一部周辺は 「宗教のサラダボール」的景観 を呈しています。これもまた、それなりに物思う契機となる見聞の場があるとも言えます。

まず 釈迦堂 の扁額を掛けたお堂があります。

堂内はこんな雰囲気です。中央に釈迦如来坐像が鎮座します。

釈迦如来坐像の表面が斑なのは、釈迦如来金箔祈願が受けつけられ続けているためのようです。
天蓋の両側に吊された幢幡 (とうばん) の上部には龍の飾りが付けられています。


釈迦堂の右手前の建物に金箔奉納の説明駒札置かれています。参道傍にあるのがこの水盤です。「 銭洗弁財天  ザブザブ洗うと財力絶大」という駒札が傍に立てられています。
鎌倉には「銭洗弁財天宇賀福神社」という有名な神社があります。 (資料3)
釈迦堂の傍に銭洗弁財天の水盤だけ置かれているというのがなんとも不可思議。

まとめていて思い出したことがあります。以前にここでのブログ記事でご紹介しているのですが、深草の 瑞光寺(元政庵)の境内に 、「白龍大弁財天」の社が祀られています。そこが、龍神様のご神体より流れ出る水と 「白龍銭洗弁財天」 としての説明されているのです。銭洗弁財天としては京都で身近にあるスポットということになります。


釈迦堂の傍の建物にて


裏参道を上ると、左側の一角に露天で大きな観音像が建立されています。
「子供の健康と知恵の神 聖母観音」 の木札が置かれています。

その傍に立てられているのがこの駒札です。
観音像の指から長い綱が垂れ下がっていますので、この観音像が駒札に記載の観音のことなのでしょう。私には全く読めない文字が観音名の冒頭に記されています。木札と整合していないと思えるのも不可思議なところです。


これは裏参道沿いのお塚群の中にあったお塚ですが、ここでご紹介しておきます。
赤と青の二つの勾玉巴が目に止まった ので撮ったもの。お塚群の中ではちょっと特異な印象を受けました。「太極」と称される「陰陽勾玉巴(寿の字巴)」の図柄に似ているのですが、太極で描かれている巴の配置角度とは異なるのです。 (資料4)
また、大韓民国の国旗は中央に赤と青に2色からなる「陰陽」で「太極」を表されていますが、この太極とは赤青の色の上下は同じですが、左右の向きが丁度反転しています。青色の色調も異なります。巴の中に点があるので、この点も相違点です。 (資料5)
目に止まった時に、少し違和感を抱き、記録写真を撮ったのは、以前に見たことがある「太極」図との違いを無意識に感じたからかもしれません。ここの図柄の由来は何でしょうか?


裏参道をさらに少し上ると、この 「大日本大道教」 という石標と幟の立つ建物があります。日本の神仏習合感覚に比較的馴染んでいる私でも、ここはやはり異質感を感じる空間です。



中国で盛んであった道教の系譜を引くようです。両脇の像名が元始天尊、道徳天尊というのが記録写真から判別できます。

併せてこの近くには様々な像や碑が建立されています。
水子観音像 が祀られています。

 鞍馬山という文字の横に 毘沙門天の浮彫




裏参道を上るご紹介の折に、参道脇にある「白鷹大神」の社をご紹介しています。 この区域は「白鷹大神」の位置から直近の下側辺り になります。
上段の左の写真の樹木の直下、石造鳥居の右斜上が「白鷹大神」の社です。裏参道のご紹介の折には触れていませんが、この白鷹大神のすぐ左隣に「光秀大神」と記された小ぶりのお塚が並んでいました。上掲との絡みで補足しておきます。

ここは「末廣大神」の扁額が掛けられた鳥居です。しかしその鳥居の色は、稲荷大社の鳥居の朱色とは異質の色合いです。稲荷山の環境では逆にちょっと目立ちます。
そして、狛犬像でも狐像でもなく、 親子蛙の像 が配されています。私の見聞範囲で鳥居の前に蛙像があるのは、少なくとも稲荷山ではたぶんここだけでしょう。これまた異空間への入口という雰囲気を醸しています。


鳥居の写真にも写っていますが、なんと 「阿佐田哲也大神」 という神名碑がここに建立されています。マージャン好きの人は、知る人ぞ知るというスポットのようです。

稲荷大社の周辺は、南側には墓域が隣接し、近くにぬりこべ地蔵のある静寂さと祈願の空間です。北側の裏参道の一部区域はなぜか様々な宗教感覚が混在・共存する不可思議な異空間が現出しています。神仏習合をさらに超えた宗教のサラダボール感がみられる興味深くかつおもしろい空間です。
そこは逆に、宗教とは何かを考える貴重な空間なのかもしれません。

ご一読ありがとうございます。

参照資料
1)  御霊神社   :「京都府神社庁」
2) 『違いを超えて共に手を取り合って』 林 丈嗣氏
3) 銭洗弁財天  :「鎌倉ぶらぶら」
4) 太極  :ウィキペディア
5) 大韓民国の国旗  :ウィキペディア

補遺
大橋家庭園   :「京都市都市緑化協会」
道教  :ウィキペディア
道教とは  :「コトバンク」
 :ウィキペディア
元政庵瑞光寺  :「日蓮宗ポータルサイト」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


探訪 伏見稲荷大社細見 -1 表参道から楼門・外拝殿へ
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探訪 伏見稲荷大社細見 -9 周辺(東丸神社、荷田春満旧宅・ぬりこべ地蔵尊・摂取院)へ

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
探訪 京都・深草を歩く(旧伏見街道の波紋) -7 瑞光寺(元政庵)





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Last updated  2016.10.21 14:29:46
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