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無間道(InfernalAffairs)
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おばあちゃんの家
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鳥、小鳥の話
of Iguaz
小鳥の朝
Feb 10, 2020
テーマ： 韓国！(17900)
カテゴリ： 映画
#Oscars2020 で『パラサイト Parasite 기생충（寄生虫）』が四冠！
92年のアカデミー賞の歴史で初めて、作品賞と国際長編映画賞（外国語映画賞改め）を
同時受賞。
そして脚本賞と監督賞も受賞。
胸がいっぱい。
確かに #OscarsSoWhite #StarringJohnCho などを経て
白人男性偏重のアカデミー会員に女性を増やし非白人を増やしてきたのは
以前2016年に書いた 通り。多様性に少しずつ向かっていた。
スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング Do The Right Thing 』 を
想起もしていた。だいすきな映画。
溜まりに溜まったマグマがとつぜん噴き上がるようにぶつかり合い、
クライマックスへ向かうスタイルも少々似ている。
ポン・ジュノ監督は、
アカデミー賞の授賞式前に開催された
アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞（ #AAAFCA
African-American Film Critics Association Awards #SpiritAwards ）授賞式で
最優秀脚本賞を受賞した際
学生時代にスパイク・リー監督の映画を観ていたとスピーチ。
アメリカのインディ映画に自分たちで「字幕」をつけて映画祭を開いていた、と。
それらの映画を通して「悪口」をたくさん学んだ、と。
そんな学生時代からポン監督と縁があったようなリー監督が
アカデミー賞監督賞のプレゼンターという
舞台上での邂逅を息を呑んで見守っていた。
ポン監督の受賞スピーチは
「 The most personal is the most creative
最も個人的なことが最もクリエイティブだ」を胸に刻んだ、と。
「"そう書いていたのは...
私たちの偉大なマーティン・スコセッシ（とここだけ英語で）"」
と、学生時代の初恋を告白するかのように
しかしスコセッシ監督が聴いてすぐわかるように
監督の名前を告げるところだけは顔を上げてスコセッシ監督を見て英語で話していた。
スコセッシ監督も喜んで立ち上がり会場はスタンディング・オベーション。
また胸がいっぱいになった。
『パラサイト』で最も個人的なこと、は最もローカルなこと、と言い換えてもよい。
半地下という世界観、最も韓国的でローカルなことの
クリエイティビティが評価され国際映画祭で、世界で受賞してきた1年だった。
興味深い。 PSYの「江南スタイル」に通じる 、
ローカル（韓国的な）が普遍性を獲得した瞬間だった。またしても。
スコセッシ監督は映画への愛がとても深く
（『アイリッシュマン The Irishman 』とても良かったので受賞がなくて残念）
『赤い靴』 など古典映画をデジタルリマスターし保存する事業にも私費を投じている方。
キム・ギヨン監督映画もスコセッシ監督のおかげでリマスターされている。
『パラサイト』はポン・ジュノ監督が敬愛するキム・ギヨン監督の『下女』の要素も孕んでおり
キム・ギヨン監督、スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督三者の幸せな化学反応が
浮かび上がるようだった。
さらに、スピーチの中ではポン監督が
自分がまだ有名ではない頃から自分の作品をお気に入りリストに入れてくれた、と
クェンティン 형님 監督にも謝意を。
タランティーノ監督も笑顔になり胸をこぶしでドンドンと叩いていた。
"Texas Chainsaw(of The Texas Chain Saw Massacre ）"でオスカー像を５つに切ってノミネートされたほかの監督たちと分けたい、
と話すユーモアも印象的。ここでもアメリカ映画への目配せ、目配りが。
ポン・ジュノ監督が昨年インタビューで
アカデミー賞は国際映画祭ではなく「ローカルな」映画祭( "Oscar is quite local.
오스카는 국제 영화제가 아니다. 아주 '로컬'이다." )
と語っていたことを思い出すと...
非アメリカ映画が受賞した場で、
このようにアメリカは映画の先生だった、と振り返ることにより
ハリウッドとの、アメリカ映画や監督との縁や結びつき、連続性を示しながら、
映画や映画界に国境はないと改めて伝えようとしている。
自分の映画（ローカルな韓国映画）も映画の森の中で育ったのです、
同じ生態系です、連続性があるのです、と。
先日も、ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞受賞スピーチで
「ほんの１インチにも満たない字幕という小さな障壁を越えれば
もっと多様な映画に出会えるはず」とポン監督は話したばかり。
（ Supermagic のMVで手招きするシーンを連想した）
アメリカをはじめ、現実の世界に分断や壁があればあるほど
芸術の世界の壁はなくし、多様性を受け入れ疎通したいという思いが滲んでいるのかもしれない。
その傾向はBTS 防弾少年団が音楽で、韓国語で歌われる音楽で
世界と疎通したこととも通じる。
そして、韓国の大統領がスピーチでよくつかう言葉、
疎通と包摂がポン監督のスピーチにも通底していた。
全米映画俳優組合(Screen Actors Guild Awards, SAG)のキャスト賞受賞での
俳優ソン・ガンホの代表スピーチ「タイトルは"寄生虫"だが、私たちがどう生きるべきか、
共生についての映画だと思う
제목이 '기생충'이지만 우리가 어떻게 살아가면 좋을까, 공생에 관한 영화라 생각한다 」とも響きあう。
ポン監督も インタビューでこのように話していた 。新自由主義経済の問題まで突いている。
「違った環境や状況に身を置く人々が、同じ空間に一緒に住むことは容易ではありません。
この悲しい世界では、共存や共生に基づく人間関係が成り立たず、
あるグループが他のグループと寄生的な関係に追いやられることが増えています。
そのような世界の真っ只中で、生存をかけた争いから抜け出せずに奮闘する家族を
誰が非難したり、“寄生虫”と呼ぶことができるでしょう？
彼らは初めから“寄生虫”であったわけではありません。
彼らは私たちの隣人で、友人で、そして同僚だったのにも関わらず、
絶望の淵に押しやられてしまっただけです」
疎通と包摂、そして寄生ではなく共生を一貫して喚起していた。
最後に受賞した作品賞のスピーチで
CJ 씨제이 グループのイ・ミギョン Miky Lee 副会長が韓国の観客への謝意を表していたことに
驚く日本の反応にこちらも驚いた。
韓国の観客たちはいつも率直に批判し、
それが監督や製作者をここまで押し上げてくれた、というのがスピーチの大意。
確かに、韓国映画は日本より観客と距離が近いかもしれない。
韓国の観客やファンの批評性は
韓国映画のみならず、韓国ドラマやK-Popでも以前から発揮されてきた。
中国春秋時代に伯楽がいたが 世有伯楽，然後有千里馬
よい目利きがいてこそよい作品が生まれ育つこともあると確信する。
韓国映画は観客を伯楽（名伯楽）とみなして信頼してきたのだろう。
打てば響くようなバディでもあり、
韓国映画百年の歴史の中でやがてインタラクティブな二人三脚になった。
それは、昨年カンヌ国際映画祭で『パラサイト』が受賞した時の文大統領の祝辞にも表れていた。
文大統領も観客の力に言及していたのだ。
このような意識、共通認識、映画への愛と互いへの信頼があるからこそ
韓国映画が、芸術がここまで発展してきたのかもしれない。
（韓国の映画料金には 3％の映画発展基金が含まれ 韓国映画振興等に使われることも、
韓国映画の発展に寄与しているだろう）
映画の中のパク社長は明らかに財閥出身ではなく
成功したパク社長家と半地下の家族との高低差、相対的な格差
その構図はどちらかと言えば黒澤明『天国と地獄』やキム・ギヨン『下女 하녀』に近い。
リュ・スンワン監督の『ベテラン 베테랑』に出てくるような悪い財閥は不在である。
そして映画の構造は前述の通り『ドゥ・ザ・ライト・シング』も髣髴とさせるが...
作品賞受賞の際前面に出てスピーチをしたことで韓国内では批判もされたイ・ミギョン副会長は
映画の中のパク社長とは相違し財閥家の出身でこの作品に投資をした。
現実の韓国社会はアジア金融危機（"IMF"）以降、一部の破綻・解体・再編された財閥（大宇など）を除き
サムソングループなど持てる者はより多くを持ち、持たざる者はより多くを失うばかりで
富の一極集中は進み、映画の中の格差以上の格差がある。
新自由主義経済の普遍的構造問題として。
それはチェ・グッキ監督『国家が破産する日 국가부도의 날』に描かれたアジア金融危機以降深化した。
だが、イ氏は圧倒的な富を持つ側でありながら
故盧武鉉大統領を想起もさせる『光海 王になった男 광해，왕이 된 남자』 を製作したため
当時の政権のブラックリストに
ポン監督やソン・ガンホらと共に載り不遇をかこっていた側でもあるという。
韓国映画のゴッドマザー 대모 として映画製作を支えてきたにも係わらず
ある面ではイ氏も居場所を失っていた人だった。決して「半地下」生活ではないにしても。
このAmbivalence 二面性を考えると...
イ氏が前面に出たことを単純に批判することは出来ない気もする。
しかし、イ氏がこの場に立ったことで
映画の中の相対的な格差以上の絶対的な格差の存在、構図にも改めて思い至る。
そして、もしあの ワインスタイン がまたポン監督映画に出資していたら...
受賞ステージに氏が立っていたかもしれないと考えると、
パルンソンE&Aのクァク・シネ代表とイ氏、非白人の女性ふたりがスピーチをした光景は
はるかに良いかもしれないと思えた。
余談だが、韓国映画がアカデミー賞を取ったにも係わらず、
「アジア映画として」と主語を拡張、すり替えて日本も便乗、寄生しようとする、
韓国映画への称賛までも簒奪し消費しようとする一部日本人の声と
それに対する批判があった。
日本では深く考えもせず「アジア映画」と雑に括りがちだが...
ヨーロッパほどの精神的な結びつきはない一方で
「内鮮一体」や「大東亜共栄圏」と嘯きながら一方的に搾取蹂躙した
日本の帝国主義、その簒奪の歴史 が甦りかねないリスクにも注意を払うべきでは。
「アジア」が孕む暴力性、その歴史的文脈を度外視して共有しようとし
賞の「主権」を簒奪しているようにも見えるから。受賞の主権者は韓国、韓国映画界なのに。
なぜなら、日本による侵略、帝国主義の残滓はドイツと比べると全く清算されていないばかりか、
侵略戦争の犯罪者の多くが政権中枢にいたり、
歴史修正主義が蔓延していることへの自覚も反省もなさ過ぎる極右日本での便乗は
賊反荷杖な「パラサイト（寄生）」に過ぎないから。
もちろん、在米アジア人が「アジア映画として」喜びを分かち合うのは全く別の文脈。
何の問題もない。
ちなみに、2011年の釜山国際映画祭での
ポン・ジュノ監督、ホン・サンス監督、
タイのアピチャートポン（アピチャッポン）・ウィーラセータクン監督の鼎談では
３人が３人とも口を揃えて言っていたのが
アジア映画と括ることに意味はない 、だった。
ホアキン・フェニックスのスピーチも
アカデミー賞授賞式を、エンターテインメント産業を
世界にコミットするエシカル（ethical）なプラットフォームにする力に満ちていた。
Run to the rescue with love - and peace will follow.
lyric written by River Phoenix.
Noblesse oblige と不公平の解消。
to be continued...!?
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ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、
トレース、リライト 、
切り刻んで 翻案等も著作権侵害 です。
92年のアカデミー賞の歴史で初めて、作品賞と国際長編映画賞（外国語映画賞改め）を
同時受賞。
そして脚本賞と監督賞も受賞。
胸がいっぱい。
確かに #OscarsSoWhite #StarringJohnCho などを経て
白人男性偏重のアカデミー会員に女性を増やし非白人を増やしてきたのは
以前2016年に書いた 通り。多様性に少しずつ向かっていた。
スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング Do The Right Thing 』 を
想起もしていた。だいすきな映画。
溜まりに溜まったマグマがとつぜん噴き上がるようにぶつかり合い、
クライマックスへ向かうスタイルも少々似ている。
ポン・ジュノ監督は、
アカデミー賞の授賞式前に開催された
アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞（ #AAAFCA
African-American Film Critics Association Awards #SpiritAwards ）授賞式で
最優秀脚本賞を受賞した際
学生時代にスパイク・リー監督の映画を観ていたとスピーチ。
アメリカのインディ映画に自分たちで「字幕」をつけて映画祭を開いていた、と。
それらの映画を通して「悪口」をたくさん学んだ、と。
そんな学生時代からポン監督と縁があったようなリー監督が
アカデミー賞監督賞のプレゼンターという
舞台上での邂逅を息を呑んで見守っていた。
ポン監督の受賞スピーチは
「 The most personal is the most creative
最も個人的なことが最もクリエイティブだ」を胸に刻んだ、と。
「"そう書いていたのは...
私たちの偉大なマーティン・スコセッシ（とここだけ英語で）"」
と、学生時代の初恋を告白するかのように
しかしスコセッシ監督が聴いてすぐわかるように
監督の名前を告げるところだけは顔を上げてスコセッシ監督を見て英語で話していた。
スコセッシ監督も喜んで立ち上がり会場はスタンディング・オベーション。
また胸がいっぱいになった。
『パラサイト』で最も個人的なこと、は最もローカルなこと、と言い換えてもよい。
半地下という世界観、最も韓国的でローカルなことの
クリエイティビティが評価され国際映画祭で、世界で受賞してきた1年だった。
興味深い。 PSYの「江南スタイル」に通じる 、
ローカル（韓国的な）が普遍性を獲得した瞬間だった。またしても。
スコセッシ監督は映画への愛がとても深く
（『アイリッシュマン The Irishman 』とても良かったので受賞がなくて残念）
『赤い靴』 など古典映画をデジタルリマスターし保存する事業にも私費を投じている方。
キム・ギヨン監督映画もスコセッシ監督のおかげでリマスターされている。
『パラサイト』はポン・ジュノ監督が敬愛するキム・ギヨン監督の『下女』の要素も孕んでおり
キム・ギヨン監督、スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督三者の幸せな化学反応が
浮かび上がるようだった。
さらに、スピーチの中ではポン監督が
自分がまだ有名ではない頃から自分の作品をお気に入りリストに入れてくれた、と
クェンティン 형님 監督にも謝意を。
タランティーノ監督も笑顔になり胸をこぶしでドンドンと叩いていた。
"Texas Chainsaw(of The Texas Chain Saw Massacre ）"でオスカー像を５つに切ってノミネートされたほかの監督たちと分けたい、
と話すユーモアも印象的。ここでもアメリカ映画への目配せ、目配りが。
ポン・ジュノ監督が昨年インタビューで
アカデミー賞は国際映画祭ではなく「ローカルな」映画祭( "Oscar is quite local.
오스카는 국제 영화제가 아니다. 아주 '로컬'이다." )
と語っていたことを思い出すと...
非アメリカ映画が受賞した場で、
このようにアメリカは映画の先生だった、と振り返ることにより
ハリウッドとの、アメリカ映画や監督との縁や結びつき、連続性を示しながら、
映画や映画界に国境はないと改めて伝えようとしている。
自分の映画（ローカルな韓国映画）も映画の森の中で育ったのです、
同じ生態系です、連続性があるのです、と。
先日も、ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞受賞スピーチで
「ほんの１インチにも満たない字幕という小さな障壁を越えれば
もっと多様な映画に出会えるはず」とポン監督は話したばかり。
（ Supermagic のMVで手招きするシーンを連想した）
アメリカをはじめ、現実の世界に分断や壁があればあるほど
芸術の世界の壁はなくし、多様性を受け入れ疎通したいという思いが滲んでいるのかもしれない。
その傾向はBTS 防弾少年団が音楽で、韓国語で歌われる音楽で
世界と疎通したこととも通じる。
そして、韓国の大統領がスピーチでよくつかう言葉、
疎通と包摂がポン監督のスピーチにも通底していた。
全米映画俳優組合(Screen Actors Guild Awards, SAG)のキャスト賞受賞での
俳優ソン・ガンホの代表スピーチ「タイトルは"寄生虫"だが、私たちがどう生きるべきか、
共生についての映画だと思う
제목이 '기생충'이지만 우리가 어떻게 살아가면 좋을까, 공생에 관한 영화라 생각한다 」とも響きあう。
ポン監督も インタビューでこのように話していた 。新自由主義経済の問題まで突いている。
「違った環境や状況に身を置く人々が、同じ空間に一緒に住むことは容易ではありません。
この悲しい世界では、共存や共生に基づく人間関係が成り立たず、
あるグループが他のグループと寄生的な関係に追いやられることが増えています。
そのような世界の真っ只中で、生存をかけた争いから抜け出せずに奮闘する家族を
誰が非難したり、“寄生虫”と呼ぶことができるでしょう？
彼らは初めから“寄生虫”であったわけではありません。
彼らは私たちの隣人で、友人で、そして同僚だったのにも関わらず、
絶望の淵に押しやられてしまっただけです」
疎通と包摂、そして寄生ではなく共生を一貫して喚起していた。
最後に受賞した作品賞のスピーチで
CJ 씨제이 グループのイ・ミギョン Miky Lee 副会長が韓国の観客への謝意を表していたことに
驚く日本の反応にこちらも驚いた。
韓国の観客たちはいつも率直に批判し、
それが監督や製作者をここまで押し上げてくれた、というのがスピーチの大意。
確かに、韓国映画は日本より観客と距離が近いかもしれない。
韓国の観客やファンの批評性は
韓国映画のみならず、韓国ドラマやK-Popでも以前から発揮されてきた。
中国春秋時代に伯楽がいたが 世有伯楽，然後有千里馬
よい目利きがいてこそよい作品が生まれ育つこともあると確信する。
韓国映画は観客を伯楽（名伯楽）とみなして信頼してきたのだろう。
打てば響くようなバディでもあり、
韓国映画百年の歴史の中でやがてインタラクティブな二人三脚になった。
それは、昨年カンヌ国際映画祭で『パラサイト』が受賞した時の文大統領の祝辞にも表れていた。
文大統領も観客の力に言及していたのだ。
このような意識、共通認識、映画への愛と互いへの信頼があるからこそ
韓国映画が、芸術がここまで発展してきたのかもしれない。
（韓国の映画料金には 3％の映画発展基金が含まれ 韓国映画振興等に使われることも、
韓国映画の発展に寄与しているだろう）
映画の中のパク社長は明らかに財閥出身ではなく
成功したパク社長家と半地下の家族との高低差、相対的な格差
その構図はどちらかと言えば黒澤明『天国と地獄』やキム・ギヨン『下女 하녀』に近い。
リュ・スンワン監督の『ベテラン 베테랑』に出てくるような悪い財閥は不在である。
そして映画の構造は前述の通り『ドゥ・ザ・ライト・シング』も髣髴とさせるが...
作品賞受賞の際前面に出てスピーチをしたことで韓国内では批判もされたイ・ミギョン副会長は
映画の中のパク社長とは相違し財閥家の出身でこの作品に投資をした。
現実の韓国社会はアジア金融危機（"IMF"）以降、一部の破綻・解体・再編された財閥（大宇など）を除き
サムソングループなど持てる者はより多くを持ち、持たざる者はより多くを失うばかりで
富の一極集中は進み、映画の中の格差以上の格差がある。
新自由主義経済の普遍的構造問題として。
それはチェ・グッキ監督『国家が破産する日 국가부도의 날』に描かれたアジア金融危機以降深化した。
だが、イ氏は圧倒的な富を持つ側でありながら
故盧武鉉大統領を想起もさせる『光海 王になった男 광해，왕이 된 남자』 を製作したため
当時の政権のブラックリストに
ポン監督やソン・ガンホらと共に載り不遇をかこっていた側でもあるという。
韓国映画のゴッドマザー 대모 として映画製作を支えてきたにも係わらず
ある面ではイ氏も居場所を失っていた人だった。決して「半地下」生活ではないにしても。
このAmbivalence 二面性を考えると...
イ氏が前面に出たことを単純に批判することは出来ない気もする。
しかし、イ氏がこの場に立ったことで
映画の中の相対的な格差以上の絶対的な格差の存在、構図にも改めて思い至る。
そして、もしあの ワインスタイン がまたポン監督映画に出資していたら...
受賞ステージに氏が立っていたかもしれないと考えると、
パルンソンE&Aのクァク・シネ代表とイ氏、非白人の女性ふたりがスピーチをした光景は
はるかに良いかもしれないと思えた。
余談だが、韓国映画がアカデミー賞を取ったにも係わらず、
「アジア映画として」と主語を拡張、すり替えて日本も便乗、寄生しようとする、
韓国映画への称賛までも簒奪し消費しようとする一部日本人の声と
それに対する批判があった。
日本では深く考えもせず「アジア映画」と雑に括りがちだが...
ヨーロッパほどの精神的な結びつきはない一方で
「内鮮一体」や「大東亜共栄圏」と嘯きながら一方的に搾取蹂躙した
日本の帝国主義、その簒奪の歴史 が甦りかねないリスクにも注意を払うべきでは。
「アジア」が孕む暴力性、その歴史的文脈を度外視して共有しようとし
賞の「主権」を簒奪しているようにも見えるから。受賞の主権者は韓国、韓国映画界なのに。
なぜなら、日本による侵略、帝国主義の残滓はドイツと比べると全く清算されていないばかりか、
侵略戦争の犯罪者の多くが政権中枢にいたり、
歴史修正主義が蔓延していることへの自覚も反省もなさ過ぎる極右日本での便乗は
賊反荷杖な「パラサイト（寄生）」に過ぎないから。
もちろん、在米アジア人が「アジア映画として」喜びを分かち合うのは全く別の文脈。
何の問題もない。
ちなみに、2011年の釜山国際映画祭での
ポン・ジュノ監督、ホン・サンス監督、
タイのアピチャートポン（アピチャッポン）・ウィーラセータクン監督の鼎談では
３人が３人とも口を揃えて言っていたのが
アジア映画と括ることに意味はない 、だった。
ホアキン・フェニックスのスピーチも
アカデミー賞授賞式を、エンターテインメント産業を
世界にコミットするエシカル（ethical）なプラットフォームにする力に満ちていた。
Run to the rescue with love - and peace will follow.
lyric written by River Phoenix.
Noblesse oblige と不公平の解消。
to be continued...!?
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