森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.05.22
XML
カテゴリ: 身近な社会問題
古代ローマ帝国は、イギリスを含むヨーロッパ全土、中近東全域、北アフリカを支配していた。
こうしたローマ帝国の拡大は侵略戦争によってもたらされた。
カルタゴを支配下に収めた後は次々に戦争を仕掛けていった。

戦争に勝利すると、殺戮と収奪を繰返していった。
敗戦国を植民地化し、農地、工場、財産、鉱物資源等を取り上げた。
極めつけは人々の奴隷化である。その戦利品は海や陸路でローマに運ばれた。
従属国はローマから支配者を送りこんだり、傀儡政権を樹立させて収奪をし続けていった。

戦利品や収奪によってごく一部のローマ人は贅の限りをつくした。
これは自分たちの果てなき欲望充足のための侵略戦争だったのだ。


古の健全なローマ人たちの生活、社会が失われて、嘆かわしい現実を露呈するようになった。
端的には食の崩壊、人間の奴隷化とその支配、性の退廃等であった。
ローマ人は世界中からあらゆる珍味をかき集めた。
それらを出来るだけ腹に収めるために食べたものを吐くことを習慣的に行っていたという。
食べるために吐き、吐くために食べるというありさまだった。

敗戦国の人を奴隷化してどんなことをさせていたのか。
大富豪の家では奴隷群をローマ市で使う都市奴隷と田舎の農地や別荘で使う田園奴隷に分けていた。
都市奴隷は屋内奴隷と屋外奴隷に分けていた。
平均的な元老院議員は、少なくとも500人の奴隷を持っていたという。
奴隷は基本的には自由を奪われ、金輪をはめられて管理されていた。

屋内奴隷には、服装の管理、食器の管理、化粧係、料理係、接客係等きめ細かく分けられていた。

夜の饗宴は毎日のように開催され、そこでは金持ちたちが見栄を競い富を見せびらかす格好の場となっていた。性の荒廃ぶりはここで紹介するのもはばかられるほど堕落したものであった。

ローマで暮らしていた奴隷はまだましな方だったという。
地方で農作業などでこき使われていた奴隷の生活はまさに使い捨てであった。
ローマに住んでいた一般人はそのおこぼれにあずかって少なからず文明の恩恵を受けていたので実態がよく見えないように隠されていた。

このように無敵を誇ったローマ帝国であったが、必然的に内部から崩壊し、ゲンマン人の攻撃で30年で跡かたもなく消え去っていったのはむしろ当然の結末であった。


人間は自然のままに放っておくとほとんどの場合欲望の暴走が起きる。
そしていったん弾みがついて走り出すと破滅を迎えるまで止まることはない。
最後地獄をみて終焉となる。

快適で便利な食欲、物欲、性欲のはてない欲望を求めていると、自然の成り行きとして他人の物を侵食するようになる。
他人のものを力づくで奪って、自分の欲望を満たそうとする。安易な考えである。
そしてさらに自分の欲望をかきたてていく。

人間は戦争を繰り返し、殺し合いをしながら、自分たちの欲望の充足のことばかり考えて生きてきたのである。
今でも軍事力や武力による戦いが仕掛けられることがある。
この戦いに負ければ、戦勝国への隷属の道が待っているのである。
それを受け入れることは悲惨な道を受け入れということだ。

今や戦争の主力は経済戦争である。
経済力がある国が、軍備を背景にちらつかせながら、経済力のない国の資源、財産、富を収奪していく。
これは極めて合法的、隠密裏に行われておりその矛盾に気づく人はいない。
一部の有識者は果敢に戦いを挑んでいる。

武力や経済力で侵略されたものは、その圧力に抵抗出来るだけの力を持っていないとすぐに制圧されて支配されるようになる。
抑圧され、被支配される生活は、支配者が滅びるまで甘んじて引き受けなければならなくなる。
ですから対等の軍事力を持ち、対等な話ができるように準備しておかないと大変なことになるのは誰にもわかる。きれい事ではすまされない。

戦争反対だと表面的なことばかり言っていても、人間の尊厳を脅かし、人間の奴隷化に甘んじることは、もっと人間を窮地に追いやることになる。
今多くの国が核を持っている。これに反対する人は多い。
これが使用されて人類が滅びてしまうことを考えているからである。
もちろん使用されれば人類の将来は閉ざされてしまう。
でも反面核を持ち同じ話し合いのテーブルにつくだけの用意をしておかないと、一方的に支配―被支配の関係にすぐ陥ってしまう。
きれい事だけでは人間の尊厳は守れないのである。

しかし一方ではそのようなことも考えながら、根本的なことは、欲望の暴走は人類の悲惨な歴史の繰り返しの連続であったという事実を見つめて、なんとか欲望の暴走に制御をかけるという文明論を学習する必要があるのではなかろうか。
これは今のところ人類は全く手つかずである。
巧妙にカモフラージュされて、人間は欲望の暴走への道をひた走っているのである。
これこそが最大の問題だと言わざるを得ない。
(ローマはなぜ滅んだか 弓削達 講談社現代新書参照)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.04.06 11:18:10
コメント(0) | コメントを書く
[身近な社会問題] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

メダカを飼っています New! 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: