森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.01.12
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五木寛之に「蓮如」という戯曲がある。
森田に関係のあるところを書いてみたい。

蓮如は法然、親鸞の教えを継いだ人といわれている。
時代は1400年代。この時代には応仁の乱があった。
また疫病、天災、火事、合戦、一揆、凶作が次々と襲い、極貧状態が続いていた。
町中に死者が溢れかえっていた時代である。
志のある僧侶は、ボランティアで炊き出しをしたり、弔いや埋葬を手伝ったりしていた。

こんな時代にあって、蓮如は5人の女性と結婚し27人の子どもを設けている。
性欲の塊のようで、エネルギッシュな人であった。


法然や親鸞と同じである。
そして蓮如は有名な「御文章」を作りました。
これは浄土真宗の法事のときに、住職さんが必ず読むものです。

これは元々字の読めない農民とか、最底辺の人たちに暗記してもらい、声を出して朗唱することを前提として作られている。
カラオケの歌のようにリズムのあるものである。しみじみとして人生のはかなさを感じる。

「人間の浮生なる相をつらつら観ずるに、おおよそはかなきものは、この世の始中終、まぼろしのごとくなる一期なり。・・・・。いまにいたりてたれか百年の形体をたもつべきや。我やさき、人やさき、けふともしらず、あすともしらず、おくれさきだつ人は、もとのしずく、すえの露よりもしげしといへり。されば朝には紅顔ありて夕べには白骨となれる身なり。・・・・・・。」

浄土真宗の門徒の方はなじみがあるだろう。
正信偈等よりもどちらかと言えばこちらの方が心に響く。
特に肉親を亡くされた人は心にしみる。
蓮如はこの御文章に一体どんなことを託しているのだろうか。五木氏の戯曲から拾ってみよう。

「われらは今、荒波逆まく嵐の海に漂っているのじゃ。冬の海は冷たく、体はこごえ、泳いで渡る岸辺も見えぬ。心細く、苦しく、おそろしい。そこへ阿弥陀仏の乗られた光明の船が近づいてきて、仏は声の限りに溺れかかった者たちの名前を呼び、ひとりひとりに呼びかけられる。「おーい、こっちへこーい。さあ、はやくこの手につかまれ」とな。

また自力で泳いで助かって見せると自信をもっておる者もあとじゃ。
しかし、その声を地獄で仏の声ときき、なにもかも忘れて一筋に「おたのみもうす」とその無量の腕にすがった者を、み仏はしっかりとだき止められるのじゃ。
「この腕につかまれ」「おたのみもうす」この声と声が出会うたとき、人は無明の海から光の船へと乗り移る。・・・・・。」

ここで、自力で助かろうとする者とは、森田でいえば神経症からの解放を求めてはからいをする者である。
そういう人はなかなか治ることができない。

理不尽ともいえるわが身の現実をありのままに受け入れる。
そういう人が最後には救われる。このことを言いたかったのだと思う。

故玉野井幹雄氏は治そうとすることをやめて、地獄に家を建てて暮らそうと意志を固めた途端に葛藤や苦悩は遠のいていったと言われている。まさにこのことを言っている。

森田先生は「症状が治るか治らないかの境目は、苦痛をなくしよう、逃れようとしている間は10年でも、20年でも決して治らないが、苦痛はこれをどうすることもできない。
仕方がないとあきらめ往生したときにその日から治るのである」言われています。
五木寛之氏は森田理論の真髄がよく分かっている人だと思う。
(蓮如 五木寛之 中公文庫参照)






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Last updated  2015.01.12 07:29:35
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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