芥川賞の作品『ひとり日和』より先に読んだのだが、あ、これが持ち味なんだねとわかった。
語り手は作者と同年代らしい若いOLの「わたし」。
「朝、会社へ向かう電車の中で、弟と四年ぶりに会った。...」
と、家出していた弟が姉の部屋に転がり込んできて、去っていくまでの顛末。どうってことない日常(むしろそれを強調しているような)と家族間の希薄さかげん。
琴線をふるわす会話があるわけじゃない、むしろ無口の集まり。弟の友人やOLの会社の人たちもかかわってくるのだけど、みんな無駄口はしないのである。
ほんと、家出して音信不通な家族がいれば異常なこと、事件だよ。さらさらっと過ぎていく日々、はて、何だったのかしら。
「そういうふうに作ろうとしてるんでしょ」
「ああ」
「ドラマのようにはいかないよ」
あっさりしている。
文章も違和感なく読める。ごてごてしていない。
ストーリーともいえない平坦なすじ。
しかし、退屈しないから不思議。
(雑誌「文藝」春号に掲載されていた「芥川賞受賞第一作」)
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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