森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.12.02
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先日の生活の発見会の支部の研修会の中で講師の方が次のように言われた。
森田では不安は受容しなさいと言われる。
そして、不安はヨコにおいて「なすべきことをなす」に取り組みなさいと言われる。
これは不安の受容モデルだが、私にはそんなことはできません。
とても無理なことを押し付けられているように思うと言われた。

その上で、講師の方の言われるのは、不安の「悟りモデル」だった。
悟りといっても高僧のような立派な人になることではありません。
不安についての理解と気づきを深めていくことだと言われた。私もまったく同感だった。

不安の正体、不安の役割、不安と欲望の関係、不安の活かし方を理解しないでそんなことを言うと混乱してしまう。

不安の十分な説明なしに、不安は無条件に受け入れて、日常生活に視点をおいて生きてゆきましょうというだけでは、あまりにも森田理論を乱暴に扱っていることだ。

自分が神経症を克服したからといって、途中の過程を無視して、結果だけをアドバイスしても相手にはなんの効果もないのだと思う。むしろ弊害の方が大きい。
要は正しいステップを悩んでいる人が、自らの力で歩いていくことが必要である。

もう一度おさらいをしておこう。
不安というのは欲望とセットになっている。欲望がないところに不安は発生しない。
欲望が小さいと不安も小さい。欲望が大きいと不安も大きい。
だから不安は不快だから取り去ろうということは元々できない。
だから不安を多少軽減させましょうというのは構わないが、完全に不安を取り去ってあげようという療法は間違いである。
こういう心理療法が多いので注意する必要があるのだ。

次に不安と欲望はコインの裏表の関係にある。不安の裏を見れば欲望が分かる。
ここが肝心なところだ。不安を利用して自分の欲望を探ることができる。


森田理論の土台は「生の欲望の発揮」にあります。
その欲望から目をそらすことは片手落ちとなる。
不安を自分の欲望の発見の手がかりとして利用するのである。
欲望と不安のバランスが崩れると、健全に生きていくことはできなくなる。
このこともよくよく理解してほしいところだ。


それが高じると最悪人間同士の殺し合いに発展してくる。
不安は欲望の暴走を制御するという重要な役割を持っているのだ。
これは車のアクセルとブレーキの関係にある。
アクセルだけでブレーキが無ければ車を走行させること自体不可能である。
だから不安を持たない人間というのは社会に適応することはできないのである。
森田では精神拮抗作用でこのことを説明している。

不安と欲望のバランスをとりながら生活することは大変重要であるがとても難しいことでもある。
イメージとしては、サーカスの綱渡りである。
長い物干し竿のようなものを右に左に揺らせて微調整しながら注意深く進んでいく。
つまりしっかりと自分の進むべき方向に視線を向けて、あとは墜落しないように微調整することに全精力を傾けているのである。

この態度を意識づけるために机の上に「ヤジロベイ」をおいて置くことを勧めているのである。
不安と欲望の単元はとても重要な単元である。
まだまだ説明していない部分も含めて、何度でも学習して自覚を深めてほしいものである。






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Last updated  2015.12.02 06:50:55
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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