やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2021年05月31日
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カテゴリ: 読書メモ
「高台の家」「獄衣のない女囚」

再読、この前の時は「獄衣のない女囚」が面白しろかった記憶があり、今回は「高台の家」の方が興深かった。

解説者森村誠一氏の文章で「ストーリーに入る前の薀蓄が長いので、たどり着くときには脱力してしまうかも」と言ってらっしゃるようにプロローグが饒舌だ。主人公がその「高台の家」になぜ行くようになったかと「東洋史」の薀蓄、その家があるのは東京のどんな屋敷町か、そのお屋敷の形、周りの雰囲気等々、微に入り細に入りだ。しかし、清張好きにはその長い清張節が何ともたまらないということをあらためて思わされた。

それともうひとつは懐かしの昭和の風景に、昭和期を過ごしたものにとっては、どっぷりと浸かれるのもうれしい。

「高台の家」 雑誌掲載は1972年、 「獄衣のない女囚」 雑誌掲載は1963年、ここがポイント。

「獄衣のない女囚」は女性専用のアパートメントが舞台。
古いアパートの部屋代が8千円、そこへいくとこの小説の女子公営集合住宅は6千円だから、3~40代のベテラン独身女性会社員の給料が3~4万円、電化商品や家具を揃えて優雅に暮らせるのだが、「女の楽園」ではなく「女の牢獄」かも、というストーリ展開。

などと数字を読むだけでも懐かしいのは、わたくしだけかな 笑



【中古】 高台の家 PHP文芸文庫/松本清張【著】 【中古】afb

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​現実は事実の中に噓がいっぱいはめ込まれているが、小説は虚構の中に、人間や人生の真実が鏤められている。

上はこの文庫の解説者森村誠一氏の文章、このPHP文芸文庫は1979年の文春文庫を底本に2011年に出されたが、その時に森村氏が書き下ろした解説。清張ファンを自認するだけあって素晴らしい読み取りだなあと、ご本人も大作家なのに失礼を顧みず言ってしまうよ。
松本清張は戦後の昭和と共生したような作家であった。

という森村氏の言葉、大いにうなづいた。





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最終更新日  2021年06月01日 13時31分37秒
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