№1 上林 暁<かんばやし あかつき>
この記事書いた時は60歳におなりでした。
「主に短編(80枚以下)ばかり書いている」私小説家ということです。
取り上げてある作品は
『聖ヨハネ病院にて』
鎌倉文庫『人間』昭和21年6月号に60枚で発表
「私が都下小金井の聖ヨハネ病院に寝泊まりして、そこの神経科に入院していた妻を看取ったのは、終戦直後の昭和20年9月から10月にかけてであった。病室は五号室で、チェホフの狂人小説『六号室』とは一号違いで、私はそれを面白く思った。私は妻のベッドの傍らで、病院での経験をつぶさにノートにつけた。」
なるほどね、これは私小説ですね。
20年9月って敗戦後すぐの時期、混乱と食糧難の中で病人を抱えて大変だったろう。
そういう飢えの季節が背景、全然自信が持てなかった作品だが、
大御所、井伏鱒二や伊東整が疎開先からまだ帰っていない隙に
ほめる人がいてまとめて本にしてドル箱となった由
他作品
『薔薇盗人』『春の坂』『白い屋形船』『ブロンズの首』
など。
*****
上記昔の新聞切り抜きから書いたが、講談社文芸文庫の短編集 『聖ヨハネ病院にて 大懺悔』
の年表や解説を読むと、この記事を書いたころは脳出血で倒れて半身不随になっていたとのこと。
口述筆記などや左手で執筆をつづけていらしたとのこと。不屈の闘志。
昭和時代の作家探訪(1) の続き
『青春の蹉跌』石川達三 2021年04月10日
No3 石川達三(昭和の作家) 2021年04月07日
『如何なる星の下に』高見順 2018年12月15日
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