やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2005年10月01日
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初夏のころ、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」を読み悩んでいた。読破はしたが「何度も読む本」の印をつけたくないほど疲れたのが本音。

それをパティさんは 「あらすじで楽しむ」 作業をしていらっしゃる、ときどき拝見してはその根気と努力に感心している。終了も間近。

本日の日経文化欄、『ドストエフスキー 今を射抜く』に注目した。

『現代作家が注目』『閉じこもる若者・心の闇』『テーマ、色あせず』

ドストエフスキーの現代性、普遍性に着目、作家の小説、研究者の作品研究が絶えない、とあった。

コミュニケーションの希薄は現代病、人間の奥深い心理は闇だ。現代の小説を読むほどに思う。19世紀の先駆的作家の明察は今も生きているのであろう。いや、生きていくのであろうということである。

作家、研究者が今も掘りつくしてやまないドストエフスキーは、人間という生き物について洞察が深かった、ちょっと異様な病的な人間性というものに早くから気がついていた。との評価が深まってきたと記事は結んである。

それほど現代は、異様な思いもかけない人間性を剥き出しにした人間達が多くなってきたということか、恐ろしい!(TV、新聞のニュースを知れば知るほど)





中村文則 (28)…卒論で『犯罪者の心理は「不可解」の一言で片付けてしまいがちだが、ドストエフスキーはその奥にあるものを捉えようとしている、と延べ時代を超えた普遍性を見る』

作品は芥川賞の 「悪意の手記」 (新潮社)<難病で死の恐怖おびえる15歳の少年が、奇跡的に回復。しかし、その後あるはずみで同級生を殺してしまったその過去の罪を意識して悩む>「罪と罰」を下敷き。


平野啓一 (30)…芥川賞作家。悪意あるネットの文章などで虚無主義に陥る人間像、克服するには「ニヒリズムが蔓延していた時代」のドストエフスキーの作品にヒントがあるという見方。

「滴り落ちる時計たちの波紋」(文芸春秋)の一遍 「最後の変身」 <会社を辞めて引きこもりになったしまった主人公がインターネットで「自分探し」をするも、社会と直接の関係をもたず妄想の世界にいる。>→「カフカの「変身」+「地下室の記」


追記(とほほ)

読み返さずアップして畑に専念していた。文途中要らない文章「本名岡田尊司での現代性、」が混入、記事を読んだ方はお判りと思う。今読み返してびっくり、訂正した。私もこの文章を書くのにあれこれ考えたのだった。





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最終更新日  2005年10月01日 10時05分46秒
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Re:「ドストエフスキー」メモ(10/01)  
パティP  さん
うちは日経とっていないんですよ、ああ残念無念!!
『「何度も読む本」の印をつけたくないほど疲れた』・・・そうなんですよ、死ぬほどわかります(笑
あらすじを書いているときは源氏を別にすれば、その作品外にあまり目を向けなかった私ですが、カラマーゾフはもう関連書だけでも19冊、ドストエフスキーの専門研究書も2冊読みました。
それでも読めば読むほどわからなくなるんです。
一生をかけて読み解き、なおかつ答えの出ない1冊ではないかと思えるのです。
だからあれをたった一人で書いたドストエフスキーの頭のなかはどうなっていたのか、本当になぞです。
彼のことを天才とは思っていませんが、尋常ならざる人だったとは感じます。
そしてその尋常ならざる人の脳みその中の宇宙的規模とさえ言える演繹的思考には、もう驚嘆を通り越してあきれ返り、今やそこをひとつひとつ知ろうなどという無茶はもうするまい、と言う気にさえなっています。
大きな森の中の木の葉を、落ち葉新芽にいたるまですべてを確認するような作業、私にはとても出来ません。
だからやはり森の姿を森のままに、普通に見ることで終わりそうです。
けれども今回このあらすじ書きをしなかったら、ドストエフスキーの恐ろしさ巨大さが、かくも底なしであることを実際的に知らないままに過ごしていたことと思います。
文学の可能性が終わった、などという人は本当に、あの作品一つにでも触れてみるといいのだと思います。
作品の登場人物の名前ひとつからでも10も20も意味や比ゆや関連する歴史未来が見えるような、そんなことを、文学はできるのだということを知るためにも、読むべきです。
ああ、でもやはり、それは異様に精神肉体ともに疲弊しきる作業ではあるのです(涙 (2005年10月01日 10時52分57秒)

Re:「ドストエフスキー」メモ(10/01)  
alex99  さん
ばあチャルさんのこの日記を読んで、急いでクリッピングしました。

(2005年10月01日 18時39分10秒)

Re:「ドストエフスキー」メモ(10/01)  
さくらの874  さん
ワタクシも日経とっているので、さっそく切り抜きいたしましたよ。
でも、まだ読んだことないんですよね~ドストエフスキー。近いうちに挑戦してみたいと思っています。 (2005年10月01日 19時07分04秒)

パティPさんへ Re[1]:「ドストエフスキー」メモ(10/01)  
ばあチャル  さん
もうもう、ほんとうにご苦労様です!でもお若いんだからきっと「何か」につながりますよ。

>カラマーゾフはもう関連書だけでも19冊、ドストエフスキーの専門研究書も2冊読みました。

それがすごい!し、ものすごくいいこと。(つめのあか)

>それでも読めば読むほどわからなくなるんです。
>一生をかけて読み解き、なおかつ答えの出ない1冊ではないかと思えるのです。

老若にかかわらずそうなのでした。

>そしてその尋常ならざる人の脳みその中の宇宙的規模とさえ言える演繹的思考には、もう驚嘆を通り越してあきれ返り、今やそこをひとつひとつ知ろうなどという無茶はもうするまい、と言う気にさえなっています。
>大きな森の中の木の葉を、落ち葉新芽にいたるまですべてを確認するような作業、私にはとても出来ません。
>だからやはり森の姿を森のままに、普通に見ることで終わりそうです。

うーん、このお言葉肝に命じます。

>けれども今回このあらすじ書きをしなかったら、ドストエフスキーの恐ろしさ巨大さが、かくも底なしであることを実際的に知らないままに過ごしていたことと思います。
>文学の可能性が終わった、などという人は本当に、あの作品一つにでも触れてみるといいのだと思います。
>作品の登場人物の名前ひとつからでも10も20も意味や比ゆや関連する歴史未来が見えるような、そんなことを、文学はできるのだということを知るためにも、読むべきです。

ほんとに、ほんとにそう思います!!
私も若き頃「罪と罰」の読書会をした経験があります。あれも、あの頃は徹底的に解剖したと思ったのですが、それは不遜でした。今読み直したならまた別の世界が広がりわからないでしょうね。私は体得していますよ。

(2005年10月01日 20時19分29秒)

Re:「ドストエフスキー」メモ(10/01)  
うちも義父が日経を取っているので、後でじっくりと読ませて戴きます!最近読んだばかりの中村文則の『悪意の手記』は『罪と罰』を下敷きにしていたのですか。あ~、そういわれてみたらそうですよね。今さら気付きました。ラスコーリニコフの場合は自分の信念に基づいて老婆を殺し、でも予期せぬ第二の殺人によって罪の意識に次第に囚われていくんでしたよね。『悪意の手記』は罪の意識というより、どうして人間はそもそも、そんな重い大罪を犯してしまった上でも生きていかなくてはならないのか。むしろ死んだ方がラクなんじゃないのか。それほどの痛みに耐えてまで、生きるということは意味があることなんだろうか?と考えれば考えるほど深みに嵌って行くような作品でした。
『カラマーゾフ~』は未だに、再読する気が起きません(汗) (2005年10月01日 20時38分28秒)

猫のゆりかごさんへ Re[1]:「ドストエフスキー」メモ(10/01)  
ばあチャル  さん
中村文則も『悪意の手記』も膨大な情報にまぎれて素通りしていた私めもこうして「えにし」が結ばれるのでした。

ご感想もういちど拝見したのでした(笑)

>『悪意の手記』は罪の意識というより、どうして人間はそもそも、そんな重い大罪を犯してしまった上でも生きていかなくてはならないのか。むしろ死んだ方がラクなんじゃないのか。それほどの痛みに耐えてまで、生きるということは意味があることなんだろうか?と考えれば考えるほど深みに嵌って行くような作品でした。

きっと私は読むでしょう。そのときにまた。
(2005年10月01日 21時09分40秒)

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