ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 12, 2005
XML
テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 とにかく、出された皿を片っ端から空にする勢いで食べ続けた。それだけお腹が空いていたのだ。それに、ウェイターさんが耳元で囁いたことも、その勢いに拍車をかけている。
 ウェイターさんはこう言ったのだ「マゼンダはそのワインの代金をいまだに払い続けてる。家が丸々一軒買える金額なんだよ、今日の夕食代が上乗せされたぐらいじゃ驚きもしないさ」支払いを気にしなくていい外食ほど食の進むものはないと信じるウィルはチャンスとばかりに料理を片付けていった。
 マゼンダが、その支払いを気にしている様子だったなら、ウィルは当然遠慮したはずだったが、本気かどうかはともかく、今また注文しロスメルタと口論しているとあっては、遠慮する必要を感じなかった。
 「おまえさんは、なんでマゼンダをしっとるんだ? 俺やロスメルタにとっちゃ仇敵との再会ってとこだが」テーブルに覆い被さるように身を屈めて、ハグリッドはウィルに聞いてきた。
 「ダイアゴン横町の店で知り合ったんです」
 ウィルがそれだけ言うと、ハグリッドは大きく息を吐いた。そして、大きくうなずいた。
 「薬の実験台にされたんだな。マゼンダは学生の時分からそうだったよ。あいつのやることっちゅうのは必ずしも目には見えねぇ。ウィーズリーの双子が四つ子だったとしてもマゼンダの質の悪さにはかなわんだろう」
 よほど手を焼いていたらしく、ハグリッドはしばらく目を閉じて嘆息した。
 「それで杖の柚薬の材料選びに意見を聞こうかと思って手紙を書いたら、わざわざ駆けつけてくれたんです」この後は当然、なんでマゼンダが会いに来て、学校の外で話しをしていたのか、と聞かれるだろうと思ったウィルは先手を打って自分から話し出した。

 「杖? おおっ、そうか。おまえさんかい、フレッドが言うとったんは。杖材になりそうな枝を集めてくれっちゅうんで森に入るたんびに集めといたぞ。俺の家の裏に積んである。必要になったら持ってってくれや」
 その言葉に、ウィルは少し焦った。そのことをすっかり忘れていたのだ。授業のこと、学校のこと、ドライロットのこと、そして杖のこと、いろいろありすぎて、杖のほうはほとんど進んでいなかったから。
 なんとか気を落ち着け、数日中に取りに行くことをウィルは約束した。積み上げられるほど集めてくれたらしいが『七つ鍵のトランク』を持っていって、直接書斎に放り込めばすぐに終わるだろう。
 そんなことを考えているうちに、目の前に並んでいた空の皿がなくなり、カラフルなトライフルが特大の皿に入って運ばれてきた。
 「これを食べたら帰ったほうがいいわよ。時間ももうだいぶ遅くなってるから」
 運んできたウェイトレスが親しげに言うので、びっくりして振り返ったウィルは唖然としてしまった。
 ウェイトレスはマゼンダだった。いつのまに席を立ったのか、しっかりとエプロンをつけ、軽く化粧までしている。
 「せっかくだから今夜はここでバイトしていくことにしたの。なぜか飲物には触るなって言われたけどね」お得意の『悪戯っ子な微笑み』を残して、マゼンダは燕のような軽快さで身を翻すと、入ってきた客を出迎えにいった。
 「パワフルな人だなぁ」






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  December 12, 2005 09:59:52 AM
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

クラッシュのHP クラッシュ2569さん
まいけるのお部屋 名前のないうさぎさん
凛。きまぐれホーム… RURIKAさん
し ん じ て る 。 沙羅 憐霞さん

Comments

通な俺@ 愛 液ごちそうたまでしたw <small> <a href="http://hiru.kamerock…
ヒゲメタボ@ クマたんと呼ばれてます(^^; 最近はこれが流行ってるって聞いたので …
ディック橋本@ ギリ3人です(笑) <small> <a href="http://iikoto.chorie…
大岩井@ 目覚めたら巨チンってぉぃ あの女ー・・昨日チソコが痛くなるくらい…
ビャルヒ@ あのコスwwwww コ ス プ レセ ク ロ スって思った以上に…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: