大阪CA声楽コンセルヴァトワール
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5、26、月随分しばらく日記が書けなかった。雪崩れのように過ぎる毎日に、ふと気が付けば5月もすでに終わろうとしている。5月の半ばに初めての中間試験があった。試験前一週間はレッスンも入れず、休日は一日13時間机の前に座り、食事も箸を片手にパソコンのキーを操作した。どの教科もものすごく範囲が広く、それが一教科ではないのでもう泣きそうである。片仮名と聞いたこともない漢字で連なる文章の連続で、憶えると言っても5回や10回読んだぐらいでは理解できない。とにかくこの鈍い頭には人の数倍の時間が必要である。やるだけのことをやって「どこからでも掛かってこい!」という気持ちになれた。だめなことはやはりだめなのだ。「人事を尽くして天命を待つ」というのが今の僕の座右の銘ということになる。試験当日を迎え、僕には試験内容と別にもう一つの壁がある。それは点字である。試験解答はやはりパソコン持ち込みは禁止で、点字で行わねばならず、僕の未熟な点字能力では時間内に最後まで問題に目が通せるかさえ怪しい。六割手が付けられるぐらいが精々だろうと予想していた。だからその分はきっちり正解を取らねば欠点になる可能性もある。試験3日前に担任の先生のアドバイスで「パーキンスを使ってみては」と言われた。パーキンスとは点字のタイプライターのようなもので、六つのキーを叩いて六点の文字を一度に表記できる。見せてもらうと、これは僕が京都の盲学校に居る時に友人たちが使っていたものから全く発展していない旧式で、一回キーを打つごとにものすごい音がする。この時代にパソコンが扱えないとは全く不便なことである。パソコンだと特別なソフトを使って普通に文字を打って、それを点字に変換することだってできるのだ。でも国家試験がそういう規則だから仕方ない。とにかく三日でその機械を扱う練習をして、試験に臨んだ。まあそれも泥縄でぎこちない。それでもパーキンスのおかげで何とか時間内に全部答案に目を通すことができ、見直す時間はないにしろ一安心である。そのようにして試験期間が終わり、外に出ると鳥が囀り、春の風と日差しが降り注いでいることに久しぶりに気が付いた。ようやく生きた心地がしたのだ。 つづく
2014.05.26
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