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書籍の感想です。今回は「日本SFの臨界点 山の上の交響楽」です。日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽 (ハヤカワ文庫JA) [ 中井 紀夫 ]SFと言うと、宇宙船が出てきて星を股に掛けて旅をしたり、見たことがない武器や機械が出てきたり、色んな宇宙人が出てきたり、みたいなイメージだったのですが、この小説は11篇のお話が掲載されていますがそんな派手なものはほとんど出てきません。なのですが、十分にSFを感じる事ができました。例えば「暴走バス」では暴走は暴走なのですが、1日50mしか進まない「遅い暴走」なのです。バスの中とは連絡が取れず、無理やり止めることもできない。バスの中は時間がゆっくり進んでいるようで、現実世界では20年も経ち、初老の域に達した主人公に対し、バスの中のフィアンセはバスに乗った時のままの姿です。私にはこれはバスが光速に近い速度で進んでいるように思えました。もし光速で進むバスを我々が観測できるとしたら・・・バスの中とは連絡がつかないので、想像なのですがバスからは外の風景はものすごいスピードで流れていっていると推測されています。なのでバスのすぐ近くで話しかけても「雑音」にしか聞こえないということです。こういうちょっと不思議な設定のお話が他にも載っていて面白かったです。表題にもある交響楽団は一万年かかっても演奏しきれない楽譜を街ぐるみで24時間365日演奏し続けるという話だし、巨大な岩を村人で協力して支えている一族の話とか、面白かったです。
2025.03.30
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書籍の感想です。今回は「謎の香りはパン屋から」です。謎の香りはパン屋から [ 土屋うさぎ ]このミス大賞受賞作です。パン屋でバイトをする小春がちょっとした違和感から日常のちょっとした謎を解き明かすという話です。1話はバイト仲間の由貴子と一緒に行くはずだったある推しのイベントを直前になって由貴子がキャンセルしてきました。由貴子の方が楽しみにしていたはずなのですが、理由も「そんな理由?」というものです。果たして由貴子に何があったのか?2話は何でもそつなくこなすバイト仲間があることだけうまくできないのですが、その理由とは?3話はイートインコーナーに来た高校生の男女2人。コーヒーをこぼしてしまい、大切なお守りを汚してしまうのですが、何か違和感が。その違和感の正体は?4話は常連さんがひったくりに遭い、お母さんが怪我してしまいました。小学生の娘が描いた絵から果たして犯人に結びつく情報を見つけることができるのか?5話は30年前に食べたカレーパンを食べたいというお客さんの要望を叶えるために街のパン屋を食べ歩きます。どれもミステリなので、結末を書くのは憚られるので書きませんが、非常に読みやすくて楽しい小説です。 随所に出てくるパンの話も小説を盛り上げるし、店長のパン愛も暑苦しくてなかなか良いです(パンは宇宙のようなもの、いや、宇宙がパンそのものなのではないか、とかw)謎解きは軽いですね。小春は漫画家を目指しているのですが、随所に「漫画家として普段から色々なものを注意深く見ているから」という話が出てくるのは若干安直かなー終わり方はスッキリしていてとても良いです。
2025.03.25
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書籍の感想です。今回は「漂流伝説クリスタニア3」です。【中古】漂流伝説クリスタニア 3/ 水野良いよいよベルディアとの全面対決です。牙の砦の兵力は1000。ベルディア軍は数万と言われており、普通に戦えば勝ち目はゼロです。クリスタニアの民は戦術とかそういった事は考えておらず、己の力が頼みという連中です。なので、かじった程度ではあるものの、必然的にレイルズが砦の指揮を取ることになりました。部隊を整備し、役割を明確化する。砦の周りを嫌いにして、遮蔽物をなくす。防備に必要な石や弓、食料を備蓄する。奇をてらった戦術ではありませんが、力押ししてくるだけの攻め手には非常に効果を発揮します。3度の攻撃を押し返し、流石にベルディア軍の士気も下がっていきます。もしかしたら、勝てるのではないか、と思い始めた時神王バルバスが神の力を使います。本当はこの後の銀狼との決戦のために余力を残しておきたかったのだと思いますが、どうやらレイルズたちは勝ちすぎたようです。4体の上級精霊に翻弄される砦。人間に対抗できるわけもなく・・・完敗ではないものの、砦を奪われたレイルズたち。マリスは始まりの地に来るよう神託を受けています。レイルズはマリスと同行することを決めたようです。そこには神々が集まるというのですが、さてどうなることやら。神さまという人智を超えた存在が何を考え、どう動くかなど人間にわかるはずもなく、いやはや従わせようなど無理な話です。バルバスはある男の体を器にして、この世界に顕現して力を振るっているそうなので、その男をどうにかできたら、バルバスを止めることができるのかなー
2025.03.22
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書籍の感想です。今回は「漂流伝説クリスタニア2」です。【中古】 漂流伝説クリスタニア 漂流伝説 2 / 水野 良, うるし原 智志 / KADOKAWA(アスキー・メディアワ) [文庫]【宅配便出荷】神々が住まうとされる地、クリスタニアに足を踏み入れたレイルズ一行ですが、そこは戦いの世界でした。神の眷属たちが戦っており、レイルズはその中で初めて戦いを知ります。戦いに抱いていた憧れは恐怖に取って代わります。自分が死ぬかもしれないという恐怖は去ったもののレイルズは敵を倒すことに恐怖を感じます。仮に魔物であっても、殺すことに躊躇いを感じるレイルズの心情を丹念に描いています。仲間を守るために戦うという決意は良いですよね。だからレイルズは勝利を誇らないし、積極的に敵を求めません。危なくなった仲間を守るために剣を振るうのです。しかしバルバス率いるベルディア軍の野望は留まることを知りません。ついに最大の防御拠点である牙の砦に攻め込んでくることとなります。という感じで次巻。さて、どうやって押し返すのかなー
2025.03.19
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書籍の感想です。今回は「ドッグカフェ・ワンノアール 凛とシルビーの謎解き幽霊譚」です。【中古】 ドッグカフェ・ワンノアール 凛とシルビーの謎解き幽霊譚 宝島社文庫/石田祥(著者)ドッグカフェで働く女性、凛のお話です。凛は犬が大好きなこともあり、そこで働いているのですが、凛には人にはない能力があります。それは幽霊が見えてしまうというものなのですが、ある日捨て犬を見捨てることができずに買うことにしたら、何とその犬も幽霊が見えるらしい。他の犬は反応していないのですが、その犬、シルビーだけは、凛にしか見えない幽霊にも激しく反応します。そんなある日、凛はある事件に巻き込まれます。ルームメイトが急にいなくなり、知らない人が彼女の荷物を代理で取りに来たと言うのです。しかし凛はルームメイトが既に亡くなっていることを知っていました。凛には見えていたのです。そんな感じで事件を解決したりするわけですが、実はこのドッグカフェ自体に色々過去があるようです。読み進めてみると、確かに不自然な行動をする人がいたわけですが、このミスリードは不自然な感じです。ラストにそれが明かされ、過去の事件も明るみになるのですが・・・まあまあかな。
2025.03.17
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書籍の感想です。今回は「同居鮨 間借り鮨まさよ2」です。同居鮨 間借り鮨まさよ2 [ 原 宏一 ]間借り専門の鮨屋を営む雅代。一箇所には定住せず、固定の店を持たず、各地を回りながら鮨屋を営んでいます。営業形態は変わっていますが、味は抜群で江戸前鮨の技が楽しめるとあって、連絡先も告げずに移動しても、常連たちが場所を見つけて追いかけてくれるくらいです。そんな雅代の鮨が人々を幸せにしていきます。1話は雅代は子ども食堂に協力して100円で本格江戸前鮨を提供しています。そこに母親がベトナムに帰郷したきり、予定日を過ぎても帰ってこず、途方に暮れている少女が来ます。雅代は自分の昔の姿を見ているように感じ、手助けを始めます。雅代の鮨に感動した少女は・・・2話はバンドのツアーに帯同し、鮨のケータリングをする雅代。バンドリーダであるKAZは誰にも言えない悩みを抱えいるようです。またメンバ同士も殺伐としています。雅代の鮨はみんなの心をほぐし、さらに雅代の仕事に対する向き合い方に誰もが自分を見つめ直すのです。そして自分の仮面に気付いたKAZは・・・第3話はまさに同居鮨です。鮨屋の2階を間借りして営業をします。本来の1階の鮨屋が閑古鳥が泣くのをよそに雅代の鮨屋は特に営業もしていないのに口コミでどんどんお客がくるようになります。まずはともあれ本物の鮨こそが最高のパフォーマンスであることに店主はようやく気付くのでした。2巻も面白かったです。
2025.03.13
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書籍の感想です。今回は「オーバーロード16 半森妖精の神人 下」です。オーバーロード16 半森妖精の神人 [下] [ 丸山 くがね ]モモンガ様シリーズです。最近、「モモンガ」って言葉出ないですね。モモンガ様自身もアインズとして生きることにしたのかな。さて、今回ですが、前巻でダークエルフの村に潜入を果たしたアウラ。そしてマーレもアインズも村に到着。アインズの願いはアウラとマーレに同じ年の友だちを作り、子どもらしい遊びをさせること。なのですが、恐らくアウラとマーレは見た目は子どもでも、精神はだいぶ成熟しています。また、森の魔物をかんたんに屠るくらい強い。なので、子どもたちとおままごとをやって楽しいわけもなく、アインズの命令なので仕方なく付き合っている感じです。前半はダークエルフとの勘違い、深読みしすぎの応酬で、だいぶ退屈な展開です。このまま最後までいったら辛いと思っていましたが、後半はエルフの王との戦い、さらには法国の随一の戦士「絶死」との戦い。エルフ王は第十位階の魔法も使えるので、普通の人なら、なす術なく負ける相手ですが、アインズ様ならできる限り手加減して相手に手の内を見せないようにしながら追い詰めることも可能です。ただいろいろ勘違いしていたことであと一歩のところで逃げられてしまいました。そしてマーレに追撃を命じますが、エルフの王を狙っていた絶死に既に殺されていました。マーレに戦う意志はありませんが、絶死か、すると恐怖の対象にしか見えないマーレに戦いを挑みます。マーレがまともに戦うシーンは初めてですかね?明らかに前衛であるシャルティアやコキュートスに比べるとどうなんだろうと思っていましたが、ほぼ世界最強の絶死に圧勝です。やはり100レベは強い。ちなみに巻末のデータによると絶死は88レベです。装備もかなりレアなので、そりゃ強いよね。次巻はいよいよ法国との戦いかな。
2025.03.08
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書籍の感想です。今回は「ライト・スタッフ」です。ライト・スタッフ [ 山口恵以子 ]映画勃興期に照明技師となった男の物語です。時代としては1950年代でしょうか。普通の会社勤めは合わないと思った顕は映画の助監督の採用面接に挑みます。それは不合格だったものの、照明係に潜り込むことができました。最初は助監督になれなかったことに落ち込んでいましたが、照明の奥深さに触れるうちに徐々に照明にのめり込んでいきます。この小説の良いところは当時の映画会社の雰囲気、熱気を余すところなく伝えてくれているところです。まさに職人の技です。そして照明技師の仕事、技師の下につくサポート係の役割も分かりやすく書いてあり、とても楽しいです。技師の話だけでなく、役者さんや監督の話もとても興味深いです。ある監督が自分が使いたい女優を推すために彼女が何を演じてもNGを出すという話が出てきます。これをその女優が痛快な方法をやり返すのですが、これはどなたか有名な女優さんの実話なのかなーまた、同時期に入社した助監督への羨望、同じくカメラマンの助手との友情なども丁寧に描かれていて、読んでてホントに楽しいです。後年、映画業界はテレビに押されていきます。そんな中で顕がとった行動は・・・終わり方も良かったです。多くの方にオススメしたい作品です!
2025.03.05
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書籍の感想です。今回は「漂流伝説クリスタニア1」です。漂流伝説 クリスタニア(1)【電子書籍】[ 水野 良 ]クリスタニア。やったことはないのですが、昔テーブルトークRPGが流行っていた頃、この名前のものが出ていたはずです。私はソードワールドの方はルールブックやリプレイなどもいろいろ読んでました。懐かしいです。というわけで、クリスタニアの小説です。安田さんの後書きにもありますが、ソードワールドとかとはまた別の世界観ですね。隔絶された神の世界と思っていたクリスタニアに登ったレイルズは冒険に憧れる少年に過ぎませんでした。そこで本当の強敵と出会い、恐怖します。一時は元いた国に逃げ帰ろうと思っていましたが、勇気を振り絞って残る選択をします。神の眷属である恐ろしい力を持った男です。勝ち目はほとんどなく、逃げる事も仕方のないことかもしれません。しかしレイルズは残ることを決めた。それは今後何もかもから逃げてしまうような人生になることを恥じてのことでした。次巻が楽しみです。
2025.03.02
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