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書籍の感想です。今回は「紅霞後宮物語第四幕」です。紅霞後宮物語 第四幕【電子書籍】[ 雪村花菜 ]このシリーズも4幕まで読み進めております。なんかね、すごくはまるんですよ。主人公の小玉のセリフはちょっと現代風のときも垣間見え気安さがあるのですが、それだけではありません。その周囲を取り巻く舞台設定、人物設定、役職などかなりかっちりしていてその両方が相まってなかなかやられます。今回は小玉は前回発生した事件に繋がる何かがあると考えた文林の命により、現地調査への乗り出します。そこである事実を知り、その解決に乗り出すのですが、当初は皇后の行啓という口実だったので、いかんせん兵も必要最小限しか随行させていません。町全体が敵、とするならば、兵力が足りない。はてさてどうしよう、なんて思っていたら、この事態を利用しようしていたのは、なんと文林でした。彼は皇后に一軍を預かって欲しいと思っていましたが、小玉に反対されていて(皇后が力を持ちすぎるのは良くないのでは、という思い)ある意味強行突破するように、この事態に合わせて軍を送り込み、勅書で彼女に軍を率いることを命じるのでした。普段の彼女であれば、勅書であったとしても気に入らないことには従わないでしょうが、状況が状況だけに軍を率いて事態を解決に当たることになるのでした・・・うーん、文林、腹黒いね。
2021.01.31
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書籍の感想です。今回は「旅屋おかえり」です。旅屋おかえり (集英社文庫) [ 原田マハ ]主人公は30を過ぎたパッとしないタレント「丘えりこ」。アイドルという形でデビューしたが、鳴かず飛ばずという感じで現在はたった1本だけのレギュラー番組をやっています。彼女は旅と相性が良かったようで、地味ながら評価され、この1本のレギュラー番組を死守しています。しかし、番組中のある一言で、意図せずスポンサーを激怒させてしまい、番組は急きょ打ち切りになってしまいます。そんな時、毎週彼女の番組を楽しみにしていた視聴者の一人が事務所を訪れ、彼女に旅をしてほしいと頼んでくるのでした。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー旅屋おかえり、ってどういう意味だろうって思っていました。「旅屋」って旅館みたいなものかな、とか、旅館をやっているなら、お客様が戻ってきたら、「おかえり」とか言うのかしら・・・とか。なのですが、依頼主の代わりに旅をしてくる旅屋、そして、「岡えりこ」だから愛称が「おかえり」。安直なのですが、彼女が楽しそうに旅をしている姿を見ていて、私も楽しくなりました。旅を依頼してきた方の想いを十二分に反映し、家族のわだかまりを解きほぐすことに貢献できたことで、旅屋として今後も活動していくことを決意します。旅屋として徐々に成果を出していくおかえり。口コミでの評価も広がりだした頃に、番組打ち切りの理由になったスポンサーから、もう一度旅番組をやらないか、と打診がありました。なんでも、スポンサー企業の会長が、おかえりの旅屋の評判を聞いて興味を持ったそうです。すんなり番組再開を認めてもらえるのか、ドキドキの会食となったわけですが、そこで会長からある条件を出されます。それはある場所へ旅に出て、あることをしてほしい、というものでした。これはこの会長一族に深く関係があって、さらに自分の事務所の社長にも深く深く関わりのあることでした。はたしておかえりは旅の中で、光を見出して、複雑に絡み合った想いを解きほぐすことができるのでしょうか?とても面白かったです。ラストもとても素敵だったので、是非読んでみてください。
2021.01.31
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書籍の感想です。今回は「思い出の品、売ります買います 九十九古物商店」です。思い出の品、売ります買います 九十九古物商店 (角川文庫) [ 皆藤 黒助 ]資本主義って大量生産、大量消費ですよね。たくさん使ってくれるから、物が売れる、物が売れるから経済が回る、そんな理屈はわかります。なので、紳士売り場で働く縁之介にとっては飽きっぽいお客様は上客なわけで、先月バッグを買っていただいたお客様にまた新しいバッグを欲しいといわれ、ニンマリしてしまうのでした。そんな縁之介が住んでいるのは箱根なのですが、のんびり歩いてると見慣れないお店を発見します。その名も九十九古物商店です。店長の九十九小町の美しさも半分やられたというのもありますが、この古物商店に関わりを持っていたら、なんとこの店で扱っている商品はどれもこれも付喪神の付いた品々だったのです。九十九古物商店は思い入れのある商品を買い取る一方、大切に使ってくれそうな方を見極め、商品を売ることを生業としていたのです。お客様は神様で、お客様の意向を完全に聞き、望むものを提供している縁之介からしてみれば、物、というか、付喪神の想い(リクエスト)を聞き、それを最大限聞いてくれるお客を選んで売るという発想が理解に苦しむものでした。ですが、付喪神たちの想いを聞き、売る人の想いを聞き、なにより小町さんと話すうちに徐々に触発された縁之介はある決断をして小町を驚かせることになります。一方、小町にも秘密があって、その秘密のために縁之介から離れる決断をすることになってしまうのですが、夏祭りの当日、小さな小さな奇跡が起こるのでした・・・特に悪人が出てくるわけでもなく、売る人のエピソードもなかなか良く、素敵なお話でした。続編があるかも、と思ったのですが、続きはないみたいですね。なかなか面白かったです。
2021.01.31
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書籍の感想です。今回は「海蝶」です。海蝶 [ 吉川 英梨 ]海蝶はそのまま「かいちょう」と呼びます。「海猿」と対比した名前と言えばイメージつきますかね。海上保安庁1万名以上いる中のわずか3%しかいないのが潜水士です。その潜水士に、日本初の女性海上保安官潜水士となった忍海愛の物語です。女性潜水士第一号ということでマスコミの注目度も非常に高く、海上保安庁も彼女に愛称をつけようと考えます。そして、女海猿、ではイメージがよろしくなかろうとおもったのかひねり出したのが「海蝶」というわけです。海を自由にひらひらと舞う蝶ということで、言葉は良いのですが、「かいちょう」ってちょっと読みにくいですよね・・・そんな彼女は初の潜水任務であと一歩で死んでしまうほどのミスを犯してしまいます。父親も兄も潜水士なのですが、二人から心配され、本人も落ち込む。しかし、彼女は東北の地震で母親を目の前で津波に流されており、どうしても潜水士を続けたいという思いもあり・・・しかし、悩んでいるのは愛だけではありません。父親も兄も同じように悩んでいて、素直になれなかったりするわけです。さらに愛は海難事故の調査中に驚くほどの洞察力を見せ、海上保安庁の刑事部の女性から「あなたは刑事部の人員として才能がある。潜水士よりも」と刑事部のスカウトを受ける。一時は海蝶を止める決意をして、周囲に宣言までするものの、今までお前を一人前にしようと努力してくれた上官、同僚、船の仲間、お前を励みに頑張ろうと考えていた女性保安官、彼らの気持ちを考えたことがあるか?さらに、たった1回の任務で海蝶を降りたとなればマスコミの追及も大きいだろう。進むも地獄、留まるも地獄だ。だが、決めるのはおまえしかいない。というような言葉を言われて、悩むこととなります。そして、父親の窮地に彼女はある決断をすることになります。なかなか面白かったです。男性ばかりの職場で女性が頑張ることは並大抵のことではないでしょう。それは体力的な話もあると思いますが、例えば更衣室を分けないといけないとか、そんなレベルの気遣いも必要でしょう。彼女がラスト、その後にキャリアとして、海蝶を続けることにしたのか、刑事部に移動することにしたのか、はたまた別の道を選択したのかは描かれていません。しかし、ようやく母親の死という悲しみを乗り越え、親子の絆を取り戻した忍海愛ならきっと良い選択をするのだろうなぁと思えました。良いラストでした(^-^)
2021.01.24
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書籍の感想です。今回は「本好きの下剋上 第一部「兵士の娘」(1)司書になるためには手段を選んでいられません」です。本好きの下剋上 第一部「兵士の娘」(1) 司書になるためには手段を選んでいられません [ 香月美夜 ]麗乃は本が大好き。本があれば何もいらない、朝から晩まで本を読み、本に囲まれて死にたい。生まれ変わっても本に囲まれた人生を送りたい。と願ってやまない麗乃ですが、ひょんなことから転生してしまいます。そしてマインという病弱な女の子となってしまったわけですが、その世界では一般市民の識字率は非常に低く、本は非常な高価な存在でした。当然、マインの家に本、いや、紙もなく、そもそも字が存在しない。ないなら作る!マインの挑戦が始まったのでした。ちょっと前までアニメもやっていましたね。今回はベンノさんと会うところまででした。とても楽しいですね。本では日本食がどうしても食べたいマインが悪戦苦闘しているシーンが多めに描かれています。この辺も楽しいですね。ないものを工夫して頑張る。おいしい、けど、日本食ではないと落ち込むマイン。調味料がないと、日本食は難しいですよね~2巻以降も楽しみです。
2021.01.23
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書籍の感想です。今回は「紅霞後宮物語第三幕」です。紅霞後宮物語 第三幕(3) (富士見L文庫) [ 雪村花菜 ]関小玉。それが主人公である皇后の名前ですが、出自は一般の平民です。足の悪い兄に代わって、出征し、そこで大活躍して、武芸、そして、将官としての才を見せる。その中で、文林に出会い、生涯の友、とでも言うべき深いつながりを感じる。彼は傍系ながら皇族なのだが、傍系なので絶対に皇帝になれるとは思っていなかった。しかし、様々な要素が絡み合い、文林に皇帝の座が回ってきてしまった。そして、彼が皇后に選んだのが・・・小玉だったのでした・・・ちなみに小玉は結局は軍人で、皇后というポジションに固執していません。もし「お前、皇后から降りろ」と言われたら、喜んで降りるでしょう。しかし、彼女は自分からはそう言いません。自分がなぜ皇后に選ばれたのかを理解し、そして選ばれたからには皇帝であり、そして永遠の友である文林のために最善を尽くすと覚悟しているからです。それはもしもの時は命を懸けてでも彼を守るという決意でもあります。文林は文林で、彼女に気安い言葉をかけるわけでもないのですが、とても気を使っている様子が窺えます。このなんというか、ツンデレでもなく、仲が悪いというわけでもなく、そう、信頼という言葉で繋がっている夫婦、という感じがなかなか面白いですね~こんな変わり者の皇帝と変わり者の皇后なので、話も中国史っぽい舞台ながらなかなか破天荒な感じで進むのですが、代わりを固めるプレイヤー、時代背景や官位などを十二分に使った展開に面白くてはとても楽しく読めます。今回の3巻は小玉に近しい方が亡くなったりと辛い展開が続くのですが、それでも全体を通してみれば、読みやすくとても素敵なお話です。
2021.01.23
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書籍の感想です。今回は「カカノムモノ3-呪いを欲しがった者たち-」です。カカノムモノ3ー呪いを欲しがった者たちー(新潮文庫)【電子書籍】[ 浅葉なつ ]カカノムモノの最終巻です。この巻で完結です。カカノムモノ。それははるか昔に魚から人になったもの。神からの説得を聞かずに、人間との暮らしを望む魚に神は一つの呪いを与えます。それは人間の穢れを定期的に呑まないと、魚に戻ってしまうということです。このような呪いを授けた神の意図はわかりません。人間の嫌な面を見せ続けることを償いとさせたのか、一緒に暮らす以上人間を良い方向で構成させることを望んだのか。いずれにしろ、浪崎の一族にはこのカカノムモノが代々生まれ、その印を授かったものを当主として、代々隠然とした力を有してきました。人間は多かれ少なかれ穢れから逃れることはできない。なのでそれが溢れて制御できなくなる前に「呑んで」消してくれる浪崎の一族は政治家などから非常に頼りにされたわけです。今の当主である碧には、兄と慕う涼がいます。この涼は碧を愛し、守りつつも、自分に印が現れず、碧に現れたことに複雑な心境を抱き続けています。この3巻で、とうとういろいろな思いを碧に言うことになってしまい、そして、「この呪いを解く方法がある」と碧に告げるのでした。果たして、碧の決断は・・・?設定もなかなか面白かったのですが、最後の結末はまあまあかな。
2021.01.17
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書籍の感想です。今回は「NNNからの使者 毛皮を着替えて」です。NNNからの使者 毛皮を着替えて (ハルキ文庫) [ 矢崎存美 ]猫を飼っている方の間で囁かれている都市伝説に「毛皮を着替える」という言葉があるそうです。亡くなった猫が生まれ変わったということなのですが、もちろんまったく同じ姿形の猫になるわけではないのです。むしろ、見た目も毛並みも全く違う、でも、仕草や泣き方、癖が似ている。これは前の子の生まれ変わりなのでは・・・というわけで、「毛皮を着替えてきた」という言葉になるそうです。この本は、そんな「毛皮を着替える」をテーマにほっこりする話が綴られています。毛皮を着替えるということは前の子は亡くなっているわけでそういう意味では少し物悲しい部分もあるのですが、次の子との出会いが前を向いて生きていく勇気に繋がっていたりして、とても素敵なお話でした。猫好きにはだいだいだいお勧めです。
2021.01.17
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書籍の感想です。今回は「薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理」です。薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ 塔山郁 ]ちょっと変わった名字の毒島(ぶすじま)さんが主人公のお話です。薬剤師の毒島さんは薬オタクともいえるほど、薬が大好きで知識も豊富です。そんな彼女がちょっとした話題から薬に関する謎を解き明かしていきます。普段はほとんど喜怒哀楽を出さず、口数も少ないのですが、こと薬の話になると、もうとめどなく説明が出てくるところはほんとオタクっぽくて楽しいです。でも、とても親切でお客様想いの毒島さんはとても素敵です。とても楽しいので、とてもおススメです。ドラマ化されないかな。
2021.01.11
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書籍の感想です。今回は「聖者のかけら」です。聖者のかけら [ 川添 愛 ]ここでいう聖者はほんとの聖者を指しています。舞台は13世紀のイタリア。奇蹟を起こす聖者は死んでからもその死体は聖遺物として崇められることとなります。なんといっても、その体、さらにはその棺に触れることとで次々と奇蹟が起こると評判になれば誰も聖遺物が欲しくなるというもの。主人公のベネディクトはベネディクト会の若き修道士です。ベネディクト会という名前の基となった聖ベネディクトと同じ名前で自分は清貧であることを意識し、少しでも聖ベネディクトに近付くことを目指す青年です。そんな彼にある村に行くよう命が下されます。修道院で静かに戒律に厳格に従って生きていくことをよしとするベネディクトは戸惑いながら村に向かい、そこでピエトロという助祭に出会います。ピエトロはリアリストで、神への信仰は持ちつつも、「神は助けてはくれず、問題は自分で何とかしないといけない」と考えており、ベネディクトとまったく合いません。しかし、だんだんベネディクトはピエトロの言葉の中にも真実が含まれていることを感じます。そしてある聖遺物の謎を調べていく中で、様々な出会いを通じてベネディクトは大きく成長していくのでした・・・いやー、面白かったです。最初の50ページくらいはちょっと重い感じだし、宗教の話で難しいし、こりゃ失敗だったかな、と思っていたんですが、ベネディクトの心情が分かり、ピエトロの心情が分かってくるにつれ、どんどん面白くなり、二人が別々の方法で解決に向かって進んでいく様はとても面白いです。ベネディクトは一回り成長して、「清貧」の何たるかを自分なりの解釈を得ます。「清貧」というと、お金を持たず、何も持たないで清く暮らすことを指すのだと思いますが、目に見える「お金」だけに執着していては清貧の実現には至らないのだと悟ります。たとえ、お金を渡さなくても、例えば地位を見返りに何かを要求したり、相手に弱みに付け込んだりして言うことを聞かせていては清貧には繋がりません。清貧の実現というのはとても難しいですね。
2021.01.11
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書籍の感想です。今回は「NNNからの使者 あなたの猫はどこから?」です。NNNからの使者 あなたの猫はどこから? (ハルキ文庫) [ 矢崎存美 ]NNNとは怪しい秘密結社はなく、「ねこねこネットワーク」の略なのだそうです。(そう考えると怪しい組織な気もしますが)このネットワーク、この作者の方だけが考えた名前ではなく、ネット上に流布している都市伝説のようなもの、という感じでしょうか。猫同士は情報交換をしていて、困っていたらそれを助けてくれる人間の情報を教えてもらったり、猫が飼いたいと思っている人間がいたら、その人にピッタリの猫を登場させたり、といったことをしている組織ということのようです。私は猫を飼っていないのであまり実感はないのですが、どうやら猫を飼っている方には「うんうん、わかる!」というお話のようで、いろんな方がねこねこネットワークの存在を語っております。この本はそんなねこねこネットワークの存在を証明するかのようなねこと人間のほんわかする話が5編入っています。どれもこれも可愛くて楽しいお話ですが、個人的には「願掛け猫」というお話が好きです。このお話には本当に産まれた直後に捨てられてしまった猫が出てきて、つい拾ってしまうのですが、ミルクを飲んだ後、おしっこを促すためにお尻をコットンで叩くと子猫が「やめて~」という感じでかわいい声で鳴く、というシーンがあり、想像するだけでかわいくてほっこりします。ええ、実は私も猫好きです。犬も好きですが、猫も好きです。でも、かわいいだけでは飼えないので、我慢しておりますが、今回の猫の話はだいぶ癒されました。
2021.01.01
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