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2006年12月21日

『日の名残り』カズオ・イシグロ（ハヤカワepi文庫）

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テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24657)

カテゴリ：読書感想

琴線にふれる箇所の多さ、読後の味わい、安堵のさわやかさ。
諦念でもなく、力がはいっているのでもなく癒される。

ミスター・スティーブンスが執事として職業を全うしたことではなく、
人間としての品格を追求しようとしたところに興がある。

旅の終わり、桟橋で日の名残りを見て涙する。

仕事は完璧であった、でも結局失敗した人生である。選択である。
頑固な職人芸であり、こころのありかたである。

けれども後悔がない。

なぜか、人間としての品格はどうあるべきか？
読者それぞれの思いにゆだねられる。

カズオ・イシグロという作家のなかなか凝った文章が読ませる。

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。(表紙裏より）

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