森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.02.13
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肉親の死ほどつらいものはありません。
子どもや高齢者は、葬儀などのイベントから締め出されることがあります。
家族が、子どもや高齢者に対して「死を理解できないだろう」「葬儀などの儀礼に参加することはないだろう」と勝手に思い込んでいるのです。

ですが、子どもであろうが高齢者であろうが、たいていは死を理解し悲嘆を味わっています。
それにもかかわらず、彼らは「大切な人の死について何も説明されていない」「葬儀に参加させてもらえない」という目に遭い、悲嘆だけでなく孤独や怒りまで負うことになるのです。

ある幼稚園児のケースがあります。
その男の子は、同居していた祖父が亡くなった時、「この子にはまだ分からないから」という大人たちの判断で、田舎の親戚に預けられ、葬儀に参加することができませんでした。
男の子はわけもわからず田舎に行かされ、帰ってくると大好きなおじいちゃんの姿がありません。
そこでお母さんに「おじいちゃんはどこ」と尋ねると、「おじいちゃんは長い旅行に出かけてしまったから、しばらくおうちには帰ってこないのよ」と説明されていました。


教えられたとおり「旅行に行っている」と答えると、ほかの園児から「バカじゃないのか」「おじいちゃんは死んだんだ」「お葬式をやっていたじゃないか」と言われたのです。
これに大変ショックを受け、彼は翌日から幼稚園には行きたくないと言いだしました。

彼にとって、この体験はただのおじいちゃんとの死別の体験ではすみませんでした。
大切なことについて自分に嘘をついた母親の行為によって、母親との信頼関係を失う体験になり、また幼稚園の友達を失う体験にもなったのです。
母親が子どもに本当のことを説明し、葬儀にも連れて行っていたとしたら、この子は悲嘆を複雑化させず、自分なりに乗り越えていくことができたでしょう。

森田では事実唯真といいます。事実こそが神様です。
肉親の死の悲しみからショックを受けて当分悲嘆にくれてイライラすることは当然です。
でも死という現実から目をそむけて逃げてしまうという事は、大きな苦悩を引き受けることになるのです。
つらくても受け止めていく。そして癒される時間を待つということしかできないのではないでしょうか。
そういう過程を経ることによって立ち直る人は立ち直っていくのだと思います。
(悲しみの中にいる、あなたへの処方箋 垣添忠生 新潮社より引用)





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Last updated  2024.05.31 10:29:25
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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