森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.08.06
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ひろさちやさんのお話です。

知人のインド人が、病気の父親を看護するため、6ヶ月間会社を休んだそうです。
それを聞いたわたしは、「6カ月も会社を休んで、よく首にならずにすんだね」と言いました。
すると彼は、「え!日本では、父親の病気で6カ月会社を休めば首になるのですか」と驚いています。
「6カ月どころか、6日も休めば首になるよ」と応ずると、インド人は呆気にとられた顔をしました。
ところで、その父親は回復せずに6カ月後に亡くなったそうです。
そこで病名を訪ねると、「病名はよく分かりません」との答え。
実はその6カ月のあいだに医師がやってきたのはたったの2度。
病名もはっきりしないまま亡くなったのだとインド人は言います。

(諸行無常を生きる ひろさちや 角川書店 162ページより引用)

日本でインド人のようなことをすると、公務員以外はたいてい職を失います。
医療を受けさせないのは医療ネグレクトといって本人は厳しく糾弾されます。
テレビなどのマスコミに取り上げられ、極悪非道な人間として扱われます。

経済発展をして高度な医療を享けられる日本人。
医師や看護師は毎日患者を診てくれます。
しかし、息子が見舞に行くのは6カ月のあいだにたったの2度。

これは少々極端かもしれません。
でもあたらずといえども遠からずではないでしょうか。
これが親にやさしい日本の子どもの姿です。
寝たきりになり認知症があり、特別養護老人ホームに入所した高齢の親を見舞うことは本当に少なくなっているのです。

何時間もかけて見舞う時間的余裕もありません。
たとえ見舞に行っても、親は植物人間になっているのですから、会話はありません。
ただ生命を維持しているだけにすぎないのです。
これが自分を生んで育ててくれた親に対する態度かと憤ってみたところで、実態がそうなっているのです。

おむつを子どもが取り替えるということは全く考えられません。

風呂に入れたりシーツを取り換えたり、食事の世話をするのもそうです。
狭い部屋に2人、3人と見も知らずの人と毎日生活をさせるのはしのびないと言っても、背に腹は代えられません。
悲しいかな、これは近い将来のあなたの姿でもあるのです。

すべてを施設にお任せして、お金で済まそうとしているのです。
親をものとして扱っているのです。
自分はその施設利用代の支払いのためにさらにあくせくと働かざるを得ないのが実態です。
自分も人間としてではなく、物として生きていかざるを得なくなっているのです。
つまり便利、快適、楽ができる代わりに、働き蜂や、働きアリのように一生涯、金儲けだけのために働かざるを得なくなってしまっているのです。
親子の絆、周りの人たちの人間的つながりはどんどん失われているのです。
こんな生き方でいいのだろうか。森田理論学習をしていてしみじみと考えさせられます。





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Last updated  2016.08.06 07:41:55
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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