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書籍の感想です。今回は「華国神記3 終わりし神の残影に」です。華国神記3 終わりし神の残影に (中公文庫 く23-13) [ 九条菜月 ]最終巻です。玄楽は猩々緋と通じていて、皇帝を倒すことを目論んでいました。そして太子が姿を見せないのは本当に体調不良になっているのですが、これは太子が呪いを掛けられているからでした。その呪いを解くために春蘭の真名が必要だったというわけです。まあ、仲望の兄がただ単に己の欲望のためだけに神の力を手に入れるわけはないとは思っていましたが、納得ですね。しかし育ちに育った呪いを解くためには神としての春蘭も無事ではすみません。それでも呪いを解くのか、それとも自重して真名を取り戻し、元の邑の民を守る生活に戻るか。自分の命と天秤にかけた選択を迫られるのでした。そして春蘭は・・・ラストはとても希望の持てるもので良かったです。兎天はすごく印象深いキャラだったのにエピソードもすごく薄かったし、その後も不明だし、行動原理もはっきりしませんでした。もっと描いて欲しかったなあ。
2024.01.30
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書籍の感想です。今回は「華国神記 占う行方に花と宴」です。華国神記2 占う行方に花と宴 (中公文庫 く23-12) [ 九条菜月 ]C novelsの時の2巻はほぼカットされた感じですね。旧2巻で山で働く人々か行方不明になっているということで、仲望が調査に向かい、その仲望も行方不明になってしまうという話です。ただ、ストーリー的には何も進んでいない感じだったので、バッサリカットしても話としては通じますね。新2巻ではその後という感じで疫が広がりを見せます。本来は守護神がいれば疫が広まることもないし、症状も軽いはずなので、都の守護神に何かあったのだと、推測します。実際、そうだったわけですが、ただその目的が謎ですね。一族の再興が目的らしいですが、どう繋がるのでしょうかねー貴妃も皇帝への復讐を考えていて、猩々緋は民の蜂起を願っていて、そして今回の一族。さらに太子は廃嫡されそうだし、呂翰栄は謎だし、そして玄楽。これだけ思惑が分かれていると、まだまだ大変そうですが、一部は重なっているのかなぁ。太子は病気療養中ということでまったく姿を見せていません。だから、呂が太子です、と言われてもあり得るかな。玄楽は春蘭の真名を盗んだ憎い相手なわけですが、単なる悪者じゃないと思ってたりしました。もうね、皇帝を倒すとか。4年前の戦で何かあったはずですが、そこで皇帝に絶望したのかな。となると太子と思惑は一緒なのかしら。もし真名を盗んだことに意味と目的があったとしたら春蘭はどうするんだろう。3巻が気になります。
2024.01.28
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書籍の感想です。今回は「父から娘への7つのおとぎ話」です。父から娘への7つのおとぎ話 [ アマンダ・ブロック ]400ページを超える大作でしたが、後半になるにつれ読むペースも上がっていき、満足感のままフィニッシュできました。主人公のレベッカは法律事務所の非正規の事務員として働いています。名ばかりとはいえ、フロアマネージャにならないか打診を受けており、まあ、悪くはない人生ではあるのですが、レベッカは何か抱えきれないつまらなさを感じています。そんなある日、記者が父親について尋ねてきます。父親はレベッカが幼い時に出ていって以来、会っておらず、レベッカは母親と暮らしてきました。幼い記憶は断片的ですが、それ以来元からいなかったかのような態度を取る母親を察して、レベッカも父親のことは口にしないようにしていました。そんなレベッカの心を揺り動かすような記者エリスの訪問はレベッカを動揺させます。そして父親との思い出と出ていったという事実の乖離に疑問を持っていたのだと感じます。そしてレベッカはエリスと一緒に父親探しを始めるのです。実は父親は一時期お茶の間を賑わした俳優でしたが、今はまったく消息不明です。またお婆ちゃんからレベッカに宛てたと思われる古いおとぎ話の本を受け取ります。本に書かれた日付は父親が出ていったと思われる時期より後です。父親は出ていった後、ここに来たのか?なぜ出ていったのか、今はどこにいるのか、そして本に託された想いとは何か・・・これは関係性の修復の物語です。それは娘と父親はもちろん、娘と母親との関係性のことでもあります。母親はある意味良い母親でしたが、片親ということもあり、良い母親であろうと思い過ぎていたし、父親のことを大好きだった娘に父親のことを話さない罪悪感も多少あったのでしょうか。しかし、いろんなことが明らかになり、お互いがお互いのことを思いやった結果であることを受け入れられそうな未来を感じさせてくれました。そして父親も自分の過去を省みることができるようになったのです。作品中に出てくる7つのおとぎ話はいずれも不思議な作品でした。これもこの小説の魅力だと思います。
2024.01.27
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書籍の感想です。今回は「三河雑兵心得 砦番仁義」です。三河雑兵心得(5) 砦番仁義 (双葉文庫) [ 井原忠政 ]茂兵衛は家康の家臣で前巻で長篠の戦いを過ごしたばかり。長篠の戦いで武田を負かしてひと息ついたわけですが、その先には信康の謀反が待っています。息子が父を討ち、起つというのは枚挙に暇もありません。それにしても右も左も内も外も不穏なことばかりです。信長には無能かもと不信の目を向けられ、武田は破れたとはいえ、未だ強敵として残り、さらに内部はこちらを優遇すればあちらが妬み、不満が溜まっていく。さらには戦果を出さなければ民から見限られてしまう。そんな微妙なバランスを抜群の感覚ですり抜ける才が家康にはあったんでしょうね。そんな親方の家臣である茂兵衛が苦労しないわけがない。遠江奪還の前段として補給部隊を叩く役目を任され、長期に渡って森に潜み、その後は武田最前線の城を任されるのでした。城を任されるということは足軽大将にまで昇進したわけです。茂兵衛、やったね♪それにしても茂兵衛は農民の出身ということで下の者の気持ちがわかる優秀な指揮官になりました。権力を振りかざすわけでもなく、城番の手持ち無沙汰を解消するために定期的に狩りに行かせたり、使えるとわかれば猟師に山道の教えを乞うことも厭わない。部下の精神も安定し、山道にも強くなり、精強な部隊が茂兵衛のもとに生まれつつあります。さらなる活躍が楽しみです。
2024.01.22
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書籍の感想です。今回は「華国神記1 名を盗られし神は少女となりて」です。華国神記1 名を盗られし神は少女となりて (中公文庫 く23-11) [ 九条菜月 ]華国神記はC novelsから出ていたものを2巻まで読んでいたのですが、その5巻を3巻にまとめ直したものがあるということで、こちらを読み直すことにしました。結論として、こちらの1巻は前回の1巻「奪われた真名」とまったくと言って良いほど同じ内容でした。5巻を3巻にまとめているので、削られたエピソードがあるのかなと思ったのですが、1巻はそのままのようですね。攫猿の話はそのままだし、妓楼で働く話も変わらず、謎の男の呂翰栄の話も変わらず。この辺は後々まで絡んでくるから削れないのかな。となると、削るのはこの先かな〜
2024.01.21
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書籍の感想です。今回は「神様には負けられない」です。神様には負けられない [ 山本 幸久 ]義肢装具士のお話です。お仕事小説としてはとても細かく説明があってなかなか良かったです。義肢装具士は神様に挑戦するかのようなお仕事なのですね。人は驚くようなバランス感覚を実現しており、それは体の左右の対称性や微妙な傾きなどが施されているわけです。それを補いたくて、例えば脚の膝下から失った方に義足を提供したくても、簡単にはいきません。人の体はそれぞれだし、失った足の部分の形もそれぞれなので、ちょっとのズレ、歪みがつま先が浮く、曲がっていて歩けない、義足と当たる部分が痛いなど、とても安心できないものとなってしまうわけです。オーダーメイドで型を取り、調整に調整を重ねて、やっとフィットするものが出来上がるわけです。「神様には負けられない」という言葉にはイロイロな想いがこもっているのでしょう。主人公のさえ子は内装会社を辞めて義肢装具士を目指し、専門学校に通う。同じチームの二人は寡黙な戸樫と毎週のように髪色の変わる真純。若い二人に羨望を感じたり、励ましたり、励まされたりしながら、3人は力を合わせて課題に取り組んでいきます。義肢装具士の未来は明るいかと言われると難しいです。需要はあるし、今後も続くはずです。しかし作業がアナログな部分が多くてなかなか作業時間に見合う報酬を得られません。つまり給料安いってことですね。この部分はなかなか解消されないかもですね。何しろ機械化も難しいし、大量生産もできないわけですから。あるのはやりがいなんでしょうね。体の一部を失って失意のどん底にある人の少しでも役に立てたら、という思いです。もちろん前と全く同じというわけにはいなかいでしょうけど。ラストは少し中途半端に感じました。専門学校の終盤、国家試験受けるよりも前で終わりとなります。もちろん、さえ子、戸樫、真純の未来に希望が感じられるラストだったわけですが、もうちょっと続きが見たかったです。
2024.01.18
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書籍の感想です。今回は「あやかし草子」です。あやかし草子【電子書籍】[ 千早茜 ]千早さんの作品は「透明な夜の香り」を読んだことがあって他にも読んでみたいと思い、こちらの本を手に取りました。タイトルの通りあやかしが出てくる短編集となっています。構成は多彩で人を狂わせるほどの笛の奏者が主人公でその音色を聴きにくる鬼の話とか、反対にムジナが主人公で人の「楽しい」という思いを知るために人に化けて里に入り込む話とか、天狗の自由奔放な生き方に憧れる姫様の話とか、何も考えずとも名作を生み出せてしまうせいで厭世的になっていた彫師が本物の龍と出会い、その姿を彫るために本気になる話とか、イロイロで、それぞれ味わいがありますね。笛の話は音色を聞くだけの間は問題なかったのですが、ある時お礼と言って鬼は絶世の美女を男に与えたのです。見た目は人間ですが、実はまだ人間ではありません。そのへんに打ち捨てられていた死体から鬼が作ったものでした。そして100日経つとその女は本当の人間になるそうです。しかしその前に触ってしまうと死体に戻ってしまうのです。そんな恐ろしいものを男は最初は恐れたのですが、あまりの美形だけに「まだ人でもない」と言われても壊すこともできません。しかしその女の姿をひと目見たものは誰も彼もぜひ嫁にくれとせがんできます。この女を渡したらとんでもない修羅場になる事は火を見るより明らかです。女を隠すことにしたものの、男もその女の魅力にジリジリと惹きつけられていきます。男は悟ります。鬼は善意で女を与えたわけではない。人間が右往左往する姿を見るためだったのではなかろうかと。そして男は・・・
2024.01.11
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書籍の感想です。今回は「リカバリー・カバヒコ」です。リカバリー・カバヒコ [ 青山美智子 ]ある団地の側の公園にひっそりと佇むアニマルライド。その名は「カバヒコ」。自分の傷んでいる部分を触ると治してくれるという伝説があるのです。人呼んで「リカバリー・カバヒコ」。そんなカバヒコに縋りたくなった人々の物語。前のお話に出てきた人が次のお話にちょこっと出てきたりしますが、基本的にそれぞれ独立した短篇となっています。青山美智子さんの作品で、私が大好きな作品は「お探し物は図書室まで」なのですが、それと似たような作りとなっています。ただ、「お探し物は〜」は司書さんがちょっと不思議な力で不思議な本をセレクトしてくれる訳ですが、カバヒコは何もしません。笑っているような泣いているような顔で、ペンキも剥げかけた見た目でどっしりと公園にいるだけです。でも、自分が変わることを本気で願いながらカバヒコを撫でる人々はやがて気付きを得て、リカバリーしていくのです。この「自分で気付きを得る」というところがポイントで誰かから与えられた答えや解決策ではしっくりこなかったり、一時的な解決にしかならなかったりします。自分で気付き、意識を変えることで、状況は何も変わっていなくても、その状況を受け入れることができるようになるのです。例えば、ママ友との距離感に悩み、嫌われないようにそれだけを考えて窮屈な思いをしていた紗羽。ある事をきっかけに自分に適した距離感を掴む事ができたのでした。カバヒコが距離感を教えてくれたわけではなく、たまたまカバヒコを触ったあとに良いことがあっただけかもしれません。それでもカバヒコを触り、変わろうと意識したから気付きを得たのだと思います。すごいぞ、カバヒコ(笑)あ、あと、表紙のカバヒコのイラスト、可愛いです。その上、そんな伝説があったら撫でたくなるよねー
2024.01.05
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書籍の感想です。今回は「デルフィニア戦記 第四部 伝説の終焉2」です。デルフィニア戦記(第4部 〔2〕) 伝説の終焉 2 (中公文庫) [ 茅田砂胡 ]ナシアスの結婚式、イブンはタウ民としての筋を通そうとしてシャーミアンとの結婚に躊躇いを見せる。そしてサンセベリアとの同盟も進展をみせます。しかし今回一番タイヘンなのはリィが毒矢を受けて倒れてしまうところでしょう。ファロットの特製の毒で大型獣でもあっという間に命を落とすという即効性の毒だったのですが、リィは昏睡状態に陥っただけです。もう異次元すぎるねーしかもその状態のところに襲いかかったファロットの面々はとんでもない反撃を喰らいました。いやねーさて、シェラは暗殺者として洗脳されて育てられてきたので、リィに生きた死体みたいと言われていましたがリィの生命力に当てられたのかだいぶ人間らしくなってきました。自分で考えて自分の意思を示せるようになったのは良かったですね
2024.01.03
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