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Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2009.10.12
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カテゴリ: 文芸

 出版社に勤務する編集者である彼の
 「そんな私にとって、小説とは読むのに時間がかかるわりに
  実益が伴わないものでしかない」という気持ちはよく分かる。

 ところが、そんな小早川さんが姫野作品をベタホメなのだ。
 もちろん、文庫本の「解説」部分なのだから、当然といえば当然なのだが。
 それに比べ、 『ツ、イ、ラ、ク』 とほぼ同時期に刊行された
 二十代と四十代の二人の女性作家二作品には、とても厳しい言葉を投げかける。


四十代の女性作家の方は直木賞受賞の角田さんで、その作品は『対岸の彼女』。
この二作品と比べ、『ツ、イ、ラ、ク』が売り上げや評価で大きく水をあられていることに、
小林さんは強い憤りを感じ、言葉を荒げる。

  なぜそんなに差がついているのか?
  試しにそれらの作品を読んでみて、私の頭の中は疑問符だらけになった。
  いずれも、私にとってはそれこそ「ふーん」と思うだけの作品だった。(p.300)

確かに、『ツ、イ、ラ、ク』が直木賞を獲れなかったことについては、
当時、大いに物議を醸すことになったのだが、
それにしても「解説」という場の文章にしては、珍しいほどに挑戦的かつ感情的だ。
さらに、この「ふーん」については、その前段でこのように述べている。

  もちろん仕事に直接関係ないとはいえ出版社の社員である以上、

  しかし、たいていは「ふーん」という感想で終わってしまう。
  まあ悪くはないが、とくに読まなきゃいけないとも思えない。
  読んだ、という手応えがない。
  少なくとも私は、こんな小説ばかりならこの世からなくなっても困らない。
  そして、仕事や家庭を持つ忙しい大人の多くが、

  立花隆だって「小説は読まない」と言っているではないか。(p.294)

この部分を読んでいる段階では、大いに共感していたのだが、
その後の展開は先に示した通りで、読んでいる側としてはヒューンと興醒め、
一歩二歩とジリジリ後ろに引いて行かざるを得なくなった。
「世帯主がたばこを減らそうと考えた夜」についても褒めすぎ。

  父の苦労を人間の苦労だと、父の努力を人間の努力だと、
  当然そうみなされるべき自明の事実として受け取れるのは、娘だけである。(p.250)

そうかなぁ……残念ながら、同意しかねる。
まぁ、このパートの主人公である夏目雪之丞が自意識過剰で、
父として我が娘を見る目が無い故に、勘違いしているということにしておこう。
ただし、これに続く次の部分は本当に良く分かる。

  自分と血をわかつ、庇護るべき存在。
  女ではない。
  雪枝と瑞穂を、雪之丞は愛していた。
  なによりも娘たちから愛されたかった。

だから、雪之丞の喫煙量が激減したことは本当によく分かる。
しかし、共感するのは、彼の父としての娘たちへの思いだけである。
他の諸々の事柄については、私には全く理解不能で気分が悪くなるだけ。
こんなお話しに共感して泣くなんてことは絶対に出来ませんよ、小早川さん!

   ***

それ以上に気分が悪くなったのが「青痣(しみ)」。
景子の歪んだ感情の噴出ぶりは、あまりにも強烈すぎて目眩を覚える。
思春期前後の女の子たちのドロドロとしたものの全てが、そこに凝縮されている。
しかし、それらの少女の行動は、次の言葉で何とか埋め合わされている。

  あのころに、わたしがしでかしたこと、言ったこと、そのほとんどに、私は羞恥する。
  そしてわたしは消し去りたい。
  あのころには、自分の言動に羞恥しなかったことを。
  十代という醜い無知を葬りたい。鈍感な傲岸を、主観のばけもののような肥大を。
  (p.119)

  あのころの瑣末な自意識を嗤えるまで視界が広くなった、現在の風通しのよさを、
  わたしはよろこぶ。
  あのころには、瑣末なことが、生死を決めるほど重要だった。
  あの無知で甘ったれたぶかっこうさを、
  ただ涙のみで綴ったり撮ったりした無知で甘ったれてぶかっこうなものを、今では笑える。(p.169)

『ツ、イ、ラ、ク』のスピンオフ・ストーリー集としての本著の中で、
最も多くのページを費やした中核とも言うべき作品だけに、
他のお話しに比べると、濃密でその完成度は高い。
それ故の、コミックス化。





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Last updated  2009.10.12 22:50:36 コメントを書く
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